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大戸 茂弘(おおど しげひろ) データ更新日:2019.11.04

教授 /  薬学研究院 臨床薬学部門 臨床薬学講座 薬剤学分野


主な研究テーマ
体内時計の分子機構を基盤にした新規時間治療法の開発
キーワード:日周リズム、時計遺伝子、時間薬理学、時間薬剤学
1990.08~2016.03.
研究業績
主要著書
主要原著論文
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
主要学会発表等
その他の優れた研究業績
2001.03, Ohdo, S. et al., Nature Medicine 7, 356-360, 2001
Changing the dosing schedule minimizes the disruptive effects of interferon on clock function
The effectiveness and toxicity of many drugs vary depending on the dosing schedule associated with the twenty-four hour rhythms of biochemical, physiological and behavioral processes. In contrast, several drugs can cause alterations to the twenty-four hour rhythms, which leads to illness and altered homeostatic regulation. However, the mechanism has not been clarified from the viewpoint of the disruptive effect of the drugs on clock genes. Here, we show the disruptive effect of interferon on the rhythm of locomotor activity, body temperature and clock genes mRNA expression in the periphery and suprachiasmatic nuclei, a primary circadian pacemaker. The rhythmicity of clock genes and the photic induction of the mPer1 gene in suprachiasmatic nuclei were disturbed by the repetitive administration of interferon. Furthermore, alteration of the clock function, a new concept of adverse effects, can be overcome by devising a dosing schedule that minimizes adverse drug effects on clock function.
新規副作用(生体の恒常性の破綻)とそれを回避するための投与方法の開発
1.はじめに
 生体には体内時計が存在し、その本体は視神経が交差する視交叉上核(suprachiasmatic nuclei、SCN)に位置し、時計遺伝子により制御されている。この機構により多くの生体機能や疾患症状に24時間周期の概日性リズム(circadian rhythm)が認められる。また多くの薬物でその効果や毒性は、サーカディアンサイクルのどの時点で投与するかによって変化する。一方、薬物の中には、サーカディアンリズムに影響を与えるものがあり、その結果として病気や生理機能の変化が発生する。
2. 薬物治療中に生体の恒常性が破綻することがある
 インターフェロン(IFN)は腫瘍および慢性肝炎治療などに幅広く使用されているが、重要な副作用としてリズム障害と関連の深いうつ状態、不眠、自殺などが報告されている。ヒトにおいて薬物非投与時には、リンパ球数は午前に最低となり、夜間に最高となるが、コーチゾール濃度は午前に最高となり、夜間に最低となる。IFNを午前に連日投与するとリンパ球数は低値を維持し、コーチゾール濃度は高値を維持する。すなわち正常なリンパ球数とコーチゾール濃度の逆相関関係は崩れリズムは消失する。一方、IFNを夜間に隔日投与すると正常に維持される。以上の結果は、IFNを夜間に投与し、かつ隔日に投与することが生体リズムを崩さない理想的な投与方法であることを示している。
3.投与方法により時計機能が障害されることがある
最近我々は、マウス(夜行性)を対象として、IFNによる生体リズムの障害が末梢のみならずSCNでも認められることを明らかにした。薬物非投与時にはSCNのPer1、 Per2、Per3 mRNA発現量はそれぞれ明期(休息期)前半、後半、中間に最高値を示す。一方、IFNの連続投与によりそれらのリズムの振幅は顕著に低下する。Per遺伝子の転写促進因子であるClockおよびBmal1のmRNAも抑制される。また光刺激によるPer遺伝子の誘導も障害される。薬物非投与時には肝臓や腎臓におけるPer1 mRNAはSCNと比べ数時間遅れて最高値を示す。一方、IFN投薬によりリズムは障害される。行動や体温のリズムは暗期に高値を示すが、IFN投薬によりその振幅は顕著に低下する。IFNは末梢でリンパ球を活性化させたり、抗腫瘍効果を示すとともに、中枢性の副作用を示す。従って、IFNは中枢と末梢の両方に作用すると考えられる。SCNを電気的に破壊することにより末梢のリズムは障害される。一方、環境を操作することにより行動リズムを変容させた場合、SCNのリズムは必ずしも変化しない。そのためIFNの末梢での作用がSCNの機能障害の機序であるとは考えがたい。またIFNがそのレセプターを介して誘導するinterferon stimulated gene factor(ISGF)はSCNでも強く発現しておりIFNのSCNでの直接作用を指示する所見である。IFNによる時計機能障害は活動期前半の投薬で認められるが、休息期前半の投薬では認められない。この結果は上記ヒトでの所見と類似している。またSCNにおけるIFNレセプターには活動期に高値を示す有意なリズムが存在するため、時計機能障害の投薬時刻による差の機序として考えられる。このような現象は他の薬物でも認められるためIFN以外の薬物に関しても生体のホメオスタシス機構を維持しながら治療していくことが、副作用、合併症の防止という点で極めて重要であろう。
4.まとめ
 本研究結果は、薬が体内時計の時計遺伝子に異常を引き起こす可能性があること、そして、このような有害反応は投薬スケジュールを最適化することで避けることができ、またそうすべきであることを示している。これは1日2回あるいは3回均等分割する従来の投与方法にインパクトを与え、投薬タイミングを加味した新しい治療法の開発につながるものである。今回は研究の一例を紹介したが、その他時計遺伝子を基盤にした新規時間治療法の開発を目指し、薬物代謝酵素、レセプター機能などのリズムの成因解明および生体リズム操作方法の開発など基礎から臨床への橋渡しを指向した研究を行っている。.
学会活動
所属学会名
日本薬学会(理事)
日本癌学会会員(評議員)
日本臨床薬理学会会員(認定薬剤師制度委員会委員長)
日本薬学会(医療薬科学部会部会長)
九州山口薬学会(理事)
日本医療薬剤学会会員
日本癌学会会員
日本薬剤学会(評議員)
日本時間生物学会会員(評議員)
日本薬物動態学会会員
日本DDS学会会員
日本TDM学会会員 (評議員 )
日本臨床薬理学会会員(評議員、指導薬剤師)
日本薬理学会会員(評議員)
日本薬学会会員
学協会役員等への就任
2018.04~2020.03, 日本薬学会, 理事.
2014.01~2016.12, 日本癌学会, 評議員.
2013.01, 日本薬学会, 医療薬科学部会部会長(2013年1月).
2013.01, 日本臨床薬理学会, 認定薬剤師制度委員会(2013年1月).
2010.04, 九州山口薬学会, 理事.
2008.04, 日本薬剤学会, 評議員.
2001.01, 日本時間生物学会, 評議員.
2007.01, 日本臨床薬理学会, 評議員.
1994.04~2000.03, 医療情報解析(MIA)研究会, アドバイザー.
1992.04, 日本薬理学会, 評議員.
1992.04, 日本TDM学会, 評議員.
学会大会・会議・シンポジウム等における役割
2020.12.03~2020.12.05, 第41回日本臨床薬理学会, 総会長.
2016.11.16~2016.11.18, 第29回日本動物実験代替法学会 , 大会長.
2016.11.15~2016.11.16, Asian Congress 2016 on Alternatives and Animal Use in the Life Science, Vice President.
2016.11.15~2016.11.18, 特別講演:井上和秀(九州大学薬学研究院) 「The role of microglia in neuropathic pain」 第29回日本動物実験代替法学会, 座長(Chairmanship).
2014.11.08~2014.11.09, 特別講演 岡村均(京都大学大学院薬学研究科)「分子―細胞―個体としての生体リズム」 第21回日本時間生物学会学術大会, 座長(Chairmanship).
2014.11.07~2014.11.07, 日本時間生物学会 国際シンポジウム(International Symposium by JSC in 2014), President.
2014.11.07~2014.11.09, 第21回日本時間生物学会学術大会 国際シンポジウム, 大会長.
2014.10.15~2014.10.18, 第87回日本生化学会 シンポジウム「行動・睡眠リズムを支配する体内時計の分子機構とその創薬標的としての可能性」, オーガナイザー 座長.
2014.10.15~2014.10.16, 第87回日本生化学会 シンポジウム「行動・睡眠リズムを支配する体内時計の分子機構とその創薬標的としての可能性」 , 座長(Chairmanship).
2013.11.09~2013.11.10, 第20回日本時間生物学会, プログラム委員.
2013.11.09~2013.11.10, 第20回日本時間生物学会 シンポジウム「生物時計を基盤にした基礎・臨床橋渡し研究(TR,rTR)」, オーガナイザー 座長.
2013.11.09~2013.11.10, 第20回日本時間生物学会 シンポジウム「生物時計を基盤にした基礎・臨床橋渡し研究(TR,rTR)」 , 座長(Chairmanship).
2013.05.23~2013.05.25, 日本薬剤学会第28年会 特別企画シンポジウム「患者に優しい投与方法」, オーガナイザー 座長.
2013.05.23~2013.05.25, 日本薬剤学会第28年会 特別企画シンポジウム「患者に優しい投与方法」 , 座長(Chairmanship).
2012.08.24~2012.08.25, 第37回西日本薬剤学研究会, 会長.
2012.07.14~2012.07.15, 医療薬学フォーラム2012 第20回クリニカルファーマシーシンポジウム, 実行委員長.
2012.07.14~2012.07.15, 特別講演:井上和秀(九州大学薬学研究院) 「痛み制圧に向けた創薬研究とエコファーマの実践」 医療薬学フォーラム2012 第20回クリニカルファーマシーシンポジウム, 座長(Chairmanship).
2012.07.14~2012.07.15, 教育講演 高野幹久(広島大学医歯薬保健学研究科)「我が国における医療薬学と医療薬科学研究」 医療薬学フォーラム2012 第20回クリニカルファーマシーシンポジウム, 座長(Chairmanship).
2012.07.14~2012.07.15, 教育講演 鈴木洋史(東京大学病院薬剤部)「臨床現場からの医薬品適正使用・医薬品開発への提言」 医療薬学フォーラム2012 第20回クリニカルファーマシーシンポジウム, 座長(Chairmanship).
2010.07.10~2010.07.11, 医療薬学フォーラム2010 第18回クリニカルファーマシーシンポジウム シンポジウム1 「薬物療法を支える基礎研究と臨床研究の糸口、進め方と成果の活用」, オーガナイザー:家入一郎、大戸茂弘..
2010.07.10~2010.07.11, 体内時計の分子機構を基盤にした薬物投与設計.  シンポジウム1 「薬物療法を支える基礎研究と臨床研究の糸口、進め方と成果の活用」(オーガナイザー:家入一郎、大戸茂弘).医療薬学フォーラム2010 第18回クリニカルファーマシーシンポジウム, 座長(Chairmanship).
2010.03.16~2010.03.18, シンポジウム「時間薬理学と時間栄養学による新しい治療戦略の開拓」、第83回 日本薬理学会年会 , オーガナイザー.
2010.03.16~2010.03.18, シンポジウム「時間薬理学と時間栄養学による新しい治療戦略の開拓」(オーガナイザー:柴田重信、大戸茂弘). 第83回 日本薬理学会年会 (大阪), 座長(Chairmanship).
2009.11.14~2009.11.15, 第3回次世代を担う若手医療薬科学シンポジウム, 実行委員長.
2009.10, 第16回日本時間生物学会, 組織委員会委員.
2009.06.21~2009.06.25, Molecular clock mechanisms of drug metabolism. Symposium “Functional genomics” 16th International Conference on Cytochrome P450, Organizer.
2009.06.21~2009.06.25, Molecular clock mechanisms of drug metabolism. Symposium “Functional genomics” 16th International Conference on Cytochrome P450, 座長(Chairmanship).
2008.11.28~2008.11.28, Kyushu-Busan International Joint Seminar. , 座長(Chairmanship).
2008.11.08~2008.11.09, シンポジウム「時間治療の現状」 第15回日本時間生物学会学術大会 , オーガナイザー.
2008.11.08~2009.11.09, シンポジウム「時間治療の現状」(オーガナイザー:藤村昭夫、大戸茂弘).第15回日本時間生物学会学術大会 , 座長(Chairmanship).
2008.10, 第23回日本薬物動態学会年会, 組織委員会委員.
2007.11, 第28回日本臨床薬理学会年会, 座長(Chairmanship).
2006.08, 第31回西日本薬剤学研究会, 会長.
2006.03, シンポジウム「時計遺伝子の様々な機能ー病気から治療薬まで」第79回日本薬理学会年会, オーガナイザー.
2006.03, 第79回日本薬理学会年会, 座長(Chairmanship).
2005.11.24~2009.11.25, ワークショップ「投薬時刻と時計」 第12回日本時間生物学会, オーガナイザー.
2005.11.24~2005.11.25, ワークショップ「投薬時刻と時計」(オーガナイザー:大戸茂弘、矢野雅彦).第12回日本時間生物学会学術大会 , 座長(Chairmanship).
2005.10, 第15回日本医療薬学会年会, 座長(Chairmanship).
2005.03, シンポジウム「体内時計からみた疾患とその治療」日本薬学会第125年会, オーガナイザー.
2005.03, 日本薬学会第125年会, 座長(Chairmanship).
2003.11, 第20回日本薬学会九州支部大会, 事務局会計.
2002.12, 第19回日本薬学会九州支部大会, 座長(Chairmanship).
2002.03, 薬物相互作用と薬物動態学. シンポジウム「薬物相互作用と薬理」第75回 日本薬理学会年会, オーガナイザー.
2002.03, シンポジウム「医薬品適正使用を指向した薬物治療の個別化:個体間変動と個体内変動」日本薬学会第122年会, オーガナイザー.
2002.03, 第75回日本薬理学会, 座長(Chairmanship).
2002.03, 日本薬学会第122年会, 座長(Chairmanship).
2001.12, 第2回時間薬理・治療を考える会, 座長(Chairmanship).
2000.12, 第17回日本薬学会九州支部大会, 座長(Chairmanship).
2000.03, ワークショップ「時間薬物治療の実践」 日本薬学会第120年会, オーガナイザー.
2000.03, 日本薬学会第120年会, 座長(Chairmanship).
1998.12, 第15回日本薬学会九州支部大会, 座長(Chairmanship).
1998.11, 第19回日本臨床薬理学会, 座長(Chairmanship).
1998.11, 第5回日本時間生物学会, 座長(Chairmanship).
1998.07, 第35回薬剤学懇談会研究討論会「医療と製剤」, 事務局.
1995.06, 第12回日本TDM学会, 事務局.
学会誌・雑誌・著書の編集への参加状況
2015.01~2015.09, コンパス分子生物学, 国内, 編集委員.
2012.04~2013.03, 医薬ジャーナル 「時間薬理学による最新の治療戦略」., 国内, 編集委員長.
2009.04~2010.06, Advaced Drug Delivery Reviews, 国際, 編集委員長.
2009.06~2011.03, Perspective 薬剤学, 国内, 編集委員長.
2009.01~2009.10, コンパス分子生物学, 国内, 編集委員.
2009.01~2009.06, 医薬ジャーナル 45(6)、2009., 国内, 編集委員長.
2006.10~2007.10, 時間治療の基礎と実践(丸善株式会社), 国内, 編集委員長.
1998.01~2001.01, 時間薬理学(朝倉書店), 国内, 編集委員.
2005.04~2006.03, 生体リズムと時間治療(日本薬学会 編、薬事日報社), 国内, 編集委員.
学術論文等の審査
年度 外国語雑誌査読論文数 日本語雑誌査読論文数 国際会議録査読論文数 国内会議録査読論文数 合計
2017年度      
2016年度    
2015年度
2014年度
2013年度 14  14 
2012年度
2011年度 11  11 
2010年度 18  19 
2009年度 12  12 
2008年度
2007年度 15  15 
2006年度
2005年度
2004年度
2003年度
2000年度
その他の研究活動
海外渡航状況, 海外での教育研究歴
米国南カリフォルニア大学薬学部ジョンスタッファー薬剤学研究所, UnitedStatesofAmerica, 1989.08~1990.08.
外国人研究者等の受入れ状況
2014.04~2018.09, 1ヶ月以上, チェニュジア, .
2010.04~2012.03, 1ヶ月以上, Korea, .
2010.04~2012.03, 1ヶ月以上, China, .
2009.10~2010.09, 1ヶ月以上, China, .
2007.10~2010.03, 1ヶ月以上, Egypt, .
2005.04~2008.09, 1ヶ月以上, Korea, 外国政府・外国研究機関・国際機関.
1999.04~2002.03, 1ヶ月以上, Thailand, 外国政府・外国研究機関・国際機関.
受賞
日本薬学会賞(学術振興賞), 日本薬学会, 2002.03.
日本臨床薬理学会賞(臨床薬理研究振興財団賞), 日本臨床薬理学会, 1990.10.
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2017年度~2019年度, 挑戦的研究(開拓), 代表, 目を起点とした分子―細胞―個体リズムの統合解析による環境と生体の調和技術の開発.
2016年度~2018年度, 基盤研究(A), 代表, クロノケミカルバイオロジーによる炎症基盤病態の機序解明.
2015年度~2016年度, 挑戦的萌芽研究, 代表, 病態時の分子時計機構に及ぼすエキソソームの役割.
2013年度~2014年度, 挑戦的萌芽研究, 代表, 分子時計を基盤にした体内金属元素の日周リズムの成因解明:金属と分子時計の相互作用.
2013年度~2014年度, 新学術領域研究, 代表, 生体リズムの階層性を基盤にした薬物移送リズムとリズム調整因子の探索.
2013年度~2015年度, 基盤研究(A), 代表, 腎障害時の臓器間臓器内恒常性機構と幹細胞分化誘導タイミングにおける分子時計の役割.
2011年度~2012年度, 挑戦的萌芽研究, 代表, 臓器障害時の臓器間コミュニケーションにおける分子時計の役割と合併症の機序解明.

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