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静永 健(しずなが たけし) データ更新日:2023.11.22

教授 /  人文科学研究院 文学部門 中国文学講座


学会発表等
1. 静永 健(単独), 「旧き枕故き衾誰とともにか」本文の伝播と消滅, 第67回東方学者会議, 2023.05, The Circulation and Disappearance of the Line “Who Will Now Share with Me Our Old Pillow, Our Old Coverlets?”

SHIZUNAGA Takeshi

The line “Who will now share with me our old pillow, our old coverlets?” (旧き枕故き衾誰とともにか), which appears in the “Aoi” 葵 chapter of the Tale of Genji (Genji monogatari 源氏物語), coincides with line 72 of “Song of Lasting Regret” (“Ch‘ang-hen ko” 長恨歌) by Po Chü-i 白居易 as found in the Kanazawa Bunko 金沢文庫 manuscript of the Po-shih wen-chi 白氏文集 (fasc. 12), and the understanding that it represents the text of the so-called old manuscript of the Po-shih wen-chi would seem to be gradually taking root in academic circles. That this line belongs to Po Chü-i’s original poem can be confirmed from the fact that in China, too, the text of “Song of Lasting Regret” included in the Wen-yüan ying-hua 文苑英華 (fasc. 346), dating from the early Sung period, also has “old pillows, old coverlets” (旧枕故衾). But once the complete Po-shih wen-chi (Po-shih Ch‘ang-ch‘ing chi 白氏長慶集) began to be published during the Sung period, especially from the Southern Sung onwards, this printed version came to be regarded as the definitive edition, and consequently the words “old pillows, old coverlets” were forgotten in China, and eventually the text came to read “the halcyon-plumed coverlet is cold” (翡翠衾寒).
However, quite miraculously the reading “old pillows, old coverlets” was preserved in the 50-fascicle T‘ang-shih chieh 唐詩解 (published with a preface dated 1615), an anthology of T‘ang poems compiled by T‘ang Ju-hsün 唐汝詢 (1565–1659), who spent his life as an ordinary citizen and keen reader in Shanghai in the Ming period. T‘ang Ju-hsün was a quite amazing person who lost the sight of both eyes at the age of five and thereafter memorized all manner of books that he had other people read to him. All sorts of interesting investigations could be conducted regarding the question of why the text of “Song of Lasting Regret” transmitted by him preserved the original wording. But this work by T‘ang Ju-hsün was subsequently superseded once again during the Ch‘ing period by the Po-shih wen-chi (Po-shih Ch‘ang-ch‘ing chi).
This paper does no more than present the results of my examination of a variant reading of a single line in a lengthy poem by Po Chü-i, but I hope that it will provide material for some lively debate about the circulation of literary works between China and Japan.

SHIZUNAGA Takeshi 静永健 (Japan), Professor at Kyushu University 九州大学. Comparative Literature in Japan and China.
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2. 静永 健, 唐詩の微韻について, 第314回中国文芸座談会, 2021.07.
3. 静永健, 偃武修文:目加田誠の元号草案について, 第304回中国文芸座談会, 2019.04.
4. 静永健, シンポジウム「日中周秦漢唐文学学術的再出発」国際学術研討会開幕辞, シンポジウム「日中周秦漢唐文学学術的再出発」国際学術研討会, 2019.03.
5. 静永健, 妻を暗示する唐詩について, 第301回中国文芸座談会, 2018.11.
6. 静永 健, 読《文選集注》札記, 第13届、中国《文選》学会, 2018.08, 日本等に現存する『文選』の貴重な古写本群について、その幾つかの研究方法を具体例をあげて論じた。.
7. 静永 健, 日中で異なる「長恨歌」の本文, 九州大学伊都キャンパス完成記念シンポジウム:アジアにおける人の移動と人文学的変容, 2018.09, 平安から近代にいたる日本の中国文学の摂取(学習)のありかたについて、白楽天の名作「長恨歌」を例に、その具体例を挙げ、このことが中国古典研究に極めて重要な役割をになってゆくことを論じた。.
8. 静永 健, 華陽公主的流風遺韻――兼談以白居易為代表的永貞期青年才子群像――, 北京大学第一届古典学国際学術研討会, 2017.11.
9. 静永 健, 華陽公主の面影――白楽天をめぐる永貞期の青年群像――, 日本中国学会, 2017.10, 唐の詩人白居易(772~846)についての研究。特にその若き頃の科挙受験生時代の活動について、重点的に考察したもの。.
10. 静永 健, 站在禹域的角度来看日本古漢籍的特徴, 南京大学域外漢籍研究所第二届域外漢籍研究国際学術研討会, 2017.07.
11. 静永健, 中国から見た日本古旧漢籍――『文選集注』『白氏文集』を中心に――, 第294回中国文藝座談会, 2018.05, 日本に残る中世以前の漢籍文献資料について、その研究の意義や方法を論じたもの。主に中国の研究者および大学院生に向けて解説したもの。.
12. 静永 健, 王梵志詩集在日本, 日蔵漢籍研討会, 2016.12, 敦煌から発見された唐代の民間詩人王梵志の詩歌と、8世紀の詩人である杜甫、そして、日本の万葉歌人である山上憶良「貧窮問答歌」との関連性を論じる。.
13. 静永 健, 論山上憶良与杜甫詩的関係, 九州大学中国文藝座談会, 2016.11, 中国8世紀の詩人杜甫と万葉集の歌人山上憶良との意外な接点について考証した。.
14. 静永 健, 孫文の福岡訪問と九州大学の日中学術交流について, 孫文生誕150周年記念カンファレンス, 2016.10, 1913年の孫文の九州大学訪問と、その後の九州大学と中国の著名人たちとの交流の歴史を講演した。九州大学では、その開学当初より、「九州」という地縁や九州大学の個々の教員の人的ネットワークを駆使して、東京や関西地区に劣らない、ハイレベルな学術交流が行われてきたこと。特に中国や朝鮮半島などの頻繁な交流と交通の利便性を活かして、中国の思想家や研究者との交流が長年にわたって展開していることを紹介した。.
15. 静永 健, 敦煌学に学ぶ, 国文学資料館ワークショップ:近世日本の長崎・対馬・薩摩と対外交流, 2016.09, 20世紀初頭の敦煌文書発見とその研究開始における事実関係を再検討する。.
16. 静永 健, 目加田誠北平時代の写真について, 九州大学中国文藝座談会, 2016.07, このたび目加田家から寄贈・貸与を承けた70年前の中国の貴重な写真を紹介した。.
17. 静永 健, 目加田誠の人生と杜甫の詩情, 九州大学中国文藝座談会, 2016.07, 戦後の中国文学研究を牽引した目加田誠九州大学名誉教授の杜甫についての論著を通じて、その研究方法の特徴を同時代の吉川幸次郎らの研究と対比させながら論じた。.
18. 静永 健, 白楽天「江南遇天宝楽叟」は何時詠まれたか, 九州大学中国文藝座談会, 2014.07, 白居易の作品「江南遇天宝楽叟」詩の内容と、その製作年代について、従来の定説を再検討し、新たな解釈による新説を提案するものである。唐代の詩人に時折見られる“フィクション”の詩歌について、その独自な考察方法を討議しようとしたものである。.
19. 静永 健, 目加田誠先生『北平日記』について, 九州大学中国文藝座談会, 2014.02, 2013年に新たに発見された目加田誠の遺品『北平日記』について、その概要と、この日記の分析によって明らかになるものについての幾つかの見通しを整理して述べる。.
20. 静永 健, 近世日本《杜甫詩集》閲読史考, 中国《文心雕龍》学会第12回大会, 2013.09, 平安時代から明治に至る日本において、中国の詩人杜甫の詩がどのようなテクストで、どのような階層の人々に、そしてどのように読まれていたかをまとめたもの。.
21. 静永 健, 日本八至九世紀考古文献所見《文選》断簡考, 第十回中国文選学会, 2012.08, 日本の奈良~平安初期に書き写された『文選』に関する記述および木簡や漆紙文書等の断簡を整理し、中国の学会に初めて紹介し、その文学史上の意義を述べたものである。.
22. 静永 健, 白楽天、仏教徒になれなかった詩人, 中国社会文化学会, 2008.07.
23. 静永 健, 九世紀における杜甫詩集の伝播について, 日本中国学会, 2007.10.
24. 静永 健, 白楽天「琵琶行」の創作地点について, 全国漢文教育学会(第19回), 2003.06.
25. 静永 健, 古筆資料に拠る白氏文集の復原—旧鈔本「文集巻六十六」残巻を中心に—, 日本中国学会(第54回), 2002.10.
26. 静永 健, 道真詩の表現と中国語, 和漢比較文学会(第21回), 2002.09.
27. 静永 健, 白居易「琵琶行」は何時詠まれたか, 九州中国学会, 2001.05.
28. 静永 健, 「黄葉」が「紅葉」にかはるまで—平安日本漢詩と唐詩, 久留米大学東洋文化懇話会(第一回), 1999.07.
29. 静永 健, 白居易在江州編『詩集』十五巻の実態, 日本中国学会創立五十年記念大会, 1998.10.

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