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岩熊 成卓(いわくま まさたか) データ更新日:2016.04.27

教授 /  システム情報科学研究院 電気システム工学部門 エネルギー応用システム工学


大学院(学府)担当

学部担当

その他の教育研究施設名



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ホームページ
http://www.sc.kyushu-u.ac.jp/index-j.html
超伝導システム科学研究センターのホームページ .
取得学位
工学博士
専門分野
超伝導工学
活動概要
 超伝導技術の幅広い産業分野への応用を目指し、高温酸化物超伝導体の電磁特性の解明と定量的把握に努め、また、酸化物超伝導線材を用いる際の従来の金属系低温超伝導材料とは根本から異なる導体・巻線構成法の設計指針を提唱し、この電磁特性の評価・解明に取り組んでいる。これら研究の最初の成果として、1996年4月、世界に先駆け、Bi系超伝導線材を用いて液体窒素冷却方式の500kVA級酸化物超伝導変圧器の試作に成功、1998年10月には、NEDO、福岡県産業・科学技術振興財団、電力会社、重電メーカー、線材メーカーの支援を得て、県内の企業、学内の研究グループとともに地域コンソーシアムを結成し、1年半の要素技術開発の末、2000年3月に22kV/6.9kV-1000kVA超伝導変圧器の開発に成功し、2000年6月は九州電力の支援を得て国内初の実系統連系試験も実施した。その後、国プロとしての電力用66kV/6.9kV-2MVA超伝導変圧器の開発を支援し、2003年に試作器を完成、2005年には鉄道総研との共同研究として、新幹線車両搭載用25/1.2/0.4kV-4MVA超伝導変圧器を開発した。いずれも超伝導変圧器としては世界最大容量である。その後、次世代超伝導線材として日米欧主体で開発が進められているY系薄膜超伝導線材を用いた超伝導電気機器(変圧器、回転機等)の開発研究を、九州電力および(財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所との共同研究として開始した。2005年には、Y系超伝導線材の低交流損失化の手法を世界に先駆けて提唱し、多層コイル形状で交流損失の低減を実証した。これは日本におけるY系超伝導線材開発の欧米に対する優位性を担う根幹を成している。さらに、15kW超伝導固定界磁方式モーター、11kW超伝導回転界磁方式モーター、ネオンガスを冷媒とする2kWタービン膨張式冷凍機の開発等、世界初の快挙を成し遂げている。
 2008年度より始まったNEDO「イットリウム系超電導電力機器技術開発」プロジェクトでは、変圧器委員会委員長を務め、限流機能付き400kVA-6.9/2.3kVテスト変圧器を試作して短絡発電機を用いた突発短絡試験を実施し、最終的に20MVA-66/6.9kVの1/10モデル、2MVA-66/6.9kV器の試作を成功裏に主導した。
 また、2014年度からJST ALCA(先端的低炭素化技術開発事業)プログラムとして「REBCO全超伝導回転機の開発」が採択され、民間企業とともに、独自に提唱しているREBCO超伝導テープの低交流損失・大電流容量化技術を用いた全超伝導回転機の開発研究を推進している。
 電力応用以外でも、超伝導マグネットが発生する高磁界を一般産業界で手軽にしかも安価に活用できるように、九州電力との共同研究として、冷媒を必要としない冷凍機直接冷却方式の酸化物超伝導マグネットの開発にも取り組んでいる。すでに、連続的に1Tのパルス磁界を発生させる、すなわち磁界なしの状況から0.5秒で1Tの磁界を発生させるに至り、すぐにまたゼロ磁界まで0.5秒で戻る動作を繰り返すことが可能な試験装置を完成させ、現在、その特性評価を行いつつある。現在でもその磁界変化率は、連続パルス運転が可能な冷媒フリー超伝導マグネットとしては世界最速のものである。
 また、2013年度より、民間企業とともに経産省主導の「産業用超電導線材・機器技術研究組合」に九州大学として参画し、「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業 高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクト<共通基盤技術の研究開発>」を受託。MRIや癌治療用重粒子線加速器等、先端医療診断・治療システムの高温超電導化による小型・軽量化、高効率化、高性能化を目指した研究開発を進めた。
 一方、基礎的研究として、超伝導線材・導体の特性評価技術の向上にも努めている。超伝導線材・導体の交流損失測定には、その特殊性から、超伝導体の電磁現象に関する専門知識が要求され、定量的評価を行うには熟練を要する。国際的な交流損失測定法に関する標準化作業の一環として、測定法の定量性に関する検討を行うとともに、将来の市販化をも視野に入れて交流損失の自動測定装置の開発にも取り組んでいる。また、提唱したピックアップコイルを用いた交流損失測定法は、超伝導線材の交流損失測定法の世界標準として規格化されつつある。国際規格、国内規格を制定する場は、IEC/TC90(国際電気標準会議、第90専門委員会)超電導委員会 WG9(WG9:ピックアップコイル法、マグネットメータ法、交流損失測定試験方法)およびJIS規格委員会であり、長年、委員として活動してきたが、2013年度よりWG-9委員長に就任し、さらに高温超伝導線材を対処とする新たな規格の整備に努めている。

 これらの研究の実質上の担い手は大学院の学生であり、世界トップレベルの超伝導線材・導体の電磁現象の評価技術を習得し、またこれに基づいた超伝導応用の開発研究を通して自立的研究活動手法を体得し、超伝導技術の次代の担い手として、また、電気工学の分野において幅広い知識を有しあらゆる研究開発に挑むことができる高いポテンシャルを有した研究者として活躍できるよう指導している。

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