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荻島 正(おぎしま ただし) データ更新日:2019.06.18

准教授 /  理学研究院 化学部門 有機生物化学


主な研究テーマ
ノンシステミックステロイドの合成と機能解明
キーワード:ステロイド, 内分泌, パラクライン, シトクロムP450
2000.05.
シトクロムbおよび関連ヘムタンパク質の細胞内局在と機能解析
キーワード:シトクロムb5 ミトコンドリア外膜
2002.04.
蛋白質のミトコンドリアでの分解機構
キーワード:ヘム合成、ミトコンドリア蛋白質分解、プロテオリシス
2000.04.
研究業績
主要著書
1. 荻島 正, コレステロール代謝に関与する酵素活性測定法, 日本語, 蛋白質核酸酵素 31, 1572-1576, 1986.10, 従来の放射性基質を使った方法にくらべ、格段に安価かつ迅速で、しかも簡便な方法を開発した。.
2. 荻島 正, 11ーヒドロキシラーゼ, 東京化学同人, 新生化学実験講座 第9巻ホルモン(日本生化学会編)pp136-140、東京化学同人、1992, 1992.10.
3. K. Okuda, T. Ogishima, ang M. Noshiro, Cholesterol 7alpha-Hydroxylase and 12alpha-Hydroxylase., Springer-Verlag, Berlin, in Handbook of Experimental Pharmacology (J.B. Schenkman and H. Greim eds.), Vol. 105, pp. 601-610,, 1993.10.
4. 伊藤 明夫、荻島 正、北田 栄, ミトコンドリアタンパク質のプロセシング, 共立出版, 蛋白質 核酸 酵素(プロテオリシス)42、2362-2367、1997, 1997.06.
主要原著論文
1. Tadashi Ogishima, Andrea Vecchiola, Carlos F Lagos, Cristóbal A Fuentes, Fidel Allende, Carmen Campino, Carolina Valdivia, Alejandra Tapia-Castillo, Kuniaki Mukai, Gareth Owen, Sandra Solari, Cristian A Carvajal, Carlos E Fardella, Different effects of progesterone and estradiol on chimeric and wild type aldosterone synthase in vitro, Reproductive Biology and Endocrinology, 10.1186/1477-7827-11-76, 76, 1-11, 2013, 11:76, 2013.08, Our results show an inhibitory action of progesterone in the aldosterone synthesis by chimeric or wild type aldosterone synthase enzymes. This is a novel regulatory mechanism of progesterone action, which could be involved in protecting pregnant women with FH-1 against hypertension. In vitro, both enzymes showed comparable kinetic parameters, but ASWT was more strongly inhibited than ASCE..
2. Nishimoto,K., Nakagawa, K., Li, D., Kosaka, T., Oya, M., Mikami, S., Shibata, H., Itoh, H., Mitani, F., Yamazaki, T., Ogishima , T., Suematsu, M., & Mukai, M , Adrenocortical Zonation in Humans under Normal and Pathologic Conditions., J. Clin. Endocrinol. Metab, 95, 2296 - 2305, 2010.08.
3. Ogishima, T., Mitani, F., & Suematsu, M. , Cytochrome P-45017alpha in beta-cells of Rat Pancreas and its Local Steroidogenesis.
. , J. Steroid Biochem. Mol. Biol. , 110, in press
, 2008.07.
4. Yoshino, K., Munakata, H., Kuge, O., Ito, A., & Ogishima, T. , Heme-regulated Degradation of delta-Aminolevulinate Synthase 1 in Rat Liver Mitochondria.
, J. Biochem, 142, 453-467, 2007.09.
5. Nishino, T., Kitano, K., Kojima, K., Ogishima, T., Ito, A., and Kitada, S. , Spatial orientation of mitochondrial processing peptidase and a preproteinrevealed by fluorescencer esonance energy transfer., J. Biochem., 2007.06.
6. Fumiko Mitani, Tadashi Ogishima, Kuniaki Mukai and Makoto Suematsu, Ascorbate Stimulates Monooxygenase-dependent Steroidogenesis in Adrenal Zona Glomerulosa., Biochem. Biophys. Res. Commun., 10.1016/j.bbrc.2005.08.156, 338, 1, 483-490, 338, Issue 1, 2005.12.
7. Ogishima, T., Kinoshita, J., Mitani, F., Suematsu, M., & Ito, A., Identification of Outer Mitochondrial Membrane Cytochrome b5 as a Modulator for Androgen Synthesis in Leydig Cells., Journal of Biological Chemistry, 10.1074/jbc.M301698200, 278, 23, 21204-21211, 278, 21202-21211, 2003, 2003.07.
8. Kojima, K., Yamazaki, E., Kitada, S., Ogishima, T., & Ito, A., Recognition of Mitochondrial Protein Precursor Lacking Arginine at Position -2 by Mitochondrial Processing Peptidase., Journal of Biochemistry, 130, 4, 497-502, 130, 497-502, 2001, 2001.03.
9. Kojima, K., Kitada, S., Ogishima, T., & Ito, A.:, A Proposed Common Structure of Substrates Bound to Mitochondrial Processing Peptidase., Journal of Biological Chemistry, 10.1074/jbc.M003111200, 276, 3, 2115-2121, 276, 2115-2121, 2001, 2001.07.
10. Moriwaki, K., Ogishima,T., & Ito, A., Analysis of Recognition Elements for Mitochondrial Processing Peptidase Using Artificial Amino Acids., Journal of Biochemistry, 126, 5, 874-878, 276, 874-878,1999, 1999.05.
11. Shimokata, K., Kitada, S., Ogishima, T., & Ito, A., Role of a-Subunit of Mitochondrial Processing Peptidase in Substrate Recognition., Journal of Biological Chemistry, 10.1074/jbc.273.39.25158, 273, 39, 25158-25163, 273, 25158-25163, 1998, 1998.08.
12. Kojima, K., Kitada, S., Shimokata, K., Ogishima, T., & Ito, A., Cooperative Formation of a Substrate-Binding Pocket by a-and b-subunits of Mitochondrial Processing Peptidase., 英語, 10.1074/jbc.273.49.32542, 273, 49, 32542-32546, 273, 32542-32546, 1998, 1998.08.
13. Ogishima, T., Niidome, T., Shimokata, K., Kitada, S., & Ito, A.:, Analysis of Elements in the Substrate Required for Processing by Mitochondrial Processing Peptidase., J. Biol. Chem., 270, 51, 30322-30326, 270, 30322-30326, 1995.09.
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
1. 荻島 正, ステロイド代謝に及ぼす内分泌攪乱物質の影響., ホルモンと臨床『特集/内分泌攪乱とヒト内分泌系』, 47、1119-1125, 1999.10, ステロイド代謝の観点から内分泌攪乱物質問題に迫った.
2. 伊藤 明夫、荻島 正、北田 栄, ミトコンドリアタンパク質のプロセシングシング, 蛋白質核酸酵素, 42、2362-2367, 1997.10.
3. A. Ito, T. Ogishima, T., S. Kitada, K. Shimokata, M-C. Song, and K. Moriwaki., Recognition of Precursor Proteins by the Mitochondrial Processing Peptidase., Proteolysis in Cell Function, IOS Press, Amsterdam, vol. 13, pp. 332-339, 1997.11.
4. K. Okuda, T. Ogishima, ang M. Noshiro, Cholesterol 7alpha-Hydroxylase and 12alpha-Hydroxylase., Springer-Verlag, Vol. 105, pp. 601-610, 1993.06.
主要学会発表等
1. 荻島 正, 膵β細胞における非内分泌型ステロイドの合成とその役割, 第91回日本生化学学会, 2018.09, 特定の臓器のみで作られたステロイドホルモンが血流で全身に運ばれ、 特定の細胞の核内受容体と結合し、特定のタンパク質の発現を促進する ことは内分泌学の基本概念である。内分泌器官としての特質を決定して いるのは、合成に特化しているシトクロムP450分子種が臓器特異的に存 在し、ステロイドの種類を限定するからである。ところが、従来の内分 泌器官ではない細胞にもステロイド合成性シトクロムP450が見つかり、 非内分泌型ステロイド合成をおこなっていることが見つかった。膵臓β 細胞もそのひとつで、ほぼ全てのステロイド合成性シトクロムP450と脱 水素酵素および還元酵素が存在している。膵臓β細胞は膵臓の1%程度で、 これが合成するステロイドは血中で速やかに希釈され、即時に門脈から 肝臓に入り分解を受けるため、膵ステロイドはオートクラインまたはパ ラクライン的に自身の細胞か精々他の膵島(ランゲルハンス島)細胞に 作用していると考えられる。膵臓β細胞でのステロイド合成の意義を明 らかにするために、ラットβ細胞由来の樹立細胞株であるINS-1を用いて 膵ステロイドの機能解析をした。ステロイド添加や合成阻害は細胞形態 や生育等には顕著な影響を与えないが、Tapsigargin (Tg)により誘発さ せた小胞体ストレスが引き起こすINS-1の細胞死が、ステロイド17α水酸 化/リアーゼを阻害するAbiraterone (Ab)により増強された。Tg誘発性の 小胞体ストレスによる細胞死は転写因子であるCHOPにより仲介される が、Tgが誘導するCHOPの発現もAb添加により増強された。Abによる細胞 死の増強およびCHOP誘導増強はともにステロイド17α水酸化/リアーゼ (CYP17A)で阻害されうるコルチゾールの添加で緩和されることから、 CYP17Aで合成触媒されるステロイドが小胞体ストレス緩和に寄与するこ とが示唆された。INS-1細胞のステロイド合成はアロマターゼ阻害剤であ るLetrozole (LTZ)添加でコルチゾールが検出できた。アロマターゼはコ ルチゾール合成には関与しないので、LTZの効果はミクロソームの薬物代 謝性シトクロムP450による水酸化の阻害であると考えられた。そこで、 別の作用で薬物代謝を阻害するQuinidine をさらに培地に加えたとこ ろ、CYP17Aによって合成触媒されるテストステロンが検出された。INS-1 細胞をTG処理すると細胞死が誘発されるが、生き残った細胞はステロイ ドを合成し続けるするため、少なくとも膵ステロイドは小胞体ストレス 緩和かそこからの回復に必要なものと考えられる。内分泌型ステロイド 同様に、膵ステロイドも合成と分解(不活化)を受けるが、それは同一 細胞によってなされることが示唆された。.
2. 荻島 正、榎 剛史、樋口 貴大, 膵β細胞における非内分泌型ステロイドの産生と機能, 第90回日本生化学会大会, 2017.12.
3. 荻島 正, 樋口明弘, 堤 かおり, ストレス応答に関与する膵臓ノンシステミックステロイド, BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第 88回日本生化学会大会合同大会), 2015.12, 膵臓β細胞がステロイド合成シトクロムP450と関連する酸化還元酵素を発現し、ステロイドを合成することを我々は見い出している。β細胞ステロイドは、多数の合成酵素が存在するために、種々のステロイドが合成される可能性があること、全身に作用するのではなく、極微量が合成細胞もしくはその周辺細胞のみに効くノンシステミックステロイドであると考えられ、機能も従来(内分泌)型とは異なると予想される。膵臓ノンシステミックステロイドの機能を明らかにするために、ラットβ細胞由来の樹立株であるINS-1細胞を用いて、その効果を解析した。【結果】INS-1細胞は通常の培養条件ではほとんどステロイドを合成・分泌しない。しかし、小胞体ストレスを誘発することで2型糖尿病モデル作成に使われるThapsigargin (TG)を培地に添加すると、培地中にProgesterone (PROG)およびAndrostenedione (ANDO)の分泌が見られた。TGは数十ナノモル程度では急速な細胞死を引き起こさないものの、アンドロゲンおよびコルチゾール合成に必須な17α-水酸化/リアーゼを強力に阻害剤するAbiraterone (Ab)を培地に加えたところ、細胞は急速に死滅した。このとき、部分的ではあるがTestosteroneと17α-水酸化PROGとの混合物が細胞死を抑えた。PROGやアンドロゲンの単独添加では、少なくとも細胞の生育や維持には有意な効果が観察されなかった。高濃度(マイクロモル)のTGでは、細胞は24時間以内にほとんど死滅するが、一部が生き残る。そこで、生き残った細胞を繰り返し高濃度TG処理することにより、INS-1細胞集団のなかから、TG耐性細胞を選択した。TG耐性細胞はもとの細胞に比べ、ステロイド合成・分泌が有意に多いことが判明した。【考察】膵臓β細胞は、小胞体ストレスや酸化ストレスなど生死に関わる緊急時に、またはストレスによる損傷からの回復時に、内分泌系から独立した効果的なノンシステミックステロイドの合成をおこない、ストレスを緩和する、または回復を促進している可能性が示唆された。.
4. 荻島 正, 中村 祐貴, 堤かおり, 細胞ストレスに応答する膵島ノンシステミックステロイド, 第87回日本生化学会, 2014.10, 膵臓β細胞がステロイド合成に関与するシトクロムP450をはじめとする酵素群を発現し、種々のステロイドを合成することを我々は見い出している。β細胞のステロイドは、古典的内分泌細胞で作られる従来型のステロイド同様に、コレステロールから種々の水酸化および酸化還元を経て合成がなされ、その結果できたステロイドは極微量であるため、全身に作用するのではなく、合成細胞もしくはその周辺細胞のみに効く生理活性物質であると考えられる。そのようなステロイドを内分泌型と区別するために、ノンシステミックステロイドと呼んでいる。しかし、何故、グルコースセンサーを有し、本来インスリンを分泌することに特化しているβ細胞が血中のステロイドを使わずに、敢えて自前でそれらを合成するのかは、現時点ではほとんどわかっていない。そこで、ラットβ細胞由来の樹立株であるINS-1細胞を用いて、膵臓ステロイドの機能を調べた。培養液中に含まれるウシ胎児血清(FBS)中のステロイドの効果を排除するために、実験にはデキストラン被覆活性炭処理したFBSを用いた。【結果】INS-1細胞の生育・増殖は活性炭処理の有無に左右されず、細胞は培地中にProgesterone (PROG)およびAndrostenedioneを分泌した。なお、INS-1細胞には5α-還元酵素が多量に発現しているため、酵素活性阻害剤であるFinasterideを添加してHLPC/UVでステロイドを分離・検出している。ステロイドの添加では、少なくとも細胞の生育や維持には有意な効果が観察されなかった。糖尿病発生モデルに使われるβ細胞に小胞体ストレスを与えるThapsigargin (TG)は、数十ナノモル程度では急速な細胞死を引き起こさないものの、アンドロゲンおよびコルチゾール合成に必須の17α-水酸化/リアーゼの阻害剤であるAbiraterone (Ab)を培地に加えたところ、細胞がほとんど死滅した。このとき、Testosterone/17α-OH-PROGが部分的ではあるが細胞死を抑えた。TG添加はINS-1細胞のステロイド合成に関わるP450および水酸化ステロイド還元酵素のmRNAを劇的に変動させ、さらにAbもmRNAの変動に関与することが判明した。【考察】1型糖尿病モデルに使われるStreptozotocinでも同様の変化が見られることから、膵臓β細胞でのノンシステミックステロイド合成は、通常の細胞の生育や維持には必須ではないが、小胞体ストレスや酸化ストレスなどに抗するため、または生死に関わる緊急時に必要なため、ストレスに応じて合成酵素の発現を調節し、効果的なステロイドの合成をおこなっている可能性が示唆された。.
5. 荻島 正, 中村 祐貴, 原田 直樹, 樋口 明弘, 向井 邦晃, 三谷 芙美子, 末松 誠, 膵臓β細胞の機能維持に関わるノンシステミックステロイド, 日本生化学会, 2013.09, 従来からアンドロゲンによる糖尿病抑制効果に関する研究・報告例があるが、全てが血中由来のステロイドの作用を前提としているため、ステロイドに関連した治療や予防はもちろん、本格的基礎研究も皆無に近い。一方、膵臓β細胞がステロイド合成に関与するシトクロムP450をはじめとする酵素群を発現し、種々のステロイドを合成することを我々は見いだし、量的および合成場所的観点から、それらが自己または周辺内分泌細胞に局所的に作用するノンシステミックステロイドであると考えている。しかし、現時点では生理機能や合成制御に関してはほとんどわかっていない。そこで、β細胞由来の樹立株であるINS-1細胞を用いて、膵臓ステロイドの機能を調べた。INS-1細胞はポリスチレンプレートに定着し増殖するが、ゼラチンコートプレート上で培養すると、増殖停止、浮遊、集合化し、ランゲルハンス氏島(ラ氏島)と酷似した球状の細胞塊となる(疑似ラ氏島)。疑似ラ氏島はINS-1細胞が喪失したインスリンのグルコース応答を回復すると同時に、ステロイド産生も増加させた。INS-1細胞はストレプトゾトシン(STZ)抵抗性を示すが、疑似ラ氏島では感受性になり、細胞塊が小片化し一部崩壊する。このとき、アンドロゲンを大量に合成した。INS-1細胞は活性炭処理血清培地中では増殖できない。培地にジヒドロテストステロンまたはプレグレノロンを添加すると増殖し、コルチゾールでは増殖しないことから、INS-1細胞の増殖にはアンドロゲンが必須であり、エストロゲンは不要であることが判明した。β細胞は生体内では酸化ストレス以外にも小胞体ストレスに晒されており、単離ラットラ氏島にタプシガルギン(TG)を添加し、小胞体ストレスを惹起すると、ラ氏島の形態が崩れ、崩壊へと向かうが、アンドロゲンはこの作用を緩和した。このように、β細胞自身が作るステロイドは、自身の細胞の維持や障害防止に機能していることが見いだされ、膵臓が作り出すノンシステミックステロイドの姿が漸く見えてきた。.
6. 荻島 正, 上村修平, 樋口明弘, 向井邦晃, 三谷芙美子, 末松 誠, 膵臓局所ホルモンの合成と機能, 日本生化学会大会, 2012.12, 膵臓では、ステロイド合成に必要なシトクロムP450とP450還元酵素に加え、ステロイド酸化還元酵素がβ細胞に存在するが、これらは他のランゲルハンス島(ラ氏島)細胞には存在しない。β細胞で合成・分泌されたステロイドは、古典型、すなわち全身型とは異なり、自己または周辺内分泌細胞に局所的に作用すると考えられる。しかし、現時点では生理機能や合成制御に関してはほとんどわかっていない。ラット膵臓から単離したラ氏島は、初代培養下で内在性コレステロールから全く機能の異なるステロイドであるアンドロゲンと糖質コルチコイドを合成し培地に分泌する。同一細胞がアンドロゲンと糖質コルチコイドを同時に合成することは古典的ステロイド合成細胞では見られない特徴である。ラットβ細胞由来の樹立細胞(インスリノーマ)であるINS-1細胞はインスリン合成能は残しているがグルコース応答能をなくしている。この細胞は、ポリスチレンプレートには定着するが、ゼラチンコートプレート上では浮遊、集合化し、形態的にはラ氏島と酷似した球状の細胞塊となる(疑似ラ氏島)。定着性INS-1ではほとんどみられなかったステロイド合成が、疑似ラ氏島化させた細胞では有意にみられ、しかもその合成はcAMPにより増大した。β細胞のステロイド合成も、古典的ステロイド産生細胞同様にcAMP制御を受けているとみなされる。ラットの単離ラ氏島は培養後、速やかにステロイド合成を止める。これは、ステロイド合成に関与するシトクロムP450mRNA発現量の減少と一致する。また、マウスのラ氏島はラットと異なり単離後、急速に死滅する。アンドロゲンと糖質コルチコイドは少なくとも単離マウスラ氏島の生存率向上に寄与することが判明した。さらに、小胞体ストレスにより2型糖尿病を引き起こすタプシガルギンの単離ラットラ氏島への効果を、ステロイドが緩和することを見いだした。すでに明らかにしているように、2型糖尿病モデルラットであるZDF (Zucker Diabetic Fatty)のラ氏島では、ステロイド合成酵素量が対象に比べ減少している。ZDFラットにおける2型糖尿病発症の原因は、インスリン耐性を補償するために、過度のインスリン合成によるβ-細胞のストレス疲労によるとされている。本研究結果は、膵臓局所ステロイドが、β-細胞の品質維持に関わっていることを強く示唆するものである。.
7. 荻島 正、樋口明弘、山崎 岳、三谷芙美子、向井邦晃、末松 誠, β-細胞が作る膵臓局所ステロイド, 日本生化学会大会, 2011.11, β-細胞におけるステロイド合成酵素の発現とステロイド合成の変化およびステロイドの機能.
8. 荻島 正 上村 修平 弓削 達郎 久下 理 樋口明弘 伊藤香織 向井邦晃 三谷芙美子 末松 誠, 2型糖尿病モデルラットのランゲルハンス島におけるステロイド合成酵素の発現, 日本生化学会, 2010.12.
9. 荻島 正 上村 修平 向井邦晃 三谷芙美子 末松 誠, 2型糖尿病モデルラット副腎球状層におけるCYP17aの発現, 日本生化学会, 2010.12.
10. 吉野和寿、三谷芙美子、向井邦晃、末松 誠、宗綱栄二、山崎 岳、荻島 正, 膵臓β細胞におけるステロイド合成, 日本ステロイド学会, 2009.11, [URL].
11. 吉野和寿、三谷芙美子、向井邦晃、末松誠、宗綱栄二、山崎 岳、荻島 正, 膵臓β-細胞のシトクロムP450と局所ステロイド, 日本生化学会, 2009.10, [URL].
12. Kazuhisa Yoshino, Fumiko Mitani, Kuniaki Mukai, Makoto Suematsu, Eiji Munetsuna, Takeshi Yamazaki, and Tadashi Ogishima, Local steroidogenesis in pancreatic beta-cells, 16th International Conference on Cytochrome P450, 2009.06, [URL].
13. Kazuhisa Yoshimo, Eiji Munetsune, Takeshi Yamazaki, Fumiko Mitani, Kuniaki Mukai, Makoto Suematsu, Tadashi Ogishima, 膵臓β-細胞が産生する局所ステロイドの合成と機能, 日本生化学会・日本分子生物学会(BMB2008), 2008.12.
14. 荻島 正、吉野 和寿、三谷 芙美子、末松 誠、山崎 岳、宗綱 英二、小南 思朗, 膵臓β-細胞におけるアンドロゲン合成, 第30回日本分子生物学会・第80回日本生化学会合同大会, 2007.12.
15. Tadashi Ogishima, Fumiko Mitani, and Makoto Suematsu, Steroidogenic Cytochrome P-450’s in Pancreatic Beta-cells and their Local Steroidogenesis., The 15th International Conference on Cytochromes P450 - Biochemistry, Biophysics and Functional Genomics, 2007.06, [URL].
16. Tadashi Ogishima, Fumiko Mitani, and Makoto Suematsu, Functions of Outer Mitochondrial Membrane Cytochrome b (OMb) in Biosynthesis of Bioactive Lipids, 第79回日本生化学会大会, 2006.06.
17. Tadashi Ogishima, Fumiko Mitani, and Makoto Suematsu, EXPRESSION OF STEROIDOGENIC CYTOCHROME P-450’S AND THEIR STEROIDOGENESIS IN OTHER TISSUES THAN CLASSICAL ENDOCRINE GLANDS, Microsomes and Drug Oxidations 2006, 2006.09.
18. Ogishima T., Mitani F., & Suematsu M., Novel Physiological Roles of Outer Mitochondrial
Membrane Cytochrome b in Brain and Peripheral Glands., Microsomes and Drug Oxidations 2004, 2004.07.
19. Ogishima, T., Mitani, F., Suematsu, M., & Kawato, K., ミトコンドリア外膜シトクロム(OMb)は不飽和化反応電子伝達および ステロイド 合成活性化における真の因子か?, 第78回日本生化学会大会, 2005.10.
学会活動
所属学会名
日本内分泌学会
American Society for Biochemistry and Molecular Biology
日本生化学会
学会大会・会議・シンポジウム等における役割
2018.09.26~2018.09.26, 第91回日本生化学会大会「ノンシステミックおよ びシステミックステロイドの新展開 から「ステロイドホルモン」の包括 的理解へ, オーガナイズ、発表、座長.
2016.12.02~2015.12.04, BMB2015, 座長(Chairmanship).
2013.09.11~2013.09.13, 第86回日本生化学会大会, 座長(Chairmanship).
2011.09.21~2012.09.24, 第85回日本生化学会大会, 司会(Moderator).
2009.10.21~2009.10.24, 第82回日本生化学会大会, 座長(Chairmanship).
2007.12.15~2007.12.19, 第30回日本分子生物学会・第80回日本生化学会合同大会, 座長(Chairmanship).
2015.12.04~2015.12.04, 既成概念を超えるステロイドの世界, ワークショップオーガナイズ.
2013.09.10~2013.09.13, 第86回日本生化学会大会, シンポジウム、”内分泌からノンシステミックステロイドへ”オーガナイザー.
2011.11.19~2011.11.24, 第84回日本生化学会大会, ステロイド研究の新展開シンポジウム主催.
2010.12~2010.12.13, 第83回日本生化学会大会, 電子伝達系セッション口頭発表.
2009.11.14~2009.11.14, 第17回日本ステロイドホルモン学会学術集会, 招待講演.
2009.10.21~2009.10.24, 第82回日本生化学会シンポジウム「シトクロムP450 と医療との接点」, シンポジウムオーガナイズと発表.
2007.12.15~2007.12.19, 第30回日本分子生物学会・第80回日本生化学会合同大会, ワークショップ企画開催.
学術論文等の審査
年度 外国語雑誌査読論文数 日本語雑誌査読論文数 国際会議録査読論文数 国内会議録査読論文数 合計
2004年度      
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2018年度~2020年度, 基盤研究(C), 代表, 膵β細胞による非内分泌型ステロイド合成の機能解明.
2018年度~2020年度, 基盤研究(C), 代表, ストレス応答に関与する膵β細胞のステロイド合成.
2014年度~2016年度, 基盤研究(C), 分担, 構成的アルドステロン産生に着目した副腎皮質リモデリングの分子機構.

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