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北山 修(きたやま おさむ) データ更新日:2009.8.18

名誉教授 /  人間環境学研究院 人間科学部門 臨床心理学


大学院(学府)担当

学部担当

医学部 医学科社会医学 医療コミュニケーション

その他の教育研究施設名

役職名

人間環境学府人間共生システム専攻長


FAX番号
092-642-3137
取得学位
医学博士
専門分野
精神分析学
活動概要
 文明が発達し社会生活が複雑になることと並行して日常的なストレスが増加するため,不眠,頭痛,無気力など慢性的な神経症症状を抱える現代人は多い。ところが共同体員の「つながり」が希薄となって,従来の心理的相互援助のシステムが有効に機能しなくなり,「心の専門家」の必要性が急速に高まっている。
 本研究室では,精神分析学を中心的な視点にすえた臨床心理学と精神療法学を目指す。それは臨床的面接,スーパーヴィジョン,講義,研究という,治療面接を行うための基本的臨床教育の一端を担うことを目論むものである。そして同時に,普通の人々が忘れてしまっているような,そして気がつかない心の在り方,さらに狂った心の可能性に触れることができればと,願っている。
 関心の中心はS.フロイトの創始した精神分析学である。これを日本で実践するにあたり,最大の課題は日本文化への適応であり,それに伴う困難の解決である。精神分析は心の問題を言葉で取り扱うことを一定の目標としているので,概念術語の適切な翻訳を行うこととともに,日本語による臨床での言語化の意義を考えることが必要である。そのような研究姿勢・治療姿勢を「日本語臨床」と呼んで,臨床経験を積み重ね,「研究会」を運営して組織だった意見交換を行うことを目指している。
 さらに,精神分析学の日本への紹介を行う中で,英国の精神分析家D.ウイニコットの多くの著作を翻訳して,これを批判的に検討している。また,その児童と重症患者に対しての治療技法を生かしていくことも課題である。
 神話や昔話,絵画に現れた無意識的な思考や心理的側面も研究対象である。「夕鶴」や「鶴の恩返し」などの異類婚姻説話に登場する女性主人公の検討から,「自虐的世話役」というキャラクターを取り出し,面倒見の良さと苦労性,自虐性などの特徴を合わせ持つことを見い出した。さらに,鬱病や心身症の臨床のなかで,これを取り扱って治療の眼目とすることを提案している。また,当教室では文化遺産の中から母子像の収集,分類と統計的処理も行っている。そして,実際の母子関係と乳幼児の観察を行い,早期の育児とパーソナリティ形成の研究やビデオや直接観察によるデータの国際比較を行っている。
 教育面では,フロイトの著作などを読みこなして,精神分析概念の基本的理解を深めることを課題としている。大学院レベルでは,その臨床的な面での応用が基本であるが,その前に臨床家としての基本を医学心理学的側面から学べるよう配慮している。
 社会的には,病院実習が一番の連携活動である。毎年夏に,近隣の精神病院において大学院生がベッドサイドチーティングを受けている。さらに国際精神分析協会日本支部の配下にある精神分析インスティチュート福岡支部の教育研修に協力することで,精神分析家育成を促進している。

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