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野々村 淑子(ののむら としこ) データ更新日:2023.11.13

教授 /  人間環境学研究院 教育学部門 教育社会計画学


主な研究テーマ
研究テーマは、以下の通りである。

1.(欧米における)子どもの養育責任主体としての家族の成立過程に関する研究
2.(欧米における)「産み育てる身体」像の構築と子育てに関する歴史研究
3.16-18世紀イングランドの児童救済事業および施設をめぐる産育・養育実態の研究

キーワード:母役割、親子関係、子育て、性差、歴史
1997.10.
従事しているプロジェクト研究
18世紀イギリスにおける医療救貧事業にみる子どもと家族
2020.06~2020.06.
クライスト・ホスピタルの研究
2011.04
英国初の孤児院(孤児・棄児・貧困児救済施設)であるロンドンのクライスト・ホスピタルの児童受入、管理、運営等により、近代初期イングランドにおける子どもの養育をめぐる諸関係を探る。18世紀以降における貧困児救済の展開のなかで、子どもの養育主体としての家族像が成立していくことは周知のことであるが、それ以前の時期、エリザベス救貧法の前史的な位置にあるこの施設をめぐる動きを追うことによって、子どもの養育を支える諸関係がいかにまなざされ、前提とされていたのか、それが、どのように変化を遂げていくのか、を明らかにする。.
近代初期英国の女性と教育の関係構造に関する基礎研究:コンダクトブックを史料として
2003.04~2004.03, 代表者:野々村淑子, 科学研究費補助金 若手研究(B)
近代教育の歴史において、女性は一方で男性との平等を希求する存在として、他方では子育て役割について男性よりも適性を有している存在として語られてきた。即ち、研究史においてさえも、対立したイメージを二つながら抱え込みつつ進められてきたのである。本研究は、こうした矛盾の創出過程とその構造を明らかにすることによって、教育史研究が前提としてきた性差のイメージを歴史的に解明することを目的としている。.
近代初期英米における「産み育てる身体」の成立過程に関する基礎研究
2005.04, 科学研究費補助金 基盤研究(C)
《女性は「産み育てる身体」をもつ存在である》という認識は、現代の性差概念を構成する要素のなかで最も根強いといえる。本研究は、このような認識が成立する一過程を、17世紀英米で多くの人々に支持された女性預言者の言動、それに対する社会の反応を通して明らかにする。近代以前の西欧では、男女を問わず、人間の身体(ミクロコスモス)は、世界の円環的秩序(マクロコスモス)との呼応関係にあるという観方が支配的であった。そのため、現在私たちが生物学的性差(ジェンダーに対するセックス)と捉えるような要素をそこから区分することは不可能だった。身体の形態的・機能的差異を、個々の人間の性差アイデンティティの最小単位として捉えるような性差観や身体観が出現するのは、近代初期以後である。この新しい人間観が、人文主義者や医者等によって徐々に形成されつつあるなかで、人々を魅了した預言において重要な象徴となる身体はどう表現されたのか、出産や養育など現代では女性に身体に即したものとされる機能はいかに語られたのか、またそのことはどのような意味をもったのか、を明らかにする。.
研究業績
主要著書
1. 土屋敦、野々村淑子編著, 医学が子どもを見出すとき—孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史, 勁草書房, 2023.07.
2. 野々村淑子, 「「救済されるべき子ども」の発見――一六世紀英国における貧民救済の再編と孤児院」土屋敦・野々村淑子編著『孤児と救済のエポック――十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(勁草書房、2019年、第一章), 勁草書房, 19~72頁, 2019.02.
3. 野々村淑子, 「家族による子どもの健康管理のはじまり――イギリス初の貧困児向け無料診療所(一七六九~一七八二)」小山静子・小玉亮子編、比較家族史学会監修『家族研究の最前線③ 子どもと教育――近代家族というアリーナ』(日本経済評論社、2018年、第二章), 日本経済評論社, 41~68頁, 2018.12.
主要原著論文
1. 野々村淑子, 18世紀ロンドンの在宅出産チャリティにみる家族モラル, 大学院教育学研究紀要, 第23号(通巻第66集), 1-18, 2021.06.
2. 野々村 淑子, 18世紀ロンドンの無料診療所(1769~)による貧困児の生の発見ー育児の科学化をめぐる社会関係の変容ー, 九州大学教育基礎学研究会, 13, 59-71, 2016.03.
3. 野々村 淑子, 16世紀中葉ロンドンの孤児・貧困児の養育委託-クライスト・ホスピタル(Christ's Hospital)初期記録より-, 九州大学大学院教育学研究紀要, 2013.03, イギリス最古の孤児・貧困児救済施設であるロンドンのクライスト・ホスピタルの受入れ記録より、院外に養育委託された事例の分析により、そこで展開された養育委託の実態に迫った。.
4. 野々村 淑子, 18世紀イギリスにおける貧困児の生と秩序-ワークハウス設立運動にみる労働・教育・家族-, 九州大学大学院教育学研究紀要, 通巻61集, 18, 41-55, 2016.03.
5. 野々村淑子, ジェンダー研究の現状と課題−ジェンダー概念の有効性への疑義とその歴史化をめぐって−, 部落解放史 ふくおか, 117号, 2005.03.
6. 野々村淑子, 歴史のなかの教育とジェンダー 〜「いかに生きるか」という問いの系譜と性差〜, 言語文化叢書, 第15巻, 2005.03.
7. 野々村淑子, 17世紀中葉イングランドの女性預言者のコスモロジー-第五王国派アナ・トラプネルを中心に-, 西洋史学論集, 第46号、1-19頁, 2008.12.
8. 野々村淑子, 近代初期英国の身体観と母親像の転回 —エラスムス『新しい母』英訳版を中心に—, 教育基礎学研究, 第2号, 2005.03.
9. 野々村淑子, 19世紀アメリカの家庭教育書と男女の領分−S.G.グッドリッチ『炉辺の教育』(1838)に描かれた子どもへのまなざし, 九州大学教育学部紀要(教育学部門), 43号、31−43頁, 1998.02.
10. 野々村淑子, 16世紀中葉ロンドンの孤児・貧困児救済-クライスト・ホスピタル(Christ's Hospital)初期記録より-, 九州大学大学院教育学研究紀要 , 14(通巻57), 125-140, 2012.03.
11. 野々村淑子, 19世紀アメリカにおける女による<母>礼賛言説と<教育>−リディア・ハントリー・シガニー『母への手紙』(1838)をめぐって, 九州大学大学院教育学研究紀要, 創刊号(通巻第44集)、135-157頁, 1999.02.
12. 野々村淑子, 19世紀アメリカの「母」言説:不在とその効用−キャサリン・ビーチャー『母と教育者としての女性の専門職:女性参政権に対する反対意見に添えて』(1872)をめぐって, 九州大学大学院教育学研究紀要, 第3号(通巻第46集)、79-105頁, 2001.02.
13. 野々村淑子, アメリカにおける近代的「母」の「成立」とパラドックス−「愛」・「自己統治」・「女」, 九州大学大学院教育学研究紀要, 第4号(通巻第47集)、103-123頁, 2002.02.
14. 野々村淑子, 近代初期英国における母親像の転回と教育−研究課題の整理のために, 九州大学大学院教育学研究紀要, 第6号(通巻第49集), 2004.02.
15. 野々村淑子, 近代初期英国の霊性と母親像の転回 — D.レイ『母の祝福』(1616 )を中心に—, 九州大学大学院教育学研究紀要, 第7号(通巻第50集), 2005.02.
16. 野々村淑子, 17世紀中葉の英国における女性の説教-教えること-とコスモロジーの攪乱 -女性説教者批判パンフレットを中心に-, 九州大学大学院教育学研究紀要, 第9号(通巻第52集), 2007.03.
17. 野々村淑子, 17世紀イングランドにおける女教師/治癒者の世界
-アン・ボーデンハムの魔女裁判関係史料(1653)から-, 九州大学大学院教育学研究紀要, 第10号(通巻53号), 2008.03.
18. 野々村 淑子, 16世紀ロンドンにおける貧困児教育発明の社会的文脈‐クライスト・ホスピタル設立時のR.グラフトンをめぐる諸関係から, 九州大学大学院教育学研究紀要, 通巻59集, 16号, 19-36, 2014.03.
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
1. 野々村淑子, 書評:『<母>を問う——母の比較文化史』(高田京比子・三成美保・長志珠絵編、神戸大学出版会、2021年), 女性とジェンダーの歴史 第10号、イギリス女性史研究会, 2023.03.
2. 野々村淑子, 「現代世界の児童労働問題にも連動する、産業革命期イギリスの児童労働研究――数量的方法と質的方法の両方を用いて分析」 (ジェーン・ハンフリーズ著『イギリス産業革命期の子どもと労働——労働者の自伝から』法政大学出版局、2022年 書評), 図書新聞 第3557号, 2022.09.
3. 野々村淑子, 「中産階級男性の生き方の内実を暴く――家族、子ども、ジェンダーに関する古典的研究として評価の高い書」
(L.ダヴィドフ/C.ホール『家族の命運--イングランド中産階級の男と女 1780~1850』名古屋大学出版会、2019年 書評)
, 図書新聞 3427号, 2019.12.
4. 野々村 淑子, (事典項目執筆)「育児書・育児雑誌」「育児不安」「育児サークル」「家庭教師」
, 『現代家族ペディア』弘文堂, 2015.11.
主要学会発表等
学会活動
所属学会名
社会事業史学会
九州教育学会
比較家族史学会
教育史学会
日本教育学会
学協会役員等への就任
2022.09~2024.09, 教育史学会, 理事.
2019.08~2021.08, 日本教育学会, 理事.
2019.10~2021.09, 九州教育学会, 理事.
2017.09~2019.08, 日本教育学会, 理事.
2004.04, 九州教育学会, 事務局長.
2005.11, 九州教育学会, 理事.
2011.10~2013.09, 九州教育学会, 理事.
2013.11~2015.11, 九州教育学会, 理事.
2017.10~2019.10, 九州教育学会, 理事.
2016.10~2018.09, 教育史学会, 理事.
学会大会・会議・シンポジウム等における役割
2023.06.24~2023.05.25, 比較家族史学会, コメンテーター.
2003.11, 九州教育学会, 総合部会提案者.
2013.11~2014.08.24, 日本教育学会第73回大会(九州大学), 大会実行委員会副委員長、実行小委員会(総務).
2014.04.14~2014.03.14, 「孤児院ー子どもと社会が交わる場所の史的源流ー」 主催:平成25年度岡山大学文学部プロジェクト研究「貧困・死に相対する宗教者・思想家と社会的コンテクスト」, シンポジスト(報告者).
2003.11, 九州教育学会, 総合部会提案者(シンポジスト).
学会誌・雑誌・著書の編集への参加状況
2022.09~2024.09, 日本の教育史学, 国内, 書評委員.
2022.09~2024.09, 日本の教育史学, 国内, 編集委員.
2018.10~2020.09, 日本の教育史学, 国内, 編集委員.
2014.10~2016.10, 日本の教育史学, 国内, 編集委員.
2013.11~2015.11, 九州教育学会紀要, 国内, 編集委員長.
2009.10~2011.09, 日本の教育史学 (教育史学会紀要), 国内, 編集委員.
2007.11~2009.10, 九州教育学会研究紀要, 国内, 編集委員.
2005.11~2007.10, 九州教育学会研究紀要, 国内, 編集委員.
学術論文等の審査
年度 外国語雑誌査読論文数 日本語雑誌査読論文数 国際会議録査読論文数 国内会議録査読論文数 合計
2020年度      
2019年度      
2015年度      
2015年度   10      10 
2014年度      
2013年度      
2012年度      
2011年度      
2010年度      
2009年度      
2008年度      
2007年度      
2006年度      
その他の研究活動
海外渡航状況, 海外での教育研究歴
ロンドン・ウェストミンスター教区史料館, UnitedKingdom, 2016.08~2016.08.
ギルド・ホール・ライブラリー(ロンドン), 大英図書館, UnitedKingdom, 2012.08~2012.08.
ギルドホール・ライブラリー(ロンドン), 大英図書館(ロンドン), UnitedKingdom, 2011.08~2011.08.
大英図書館, UnitedKingdom, 2006.08~2006.08.
大英図書館, UnitedKingdom, 2003.08~2003.08.
カルフォルニア大学バークレイ校, UnitedStatesofAmerica, 2000.03~2001.01.
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2022年度~2024年度, 基盤研究(C), 代表, 胎児の養育環境としての女の身体の成立過程:18世紀イギリスの助産知の科学化.
2015年度~2017年度, 基盤研究(C), 代表, 18世紀イギリス貧困児救済医療化過程にみる「産み育てる身体」の科学化に関する研究.
2011年度~2013年度, 基盤研究(C), 代表, クライスト・ホスピタルの児童救済活動にみる近世ロンドンの養育と家族.
2003年度~2004年度, 若手研究(B), 代表, 近代初期英国の女性と教育の関係構造に関する基礎研究:コンダクトブックを史料として.
2005年度~2008年度, 基盤研究(C), 代表, 近代初期英米における「産み育てる身体」の成立過程に関する基礎研究.
2019年度~2021年度, 基盤研究(C), 代表, 18世紀英国救貧事業の貧困児の生命・健康への配慮にみる家族・性差規範の形成.

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