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巌佐 庸(いわさ よう) データ更新日:2016.06.05

教授 /  理学研究院 生物科学部門 動態生物学


大学院(学府)担当

学部担当

役職名

高等研究院長


電子メール
ホームページ
http://bio-math10.biology.kyushu-u.ac.jp/~iwasa/
巌佐 庸のホームページ
数理生物学とは?
履歴書、論文リスト、など .
電話番号
092-802-4296
取得学位
理学博士(京都大学)
専門分野
数理生物学
活動概要
 数理生物学の研究および教育。

数理生物学とは・・・
 生命というのは,非常に多数の化学反応が秩序正しく組合わさったシステムである。具体的にどのような分子がかかわっているのかはそれほど気にしないで,むしろ機能やダイナミックス,要素の組み合わせなどから理解する,システムの本質的側面を数理モデルとして表現し,数式や計算機シミュレーションによって生命をとらえる、そのような試みが、数理生物学である。

私自身の研究・・・
 私自身は、大学院時代から生態学、動物行動学を中心とした理論的研究を行なってきた。工学で発展してきた最適制御理論や経済学の基礎としてのゲーム理論などにもとづいて生命現象の解析を行なってきた。
 その後、森林動態、種多様性、野外集団の絶滅などの話題から、有性生殖の進化、発生における生物の形態形成過程やゲノム刷込みの進化などについても研究をすすめてきた。
 近年は、人の行動選択の動態と生態系動態を数理的に組み合わせた、社会生態結合系の研究にもとづいた環境問題に対する新しいアプローチを進めている。他方で、遺伝子ネットワークをもとに生物がどのように環境適応や進化をするかを追跡することで分子生物学と進化生態学をつなぐ道を探っている。
 現在のところ、次のテーマを中心として研究を進めている。
(1)動植物のダイナミックスの空間構造の研究:生態学ではこれまで空間的配置は無視して数の動態だけを微分方程式で追跡するというモデルが使われてきた。しかし生物は野外では混ざり合ってはいないで、集中的パターンを形成する傾向がある。これを格子モデルによって解析することを進めてきた。その結果として種の共存、進化や競争の結果などに大きな影響があることがわかった。
(2)生物の集団が野外で絶滅にいたるリスクを評価し、生息地の縮小、遺伝的劣化、有害化学物質の暴露などの影響を見積もる方法を確立する。加えて、島状の生息地が孤立したときに種数が減少するプロセスに関する新しい公式を導き、保全生態学に寄与している。
(3)ゲノム刷込みの進化:マウスやヒトの胚の遺伝子には、父親由来と母親由来のアレルのうち一方だけが発現するものが知られるようになった。これは同じ胚の中の遺伝子間での利害対立の結果としての説明(コンフリクト説)があるが、これを遺伝モデルによってはじめて数理的に基礎付けた。
(4)配偶者選択の進化:クジャクの雄は美しい尾をもつが、それはクジャクの雌が引き付けられるために進化したシグナルである。このような実用的には直接役立つとは思えないものが、進化するための機構について、量的遺伝学モデルに基づいた理論的研究を進めてきた)。Andrew Pomiankowskiとの共同研究は10年以上継続しており、量的遺伝学モデルでハンディキャップの原理をはじめて基礎づけた、フィッシャー流の機構では次々と入れ替わる進化的ファッションが生じることを証明する、などの成果をあげた。
(5)発生における形態形成のプロセスについて、シミュレータの作成、反応拡散系やセルラポッツモデルをはじめとする様々なモデリングの展開,具体的には脊椎動物の肢芽形成、腎臓等の枝分かれ形態の形成、植物の葉脈パターン、をはじめとするさまざまな対象について迫っている。変動する環境の元で発生が進むようにロバストな制御が行われていることを数理的に特定する方法を開発した。
(6)免疫系をコストベネフィットにもとづいたデザインと考えた解析を行なう。また外来抗原と自己抗原の見極めのミスから生じる自己免役病をおさえるための制御性T細胞やアナジーなどの現象の数理的解析を初めておこなった。
(7)発ガン過程を確率過程にもとづいて解析し、染色体不安定や組織構造の効果を特定した。白血病の特効薬に対する薬剤耐性の出現過程をとりあつかう手法を開発した。
(8)社会科学を生態系の管理に取り込むことを試みている。熱帯林の違法伐採と汚職のモデル、モンゴル草原の放牧地の選択と振動、マイクロファイナンスの安定性、などである。

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