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川畑 俊一郎(かわばた しゅんいちろう) データ更新日:2017.02.14

教授 /  理学研究院 生物科学部門 統合生物学大講座 生体高分子学研究室


大学院(学府)担当

学部担当

役職名

理学研究院 副研究院長


電子メール
ホームページ
http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~biopoly/
九州大学 生体高分子学研究室 ウェブサイト .
http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/%7Ebiopoly/drosophila
平成21-22年度 九州大学教育研究プログラム・研究拠点形成プロジェクト「無脊椎動物の総称治癒、および腸内での感染微生物認識の分子機構の解明 .
http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/%7Ebiopoly/
無脊椎動物の自然免疫の分子機構 .
取得学位
理学博士
専門分野
生化学、タンパク質科学、比較免疫学、細胞生化学、細胞内情報伝達
活動概要
 無脊椎動物の自然免疫の分子基盤の研究:無脊椎動物の生体防御系には、脊椎動物にみられる獲得免疫は存在せず、自然免疫と呼ばれる生物にとって基本的な生体防御反応がその主役である。脊椎動物においても細菌感染時の初期に関与するレクチンや抗菌性蛋白質が見い出されており、自然免疫の種を超えた重要性が指摘されている。カブトガニの体液中には、機能的には哺乳類のマクロファージや血小板に相当する顆粒細胞があって、リポ多糖 (LPS)に鋭敏に反応し、体液の凝固を引き起こす。この反応は単に体液の流出を防ぐだけでなく、侵入する細菌に対する重要な生体防御反応のひとつである。抗菌活性や、細菌凝集活性などを示標に、自然免疫に関連する蛋白質を血漿や血球より精製し、その構造解析を行った。その結果、種々のプロテアーゼインヒビターや、抗菌蛋白質、異物認識蛋白質としてのレクチンを見い出した。それらの一次構造を世界に先駆けて明らかにするとともに、共同研究によりX線結晶構造解析やNMRによる構造解析を行い、非自己認識におけるパターン認識の分子基盤を解明してきた。また、精製した抗菌蛋白質すべてが、キチンに特異的に結合することを発見した。キチンは、糸状菌の細胞壁の主要な構造多糖体であり、抗菌物質として作用する際のひとつの標的物質と考えられる。最近になって、カブトガニのヘモシアニンが凝固酵素と複合体を形成し、フェノール酸化酵素に機能変換することも見い出した。フェノール酸化酵素は、節足動物の自然免疫において重要な働きをする酵素のひとつである。今後、生体防御因子の構造を三次元的に理解しつつ無脊椎動物の自然免疫の分子機構を解明したい。
 最近、ショウジョウバエの分子生物学を駆使して、腸管における常在細菌との共生を可能にしている分子機構を解析を進めている。腸管での宿主と常在細菌とのクロストークについては不明な点が多く、常在細菌に対する免疫寛容の機構を中心に解明したい。
 自然免疫に関係するパターン認識受容体とリガンド複合体の立体構造解析は今だ報告はなく、さらにカブトガニの系を用いた自然免疫研究は、世界的にみても本研究グループの独壇場であり、ここで紹介している研究の独創性と新規性は非常に高いものと考える。今後の研究成果は、無脊椎動物の生体防御機構の理解を促すだけでなく、そこから生物に普遍的な生体防御システムを見い出し得ることを確信している。なぜなら、自然免疫の本質が、自己と非自己の識別という多細胞生物に共通した反応を基礎としているからである。本研究は、パターン認識という魅惑的な概念に潜む本質の解明に多大な貢献をすることが期待される。

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