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今野 拓也(こんの たくや) データ更新日:2019.06.26

准教授 /  数理学研究院 数学部門


大学院(学府)担当

学部担当



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取得学位
博士(数理科学)
専門分野
整数論、保型形式論
活動概要
保型形式の整数論的研究を行っている。Langlands のプログラムによれば、保型形式と
motivic なガロワ表現の間に種々の数論的構造と整合するような対応があるはずであり、
特にそれらの一部が志村多様体を仲立ちにして確立できると期待される。この志村多様体
の数論幾何へのテータ級数などから得られる、いわゆる singular 保型形式たちの寄与が
興味の中心である。この中には数論幾何の問題と、簡約アデール群上の調和解析の問題が
混在しているが、目下のところは調和解析(表現論)の方面の研究をしている。このよう
な表現論の研究は未だ歴史が浅く、まず行うべきは低次の群の場合に、単純だが起こるで
あろう全ての現象を典型的に備えた例を記述することである。そのために次の3つのテー
マを考察している。
1. Arthur-Selberg 跡公式の整備;
2. p-進体上の簡約群の表現論;
3. Endoscopy。
Endoscopy は共役類の間に関連のあるいくつかの群の間に、跡公式により保型形式の
リフトの系統的な族を構成するものである。その際にはまず、それらの群上の類超函数
の間の等式である transfer 予想が必要である。私は井草による p-進多様体上の積分
の漸近挙動の理論を用いて、Sp(2) とその endoscopic 群たちに対してこの予想を
証明した。その後この予想を Lie 環に対する類似の予想に帰着するなど数々の進展
があったが、一般には未だ未解決のままである。現在はこの予想と概均質ベクトル
空間のゼータ函数との関連について調べている。

この endoscopy に必要な Arthur-Selberg 跡公式とは、Selberg 跡公式の非等方的
でない簡約群への拡張である。従ってその適用には、まずそれへの放物型部分群たちか
らの寄与を記述しなくてはならない。80 年代末に完成した Langlands-Shahidi 理論
により、放物型部分群の generic と呼ばれる表現たちの Plancherel 測度の記述が可
能になった。これを用いて Sp(2) と U(2,2) の場合に放物型部分群たちから
の寄与として現れる保型形式の記述を得た。

しかしこれらの結果を他の場合に拡張するには generic でない表現に対しても
Langlands-Shahidi 理論が必要である。特に同一の保型 L-因子を持つ表現たちの中
に少なくとも一つは generic なものがあるという、generic パケット予想が基本的であ
る。そこで放物型部分群に対して endoscopic リフトの存在を仮定して generic パケッ
ト予想を証明した。これにより U(3,2) やより高次の群に対してもこれらの結果を拡張
する枠組みを構成するのが今後の課題である。

また U(2,2) には放物型部分群からの寄与に近い性質を持つカスプ形式が存在する。
そのようなカスプ形式の表現論的な記述や、そうして得られたカスプ形式の周期の計算
がここ数年の主要な研究テーマになっている。

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