九州大学 研究者情報
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中別府 雄作(なかべっぷ ゆうさく) データ更新日:2019.06.24

教授 /  生体防御医学研究所 個体機能制御学部門 脳機能制御学分野


社会貢献・国際連携
社会貢献・国際連携活動概要
平成10年度〜15年度
 科学技術振興事業団 戦略的基礎研究推進事業(CREST)「脳を守る」
国内, 国際政策形成, 及び学術振興等への寄与活動
2016.04~2020.03, 酵素学研究拠点 公募共同研究、研究集会の審査、選考, 徳島大学先端酵素学研究所共同研究委員会.

2013.04~2013.12, 外部委員として教員活動評価をおこなう., 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 教員活動評価専門委員会外部委員.

2010.01~2019.12, 生体内における酸化還元反応が、生命の誕生、分化、健康、疾病、老化などに対して鍵を握る中心的な役割を果たしていることが基礎、応用両面の研究から明らかになりつつある。本委員会は、このように生命現象の中枢の鍵を握っている酸化還元現象-これをレドックスという-を分子レベル、素反応レベルから研究する基礎分野と、臨床医学、機能性食品まで含めた応用分野の研究者、さらには産業界の技術者が協同して研究し、情報交換する場を設け、基礎科学、技術開発の発展、新産業の創成を図ることを目的としている。 本委員会の委員として参加。, 日本学術振興会レドックス・ライフイノベーション第170委員会.

2008.07~2013.03, 総括班の研究協力者として当該研究領域の外部評価にあたる, 文部科学省科学研究費補助金 「新学術領域研究」 「活性酸素のシグナル伝達機能」総括班 .

2001.01~2002.12, 大阪大学タンパク質研究所の共同研究に関する事項を審議する, 大阪大学タンパク質研究所専門委員会委員.

2003.01~2009.12, 官学委員としてレドックス生命科学領域の産学連携を進めている, 日本学術振興会レドックス生命科学第170委員会.

文部科学省, 日本学術振興会等による事業の審査委員等就任状況
2016.12~2017.11, 科学研究費委員会専門委員, 日本学術振興会.

2015.12~2016.11, 科学研究費委員会専門委員, 日本学術振興会.

2012.04~2015.03, 専門研究員, 独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター.

2009.08~2010.07, 特別研究員等審査会専門委員及び国際事業委員会書面審査委員, 独立行政法人日本学術振興会.

2008.12~2009.11, 科学研究費委員会専門委員, 独立行政法人日本学術振興会.

2008.01~2008.12, 科学研究費委員会専門委員, 独立行政法人日本学術振興会.

2008.01~2009.12, 科学技術・学術審議会専門委員(学術分科会), 文部科学大臣.

2005.02~2006.01, 科学技術・学術審議会専門委員(学術分科会), 文部科学大臣.

2004.04~2006.03, 特別研究員等審査会専門委員, 独立行政法人日本学術振興会.

2002.04~2004.03, 加藤記念バイオサイエンス研究振興財団 選考委員, 加藤記念バイオサイエンス研究振興財団.

新聞・雑誌記事及びTV・ラジオ番組出演等
2018.05, Yomiuri Online, 脳のインスリン低下で認知障害「アルツハイマー病を脳の糖尿病として捉える」
九州大・生体防御医学研究所 中別府雄作主幹教授
 糖尿病と深く関わるインスリンは膵臓だけでなく、脳の神経細胞でも作られ、脳に送られた糖を効率よくエネルギーに変えるのに役立っている。 ところが、アルツハイマー病患者の脳を調べたところ、アミロイドβ(ベータ)という物質が蓄積し、インスリンを作る機能などが低下していた。その結果、神経細胞がエネルギー枯渇などに陥って認知機能の障害が引き起こされていた。また、アルツハイマー病患者が糖尿病を発症すると、脳内の糖をエネルギーとして利用できないだけでなく、高血糖によるストレスが症状を悪化させる悪循環が起きることもわかってきた。.

2015.07, NHK BS1, シリーズ医療革命「認知症」.

2015.02, NHK E-テレ, メディカルジャーナル
「アルツハイマー病は脳の糖尿病?」.

2014.08, ラジオNIKKEI 第1, 2014年8月21日(木)放送のラジオNIKKEI 第1(20:40~21:00)
日本医師会 企画 「医学講座」
 「アルツハイマー病と糖尿病」
脳におけるインスリンの働きからわかってきたアルツハイマー病と糖尿病の関係について、概説.

2014.07, NHK, 2014年7月20日(日)放送のNHKスペシャル
"認知症800万人"時代 認知症をくい止めろ ~ここまで来た!世界の最前線~ 
ワシントン大学の研究で、アルツハイマー病では脳の糖尿病との言える状態が起きていることが分かって来た。糖尿病はインスリンの働きが悪くなり、細胞が糖を上手く取り込めなくなる病気で細胞がエネルギー不足になる。発症15年前から糖を取り込む力が低下している部位が現れ、年月と共にその面積が増えていき、発症寸前では脳全体がエネルギー不足になっている事が分かった。
九州大学生体防御医学研究所の中別府雄作教授は、「脳で起こっているのは脳の細胞が血液中の糖を取り込めない状態で、そういう意味では糖尿病と言ってもいい状態」と説明している。.

2014.04, マイナビニュース , 酸化されたDNAが細胞の突然変異を引き起こす原因だった -九大などが確認

マイナビニュース 4月16日(水)15時3分配信
酸化されたDNAが細胞の突然変異を引き起こす原因んだった -九大などが確認

九州大学(九大)は4月14日、酸化されたDNA(8-オキソグアニン)がほ乳類の生殖細胞における自然突然変異の原因となることを確認したと発表した。

同成果は、同大大学院医学研究院の大野みずき 助教と生体防御医学研究所/ヌクレオチドプール研究センターの作見邦彦 准教授、理化学研究所バイオリソースセンターの権藤洋一チームリーダら、長浜バイオ大学の池村淑道 客員教授らによるもの。詳細は、国際学術雑誌「Nature」の姉妹誌の「Scientific Reports」に掲載された。

細胞分裂の際、遺伝情報であるDNAの塩基配列の複製が行われるが、その正確さは100%とは言えない。親の細胞とは異なる遺伝情報が生じることを「突然変異」と呼ぶが、この突然変異が体を構成している細胞のがん抑制遺伝子に発生すると、細胞ががん化するきっかけとなることが知られている。

一方で、生殖細胞を産生する過程で生じた突然変異は子孫へと伝達され、生物の進化の原因となったと考えられている。こうした外部要因に起因しない突然変異(自然突然変異)は、近年、次世代シーケンサーによるゲノム解析により、ヒトでは1世代あたり核ゲノムDNA上の約60カ所で生じていること、父親の加齢によって、その頻度が増加する傾向があることなどがわかってきたが、どういった因子が生殖細胞の突然変異に影響しているのかは不明であった。

今回研究チームは、酸化によってDNA中に生じた8-オキソグアニンを除去、修復できないように遺伝子を改変したマウスを用いて、DNA中に自然に蓄積した8-オキソグアニンに起因する突然変異の解析を行ったほか、同遺伝子改変マウスを8世代まで交配させ、家系内の各世代で新たに生じた変異を蓄積させ、最も世代の進んだ個体のDNA配列を解析することで、発生した変異を効率的に検出することを可能にした。

実際に、このマウスの家系を調べたところ、子孫に水頭症や特殊ながんの発生、毛色の変化など遺伝性の表現形質の変化が観察されたとのことで、さらなる調査のために、生殖細胞突然変異が最も蓄積していると考えられる3匹のマウスを選択し、そのDNAを次世代シーケンサーにて解析したところ、同マウスでは1世代当たりの生殖細胞突然変異発生率が野生型マウスと比較して約18倍上昇していることが判明したという。発見された変異の99%は8-オキソグアニンに起因するG-Tトランスバージョンという種類の突然変異で、その約60%が遺伝子の機能に影響を与えるものであったという。

なお研究グループでは、今回の成果について、ヒトの遺伝子病が新たに発生する原因を説明し、個人間で特定の病気のかかりやすさに差があるなどの個体差を生む原因の解明につながることが期待できるとするほか、一人一人が違った特徴を持つことの遺伝的要因、すなわち遺伝的多様性の発生機構、さらには生物の進化に酸素がどのように関わってきたのかという普遍的な疑問を遺伝子の変化の観点から解明するための糸口になると説明しており、今後、同様の手法を用いて、親の性別や年齢、さらに酸化DNA以外の因子がほ乳動物における生殖細胞突然変異の発生に与える影響を解析していく予定だとしている。
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2014.04, 日刊工業新聞, 生殖細胞の自然突然変異、酸化DNA蓄積が原因-九大などマウスで解明
九州大学の大野みずき助教と作見邦彦准教授らのグループは、理化学研究所、長浜バイオ大学などと共同で、DNA分子の酸化が生殖細胞の自然突然変異の原因になることをマウスによる実験で明らかにした。DNAは環境ストレスなどによって日常的に酸化されるが、通常は修復機構が働いている。これが蓄積した場合、遺伝的な多様性を生み出すとともに、病気など原因にもなると考えられるという。
 グループは、DNAを構成する塩基の一つの「グアニン」が酸化して生じる分子「8―オキソグアニン」について、修復機構が働かないように遺伝子を改変したマウスを作製。同マウスの交配を続け、同分子の蓄積が遺伝的な変異にどんな影響を与えるかを調べた。
 その結果、同マウスの家系では病気の発生や毛色の変化などが観察された。また、同マウスの生殖細胞突然変異発生率を解析すると、野生型に比べ最大で18倍に上昇することが分かった。.

2014.04, 西日本新聞 朝刊(社会面), 九州大や理化学研究所などの研究グループがんなど遺伝子病の原因となる生殖細胞(卵子、精子)の自然突然変異に遺伝子本体であるDNA の酸化が関与していることを解明した、と発表した。15日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に論文を掲載した。

–がんなど遺伝子病酸化DNA が関与– 九大など解明

 九大生体防御医学研究所の作見邦彦准教授(分子遺伝学)によると、生殖細胞の突然変異は、受精卵の分裂過程で将来卵子や精子となる細胞に生じ、子孫に代々遺伝する。研究グループが、酸化DNA を除去する酵素をなくした雌雄のマウスを5〜18 世代にわたって交配したところ、最後の1世代当たりの突然変異発生率は通常のマウスより平均約18倍上昇。がんや水頭症などの病気となった個体も多く見つかったという。
 これまで、生殖細胞以の体細胞の突然変異で酸DNAが原因となることは分かっていたが、生殖細の突然変異にも関与してることを突き止めたのはめてという。
 作見准教授は「マウス同じ遺伝子で発病するヒにも当てはまる実験結果。DNA の酸化は呼吸や炎症、放射線などが原因とれており、今後は親の性年齢が突然変異の発生にえる影響などを解明したい」と話した。
(野村創).

2014.01, 読売新聞 夕刊 からだ面 , 糖尿病と認知症 −糖代謝異常との関連注目−
ものを記憶し、考え、周囲とコミュニケーションをとるのが難しくなる認知症。社会の高齢化に伴い、特にアルツハイマー 型認知症(アルツハイマー 病)の患者が急増している。糖尿病の増加がその一因で、アルツハイマー病と糖尿病には共通点も多い。糖尿病を防ぐことは、認知症の予防にもつながる。

◇脳の血管、神経にダメージ
 福岡市に隣接する人口約8400人の久山町。九州大が1961年から続けている住民の追跡調査で、認知症の急増が裏付けられた。2012年には65歳以上の認知症の割合は17・9%。この数字から全国の認知症高齢者数を推計すると550万人で、20年前の6倍になった。アルツハイマー病はその69%を占める。

 久山町の調査で、糖尿病の患者はアルツハイマー病のリスクが2・1倍だった。40歳以上の住民で、糖尿病などの糖代謝異常の割合は大幅に増えており、アルツハイマー病が急増した原因と考えられている。

 アルツハイマー病と糖尿病の共通点も、久山町の調査で浮かび上がってきた。

 九州大主幹教授(脳機能制御学)の中別府雄作さんらが、亡くなった住民88人の脳を調べたところ、アルツハイマー病の患者では、記憶をつかさどる海馬で1387個の遺伝子の働きに、特徴的な変化があることがわかった。その中には、インスリンを作ったり利用したりするのに必要な複数の遺伝子が含まれ、働きが大幅に低下していた。アルツハイマー病の原因となるアミロイドβと呼ばれる異常なたんぱく質の蓄積が、その引き金にもなっているらしい。

 インスリンは、糖を細胞に取り込んで、エネルギーとして利用するのに必要なホルモン。インスリンが作れなかったり(1型)、上手に利用できなかったり(2型)するのが糖尿病だ。インスリンは主に膵臓(すいぞう)で作られるが、脳でも少し作られ、糖を取り込み、神経細胞を保護している。

 中別府さんは「アルツハイマー病は『第三の糖尿病』とも言える。患者の脳は糖を十分に利用できず、様々なストレスに弱くなっている。このような状況で糖尿病を発症すると、ストレスが増え、アルツハイマー病がさらに進行する悪循環に陥る」と説明する。

 糖尿病は、アルツハイマー病だけでなく、認知症を複合的に悪化させる。糖尿病は血管を傷め、脳の血管が詰まることなどで発症する脳血管性認知症のリスクを高める。糖尿病で血糖値が高いと集中力や注意力が落ちる。

 東京医大教授(高齢診療科)の羽生春夫さんは「糖尿病は、合わせ技で悪さをする。糖尿病の患者では、認知機能の余力が失われているため、病変が進んでいない初期から認知症の症状が出る。40、50歳代から生活習慣に気を付け、糖尿病を防ぐのが、認知症の予防にも重要」と強調する。

 インスリンの効き目を良くし、糖尿病を予防する最も簡単な方法として、羽生さんは運動を勧める。久山町の調査でも、運動や、和食と乳製品を中心とした食事が、糖尿病だけでなく認知症のリスクを減らすことがわかっている。

 順天堂大特任教授(代謝内科)の河盛隆造さんは「糖尿病は放置せず、早期に治療するのが大切。どんな治療が認知症の予防に効果的か、検証する必要がある」と話す。

(杉森 純).

2013.10, エキスパートナース Vol.29 No.12 , 増える認知症、原因は“糖尿病”?
アルツハイマー病の進行に関与日本では高齢者の人口が増加し、それに伴い認知症患者も増えています。今後の対策が重大な課題となっている認知症ですが、その発症・進行の危険因子に“糖尿病”が挙げられることが、九州大学・中別府雄作主幹教授らのチームにより示されました。
研究は、2008年12月から2011年2月までに献体された死後脳88例を、非認知症群とアルツハイマー病群に分けて調査したものです。アルツハマー病患者脳は、脳内の“インスリン・シグナリング系”に破綻が見られ、代謝障害等に起因するストレスに対し脆弱になっていました。
この研究成果から、脳内のインスリン・シグナリング系を分子標的とした治療薬の開発が可能になるとのことで、新たな治療法の発展が期待されます。.

2013.10, 壮快 第40巻第12号, 糖尿病の人はアルツハイマーに3倍なりやすい!
 認知症の患者数は2010年でおよそ300万人、2020年には400万を超えると推定されており、大変深刻な社会問題となっています。こうして年年増加しつつある認知症のうちで、最も患者数が多いのがアルツハイマー型認知症です。
 私たちは、九州大学の久山町研究グループ(主任研究者:清原裕教授)と協力してアルツハイマー型認知症の危険因子を調べてきました。この研究の基盤となったものは、久山町研究グループが長年にわたり行っている久山町の疫学研究です。疫学というのは、統計学的手法により病気の原因などを解明するための学問のことです。
 久山町は、福岡県福岡市に隣接する、人口約8000人の町です。九州大学の久山町研究グループは、1961年から50年以上にわたって久山町の住民の健康調査を続け、大変貴重な疫学データを集めてきました。
 認知症に関する調査も、そのうちの1つです。認知症については、1985年から久山町の65歳以上のかたの、全員検査を行ってきました。
 認知症の本格調査を開始する前の段階では、日本では、かつては脳卒中などの患者さんが多かったところから、脳血管性認知症の患者数が多いと考えられていました。
 ところが、実際に調べみると、そうではありませんでした。欧米と同様、アルツハイマー型認知症が最も多いことがわかったのです。
 そして、アルツハイマー型認知症の人が年を追って増加しつつあることも、調査を続けるにつれてはっきりしてきました。それとともに浮かび上がってきたのが、アルツハイマー型認知症と糖尿病の密接な関係です。
 久山町研究をはじめ複数の疫学研究から、糖尿病になるとアルツハイマー型認知症に3倍程度なりやすいというデータが出ています。
 アルツハイマー型認知症になると、脳に特定の変化が起こります。アミロイドβという変質したペプチドが老人斑をつくり、また、tau(タウ)というたんぱく質が異常にリン酸化され神経細胞内にたまって神経原線維変化ができます。
 実は、アルツハイマー型認知症の確定診断は、死後、病理解剖を行って、老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な病変が観察されることが条件なのです。糖尿病の患者さんの場合、これらの病変も2倍ほどできやすくなることが久山町研究で明らかにされています。
 こうしたデータから、糖尿病は、アルツハイマー型認知症の危険因子であることがわかってきました。
 ここで糖尿病という病気について、説明しておきましょう。
 体の中に入った食べ物は、口や胃で消化・分解されて、それぞれの栄養素が腸から吸収されます。このうち、糖は小腸から吸収され、血液中に入ります。血液中の糖は、体の細胞に取り込まれ、ミトコンドリアという細胞内小器官で酸素を使ってATPというエネルギー源に変えられます。このとき、細胞に糖を取り込むのを助けてくれるのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。
 糖尿病には、2つの種類があります。1つが、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能が失われ、インスリンが全く作れなくなって、インスリンがほとんど出ない状態になって起こる1型糖尿病です。
 もう1つが、肥満や偏った食事などの生活習慣によって、インスリンの効きが悪くなって起こる2型糖尿病です。
 さらに、第3の糖尿病という考え方が、数年前からいわれています。アルツハイマー型認知症を脳の糖尿病ということで、第3の糖尿病と見なそうというのです。その真偽はともかく、アルツハイマー型認知症と糖尿病の間に、密接な関連性があるのは確実です。
 では、なぜ糖尿病がアルツハイマー型認知症の危険因子となるのでしょうか。それを探究しようというのが、私たちの研究テーマでした。
 6年前から、脳における遺伝子の発現量を測定することによって、この関連性を分子生物学の立場から解き明かす研究に取りかかりました。
 幸い九州大学は久山町の協力で88体の献体を受け、大変貴重なデータを得ることができました。献体の前頭葉、側頭葉、海馬、後頭葉という、脳の4つの場所からサンプルを取り、正確な分析が可能なサンプルのみを用いて全遺伝子の発現量を測定しました。測定の結果を用いて、いったいどんな遺伝子が発現しているか、あるいは、どんな遺伝子の発現量が顕著に変化しているかを調べたのです。
 まず、性別、脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症の3つで比較すると、性別や脳血管性認知症では、遺伝子の発現量に変化はあまり見られませんでした。
 一方、アルツハイマー型認知症では、最も大きな遺伝子発現量の変化が起こっていました。それを部位別に見ると、海馬、側頭葉、前頭葉の順になります。つまり、アルツハイマー型認知症の人は、脳の海馬で遺伝子の発現量に大きな変化が起こっていることが、はっきりしたのです。
 では、アルツハイマー型認知症の人の海馬で、最も発現量の変化の大きかった遺伝子とはなんでしょうか。
 調べると、著しく遺伝子の発現量が低下しているものが多く見つかりました。それを順に挙げれば、1位が肝細胞増殖因子受容体(MET)遺伝子、2位がプロプロテイン変換酵素1(PCSK1)遺伝子です。
 METについてはあとでふれるとして、2位のPCSK1遺伝子が作るプロプロテイン変換酵素1について先に取り上げてみましょう。
 このプロプロテイン変換酵素1は、不活性型のプロインスリンを切断して活性型のインスリンを作るのに欠かせない酵素です。この過程には、プロプロテイン変換酵素2(PCSK2)という酵素も必要ですが、PCSK2遺伝子の発現量もアルツハイマー型認知症の人の海馬で低下していることが確認されました。つまり、アルツハイマー型認知症のかたは、この2つの遺伝子の発現量が低下しているため、インスリンを作る酵素の量が減り、脳内で作られるインスリンの量が少なくなっていると考えられます。
 ちなみに、近年まで、インスリンはもっぱら膵臓で作られ、それが血流によって全身に届けられて、各細胞組織で使われているとされてきました。脳で利用されるインスリンも、血流によって脳へ運ばれているとされていたのです。
 しかし最近、膵臓だけではなく、脳内でもインスリンが作られていることがわかりました。
 脳は、幼少時であれば、体に取り入れた酸素の50%を使っています。大人でも、20%の酸素を消費します。このことは、脳が活動するのに必要なエネルギー源としてのATPを生み出すのに、それだけ大量の酸素と糖が必要だということです。
 このため、膵臓から血液を通じて送られてくるインスリンだけではなく、脳自身がインスリンを作り、糖からATPを生み出していると考えられます。アルツハイマー型認知症になると、2つの遺伝子の発現低下により、脳で作られるインスリンが不足すると考えられます。
 また、最も発現量が低下しているのが、肝細胞増殖因子受容体を作るMETという遺伝子です。最近になって、肝細胞増殖因子受容体はインスリン受容体と複合体を形成しており、インスリンと肝細胞増殖因子の両方が結合すると肝臓での糖の利用を強力に促すことが明らかにされました。さらに、METは、小脳の発達にも重要で、神経細胞を守る働きをしていることがわかっています。
 脳においてMET遺伝子の発現量が低下し、肝細胞増殖因子受容体が減ると、今挙げたさまざまの働きが悪くなり、脳での糖の利用も低下します。かつ、インスリンや肝細胞増殖因子がかかわる、ほかのさまざまの働きも悪くなることになります。
 PCSK1、PCSK2に加えてMETといったインスリンの働きに重要な遺伝子の発現量が低下することで、脳内のインスリンが不足するだけでなく、インスリンの働きそのものも低下すると考えられます。この結果、脳は糖欠乏に陥るため、ミトコンドリアが機能不全に陥ると考えられます。ミトコンドリアは、糖と酸素を使って細胞のエネルギー(ATP)を生み出していますが、インスリン不足により、ミトコンドリアが本来の機能を果たせなくなるのです。
 ことに脳内では、神経細胞の神経突起にミトコンドリアが多く存在します。神経突起のミトコンドリアが機能不全に陥れば、神経細胞の働き自体も低下し、神経細胞同士の情報伝達を行うシナプスの機能も障害されることになります。
 この際、機能不全に陥ったミトコンドリアからは同時に多量の活性酸素が生成されるため、酸化ストレスも増大することが指摘されています。これらが相まって、アルツハイマー型認知症の症状を進行・悪化させると考えられるのです。
 ただし、ここで留意しておかなければならないのは、糖尿病だから、METなどの遺伝子発現が低下したわけではないという点です。今までお話ししてきたような遺伝子の発現量の変化は、糖尿病とは独立して起こっています。
 今回の研究ではっきりしてきたのは、アルツハイマー型認知症になると、脳内でインスリンが作られなくなるなど、脳内が糖尿病と似た状態に陥ることです。そしてそれが、アルツハイマー型認知症の症状を進行させる可能性が明らかになったことです。
 糖尿病が原因でアルツハイマーが起こるわけではありませんが、アルツハイマー型認知症になれば、PCSK1などの遺伝子発現が低下することによって、糖尿病になりやすくなることもアルツハイマーモデルマウスを用いた私たちの最近の研究からわかってきました。
 また、アルツハイマー型認知症になり、症状が進行しつつあるとき、糖尿病を合わせて発症すると、当然ですが、脳内の糖尿病状態に拍車がかかり、認知症の病状が進むことが懸念されます。
 この意味では、認知症の進行を抑制するためにも、糖尿病の予防・改善が大切になります。
 いずれにしても、アルツハイマー型認知症は、単純に神経細胞が死滅するから、その症状が起こっているわけではありません。そこには、まだ、じゅうぶんに解明されていない複雑なしくみがあります。今回の研究を通じて、私たちにも、ようやくその本質の一端が見えてきたというべきでしょう。
 例えば、アルツハイマー型認知症の患者さんに、糖尿病の治療に使われるインスリン薬を投与する臨床研究も始まっています。この場合、糖尿病の患者さんのように注射でインスリンを投与するのはなく、鼻からインスリンを吸入する方法で、脳へインスリンを送り込みます。
 結果は、多少の効果は見られたものの、改善の度合いは小さかったということです。長期的な効果についても、まだ判明していません。
 インスリン吸入がどこまで効くか、今後の研究を待たなければなんともいえません。しかし、アルツハイマー型認知症の患者さんの脳内では、糖尿病状態が生じているわけですから、インスリンに限らず、その状態をおさえる薬の開発が次の大きな目標の1つとなるでしょう。
 また、先ほども触れましたとおり、アルツハイマー型認知症は、死後の病理解剖によって、直接、脳を観察しないと正式に診断できません。
 つまり、現代の医学水準においても、正確に判定できるのは患者さんの死後なのです。
 脳梗塞などがあって、脳血管性認知症と考えられていた患者さんが、死後、病理解剖をしてみたところ、アルツハイマー型認知症だとわかったケースも少なくありません。
 患者さんが生きているうちの早期診断。これも、アルツハイマー型認知症に関する大きな課題といえるでしょう。
 現在、患者さんが元気に生きているうちにMRI(磁気共鳴画像法)などの画像診断で脳に老人班や神経原線維変化を見つける技術が開発されています。このような画像診断によって認知症の症状がでる前にアルツハイマー病患者を早期発見できると、認知機能の低下の予防や治療の大きな助けともなるはずです。
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2013.07, 朝日新聞, アルツハイマー病は脳の糖尿病説
九大グループ 分子メカニズム解明

代表的な認知症のアルツハイマー病は、インスリンがうまく働かない猶尿病の一種なのではないか。そんな見方を示す報告が続いている。二つの病気の共通点を手がかりに、アルツハイマー病の新しい治療法をめざす試みもある。

インスリンに着目、報告次々

「アルツハイマー 病患者の脳では、インスリンをつくったり利用したりするしくみが壊れている」 九州大の中別府雄作・主幹教授(分子生物学)たちのチームは今年5 月、専門誌にそんな報告をした。.

2013.05, 科学新聞, 糖尿病がアルツハイマー病の危険因子に
九大グループ分子メカニズム解明

糖原病がアルツハイマー 病を含む認知症の危険因子となることが報告されているが、その分子メカニズムはよくわかっていない。九州大学生体防御医学研究所の中別府雄作主幹教授らの研究グループはこのほど、死後脳を用いて遺伝子発現プロファイルを検討、その結果、アルツハイマー 病患者脳では、アミ-ロイドβ 産生や神経原線維変化ではじまる同病特有の病理変化によって脳内のインスリン・シグナリング系が破綻していることを突き止めた。.

2013.05, 西日本新聞, アルツハイマー患者 九大調査 
脳は”糖尿病状態”
ーインスリン不足解消で治療もー

九州大は7日、アルツハイマー病患者の脳内は、インスリン分泌が低下するなど糖尿病と同じ状態になることが判明したと発表した。脳内の「糖尿病状態」を解消する方法が分かれば、アルツハイマー病の有効な治療法につながるという。

 九州大は1961年から、福岡県久山町と協力して全住民を対象に、生活習慣病などの実態調査を継続して実施。今回は2008年12月から11年2月までに亡くなった65歳以上の人のうち、遺族の理解が得られた88人の脳を解剖した。

 脳内の記憶や学習をつかさどる「海馬」部分を調べた結果、アルツハイマー病の人は、インスリンを生成する遺伝子の働きが弱く、インスリンを作る酵素量もアルツハイマー病でない人の約2分の1しかなかった。

 アルツハイマー病の原因遺伝子を投与したマウスの脳の解剖も行い、同様の結果が得られた。

 調査した中別府雄作教授によると、血糖値を調整するインスリンの低下で脳内のエネルギー代謝が悪化した結果、神経細胞が死滅してアルツハイマー病が進行するとみられるという。今回の調査では、糖尿病はアルツハイマー病の発症リスクを高めるだけでなく、症状を悪化させることが裏付けられた。

 中別府教授は「これだけの解剖例を基に糖尿病との関連を裏付けたのは珍しい。脳内でのエネルギー代謝を回復させる新薬を開発できれば、アルツハイマー病の進行を抑えられる」としている。

下崎千加.

2013.05, 北海道新聞, アルツハイマー病、糖尿病
脳内遺伝子 同じ状態
九大調査

九州大の生体防御医学研究所(福岡市東区)は7日、亡くなった88人の脳を解剖した結果、アルツハイマー病患者は、脳内の遺伝子が糖尿病と同じ状態に変化することが判明したと明らかにした。

 同研究所の中別府雄作教授によると、血糖値を調節するインスリンが脳内で働く仕組みを解明し、糖尿病状態から回復させる方法が分かれば、アルツハイマーの進行を防ぐことができる可能性があるという。

 中別府教授らの研究チームは、福岡県久山町と協力した調査の結果、糖尿病を患うとアルツハイマー発症率が3~4倍に高まる点に注目。65歳以上の88人を解剖すると、脳が萎縮するなどアルツハイマーを発症した人が26人いた。

 さらに約40人の脳の遺伝子解析にも成功。アルツハイマー発症者は、糖代謝を制御する遺伝子や、インスリンを作る遺伝子が激減、脳内が糖尿病状態になっていた。
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2013.05, 静岡新聞, アルツハイマー病
糖尿病患者の脳と同じ状態に変化

九州大の生体防御医学研究所(福岡市東区)は7日、亡くなった88人の脳を解剖した結果、アルツハイマー病患者は、脳内の遺伝子が糖尿病と同じ状態に変化することが判明したと明らかにした。

 同研究所の中別府雄作教授によると、血糖値を調節するインスリンが脳内で働く仕組みを解明し、糖尿病状態から回復させる方法が分かれば、アルツハイマーの進行を防ぐことができる可能性があるという。

 中別府教授らの研究チームは、福岡県久山町と協力した調査の結果、糖尿病を患うとアルツハイマー発症率が3~4倍に高まる点に注目。65歳以上の88人を解剖すると、脳が萎縮するなどアルツハイマーを発症した人が26人いた。

 さらに約40人の脳の遺伝子解析にも成功。アルツハイマー発症者は、糖代謝を制御する遺伝子や、インスリンを作る遺伝子が激減、脳内が糖尿病状態になっていた。
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2013.05, 産経新聞, アルツハイマー病、脳内は糖尿病と同じ

九州大の生体防御医学研究所(福岡市東区)は7日、亡くなった88人の脳を解剖した結果、アルツハイマー病患者は、脳内の遺伝子が糖尿病と同じ状態に変化することが判明したと明らかにした。

 同研究所の中別府雄作教授によると、血糖値を調節するインスリンが脳内で働く仕組みを解明し、糖尿病状態から回復させる方法が分かれば、アルツハイマーの進行を防ぐことができる可能性があるという。

 中別府教授らの研究チームは、福岡県久山町と協力した調査の結果、糖尿病を患うとアルツハイマー発症率が3~4倍に高まる点に注目。65歳以上の88人を解剖すると、脳が萎縮するなどアルツハイマーを発症した人が26人いた。

 さらに約40人の脳の遺伝子解析にも成功。アルツハイマー発症者は、糖代謝を制御する遺伝子や、インスリンを作る遺伝子が激減、脳内が糖尿病状態になっていた。

 また、糖尿病患者は脳内の代謝が悪いため、神経細胞が死んでアルツハイマーの発症や進行の危険因子になることも判明した。.

2013.05, 毎日新聞, 脳内の遺伝子 糖尿病状態に
九大研発表

九州大学生体防御医学研究所は、アルツハイマー病患者の脳内で、糖の代謝などに関係する複数の遺伝子の量が少なく、糖尿病と同じ状態になることを見つけ、7日発表した。中別府雄作教授(脳ゲノム機能学)は「アルツハイマー病の病態変化の一過程が分かった。脳内での健全な糖代謝やエネルギー代謝の維持が予防や治療で大事になる」としている。

 中別府教授らは、九大が福岡県久山町で実施している疫学調査「久山町研究」で、糖尿病患者にアルツハイマー病の発症率が高い点に注目した。08年12月~11年2月、亡くなったアルツハイマー病患者26人を含む88人の脳を調べ、約40人の遺伝子解析に成功した。

 中でも、短期的な記憶をつかさどる「海馬」で、アルツハイマー病患者は健常者に比べ、糖代謝を制御する遺伝子や、血糖値を調節するインスリンを作る遺伝子が減っていることが分かった。さらに、アルツハイマー病モデルのマウスを作製し調べた結果、ヒト同様にインスリンを作るのに必要な遺伝子が激減していた。

金秀蓮.

2013.05, 日本経済新聞, アルツハイマー病患者の脳 
糖尿病と同じ状態に
九大チーム

九州大の生体防御医学研究所(福岡市東区)は7日、亡くなった88人の脳を解剖した結果、アルツハイマー病患者は、脳内の遺伝子が糖尿病と同じ状態に変化することが判明したと明らかにした。

 同研究所の中別府雄作教授によると、血糖値を調節するインスリンが脳内で働く仕組みを解明し、糖尿病状態から回復させる方法が分かれば、アルツハイマーの進行を防ぐことができる可能性があるという。

 中別府教授らの研究チームは、福岡県久山町と協力した調査の結果、糖尿病を患うとアルツハイマー発症率が3~4倍に高まる点に注目。65歳以上の88人を解剖すると、脳が萎縮するなどアルツハイマーを発症した人が26人いた。

 さらに約40人の脳の遺伝子解析にも成功。アルツハイマー発症者は、糖代謝を制御する遺伝子や、インスリンを作る遺伝子が激減、脳内が糖尿病状態になっていた。

 また、糖尿病患者は脳内の代謝が悪いため、神経細胞が死んでアルツハイマーの発症や進行の危険因子になることも判明した。.

2013.01, 科学新聞, 活性酸素による核酸酸化に起因した神経変性の機構
九大の研究グループが解明

 活性酸素は様々な生体構成分子を酸化することによって神経変性を引き起こすと考えられているが、神経細胞脱落に至る分子メカニズムはわかっていなかった。九州大学生体防御医学研究所・ヌクレオチドプール研究センターの中別府雄作主幹教授、盛子敬助教らはの研究グループはこのほど代表的な酸化塩基である8-オキソグアニン(8-oxoG)のゲノムDNAへの蓄積を抑制する酵素MTH1およびOGG1が効率よく神経変性を抑制するのに対し、MUTYHは8-oxoGに誤って取り込まれたアデニンの塩基除去修復を介して神経細胞死とミクログリオーシスを誘導することを突き止めた。MTH1、OGG1、MUTYHを標的とした新しい神経変性疾患の治療薬や疾患感受性の診断法の開発につながる成果として注目される。
 
実験ではMTH1、OGG1、MUTYHの3つの遺伝子をそれぞれ単独に欠損するマウスとOGG1/ MTH12重欠損マウスそして野生型マウスにミトコンドリア神経毒3-ニトロプロピオン酸(3-NP)を投与。その結果、2重欠損マウスが最も重篤な運動機能障害を呈し,線条体に高度な8-oxoGの蓄積を伴う神経細胞脱落が見られることがわかった。3-NPによる8-oxoGの高度な蓄積は線条体変性の早期に主に中型有棘神経細胞のミトコンドリアDNAに認められ、ミトコンドリア機能障害を介してカルパイン活性化を伴う神経細胞死を引き起こした。
 
一方、線条体変性の後期には神経細胞脱落部に増生したミクログリアの核DNAへの8-oxoG蓄積が認められ、poly[ADP-ribose]ポリメラーゼ(PARP)の活性化とアポトーシス誘導因子(AIF)の核移行が認めらた。3-NPによる線条体神経細胞脱落、ミクログリオーシス、そして運動機能障害はいずれもカルパイン阻害剤、あるい
はPARP阻害剤の投与により有意に軽減された。
 
次に、OGG1単独欠損マウスとOGG1/MUTYH2重欠損マウスの3-NP投与に対する応答を比較したところ、2重欠損マウスにおいては運動機能障害が顕著に軽減し、線条体における神経細胞脱落およびミクログリオーシスもほとんど認められなかった。また、OGG1欠損マウス線条体の中型有棘神経細胞のミトコンドリアDNAとミクログリアの核DNAにみられた塩基除去修復の過程で生じる一本鎖切断の蓄積も2重欠損マウスにおいては完全に抑制されていた。

 研究グループはこれまでに、ヒトMTHを高発現するトランスジェニックマウスが3-NPによる8-oxoGの線条体蓄積と線条体変性に対して顕著な抵抗性を示すことを明らかにしている。OGG1/MTH12重欠損マウスが最も高いレベルの8-oxoGをミトコンドリアDNAに蓄積し、3-NPの神経毒性に対して最も高い感受性を示す事実と合わせて考えると、ヌクレオチドプール中のdGTPの酸化で生じた8-oxo-dGTPがミトコンドリアDNA中に取り込まれて蓄積したと結論できる。

 細胞分裂しない神経細胞では核DNAは複製されないが、ミトコンドリアは神経細胞の機能維持に不可欠なエネルギーを供給するためにそのDNAを常に複製し、新しいミトコンドリアをシナプス等に供給している。ヌクレオチドプール中に生じた8-oxo-dGTPがDNA中に取り込まれるにはDNA複製が不可欠である。3-NPを投与したOGG1/MTH12重欠損マウスの神経細胞では複製するミトコンドリアDNAのみに8-oxoGが高度に蓄積し、さらにその後の複製に際してDNA中に存在する8-oxoGに対して取り込まれたアデニンをMUTYHが除去することで開始される塩基除去修復の中間産物である1本鎖切断の生成が過剰となり、ミトコンドリアDNAが分解枯渇したと考えられる。その結果、ミトコンドリア膜電位が維持されなくなり、細胞質に放出されたカルシウムによって活性化されたカルパインに依存した神経細胞死が誘導されることが明らかになった。
 
一方、神経細胞死は炎症反応としてミクログリアの活性化と増殖を誘発するが、活性化ミクログリアはそれ自身がNADPH oxidase(NOX)等によって活性酸素を生成するので、ミクログリアのヌクレオチドプールにも8-oxoGが蓄積する。ミクログリアはその増殖に際して核DNAを複製することから、ヌクレオチドプールからその核DNA中に8-oxoGが取り込まれて蓄積する。核DNA中に多量に蓄積した8-oxoGもその後の複製に際してアデニンと対合し、MUTYHによる塩基除去修復の標的となるため、核DNAの新生鎖に1本鎖切断が蓄積、PARPが活性化され、ミトコンドリアに局在するAIFが切断され核に移行しアポトーシスを誘導することがわかった。これは、ミクログリオーシスをさらに増悪させ、線条体の変性を著しく促進すると考えられる。.

2009.09, 朝日新聞, 九州大学の野田百美 准教授(薬学研究院)・中別府 雄作 教授(生体防御医学研究所)とパナソニック電工株式会社(本社:大阪府門真市、取 締役社長:畑中浩一)の研究グループは、水素を含んだ水を飲用することが、活性酸素1)が 原因で起こると考えられているパーキンソン病2)等の脳神経変性疾患の予防と治療に有用 である可能性を検証しました。
研究グループが注目したのは、低濃度の水素を含んだ水です。水素を含んだ水を飲ま せたマウスと水素を含まない通常の水を飲ませたマウスに、薬物性パーキンソン病の原因 となる MPTP3)を投与し、実験的に脳神経変性疾患を発症させました。水素を含んだ水を飲 用させたマウスでは、パーキンソン病で見られる黒質ドパミン神経細胞4)の脱落が顕著に 抑制されました。また脱落の原因とされる活性酸素の生成量、および活性酸素による DNA の酸化損傷も抑制されることが明らかになりました。
これらの検証結果から、活性酸素が原因で起こるパーキンソン病等の脳神経変性疾患 の予防と治療に、水素を含んだ水の飲用が有用であり、また低濃度の水素で効果をもたら す可能性を見出しました。水素を含んだ水は電解アルカリ水など、水の電気分解で容易に 生成できるため、今後実用に向けた研究の展開が期待されます。
本研究成果は、オンライン科学誌「PLoS ONE」に平成 21 年 9 月 30 日付(米国:太平洋 標準時)で掲載され、2009年9月29日 朝日新聞で紹介されました。.

2006.05, Science Daily, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果の報道.

2006.05, Scientific American.com, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果の報道.

2006.05, The Scientist, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果の報道.

2006.05, New Scientist, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果の報道.

2006.05, Japan Times, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果の報道.

2006.05, 日刊工業業新聞, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果の報道.

2006.05, 日経産業新聞, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果の報道.

2006.04, Cold Spring Harbor Laboratory, Genome Research誌(Vol. 16, p567-575)に発表した研究成果のPress Release.

一般市民、社会活動及び産業界等を対象とした活動
2018.04, 第73回 知の拠点セミナー:アルツハイマー病を脳の糖尿病として捉える, 国立大学共同利用・共同研究拠点協議会, 京都大学東京オフィス.

2018.08, 昭和薬科大学附属高等学校の27名の生徒と3名の教師が研究所を訪問し、研究所の紹介をした。, 生体防御医学研究所, 生体防御医学研究所.

2017.08, 宮崎第一中学・高等学校の17名の生徒が研究所を訪問し、研究所の紹介をした。, 生体防御医学研究所, 生体防御医学研究所.

その他の優れた社会貢献活動
2019年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2018年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2017年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2016年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2015年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2014年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2013年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2012年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2011年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2010年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2009年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2008年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2006年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

2007年度, 一般社団法人 久山生活習慣病研究所 社員 (2006年〜)として、久山研究に参加.

大学運営
学内運営に関わる各種委員・役職等
2019.02~2019.03, アジア・オセアニア研究教育機構設置準備委員会.

2018.04~2020.03, 人事企画委員会.

2016.04~2020.03, 生体防御医学研究所長.

2016.04~2020.03, 教育研究評議会.

2016.04~2020.03, 将来計画委員会.

2016.04~2020.03, 人事委員会委員.

2016.04~2020.03, 予算管理委員会.

2016.04~2020.03, 大学評価委員会.

2016.04~2020.03, 男女共同参画推進委員会.

2016.04~2020.03, ハラスメント委員会.

2016.04~2020.03, 基金委員会.

2016.04~2020.03, 百周年記念事業委員会.

2016.04~2020.03, 百周年記念事業専門委員会.

2016.04~2020.03, 総合研究棟(病院地区)管理運営委員会.

2016.04~2020.03, 応用力学研究所運営協議員.

2016.04~2020.03, 所長・センター長・研究部門長等会議.

2016.04~2020.03, 放射線安全委員会.

2016.04~2020.03, 自己点検評価委員会.

2016.04~2020.03, ハラスメント防止委員会.

2016.04~2020.03, 情報公開・個人情報保護委員会.

2016.04~2020.03, 多階層生体防御システム研究拠点運営委員会.

2016.04~2018.03, 九州大学先端医療イノベーションセンター評議委員会.

2015.04~2016.03, 個体機能制御学部門 部門長.

2013.04~2015.03, 副所長.

2013.04~2014.03, 多階層生体防御システム研究拠点 共同利用・共同研究委員会 副委員長.

2013.04~2017.03, 百年史編集委員会.

2012.04~2013.03, 多階層生体防御システム研究拠点 共同利用・共同研究委員会 委員.

2011.04~2019.03, 遺伝子治療臨床研究倫理審査委員会.

2011.04~2018.03, 大学文書館委員会委員.

2010.04~2012.03, ハラスメント対策委員会委員.

2009.05~2011.04, 遺伝子治療臨床研究倫理審査委員会.

2009.04~2016.03, 大学評価専門委員会委員.

2008.04~2010.03, 個体機能制御学部門 部門長.

2007.04~2009.03, 大学評価専門委員会委員.

2007.04~2008.03, 副所長.

2007.04~2017.03, 創立百周年記念事業専門委員会.

2007.04~2009.04, 遺伝子治療臨床研究審査専門委員会.

2007.04~2008.03, セクシャルハラスメント等防止委員会委員.

2007.04~2008.03, 寄附研究部門運営運営会委員.

2007.11~2014.11, 病院地区エネルギー管理対策WG.

2006.04~2010.03, 産学連携推進専門委員会.

2006.04~2008.04, 附属図書館医学分館運営委員会.

2005.04~2009.03, 九州大学別府地区将来計画検討委員会.

2005.04~2007.03, P&P専門部会.

2004.04~2006.03, 腫瘍センター委員会.

2004.04, 共通機器室運営委員会.

2004.04~2006.03, 副所長.

2004.04~2013.03, 核燃料物質管理委員会.

2004.04, 自己点検・評価委員会委員.

2003.02~2006.03, 生体防御医学研究所部門長会議.

2002.04~2013.03, 技術室長.

2000.04~2003.03, 遺伝子解析倫理審査専門委員会.


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