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久木田 敏夫(くきた としお) データ更新日:2019.06.28

教授 /  歯学研究院 歯学部門 口腔常態制御学講座


大学院(学府)担当

歯学府 歯学専攻 口腔常態制御学講座

学部担当



電子メール
電話番号
092-642-6300
FAX番号
092-642-6304
就職実績-他大学
就職実績有, アメリカ合衆国テキサス州立大学医学部サンアントニオ校血液学部門(1987年1月−1989年3月)
取得学位
歯学博士(九州大学)
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
解剖学・骨細胞生物学・免疫学・組織発生学
外国での教育研究期間(通算)
00ヶ年00ヶ月
活動概要
骨は非常に新陳代謝が活発な動的な組織である。形成と吸収(骨破壊)の微妙なバランスがまだ未知の巧妙な機構により厳密に保たれている。破骨細胞によって骨が吸収されると、未分化間葉細胞に由来する骨芽細胞による骨形成が行われることにより骨量が一定に保たれる(「骨改造」「骨リモデリング」と呼ばれている)。骨吸収と骨形成のバランスが崩れると骨粗鬆症などの代謝性骨疾患となる。また、歯周病などで認められる炎症性骨破壊も骨吸収のほうに骨代謝のバランスが大きく傾いた結果と解釈できる。吸収と形成のバランスを保障する分子機構を解明するためには、骨芽細胞及び破骨細胞の分化・機能の制御機構及び両細胞の相互作用に関する豊富な知見が必須である。しかしながら現在までのところ、基本的な骨改造現象を分子レベルで説明できる程に十分な科学的情報は集積されていない。

  筆者は破骨細胞が膜表面に保有している分子や分泌する蛋白質が、骨芽細胞への骨改造シグナルの伝達において中心的役割を果たすと想定しており、破骨細胞の分化及び活性化に伴い発現する膜表面分子及び分泌性の因子が骨改造のカギを握っているものと考えている。骨吸収の主役を担っている破骨細胞は大型で多核の細胞であり、造血幹細胞に由来する単核の前駆細胞どうしが特異的に融合することにより形成される。筆者等は破骨細胞の膜表面に特異的に存在する蛋白質の中に、骨改造制御において重要な役割を演じている分子があると想定し、そのような分子群の探索を活発に行ってきた。
以前、マクロファージ細胞株RAW264細胞を利用して破骨細胞の前駆細胞株の作製に力を入れていた際に、極めて効率良く破骨細胞に分化するクローン(RAW-D細胞)と全く分化しないクローン(RAW-N細胞)を得ることができた。両クローンの遺伝子発現の差を分子生物学的な手法と免疫学的な手法を用いて、前駆細胞どうしの融合に於いて重要な役割を果たす7回膜貫通型膜分子DC-STAMPを見出すことができた(熊本大学医学部・野見山博士との共同研究)。この研究により、破骨細胞分化に於ける一つのハイライトとも言える前駆細胞間の特異的融合機構の一部が解明された。

一方、歯周病や慢性関節リウマチにおける病的骨破壊に於いては通常の骨改造が破綻しており、(炎症等の)病的環境下で形成され異常に活性化された破骨細胞により激しい骨破壊が起こる。我々はこのような病的骨破壊を専ら行う破骨細胞を「病的活性化破骨細胞:Pathologically Activated Osteoclast (PAOC)」と呼んでおり、正常破骨細胞とは由来と細胞特性が異なっている可能性を報告している。現在、正常破骨細胞とPAOCの細胞生物学的特性の違いを重点的に解析している。PAOC特異的分子を標的とする病的骨破壊の特異的制御の実現に向けた研究を行っている。
このように、我々は「基本的な骨の健康を保証する骨改造制御機構」を探るとともに、「正常な骨改造には全く影響を与えずに病的骨破壊のみを阻止する方法論の開発研究」を行っている。また再生医学で非常に有用である間葉系幹細胞を関節炎動物に移植することにより、関節炎を治癒できることや、自然免疫を担う免疫制御分子TIM3(膜表面分子)が炎症性骨破壊制御の分子標的となる可能性も示し、病的骨破壊の免疫学的制御の可能性についても報告してきた。更に、破骨細胞分化過程においてトンネル状膜ナノチューブという極めて細いトンネル状の細胞間橋が形成され細胞どうしが緊密に連絡を取り合っていることを明らかにしており、骨改造現象においても膜ナノチューブというアナログ的な構造体による微細な調節機構が存在するものと推定している。更に、免疫学的な手法を用いて骨芽細胞と象牙質形成細胞である象牙芽細胞に特異的な膜表面分子を見出しており、骨再生及び、象牙質再生(歯の再生)の為に有用なシーズを得ている。
本研究は歯科医学の領域にとどまらず、広く医学全般及び細胞生物学全般にも貢献しうる波及効果の極めて高い研究と思われる。
 
現在、展開中のプロジェクトは次の通りである。

1)PAOC特異的分子の検索・解析と炎症性骨破壊の特異的制御 

2)破骨細胞分化・機能発現の制御機構 

3)破骨細胞・骨芽細胞相互作用(共役・カップリング)の分子機構 

4)骨芽細胞特異的膜表面分子による骨改造制御

5)間葉系幹細胞による炎症性骨破壊制御 

6)自然免疫制御分子による骨代謝制御

7)膜ナノチューブによる骨改造調節機構

8)癌の骨転移機構

9)象牙質の再生:免疫学的アプローチ

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