九州大学 研究者情報
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後藤 貴文(ごとう たかふみ) データ更新日:2016.05.26

准教授 /  農学研究院 農学部附属農場 動物海洋生物資源学講座、家畜生産生態学分野


大学院(学府)担当

学部担当

農場

その他の教育研究施設名



電子メール
ホームページ
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/kuju_hp/
九州大学農学部附属農場高原農業実験実習場の公式ホームページ。当実習場のスタッフ、研究内容、活動等について紹介してあります。 .
電話番号
0974-76-1377
FAX番号
0974-76-1218
取得学位
博士(農学) (タイトル:黒毛和種の産肉能力と骨格筋の組織化学的特質に関する研究)
専門分野
畜産学、代謝インプリンティング(プログラミング)、家畜生体機構学、家畜栄養生理、家畜管理、IoT牧場システム、ダイレクトマーケット
活動概要
バックグラウンド:
  近年、輸入飼料に過度に依存している日本の牛肉生産はBSE(牛海綿状脳症)等の発生に見られる食の安全性に関する問題、集約的経営形態から排出される大量の糞尿処理問題、それに関わる環境問題、集約的な飼養形態における家畜福祉等の多くの問題を抱えています。現在、BSE感染の危険性のある外国産の牛肉の輸入が制限されていますが、日本において牛肉生産に使用されるほとんどの穀物飼料は、アメリカを中心とした外国からの輸入に依存しています。極端な言い方をすると、和牛肉と言っても、実は外国の飼料からつくられていると言えるかもしれません。和牛は、出荷されるまでに“ヒトの食料ともなり得る”穀物を1頭当たり5トン余りも食べています。また、石油の枯渇に対する不安から、穀物のバイオ燃料化の施策が世界的に進められようとしています。飼料をほとんど輸入に依存したわが国の加工畜産システムは著しく危ういと言わざるを得ません。
  ウシは本来、“ヒトが消化できない粗い繊維質(通常の単胃動物では消化できない繊維性の高い植物多糖資源)を分解し”、“草資源からタンパク質源としての食肉やミルクを生産し”、それをヒトに供給するという重要な物資循環機能を担った草食動物(反芻動物)です。現在、日本には放棄された多くの農地、草地ならびに草原がありますが、それらの土地は過去様々な食料を生産していた貴重な農地であり、そのような土地を農地として保全しておくことは食料自給率が40%と低い日本にとって、有事の備えとしても重要です。
私たちはこのような国内の草資源を活用する牛肉生産に適応したウシの“体質形成プログラム構築”のために“代謝インプリンテング(刷り込み、あるいは代謝プログラミング)”という新しい概念を導入し(草からの栄養吸収能力を高める体質つくり)、これまで不可能とされてきた草資源を活用した安全で良質な牛肉の生産を目指しています。近年、胎児期から生後の初期成長期の各臓器の形成・成熟の感受性の高い、いわゆる可塑性の高い時期の栄養環境により、その後の動物体の代謝システム、特に肝臓、骨格筋および脂肪組織の代謝に多大な影響を及ぼすことが報告されています。エピジェネティクス研究と関連して代謝インプリンティング(代謝プログラミング)とも呼ばれています。このメカニズムを家畜の飼養技術としてポジティブに取り入れ、すなわち、胎児期あるいは初期成長期の栄養制御により、 ウシのフルライフにわたる基盤的な代謝レベルをプログラミングし、最終的な産肉性、特に肉質と肉量を制御し、効率的、省力的かつ種々の環境に適合できる次世代型の革新的家畜飼養システムを開発したと思っています。現在の“ブロイラー”型の牛肉生産ではなく、“地鶏”型の牛肉生産を目指しています。具体的には、国内の荒廃した農地や草原をフル活用し、放牧飼養により赤身肉がおいしく、同時に適度な脂肪が交雑した牛肉の生産を目指しています。近年、ヒトの疾病を予防するようなベータカロテン等のビタミンやその他の機能性物質も“脂溶性”のものが多く報告されています。初期成長期の体質制御により、牛体に脂肪組織がより多く蓄積されれば、その脂肪の中への、上に述べた脂溶性ビタミンや機能性物質の蓄積ポテンシャルも高くなり、生産される牛肉のヒトへの疾病予防に対する効果がより高くなることが予想されます。私たちは九州大学から、国内の草資源をフル活用して、おいしい赤身肉と、その中に多くのビタミンや機能性物質を含んだ脂肪が適度に交雑された安全・安心な新しいタイプのブランドビーフの開発を目指しています。

新規牛肉生産システム Q Beef 戦略:
高原実習場における最終的な生産物は「Q beef」として、平成24年3月九州大学公式ビーフ(九州大学ブランドグッズ)に認証していただき、今後、環境保全型の生産システムも含めて世の中に提唱したい。2014年度より、九大TLOの株式会社産学連携機構九州と連携して、QBeefの技術移転を目指している。

戦略:1. 植物資源循環を目指した次世代型牛肉生産システムの開発:代謝インプリンティング戦略
  近年、胎児期や生後の初期成長期に受けた栄養刺激により、その後の動物体の代謝システム、体質および形態に多大な影響を及ぼすことが明らかになりつつある。これはDOHaD(Developmental Origins of Health and Disease:成長過程の栄養状態や環境因子の作用に起因する疾患の発生) という概念として医学分野で捉えられ、エピジェネティクス研究分野と関連して代謝インプリンティングとも呼ばれる。この機構を家畜の飼養にポジティブに取り入れ、すなわち、胎児期あるいは初期成長期の栄養制御により、 フルライフにわたる基盤的な体質あるいは代謝レベルを制御し、飼養管理者の目的とする動物生産あるいは生産物を、効率的、省力的かつ最大の結果を得るべく生産する次世代型の革新的家畜飼養システムを開発する。 特に、この代謝インプリンティングを反芻家畜のウシに応用することで、ヒトが消化できない植物資源(セルロース等、繊維性の高い植物多糖資源)からタンパク質生産および良質牛肉の生産効率を革新的に向上させる。 ウシは本来、ヒトが消化できない植物中の粗い繊維質を分解吸収し、タンパク質としての食肉を生産し、ヒトに供給する重要な物資循環機能を担った反芻家畜(草食動物)である。近年、輸入飼料に過度に依存する日本の牛肉生産はBSEや口蹄疫等の発生に見られる食や家畜の安全性に関する問題、集約的経営から排出される大量の糞尿処理、それに関わる環境問題、筋内脂肪交雑度に過度に傾倒した市場の硬直化、および集約的飼養管理における家畜福祉等の多くの深刻な問題を抱える。環境や資源循環に配慮した低炭素社会の構築のためには、現在の生産システムを変換し、植物資源の高度活用による環境に調和した資源循環型の牛肉生産システムを開発する必要がある。代謝インプリンティングはそれらを解決できる反芻家畜飼養システムにおける革新的技術基盤となる。これにより穀物飼料の輸送等に関わる温室効果ガスの低減、輸入飼料に起因した循環不能の糞尿低減、放牧推進等による飼養労力の低減および景観や農地保全、国産植物資源活用による飼料自給率向上と食の安全等を実現し、グリーンイノベーションと健康社会の推進に貢献する。同時に植物資源を基盤とした経営により、畜産農家のライフスタイルおよび流通システムをも変革する次世代型の第一次産業の構築をも目指す。

戦略:2.耕作放棄地等、日本国内の未利用地の活用.

戦略:3.先端ICT技術による畜産の効率化・省力化.
  Q beef生産システムと耕作放棄地の放牧活用等の効率的管理のためICT技術による放牧管理システム開発の共同研究を民間のメーカーとともに取り組み始めた。牧場として、多くの家畜と莫大な草地を活用した先端技術研究として牧場管理革新に向けて大きな位置づけを置いている。放牧牛のインプラント・バイタルセンサーや測位、呼び寄せシステム等を開発している。画像解析による体重推定ソフトウエア等の研究も開始した。

戦略:4.ダイレクトマーケティングによる消費者との絆による農家の効率的マーケティング.
  冷凍牛肉、カレーおよびハンバーグ等のネットによるテスト販売によるダイレクトマーケット構築を目指している。

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