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山口 明彦(やまぐち あきひこ) データ更新日:2017.05.18

助教 /  農学研究院 資源生物科学部門 海洋生物生産学


大学院(学府)担当

学部担当



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http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/sui1/lmb.html
魚類は脊椎動物の中で最も種類が多く、海洋表面から水深1キロの深海に至るまで生息し最も繁栄したグループともいえます。その一部は4億5千年前に陸上へと進出し四足動物へと進化していきました。このような進化の道筋は形態、組織、細胞、蛋白質、遺伝子(DNA)のさまざまなレベルで記録されています。すなわち魚類特有の現象を解析することにより、魚類や他の陸上に生息する脊椎動物がいかに環境に適応していったのかを知ることができるわけです。魚類は他の脊椎動物とは異なるさまざまな特徴を持っていますが、特に生殖生物学を中心に研究しています。現在、魚類配偶子の形成と成熟機構、および性決定、分化機構、 また環境刺激と行動・内分泌機構に関して分子生物学、細胞生物学的手法を用いて解析しています。哺乳動物やヒトで解明されていることが、生き物のすべてを表現しているわけではありません。魚類特有の現象を解析することにより、生き物のたどった進化の道筋を理解したいと考えています。さらに得られた結果は水産増殖学として、魚類の種苗生産法への応用を考えます。 .
取得学位
学術博士(理学)
専門分野
生殖生物学 分子細胞生物学
活動概要
研究概要:動物の性はゲノム上の性決定遺伝子で決定されるが、生殖腺の分化にはクロマチンの構造変化および、さまざまな転写因子が関与する。生殖器官内で、精(卵)母細胞は、減数分裂を経て半数体の生殖細胞となるが、さらに形態的変化(精子変態、卵黄の蓄積等)を完了し、成熟過程(排精,排卵)を経て、初めて受精および発生が可能となる。このような生物界に共通な基盤である生殖細胞の形成機構、生殖細胞構造および成熟過程の分子機構を、魚類(キンギョ、ゼブラフィシュ,フグ)を実験材料に用いて解析している。手法としては分子生物学、細胞生物学を用いている。また、魚類の環境応答に関しても分子レベルでの解析を行っている。

(1)卵母細胞核に関する研究
無セキツイ、セキツイ動物の卵母細胞の核は巨大であり、卵核胞(GV: germinal vesicle)と呼ばれる。このような巨大な核は初期発生に必要なタンパク質を大量に蓄えるという役割を担っているが、その構造および機能は全く解明されていない。我々はすでに核膜を裏打ちする核ラミナを構成する中間径繊維タンパク質であるラミンを魚類から初めて単離、精製、およびその遺伝子のクローニングに成功している。このラミンタンパク質を足がかりに、卵母細胞の核構造ネットワークを構築する分子を同定し、生殖細胞の分化・成熟機構を解析する。また、巨大な核(GV)を形成するための、タンパク質の核(GV)輸送に関する新しいメカニズムを研究している。

(2)卵成熟および卵質に関するシグナル伝達の研究
卵母細胞は細胞周期のG2期に停止しているが、脳下垂体から分泌される生殖腺刺激ホルモン(GTH)により、濾胞細胞から卵成熟誘起ホルモン(MIS)が分泌され最終的に、卵細胞質内で卵成熟促進因子(MPF)が活性化し卵成熟が進行する。MPFはプロテインキナーゼであり、タンパク質のリン酸化が卵成熟過程での細胞周期の移行(G2期からM期)に必要不可欠である。しかしMPFの下流でどのようなシグナル伝達が行われているかは解明されていない。M期には核膜崩壊、核ラミナの脱重合、染色体の凝縮がおきる。この中でもまず、ラミナ脱重合の仕組みはいまだに謎が多く不明な点が多い。卵成熟のGVBD(卵核胞崩壊)のラミンの脱重合機構を解明する。最近では真核生物でスプライシングを担うSRPK1キナーゼが、魚類GVラミンB3のcdc2部位をリン酸化することを明らかにした。

(3)生殖細胞形成、分化に関する研究
魚類の性分化は受精後数週間以内におこるが、哺乳動物とは異なり、生殖腺形成後も容易に性転換する事がしられている。しかし魚類においては性の決定機構さえもまだ完全には解明されておらず、多くの未知の問題を含んでいる。有用魚種等を用いて、生殖腺形成および分化機構を、核構造(核マトリクス)や転写因子解析を含め、分子レベルで解明する。 
現在は特に、アロマターゼに的を絞り解析している。魚類には脳型、卵巣型の2種類のアロマターゼが存在するが、特に脳型アロマターゼとステロイドホルモンおよび生殖行動との関係を細胞生物学的に解析する。現在は特に脳・下垂体などで働く性ステロイド(アンドロゲン・エストロゲン)およびその受容体とその代謝経路について研究を進めながら、トラフグ初回成熟に関するネットワーク機構を明らかにしたいと考えている。

(4) 環境応答に関する研究
トラフグ仔稚魚等を用い、色などの環境刺激に対する行動反応性を分子レベルで解析している。特に視物質とその反応(攻撃や群れ行動)に関しての研究を行っている。

教育活動:部2・3年生の学生実験と科学英語を主に担当している。また卒論学生、研究生および院生のコア科目あるいは実験の指導ならびに補助を行っている。留学生G30プログラムの英語講義(Animal and Marine Life Science) を担当。

社会活動:特になし。

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