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作見 邦彦(さくみ くにひこ) データ更新日:2019.06.25

准教授 /  生体防御医学研究所 個体機能制御学部門 脳機能制御学分野


大学院(学府)担当



電子メール
電話番号
092-642-6803
FAX番号
092-642-6804
取得学位
理学博士
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
分子生物学
活動概要
酸化と脱アミノ化は核酸,特にプリンヌクレオチドの生体内における化学修飾の代表的なものである。dATP とdGTP はそれぞれ,酸化されると2-OH-dATPと8-oxo-dGTPが生じ,また脱アミノ化されるとdITPとdXTPになる。これらの修飾ヌクレオチドは元のヌクレオチドとは異なる塩基と対合する性質を有しており,突然変異ひいては発がんの原因となると考えられる。DNAの酸化によって生じる8-oxoguanineはCだけでなくAとも対合できるためG:C→T:A transversion突然変異の原因となる。我々は8-オキソグアニン(8-oxoG)に起因する突然変異を抑制する役割を持つ3種類の酵素,8-oxodGTPase (MTH1)と8-oxoG-DNAグリコシラーゼ (OGG1),8-oxoG:A特異的アデニングリコシラーゼ(MUTYH)を欠損させたマウスを作製,生殖細胞に生じるG to T突然変異が8-oxoGによって生じることを明らかにした。
また,脱アミノ化プリンヌクレオチドが生体に及ぼす影響を解析するために脱アミノ化プリンヌクレオシド3リン酸を分解する酵素,ITPaseをコードする遺伝子のノックアウトマウス(Itpa遺伝子欠損マウス)を作製,解析を行い,Itpa遺伝子ホモ欠損マウスが,新生児期に成長遅延を呈し,生後14日前後で死亡することを示した。電子顕微鏡による観察で心筋のサルコメアの構造異常が確認され,生化学的解析からは赤血球に ITPの蓄積すること,臓器のRNAにイノシンヌクレオチドが蓄積していることが確認された。近年,ヒトのITPA遺伝子がItpa遺伝子欠損マウスと類似の症状を示す重度の先天性疾患(EIEE35)の責任遺伝子であることが報告された。
 これらの研究によって明らかになったことは,遺伝情報の本体であるDNAの酸化や脱アミノ化とそれに起因する突然変異は我々の細胞も含め,健常な細胞の中で自然に発生しているということである。突然変異の原因が,紫外線や発がん性物質といった生体外からのものだけでなく,呼吸などの生命活動に伴って細胞の中でも発生しているという事実は,突然変異の発生が生命と切っても切れない現象であることを意味する。
 もし,細胞分裂あたりの突然変異発生率が [ 1/ゲノムサイズ,例えばヒトの場合1.7x10-10 mutation/bp/division ] を超えた場合,細胞が分裂するたびに突然変異が発生,蓄積し,例えばヒトの場合,1個の受精卵から発生するにもかかわらず全身の細胞はそれぞれ異なるゲノムを持つモザイク生物であることになる。「世代あたりの突然変異発生率」と「細胞分裂あたりの突然変異発生率」は個々の生物の進化や特性を考える上で基本となるパラメーターである。また,細胞分裂あたりの突然変異発生率はiPS細胞等を再生医療で使用する際のリスクを正確に推定するため,さらにその抑制方法を探索していくために必須のパラメーターでもある。ヒトやその他の生物の細胞レベルでの自然突然変異頻度を明らかにし,また変異発生を抑制する方法を探していきたい。

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