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作見 邦彦(さくみ くにひこ) データ更新日:2018.06.18

准教授 /  生体防御医学研究所 個体機能制御学部門 脳機能制御学分野


大学院(学府)担当



電子メール
電話番号
092-642-6803
FAX番号
092-642-6804
取得学位
理学博士
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
分子生物学
活動概要
酸化と脱アミノ化は核酸,特にプリンヌクレオチドの生体内における化学修飾の代表的なものである。dATP とdGTP はそれぞれ,酸化されると2-OH-dATPと8-oxo-dGTPが生じ,また脱アミノ化されるとdITPとdXTPになる。これらの修飾ヌクレオチドは元のヌクレオチドとは異なる塩基と対合する性質を有しており,突然変異ひいては発がんの原因となると考えられる。DNAの酸化によって生じる8-oxoguanineはCだけでなくAとも対合できるためG:C→T:A transversion突然変異の原因となる。DNA中の8-oxoguanineの含量を下げるために働いていると考えられる2つの酵素,8-oxo-dGTPaseと8-oxoguanine-DNA glycosylaseをコードする遺伝子(それぞれMTH1とOGG1)のノックアウトマウスを用いてこれらの遺伝子産物の発癌防御における役割を個体レベルで明らかにしようと試みた。野生型,OGG1遺伝子欠損,MTH1遺伝子欠損,およびMTH1, OGG1二重遺伝子欠損マウスを作製し,それぞれのマウスの自然発癌頻度を比較したところ,OGG1遺伝子欠損マウスで肺腫瘍が高頻度に発生すること,MTH1, OGG1二重遺伝子欠損マウス及びその子供にはその腫瘍が発生しにくいことを見いだした。DNA中の8-oxoguanineの量を測定したところOGG1遺伝子欠損マウスとMTH1, OGG1二重遺伝子欠損マウスで野生型マウスの約6倍の蓄積が確認できた。
また,脱アミノ化プリンヌクレオチドが生体に及ぼす影響を解析するために脱アミノ化プリンヌクレオシド3リン酸を分解する酵素,ITPaseをコードする遺伝子のノックアウトマウス(Itpa遺伝子欠損マウス)を作製,解析を行った。Itpa遺伝子ホモ欠損マウスは,新生児期に消化管にミルクを確認できるにもかかわらず成長遅延を呈し,生後14日前後で死亡した。心臓を電子顕微鏡で観察したところ,心筋のサルコメアの構造異常が確認された。生化学的解析より赤血球に ITPの蓄積が,また複数臓器のRNAにイノシンヌクレオチドの蓄積が確認された。このことは,脱アミノ化プリンヌクレオチドが細胞内で確かに産生していること,ITPaseはこれらの修飾ヌクレオチドを分解する役割を担っていることを示している。現時点ではITPが細胞内の種々の反応でATPと拮抗することにより心筋の機能を阻害し,その結果としてItpa遺伝子ホモ欠損マウスは心筋症様の症状を呈して死亡すると考えている。このように脱アミノ化ヌクレオチドや酸化ヌクレオチドはDNAに取込まれて作用するだけでなく,単独で,あるいはRNAに取込まれることでもまた生体に影響を与えている。これらの修飾ヌクレオチドが生体に与える影響を網羅的に調べるために,Itpa欠損細胞,あるいは酸化ヌクレオチドで処理したMth1欠損細胞を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ,それぞれ特徴的な遺伝子発現プロフィールの変化が観察された。これらの変化と修飾ヌクレオチドの因果関係を分子レベルで明らかにし,抗癌剤等の薬剤設計につなげたいと考えている。

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