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三森 功士(みもり こおし) データ更新日:2019.07.09



役職名

九州大学病院副病院長


ホームページ
https://www.beppu.kyushu-u.ac.jp/gekareview/
九州大学病院別府病院外科 .
電話番号
0977-27-1645
FAX番号
0977-27-1651
取得学位
医学博士
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
消化器外科
外国での教育研究期間(通算)
00ヶ年00ヶ月
活動概要
当教室では、がん患者の生命予後延長とQOLの改善を最も重要な目的とした研究を掲げている。そのためにも、早期で個別に確実な診断・治療を実現することを目指している。われわれのアプローチは、『基礎研究を行い本質的な理解をできるだけ深めて、得られた成果のなかからっトゥルーヒットを同定し、検証ののちに臨床応用をめざすこと』としている。
【1】基礎研究:がん進化の研究
1)大腸がん原発巣における進化: 当研究室では, 9症例の進行大腸がんについて原発巣を多分割してWES、SNPアレイ、メチル化アレイを実施した。サブクローナル変異は1サンプルあたり4割程度存在し、そのほとんどはパッセンジャー変異で形成されていた(Uchi R.Takahashi Y., et al. PLoS Genet 2016)。一方、早期大腸がんの進化の過程についても同様に多領域WESを施行し同様に解析を行い、進行がんと比較し大腸がんの進化を明らかにしている(Saito T., 投稿中)。
2)クローナルな変異遺伝子の解析:われわれは大腸がんにおける先行研究の結果、真の治療標的としてクローナルに生じるイベントに注目し、具体的にはそこに局在するゲノム上の変異や増幅に注目している。クローナルな増幅を来すゲノム領域として、注目しているのが7番染色体であり、局在する遺伝子について臨床的意義を明らかにした。PSPH (Sato K., et al. Anticancer Res. 2017)、ARL4C (Hu Q, et al. Ann Surg Oncol 2018)などであるが、これら以外の遺伝子も鋭意解析をすすめている。

3)原発巣から転移巣への進化: 癌研有明病院外科 長山 聡先生との共同研究により、転移再発を有する大腸がん症例のゲノム突然変異およびコピー数変異を比較した。大腸がん原発巣と転移巣よりゲノムDNAの全エキソームおよびRNA seqを実施した。その結果、転移巣および原発巣におけるドライバー遺伝子変異は差が無かった。またCNAについても両者は均等であった。しかしRNA解析の結果CD8発現および機能的にTCRレパトアの多様性は転移巣で有意に低値を示した。したがって、転移の有無を決めるのはがん細胞のゲノム変異そのものではなく、微小環境の腫瘍免疫応答が選択圧となっていることを示した (Sakimura S., et al. 投稿中)。

4)新たな進化経路を示す大腸がん:大腸癌の発癌経路は、腺腫を介して癌化するadenoma-carcinoma sequenceがメインルートと考えられてきた。一方、腺腫を介さずに正常粘膜が直接癌化したと考えられるde novo 癌と考えられる陥凹型大腸癌が多数報告され、広く知られるようになった。陥凹型大腸癌は腫瘍径が小さいうちに、深部に浸潤し、脈管侵襲や転移を生じやすい傾向がある。本研究では次世代シークエンサーを用いた統合的遺伝子解析により、陥凹型大腸癌の分子生物学的特徴を明らかにする(Kouyama Y et al. 投稿準備中)。

5)遺伝性消化器腫瘍のゲノム解析:遺伝性腫瘍のターゲットパネルは、生殖系細胞系列の遺伝子多型も併施しパネルに反映されるだけに、わが国において地域差なく普遍的に検出することが可能であることを示すためにも、できるだけオールジャパンの検体で検証をする必要性がある。当院を中心としたネットワークは、多くの共同研究施設の参加を御期待いただいている。したがって多施設共同研究により、1)Lynch症候群大腸がん症例を集積して、多遺伝子パネル解析の臨床診断における精度検証実験を行いたい。また、生殖細胞系列に異常のない孤発性症例も存在することから、2)同パネルが孤発性においても応用可能であるかを明らかにしたい。

【2】臨床研究:
1)根治手術可能な乳がん患者に対する SK-818 の安全性評価のための医師主導治験:SK-818は、株式会社三和化学から1996年より医薬品として承認されている慢性B型肝炎治療薬であり、20年来の使用経験から安全性がある程度担保されているだけでなくドラッグリポジショニング(安価な薬剤の適応疾患の拡大)の観点から医療経済的にも良好である。昨年度末で無事に安全性試験を終えている。現在、第二相試験に進展するために様々な努力を重ねている。また、乳がん原発巣におけるSK818の抗腫瘍効果についても鋭意解析中である。
 一方、CCL2活性については、乳がん以外の癌腫でも転移再発時に高値を示す事を明らかにした。高野病院の大腸がん70症例で経時的に採血し、測定したところ、再発例において有意にCCL2活性の値の差が大きくなっていた。また、原発巣と転移巣とを比較したところ、転移巣でのみCCL2とマクロファージとの発現が有意に相関していた。すなわち癌転移再発時に転移巣におけるマクロファージによるニッチ形成時にCCL2が役割を果たすなど基礎研究の結果が大腸がん症例でも明らかにされた。

2)別府市スマートライフシティ計画: 分子標的薬の登場により進行・再発固形がん症例の予後は飛躍的に改善されてきた。しかし、有害事象発現のため、薬剤の減量・中止・変更をしなければならない症例や、期待通りの抗腫瘍効果を認めない症例が存在し、バイオマーカーの確立は喫緊のそして長年の課題である。また、個々の患者の精緻なゲノム情報が解析できる様になり、ゲノム変異情報に基づく個別化医療は実用化されつつある。具体的には担がん患者の1)遺伝的背景因子である遺伝子多型情報と2)がん原発巣局所における体細胞変異情報とがこれに相当する。両者を包括的に解析しかつ有機的に連携させることは、がん患者のQOLの向上と全生存率の改善に寄与すると期待される。また個々のゲノム変異情報を精確に把握し、基幹病院と地域の各連携医療機関とで時・空間的に情報共有できれば、在宅地域医療を推進させるなど、より社会実相に適合したがん診療が期待できる。われわれとYahoo. JAPANはゲノム情報と臨床情報を高度なセキュリティの管理のもとクラウド上で運用し、遺伝子多型情報および体細胞変異情報が実臨床の経過観察において重要かいなかを明らかにする。真の個別化医療実現のために共同研究医療機関との間における情報共有のシステムを構築したい

3)リキッドバイオプシー計画
(1)消化器がん血液中で検出されるctDNAの特徴: ctDNA変異が検出されるクローンの特徴は明らかではない。大腸がんは原発巣から再発を来すまでの過程において、転移再発を決める選択圧のひとつとして腫瘍免疫の関与が考えられる。がん再発時にctDNAで変異が検出されるクローンの特徴について腫瘍免疫応答の視点から明らかにした。
(2)慢性炎症と胃癌:上部消化管内視鏡検査により、胃粘膜の萎縮の広がりを分類した「木村・竹本分類」という分類法があり、この分類法は、Close(C)とOpen(O)の各々1-3段階で萎縮の程度を示しており、C-1からO-3になるほど萎縮が進行した前癌状態と考えられ胃癌のリスクが高いとされている。われわれは胃前がん病変を有する症例の血清中に存在するmicroRNAを同定した。前向き研究で検証の後、論文報告としたい。

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