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平島 剛(ひらじま つよし) データ更新日:2017.05.17

教授 /  工学研究院 地球資源システム工学部門 資源システム工学講座


大学院(学府)担当

学部担当

その他の教育研究施設名

役職名

炭素資源国際教育研究センター 副センター長


電子メール
ホームページ
http://process.mine.kyushu-u.ac.jp/
資源処理・環境修復工学研究室 .
電話番号
092-802-3337
FAX番号
092-802-3337
取得学位
工学博士
専門分野
資源処理工学、粉体工学、リサイクル工学
活動概要
はじめに
鉱山開発から生まれた資源処理技術は、現在、リサイクル、廃棄物処理、環境修復技術等として利用されており、今後は環境と資源問題を一挙に解決するための資源循環型技術として発展が期待されている。我々は、これらの教育を行うとともに資源処理技術の高度化に関する研究、持続可能な循環型社会構築に貢献する資源リサイクル技術の開発、汚染土壌・汚染水の浄化(環境修復)技術の開発、環境負荷低減型燃料開発などの研究を行っている。いくつかの研究を以下に紹介する。

下水処理場からのリン回収とその有効利用
下水処理場に流入する下水中にはBOD、窒素、リン等の環境汚染物質が多く含まれている。これら3つの処理対象物質の内、BOD及び窒素は活性汚泥による生物学的処理によりそれぞれCO2、及びN2としてガス化され大気中に放出されるが、リンは無害のガス化処理が困難であり化学的または生物学的に発生汚泥中に濃縮する処理が一般的である。リンは有用枯渇資源であり我が国はほぼ全量を輸入にたよっているがリンのリサイクルは現時点ではほとんど実用化されていない。著者らは、下水汚泥中のリンをなるべく安価にStruvite (MgNH4PO4・6H2O)の形態で回収することを目指している。現在まで、現場試験により既存の下水消化汚泥中に自然発生した粒径100μm以上のStruviteは、「振動ふるい、4インチハイドロサイクロン、2インチハイドロサイクロン、MGS (Multi-Gravity Separator)」を用いた湿式選別プロセスにより、90[%]以上の回収率で回収することが可能であることを明らかにしている。また回収したStruviteの有効利用法についても研究を行なっている。

湿式処理法によるコンクリート廃材の完全リサイクル
わが国のコンクリート塊は、毎年約3500万トン程度排出されている。そのうちの約96%は再資源化されているが、路盤材等の道路用に限られている。今後、コンクリート廃材の増加、路盤材等の道路用利用の減少が見込まれること、国内の良質な天然骨材、石灰石資源の減少及び最終処分場の減少などのために、従来の用途を変更したワンウェイ処理としての再利用ではなく、コンクリート塊の完全リサイクルが急務となっている。我々は、湿式選別法により、JIS規格をほぼ満たす品質の再生細骨材を高比重産物として回収できること、また、低比重産物として炭酸カルシウム、セメント水和物を多く含む再生微粉末を回収できることを明らかにしている。また、再生微粉末中の細骨材混入率を従来法に比べ著しく低減でき、セメント原料の40%程度と置換でき、湿式選別法により回収した再生微粉末をセメント原料として多量に利用できる可能性を見出している。

木質系バイオマスおよび未利用低品位炭化水素資源の燃料化
 炭酸ガス排出削減のために再生可能エネルギー利用の普及拡大が望まれており、その中でもバイオマスに対する期待が高まっている。バイオマスは、燃料として利用してもSOx、灰分の排出量が少なく再生可能なことから環境負荷低減型燃料といえる。バイオマスはこのような特徴を有しているが、これらのバイオマスをそのままバルクで取り扱うには発熱量が低く非効率である。また、乾燥に多大なエネルギーが必要であることから、バイオマスを比較的低コストで改質し、取り扱い容易な燃料にする技術が望まれている。我々は、水熱反応を木質系バイオマスの燃料化に適用し、自然界で数千万年以上かかる石炭化を人工的な処理により数十分で終了でき、環境負荷低減型燃料を製造できることを見出した。また、高水分、低炭化度のためほとんど利用されていないピート、褐炭、亜瀝青炭などの低品位炭も同様な方法で高品質化できることから、現在これらの燃料化研究を行っている。

石炭飛灰からの中空球形微粒子の回収
石炭灰は現在、主にセメント原料として有効利用されているが、セメント需要の停滞等により、セメント分野での石炭灰利用拡大は困難となりつつある。一方、石炭灰中には中空球形粒子(セノスフェア)の存在が知られており、一部は回収され、軽量で断熱性に優れた高機能セラミックス材料として利用されているが、現状の供給は海外発電所の灰処理池で浮いたものを回収(収率1%程度)したものに限定されており、需要に追いついていない状況にある。本研究では、2インチハイドロサイクロンとMGS(Multi-Gravity Separator)を組み合わせた湿式選別システムを利用して、従来の回収法よりも発泡度が低い産物も少ないスペースで効率良く回収し、選別すること、また、中空球形粒子の基礎物性の解明と、石炭灰中に存在する未燃カーボンの回収についても研究を行なっている。

超微粉砕用ジルコニアマイクロビーズの製造
液中造粒法は、微粒子が懸濁している液体中にその液体に溶けない第2の液体(架橋液体)を加え、適正な撹拌を与えることにより、微粒子を凝集させ、圧密して緻密な凝集粒子(造粒体)を得る技術である。低含液率産物の生成、選択的造粒、球形造粒体の形成等が可能であることから、本法は、選鉱、選炭、水処理、セラミックス製造、医薬品製造、廃棄物処理など多くの分野で注目を集めている。選別の前処理には粉砕により単体分離することが必要であり、単体分離粒度の低下に伴い効率的に超微粉砕する技術開発が望まれている。我々は液中造粒法により、従来法では製造が困難であった500μm径以下の超微粉砕用ジルコニアビーズの製造を可能にしている。

複雑硫化鉱物の処理に関する研究
銅鉱石の需要の増大にともない良質な銅鉱石は減少し、銅鉱石中の不純物、特に砒素品位は年々増加傾向にある。含砒素硫化銅鉱物の分離除去は困難なため、得られる銅精鉱中の砒素品位も徐々に高くなってきている。従来の銅精鉱中の砒素品位は0.1~0.2%程度であったが、最近では砒素品位が1%を超える場合も珍しくはなく、製錬過程でスラグ固定処理が追いつかない場合も生じてきている。この問題を解決するため、スラグ処理設備を新設したり増強したりすることが考えられる。しかし、これらには多大の投資を必要とし、コストを増加させてしまうため、銅鉱石から銅精鉱を得る際に砒素を分離除去し、砒素品位の低い銅精鉱にすることが喫緊の課題となっている。解決のための一つの方法としては、浮選での分離除去であるが、砒素含有銅鉱石からの砒素鉱物の分離に関する基礎研究はほとんど行われておらず、分離機構の解明と分離方法の確立が望まれている。
このような背景をもとに、砒素含有銅鉱石の代表的な鉱物である砒四面銅鉱を対象に、浮選での黄銅鉱との分離除去を目的とし、水中でのこれら鉱物の表面ぬれ性に及ぼす諸要因の影響および浮選による分離機構について明らかにし、それらの成果は国際誌に公表済みである。

水熱処理による泥炭および低品質炭の高品位化と転換
世界の一次エネルギー需要見通しによれば、可採年数の長い石炭への依存は今後増大することが予想されている。特にアジア太平洋地域で石炭利用量の増加は著しく、2030年には世界の石炭の約7割がこの地域で消費されると予想されている。このような石炭利用拡大により石炭の可採年数は2000年で227年であったものが2008年で122年と急減していることから、従来利用が困難とされている高灰分、高硫黄分の石炭および高水分の泥炭や褐炭などを利用するための技術開発が望まれている。また、東南アジア特にインドネシアでは、不適切な熱帯性泥炭の開発等に起因する大規模火災がしばしば発生し環境問題となっている。特に1997年に発生した火災では、当時の化石燃料から発生する世界中の年間二酸化炭素排出量の13~40%に相当する量がこの泥炭火災により排出されたと推定されており、環境保全が困難な泥炭地域については適切な開発とその有効利用が望まれている。
このような背景をもとに、従来利用が困難な高水分、低発熱量の泥炭および高灰分、高硫黄分の低品質炭を水熱処理により改質および転換し、高品質なエネルギーとして利用することを目的に、水熱処理条件と産物性状との関係、改質機構などについて明らかにし、それらの成果を多くの国際誌に公表してきている。

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