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井藤 彰(いとう あきら) データ更新日:2016.07.28

准教授 /  工学研究院 化学工学部門 分子・生物システム工学講座


大学院(学府)担当

学部担当



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電話番号
092-802-2753
FAX番号
092-802-2753
取得学位
工学博士
専門分野
生体医用工学
活動概要
生物化学工学を背景とした医用工学の研究・教育を行っている。具体的には、磁性ナノ粒子の医療分野への応用として、再生医療およびガン治療の研究を行っている。

1.磁性ナノ粒子を用いた再生医療

重篤な疾患や交通事故などが原因で自然には再生できなくなってしまった組織や臓器を再生させ、機能を回復させようという再生医療が、夢の医療として非常に注目されている。化学工学者であるLangerと外科医であるVacantiは、細胞と細胞外マトリクス(ECM)などの細胞の足場(スキャフォールド)、サイトカインなどの細胞成長因子の三者を組み合わせることによって人工的に生体組織を再構築できるという考えを ティッシュエンジニアリングとして提唱した。現在、様々な体の部位の再生が精力的に試みられており、皮膚をはじめとする再生組織の臨床応用が行われている。
 本研究室では、「細胞を物理的にハンドリングする」といった生物プロセス工学的な視点から、次世代のティッシュエンジニアリングにおけるキーテクノロジーになると考えられる「in vitroにおける三次元生体組織構築」に関する重要な技術である「細胞の配置・配列技術」について、磁性ナノ粒子を用いた細胞の磁気誘導によるティッシュエンジニアリングの開発を行っており、磁性ナノ粒子(Magneticnanoparticles)と磁力(Magnetic force)を用いたティッシュエンジニアリング(Tissue Engineering)技術を“Mag-TE”と名付けた。Mag-TEは、マグネタイトを細胞内に取り込ませることによって細胞を磁気標識し、磁石を目的の位置に設置して、磁力で細胞を引きつけることによって、細胞を任意の場所に配置・接着させて、細胞を高密度に集積させる、あるいは、細胞からなる三次元組織を構築する手法である。現在までに、細胞シート状重層化組織の構築法、細胞シート状重層化組織の移植法、さらに管状組織の構築法の開発を行った。今後は、分子生物学、細胞工学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーを駆使して、革新的な組織構築を行っていく。

2.磁性ナノ粒子を用いた癌の温熱療法
 本研究では、酸化鉄の10nmサイズの磁性ナノ粒子であるマグネタイト(Fe3O4)に注目した。マグネタイトは交番磁場中でヒステリシス損失によって発熱することから、マグネタイト粒子を腫瘍部位に選択的に集めることができれば、患者の外部から交番磁場を照射することによって、ガン特異的な加温がでる。現在までに、マグネタイト粒子を腫瘍に選択的に送達させるために、リポソームで包埋したり、ガン特異的な抗体を結合させたマグネタイト製剤を開発した。これらを用いたハイパーサーミアによって、様々な動物種やガン種で腫瘍の退縮に成功している。また、興味深いことに、マグネタイト粒子を用いてハイパーサーミアを施すことによって、抗腫瘍免疫が賦活されることを見出した。これは、「熱でガンを殺す治療法」とみなされてきたハイパーサーミアからは全く予想できなかった生体反応であり、原発ガンのみを治療すれば転移ガンをも免疫によって殺傷できる可能性を秘めている。現在、この腫瘍免疫を誘導する癌温熱療法がヒトの癌治療へ臨床応用されることを目指し、研究を進めている。

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