1. |
Seki H, Huang Y, Arakawa T, Yamada C, Kinoshita T, Iwamoto, Higuchi Y, Takegawa K, Fushinobu S, Structural basis for specific cleavage of core-fucosylated N-glycans by endo-beta-N-acetylglu-cosaminidase from Cordyceps militaris., Journal of Biological Chemistry, 10.1074/jbc.RA119.010842., 294(45), 17143-17154 (2019), 2019.10, ENGaseは糖タンパク質のアスパラギン(Asn)残基に結合した糖鎖を切断して遊離する酵素である。これまでいくつかのENGaseの立体構造が報告されており、遊離する糖鎖部分の結合の様子については知見があった。しかし、切断点よりタンパク質に近い部分、特にAsnに結合したN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)と、しばしばそのGlcNAcに付加している「コアフコース」に対して、ENGaseがどのように結合して見分けているかは全くわかっていなかった。本論文ではX線結晶構造解析により、「冬虫夏草」の1種であるサナギタケから得られた新規なENGaseの立体構造を決定し、コアフコース、GlcNAc、Asnを認識して切断する様子を明らかにした。コアフコースはヒトなどの哺乳動物の糖鎖に付加されていることが多く、ENGaseは抗体などの糖タンパク質の糖鎖を均一なものにすることができるため、本研究の成果は、近年承認数が急増しているバイオ医薬品(抗体医薬)の性能向上および品質管理などへの応用が期待される。. |
2. |
Higuchi Y, Matsufuji H, Tanuma M, Arakawa T, Mori K, Yamada C, Shofia R, Matsunaga E, Tashiro K, Fushinobu S, Takegawa K, Identification and characterization of a novel β-D-galactosidase that releases pyruvylated ga-lactose., Scientific Reports, 10.1038/s41598-018-30508-4, 8(1), 12013 (2018), 2018.09. |
3. |
Huang Y, Higuchi Y, Kinoshita T, Mitani A, Eshima Y, Takegawa K, Characterization of novel endo-β-N-acetylglucosaminidases from Sphingobacterium species, Beauveria bassiana and Cordyceps militaris that specifically hydrolyze fucose-containing oli-gosaccharides and human IgG., Scientific Reports, 8(1):248 (2018), 2018.01. |
4. |
Higuchi Y, Yoshinaga S, Yoritsune K, Tateno H, Hirabayashi J, Nakakita S, Kanekiyo M, Kakuta Y, Takegawa K, A rationally engineered yeast pyruvyltransferase Pvg1p introduces sialylation-like properties in neo-human-type complex oligosaccharide., Scientific Reports, 6:26349 (2016), 2016.05, 分裂酵母の糖鎖には酸性糖としてガラクトース残基にピルビン酸が付加される。我々はこれまでに糖鎖へのピルビン酸の付加に関与する酵素としてPvg1/ピルビン酸転移酵素を同定していた。そこで本論文では、Pvg1タンパク質をX線結晶構造から解析を行い、ピルビン酸転移酵素において初めて立体構造を明らかにすることができた。得られた立体構造から、本酵素活性に重要なアミノ酸を特定し、そのアミノ酸変異体を作成することで、これまで全く報告のない新奇なアスパラギン結合型糖鎖を酵素合成することができた。シアル酸の代わりにピルビン酸が付加された本糖鎖は、レクチンマイクロアレイ解析から、シアル酸がα2,6-結合でガラクトースに付加した構造と類似していることを明らかにした。. |
5. |
Eshima Y, Higuchi Y, Kinoshita T, Nakakita S, Takegawa K, Transglycosylation activity of glycosynthase mutants of endo-β-N-acetylglucosaminidase from Coprinopsis cinerea, PLOS ONE, 10(7):e0132859 (2015), 2015.07. |
6. |
Komachi Y, Hatakeyama S, Motomatsu H, Futagami T, Kinzjakina K, Sorbado P, Ekino K, Takegawa K, Goto M, Nomura Y, Oka T, gfsA encodes a novel galactofuranosyltransferase involved in biosynthesis of galactofuranose antigen of O-glycan in Aspergillus nidulans and A. fumigatus., Molecular Microbiology, 90(5), 1054-1073 (2013), 2013.12, アスペルギルス属糸状菌は糖鎖中にガラクトフラノースが存在することは古くから知られているが、これまでガラクトフラノース転移酵素遺伝子に関する報告は全く無い。そこでAspergillus nidulansゲノムに存在する仮想糖転移酵素遺伝子を破壊した株を作成し、解析を行ったところ、GfsAと命名した遺伝子がガラクトフラノース転移酵素をコードしていることを明らかにした。実験の結果、GfsAはβ1,5-かβ1,6-ガラクトフラノース転移酵素活性を有しており、O-結合型糖鎖糖タンパク質にUDP-ガラクトースを基質として転移することがわかった。GfsAはゴルジ体に局在していた。GfsAと相同性の高い遺伝子はAspergillus fumigatusにも存在していることもわかった。. |
7. |
Nakase Y, Nakase M, Kashiwazaki J, Murai T, Otsubo Y, Mabuchi I, Yamamoto M, Takegawa K, Mastumoto T, The fission yeast β-arrestin-like protein Any1 is involved in TSC-Rheb signaling and the regulation of amino acid transporters., Journal of Cell Science, 126(17), 3972-3981 (2013), 2013.09, Rheb GTPaseであるTsc1-Tsc2複合体は細胞外の環境に応答して細胞成長調節において重要な役割を果たしている。分裂酵母においてTsc1-Tsc2複合体は細胞周期の進行やアミノ酸の取り込みなどを調節することが報告されていた。我々はE3ユビキチンリガーゼであるPub1とβ-アレスチン様タンパクであるAny1が細胞膜アミノ酸トランスポーターであるAat1の局在を制御していることを見出した。またPub1とAny1が分裂酵母細胞内で相互作用していることからTSC-Rhebシグナル経路がPub1やAny1を通じて細胞膜のアミノ酸トランスポーターの局在を制御していることを明らかにした。. |
8. |
Sasaki M, Kumagai H, Takegawa K, Tohda H, Characterization of genome-reduced fission yeast strains., Nucleic Acid Research, 41(10), 5382-5399 (2013)., 2013.05, 分裂酵母はモデル真核生物の中で最も遺伝子数の少ない生物である。我々は通常の培養条件で生育の低下しない分裂酵母の大規模遺伝子削除株の取得を試みた。最終的に223遺伝子(657.3kb)を同一株で削除した株の取得に成功した。本株で異種タンパク質であるGFPやヒト成長ホルモンを発現させたところ、野生株よりもそれぞれ約1.7倍、1.8倍高い生産能を示すことがわかり、分裂酵母の大規模遺伝子削除株は物質生産への応用にも使用できる可能性が示唆された。. |
9. |
Ohashi T, Fujiyama K, Takegawa K, Identification of novel α1,3-galactosyltransferase and elimination of α-galactose-containing glycans by disruption of multiple α-galactosyltransferase genes in Schizosaccharomyces pombe., Journal of Biological Chemistry, 287(46), 38866-38875 (2012), 2012.11, 分裂酵母の糖鎖中には多量のガラクトースが含まれている。糖鎖構造解析の結果、ガラクトース残基はα1,2-およびα1,3-結合で付加している。分裂酵母ゲノム中に存在する全てのα1,2-ガラクトース転移酵素遺伝子を破壊した株を作成したところ、まだα1,3-結合のガラクトースが残っていることを見出した。そこでさらにゲノムを解析したところ、仮想糖転移酵素が3遺伝子存在することがわかり、これらを破壊した10重破壊株を作成したところ、糖鎖のガラクトース残基は完全に欠失することを明らかにした。また大腸菌で生産させたこれらの遺伝子産物が実際にα1,3-ガラクトース転移活性を示すこともわかった。以上の結果から分裂酵母に存在する新規α1,3-ガラクトース転移酵素の諸性質を明らかにすることができた。. |
10. |
Matsuzawa T, Morita T, Tanaka N, Tohda H, Takegawa K, Identification of galactose-specific flocculin essential for nonsexual flocculation and hyphal growth in Schizosaccharomyces pombe., Molecular Microbiology, 82(6), 1531-1544 (2011), 2011.12, 分裂酵母 Schizosaccharomyces pombeはガラクトース特異的な非性的凝集を引き起こすことは知られていたが、その分子機構については知られていなかった。我々は出芽酵母の非性的凝集を誘導するFLO8遺伝子を分裂酵母細胞内で発現させると凝集することを見いだした。そこでこの株と野生株の遺伝子発現をマイクロアレイ分析により比較して1つの遺伝子(SPCC1742.01)が FLO8発現株で上昇していることを明らかにした。本遺伝子を破壊すると凝集変異株の凝集が消失することから本遺伝子産物が、分裂酵母のガラクトース特異的な凝集素であることを同定した。また本遺伝子産物は分裂酵母の偽菌糸形成過程にも必須であることを明らかにした。. |
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Hirano Y, Matsuzawa T, Takegawa K, Sato MH, Loss-of- and gain-of-function mutations in FAB1A/B impair endomembrane homeostasis, conferring pleiotropic developmental abnormalities in Arabidopsis., Plant Physiology, 155(2), 797-807 (2011), 2011.02, 真核細胞において、ホスファチジルイノシトール3,5-キナーゼはFab1/PIKfyveにより合成され、PI(3,5)P2は液胞・リソソームの機能に重要である。Arabidopsis由来のFAB1A/Bを分裂酵母のfab1欠損株において発現させたところ、液胞形態異常を相補できることがわかった。またGFPを融合したFAB1A/BはArabidopsis細胞内でエンドソーム付近に局在していた。さらにFAB1A/Bの発現を抑制したところ、液胞の酸性化やエンドサイトーシスに異常を示すことを明らかにした。以上の結果からArabidopsisのFAB1A/BもPI3,5-キナーゼ活性を有しており、Arabidopsisにおいても液胞の機能に重要であることがわかった。. |
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Nakase M, Tani M, Morita T, Kitamoto HK, Kashiwazaki J, Nakamura T, Hosomi A, Tanaka N, Takegawa K, Mannosylinositol phosphorylceramide is a main phospholipid component and required for proper localization of plasma membrane proteins in Schizosaccharomyces pombe., Journal of Cell Science, 123(9), 1578-1587 (2010), 2010.05, 分裂酵母のゲノムには出芽酵母IPT1遺伝子と相同性の高い遺伝子が存在せず、脂質分析の結果、分裂酵母の主要なスフィンゴ糖脂質はIPCとMIPCのみであることがわかった。分裂酵母のMIPC合成に関与するマンノース転移酵素のホモログは3つ(Imt1-3)存在し、3重遺伝子破壊株ではMIPCが全く合成されないことが明らかになった。MIPC欠損株では生育遅延、細胞形態異常、薬剤感受性、タンパク質の局在異常やエンドサイトーシス異常などの多様な表現型を示すことから、分裂酵母のMIPCは様々なメカニズムに関与する重要な因子であり、分裂酵母には特有のマンノース認識機構が存在する可能性が示唆された。さらに、MIPC欠損株では細胞膜に局在するアミノ酸パーミアーゼ(AAP)の選別輸送に異常が生じることがわかった。. |
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Onishi M, Koga T, Hirata A, Nakamura T, Asakawa H, Shimoda C, Bahler J, Wu J-Q, Takegawa K, Tachikawa H, Pringle JR, Fukui Y, Role of septins in the orientation of forespore-membrane extension during sporulation in fission yeast., Molecular and Cellular Biology, 30(8), 2057-2074 (2010), 2010.04, 酵母の胞子形成過程において、前胞子膜(FSM)はスピンドルポールボディーにおいて胞子縁を形成するのに寄与している。この過程におけるセプチンの機能を分裂酵母を用いて解析を行った。1倍体の性的凝集の前にはSpn1-4のセプチンが、また胞子形成時には別のセプチン(Spn2, Spn5, Spn6, Spn7)が機能すること、またこれらのセプチンはin vitroでは複合体を形成していることを明らかにした。Spn2とSpn7はホスファチジルイノシトール4-リン酸(PI4-P)と結合すること、またPI4-Pが前胞子膜に多く存在することを明らかにした。. |
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Park J-H, Nishidate T, Kijima K, Ohashi T, Takegawa K, Hirata K, Nakamura Y, Katagiri T, Critical roles of Mucin 1 glycosylation by transactivated polypeptide N-acetylgalactosaminyltransferase 6 in mammary carcinogenesis., Cancer Research, 70(7), 2759-2769 (2010), 2010.04, 乳がん細胞においてO-結合型糖鎖の構造は変化することが知られているが、そのメカニズムについてはそれほどわかっていない。我々は多くの乳がん患者がムチン型O-結合型糖鎖に関与するN-アセチルガラクトサミニダーゼ6(GALNT6)の発現が上昇していることを見いだした。GALNT6の発現を抑制すると乳がん細胞の増殖は抑制される。またGALNT6がMUC1の糖鎖付加に関与してタンパク質を安定化させることを見いだした。この結果から、GALNT6の特異的な阻害剤は乳がんに対する新規薬剤になる可能性が示唆された。. |
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Kashiwazaki J, Iwaki T, Takegawa K, Shimoda C, Nakamura T, Two Schizosaccharomyces pombe Rab7 homologs, Ypt7 and Ypt71, play antagonistic roles in the regulation of vacuolar morphology., Traffic, 10(7), 912-924 (2009), 2009.07. |
16. |
Hirashima K, Iwaki T, Takegawa K, Giga-Hama Y, Tohda H, A simple and effective chromosome modification method for large-scale deletion of genome sequences and identification of essential genes in fission yeast. , Nucleic Acids Res. , 34, e11 , 2006.02. |