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岡 幸江(おか さちえ) データ更新日:2023.05.03

教授 /  人間環境学研究院 教育学部門 教育社会計画学


主な研究テーマ
教育のオルタナティブな組織化を基とするノンフォーマル教育をベースに社会教育学は形成されてきたが、一方で暮らしにおける共同性・相互扶助文化は看過されがちであった。そのなかで、共同性に基づく暮らしの文化の再構築という観点から、社会教育学の今後の枠組みを検討している。とくにカリキュラムベースでなく会話ベースで教育内容が構築される、インフォーマル教育の視点に基づき、暮らしのなかの教育空間のありようを明らかにすることを試みている。近年は、伝承文化の継承活動におけるインフォーマルエデュケーターやそこで形成される場のありように注目している。/同時に、インフォーマルエデュケーターを含んでひろがる称号「社会教育士」の登場による、社会教育の枠組みの再構築とそのなかでの社会教育としての固有性を維持する方策についても強い関心をもって検討している。
キーワード:社会教育、共同性、ボランティア、生活史、文化、場、伝承
2009.09~2020.03.
従事しているプロジェクト研究
地域社会教育におけるInformal 教育論の展開に関する基礎的研究
2021.04~2024.03, 代表者:岡 幸江, 九州大学.
教育と福祉専門職間の協同関係構築と新しい専門性のための研修体制に関する実践的研究
2018.06~2021.03, 代表者:高橋満, 東北大学.
転換期における民衆的教育思想の生成に関する実証的研究
2017.04~2021.03, 代表者:宮﨑隆志, 北海道大学.
社会教育・福祉・予防医療の連携とコミュニティ・エンパワーメントの実証的比較研究
2018.04~2023.03, 代表者:松田武雄, 中村学園大学.
地域変動下における世代間循環の再生と社会教育に関する研究 -九州の視座から
2014.04~2017.03, 代表者:岡 幸江, 九州大学, 日本学術振興会科学研究費
本研究は、九州の社会教育研究者7名による共同研究である。都市・過疎地を問わずいま地域は大きな変動と世代間循環の危機にあるととらえ、地域の持続・世代間循環の再生に寄与する社会教育のありかたについて検討する。そのため大都市・中山間地・離島にわたりそれぞれモデル地区を設定し、インタビュー調査および資料分析等を通して、地域をめぐる諸力学の分析や社会教育についての新たな理論枠組みの構築を試みているところである。.
若者支援政策の評価枠組み構築に向けた日欧比較研究~「社会的教育学」援用の可能性
2012.04~2016.03, 代表者:平塚眞樹, 法政大学, 日本学術振興会科学研究費
本研究は、欧州に発達した社会的教育学(Social Pedagogy)とユースワークに着目し、フィンランド、デンマーク、イギリス、アイルランド4カ国の研究者、行政担当者、実践者との交流・討議を通し、日本における有効な参照のあり方を明らかにすることを目的としている。2012・2013年にデンマーク、フィンランド、イギリス調査(兼ユースワーク職員の海外研修)を行った。2014年度はその渡欧でもやりとりを行ったフィンランド・ユースワークの計画・実践に携わる2名のユースワーカーを日本に招き、札幌、東京、京都の3箇所で公開セミナーおよび職員研修を行った。
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自然と文化の社会教育学構築への基礎的研究
2009.04~2012.03, 代表者:岡 幸江, 埼玉大学→九州大学, 日本学術振興会科学研究費
本研究は沖縄およびアイヌの生活世界における人間形成に、「自然」と「文化」の視点および、人間形成の「拠点」に焦点をあてて迫ろうとしたものである。研究の成果としては、(1)特に沖縄共同店研究においては「共同店とは何か」について、身体知の観点から新たなアプローチで迫りえたこと、(2)「共同を語る場」への焦点化を試みることにより、共同店を単に歴史的な存在としてのみならず、地域をこえて今日における共同性のゆくえを考えていくことができたこと、(3)生活文化や地域意識の継承にあたり、地域で暮らしやしごとに根ざした様々な「場」の存在あって「拠点」が存在しえていたこと、が明らかになったといえるだろう。.
日本教育大学協会学校外ボランティアの質的向上検討プロジェクト
2007.04~2010.03, 代表者:松田恵示, 東京学芸大学, 日本教育大学協会
教育学部・大学内において、学生を地域のボランティア人材として教育する動きがひろがっている。これをさらに波及させ、地域の人材養成における教育学部・大学の役割を検討するのが本プロジェクトの課題である。.
研究業績
主要著書
1. 高橋満、岡田知弘、田中雅文、柴田彩千子、村田和子、内田純一、丹間康仁、農中至、安藤聡彦、新藤浩伸、岡幸江、大高研道、上田孝典、宮崎隆志, 地域づくりと社会教育的価値の創造, 東洋館出版社, 226頁, 2019.09.
2. 岡 幸江, 佐藤一子, 宮崎隆志, 安藤聡彦, 石井山竜平, 大高研道, 森本扶, 辻浩, 新藤浩伸, 村田和子, 大橋知穂, キムユンジョン, 高雄綾子, 地域学習の創造, 東京大学出版会, 2015.02.
3. 鈴木敏正, 手打明敏, 末本誠, 千葉悦子, 津田英二, 辻浩, 朴木佳緒留, 宮崎隆志, 松岡広路, 安藤聡彦, 岡 幸江, 槙石多希子, 高橋満, 石井山竜平, 櫻井常矢, 野元弘幸, 長澤成次, 牧野篤, 希望への社会教育―3.11後社会のために, 東洋館出版社, 2013.09, 現代社会が直面している危機に、社会教育はいかに応えることができるか。日本社会教育学会60周年を記念して出版される本著は、社会教育を、個人の自己実現支援にせまくとらえず、戦後社会教育実践の歩みが示してきた地域のくらし・地域づくりにかかわる学びの支援の系にたつ、社会教育学研究の可能性について提示しようとするものである。そのなかで岡は「過疎化する地域における「暮らし」の学びの再生」と題して、地域づくり学習論を課題の学習から「暮らし」の学びへととらえなおすこと、それを地域の象徴的な「場」に焦点化し、そこでの身体性あるものとの具体的なかかわりと人々の生きざまの記憶について明らかにすることから試みたものである。.
4. 末本誠、松田武雄、恒吉紀寿、上野景三、朴木佳緒留、岡幸江、新保敦子、野依智子、津田英二、長澤成次、益川浩一、石井山竜平, 生涯学習と地域社会教育, 春風社, 2010.07.
5. 長澤成次、小木美代子、玉井康之、太田政男、岡幸江、上野景三、金子淳、石井山竜平、上田幸夫, 社会教育(教師教育テキストシリーズ6), 学文社, 2010.04.
6. 南里悦史、岡幸江、石井山竜平、山城千秋、長尾秀吉、相戸晴子、永田誠, 『教育と生活の論理』, 光生館, 216頁, 2008.11.
7. 櫻井常矢、岡幸江、田中雅文、金ヨンジュン、新川達郎、松田武雄、加藤哲夫、福嶋順、阿比留久美、張智恵、福井庸子、松本大、Ortfried Schaffter、藤村好美、高雄綾子、Ehsaher Rahman, NPOと社会教育(日本社会教育学会年報第51集), 東洋館出版社, 226頁, 2007.09.
8. 佐藤一子、高橋満、平塚真樹、石井山竜平、田中雅文、吉田里江、成玖美、朝岡幸彦、岡幸江、辻浩、櫻井常矢, NPOの教育力, 東京大学出版会, 224頁, 2004.06.
主要原著論文
1. 岡 幸江, 「非合理性」の観点に基づく社会教育の主体理解の検討 ―伝承者阿部ヤヱと歌人阿部八重をめぐって―」, 『社会教育学研究』第59巻
, 2023.06.
2. 岡幸江, 「地域学習」再考ー社会教育における共同の視点から, 日本教育学会『教育学研究』, 第87巻第4号、p558~571, 2020.12.
3. 岡幸江, 「Informal Educatorとしての伝承者―人の一生を育てる伝承を事例に-」日本社会教育学会編『地域づくりと社会教育的価値の創造(日本の社会教育第63集』』東洋館出版社, 日本社会教育学会, 154-166, 2019.09.
4. @岡幸江、上野景三、恒吉紀寿、山城千秋、長尾秀吉、植上一希, 『社会教育研究紀要第2号 ー特集:・九州における地域変動と社会教育』, 九州大学大学人人間環境学研究院社会教育研究室紀要, 2016.11, [URL].
5. 岡幸江, 『人の一生を育てる伝承』にみる、応答の知, 教育科学研究会『教育』, 866, 42-50, 2018.02.
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
1. 岡幸江、中山 博晶、長瀬麻実、野上夏希、森岡祐貴、田中茜里、湯浅春香、谷奥まどか、和田千夏、片山彩羽 , 『コロナ禍における福岡市公民館 12のストーリーズ&アンケート調査報告』, 2021.02.
主要学会発表等
1. 岡 幸江, 「非合理性」からみる社会教育の主体理解の再考 ―伝承者阿部ヤヱと歌人阿部八重をめぐって―, 日本社会教育学会, 2022.09.
2. 岡 幸江, 伝承の子育てにおける応答の知とその多層性をめぐって, 日本社会教育学会, 2018.10.
3. @岡幸江, 応答の教育としての伝承の子育て, 日本社会教育学会, 2017.09.
4. @岡幸江、上野景三、恒吉紀寿、長尾秀吉、植上一希、山城千秋, 地域変動と社会教育(その2), 日本社会教育学会, 2018.06.
5. @岡幸江, 伝承の子育ての継承者たちをめぐる考察 ーInformal Educatorの視点からー, 日本教育学会, 2016.08.
6. 岡 幸江, 文化伝承における対話空間の創造とインフォーマル教育者をめぐって, 日本社会教育学会, 2015.09, 本報告は、一人の伝承者の姿を中心として、文化伝承という営みを教育の議論としていくにあたっての、方法論について検討したものである。
近年、社会教育の議論において、習俗における文化伝承と学習・教育との関係についての論述が盛んになってきたなかで、本論は、文化伝承を「型」や様式としてとらえるのみならず、伝承の動態を浮き彫りにすること、そのためにわらべうた伝承における民衆の教育カリキュラムの内容(世界観)と方法(伝承の場の質)を伝えようとする行為に注目する。伝承者はいかなる葛藤を抱えそれは何を意味するのか。そしてそのなかでどういうあらたな方法が形づくられるのか。そこから今日の地域の教育に「世界観を伝承する、民衆の教育カリキュラム」が接続される可能性について考えようとした。またその際、イギリス・ユースワークの世界で形作られてきたインフォーマル教育論を、論述の方法として用いるための検討を行った。.
7. 岡 幸江, 上野景三, 恒吉紀寿, 長尾秀吉, 植上一希, 山城千秋, 九州における地域変動と社会教育(その1), 日本社会教育学会, 2015.09,  本報告は、「地域変動下における世代間循環の再生と社会教育に関する研究―九州の視座から」(科研費H26~28)として、九州地区有志の社会教育学会員ですすめている共同研究の中間報告・第一弾である。本報告は、1)地域教育計画論の観点から地域変動をいかにとらえるか、その際、「自治体合併」と「学校統廃合」を明治以来の地方自治システムの根本的な転換をももたらしかねない事象と仮定し注目する。2)被合併・統廃合地域にひろがる生活環境の深刻な悪化に対して地域の側からうまれつつある対抗的な運動や取り組みをどうとらえるか。3)そこにある“ここで生き続ける”というあたりまえの要求を、今日的権利として注目するとともに、そうした権利保障と社会教育の関係を考える。…という3点に特徴をもつ。
 こうした関心にもとづき、今回はモデルに設定した地区の1つである日田市を事例にひきながら、個別の自治体を超えて生起する問題を、九州というリージョンとして把握しようとする、いわば「方法としての九州」研究を試みようとした。その際とくに、地域変動として単純に東京一極集中につながらず、比較的九州内で完結する形で人・もの・財の流れの福岡への集中に連動している点に注目した。今回の報告は、市町村自治を模索する自治体間の“協働”にもとづく広域自治システムの可能性にむけての議論の出発点を意味している。

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8. 岡 幸江、吉田理映子, 「子どもの身体感覚とコミュニケーションから創る『共同』―子どもたちとの100年続く沖縄・奥共同店パンフレット制作を通して―」
, 日本ボランティア学会南紀大会, 2009.06.
9. 岡幸江, 「地域における『共同』観の変貌と可能性―沖縄・共同店100周年の奥集落の模索から-」, 日本ボランティア学会2008年度大会共通演題研究発表, 2008.06.
学会活動
所属学会名
日本社会教育学会
九州教育学会
日本生活体験学習学会
文化経済学会 日本
日本福祉教育・ボランティア学習学会
日本地域福祉学会
日本ボランティア学会
日本教育学会
学協会役員等への就任
2022.12~2024.12, 日本公民館学会, 副会長.
2022.05~2024.05, 社会教育・生涯学習研究所, 副代表.
2012.01~2019.01, 日本生活体験学習学会, 理事.
2011.11~2019.11, 九州教育学会, 理事.
2012.09~2019.09, 日本社会教育学会, 理事.
2007.09~2009.09, 日本社会教育学会, 事務局長.
2001.09~2005.09, 日本社会教育学会, 理事.
学会大会・会議・シンポジウム等における役割
2021.11~2021.11.01, International Conference on Community Engagement Educational Research(Co-Hosts: BrainKorea21 Research Teams at Kongju National University & Yeungnam University), 招待報告.
2020.09~2022.12, 日本公民館学会コロナ特別プロジェクト(2020.12月,2021年3・7・12月に学会大会にて各シンポジウム企画), プロジェクト・チーフ.
2021.06.05~2021.06.05, 日本社会教育学会6月集会, 70周年準備企画にて招待報告.
2018.06.23~2019.06.23, 日本社会教育学会九州地区6月集会シンポジウム, 司会・コーディネート.
2018.12.22~2018.12.22, 日本社会教育学会プロジェクト研究「地域づくりと社会教育」, 司会.
学会誌・雑誌・著書の編集への参加状況
2022.09~2024.09, 日本社会教育学会70周年記念出版, 国内, 編集委員.
2020.11~2021.09, 日本社会教育学会年報第65集『ワークライフバランス時代における社会教育』, 国内, 編集委員.
2018.12~2019.09, 日本社会教育学会年報第63集『地域づくりと社会教育』, 国内, 編集委員.
2006.11~2007.09, 日本社会教育学会年報第51集『NPOと社会教育』, 国内, 編集委員.
2005.11~2006.09, 日本社会教育学会年報第50集『社会的排除と社会教育』, 国内, 編集委員.
2004.11~2009.09, 日本社会教育学会年報第49集『グローバリゼーションと社会教育・生涯教育』, 国内, 編集委員.
2003.11~2009.09, 日本社会教育学会年報第48集『成人の学習』(2004), 国内, 編集委員.
学術論文等の審査
年度 外国語雑誌査読論文数 日本語雑誌査読論文数 国際会議録査読論文数 国内会議録査読論文数 合計
2022年度   27      27 
2021年度   12      12 
2015年度      
2016年度      
2017年度      
2018年度      
その他の研究活動
海外渡航状況, 海外での教育研究歴
エディンバラ大学Moray House(教育学部), Scotland, 2019.04~2019.09.
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2021年度~2023年度, 基盤研究(C), 代表, 地域社会教育におけるInformal 教育論の展開に関する基礎的研究.
2020年度~2023年度, 基盤研究(B), 分担, 若者支援・ユースワークに関わる専門性の育成・評価をめぐる国際的共同研究.
2018年度~2020年度, 挑戦的研究(萌芽), 分担, 教育と福祉専門職間の協同関係構築と新しい専門性のための研修体制に関する実践的研究.
2018年度~2022年度, 基盤研究(B), 分担, 教育・福祉・予防医療の連携によるコミュニティ・エンパワーメントの実証的比較研究.
2017年度~2020年度, 基盤研究(B), 分担, 転換期における民衆的教育思想の生成に関する実証的研究.
2016年度~2019年度, 基盤研究(B), 分担, ポスト福祉社会の地域づくりにおける社会教育的アプローチに関する理論的・実証的
研究.
2016年度~2019年度, 基盤研究(B), 分担, 若者支援における「場」の教育的価値~ユースワークの日欧比較.
2014年度~2016年度, 基盤研究(C), 代表, 地域変動下における世代間循環の再生と社会教育に関する研究 -九州の視座から.
2010年度~2012年度, 基盤研究(C), 代表, 自然と文化の社会教育学構築への基礎的研究.
2011年度~2015年度, 基盤研究(B), 分担, 若者支援政策の評価枠組み構築にむけた日欧比較研究~「社会的教育学」援用の可能性.
2007年度~2008年度, 基盤研究(C), 代表, 社会教育と地域福祉の関係をめぐる基礎的研究ー相互扶助文化の再構築に関してー.
2003年度~2004年度, 基盤研究(C), 分担, NPOの人材養成と地域社会における活用システムに関する研究.
1999年度~2000年度, 奨励研究(A), 代表, 地域ケアシステムにおける介護家族の参加基盤の形成に関する研究-市民参画型調査・研究を通して-
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2001年度~2002年度, 基盤研究(B), 分担, NPOの教育力と社会教育の公共性をめぐる総合的研究.

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