九州大学 研究者情報
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野村 久子(のむら ひさこ) データ更新日:2019.05.30



主な研究テーマ
より費用対効果の高い農業・環境・エネルギー政策へ-、農業・環境・エネルギー政策分野におけるRCTを用いたフィールド実験の手法の確立をめざして
 近年、財政状況が厳しさを増す中で、効率的な行政運営が求められている。農業・環境・エネルギー政策も例外ではない。より低い予算で、農業・環境・エネルギー問題の改善に対して効果を発揮する政策の選定と実施が求められている。しかし、農業・環境・エネルギー政策の効果をどのように評価すべきかについての議論は必ずしも十分ではない。政策の事後評価、とりわけ定量的な分析に基づく客観的な評価を今後より一層行い、国民に対する説明責任を果たしていくことが望ましい。
 このような問題意識に立ち、公共政策の効果の科学的な根拠(エビデンス)に基づいて実際の政策を形成しようという試みが欧米で広がっており、近年、日本でも始まっている。これはエビデンスに基づく政策形成(Evidence-Based Policy Making: EBPM)のアプローチと呼ばれる。例えば、科学技術、教育、医療、経済産業政策の分野においてEBPMの試みが始まっている。
 したがって、本研究では、農業・環境・エネルギー政策分野におけるRCTを用いたフィールド実験の手法の確立をめざす。ここで、「フィールド実験」とは、実験室や教室で行われる「ラボ実験」に対比して、実験室の外の現実社会で行われる実験を指す用語であり、主に経済学で用いられる。
 そして、海外で行った当該手法による研究実践の知見に基づき、農業・環境・エネルギー政策分野におけるフィールドでRCTを用いた研究手法の実践の活用に向けたガイドラインの構築とそれを用いた実証型の政策研究を進化させることを研究目的とする。
キーワード:エビデンスに基づく政策形成, 農業・環境・エネルギー分野における社会経済的ランダム化比較試験
2009.05~2027.05.
開発学を通じて持続可能な発展につながる制度評価や制度構築のための実証研究を行う。経済学だけでなく、社会学、心理学の理論を応用して、理論と実証を兼ね備えた制度設計のための経済学を確立することが研究の中心テーマである。1つの政策をさまざまな局面から分析し、制度構築や再構築に向けて多角的・多重的に調査研究を積み重ねる研究を行っている。具体的な研究対象として、制度評価としては、自由貿易下における国内の農業政策と環境政策の整合性や、英国を中心としたEUの農業環境政策研究、途上国の女性の経済発展へのかかわりというテーマを通じた持続可能な制度の評価研究がある。また制度構築のための実証研究として、持続可能な資源利用と地域住民の生活とのバランスがとれた農村振興のための制度構築のための基礎研究を行っている。
キーワード:持続可能な資源利用と地域住民の生活のバランスがとれた農村振興のための制度構築、農業環境制度、途上国の女性の経済発展へのかかわり、医療政策
1995.01~2025.10.
フットパスを新たな観光モデル展開の軸として本研究では、フットパスの情報発信の検討を行い、農文化研究からのアプローチにより、歩くことで見えてくる魅力的な農耕文化やその歴史の内容を掘り起し、効果的な発信を提言する。第二に、長く継承されるためのフットパスの管理方法と、そして活用方法を探る必要がある。それには、持続可能なトレイルの整備と補修といった管理には、公的支援とともに補助金に頼らない支援策の検討が重要となる。よって、環境資源経済学のアプローチにより、フットパスの持つ多面的な経済的価値を評価し、その価値に見合ったフットパスの持続可能な管理支援策を探る。
キーワード:フットパス、トレイル、国立公園、観光
2014.05~2026.05.
従事しているプロジェクト研究
生ごみ分別導入による一般ごみ減量効果の回帰不連続デザイン分析と自然実験評価
2018.11~2021.10, 代表者:野村久子, 九州大学
本研究は、生ゴミ分別事業の経済的評価を行い、循環型社会モデルとして他地域の制度立案に資することを研究目的とする。具体的には、新たに生ごみ分別の始まった福岡みやま市の生ごみの分別回収導入前後のデータを用いて、自然実験手法を用いて、ごみ減量効果を経済評価する。また、生ごみ分別促進策をRCTを用いたフィールド実験により検証を行なう。.
耕作放棄地の自然再生と地域振興に向けた合意形成ー経済実験による価値観転換の検証ー
2018.04~2021.03, 代表者:矢部光保, 九州大学, 九州大学.
ランダム化比較試験を用いた環境・エネルギー政策研究の手法確立
2017.07~2020.03, 代表者:野村久子, 九州大学大学院農学研究院
本研究では、農業・環境・エネルギー政策分野におけるRCTを用いたフィールド実験の手法の確立をめざす。ここで、「フィールド実験」とは、実験室や教室で行われる「ラボ実験」に対比して、実験室の外の現実社会で行われる実験を指す用語であり、主に経済学で用いられる。 そして、海外で行った当該手法による研究実践の知見に基づき、農業・環境・エネルギー政策分野におけるフィールドでRCTを用いた研究手法の実践の活用に向けたガイドラインの構築とそれを用いた実証型の政策研究を進化させることを研究目的とする。.
平成28年度国東半島宇佐地域世界の業遺産調査研究事業「農業遺産ロングトレイルを通じた農耕文化や歴史的ストーリーの掘り起こしとその多面的価値の評価研究 」
2016.07~2017.03, 代表者:野村 久子, 九州大学大学院農学研究院
本研究では、国東半島・宇佐地域世界農業遺産における「農文化システム」の中に息づいているトレイルを歩き,魅力的な農文化と農業の関わりを知り,体験するというツーリズムを展開することで,地域振興へつながる新たな観光モデルを提唱し,そのための基礎研究を行った。.
JICA 草の根技協(パートナー型)カンボジアにおける農産物・加工品の安全性向上プロジェクト
2017.05~2019.07, 代表者:伊藤香澄, 名大, 名大
・近年、急速な経済成長を遂げているカンボジアでは、1)都市部における「農産物・加工品の安全性確保」と2)農村部における農業所得の向上が2大ニーズである。未包装の加工品や農薬まみれの野菜が主流の中、食品の安全性を高める唯一の方法は、食の安全の重要性について周知するとともに、安全性に付加価値を付与し、高価格販売を実現することが急務である。
・名大農国センターは、2000年よりカンボジアの農業分野に対する教育協力および人材育成を行っており、数ある農業分野の課題の中から、農家の所得向上と農村の貧困削減に向けて、最も重要な課題である農産物の付加価値化に焦点を当てた活動を実施している。特に長期にわたった内戦を経て消失しつつあるものの、細々と受け継がれている伝統的な加工品にこそ、市場における高いニーズと将来の産業化の可能性が潜んでいると考え、品質向上に向けた技術協力と市場における高付加価値化を実現するための活動に取り組んできた。
・本事業では、現在でも冠婚葬祭などの文化的行事に用いられているにも関わらず、農村における農産物加工品の中で唯一赤字経営におちいっていた伝統的な米蒸留酒を対象加工品として取り上げ、科学研究費補助金にて開発した品質を向上させるための技法を、米蒸留酒の産地であるタケオ州の2郡において普及させることで、酒造り農家の所得向上・経営改善を通じた生計向上を目指した。
・本提案事業では「プロジェクト実施対象地域およびその周辺市域において、食の安全性に焦点を当てた農産物・加工品の高付加価値販売が定着する」ことを上位目標とし、プロジェクト対象地域を優先事例として、近隣地域において安全性を重視した農産物・加工品の高価格販売が始まることを狙っている。
 ・野村の役割として、このプロジェクト自体は2014年から始まっているが、2017年から2019年までフィールド調査を含めた経済的インパクト評価研究に従事することになる。.
ベトナム、カンボジア、タイにおけるキャッサバの侵入病害虫対策に基づく持続的生産システムの開発と普及
2016.04~2020.03, 代表者:高須 啓志, 九州大学 大学院農学研究院, 九州大学
本研究では、ベトナム、タイ、カンボジアにおいてキャッサバ病害虫管理技術の開発と普及による持続的キャッサバ生産を目指す。具体的には、まず、先端分子生物学的技術により侵入重要病害てんぐ巣病の病原体と未解明の媒介虫の特定および主要病害の検出・診断法の開発を行う。また、大メコン圏で蔓延中の吸汁性侵入害虫キャッサバコナカイガラムシの生物的防除を効率的に実施する。次に、各国において組織培養技術と病害虫管理技術を活用した病害虫フリー苗生産のための種苗管理体制を構築する。さらに、ベトナムとカンボジアでは、現地の篤農家やキャッサバ加工工場を通して、一般農家への病害虫フリー苗の販売、病害虫管理技術や既存の栽培技術の指導と普及を効率的に行う。この官-農家-民間連携により、官による苗生産の原資の確保、農家の生産性の向上、加工工場の安定的原材料の確保を図り、持続的Triple-win型の連携関係を構築する。.
多様な主体の参画・連携による生物多様性保全活動促進のための政策的支援に関する研究
2015.09~2018.03, 代表者:矢部光保, 九州大学 大学院農学研究院, 九州大学 大学院農学研究院
 環境保全型農業は生物多様性の保全や向上に繋がることが明らかとなっていますが、このような農業を通じた生物多様性保全はその多くを農業者に負っています。農林水産省生物多様性戦略においても、生物多様性をより重視した農林水産業、それを支える農山漁村の更なる活性化が求められています。しかし、高齢化や過疎化、都市部への人口流出など農業・農村地域を取り巻く現状は非常に厳しい状況にあります。それゆえ、地域住民や農村地域内外の企業・NPOなど民間主体の参画・連携を進め、農業・農村の振興と生物多様性保全の両立に資する取組みを拡大させることが急務となっています。そのため、NPOや企業など多様な主体の参加によるボランティア活動、地域ブランド化や6次産業化による農山漁村の活性化に向けた取り組みが徐々に広がっており、このような取組みを全国各地により一層広げていくことが不可欠と考えます。
 ここで、これまでの我が国の農業環境政策をみると、2014年度から多面的機能支払交付金が導入され、2105年度に法制化されるなど、生物多様性保全や農業・農村地域の環境保全等を目的とするものも見受けられるようになっています。しかし、我が国の厳しい財政事情を鑑みれば、補助金による継続な支援には限界があり、非補助金型の持続可能な支援策を検討することも重要と言えます。
 また、国民の行政施策に対する目が厳しさを増している昨今、国民への説明責任(accountability)を果たすという意味からも、農業従事者やNPO等による取組み、あるいは行政支援がどれほどの効果・成果につながったのか明らかにしていく必要性も高まっています。それゆえ、生物多様性保全のための計画策定から実施後のチェック、計画の修正に至るPDCAサイクルの導入や、取組みの成否における不確実性を考慮した順応的管理(Adaptive Management)の適用が望ましいと考えます。これにより、目標達成に向けた継続的な管理手法の改善が期待できます。
 そこで、本研究では、多様な主体の参画・協力下で進められている環境保全型農業による生物多様性保全事例を調査分析し、農村内外の多様な主体のマッチング推進と、環境保全型農業を通じた生物多様性保全の政策支援オプションの提案やPDCAサイクルによる結果のフィードバックを行い、取組みの成果を確認できる仕組みを検討しています。.
エシカル消費を通じた環境保全型農業の社会的支援制度構築に関する実証研究
2014.04~2017.03, 代表者:西尾 健, 法政大学, 法政大学、九州大学、JC総研
本研究では,食や農のつながりという観点から,消費者がその消費行動を介し環境保全型農業を支援できる社会的な制度や取り組み,ネットワークを構築することで,補助金に依存しない独立型の環境保全型農業推進策とその在り方を考えることを目的とする。そのため,我が国においても新たな消費形態として注目されるエシカル消費(倫理的に正しい消費)に注目する。第一に,エシカル消費の発祥地とされる英国や,ドイツ,オランダ等におけるエシカル消費を支える制度や団体,それらの関連性や事例について詳細な調査を行い,各国制度の特徴や問題点を明らかにする。その結果を踏まえた第二課題として,生産者(環境保全型農業の実践者)と消費者をリンクさせることに重点を置いた,我が国に適したエシカル消費促進を通じた生物多様性保全をはじめとする社会貢献の制度・ネットワークの姿を提示する。第三に,環境保全型農業やエシカル消費がどの程度生物多様性の保全等につながるのか,消費者・生産者に対して証左を提供することを念頭に,国内の実験地を利用して自然科学的な見地から明らかにする。そして最後に,消費者の購買行動や意思決定が与える影響,さらにはエシカル消費の促進によって社会経済全体に及ぶ波及効果などについて,実験・検証することを課題とする。..
ICT活用による里山フットパスの開発と農村振興への仕組みづくり
2014.04~2017.03, 代表者:野村久子, 九州大学, 九州大学
昨今わが国では,世界農業遺産(GIAHS : Globally Important Agricultural Heritage System)に対する関心が高まっている.世界農業遺産は,農を営む人と自然との調和が持続可能な形で継続されている農文化システムを,世界食糧機関(FAO)が認証する制度である.今後の課題としてGIAHS登録を農村振興につなげる試みが期待される.国内外からの訪問者に対して,彼らのニーズを把握しつつ,農業遺産の価値をインタラクティブに情報発信することが肝要となる.そこで本研究は,ICT(Information and Communication Technologies)を活用した「里山フットパス」の開発を試みることで,観光を通じた農村振興への寄与の可能性を探ることを研究目的とする..
我が国の独創的な農文化システムの継承・進化に向けた制度構築と政策展開に関する研究
2012.04~2015.03, 代表者:矢部光保, 九州大学, 九州大学
農文化システムの構成要素に注目し,農文化システムを全体として継承させ,我が国独自の貴重な伝統的景観,生物,農村文化の喪失を押しとどめ,歴史的農業構築物を保全し,さらに優れた農文化システムを他地域にも伝えていくために,我が国の独創的な農文化システムが継承され進化して,他地域にも伝搬して行くための制度構築と政策提言を行う。なかでも,社会科学的視点からの農文化システムの継承・進化に関する海外調査と,農業遺産保全制度導入の経済価値評価を担当する。.
レプトスピラ症の予防対策と診断技術の開発プロジェクト
2010.04~2015.03, 代表者:吉田真一, 九州大学, 九州大学、フィリピン大学
レプトスピラ症による精神的,身体的,経済的負担を金銭評価するとともに,このプロジェクトの目的の資するレプトスピラ感染症の予防とコントロールによって人々が享受するマクロレベルの経済価値を評価する。.
バイオバンキングを利用した市場メカ二ズム導入のための実証研究
2010.04~2014.03, 代表者:西尾 健, 法政大学, 法政大学、九州大学
農業環境制度の中に組み込んで資本支援を行っている英国を事例として,特に伝統的風景や歴史的農業構築物の維持を目的とした制度の仕組みや運用手順,事例について詳細な調査を行うと同時に,民間企業の景観活動への資本支援的な参画を促す契機となるような制度作りのための可能性を探り,提言を行う。.
地域への経済的便益還元の仕組みづくり研究
2011.05~2012.03, 代表者:野村久子, 九州大学
歴史的構築物の対象である堰や石積みの水路などの伝統的・文化的景観の便益効果を地域に還元する仕組みづくりが肝要である。本研究は,特に堰や石積みの水路などの文化的景観保全を通じて自治体や関係利害者が共同で地域への還元を行っている仕組みづくりの事例等の英国調査実績を踏まえて、その比較研究・調査を我が国で行うとともに、地域への社会経済的便益効果を明らかにすることで日本の伝統的・文化的景観を守る方途を探る。.
資本支援プログラム-歴史的農業構築物の保全と企業的支援の日英比較研究
2011.04~2014.03, 代表者:野村久子, 九州大学
農業環境制度の中に組み込んで資本支援を行っている英国を事例として,特に伝統的風景や歴史的農業構築物の維持を目的とした制度の仕組みや運用手順,事例について詳細な調査を行うと同時に,民間企業の景観活動への資本支援的な参画を促す契機となるような制度作りのための可能性を探り,提言を行う。.
EU諸国ならびに米国における指標開発,政策への反映状況調査・分析および生物多様性と保護政策の経済評価に関する研究
2010.04~2011.03, 代表者:矢部光保, 九州大学, 農林水産技術会議、農業環境技術研究所、法政大学
農林水産省受託研究「農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発」の分担課題として,生物指標に現れる環境保全型農業の経済価値を評価する..
The Study of Strategies of Social Change using the Method of Qualitative Comparative Analysis (QCA)
2014.10~2014.10, 代表者:Wendy Olsen, Manchester University, UK, Japan
日本社会数理学会の研究者と質的比較分析手法開発のための学術検討会を行った。一回目(2008年6月)はマンチェスター大学にて開催。二回目は,2009年9月に,日本社会数理学会・学会大会に合わせて日本で開催した。.
研究業績
主要著書
1. Hiroki Tokunaga, Tamon Baba, Manabu Ishitani, Kasumi Ito, Ok Kyung Kim, Le Huy Ham, Hoang Khac Le, Kensaku Maejima, Keiko T. Natsuaki, Nguyen Van Dong, Hy Huu Nguyen, Nien Chau Nguyen, Nguyen Anh Vu, Hisako Nomura, Motoaki Seki, Pao Srean, Hirotaka Tanaka, Bunna Touch, Hoat Xuan Trinh, Masashi Ugaki, Ayaka Uke, Yoshinori Utsumi, Prapit Wongtiem, Keiji Takasu, Sustainable management of invasive cassava pests in Vietnam, Cambodia, and Thailand, Springer Singapore, 10.1007/978-981-10-7308-3_8, 131-157, 2018.08, [URL], キャッサバは重要な作物で、そこでは根茎が熱帯地域の主食として知られています。最近、キャッサバ塊茎はさまざまな方法で数多くの製品に加工され、さまざまな方法で利用されています。キャッサバ栽培の面積は、特に東南アジアで増加しています。このような状況は、この地域で新たなキャッサバ病や害虫の発生を引き起こしています。この章の主要部分では、ベトナム、カンボジア、タイの現在のキャッサバの状況を概説し、次にキャッサバの主要な病気と害虫およびそれらの管理方法を説明しました。さらに、これまでのキャッサバ農業を発展させる国際的な活動、既存の農業普及システム、そしてキャッサバ農家の社会経済的状況についても説明した。 2016年以来、私たちは侵襲性キャッサバ病と害虫の管理を確立するためにSATREPSプロジェクトを実施している。最後の章では、キャッサバの持続可能な農業を確立するためのアプローチを示した。
Cassava is an important crop, in which root tubers have been known as a staple food in tropical area. Recently, cassava tubers are processed by various methods into numerous products and utilized in various ways. The land area of cassava cultivation has been increasing especially in Southeast Asia. Such a situation is causing an introduction of new cassava diseases and insect pests in the region. In the main part of this chapter, we reviewed the current cassava situation in Vietnam, Cambodia, and Thailand and then illustrated the major cassava diseases and insect pests and their management methods. In addition, we described the international activities developing the cassava agriculture to date, the existing agricultural extension system, and the socioeconomic situation of cassava farmers. Since 2016, we have been conducting SATREPS project to establish a management of invasive cassava diseases and insect pests. At last part chapter, we showed our approach to establish the sustainable agriculture of cassava..
2. 横川 洋, 高橋 佳孝, 帆足 俊文, 瀬井 純雄, 三村 聡, 矢部 光保, 野村 久子, アンドレアス・ニーフ, 磯野 誠, 梶原宏之, 長野史尚, 阿蘇地域における農耕景観と生態系サービス 文化的景観論で地域価値を再発見し世界文化遺産登録を支援する, 2017.04, 文化庁「重要文化的景観」選定とユネスコ「世界文化遺産」登録をめざす、阿蘇地域の草原。その草原景観が有する価値を多様な側面から解明し、農の生態系サービスと地域活性化との結びつきを学術的に明らかにする。.
3. Mitsuyasu Yabe, Hisako Nomura, Joseph M. Arbiol, Maxima R. Quijano, Maridel P. Borja, Nina G. Gloriani, Shin-ichi Yoshida, Socioeconomic Study on the Burden of Leptospirosis, Kyushu University Press, pg.565, 2014.12.
4. 矢部 光保, 出村克彦, 後藤 貴文, 伊藤 寛幸, KHOUSAKUNALATH Sithyphone, 三田村 強, 永木正和, 野村 久子, 佐藤 衆介, 藤 真人, 吉田謙太郎, 草地農業の多面的機能とアニマルウェルフェア, 筑波書房, 2014.03, 「草地農業の多面的機能と支援政策」をEUとの比較を念頭に、我が国の草地農業システムの現状とその多面的機能の発揮に向けた分析に焦点を当てる。具体的には、多面的機能の経済学的概念や評価手法、草地農業の歴史的生態学的展開やその支援制度について議論する。さらには、草地農業の展開には、政策的支援に加え、市場的支援も重要である。そこで、多面的機能の価値がどの程度畜産物価格に反映させされるかについても分析を加える。
それと「アニマルウェルフェアと市民的価値」を放牧や公共牧場などを中心に、放牧主体の草地農業システムによるアニマルウェルフェアを議論し、その経済的価値を評価する。さらに、ペットのアニマルウェルフェアや癒しについてまで議論を広げ、その経済的価値を分析した。
多面的機能:農産物以外に、生産活動によって社会に役立つ有形・無形の価値が生み出されること
アニマルウェルフェア:快適性に配慮した家畜の飼養管理.
5. 西尾健, 和泉真理, 野村 久子, 平井一男, 矢部 光保, 英国の農業環境政策と生物多様性, 筑波書房, 2013.01, 英国を中心にその基盤となる欧州共同体(EU)の生物多様性に関わる施策やさまざまな取り組みをまとめた。農水省の「農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発」の一つとして2008、2009年に愛国で実施した調査研究をそれぞれの研究者が書いた。
英国は日本とは逆に60年代に40%だった食料自給率を70%を超すまでに向上させた国。しかし、その過程で鳥や蝶など昆虫類の種類や数は激減、90年第後半から政府が環境直接支払制度を設け、保全に力を入れている。生き物を保護する活動など、先進的な取り組みも多く紹介されている。
本書は、生物多様性・保全のための①EUの共通農業政策②英国の農業環境政策の中心にある環境管理助成制度の枠組み③現地調査結果④政策を国民が支える仕組み⑤取り組みの評価報告の5章で構成する。.
6. Peter John, Sarah Cotterill, Hanhua Liu, Liz Richardson, Alice Moseley, Hisako Nomura, Graham Smith, Gerry Stoker, Corinne Wales , Nudge, Nudge, Think, Think: Using Experiments to Change Civic Behavior, Bloomsbury Publishing PLC, 2011.12, [URL].
主要原著論文
1. 野村久子, フィールドにおけるRCT実験研究の動向と国内農林業問題への応用, 農林業問題研究, https://doi.org/10.7310/arfe.55.13, 55, 1, 13-20, 2019.01, [URL].
2. Hisako Nomura, Nguyen Bich Hong, Mitsuyasu Yabe, Effective use and management of Kunisaki Peninsula Usa GIAHS long trail-A sustainable tourism model leading to regional development, Sustainability, 10.3390/su10020497, 10, 2, 2018.02, [URL], Despite increasing recognition of the importance of maintaining environmental public goods such as rural landscapes and their ecological systems, it remains challenging to implement a management system where the value of maintaining such public goods is reflected by a means of a support payment. We proposed a tourism model for the regional promotion of footpaths as the main axis in the "Agri-culture System" designated as part of the Globally Important Agricultural Heritage Systems (GIAHS). Applying a Contingent Valuation Method, we asked walkers how much they were willing to contribute to various GIAHS-related activities through volunteering in addition to the participation fee for the walk. We hypothesized that the diverse means and activities to support conservation would contribute to sustainable management of GIAHS. The research findings showed that walkers had options to choose which activity to support. For track maintenance, WTCL in volunteering is 4.23 days a year. In the case of walkers who had no options, their Willingness to Contribute in Labor (WTCL) by volunteering is 3.34 days a year. To link the regional resources used for tourism with GIAHS require their effective management and conservation. Thus, it is desirable to formulate a combined approach such as payments by users of the trails and contributions through volunteer activities..
3. Sein Mar, Hisako Nomura, Yoshifumi Takahashi, Kazuo Ogata, Mitsuyasu Yabe, Impact of erratic rainfall from climate change on pulse production efficiency in Lower Myanmar, Sustainability, 10.3390/su10020402, 10, 2, 2018.02, [URL], Erratic rainfall has a detrimental impact on crop productivity but rainfall during the specific growth stage is rarely used in efficiency analysis. This study focuses on this untapped point and examines the influence of rainfall specifically encountered during the sowing stage and early vegetative growth stage and the flowering stage of pulses on productivity and efficiency in Lower Myanmar using data from 182 sample farmers. The results of a stochastic frontier production function reveal that rainfall incidence during the flowering season of pulses has a negatively significant effect on yield while replanting crops after serious damage by rain increases productivity. Controlled rainfall variables, seed rate, human labor and land preparation cost are important parameters influencing pulses yield. In the efficiency model, levels of yield loss have a negative impact while being a male household head, access to government credit, access to training, locating farms in the Bago Region and possessing a large area of pulses have a positively significant effect on technical efficiency. Policy recommendations include the establishment of a safety network, such as crop insurance to protect farmers from losses due to unpredictable weather conditions, promoting training programs on cultural practices adapted to climate change, wide coverage of extension activities, giving priority to small-scale farmers and female farmer participation in training and extension activities and increasing the rate of credit availability to farmers..
4. Le Thi Thanh Loan, Hisako Nomura, Yoshifumi Takahashi, Mitsuyasu Yabe, Psychological driving forces behind households’ behaviors toward municipal organic waste separation at source in Vietnam: a structural equation modeling approach, SPECIAL FEATURE: ORIGINAL ARTICLE 3rd 3R International Scientific Conference (3rd 3RINCs 2016), 10.1007/s10163-017-0587-3, 1-9, 2017.02, Most recent municipal organic waste separation at source (MOW-SAS) programs introduced in developing countries remain pilot programs, and do not develop fully into sustainable municipal solid waste (MSW) management strategies. Hoi An city, Quang Nam Province, Vietnam, implemented a mandatory MOW-SAS program in 2012. Using Structural Equation Modeling (SEM), this study investigates the psychological driving forces behind households’ behaviors toward the MOW-SAS program. This study find that attitude towards sorted waste, moral norm (moral perception about what is good or bad), and situational factors (the issues of physically sorting garbage such as time, space, and lack of cooperation from family members) can affect significantly the households’ behaviors toward MOW-SAS. Moreover, we find that the households’ system trust in the local authority towards the MOW-SAS program is a driving force behind the behavior. The lessons learnt from the local authority in Hoi An city that it concentrates on 1) supplying frequent environmental education and campaign to improve the residents’ knowledge and skills of MOW-SAS program, and 2) developing strong leadership of the local authority through enhancing: (i) reliability (ability to treat sorted waste), (ii) legitimacy (punishment methods for non-participants), and (iii) effectiveness (dissemination of information about the benefits of MOW-SAS program)..
5. Makoto Ehara, Kimihiko Hyakumura, Hisako Nomura, Matsuura Toshiya, Sokh Heng, Leng Chivin, Identifying characteristics of households affected by deforestation in their fuelwood and non-timber forest product collections: Case study in Kampong Thom Province, Cambodia, Land Use Policy, https://doi.org/10.1016/j.landusepol.2015.12.006, 52, 92-102, 2016.03, This study explored characteristics of households affected by deforestation in their fuelwood and non-timber forest product (NTFP) collections in Kampong Thom Province, Kingdom of Cambodia, where tropical lowland forests are decreasing in size owing mainly to agribusiness development and farming. Deforested areas were delineated by satellite image interpretation of forest cover change. A questionnaire survey was conducted for 161 households in six villages within three districts having varying degrees of forest cover changes per capita over a period of 5 years. Generalized linear mixed models were used to analyze characteristics of households affected by deforestation in their fuelwood and NTFP collections. The characteristics vary with the collection activity examined, either fuelwood or NTFP collection. We revealed that deforestation notably affects villagers whose non-forest fuelwood sources are scarce. People who collected fuelwood in forests after deforestation are more likely to be affected if the remaining forest area per capita near their village is less. In contrast, for NTFP collection, the size of the deforested area per capita near villages is more important than that of the remaining forest area, particularly to those who depend on NTFP collection as one of their main livelihood activities before deforestation. In contrast with much of the literature that has stated that the poor depend more on NTFPs, our results show that the relationship between household wealth and NTFP dependence was more than a simple negative correlation; i.e., the local people's material wealth was not a strong determinant in our NTFP model. The importance of stakeholder analysis and consultation with local residents in impact assessments and natural resource management involving land-use changes has been progressively acknowledged in the academic literature. In this context, we argue that it is essential to identify potentially affected groups among local residents in terms of their fuelwood and NTFP collections in a short-term period widely distributed at the provincial level. The combination of our findings, method applied and existing demographic survey networks in Cambodia provides an approach of identifying the affected residents in a transparent manner..
6. Hisako Nomura, Mitsuyasu Yabe, Private Provision of Environmental Public Goods: A Pilot Program for Agricultural Heritage Conservation, Journal of Resources and Ecology, 5, 4, 341-347, 2014.12, Abstract
While the true value of environmental goods may be captured in a one-off payment, it may be easier to add a smaller amount to a private good by means of donation and collect the total environmental value over time. For that, however we need to ensure the smaller amount of a heritage conservation donation added to a private good is adequate so that we can find retailers to participate in such fund-raising activities. We test the contingent valuation method’s criterion validity by comparing their stated purchasing behavior with their actual behavior. The price increase from the addition of the donation did not affect total sales of the commodity. Adding a donation to specialized private goods may be an effective way to collect landscape and agricultural heritage conservation donations. Furthermore, our findings suggest that funds can be collected without affecting commodity sales. This approach is effective in other environmental protection activities.

要旨
環境や多面的機能といった価値は一回の支払金額で人々の支払意志額を推計することが可能とされている。その一方で、実際の支払は、私的財に募金といった形で上乗せした少額を継続的に集める方法が効果的といえる。この研究は、私的財に上乗せするための募金金額として人々の支払意志額を推計することで、集金可能な保全基金の大きさを求め、保全活動の計画を立てることに資する。そのため、まず、CVM(仮想評価法)によるアンケート調査を行い、被験者が支払ってもよいと回答した平均的寄付額を推計する。次に、その額を商品に付加して実際に販売し、人々の購買行動を調査して、アンケートから期待される購買行動と比較する。これにより、従来からしばしば批判されてきたCVMの仮想的条件下における回答の信頼性について、すわなち、「実際に寄付金が付加されると、人々はアンケート異なった行動をとる」という仮説について検証する。そして、実際に得られることができる保全基金の総額を予測する。今回の調査では、菓子を対象に「これまでの購入個数を変えずにいくらまでなら寄付できるか」との問いに示した支払意思額を、実際に寄付を上乗せして販売しても売上個数の減少は見られなかった。これにより寄付金による歴史的構築物保全の実現可能性を示すことが出来たことは、今後の具体的な保全活動の第一歩となる。と同時に、他の環境保全活動にもこの手法による支払意思額を反映させることは有効であるといえる。.
7. Arbiol Joseph, Maridel Borja, Mitsuyasu Yabe, Hisako Nomura, Shin-ichi Yoshida, Nina Gloriani, Valuing Human Leptospirosis Prevention Using the Opportunity Cost of Labor, 2013.10, 5, 1845-1860, 2013.10, Arbiol, Joseph, Maridel Borja, Mitsuyasu Yabe, Hisako Nomura, Nina Gloriani, Shin-ichi Yoshida.
8. Hisako Nomura, Mitsuyasu Yabe, Nishio Takeshi, Mari Izumi, Kazuo Hirai, Tetsuji Kurokawa, Framework for improvement of farmland biodiversity in Japan, JOURNAL OF ENVIRONMENTAL PLANNING AND MANAGEMENT, 10.1080/09640568.2012.702100, 56, 5, 743-758, 2013.06.
9. Hisako Nomura, Peter C. John & Sarah Cotterill, The use of feedback to enhance environmental outcomes: a randomised controlled trial of a food waste scheme, Local Environment, http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/13549839.2011.586026, 16, 7, 637-653, 2011.08.
10. Sarah Cotterill, Peter John, Hanhua Liu and Hisako Nomura, Mobilizing citizen effort to enhance environmental outcomes: A randomized controlled trial of a door-to-door recycling campaign, Environmental Management, 91, 2, 403-410, 2009.10.
11. Wendy Olsen and Hisako Nomura, Poverty Reduction – fuzzy sets and crisp set compared, Journal of Sociological Theory and Methods, 24, 2, 219-246, 2009.04.
12. 野村久子・矢部光保, 日本型環境支払に対する農家の受容行動―環境保全型農法に対する参加意向と参加面積率の決定要因の分析―, 農業経営研究, 45, 1, 1-11, 2007.09.
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
1. 野村久子, 馬場多聞, 高須啓志, 伊藤香純, 夏秋啓子, 鵜家綾香, 関原明, 徳永浩樹, 石谷学, ベトナム、カンボジア、タイにおけるキャッサバの侵入病害虫対策に基づく持続的生産システムの開発と普及(2016-2021年)について, 砂糖類・でん粉情報, 2018.05, [URL], 2016年度に始まった独立行政法人国際協力機構(JICA)/国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)「ベトナム、カンボジア、タイにおけるキャッサバの侵入病害虫対策に基づく持続的生産システムの開発と普及(2016-2021年)」プロジェクト(研究代表者:九州大学 大学院農学研究院 高須啓志)は、大メコン圏における戦略作物であるキャッサバの持続的生産のために、持続的害虫管理技術に基づいた健全種苗の普及モデルを構築することを目標としている。これまで、キャッサバの病気や害虫、種苗生産、普及について、ベトナムやカンボジア、タイにおいてさまざまな研究活動を続けてきており、2018年度には折り返し地点を迎える。残された時間の中で最大限の成果を挙げることができるよう、国内外の機関の連携を深めていきたい。.
2. 野村 久子, 矢部 光保, 梶原 宏之, 陳 怡靜, 野村久子『農業遺産ロングトレイルを通じた農耕文化や歴史的ストーリーの掘り起こしとその多面的価値の評価研究』平成28年度 国東半島宇佐地域世界農業遺産調査研究事業 研究成果報告書, 2017.03, [URL], 本研究では、国東半島・宇佐地域世界農業遺産における「農文化システム」の中に息づいているトレイルを歩き,魅力的な農文化と農業の関わりを知り,体験するというツーリズムを展開することで,地域振興へつながる新たな観光モデルを提唱し,そのための基礎研究を行った。

小課題1:トレイルを通じた、農文化と世界農業遺産システムの関わりストーリーの掘り起こし
阿蘇たにびと博物館 梶原宏之
陳怡靜
概要(小課題1-1)
 小課題1-1では、国東半島・宇佐地域世界農業遺産における農文化ストーリーを掘り起こすことを目的として調査および検討を行なった。調査対象地域を国東市国東町綱井地区に設定し、綱井地区のフィールドワークを通して環境と生業の関わりを調査した結果、かつて「嫁にやるとも綱井にやるな」と唄われた寒村が、新たな溜池を整備していくなかで「嫁にやるなら綱井へおいで」と言えるまで収量を上げられたことが分かった。そこで実際に綱井へ嫁に来た女性たちがどんな思いでいたかを探るための婚姻に関する民俗学調査を行ない、それを基に記憶のフットパス・マップを制作した。その結果〈歴史的事実〉のみならず〈感情移入的挿話〉が重要な要素となろうことが指摘された。

概要(小課題1-2)
 小課題1-2では、国東半島・宇佐地域世界農業遺産を訪れる外国人訪問客らへ対し、どんな情報を発信できるか検討するため2つの調査を行なった。一つは、すでに開かれているウォーキングイベントや宿泊施設を実際に利用して、参加した外国人たちから問題点等をヒアリングした。もう一つは、写真SNSの代表的アプリであるインスタグラム上へアップロードされている国東半島に関する情報を収集し、それらを世界農業遺産の5つの構成要素に沿って分析することで、外国人旅行者たちの目に興味深く映っている項目、また逆に映っていない項目について検討を行なった。その結果、特に農文化に関する風景が注目されていることが分かり、また伝統知識については気づかれておらず、農作物や生物多様性についても改善の余地が充分あることが指摘された。 
小課題2:トレイルの持つ多面的な経済的価値評価
九州大学農学研究院 講師 野村 久子
教授 矢部 光保
概要(小課題2-1)
 小課題2-1では、国東半島・宇佐地域世界農業遺産の5つの構成要素である「文化的景観、伝統的農業、農文化、食、生物多様性」といった多様な価値が存在するトレイルを経済的に評価し、この研究により一般の人々がトレイルに認めている価値を明らかにする。そして、その結果に基づいて、フットパスを含む地元の資源利活用、そして維持・継承のための方策を提案することである。そこで、維持・継承の活動支援としてウォークの際に募金あるいはボランティアを募ることとし、GIAHS関連の活動に対する潜在的な支援の可能性を検討した。調査地域は、国東市国東町旭日地区、富来区を対象に、それらの地区における一般のウォーキングイベント参加者を対象にトレイルの持つ価値をアンケート評価した。まず、「世界農業遺産の維持・継承のための活動について、寄付やボランティアなどで支援したいと思いますか。」という問いかけに対し、およそ80%の回答者が支援をしたいと答えた。そのうち、寄付を通じた支援を行っても良いと答えた人は36.8%だったのに比べ、ボランティアを通じた支援を行っても良いと答えた人は、65.6%と、より多かった。ボランティアを通じた支援をしてもよいと答えた人は、ウォーキング参加者のおよそ3分の2であり、国東半島宇佐地域では、いろいろな形の農業遺産維持継承の取り組みが有用と考える。これにより、公的な支援のみでなく、利用者など便益を受けるものが支払う、あるいはボランティアという形で世界農業遺産の維持・継承のための活動にかかわっていくといった形など複数の取り組みを同時に行うことが、効果的な保全対策の策定であることが示された。

概要(小課題2-2)
 小課題2-2では、世界農業遺産の要素である生物多様性や農文化の保全活動支援として、「世界農業遺産 生物多様性・農文化保全基金」(仮称)を設定し、世界遺産認定地域を生息地とする生物多様性保全活動や農伝統・農文化保全活動等に対する非補助金型の支援策の検討を行う。これは、費用の一部を基金から支出することで、行政と市民が共同して保全活動を支援する新しい形での、市民参加型保全活動に資する。今回の調査から、ウォーキングイベントの際に、参加する人に、展示会のイベント手伝いなどを呼びかけるなどをしていくことで潜在的な協力が得られる人たちがおり、支援が可能ということが分かった。このことは、資金ではなく人を巻き込んでいくことで生み出されていく活力の方が有り難いという七島イ振興協会の事務局の方の話にもつながる。今回の調査で明らかになったボランティアの潜在的存在を今後世界農業遺産の維持・継承活動とマッチングさせていくことで、地域の活動に内外の人々を巻き込んでいけるだろう。今後、国東市がともに各団体との話合いを設け、世界農業遺産の維持・継承のために検討が行われることが期待される。
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3. 野村 久子, 野村久子「英国のマーケットチェーンによる生物多様性保全活動促進と多様な主体の参画・連携」研究代表者・矢部光保『PDCAサイクルと多様な主体の参画・連携による生物多様性保全活動促進のための政策的支援に関する研究』平成27年度 農林水産政策科学委託事業 研究成果報告書
, 2017.02, 本調査では、海外の事例について、多様な主体の参画・連携による生物多様性保全活動促進のための政策的支援を市場的支援、非市場的支援、融合的支援に類型化し、また、それぞれの取り組みについてPDCAサイクルに当てはめて、その全体像を把握することを調査の目的とした。
生物多様性の価値が市場に取り込まれるためには環境保全を消費者に訴える商品構成が必要であり、そのためには、様々な組織や制度が関与する。そこで、英国において、1)補助金や認証、そして実際の農産物売買を通じ、市場を用いて生物多様性保全を支援する農産物や加工物の流通と、2)知識や労働の提供により非市場的にそれらを支援するNGOやトラスト、企業などのボランティア活動、そして、3)スーパーや食品業界の企業と契約する農家を対象にワークショップを開き、生物多様性を含む環境保全的農業市場拡大につながる意識啓発やノウハウの伝授をを行い、それをNGOの組織運営に活用するといった、市場と非市場の両方の側面を持ち合わせた融合的支援により企業やNGOがどのように関与しているか、調査を行った。
まず、市場的支援として、補助金や認証、そして実際の農産物売買を通じ、農家に直接収入につながるメリットを持たせることは、農家に生物保全への行動変化をもたらすための重要なインセンティブになるということである。英国をはじめとするEU加盟国の場合は、農地の生物多様性保全については、EUのCAP(共通農業政策)の一貫である農業環境支払いとEU法制が大きな役割を果たしている。特に、生物多様性の向上には、結果に基づく支払いが応用されている。また、認証によって、製造業者・スーパーなどが農作物をプレミアム価格で買取る市場を用いた生物多様性保全を支援する農産物や加工物の流通が確立しつつあることが分かった。認証は流通の段階で質の保証をする役割を担っており、農作物がプレミアム価格がつくサプライチェーンが出来上がっている。
次にそれらを知識や労働の提供により非市場的にそれらを支援するNGOやトラスト、企業などのボランティア活動の存在がある。また、イングランドの農業環境支払いの事業の構築や評価にあたっては、多数の研究機関・民間団体・企業が、データの収集、実証実験、ステークホルダーの意見集約、事業内容の提言や評価の実施などに関わっているおり、長期にデータをモニタリングし、成果に基づき、制度に反映していく重要な役割を担っている
そして、最後に融合的支援として、スーパーや食品業界の企業と契約する農家を対象にワークショップを開き、生物多様性を含む環境保全的農業市場拡大につながる意識啓発やノウハウの伝授をを行い、それをNGOの組織運営にもつなげている。このような、企業やNGOの多様な主体による生物多様性保全活動促進につながる取り組みは、社会全体の意識改革活動を担い、そして認証を通じて、生物多様性に貢献しているブランドを作り上げ、そのブランドを消費することが生物多様性に貢献しているということを消費者にアピールするマーケットチェーンを作り上げている。
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4. 野村 久子, 「レプトスピラ感染症による経済負担経済的負担要因分析-負担緩和のための政策提言-」研究グループB報告書,JICA/JST 地球規模課題対応 国際科学技術協力事業 (SATREPS)「レプトスピラ症の予防対策と診断技術の開発プロジェクト」, 九州大学, 2013.03.
5. 野村 久子, 「堀川・三連水車保全基金創設のための仕組みづくり」平成23年度河川整備基金助成事業, 『地域への経済的便益還元の仕組みづくり研究』報告書, 2012.03.
6. Colin Kirkpatrick, Norman Lee, Julian Curren, James Franklin, Hisako Nomura, Further Development of the Methodology for a Sustainability Impact Assessment of Proposed WTO Negotiations –Final Report to the European Commission-,’ Institute for Development Policy and Management, Manchester, UK.
主要学会発表等
1. 野村 久子, Sarah Cotterill, Peter John, 有機性廃棄物のリサイクル普及効果分析-ランダム化対照試行を用いたバイオマス循環システム支援方策の政策的含意-, 環境経済政策学会, 2015.09, 近年ごみ軽減ならびに資源の有効再利用の対象として注目される食品由来の有機性廃棄物のリサイクルを普及を促すための施策効果をランダム化対照試行を用いた実証実験を行った。道レベルの有機性廃棄物リサイクル普及率を各世帯へのフィードバックとしてポストカードで世帯に送付することで、同じ「道」に住む世帯で、規範が活性化して帰属意識を刺激し、集団間の対抗意識ならびに集団内のリサイクリング協同意識が高まることが制度普及へ与える効果検証を行った。 .
2. Hisako Nomura, Masuda Begum Sampa, Mitsuyasu Yabe, Latent preferences and valuation of health walk on footpath in UK,' , Taipei, Taiwan, 2015.08.07, East Asian Environmental Resource Economics Association, 2015.08, Footpath has been recognized as an important element to promote healthy green tourism in the rural areas. We estimated the value of footpath according to attributes of footpath determined by people's latent preferences using the Choice Modeling. .
3. Hisako Nomura, Mitsuyasu Yabe, Private Provision of Environmental Public Goods: A Pilot Program for Agricultural Heritage Conservation, The 1st Conference of East Asia Research Association for Agricultural Heritage Systems (ERAHS), 2014.04, While the true value of environmental goods may be captured in a one-off payment, it may be easier to add a smaller amount to a private good by means of donation and collect the total environmental value over time. For that, however we need to ensure the smaller amount of a heritage conservation donation added to a private good is adequate so that we can find retailers to participate in such fund-raising activities. We test the contingent valuation method’s criterion validity by comparing their stated purchasing behavior with their actual behavior. The price increase from the addition of the donation did not affect total sales of the commodity. Adding a donation to specialized private goods may be an effective way to collect landscape and agricultural heritage conservation donations. Furthermore, our findings suggest that funds can be collected without affecting commodity sales. This approach is effective in other environmental protection activities..
4. Hisako Nomura, Sarah Cotterill, The Use of Feed back to Promote Food Waste Collections, York RCT Conference, 2009.09.
5. Hisako Nomura, Can Online Deliberation Transform Citizens? – Preliminary findings from an internet field experiment in the UK, Conference on Informing Public Policy, 2009.04.
6. Hisako Nomura, Wendy Olsen, The Causes of Women's Educational and Labour Market Achievement in a Cross-National Context, Conference on Comparative Social Science, 2006.07.
7. Hisako Nomura, Agricultural Trade and the Environment –Appraisal of Mitigation Measure as part of the Sustainability Impact Assessment for Trade Liberalisation, Society for Environmental Economics and Policy Studies, 2003.09.
学会活動
所属学会名
農村計画学会
欧州環境資源経済学会
東アジア環境資源経済学会
Development Studies Association
環境経済・政策学会
農業経営学会
農業経済学会
学協会役員等への就任
2018.04~2020.03, 農村計画学会, 編集委員.
学会大会・会議・シンポジウム等における役割
2019.10.13~2019.10.13, 地域農林経済学会, シンポジウムの招待講演.
2017.11.08~2017.11.09, AFELISA, Chairperson.
2017.11~2017.11.09, The International Joint Symposium between Japan and Korea (AFELiSA), Preparation Committee.
2017.09.09~2016.09.10, 環境経済政策学会, 企画セッション 発表.
2016.11.30~2016.12.01, The Kyushu Univ. - OIST Networking WS, 座長(Chairmanship).
2016.09.19~2016.09.20, 環境経済政策学会, 座長(Chairmanship).
2016.08.08~2016.08.10, East Asian Environmental Resource Economics Association, Preparation Committee.
2015.09.18~2015.09.20, Society for Environmental Economics and Policy Studies, Discussant.
2015.06.19~2015.06.19, The 8th ADB–JSP Scholars’ Research Forum, Panelist.
2014.06.20~2014.06.20, The 7th ADB–JSP Scholars’ Research Forum, 座長(Chairmanship).
2012.09.14~2012.09.15, Society for Environmental Economics and Policy Studies, Discussant.
学術論文等の審査
年度 外国語雑誌査読論文数 日本語雑誌査読論文数 国際会議録査読論文数 国内会議録査読論文数 合計
2019年度    
2017年度 10 
2016年度    
2015年度      
2014年度      
その他の研究活動
海外渡航状況, 海外での教育研究歴
ラヨーンキャッサバ研究所, UBB, Thailand, Cambodia, 2019.03~2019.03.
Nong Lam University, Hung Loc Center, Vietnam, 2019.07~2019.08.
チェンマイ大学, JICAバンコクオフィス, チュラロンコン大学, キングモンクット工科大学, Thailand, 2018.02~2018.02.
イエジン農業大学, 農業畜産灌漑省 (Ministry of Agriculture, Livestock and Irrigation: MOALI), 農業研究局 (Department of Agricultural Research: DAR), Myanmar, 2018.02~2018.02.
Thuy Loi大学, VNUA大学, タイグエン大学, Vietnam, 2018.01~2018.01.
AGI, Vietnam, 2018.01~2018.01.
ノンラム大学, Vietnam, 2017.05~2018.05.
UBB, Cambodia, 2018.03~2018.03.
Agricultural Genetics Institute, Vietnam, 2017.05~2017.05.
カンボジア王立農業大学, Cambodia, 2017.02~2017.02.
HLARC, Nong Lam University, Vietnam, 2016.11~2016.11.
ベトナム国立農業大学, Vietnam, 2016.10~2016.10.
バッタンバン大学(UBB), Cambodia, 2016.07~2016.07.
Agricultural Genetics Institute, Vietnam, 2016.05~2016.05.
Agricultural Genetics Institute, Nong Lam University, International Center for Tropical Agriculture (CIAT), Vietnam, 2015.12~2015.12.
バッタンバン大学(UBB), Cambodia, 2015.12~2015.12.
JICA, Lao People's Democratic Republic, 2015.12~2015.12.
University of Indonesia, Indonesia, 2015.09~2015.09.
Yezin Agricultural University, Myanmar, 2014.12~2014.12.
バッタンバン大学(UBB), Cambodia, 2014.11~2014.11.
温州青田県行政機関, 福州行政機関, China, 2014.10~2014.10.
Rural Payment Agency, Natural England, The University of Manchester, UnitedKingdom, 2014.09~2014.09.
PhilRice, Philippines, 2014.07~2014.07.
The University of Leeds, UnitedKingdom, 2014.03~2014.03.
ホーエンハイム大学, ワーゲニンゲン大学, FAO, Germany, Netherlands, Italy, 2013.09~2013.09.
サウスダウンズ国立公園, UnitedKingdom, 2013.02~2013.02.
University of Indonesia, Indonesia, 2012.11~2012.11.
ソウル国立大学, SouthKorea, 2012.10~2012.10.
英国環境・食料・農村地域省,サウス・ダウンズ国立公園管理局,ノース・エイボン野生生物トラスト, UnitedKingdom, 2012.09~2012.09.
Natural England, UnitedKingdom, 2012.02~2012.02.
フィリピン大学マニラ校, Philippines, 2012.01~2012.01.
UC Davis, USDA, UnitedStatesofAmerica, 2011.09~2011.09.
フィリピン大学マニラ校, Philippines, 2011.08~2011.08.
フィリピン大学マニラ校, Philippines, 2010.07~2010.07.
外国人研究者等の受入れ状況
2018.11~2018.12, 2週間以上1ヶ月未満, Nong Lam University, Vietnam, 科学技術振興機構.
2017.07~2017.07, 2週間未満, CLA, UnitedKingdom.
2015.02~2015.03, 2週間以上1ヶ月未満, Leeds University, UnitedKingdom, 文部科学省.
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2018年度~2020年度, 基盤研究(B), 分担, 耕作放棄地の自然再生と地域振興に向けた合意形成ー経済実験による価値観転換の検証ー.
2017年度~2019年度, 挑戦的研究(萌芽), 代表, ランダム化比較試験を用いた環境・エネルギー政策研究の手法確立.
2014年度~2016年度, 基盤研究(B), 分担, エシカル消費を通じた環境保全型農業の社会的支援制度構築に関する実証研究‘Promoting the Environmentally Friendly Agriculture through Ethical Consumption and Establishing Supporting Systems’.
2011年度~2013年度, 基盤研究(B), 分担, バイオバンキングを利用した市場メカ二ズム導入のための実証研究.
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会以外)
2010年度~2010年度, , 分担, EU諸国ならびに米国における指標開発,政策への反映状況調査・分析および生物多様性と保護政策の経済評価に関する研究.
競争的資金(受託研究を含む)の採択状況
2018年度~2020年度, 平成30年度住友財団環境研究助成, 代表, 生ごみ分別導入による一般ごみ減量効果の回帰不連続デザイン分析と自然実験評価.
2011年度~2011年度, 河川整備基金助成事業, 代表, 地域への経済的便益還元の仕組みづくり研究.
2016年度~2016年度, 平成28年度 国東半島宇佐地域世界農業遺産調査研究事業, 代表, 農業遺産ロングトレイルを通じた農耕文化や歴史的ストーリーの掘り起こしとその多面的価値の評価研究
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