九州大学 研究者情報
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野口 高明(のぐち たかあき) データ更新日:2016.06.08



大学院(学府)担当

学部担当

その他の教育研究施設名

惑星微量有機化合物研究センター


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取得学位
理学博士
専門分野
鉱物学
活動概要
研究活動
(1)宇宙風化作用の鉱物学的研究
月や小惑星イトカワのような大気の無い天体の表面は,大小さまざまな隕石の絶え間ない衝突,太陽からのプラズマの流れである太陽風,あるいは,太陽系外からの宇宙線などに常にさらされ続けている過酷な環境にあります。特に,月の試料を使った研究により宇宙風化の主な原因は,微小隕石の衝突により衝突地点の岩石・鉱物が高温になって蒸発したものが再び周囲にごく薄い膜(0.1ミクロン)としてコーティングし,そのごく薄い膜の中に金属鉄極微粒子が形成されるためであるとされました。しかし,小惑星の宇宙風化は太陽風が主な原因であるということが主に天文学的な研究により主張されていました。私たちはイトカワ粒子を透過電子顕微鏡で詳細に観察し,宇宙風化組織は主に太陽風による照射でできること,特に,約25%のイトカワ粒子極表面にはブリスターが見られることを明らかにしました(Noguchi et al., 2014)。現在は,この宇宙風化がどのような速さで進行するかを研究しています。理学部の岡崎博士と組んで,試料中に蓄積されている太陽風起源の希ガス同位体の測定と透過電子顕微鏡観察を個々のイトカワ粒子に対して測定しています。また,同じ手法を月の表面を覆う未固結の砂状の物質であるレゴリスの個々の粒子に対しても適用して,月とイトカワにおける宇宙風化あるいは天体表面付近に存在する微粒子の履歴の違いを比較検討しています。

(2)宇宙塵(南極微隕石)の鉱物学的研究
南極のドームふじ基地近くの表層雪には,NASAが長年にわたって成層圏から回収しているInterplaneary dust particles (IDPs)のなかで,彗星起源と考えられているChondritic porous IDPs (CP IDPs)と区別がつけられないものが含まれていることを見出しました。従来,CP IDPsは地表に落下すると,非常にもろいために保存されることは無いと考えられてきましたが,大きさ20μm程度かそれ以下の大きさの場合,その割合は10-20%でした。また,氷を融解ろ過して回収された微隕石の場合でも0.1%程度はCP IDPsと区別がつけられないものが含まれることも見出しました。私たちはこれらをCP MMsと名付けて,その鉱物学的特長を研究し,TEMレベルでも区別が無いことを明らかにしました(Noguchi et al., 2015)。
微隕石には上述のCP MMsのように母天体(微隕石の起源となる天体)で水との反応がおきなかったものから,母天体で水と無水鉱物が反応し含水鉱物がさまざまな程度作られているものまであります。その上,MMには有機物も含まれます。母天体を作った無水鉱物,有機物,氷(水は氷として集積したと考えられています)は,氷が融けて水になると,鉱物と有機物は水と反応をしているはずで,これら3者の関係がどのようになっているかを解明しようとしています。

(3)国際宇宙ステーションから回収された微粒子の分析
国際宇宙ステーションで2000から2005年の間に宇宙空間に曝露されていた微粒子を捕獲する物質(シリカエアロジェル,ポリイミドフォーム)に捕獲されていた微粒子の分析をJAXAとの共同研究として行っています。これは,人工衛星やロケットの微小な破片や放出物であるスペースデブリと微小な地球外物質であるマイクロメテオロイドの特長を明らかにするための研究です。特に,ポリイミドフォームという一種のスポンジに捕獲されている微粒子を取り出そうとしています。ポリイミドフォームはシリカエアロジェルよりもずっと安価に作ることができます。また,以前行われた研究からはシリカエアロジェル(透明なため粒子を取り出しやすいため,NASAのスターダスト探査機でも使用された)よりも,微粒子捕獲時に試料への影響が少ない可能性があるとされています。しかし,実際にポリイミドフォームを大気圏外で微粒子を捕獲する物質として使われた例は上記の場合しかありません。フォームは不透明なためX線マイクロスコピーが不可欠で,カールツァイスマイクロスコピー株式会社のご協力により,捕獲粒子の探索を行っています。今後,捕獲微粒子の取り出し作業を進めていく予定です。

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