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菊竹 智恵(きくたけちえ) データ更新日:2024.04.09



大学院(学府)担当



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九州大学 生体防御医学研究所 情報生物学分野 .
就職実績-民間機関等
就職実績有
取得学位
理学
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
がんゲノム解析
外国での教育研究期間(通算)
00ヶ年00ヶ月
活動概要
「非コード領域におけるドライバー変異の探索」
がんは細胞の成長や増殖、細胞周期の調節不全を伴う細胞集団のことである。様々な要因により遺伝子上に変異が生じ、そして蓄積していくことでやがてがんが発症する。がんの進化過程では数多くの遺伝子変異が生じるが、その中でも特にがんの発生や進行に直接関与する遺伝子変異はがん治療における薬剤ターゲットとなりうるため、これまで数多くのがん関連遺伝子変異が同定されてきた。しかし、このような変異情報によってがんについての十分な情報が得られたとは言えない。なぜなら、これまでに同定された変異は主としてゲノム全長の約2%を占めるコード領域における変異であり、残りの98%を占める非コード領域における変異もまたがんの要因となり得るにもかかわらず非常に多くの変異を含むためにあまり研究が進んでいないからである。
 そこで本研究では、非コード領域におけるがん関連変異を探索するため、変異のホットスポットに着目した。独立な複数のサンプルにおいてランダムに変異が生じると仮定した場合、同一箇所に変異が生じる可能性は極めて低い。したがって、ホットスポットを含む領域は、遺伝子の発現制御をはじめとする何らかの機能を持っていると考えられる。COSMICデータベースとTCGAデータベースを用いて、非コード領域に存在する21,574のホットスポット変異を抽出した。この中から、エピゲノムデータおよびクロマチン立体構造データを用いて580のがん関連非コードホットスポット変異候補を同定した。この変異の1つは、TEAD1プロモーターと相互作用すると考えられているRREB1結合部位に位置していた。本研究により、この変異がRREB1の候補エンハンサー領域への結合を破壊し、TEAD1発現レベルを増加させる可能性があることが示唆された。

「クロマチン構造に基づく新規がん関連変異の探索」
オープンクロマチン領域とは、ゲノム上で局所的にクロマチン構造が開いた領域のことである。これまでの研究により、オープンクロマチン領域では近傍領域よりも変異の発生が少ないことが示されている。しかし、オープンクロマチン領域内では、必ずしも一様に変異が少ないわけではない。一部のがん種では、オープンクロマチン領域内の制御領域において高度に変異が蓄積していることが知られている。がん細胞のオープンクロマチン領域における変異の分布や、特定の制御領域における変異解析に関する研究はいくつかあるが、変異に富むオープンクロマチン領域の機能的意義についてはまだ十分に研究されていない。この理由の1つは、利用可能なゲノムデータが十分ではなかったことである。近年、TCGAやPCAWGなどの巨大ながんゲノムプロジェクトにより、大規模ながんゲノムデータの使用が可能となった。そこで本研究ではこれらのデータを用いて、変異に富むオープンクロマチン領域のもつ機能について網羅的な解析を行った。本研究により、いくつかのがん種では、オープンクロマチン領域の変異は制御領域の割合、及びゲノム増幅との関連があることが分かった。GO解析により、変異に富むオープンクロマチン領域の標的遺伝子は、特に強くがんの病態と関連していた。さらに、変異に富むオープンクロマチン領域への変異を多くもつ患者は、有意に予後不良であることが示された。これらの結果は、変異に富むオープンクロマチン領域が様々ながんにおいて制御因子として機能し、予後予測マーカーとして利用できる可能性を示唆している。

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pure2017年10月2日から、「九州大学研究者情報」を補完するデータベースとして、Elsevier社の「Pure」による研究業績の公開を開始しました。