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岡野 潔(おかの きよし) データ更新日:2024.03.27

教授 /  人文科学研究院 哲学部門 インド哲学史


学会発表等
1. 岡野潔, インド仏教における「衆生世間の歴史」構築, 日本佛教学会, 2021.09, 次の様な諸点について論じた。 アッガンニャ第一の神話的食物について、正量部の伝承は lasA だが、パーリ聖典伝承の正しい読みは rasa ではなくて rasA か。 三つの神話的食物はそれぞれ二つの属性を持っているのではないか。 第三の神話的食物 pappaTaka は蔓植物だが、それはヤムイモではないか。 なぜアッガンニャ神話は稲にだけ関心があり麦やミレットを無視しているのか。 アッガンニャ神話の前半部分にはそのベースとなる稲作農耕民が伝える原神話があったのではないか。 その原神話はどのようなかたちのものであったか。 それは地母神と人間の関係を描く東部インドの先住民の神話だったのではないか。 アッガンニャ神話の前半部分の原神話を有した先住民はもともとアッサム・北ビルマの方から来たのではないか。 アッガンニャ神話の後半部分はどのように造られたか。それは仏教徒の理想と現実のギャップを、太古の時代と堕落した時代の違いとして、想像上の歴史に投影して作ったものではないか。.
2. 岡野 潔, インド仏教の世界創世神話である「アッガンニャ神話」はいかに形成されたか, 東洋大学文学研究科インド哲学仏教学専攻院生研究発表会, 2020.11,   .
3. 岡野 潔, avadAnamAlA に借用された ZaGkarasvAmin の仏讃テクスト, 日本印度学仏教学会, 2020.07,   .
4. 岡野 潔,  梵文 SaDgatikArikAはアシュヴァゴーシャ作か
(日本印度学仏教学会70回学術大会パネル発表、テーマ:アシュヴァゴーシャ研究の展開), 日本印度学仏教学会, 2019.09,  Sylvain Léviは六道頌 Ṣaḍgatikārikāḥ (略号SGK)を馬鳴の著作と見なした。SGKには梵文と漢訳2本とパーリ語訳と蔵訳がある。梵文と漢訳の六趣輪廻経とパーリ語訳は、作者を馬鳴とするが、しかし蔵訳は作者の名をChos ldan rab 'byor dbyangs(*Dhārmikasubhūtighoṣa)とし、また世親の倶舎論はSGKの第36偈にあたる偈を引用して、Dharmasubhūti の作とする。これまでのSGKをめぐる議論はほぼそれらの資料に限られていたため、この作品が本当に馬鳴の時代にまで遡れるのかが疑わしかった。しかし岡野(2018)は、SGKの姉妹的な作品として、分別業報略経(大勇菩薩撰)と仏説分別善悪所起経の後半部分という有部での伝承本があることを指摘し、また大智度論における15偈の連続的な引用も指摘した。それらによって、SGKに似た作品が遅くとも3〜4世紀には有部で伝承されていたことが証明できる。.
5. 岡野 潔, SaDgatikArikAについて — 分別業報略経との関係 —, 日本印度学仏教学会, 2018.09,   アブストラクト –––– 私の先行する論文(岡野2018b)ではSGKの新校定の梵文テクストが、蔵訳・パーリ語訳・漢訳とあわせて発表された。漢訳大蔵経にはSGKと密接に関連する五つのテクストが存在する。その論文では私はそれらのパラレル文献としての重要な五つの漢文テクストとSGKとの対照の詳細を示した。五つのテクストとは次のとおり:(1) 六趣輪廻経 大正 No. 726、(2) 仏説六道伽陀経 No. 725、(3) 分別業報略経 No. 723、(4) 分別善悪所起経 No. 729 の後半部分、(5) 大智度論 No. 1509の長い引用箇所。 (1) と (2) が SGK の漢訳であることは既によく知られている。SGK と (3) (4) の漢文テクストの関係はこれまで研究されていなかったが、その解明はSGKの研究に大きな意味をもつものである。(3) (4) のテクストは同一の梵語の作品からの異訳であるらしく、その作品は恐らくSGKの姉妹的なリセンションであり、有部に属する。 本発表は (3) のテクストと SGK との、内容と構造の比較に焦点をあてる。私の目的はSGK のこれら2つのリセンションの共通性と差異性を明らかにすることである。それらは同一のソース、原SGKから派生したと私は推測する。.
6. 岡野 潔, 発達仏伝とジャータカへのキャンベル神話学による英雄神話としてのアプローチ, 日本印度学仏教学会, 2016.09.
7. 岡野潔, ネパールの仏伝アヴァダーナ・マーラー TJAM について, 日本印度学仏教学会, 2013.09.
8. 岡野潔, 業繋の生死観からの解放 ー仏陀の業報譚をめぐる部派仏教・大乗における攻防ー, 日本佛教学会, 2009.09.
9. 岡野潔, 前世で人を殺した釈尊の物語, 印度学宗教学会, 2006.06.
10. 岡野潔, AvadAnakalpalatA と avadAnamAlA 類, 日本印度学仏教学会, 2005.07.
11. 岡野潔, ネパールのアヴァダーナ・マーラー文献の形成について, 西日本インド学仏教学会, 2005.07.
12. 岡野潔, アッガンニャ経の神話的食物の名 lasaa / rasaa / rasa, 日本印度学仏教学会, 2003.09.
13. 岡野潔, 犢子部と正量部の成立年代, 西日本宗教学会, 2003.07.
14. 岡野潔, 正量部の伝承研究(2):第九劫の問題と『七佛経』の部派所属, 印度学宗教学会, 2003.06.
15. 岡野潔, インド仏教における人間と自然の関係, 日本佛教学会, 2002.09.
16. 岡野潔, 正量部における現在劫の終末意識, 日本印度学仏教学会, 2002.07.
17. 岡野潔, 仏教の立場からの善と悪(シンポジウム「悪はどこから来るのか?」), 西日本宗教学会, 2002.07.
18. 岡野潔, Mahasamvartanikathaの原典批判と韻律, 西日本インド学仏教学会, 2002.07.
19. 岡野潔, 犢子部の三法度論と正量部の現存資料の関係 ー立世論の部派所属の追加証明の試みー, 日本印度学仏教学会, 2001.07.
20. 岡野潔, 正量部の歴史的宇宙論, 日本印度学仏教学会, 2000.09.
21. 岡野潔, 仏教コスモロジーにおける善悪, 日本佛教学会, 1999.11.
22. 岡野潔, 仏陀が永劫回帰する場所への信仰 ー古代インドの仏蹟巡礼の思想ー, 印度学宗教学会, 1999.05.
23. 岡野潔, 新発見の正量部コスモロジー文献, 日本印度学仏教学会, 1998.05.

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