


筒井 裕之(つつい ひろゆき) | データ更新日:2022.05.16 |

大学院(学府)担当
学部担当
その他の教育研究施設名
ホームページ
https://kyushu-u.pure.elsevier.com/ja/persons/hiroyuki-tsutsui
電話番号
092-642-5360
FAX番号
092-642-5374
就職実績-他大学
就職実績有, 平成4年(1992) 8月16日 九州大学医学部循環器内科医員
平成6年(1994) 8月 九州大学医学部心臓血管研究施設助手
平成7年(1995) 8月 九州大学医学部循環器内科助手
平成12年(2000)10月 九州大学医学部循環器内科講師
平成16年(2004)9月 北海道大学大学院医学研究科循環動態内科学教授
2016年6月に退任し、現職
平成6年(1994) 8月 九州大学医学部心臓血管研究施設助手
平成7年(1995) 8月 九州大学医学部循環器内科助手
平成12年(2000)10月 九州大学医学部循環器内科講師
平成16年(2004)9月 北海道大学大学院医学研究科循環動態内科学教授
2016年6月に退任し、現職
就職実績-民間機関等
就職実績有, 昭和62年(1987) 6月16日 佐賀県立病院好生館医師(内科)
平成元年(1989) 6月26日 麻生飯塚病院医師(循環器内科)
平成2年(1990) 8月 1日 サウスカロライナ医科大学
George Cooper教授に留学
平成元年(1989) 6月26日 麻生飯塚病院医師(循環器内科)
平成2年(1990) 8月 1日 サウスカロライナ医科大学
George Cooper教授に留学
取得学位
医学博士
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
循環器内科学
外国での教育研究期間(通算)
02ヶ年00ヶ月
活動概要
心不全は、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が、動脈硬化や虚血性心疾患を引き起こし、最終的に至る病態です。私は、「心筋が傷害され、機能不全に陥っていくのは何故か?有効な治療は何か?」をテーマに、心不全の発症機序の解明と新たな治療法の開発を目的とした研究に現在まで一貫して従事してまいりました。さらに、臨床疫学的手法を用い、我が国における慢性心不全や冠動脈疾患患者の実態を踏まえ、効果的な治療法を確立する研究を行ってきました。今後も、基礎・臨床の両面から研究を展開し、その成果を九州大学から世界に向けて発信し、社会に還元していく所存です。
I 心不全の発症機序の解明と新たな治療法の開発
(1) 細胞骨格の役割の解明:
心筋に血行力学的負荷が加わると心肥大が形成されますが、負荷が持続するとその適応は破綻し機能不全にいたります。この一連の過程において細胞内構築の変化は、心不全の発症機序として重要です。私は、心筋細胞内の細胞骨格蛋白の一つである微小管に注目し、肥大心筋細胞で増加した微小管が、アクチン・ミオシンの運動すなわち細胞収縮を阻害することを世界で初めて報告しました(Science1993)。この研究は、細胞骨格がその構築を維持するためだけの単なる静的構造物ではなく、心肥大・心不全の病態形成に密接に関与する機能的分子であることをあきらかにした点で高く評価されています。
(2)酸化ストレスの分子機序とその役割の解明:
心不全では、交感神経系、レニン-アンジオテンシン系、活性酸素など種々の神経体液性因子が活性化され、これらの因子は心筋の適応ばかりでなく、その破綻にも関与します。私は、①酸素ラジカルの産生を直接測定しうる電子スピン共鳴法を用いて、不全心筋でラジカル産生が増加していることを世界で初めて直接示し、②不全心筋による活性酸素の産生がミトコンドリアの電子伝達機能低下に起因すること、さらに、③ミトコンドリア機能低下によって産生される酸素ラジカルがミトコンドリアDNAを傷害し、その機能を抑制するという悪循環が形成されること、④酸素ラジカルの産生抑制は、心不全の発症・進展を防止しうることを明確に示しました。これら一連の研究成果は、ひとたび心不全に陥入ると心筋障害がどんどん進行するというよく知られた事実を説明する成績として、高く評価されています。現在、血行力学的負荷がミトコンドリア機能抑制を惹起する分子機序の解明と酸化ストレスを抑制することにより心筋障害の進展を効果的に抑制する治療法の開発に取り組んでいます。
慢性心不全は、重症例では悪性腫瘍よりも予後不良であり、現在行われている治療が十分でないことは明らかです。ミトコンドリアは生命機能の維持に根源的役割を担っているため、私が現在取り組んでいるミトコンドリアDNA傷害および機能不全の是正による治療法は、生体機能を保持する画期的治療戦略となることが期待されます。さらに、ミトコンドリア傷害がその発症に関与する糖尿病やパーキンソン病、ひいては老化の病態解明や治療にも寄与するものです。
II 大規模臨床疫学データによる慢性心不全の実態と予後の解明:
人口の高齢化・冠動脈疾患の増加に伴って慢性心不全患者数は増加の一途を辿っています。しかし、本邦では慢性心不全をはじめ循環器領域において世界に通用する多施設を対象とした疫学研究データが極めて乏しいため、このような患者の予後など実態は全くわかっていません。このことは、我が国が臨床研究において国際貢献できないばかりでなく、日本人独自のデータの欠如を意味します。そこで、私は、1997年以降慢性心不全患者の実態調査を行い、虚血性心疾患や高血圧を基礎心疾患とした高齢者が多く、増悪のために入退院をくり返す患者が多いことをあきらかにしてきました。
このような成果をふまえ、全国の日本循環器学会循環器研修施設857施設を対象に、慢性心不全患者の臨床病態・治療内容と予後との関連を明らかにする研究を計画・立案しました。この研究はインターネット登録の導入・調査フォームの簡略化や基本的データベースの共有化によって大規模レジストリ−を構築するもので、日本循環器学会の後援を受け実施される運びとなりました。これにより日本人の患者の実態を明らかにできるばかりでなく、実際の患者像に即した臨床マーカーや治療法の有効性判定などランダム化コントロール試験では得られない情報を提供できるものとして期待されています。
さらに、私は、平成10-12年度厚生省厚生科学研究「我が国における冠動脈インターベンション治療の実態調査」研究の中心メンバーとして全国規模で1万3千人をこえる患者を対象にアウトカム研究を実施しました。データ回収率は100%と高く、その成果は冠動脈疾患患者の実態・予後の規定因子を明らかにした我が国初のエビデンスとして高く評価されています。
I 心不全の発症機序の解明と新たな治療法の開発
(1) 細胞骨格の役割の解明:
心筋に血行力学的負荷が加わると心肥大が形成されますが、負荷が持続するとその適応は破綻し機能不全にいたります。この一連の過程において細胞内構築の変化は、心不全の発症機序として重要です。私は、心筋細胞内の細胞骨格蛋白の一つである微小管に注目し、肥大心筋細胞で増加した微小管が、アクチン・ミオシンの運動すなわち細胞収縮を阻害することを世界で初めて報告しました(Science1993)。この研究は、細胞骨格がその構築を維持するためだけの単なる静的構造物ではなく、心肥大・心不全の病態形成に密接に関与する機能的分子であることをあきらかにした点で高く評価されています。
(2)酸化ストレスの分子機序とその役割の解明:
心不全では、交感神経系、レニン-アンジオテンシン系、活性酸素など種々の神経体液性因子が活性化され、これらの因子は心筋の適応ばかりでなく、その破綻にも関与します。私は、①酸素ラジカルの産生を直接測定しうる電子スピン共鳴法を用いて、不全心筋でラジカル産生が増加していることを世界で初めて直接示し、②不全心筋による活性酸素の産生がミトコンドリアの電子伝達機能低下に起因すること、さらに、③ミトコンドリア機能低下によって産生される酸素ラジカルがミトコンドリアDNAを傷害し、その機能を抑制するという悪循環が形成されること、④酸素ラジカルの産生抑制は、心不全の発症・進展を防止しうることを明確に示しました。これら一連の研究成果は、ひとたび心不全に陥入ると心筋障害がどんどん進行するというよく知られた事実を説明する成績として、高く評価されています。現在、血行力学的負荷がミトコンドリア機能抑制を惹起する分子機序の解明と酸化ストレスを抑制することにより心筋障害の進展を効果的に抑制する治療法の開発に取り組んでいます。
慢性心不全は、重症例では悪性腫瘍よりも予後不良であり、現在行われている治療が十分でないことは明らかです。ミトコンドリアは生命機能の維持に根源的役割を担っているため、私が現在取り組んでいるミトコンドリアDNA傷害および機能不全の是正による治療法は、生体機能を保持する画期的治療戦略となることが期待されます。さらに、ミトコンドリア傷害がその発症に関与する糖尿病やパーキンソン病、ひいては老化の病態解明や治療にも寄与するものです。
II 大規模臨床疫学データによる慢性心不全の実態と予後の解明:
人口の高齢化・冠動脈疾患の増加に伴って慢性心不全患者数は増加の一途を辿っています。しかし、本邦では慢性心不全をはじめ循環器領域において世界に通用する多施設を対象とした疫学研究データが極めて乏しいため、このような患者の予後など実態は全くわかっていません。このことは、我が国が臨床研究において国際貢献できないばかりでなく、日本人独自のデータの欠如を意味します。そこで、私は、1997年以降慢性心不全患者の実態調査を行い、虚血性心疾患や高血圧を基礎心疾患とした高齢者が多く、増悪のために入退院をくり返す患者が多いことをあきらかにしてきました。
このような成果をふまえ、全国の日本循環器学会循環器研修施設857施設を対象に、慢性心不全患者の臨床病態・治療内容と予後との関連を明らかにする研究を計画・立案しました。この研究はインターネット登録の導入・調査フォームの簡略化や基本的データベースの共有化によって大規模レジストリ−を構築するもので、日本循環器学会の後援を受け実施される運びとなりました。これにより日本人の患者の実態を明らかにできるばかりでなく、実際の患者像に即した臨床マーカーや治療法の有効性判定などランダム化コントロール試験では得られない情報を提供できるものとして期待されています。
さらに、私は、平成10-12年度厚生省厚生科学研究「我が国における冠動脈インターベンション治療の実態調査」研究の中心メンバーとして全国規模で1万3千人をこえる患者を対象にアウトカム研究を実施しました。データ回収率は100%と高く、その成果は冠動脈疾患患者の実態・予後の規定因子を明らかにした我が国初のエビデンスとして高く評価されています。


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