九州大学 研究者情報
発表一覧
三森 功士(みもり こおし) データ更新日:2023.11.27

教授 /  九州大学病院 別府病院 外科


学会発表等
1. 三森功士, わが国における遠隔手術の将来について, 第88回日本温泉気候物理医学会, 2023.05.
2. 三森功士, 実装化される未来のがん治療, 令和4年度別府市医師会学術集会, 2023.03.
3. 三森功士, がんの進化に関する基礎研究, 文科省「富岳」成果創出加速プログラム, 2022.12.
4. 三森功士, 進行食道がんに対する化学放射線治療後に生じた再発への進化機構の解明., 第35回日本バイオセラピィ学会, 2022.12.
5. 三森功士, MSI-H 大腸がんにおける免疫逃避能獲得にむけたゲノム進化機構の解明., 第68回日本病理学会秋期特別総会, 2022.11.
6. 三森功士, Survivor Scientist Program, 第81回日本癌学会学術総会, 2022.10.
7. 三森功士, 多領域シークエンスと進化シミュレーションによるがん腫瘍内ダイバーシティの解明:大腸がんを例として, 関東骨軟部腫瘍の基礎を語る会, 2022.09.
8. 三森功士, 大腸がん薬物療法について, 横浜癌診療webセミナー, 2022.07.
9. 三森功士, 鶴尾隆賞受賞講演, 第26回がん分子標的治療学会, 2023.06.
10. Koshi Mimori, Microsatellite instability-high CRC acquires frequent sub-clonal immune escape mechanisms by Darwinian evolution., 第40回国際がんシンポジウム, 2022.06.
11. 三森功士, cfDNAパネルと腫瘍遺伝子パネルとの適切な役割分担とは?, 第19回日本臨床腫瘍学会学術集会, 2022.02.
12. 三森功士, 大腸がんゲノム進化とがん微小環境について, 第19回日本臨床腫瘍学会学術集会, 2022.02.
13. 三森 功士, 大腸がんの進化と選択圧となるがん微小環境について
, 第33回早期大腸癌研究会, 2021.11.
14. 三森功士, 消化器がん進化の解明〜リキッドバイオプシーの研究の最前線〜, 大阪大学消化器外科研究会, 2020.10.
15. Koshi Mimori, A Basic Traits of ctDNA To Be Applied for the Early Diagnosis of Recurrence in CRC cases, 12th Int’l Symposium on Minimal Residual Cancer, 2020.10.
16. 三森功士, An overview of liquid biopsy and basic traits of ctDNA & Opinions: Liquid biopsy in the future, 第79回日本癌学会学術総会 The 79th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association, 2020.10.
17. 三森功士、長山聡、増田隆明, 術後再発大腸がん患者においてctDNA変異検出と腫瘍免疫応答について, 第4回Liquid Biopsy研究会 , 2020.01.
18. 三森功士、平田秀成、増田隆明, 食道癌CRT耐性がんにおけるクローン進化の特徴, 第42回日本分子生物学会, 2019.12.
19. Koshi Mimori, Comprehensive analysis of the cancer evolution from primary to recurrence in sporadic CRC cases, TEMTIA-IX(the 9th EMT International Association Meeting), 2019.11.
20. 三森功士, 難治性を示す 消化器がんのクローン進化の特徴, 国立がん研究センター研究所セミナー, 2019.05.
21. 三森功士, 消化器がんにおける様々な進化機構について〜新たな大腸がん進化機構の解明〜, 第44回北里大学医学会総会, 2018.11.
22. 三森功士, 食道がん放射線化学療法にみる治療ドリヴンの進化機構について, 第29回日本消化器癌発生学会, 2018.11.
23. 三森功士, 大腸発がんから進行がんとなり難治性を呈するまでの新たな大腸がんモデル, 公益財団法人高松宮妃癌研究基金 第49回国際シンポジウム, 2018.11.
24. 三森功士, 術後再発大腸がん患者においてctDNA変異検出ト腫瘍免疫応答について, 第27回日本がん転移学会学術集会・総会, 2018.07.
25. 三森功士, がん進化論からみた腫瘍免疫療法の有効性についての考察, 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07.
26. 三森功士, がんゲノム進化の解明と臨床応用にむけてのアプローチ, 第117回北海道癌談話会 春期シンポジウム, 2018.05.
27. Koshi Mimori, Evolution of Colorectal Cancer via Genomic Alterations Hampering the Tumor Immune Respones., The 33rd Nagoya International Cancer Treatment Symposium, 2018.02.
28. 三森功士, 大腸がんにおける新たな進化と多様性創出機構について, Translational research seminar, 2017.12.
29. 三森功士, 大腸の発がんと進展における「進化のシフト」について, 金沢大学がん進展制御研究所  共同利用・共同研究拠点シンポジウム , 2017.10.
30. 三森功士, 消化器がん転移再発診断と治療評価法に関するctDNA解析の臨床的有用性と今後の課題, 第55回日本癌治療学会学術集会, 2017.10.
31. 三森功士, 食道がんゲノム情報に基づく診断と治療戦略の構築, JDDW2017, 2017.10.
32. 三森功士, 大腸発がんから進行がんにいたる過程のゲノムレベル進化について, 第3回がんゲノム・エピゲノムセミナー, 2017.10.
33. 三森功士, 消化器がん症例の様々な臨床的局面における血中ctDNA突然変異検出の意義, 第26回日本がん転移学会, 2017.07.
34. 三森功士, 消化器癌におけるctDNA検出の臨床的意義と臨床応用にむけての提言, 第72回日本消化器外科学会, 2017.07.
35. 三森 功士, プロパゲルマニウム(SK-818)の骨髄由来細胞制御機構による癌転移巣増殖制御について, 第38回日本炎症・再生医学会, 2017.07.
36. 三森 功士, 大腸がんの進化と転移再発を決める選択圧について, 昭和大学横浜北部病院 2017年消化器センター軽井沢セミナー, 2017.06.
37. 三森功士, がん治療における革新的変化を踏まえた最先端技術,新たな開発戦略の現状と今後の方向性, 第23回抗悪性腫瘍薬開発フォーラム, 2017.06.
38. 三森 功士, 大腸がんのゲノム解析による新たな発がん・がん進展モデルの提唱, 第26回泌尿器科分子・細胞研究会, 2017.03.
39. 三森 功士, 大腸がんのゲノム・エピゲノムレベルの進化と多様性の解明, エピジェネティック療法研究会, 2017.02.
40. 三森 功士, 日本人食道癌致死率逓減のための分子遺伝学的特徴と超早期診断の実現, 第35回日本口腔腫瘍学会, 2017.01.
41. 三森 功士, 大腸癌のゲノム進化にみる自然選択説と中立進化説〜固形がん原発巣の一腫瘍内多様性について〜, 九州胆・膵癌治療フォーラム, 2017.01.
42. 三森 功士, 大腸がんにおける多様性創出機構の解明, 金沢大学がん進展制御研究所セミナー, 2016.11.
43. 三森 功士, 大腸がん原発巣の進化において多様性を生じるストレス・選択圧について, 第11回臨床ストレス応答学会, 2016.11.
44. 三森 功士, マイクロRNAを活用した近未来がん診療, 第14回日本臨床腫瘍学会, 2016.07.
45. 三森 功士, がん幹細胞および幹細胞ニッチを制御する分子標的治療の確立を目指して, 第14回日本臨床腫瘍学会, 2016.07.
46. 三森 功士, 乳がん根治術後の転移再発予防への挑戦〜がん転移ニッチの増殖制御をめざして〜, 第25回日本がん転移学会学術集会, 2016.07.
47. 三森 功士, 高橋 佑典, 内 龍太郎, 新井田 厚司, 宮野 悟, 森 正樹, Proposal of new tactics to overcome resistance to molecular target therapy provoked heterogenetiy., 第71回日本消化器外科学会, 2016.07.
48. 三森 功士, 高橋佑典, 内龍太郎, 新井田厚司, 宮野悟, 森正樹, Proposal of new tactics to overcome resistance to molecular target therapy provoked heterogenetiy., 第71回日本消化器外科学会, 2016.07.
49. 三森 功士, 新井田 厚司, 内 龍太郎, 高橋 佑典, 森 正樹, 宮野 悟, 大腸癌原発巣から転移巣へのゲノム・エピレベルの進化, 第24回日本がん転移学会学術集会, 2015.07.
50. 三森 功士, 家族性食道癌責任領域17q25.1に注目した新規食道癌の原因遺伝子同定へのアプローチ, 第19回日本家族性腫瘍学会, 2013.11,  掌蹠の過角化を主症状とする遺伝性掌蹠角化症の中で高率に食道扁平上皮癌を発症するTylosisという亜型が報告されている。Tylosisは常染色体優性遺伝を示すが、この家系では65歳までに罹患者の95%が食道扁平上皮癌を発症する。連鎖解析では本疾患の原因遺伝子が17q25.1上に存在することが示唆されTylosis Oesophageal Cancer (TOC) locusと命名されている。
 われわれは、散発性食道癌においてTOC領域に高頻度のLOHが認められることから、食道扁平上皮癌の原因遺伝子がこの領域に存在する可能性を報告した(Gastroenterology Iwaya et al., 1998.)。1990年代後半から近年までの間にさらに詳細な連鎖解析がなされ、TOC locusは1cM(モルガン)から50-500 kbの領域に狭められた。この領域内に存在する多くの遺伝子の解析がTylosisあるいは散発性食道癌患者を対象に行われてきた(Hum Mol Genet Kelsell DP et al.,1996, Hum Genet McRonald FE, 2006)。Tylosis家系からの解析ではCYGB遺伝子のメチル化(Hum Genet McRonald FE, 2006)やごく最近ではRHBDF2遺伝子の変異が報告されている(Am J Hum Genet, Blaydon DC et al., 2012)。散発性食道癌における解析ではEVPL遺伝子の低頻度の変異(5%)が見られたが (Oncol Rep, Iwaya et al.,2005)、他に食道扁平上皮癌に特異的な変異は同定できていなかった。現段階ではTylosis/食道扁平上皮癌の原因遺伝子その発癌メカニズムは明らかになっていない。
 上述の歴史的経緯を踏まえた上で、17q25.1上に存在することが期待される散発性食道癌あるいは家族性食道癌においても原因となる遺伝子を明らかにするために研究を行った。
 われわれは散発性食道癌60例について、原発巣および健常組織よりLMDを用いて目的細胞のみ採取した上で、次世代シークエンサーを用いた解析(RNA SeqおよびExome解析)を試み、候補遺伝子についてはin vitro, in vivoで確認した。
 RNA-seq解析では、食道癌組織で正常粘膜に比しEVPLとST6GALNAC1遺伝子の有意な発現低下が見られた。特に、ST6GALNAC1では腫瘍特異的な変異は低頻度であり、さらにメチル化による不活化の可能性が示唆された。さらに、Exome解析で17q25.1 TOC locus上の変異についてのデータを採取し、現在鋭意解析中である。
 日本では本症例の遺伝性掌蹠角化症の様な他の併存疾患なく明確に食道癌のみの家族性発症の報告はない。したがって、本発表では、併発疾患を有する食道癌症例で明らかにされている責任ゲノム領域から調べた食道癌の原因遺伝子同定への軌跡について述べる。
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51. 三森 功士, 食道癌症例のエキソーム解析および発現遺伝子解析による発癌・癌進展機構の解明, 日本癌学会, 2013.09,  食道進行癌は治療抵抗性で予後不良である。治療成績向上のためには食道癌の発生、進展に関わる因子を総合的かつ俯瞰的に明らかにすることが重要である。
1)GWASと疫学因子解析:われわれは食道癌1071名の患者と2762名の対照者について遺伝子多型および環境要因を同時に解析することにより食道発癌危険因子を明らかにした。(1)GWASの結果:ADH1B (4q23)およびALDH2 (12q24.12)というアルコール・アルデヒド代謝経路の遺伝子多型が食道癌の易罹患性に深く関わることが示された。(2)飲酒と喫煙は食道癌発症関与し、交互作用を有する;飲酒・喫煙・ADH1B・ALDH2全てにおいて危険がある場合、一つも無い場合に比べて357倍食道癌に罹患しやすいことを明らかにした。
2)エキソーム解析: われわれは上記食道癌症例のうち代表的散発性食道癌59例の原発巣および健常組織よりLMDを用いて目的細胞のgenomic DNAおよびRNAを採取後、次世代シークエンサー NGS (Hiseq 2000 platforms)および発現アレイを用いた解析を実施した。depthの平均は94,4、10,837個のnon-synonymous変異をcodingまたはsplice siteに認めた。このうち7004個がmissense変異、226個がshort insertion/deletionであった。TP53を筆頭に、頭頸部癌で既知のNOTCH1遺伝子などに高頻度に変異を認めた。また、変異のスペクトラムを調べたところ3つのパターンにクラスタリングされ、特に遺伝子多型から推察されるアルコール代謝能のレベルと3つのクラスターとの間に関連が認められた。食道癌において飲酒とゲノム変異との関連を示す最初の解析結果となった。
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52. 三森 功士, PLS3 Expression in Circulating Blood Is a Good Marker for Colon Cancer Recurrence., Ninth AACR-JCA Joint Conference, 2013.02.
53. 三森 功士, 臨床応用実現にむけて『食道発癌および癌進展機構解明へのアプローチ』, 第20回 日本消化器関連学会, 2012.10.
54. 三森 功士, Non-coding RNA, a pivotal role for carcinogenesis and cancer progression , 第71回 日本癌学会学術総会, 2012.09.
55. Koshi Mimori, Yasushi Takatsuno, Ken Yamamoto, Hiroshi Inoue, Masaki Mori , Carcinogenesis associated SNP at 8q24 determines global CNA with poor prognosis in CRC cases
, 第70回日本癌学会, 2012.06, SNP analysis : rs6983267 is the oncogenesis associated SNP in Japanese CRC (OR;1.16, p=0.0015)
Expression array: Genes in CRC cells of risk allele were significantly associated with MYC gene set by EEM analysis. aCGH: CRC with risk allele of 8q24 showed global CNA and subsequent to the poor prognosis.
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56. 三森功士、田中文明、主藤朝也、柴田浩平, 遺伝学的因子および疫学環境因子から構築した大腸癌患者および食道癌患者のハイリスク者検出法の確立, 第112回日本外科学会, 2012.04,  わが国における消化器癌患者数および死亡率は増加傾向にある。癌死を改善する最善の策は早期診断・早期治療であるが、個別に発癌リスクが正確に予測できれば、リスクに応じた検査や治療を行うことが可能になる。われわれは特に罹患率が最も高い大腸癌と悪性度が最も高い食道癌を対象に、遺伝学的因子(遺伝子多型)と環境疫学因子とについて、それぞれの発癌リスクを明らかにした。

1)大腸癌:全国9機関の研究協力体制のもと全3609例(症例群1511例、対照群2098例)を集積し、大腸発癌に関するゲノムワイド関連研究(GWAS)および144項目に及ぶアンケート解析を実施した。10p14に4つの多型を同定し危険率1.27 (1.16-1.39) (p=9.31E-08)であった。また疫学因子では高頻度肉食、20歳時BMI、糖尿病が危険因子でありツナ食、ビタミン剤内服が防御因子であった。10p14危険多型と糖尿病との有意な交互作用(2倍, p
2)食道癌:全例2200例(症例群1100例、対照群1100例)を集積し食道発癌関連GWAS解析および生活習慣アンケートを実施した。多型解析の結果、アルコール代謝に重要な役割を果たすADH1B, ALDH2遺伝子多型がそれぞれオッズ比4.08 (P 値4.4E-40) 、オッズ比4.13 (P値10E-76) と食道癌患者と健常者の間に著しい差を示した。これらが飲酒と関係する遺伝子であること、また喫煙が食道癌発症に関与するために、これらの遺伝子多型と飲酒・喫煙との交互作用を検討した。その結果、これら4つの因子を全て有する場合、全く有しないヒトと比較して、食道癌発症の危険率は146倍高いことを示した。

 食道癌患者には生活習慣および遺伝子多型が危険因子は非危険因子に比べて100倍以上高いリスクを示す集団が存在し、大腸癌に関してはリスクの合計により3.6倍以上のリスクを有する集団が存在した。ハイリスク群として今後頻回の検診が必要であることを明らかにした。
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57. 三森 功士, Clinical Significance of mir-144-ZFX Axis in Isolated Tumor Cells in Bone Marrow in Gastric Cancer Cases., 65th Annual Cancer Synposium, SSO, 2012.03.
58. 三森功士、高角康志、井上 裕、田中文明、柴田浩平、杉原 健一、森 正樹, 大腸癌原発巣癌細胞における発現遺伝子プロファイルとCGH プロファイルを用いた8q24多型関連発癌および癌進展機構の解明, 第66回日本消化器外科学会, 2011.07, 【目的】8q24多型genotypeと実際の臨床検体におけるMYC発現との関連を明らかにした報告はない。本多型がMYCを介してDNA複製を促進して発癌に寄与するのであれば、大腸癌進展・予後にも寄与することが推察される。本研究では、8q24多型のgenotypeの臨床的意義を明らかにするとともに大腸癌ゲノムコピー数変異との関係をDukes病期別に調べ、大腸癌進展との関連を明らかにする。さらに多型と関連する機能性遺伝子群を(発現モジュール抽出)EEM解析法で明らかにする。
【対象と方法】1)大腸癌157症例原発巣よりgenomic DNAとtotal RNAを抽出し、それそれCGHアレイと発現アレイを実施した。2)遺伝子多型情報を有する102例については最も重要な遺伝子多型locus 8q24について、その発癌機構を解明するため、そのgenotypeとCGHアレイ、あるいは発現アレイprofileとをした。また、既知のMSI,p53,K-ras,B-rafのstatusについても解析を行った。
【結果】1)大腸癌原発巣における大腸癌細胞におけるMYC発現は8q24多型のgenotypeと有意に相関しており、Tuupananenらの報告を実際の臨床癌細胞において再現した。2)大腸癌原発巣において、rs6983267(8q24)多型はrisk alleleを有する大腸癌症例は、Dukes分類においても高度進展症例群において有意に多かった。3)上述した多型と大腸癌進展との関連が、MYCに起因する結果であることを確認するために、大腸癌ゲノムコピー数変異と多型との関係をDukes分類別に解析した。その結果、リスクアリルを有する症例群のゲノムコピー数変化(増減の絶対値)は、非リスクアリルを有する症例群にくらべて、大腸癌進展に伴い(Dukes ABからCDになるに伴い)、その変化が有意に大きいことを明らかにした。4)EEM解析の結果、細胞機能関連遺伝子群(IPAFUNCモジュール)では8q24多型とDNA複製関連遺伝子群とが相関することを明らかにし、癌関連遺伝子群(NevinsSigUDモジュール)ではMYC関連遺伝子群が極めて有意に相関していることを明らかにした。
【結論と考察】8q24多型と相関するMYC発現がその関連分子群すべての遺伝子群の発現と相関していることをEEM解析にて明らかにした。すなわち、多型と相関するMYCを介したDNA複製が大腸癌進展に関与することをスーパーコンピュータ解析で証明された。大腸癌のゲノムのクラスター分類は、ゲノム変異の乏しいグループ1(MIN)とダイナミックな変異を示すグループ2(CIN)に分かれた。CINをきたす要因として8q24多型にともなうMYC発現増加が関連する傾向を示したが有意差はない。大腸癌は遺伝子的要因に加え環境要因も複雑に絡む多因子疾患であり、ひとつずつ丁寧に解明することにより生命予後の改善に寄与したい。
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59. 三森功士、田中文明、柴田浩平, 大腸癌と食道癌の遺伝子多型の臨床的意義, '11消化器病大会, 2011.06, 1)大腸癌:全国9機関の研究協力体制を確立し、アンケート、血液サンプル(全3609例:症例群1511例、対照群2098例)を集積。解析を実施した。全ゲノム相関解析による大腸癌発症関連遺伝子多型の探索を行いスクリーニング(GWAS)を実施した結果10p14に4つの多型を同定した。このうち最も有意であったgenotypeはアリル頻度差6%、オッズ比1.27(1.16-1.39)、p値は9.31E-08であった。また大腸がんの症例対照研究の結果、高頻度肉食、20歳時BMI、糖尿病が危険因子。ツナ食、ビタミン剤内服が防御因子であった。10p14危険多型と糖尿病との有意な交互作用(2倍, p
2)食道癌:食道癌の生活習慣アンケートおよび多型解析用の血液を(全例2200例:症例群1100例、対照群1100例)を集積した。多型解析の結果、アルコール代謝に重要な役割を果たすADH1B, ALDH2遺伝子多型がそれぞれオッズ比4.08, P 値4.4E-40 、オッズ比4.13, P値10E-76 と食道癌患者と健常者の間に著しい差を示した。これらが飲酒と関係する遺伝子であること、また喫煙が食道癌発症に関与するために、これらの遺伝子多型と飲酒・喫煙との交互作用を検討した。その結果、これら4つの因子を全て有する場合、全く有しないヒトと比較して、食道癌発症の危険率は146倍高いことを示した。

 以上の様に食道癌では生活習慣および遺伝子多型が危険因子は非危険因子に比べて100倍以上大きな示した一方で、大腸癌は多型あるいは疫学因子における危険因子がそれぞれ2倍未満であり、大腸発癌が多因子疾患であることを改めて大規模症例研究で明らかにした。
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60. 三森功士、高角 康志、井上裕、飯沼 久恵、渡邊 昌彦、田中淳一、工藤 進英、望月 英隆、楠 正人、山田一隆、森 正樹、杉原 健一 , 次世代シークエンサーを用いた真の発癌・転移高リスク者を検出するnon coding RNAの同定と外科診療における意義, 第111回日本外科学会, 2011.04, 背景】癌診療における外科医の研究目標は、1) 発癌高リスク者を囲い込み根治術例を増やすことと、2)再発高リスク患者の早期発見による根治切除例を増やすことにあり、これを実現する真の標的分子を同定したい。他方、ごく最近全ゲノムで蛋白質翻訳領域は僅か2%で9割は転写産物(microRNAを含むnon-codingRNA)として存在することが明らかとなり、真のマーカー同定のため次世代シークエンサー(NGS)による全転写産物の解析が全世界で始まっている。【対象と方法】1)発癌因子:大腸癌1758検体と健常者2962検体を集積し、全ゲノム関連遺伝子多型解析(GWAS)。癌107例原発巣よりLMDにて癌細胞採取後RNA抽出し遺伝子アレイを実施。10例はNGSにて(全転写産物解析)を実施し、発現遺伝子とのネットワーク解析をスーパーコンピュータにて実施。2)転移因子:癌転移は癌細胞と宿主側(ニッチ)細胞群の連携で成立する。大腸癌20例の骨髄を癌細胞と宿主側3分画にFACSしmiRアレイおよびNGSにて全転写産物を解析した。【結果】1)発癌因子:大腸発癌関連多型として10p14が同定され、同多型上には既知の遺伝子は存在しないが、NGS解析により多型近傍にncRNAを同定し、多型に代わる臨床的有用性を確認した。2)転移因子:NGSにより転移陽性例特異的発現ncRNA群を同定した。ncRNAによる遺伝子制御機構は極めて複雑でありNGSでは解析情報量も多く、スーパーコンピュータによる解析技術を要した。【考察】臨床的意義を有する重要なncRNAとその経路が次々と同定されることが予想される。外科切除標本や血液・骨髄標本が解析上必須であることから、外科医は標本提供のみならず知識・技術を理解し主導的役割で臨床研究を進めていきたい。.
61. Mimori K, Yokobori T, Ishii H, Iwatsuki M, Eguchi H, Klaus Pantel and Mori M, EMT Induction by a gene Determines Poorer Prognosis in CRC Cases, 7th Int'l Simposium of Minimal Residual Cancer, 2010.09.
62. 三森功士、横堀武彦、岩槻政晃、石丸神矢、秋吉清百合、永原 誠、石井秀始、森 正樹, 大腸癌におけるEMTを制御し造腫瘍能と多分化能を有する遺伝子の臨床的意義と機能解析, 第18回日本がん転移学会総会, 2009.07.
63. Mimori K, Clinical Significance of microRNA in Cancer Niches. , MD Anderson, Research Meeting, 2009.03.
64. Mimori K, Saiki, Y, Mori, M., Comprehensive Analysis of the Clinical Significance of Inducing Pluripotent Stemness-Related Gene Expression in Colorectal Cancer Cells, 62th Society of Surgical Oncology (Phoenix), 2009.03.
65. 三森功士、深川剛生、横堀武彦、岩槻政晃、飯沼久恵、田原光一郎、笹子 三津留、森 正樹, 臨床応用にむけた消化器癌の真の転移・再発予測因子の同定について, 第64回日本消化器外科学会, 2009.07.
66. KoshiMimori, Akemi Kataoka, Norikazu Masuda, Takehiko Yokobori, Masaaki Iwatsuki, Shinji Ohno, Masaki Mori, Clinical significance of u-PAR gene expression in peripheral blood and bone marrow in breast cancer cases, 61th Society of SurgicalOncology, 2008.03.
67. Mimori K, Comprehensive analysis of Genetic and Epidemiologic Risk Factors for Colorectal Cancer in Japan: Results of SNP, CGH and gene array analysis. , Department of Molecular Virology, Immunology and Medical Genetics Seminar, 2009.03.
68. Koshi Mimori and Masaki Mori, IDENTIFICATION OF THE BONA-FIDE INDICATOR OF THE RECURRENCE AND METASTASIS IN SOLID CANCERS. , 第11回日独がんワークショップ, 2007.11.
69. Mimori K, Fukagawa T, Kosaka Y, Ishikawa K, Etoh T, Sasako M and Mori M, A large-scale study of MT1MMP as a marker for isolated tumor cells in peripheral blood and bone marrow in gastric cancer cases, 60th Society of Surgical Oncology, 2007.03.
70. Mimori K, Nishida K, Ieta K, Nakamura Y, Tanaka F, Sasaki A, Inoue H, Alonso MA and Mori M., Loss of MAL Expression in Precancerous (Dysplastic) Lesion of the Esophagus, 59th Society of Surgical Oncology, 2006.03.
71. Mimori K, Ishii H, Okamoto M, Barnard GF, Huebner K, Croce CM and Mori M, Identification of Bona-fide Characteristics of Esophageal Cancer by
Adenoviral-FHIT Treatment, 58th Society of Surgical Oncology, 2005.03.

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