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井手 誠之輔(いで せいのすけ) データ更新日:2023.06.16

教授 /  人文科学研究院 哲学部門 芸術学


著書
1. 井手誠之輔, 徹底討論・大徳寺伝来五百羅漢図の作品誌, 2019.03, [URL], 九州大学で開催された国際シンポジウムを報告書としてまとめたもので、以下に開催主旨を引用する。
京都大徳寺に伝来してきた五百羅漢図は、1幅に5人の羅漢をあらわし、都合100 幅で構成される壮大な作例です。大徳寺が 88 幅を所有し、アメリカのボストン美術館に 10 幅、フリーア美術館に 2 幅が分蔵されています。早くから南宋仏画の優品として知られてきましたが、2009年夏、奈良国立博物館で開催された『聖地寧波展』ではじめて全容が公開されて以降、大きく研究が進展し、南宋時代における浙江省寧波地方の地域社会や仏教信仰の実態に即して語りうる事例として、再び、注目を集めています。
 大徳寺本は、13世紀には故郷を離れて鎌倉時代の日本に将来され、長らく異国の地における羅漢図制作の規範とされてきました。近代になるとアメリカの東海岸で展覧会(1894年)が開催され、その後の東海岸における分蔵を契機として、欧米では中国を代表する宗教画として認知され、さまざまな東西比較の議論を惹起してきました。
 大徳寺本は、その誕生から今日に至るまで、さまざまな異なる時空のコンテクスト間を越境移動してきたことになります。その履歴を起点に展開してきた事象は、仏画制作と地域社会、外来美術の受容、美術の制度と古美術、東西美術の比較考察という今日的な美術史学の課題を網羅するだけでなく、仏教史や歴史学、宗教学、文化人類学などのさまざまな人文学の領域に対して、雄弁な視覚資料を提供しています。
 本シンポジウムでは、モノの社会生活や越境移動に注目する作品誌の観点から大徳寺本の歴史的役割を検証し、一作品がローカルであると同時にグローバルな言説に対しても開かれた存在であることを明らかにし、文物研究に対する新しい人文学的アプローチを提示したいと考えています。関心をお持ちの方々のご参加をお願い申しあげる次第です。.
2. 井手誠之輔・朴亨國(共編), アジア仏教美術論集 東アジアVI(朝鮮半島), 中央公論美術出版, 2018.05, [URL], 本巻では、日本に仏教を伝えた隣国で育まれた豊かな仏教信仰の造形から、 東アジアの緊密な文化交流の様相を明かにする。 弥勒菩薩半跏思惟像、石塔、高麗仏画、密教法具など、日韓の研究者による最新知見と新資料を含む論考17篇+総論2篇を集録。.
3. 井手誠之輔, 谷口耕生, 城野誠治, 近藤一成, 北澤菜月, 原瑛莉子, ユキオ リピット, 大徳寺伝来五百羅漢図, 思文閣出版, 2014.06, [URL], 京都大徳寺に伝来してきた南宋の五百羅漢図100幅についての共同研究の成果をまとめた学術書。94幅の現存する画幅すべてについて国内外での調査を実施し、従来、肉眼では判読できなかった制作当初の寄進銘についてすべてを映像化し、その判読文を掲載するとともに、共同研究にかかわった研究者の専門的な論文を掲載している。南宋絵画史を多角的検証するためにの不可欠な研究資料を広く国内外の研究者に提供するとともに、美術史、仏教史、宋代史、社会史など、領域横断的な新たな視点を広く問いかける研究書となっている。.
4. 井手誠之輔、島尾新、藤岡穣、板倉聖哲、谷口耕生, 論集・寧波をめぐる絵画と人的ネットワーク, 非売品, 2010.03.
5. 井手誠之輔、城野誠治、山梨絵美子, Light and Color―絵画表現の深層をさぐる, 中央公論美術出版, 2009.10.
6. 東アジア美術文化交流研究会(井手誠之輔), 寧波の美術と海域交流, 中国書店, 2009.09.
7. 井手誠之輔, 日本の宋元仏画, 至文堂, 日本の美術418号, 2001.03.
8. 井手誠之輔, 故宮博物院・南宋の絵画(小川裕充監修), 日本放送協会出版, 1998.05.
9. 井手誠之輔、三輪英夫、浅生田光司、草市潤、吉田西緡, 絵に賭けた熱い想い_井手誠一回顧展, 佐賀県立美術館/佐賀新聞社, 1993.04.

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