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菅井 裕一(すがい ゆういち) データ更新日:2023.11.22

教授 /  工学研究院 地球資源システム工学部門 資源システム工学講座


大学院(学府)担当

工学府 地球資源システム工学専攻 資源システム工学講座

学部担当

工学部 地球資源システム工学科 工学部 地球環境工学科 地球システム工学コース


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ホームページ
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電話番号
092-802-3328
FAX番号
092-802-3328
就職実績-他大学
就職実績有, 東北大学(2001〜2003)
秋田大学(2003〜2005)
取得学位
博士(工学)
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
資源開発工学
外国での教育研究期間(通算)
01ヶ年00ヶ月
活動概要
教育においては、主に流体工学、石油・天然ガス開発工学、ならびに坑内採掘における地下作業環境管理に関する内容の講義と実験を担当している。学部2年生対象の「資源流体工学」では、石油・天然ガス等の流体資源を取り扱う際の基礎となる流体力学および熱伝達の理解を目的とした講義を展開している。流体のエネルギー保存則等の基礎的な項目から、現場での送液システムの設計に至る応用まで取り扱っている。流体のダイナミックな挙動を視覚的に理解できるよう、アニメーションや動画を取り入れた授業を展開しており、各講義の終盤には演習課題を与え、講義内容の理解を深めさせている。学部3年生対象の「石油工学」では、石油貯留層の形成から探査、掘削、検層、坑井テストならびに生産に至る一連の石油開発プロセスを理解させる講義を実施している。同講義では、自作のテキストを基本教材としつつ、スライド資料も併用し、貯留層内のミクロな動的現象をアニメーションで示しながら解説することにより、受講生が地下で生じる現象を直感的にイメージして理解できるよう心掛けている。講義の終盤にはオンラインの出題・回答システムを活用した演習を実施して受講生の理解度をその場で把握し、正答率に応じて補足説明を与えることにより、受講生の理解不足をその場で改善できるよう工夫している。同じく学部3年生対象の「空調衛生および安全工学」では、坑内採掘を想定した地下作業環境の管理に関わる、坑内通気、粉塵管理、有毒/可燃性ガス管理ならびに温湿度管理について理解する講義を展開している。
大学院講義科目の「石油資源開発工学特論実験第一」においては、石油・天然ガス開発について、とくに海洋における石油・天然ガス開発に焦点を当てて解説している。一般的な海洋石油・天然ガス開発の流れに沿って、それに関わる企業とその役割、陸上における石油・天然ガス開発と海洋との相違、ならびに海洋石油・天然ガス開発におけるリスクなどを解説し、海洋における石油・天然ガス開発についての理解を深めさせている。また、実際の海洋石油・天然ガス開発プロジェクトを紹介し、実際の開発現場において生じた課題とその解決法を理解させている。同じく大学院講義科目の「石油資源開発工学特論実験第二」においては、非在来型炭化水素資源の開発に関わる新技術の解説を中心に、上述した石油工学の知識をより深める内容の講義を実施している。この講義では種々の炭化水素資源の開発について賛成と反対に分かれて議論するディベートを取り入れており、資源開発を正負の両面から多角的に思考する素養を身に付けさせている。また、付加的な効果として、論理的思考力や総合的な英語力などの強化も図られている。
研究室の学生に対する研究指導では、学生自身が研究の立案から成果の整理と論文発表に至る一連の研究プロセスを自立して行なう能力を修得できるよう、学生とのコミュニケーションを密に取りながら研究に取り組むことを心掛けている。また、学生が実験と数値シミュレーションの両方の遂行能力を修得できるように研究課題の設定と指導を行なっている。資源開発の仕事は、対象フィールドが広大であり、自然界の様々な因子の影響を考慮しなければならない。そのため、小規模スケールの実験結果を基にスケールを拡張し、種々の環境因子を考慮した数値シミュレーションを実施して、現場での生産計画等を設計する必要がある。資源開発分野の人材に求められるこのような素養を考慮し、学生が実験と数値シミュレーションの両方の研究を経験できるように研究指導を行なっている。
研究においては、環境と安全を考慮した炭化水素資源等の生産とCO2の地中貯留に関わる研究に取り組んでいる。環境負荷が小さく経済性にも優れている微生物を用いた石油増進回収法は長年取り組んでいる研究課題の一つである。ポリマーや界面活性物質の生成ならびに石油低粘度化などの機能を有する微生物を油ガス田から分離し、これらを用いた室内コア掃攻実験や数値シミュレーションを実施して、それらの有効性を示す多くの論文を発表している。この方法は、油価の乱高下が激しい昨今、再び注目されてきており、近年本研究テーマに関連する留学や共同研究に関する問い合わせ、ならびに論文の被引用数が増えてきている。
環境を考慮した資源開発生産技術として期待されているCO2を用いた石油増進回収法やCO2地中貯留に関する研究も実施している。3ヶ月間滞在したカナダ・アルバータ大学では、同大学の研究者らと共同で貯留層内における石油の飽和率とCO2の溶解に伴う石油の膨潤との関係を明らかにし、国際共著論文として発表している。また、貯留層の高温高圧条件におけるCO2の溶解に伴う地下塩水のpH変化の予測手法の開発、分離回収したCO2に含まれるH2などの微量ガス成分を指標としたCO2漏洩箇所の早期予測手法の研究、ならびに地中貯留したCO2の地下微生物によるCH4変換技術の研究等を実施している。さらに、CCSを実施したフィールドにおけるCO2の地表への漏洩をモニタリングする手法として、土壌CO2フラックスのモニタリングに着目し、その精度向上を目的として、土壌特性とCO2フラックスとの関係を明らかにすることを目的とした研究を展開している。
さらに、安全を考慮した資源開発生産工学に関わる研究として、石油・天然ガス貯留層における硫化水素の生成予測およびその抑制手法の開発研究や、ヨウ化物酸化微生物を用いた金の原位置リーチングに関する研究に取り組んでいる。とりわけ後者は、地下原位置で浸出させた金を坑井を通じて生産する技術であり、実現すれば極めて安全性の高い鉱物資源の開発生産手法になり得る。

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