九州大学 研究者情報
発表一覧
秦 淳(はたじゅん) データ更新日:2024.04.09

教授 /  医学研究院 附属総合コホートセンター 社会環境医学講座 衛生・公衆衛生学分野


学会発表等
1. 秦淳,久保充明,北園孝成,飯田三雄,中村祐輔,清原裕, 新規脳梗塞関連遺伝子AGTRL1の同定と機能解析, 第9回日本分子脳神経外科学会, 2008.08.
2. 秦淳,小原知之,二宮利治, 福岡県久山町における認知症の疫学研究, 第8回臨床高血圧フォーラム,第55回日本循環器病予防学会学術集会, 2019.05.
3. 秦淳、二宮利治, Conventional and novel risk factors for cardiovascular disease: the Hisayama Study, 第87回日本循環器学会学術集会, 2023.03.
4. 秦淳,久保充明,清原裕, 久山町研究を基盤とした脳梗塞のゲノムワイド関連研究, 第80回日本衛生学会学術総会, 2010.05.
5. Hata J,Ninomiya T,Fukuhara M,Nagata M,Kitazono T,Oike Y,Kiyohara Y, Angiopoietin-like protein 2 (ANGPTL2) and the risk of cardiovascular disease in a general Japanese population: the Hisayama Study, 第79回日本循環器学会学術集会, 2015.04.
6. Hata J,Kiyohara Y, Diabetes mellitus as a risk factor for cancer: the Hisayama Study, 第72回日本癌学会学術総会, 2013.10.
7. 秦淳、本田貴紀、陳三妹、二宮利治, 日本人を対象とした動脈硬化性疾患の新しい発症リスク予測モデル:久山町研究, 第70回日本心臓病学会学術集会, 2022.09.
8. 秦淳,二宮利治, 心血管病の新しい危険因子としてのバイオマーカー: 久山町研究
, 第64回日本心臓病学会学術集会, 2016.09.
9. 秦淳,清原裕, 久山町研究を基盤とした脳梗塞のゲノムワイド関連遺伝子研究, 第63回日本臨床眼科学会・第10回眼科DNAチップ研究会, 2009.10.
10. 秦淳,二宮利治, 久山町研究を基盤とした脳梗塞のゲノム疫学研究, 第57回日本循環器病予防学会学術集会, 2021.06,  脳梗塞は複数の環境要因と遺伝要因が組み合わさることにより発症すると考えられている。近年、世界各国で脳梗塞のゲノムワイド関連研究(GWAS)が実施され、エビデンスが蓄積されつつある。本講演では,福岡県久山町で継続中の疫学調査(久山町研究)が参加した脳梗塞のゲノム疫学研究の成果について概説する。
 まず、九州大学病院および近郊の医療機関を受診した脳梗塞患者1,112名(福岡脳卒中データベース研究 [FSR])を患者群,2002年に久山町の循環器健診を受診した心血管病の既往のない1,112名(久山町研究)を対照群として、脳梗塞のGWASを実施した.遺伝子領域を中心に抽出した52,608箇所の一塩基多型(SNP)を網羅的に解析したところ、PRKCH,AGTRL1,ARHGEF10を新規の脳梗塞関連遺伝子として見出した.さらに,1988年の久山町健診受診者1,642名を14年間追跡した成績を用いて,これらの遺伝子多型が新規脳梗塞の発症リスクと有意に関連することを明らかにした.
 続いて、岩手医科大学、理化学研究所および国内の主な疫学研究との共同研究において脳梗塞のポリジェニック・リスクスコア(PRS)を開発した。この研究では、バイオバンク・ジャパン、東北メディカルメガバンク、JPHC研究、J-MICC研究のGWASデータ(患者群13,214名、対照群26,470名)の統合研究により、357,367箇所のSNPsを用いたPRSを作成し、先述のFSRと久山町研究によるGWASサンプルを用いて、PRSの外的妥当性を検証した。さらに、2002年の久山町健診受診者3,038名を10年間追跡した成績を用いて、PRSが新規脳梗塞の発症リスクと関連することを確認した。
今後、環境要因と遺伝要因の脳梗塞発症への相互的な影響が明らかになることにより、脳梗塞の個別的な予防に寄与することが期待される。
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11. 秦淳、二宮利治, 脳卒中予防の最前線:久山町研究の成績より, 第59回日本循環器病予防学会学術集会, 2023.06.
12. 秦淳,清原裕, 心血管病と認知症の疫学:久山町研究, 第56回日本老年医学会学術集会, 2014.06.
13. 秦淳,坂田智子,永田拓也,平川洋一郎,大石絵美,本田貴紀,吉田大悟,北園孝成,二宮利治, 日本人地域住民における心房細動発症のリスク予測モデルの開発:久山町研究, 第55回日本循環器病予防学会学術集会, 2019.05.
14. 秦淳,小原知之,二宮利治, 福岡県久山町における認知症の疫学研究コホート研究から得られた認知症に関する最近の知見, 第55回日本循環器病予防学会学術集会, 2019.05.
15. 秦淳、二宮利治, 脳卒中の危険因子とその予防, 第54回日本動脈硬化学会総会・学術集会, 2022.07.
16. 秦淳,二宮利治, 日本人地域住民における動脈硬化性疾患とその危険因子の推移:久山町研究, 第52回日本動脈硬化学会総会・学術集会, 2020.07, 福岡県久山町では、1961年より循環器健診を受診した40歳以上の住民を対象に時代の異なる複数の前向きコホートを設定し,動脈硬化性疾患の危険因子に関する疫学調査(久山町研究)継続している.本研究では、脳卒中・虚血性心疾患の発症および死亡に関する追跡調査を行っているが、各コホートの受診率,追跡率は高く,死亡例の約75%において剖検を行い疾病や死因について詳細に評価している.したがって,本研究の成績は日本人地域住民における動脈硬化性疾患とその危険因子の実態を比較的正確に反映していると考えられる.
本研究の成績によると,高血圧管理の向上や喫煙率の低下にともない,脳卒中および脳梗塞の年齢調整罹患率は1960年代から1970年代にかけて大きく低下した.しかし,1980年代以降はこれらの罹患率の低下の程度が鈍化した.一方,虚血性心疾患の罹患率には明らかな時代的変化はなかった.代謝性の危険因子である糖代謝異常(糖尿病・前糖尿病),高コレステロール血症,肥満の有病率が時代とともに増加したことにより,高血圧管理の向上や喫煙率の低下による動脈硬化性疾患発症の予防効果を相殺した可能性がある.さらに脳梗塞発症例をタイプ別に検討すると,高血圧を主因とするラクナ梗塞の占める割合は時代とともに低下し,代謝性危険因子を主因とするアテローム血栓性脳梗塞や,人口の高齢化を反映して心房細動などの心疾患を主因とする心原性脳塞栓症の占める割合が相対的に増加した.
本講演では,約60年にわたる久山町研究の成績を用いて,動脈硬化性疾患とその危険因子の時代的推移に関する最近の知見を紹介する.
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17. 秦淳,二宮利治, 糖尿病,脳梗塞,認知症のゲノム疫学研究, 第51回日本動脈硬化学会総会・学術集会, 2019.07.
18. Hata J,Ninomiya T. , Risk factors for carotid atherosclerosis: the Hisayama Study. , 第49回日本動脈硬化学会総会・学術集会, 2017.07.
19. 秦淳、二宮利治, 地域型コホート研究からみた脳卒中の一次予防:久山町研究, 第48回日本脳卒中学会学術集会, 2023.03.
20. 秦淳,清原裕, 動脈硬化性疾患の新しい危険因子:久山町研究から, 第47回日本動脈硬化学会総会・学術集会, 2015.07.
21. 秦淳,二宮利治, 脳卒中発症の危険因子としてのバイオマーカー:久山町研究, 第46回日本脳卒中学会学術集会, 2021.03,  久山町研究は、福岡県久山町の地域一般住民を対象に1961年に創設された生活習慣病の疫学研究である。本研究では、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣などの古典的な危険因子に関する評価に加えて、血清、尿などの生体試料を用いて測定した新規のバイオマーカーと循環器病発症の関係を検討している。
 動脈硬化の進展には血管壁の慢性炎症が関与していることはよく知られており、血清中の高感度C反応性蛋白(HS-CRP)は代表的な慢性炎症のバイオマーカーである。久山町研究では、1988年に久山町の循環器病健診を受診した40歳以上の住民2,589名を14年間追跡した成績を用いて血清HS-CRP値と脳卒中発症の関係を検討した。その結果、男性において血清HS-CRP値と脳梗塞発症リスクとの間に有意な正の関連があり、この関連は古典的な危険因子と独立していた。また、血清中のlipopolysaccharide結合蛋白(LBP)は肝臓で産生される急性期反応蛋白であり、ヒト腸内細菌叢などに生息しているグラム陰性桿菌の細胞壁構成因子であるlipopolysaccharideと複合体を形成することにより、マクロファージ活性化と慢性炎症誘導に関与することが知られている。そこで、2002年に久山町の循環器病健診を受診した40歳以上の住民2,568名を10年間追跡した成績を用いて血清LBP値と脳卒中発症の関係を検討したところ、血清LBP値の上昇に伴い脳卒中の発症リスク(多変量調整後)は有意に上昇した。
 本講演では、久山町研究のコホート研究の成績を用いて、炎症や心障害などに関するさまざまなバイオマーカーと脳卒中などの循環器疾患の発症との関連について概説する。
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22. 秦淳,土井康文,谷崎弓裕,今村剛,福原正代,米本孝二,北園孝成,飯田三雄,清原裕, 地域住民における喫煙と虚血性心疾患・脳卒中発症との関連:久山町研究, 第45回日本循環器病予防学会・日本循環器管理研究協議会総会, 2009.06.
23. 秦淳, 脳卒中の疫学, 第44回日本脳卒中学会学術集会, 2019.03.
24. 秦淳, 網羅的ゲノム解析による脳梗塞関連遺伝子の探索, 第43回日本脳卒中学会学術総会, 2018.03.
25. 秦淳, 性別・年齢階級別にみた脳卒中とその危険因子の疫学
, 第42回日本脳卒中学会学術総会, 2017.03.
26. 秦淳,福原正代,坂田智子,有馬久富,平川洋一郎,米本孝二,向井直子,北園孝成,清原裕,二宮利治, 地域住民における白衣高血圧,仮面高血圧とアルブミン尿症の関連:久山町研究, 第41回日本高血圧学会総会, 2018.09, 【背景と目的】近年,診察室血圧に加えて家庭血圧の測定が推奨されるようになり,白衣高血圧(WCHT)や仮面高血圧(MHT)の臨床的意義が注目されている。しかし,これらの血圧異常が慢性腎臓病(CKD)およびその構成因子(アルブミン尿症,腎機能低下)におよぼす影響について検討した疫学調査の報告は少ない.そこで,福岡県久山町の地域住民における疫学調査の成績を用いてこれらの関連について検討した.
【対象と方法】2007年に久山町循環器健診を受診し,家庭血圧測定を行った40歳以上の住民2974名を対象とした.家庭血圧は早朝起床後に座位で連続3回28日間測定,診察室血圧は健診会場にて座位で連続3回測定し,それぞれの平均値を用いて,対象者を正常血圧(NT)群(家庭血圧<135/85 mmHgかつ診察室血圧<140/90 mmHg: n=1388),WCHT群(家庭血圧<135/85 mmHgかつ診察室血圧≧140/90 mmHg: n=209),MHT群(家庭血圧≧135/85 mmHgかつ診察室血圧<140/90 mmHg: n=642),持続性高血圧(SHT)群(家庭血圧≧135/85 mmHgかつ診察室血圧≧140/90 mmHg: n=735)の4群に分類した.CKDはアルブミン尿症(尿中アルブミン/クレアチニン比≧30 mg/g)または腎機能低下(推算糸球体濾過量<60 ml/分/1.73 m2)のいずれかと定義した.血圧分類とCKDおよびその構成因子との関連は,ロジスティック回帰を用いて検討した.
【結果】NT群を基準としたCKDの性年齢調整後のオッズ比(95%信頼区間)はWCHT群2.05(1.49-2.81),MHT群1.53(1.23-1.90),SHT群3.34(2.71-4.11)であり,いずれのタイプの高血圧においてもCKDを有する可能性が有意に高かった.さらに,主な心血管危険因子の影響を多変量調整したところ,WCHT群とSHT群において有意な関連を認めた(オッズ比[95%信頼区間]:WCHT群1.64[1.18-2.28],MHT群1.20[0.95-1.52],SHT群2.62[2.10-3.27]).CKDの構成因子別に検討したところ,WCHT,MHT,SHTはいずれもアルブミン尿症と有意に関連した(多変量調整オッズ比[95%信頼区間]:WCHT群1.77[1.22-2.57],MHT群1.74[1.34-2.26],SHT群3.93[3.08-5.01]).しかし,これらの血圧分類と腎機能低下との間には明らかな関連はなかった.
【結論】地域住民を対象とした横断研究により,SHT者のみならずWCHT者やMHT者においてもNT者と比べてCKD、特にアルブミン尿症を有するリスクが高くなることが示唆された.今後は前向き追跡研究による検証が必要である..
27. 秦淳,清原裕, 糖代謝異常・脂質異常症と脳卒中の疫学:久山町研究, 第40回日本脳卒中学会総会, 2015.03.
28. 秦淳,清原裕, 脳卒中のバイオマーカー:久山町研究, 第39回日本脳卒中学会総会, 2014.03.
29. 秦淳,清原裕,二宮利治, 高血圧と心臓合併症の疫学:久山町研究を中心に, 第38回日本高血圧学会総会, 2015.10.
30. 秦淳,二宮利治,平川洋一郎,永田雅治,向井直子,後藤聖司,福原正代,鴨打正浩,北園孝成,清原裕, 一般住民における脳卒中、虚血性心疾患罹患率とその危険因子の50年にわたる時代的推移:久山町研究, 第38回日本脳卒中学会総会, 2013.03.
31. 秦淳,後藤聖司,福原正代,清原裕, 一般住民における心房細動の特徴と予後, 第37回日本脳卒中学会総会, 2012.04.
32. 秦淳,Fullard K,Delcourt C,HeeleyE,有馬久富,Anderson C, 急性期脳出血に対する積極的降圧療法がmidline shiftと水頭症の進行に及ぼす影響:INTERACT試験, 第36回日本脳卒中学会総会, 2011.03.
33. 秦淳, 高血圧と心血管病・認知症の疫学:久山町研究, 第35回日本脳神経血管内治療学会学術総会, 2019.11.
34. 秦淳,Jardin M,有馬久富,二宮利治,Zongas S,Perkovic V,Anderson C,Woodward M,Cass A,Patel A,Chalmers J, 2型糖尿病患者における腎機能増悪予測モデル:ADVANCE試験, 第34回日本高血圧学会総会, 2011.10.
35. 秦淳,土井康文,谷崎弓裕,今村剛,福原正代,米本孝二,北園孝成,飯田三雄,清原裕, 一般住民における喫煙が脳卒中と虚血性心疾患の発症に及ぼす影響:久山町研究, 第34回日本脳卒中学会総会, 2009.03.
36. 秦淳,谷崎弓裕,土井康文,二宮利治,有馬久富,今村剛,米本孝二,井林雪郎,飯田三雄,清原裕, メタボリックシンドロームは全ての脳梗塞タイプの有意な危険因子である:久山町研究, 第33回日本脳卒中学会総会, 2008.03.
37. 秦淳,久保充明,二宮利治,米本孝二,松下知永,北園孝成,井林雪郎,飯田三雄,中村祐輔,清原裕, AGTRL1遺伝子の一塩基多型(SNP)が脳梗塞の発症に及ぼす影響, 第33回日本脳卒中学会総会, 2008.03.
38. 秦淳,谷崎弓裕,清原裕,加藤功,久保充明,田中圭一,大久保賢,中村秀敏,尾石義謙,井林雪郎,飯田三雄, 地域住民における脳卒中の病型別再発率の検討:久山町研究, 第28回日本脳卒中学会総会, 2003.03.
39. 秦淳,永井亜貴子,平田真,鎌谷洋一郎,玉腰暁子,山縣然太朗,武藤香織,松田浩一,久保充明,清原裕,二宮利治, 慢性期循環器疾患患者における死亡リスク予測モデルの開発:バイオバンク・ジャパン, 第27回日本疫学会学術総会, 2017.01.
40. 秦 淳,竹迫仁則,中村 宏,井上 剛,古賀政利,六倉和生,朔 義亮,井林雪郎, 肝悪性腫瘍に対する皮下植え込み型動注システムに発症した脳梗塞症例の検討, 第26回日本脳卒中学会総会, 2001.03.
41. 秦淳,小原知之,片倉喜範,清水邦義,山下俊太郎,吉田大悟,本田貴紀,平川洋一郎,柴田舞欧,坂田智子,北園孝成,久原哲,二宮利治, βアラニン血中濃度と認知症発症の関連:久山町研究, 第25回日本未病システム学会学術総会, 2018.10, 【背景】わが国では認知症とくにアルツハイマー型認知症(AD)の有病率が時代とともに増加し,その予防対策は医療的・社会的に重要な課題となっている.近年の疫学研究により,栄養・食事性因子と認知症発症の関連が検討されるようになり,その発症予防に有用な機能性食品の開発も進められている.そのなかで,鶏肉に多く含有するイミダゾールジペプチドとして知られるカルノシン・アンセリンの摂取が抗酸化作用・抗糖化作用・抗炎症作用を介して認知機能障害に予防的に作用することが,健常者を対象とした介入研究および動物実験によって明らかとされつつある.しかし,地域住民を対象とした疫学研究によってこれらのジペプチドと認知症の発症リスクとの関連について検討した報告は存在しない.
【目的】福岡県久山町の地域高齢者を対象とした追跡調査の成績を用いて,カルノシン・アンセリンの分解産物であるβアラニンの血中濃度と認知症の発症リスクとの関連について検討した.
【方法】2007年に久山町の循環器健診を受診した認知症のない60~79歳の男女1,475名を対象とした.健診時に採取した血清を用いてβアラニンの血中濃度を液体クロマトグラフ質量分析法により測定し,その4分位を用いてQ1群0.29-0.76 μmol/L,Q2群0.77-0.96 μmol/L,Q3群0.97-1.22 μmol/L,Q4群1.23-8.34 μmol/Lに分類した.この集団を2012年まで追跡し,βアラニン血中濃度と認知症およびその主要病型(AD,血管性認知症[VaD])の発症リスクとの関連をKaplan-Meier法およびCox比例ハザードモデルを用いて検討した.
【結果】5.3年間(中央値)の追跡期間中に117名が認知症を発症した(AD 77名,VaD 31名).5年間の全認知症の累積罹患率は,βアラニン血中濃度が高くなるとともに有意に低下した(Q1群9.9%,Q2群8.6%,Q3群4.9%,Q4群4.7%).同様の関連はADの累積罹患率についても認められた(Q1群6.8%,Q2群5.5%,Q3群3.5%,Q4群2.5%).一方,VaDの累積罹患率との間には明らかな関連を認めなかった(Q1群1.8%,Q2群2.4%,Q3群1.5%,Q4群2.0%).さらに,性,年齢,教育歴,収縮期血圧,降圧薬使用,糖尿病,血清総コレステロール値,BMI,脳卒中既往,喫煙,飲酒,運動習慣,総エネルギー摂取量で調整した多変量解析においても,βアラニン血中濃度の上昇に伴い,全認知症およびAD発症のハザード比[95%信頼区間]は有意に低下した(全認知症:Q1群1.00 [基準], Q2群0.73 [0.45-1.18],Q3群0.50 [0.28-0.89],Q4群0.50 [0.27-0.92],傾向性p=0.01.AD:Q1群1.00 [基準], Q2群0.78 [0.44-1.38],Q3群0.53 [0.26-1.06] ,Q4群0.53 [0.25-1.10],傾向性p=0.04).
【結論】日本人の地域高齢者において,βアラニン血中濃度の高値は認知症とくにADの有意な独立した保護因子であった.鶏肉などカルノシン・アンセリンあるいはβアラニンを含有する食事をより多く摂取することにより,認知症の予防につながることが示唆される..
42. 秦淳,谷崎弓裕,土井康文,二宮利治,有馬久富,今村剛,米本孝二,清原裕,井林雪郎,飯田三雄, 一般住民におけるメタボリックシンドロームがタイプ別脳梗塞の発症に及ぼす影響:久山町研究, 第18回日本疫学会学術総会, 2008.01.
43. 秦淳,清原裕, 日本人における心血管病危険因子の時代的変化と特徴:久山町研究, 第17回日本栓子検出と治療学会, 2014.10.
44. 秦 淳,竹迫仁則,中村 宏,古賀政利,六倉和生,井上 剛,朔 義亮, 肝細胞癌に対する皮下埋め込み型動注システム留置中に発症した脳梗塞4症例の検討, 第151回日本神経学会九州地方会, 2000.09.
45. 秦 淳,岸川和裕,永富葉子,荒川修治,鴨打正浩,岡田 靖,井上 亨,安森弘太郎, 経口腔エコーが有用であった内頚動脈狭窄症の一例, 第148回日本神経学会九州地方会, 1999.12.
46. 秦淳,谷崎弓裕,脇坂義信,清原裕,加藤功,久保充明,大久保賢,田中圭一,中村秀敏,尾石義謙,飯田三雄, 純粋型レビー小体型痴呆の1剖検例, 第13回日本老年医学会九州地方会, 2003.03.
47. 秦淳,久保充明,清原裕, 食環境と健康長寿のフロンティア. 生活習慣病のオーダーメイド予防:久山町研究., 日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部. 佐賀大学産学官連携推進機構および佐賀大学医食同源プロジェクト合同公開講座, 2007.04.
48. Hata J,Kiyohara Y, Stroke epidemiology in Japan: the Hisayama Study, 2nd Asia Pacific Stroke Conference, 2012.09.

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