


野口 高明(のぐち たかあき) | データ更新日:2020.10.09 |

大学院(学府)担当
学部担当
その他の教育研究施設名
惑星微量有機化合物研究センター
ホームページ
https://kyushu-u.pure.elsevier.com/ja/persons/takaaki-noguchi
就職実績-他大学
就職実績有, 1990年4月 日本学術振興会特別研究員
1991年4月 茨城大学理学部 助手
1995年4月 茨城大学理学部 助教授
2009年4月 茨城大学理学部 教授
1991年4月 茨城大学理学部 助手
1995年4月 茨城大学理学部 助教授
2009年4月 茨城大学理学部 教授
取得学位
理学博士
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
鉱物学
外国での教育研究期間(通算)
00ヶ年04ヶ月
活動概要
現在私たちはさまざま種類の地球外物質を分析することで太陽系の形成から現在までを調べることができるようになっています。どの天体由来か分からない場合がほとんどなのが隕石や宇宙塵(大きさ2mm以下の地球外物質)です。一方, 月,ヴィルト第2彗星,小惑星イトカワから持ち帰られた物質を分析することも可能になりました。私は,隕石・宇宙塵・リターンサンプルを用いて,鉱物学的視点から研究してきました。特に,近年では,以下の二つのテーマについて特に研究を進めています。
(1) 氷小天体(氷小惑星・彗星)の構成物質の解明と初期太陽系における物質移動
小惑星と彗星の違いは,天文学的には,天体から物質の放出が観測されるかどうかにもとづきます。彗星は,氷・鉱物(無機物)・有機物の混合物(汚れた雪玉)であると言われてきました。しかし,近年,小惑星と認識されていた天体から物質の放出が観測される,表面に水の氷が存在することが確認された小惑星が見つかるなど,氷を保持している氷小惑星が存在することは確実です。両者の境界はあいまいになってきています。
また,地球に衝突してくる地球外物質である隕石には,水と鉱物・有機物が反応(水質変成作用)した,CIやCM炭素質コンドライト隕石が以前より知られています。こうした隕石の母天体(起源天体のこと)も,もともとは,氷・鉱物・有機物が集積して作られたのが,26Alなどの短寿命放射性核種の壊変熱によって天体の温度が上昇し,氷が融解したものだと考えられています。ということは,太陽系形成時には,いろいろな氷小天体があり,あるものは,氷が大規模に融解してしまい,あるものは,ほとんど融解しなかったということになります。水素の安定同位体比(水素と重水素の比),窒素の安定同位体比(14Nと15Nの比)を調べると,地球のこれらの同位体比は,上記の炭素質コンドライトに近く,彗星とは異なっているということになっています。このことは,氷小天体には,含まれている有機物や鉱物の異なるいくつかの種類があることが予想されます。そして,これら各種の氷天体起源の鉱物と有機物を調べることで,地球の有機物や水の起源を検討するのに役立つと考えられます。
私の研究室では,南極のドームふじ基地近くの表層雪に含まれる微隕石(宇宙塵の一種)の中で,特に多孔質で鉱物学的に彗星起源とされてきたものがどのような鉱物学的に多様性を持っているか研究しています。鉱物は私達で研究していますが,有機物については,広島大学の薮田先生や地惑の奈良岡先生と研究しています。また,宇宙塵が大気に高速で突入して加熱を受けると,太陽風起源の希ガスの一部は宇宙塵から放出されます。宇宙塵を段階的に加熱すると,大気圏突入時の最高温度より高い温度で希ガスが放出されるため,希ガス放出温度は大気圏突入時の最高温度の指標となります。その測定は地惑の岡崎先生と研究しています。この研究から,物質科学的に巨大惑星の軌道進化についても制約を与えられることを期待しています。
(2) 月とイトカワ表面物質の研究:大気の無い天体表面で何が起こっているのか?
太陽系の大気の無い天体表面は,非常に過酷な環境に曝されています。これは単に大気がないことで昼と夜の温度差が非常に大きいというだけでなく,低エネルギーの陽子,ヘリウムイオン,電子などからなる太陽風に常に曝され,また,より高エネルギーの太陽宇宙線と銀河宇宙線にも曝されています。さらに,微小なメテオロイド(流星物質)も衝突しています。こうした過程が影響して,特に,反射スペクトルの形状変化がおきることが月では知られており,宇宙風化作用と呼ばれています。月表面の未固結な物質である月レゴリス試料の研究から,スペクトル変化は,微小なメテオロイドの衝突によって月物質のごく表面が加熱・蒸発し,それが再凝縮して形成された100ナノメートル程度の厚さの非晶質層内に形成されたナノサイズの微細な金属鉄のためであるとされています。ところが,このような再凝縮物の非晶質層中のナノサイズの微細な金属鉄は,イトカワ試料の表面にはほとんどないことが私達の研究で明らかになりました。海外の研究者は,部分的に構造が壊れているのではなくて,微細に再結晶しているのだと主張しています。このことを解明するために表面付近の内部組織の研究と,太陽風起源の希ガスの打ち込まれ方をおなじイトカワ粒子で,私と理学部の岡崎隆司さんと分析してきました。
上記の研究を行うことで,イトカワの微粒子の表面をよく観察することが大事であることに気付きました。そこで,月表層の未固結な試料である,月レゴリス試料について,太陽風照射や微小なメテオロイド衝突によって試料ごく表面にどのような変化が生じるのかを,私達は調べています。
また,2020年度末には小惑星リュウグウから試料が持ち帰られます。その初期分析は6つの班に分かれて分析をします。そのうち,微小粒子の鉱物学・岩石学的担当を行う班の班長を仰せつかっており,メンバーの方々と準備をしているところです。
(1) 氷小天体(氷小惑星・彗星)の構成物質の解明と初期太陽系における物質移動
小惑星と彗星の違いは,天文学的には,天体から物質の放出が観測されるかどうかにもとづきます。彗星は,氷・鉱物(無機物)・有機物の混合物(汚れた雪玉)であると言われてきました。しかし,近年,小惑星と認識されていた天体から物質の放出が観測される,表面に水の氷が存在することが確認された小惑星が見つかるなど,氷を保持している氷小惑星が存在することは確実です。両者の境界はあいまいになってきています。
また,地球に衝突してくる地球外物質である隕石には,水と鉱物・有機物が反応(水質変成作用)した,CIやCM炭素質コンドライト隕石が以前より知られています。こうした隕石の母天体(起源天体のこと)も,もともとは,氷・鉱物・有機物が集積して作られたのが,26Alなどの短寿命放射性核種の壊変熱によって天体の温度が上昇し,氷が融解したものだと考えられています。ということは,太陽系形成時には,いろいろな氷小天体があり,あるものは,氷が大規模に融解してしまい,あるものは,ほとんど融解しなかったということになります。水素の安定同位体比(水素と重水素の比),窒素の安定同位体比(14Nと15Nの比)を調べると,地球のこれらの同位体比は,上記の炭素質コンドライトに近く,彗星とは異なっているということになっています。このことは,氷小天体には,含まれている有機物や鉱物の異なるいくつかの種類があることが予想されます。そして,これら各種の氷天体起源の鉱物と有機物を調べることで,地球の有機物や水の起源を検討するのに役立つと考えられます。
私の研究室では,南極のドームふじ基地近くの表層雪に含まれる微隕石(宇宙塵の一種)の中で,特に多孔質で鉱物学的に彗星起源とされてきたものがどのような鉱物学的に多様性を持っているか研究しています。鉱物は私達で研究していますが,有機物については,広島大学の薮田先生や地惑の奈良岡先生と研究しています。また,宇宙塵が大気に高速で突入して加熱を受けると,太陽風起源の希ガスの一部は宇宙塵から放出されます。宇宙塵を段階的に加熱すると,大気圏突入時の最高温度より高い温度で希ガスが放出されるため,希ガス放出温度は大気圏突入時の最高温度の指標となります。その測定は地惑の岡崎先生と研究しています。この研究から,物質科学的に巨大惑星の軌道進化についても制約を与えられることを期待しています。
(2) 月とイトカワ表面物質の研究:大気の無い天体表面で何が起こっているのか?
太陽系の大気の無い天体表面は,非常に過酷な環境に曝されています。これは単に大気がないことで昼と夜の温度差が非常に大きいというだけでなく,低エネルギーの陽子,ヘリウムイオン,電子などからなる太陽風に常に曝され,また,より高エネルギーの太陽宇宙線と銀河宇宙線にも曝されています。さらに,微小なメテオロイド(流星物質)も衝突しています。こうした過程が影響して,特に,反射スペクトルの形状変化がおきることが月では知られており,宇宙風化作用と呼ばれています。月表面の未固結な物質である月レゴリス試料の研究から,スペクトル変化は,微小なメテオロイドの衝突によって月物質のごく表面が加熱・蒸発し,それが再凝縮して形成された100ナノメートル程度の厚さの非晶質層内に形成されたナノサイズの微細な金属鉄のためであるとされています。ところが,このような再凝縮物の非晶質層中のナノサイズの微細な金属鉄は,イトカワ試料の表面にはほとんどないことが私達の研究で明らかになりました。海外の研究者は,部分的に構造が壊れているのではなくて,微細に再結晶しているのだと主張しています。このことを解明するために表面付近の内部組織の研究と,太陽風起源の希ガスの打ち込まれ方をおなじイトカワ粒子で,私と理学部の岡崎隆司さんと分析してきました。
上記の研究を行うことで,イトカワの微粒子の表面をよく観察することが大事であることに気付きました。そこで,月表層の未固結な試料である,月レゴリス試料について,太陽風照射や微小なメテオロイド衝突によって試料ごく表面にどのような変化が生じるのかを,私達は調べています。
また,2020年度末には小惑星リュウグウから試料が持ち帰られます。その初期分析は6つの班に分かれて分析をします。そのうち,微小粒子の鉱物学・岩石学的担当を行う班の班長を仰せつかっており,メンバーの方々と準備をしているところです。


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