九州大学 研究者情報
発表一覧
松森 信明(まつもり のぶあき) データ更新日:2023.11.27

教授 /  理学研究院 化学部門 無機分析化学講座


学会発表等
1. 松森信明, 脂質と膜タンパク質の相互作用解析法の開発とその応用, 公益財団法人山田科学振興財団 2022年度研究交歓会, 2022.10.
2. 松森信明, 脂質機能解明のための多角的分析, 脂質駆動学術産業創生研究部会, 2022.12.
3. Nobuaki Matsumori, Interaction Analysis between Membrane Proteins and Lipids, ICPAC Kotakinabalu 2022, 2022.11.
4. Nobuaki Matsumori, Interaction analysis between membrane proteins and lipids towards elucidation of lipid-related chemical communications, Pacifichem2021, 2021.12.
5. 松森信明, 脂質ラフトと麻酔作用
, 麻酔メカニズム研究会, 2021.12.
6. Nobuaki Matsumori, Interaction analysis between membrane proteins and lipids to understand biological membranes, The 59th Japanese Biophysical Society Meeting, 2021.11.
7. 松森信明, 脂質-膜タンパク質相互作用解析法の開発とその応用, 新学術領域研究「化学コミュニケーションのフロンティア」第8回公開シンポジウム, 2021.07.
8. 松森信明, 局所麻酔の新たなメカニズム
, ペインクリニック学会第54回学術集会, 2020.11.
9. 松森信明, 脂質膜における各種相互作用の解析, 生体膜を含む生体分子間相互作用研究の現状と課題, 2019.08.
10. 稲田壮峰、木下祥尚、松森信明, 膜タンパク質―脂質相互作用解析法の開発:脂質ケミカルバイオロジー創成に向けて, 日本ケミカルバイオロジー学会 第14回年会, 2019.06.
11. Takaaki Matsufuji, Kana Hirano, Yutaro Tajima, Masanao Kinoshita, and Nobuaki Matsumori, Development of novel fluorescent analogs of sphingomyelins, ceramide, and hybrid phosphatidylcholines., The International Conference on the Bioscience of Lipids (ICBL) , 2019.06.
12. Nobuaki Matsumori, Integrated Analysis of Membrane Systems, International Seminar on Biophysics and Chemical Biology of Biomembrane and Lipid Bilayers, 2017.10.
13. Nobuaki Matsumori, Masanao Kinoshita, NMR and Fluorescent Studies of Lipid Rafts, 9th Korea-Japan Seminars on Biomolecular Sciences: Experimental and Simulations, 2016.11.
14. 松森 信明, 脂質膜における動的挙動、構造および相互作用解析, 蛋白研セミナー Mechanism of Biology of Membrane: 生体膜上の生物化学, 2016.03.
15. 松森 信明, 脂質ラフト形成基盤の解明を目指したスフィンゴミエリンの動的およびNMR構造解析, 日本化学会第96春季年会、ケミカルバイオロジーの新機軸ー機器分析とライフイノベーション, 2016.03.
16. 松森 信明, 脂質ラフトにおける脂質分子の動的挙動および構造解析, 第88回日本生化学会大会フォーラム, 2015.12.
17. 松森 信明, Small molecule interactions with membrane sterol, Pacifichem2015, 2015.12.
18. 松森 信明, NMR studies of lipid rafts, Pacifichem2015, 2015.12.
19. 松森 信明, 脂質膜の統合分析, 第33回九州コロイドコロキウム, 2015.11.
20. 松森 信明, 脂質ラフトのNMR解析, 第53回日本生物物理学会年会, 2015.09.
21. 松森 信明, 生体膜の統合分析を目指して, 統合分析・生物化学研究特区公開講演会, 2015.03.
22. 松森 信明, NMRによる生体膜ならびに膜作用生理活性物質の解析, 日本生化学会大会, 2014.10, 多数の薬物は膜タンパク質や脂質膜を標的としており、また近年では脂質ラフトと呼ばれる生体膜中の微小領域がシグナル伝達など重要な生理機能を担っていることが明らかとなるなど、脂質膜の詳細な解析の必要性が高まっている。我々はこれまで、有機合成とNMRを組み合わせて膜中における相互作用解析や構造解析を行ってきた。本講演では、バイセル、アンフォテリシンB (AmB)および脂質ラフトについて、我々の最近の研究を紹介する。
バイセル
バイセルは長鎖リン脂質と界面活性剤から構成される脂質複合体で、二重膜構造を有することから、ミセルよりもすぐれた膜モデルと考えられている。我々は、このバイセルに有機分子を含有させ、溶液NMRによる配座解析や膜中での存在位置決定を行ってきた1)。この方法論の確立により、イオノフォア抗生物質サリノマイシンのイオン輸送メカニズムの解析などを行ってきた2)。
アンフォテリシンB
真菌感染症治療に用いられるアンフォテリシンB(AmB)は、細胞膜のイオン透過性を昂進させることで抗真菌活性を発揮する。その選択毒性は、コレステロールよりも真菌細胞膜含有のエルゴステロールに対する高い親和性に起因する。しかし、脂質膜中におけるAmBとエルゴステロールの相互作用を直接観測した研究はまだない。そこで本研究ではまず2H標識したステロールを調製し、2H NMRによって脂質膜中での運動性を評価した。その結果、エルゴステロールの膜中での運動性はAmBとの共存によって顕著に低下するのに対し、コレステロールのそれは変化しなかった3)。これは膜中でのAmBとエルゴステロールの相互作用を直接示した最初の研究である。次にフッ素化AmBおよび13C標識エルゴステロールを用い、膜中で19Fと13Cの原子間距離を測定した。その結果、エルゴステロールとAmBが平行に相互作用した状態ばかりでなく、逆平行でも相互作用することが明らかとなった4)。
脂質ラフト
脂質ラフトはスフィンゴミエリン(SM)およびコレステロールを主成分とする細胞膜ドメインであり、特異的に集積した膜タンパク質を介したシグナル伝達のプラットホームとして機能していると考えられている。しかし、脂質ラフトは形成と離散を繰り返しているため、分子レベルでの相互作用解析はほとんど行われていない。本研究では、まず上述のバイセルをSMで調製し、SMの膜中での配座の決定に成功した5)。さらに位置特異的に重水素標識したSMを合成し、2H-NMR 測定からSMの動的挙動を詳細に解析するとともに6,7)、 13C及び15Nで標識したSMを調製し、固体NMR法による配向解析や分子間水素結合の観測を行った。これらの結果から、脂質ラフト形成の分子機構について考察する。
上記以外にも、蛍光顕微鏡を用いた脂質膜の観測や、脂質を固定化したビーズによる脂質結合タンパク質のスクリーニングを行っている。このように、膜タンパク質を含む生体膜における構造解析や相互作用解明に対して、NMRをはじめとした種々の分析手法を用いて多角的なアプローチを展開している。.

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