九州大学 研究者情報
発表一覧
進藤 幸治(しんどう こうじ) データ更新日:2024.04.22

講師 /  九州大学病院 消化管外科(1) 臨床・腫瘍外科


学会発表等
1. 貞苅良彦, 一宮仁, 進藤幸治, 園田幸生, 大谷和広, 大城戸政行, 加藤雅人, 中垣充, 門脈圧亢進症に対する腹腔鏡下脾臓摘出術の検討ー肝硬変症例に対するINF,RBV導入を視野に入れた適応拡大ー, 第15回九州内視鏡下外科手術研究会, 2005.09.
2. 進藤幸治, 西浦三郎, 橋爪健太郎, 井久保丹, 膵頭部に発生した併存腫瘍(内分泌腫瘍・膵管癌)の1例, 第67回 日本臨床外科学会総会, 2005.11.
3. 進藤幸治, 加藤雅人, 貞苅良彦, 園田幸生, 大谷和広, 大城戸政行, 一宮仁, 中垣充, 末梢血幹細胞移植後,呼吸器GVHDの一環としての気胸の1例, 第15回 九州内視鏡下外科手術研究会, 2005.09.
4. 貞苅良彦, 一宮仁, 進藤幸治, 園田幸生, 大谷和広, 大城戸政行, 加藤雅人, 相島慎一, 中垣充, 気腫性胆嚢炎を契機に診断された急性骨髄性白血病の1例, 第18回日本肝胆膵外科関連会議, 2006.05.
5. 大城戸政行, 大島 章, 進藤幸治, 金田章子, 加藤雅人, 一宮 仁, 中垣 充, 相島慎一, 甲状腺乳頭癌の経過観察中に粘表皮癌に転化したと思われる1例, 第39回日本甲状腺外科学会学術集会, 2006.10.
6. 大城戸政行, 進藤幸治, 貞苅良彦, 園田幸生, 大谷和広, 加藤雅人, 一宮仁, 中垣 充, 進行乳癌に対する ハーセプチン・タキソール治療中に肺水腫をきたした1例, 第14回日本乳癌学会学術総会, 2006.07.
7. 進藤幸治, 大島章, 大城戸政行, 園田幸生, 加藤雅人, 一宮仁, 中垣充, 急速に進行し予後不良であった甲状腺乳頭癌と粘表皮癌を併発した1例, 第68回 日本臨床外科学会総会, 2006.11.
8. 進藤幸治, 加藤雅人, 貞苅良彦, 園田幸生, 大谷和広, 大城戸政行, 一宮仁, 中垣充, 縦隔コレステリン肉芽腫の1例, 第23回日本呼吸器外科学会総会, 2006.05.
9. 進藤幸治, 加藤雅人, 貞苅良彦, 園田幸生, 大谷和広, 大城戸政行, 一宮仁, 中垣 充, 縦隔コレステリン肉芽腫の1例, 第7回福岡胸部外科研究会, 2006.04.
10. 加藤雅人, 進藤幸治, 貞苅良彦, 園田幸生, 大谷和広, 大城戸政行, 一宮仁, 中垣 充, 中馬広一, 椎体浸潤を有する肺癌の手術症例の検討, 第23回日本呼吸器外科学会, 2006.05.
11. 加藤雅人, 進藤幸治, 貞苅良彦, 園田幸生, 大谷和広, 大城戸政行, 一宮仁, 中垣 充, 当科における転移性肺癌の検討, 第7回福岡胸部外科研究会, 2006.04.
12. 当間宏樹, 永井英司, 進藤幸治, 能城浩和, 清水周次, 田中雅夫, 高齢者胃癌に対する腹腔鏡補助下幽門側胃切除術の手術成績, 第63回日本消化器外科学会総会, 2008.07.
13. 進藤幸治, 当間宏樹, 北田秀久, 永井英司, 江口徹, 田中雅夫, 腐蝕性食道炎に対し、4期分割手術が奏功した1例, 第45回九州外科学会, 2008.04.
14. 永井英司, 当間宏樹, 進藤幸治, 能城浩和, 清水周次, 田中雅夫, 腹腔鏡(補助)下胃全摘術後の再建法の工夫, 第21回日本内視鏡外科学会総会, 2008.09.
15. 永井英司, 当間宏樹, 進藤幸治, 能城浩和, 清水周次, 田中雅夫, .高齢者早期胃癌に対する腹腔鏡(補助)下胃全摘術の有用性, 第94回日本消化器病学会総会, 2008.05.
16. 永井英司, 当間宏樹, 進藤幸治, 能城浩和, 清水周次, 田中雅夫, 胃癌に対する腹腔鏡(補助)下胃全摘術標準化を目指した手術手技の工夫, 第63回日本消化器外科学会総会, 2008.07.
17. 進藤幸治, 上田純二, 中村雅史, 江口徹, 田中雅夫, カルチノイド成分を含んだ成人後腹膜成熟奇形腫の1例, 第71回日本臨床外科学会, 2009.11.
18. 進藤幸治, 江口徹, 藤井圭, 笹月朋成, 橋爪健太郎, 冨永洋平, 小川向洋, 廣田伊千夫, ヘルニア修復術における新素材Polyester (Parietex:COVIDIEN) meshの使用経験, 第7回日本ヘルニア学会学術集会, 2009.04.
19. 進藤幸治, 江口徹, 佐藤伸也, 藤井圭, 笹月朋成, 橋爪健太郎, 冨永洋平, 廣田伊千夫, 永井英司, 右鎖骨下動脈走行異常を伴う胸部食道癌に対して鏡視下食道切除再建術を施行した1例, 第19回九州内視鏡下外科手術研究会, 2009.09.
20. 山中直樹, 永井英司, 前山良, 大内田研宙, 上田純二, 清水周次, 進藤幸治, 小田義直, 田中雅夫, 単孔式腹腔鏡下手術で同時切除した胃GIST、胆嚢結石症、左卵巣嚢腫を合併した1例, 第4回単孔式内視鏡手術研究会, 2011.08.
21. Prawej Mahawithitwong, Ouchida K, Ikenaga N, Fujita H, Zhao M, Kozono S, Shindo K, Otsuka T, Mizumoto K, Tanaka M, Kindlin-1 expression in pancreatic ductal adenocarcinoma, 第22回日本消化器癌発生学会総会, 2011.11.
22. Fujiwara K, Ouchida K, Shindo K, Kozono S, Ikenaga N, Cui L, Aishima S, Nakamura M, Mizumoto K, Oda Y, Tanaka M, The CD271 positive rate of pancreatic stellate cells is correlated with their migration activities enhanced by co-cultured pancreatic cancer cells, Asian Pacific HPBA Congress 2011, 2011.09.
23. 李倫學, 五十嵐久人, 高岡雄大, 植田圭二郎, 内田匡彦, 肱岡真之, 新名雄介, 中村太一, 大野隆真, 上田純二, 進藤幸治, 相島慎一, 伊藤鉄英, 田中雅夫, 高柳涼一, 慢性膵炎に合併した膵管狭窄の経過中に診断し得たStage0膵癌の一例, 第100回日本消化器病学会九州支部例会 第94回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2012.11.
24. 藤原謙次, 大内田研宙, 進藤幸治, 赤川進, 江口大樹, 小薗真吾, 池永直樹, 崔林, 相島慎一, 大塚隆生, 高畑俊一, 水元一博, 小田義直, 田中雅夫, 膵癌におけるCD271陽性膵星細胞の意義, 第112回日本外科学会定期学術集会, 2012.04.
25. 進藤幸治, 相島慎一, 池永直樹, 大内田研宙, 水元一博, 田中雅夫, 小田義直, Fibroblasts expressing Podoplanin enhance the tumor progression of invasive ductal carcinoma of pancreas
膵腺癌の間質に存在するポドプラニンを発現している繊維芽細胞は腫瘍進行を促進する, The 71st Annual Meeting of the Japanese Cancer Association -Towards a new era and liaison of cancer research and life science- 第71回日本癌学会学術総会 -がん研究とライフサイエンスの更なるリエゾン-, 2012.09.
26. Shindo K, Aishima S, Ikenaga N, Ouchida K, Mizumoto K, Tanaka M, Oda Y, Fibroblasts Expression podoplanin Enhance the Tumor Progression of Invasive Ductal Carcinoma of Pancreas., American Pancreatic Association/ International Association of Pancreatology 2012 Joint Meeting, 2012.10.
27. Fujiwara K, Ouchida K, Ohtsuka T, Akagawa S, Eguchi D, Shindo K, Kozono S, Cui L, Takahata S, Mizumoto K, Tanaka M, Migratory activity of CD105+ pancreatic cancer cells is strongly enhanced by pancreatic stellate cells, American Pancreatic Association/ International Association of Pancreatology 2012 Joint Meeting, 2012.10.
28. Fujiwara K, Ohuchida K, Mizumoto K, Shindo K, Eguchi D, Kozono S, Ikenaga N, Ohtsuka T, Takahata S, Aishima S, Tanaka M, , CD271+ pancreatic stellate cells are correlated with prognosis of patients with pancreatic cancer and regulated by interaction with cancer cells, Pancreas Cancer 2012 in Kyoto, 2012.10.
29. 藤原謙次, 大内田研宙, 進藤幸治, 赤川進, 江口大樹, 小薗真吾, 崔林, 大塚隆生, 高畑俊一, 相島慎一, 水元一博, 田中雅夫, CD166陰性膵癌細胞は強い浸潤能・遊走能を有する, 第113回日本外科学会定期学術集会, 2013.04.
30. 田村公二, 大塚隆生, 進藤幸治, 井手野昇, 安蘓鉄平, 河野博, 永吉洋介, 大内田研宙, 相島慎一, 上田純二, 高畑俊一, 水元一博, 小田義直, 田中雅夫, 主膵管型IPMNの治療戦略:残膵再発例から見た至適術式の検討, 第113回日本外科学会定期学術集会, 2013.04.
31. 水内祐介, 相島慎一, 進藤幸治, 服部正見, 藤野稔, 大内田研宙, 水元一博, 田中雅夫, 小田義直, 膵癌においてAnterior gradient 2 発現低下は予後不良マーカーであり、上皮間葉移行によって引き起こされる, 第72回日本癌学会総会, 2013.10.
32. 小薗真吾, 大内田研宙, 進藤幸治, 江口大樹, 藤原謙次, 趙茗, 崔林, 高畑俊一, 水元一博, 田中雅夫, 膵癌におけるNodal発現の特徴とその臨床的意義, 第113回日本外科学会定期学術集会, 2013.04.
33. Tamura K, Ohtsuka T, Ideno N, Aso T, Shindo K, Oda Y, Ohuchida K, Takahata S, Mizumoto K, Tanaka M, Treatment Strategy for Main Duct Intraductal Papillary Mucinous Neoplasms of the Pancreas Based on the Assessment of Recurrence in the Remnant Pancreas after Resection: A Retrospective Review, Ammerican Pancreatic Association 44th Annual Meeting, 2013.10.
34. Shindo K, Aishima S, Tanaka M, Oda Y, Pathological Wall Thickness of Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm of the Pancreas is a Predictor of Malignancy, and Stromal Podoplanin Expression is a poor Prognostic Indicator., Ammerican Pancreatic Association 44th Annual Meeting, 2013.10.
35. Shindo K, Aishima S, Ikenaga N, Ohuchida K, Mizumoto K, Tanaka M, Oda Y, Fibroblasts expressing podoplanin enhance the tumor progression of invasive ductal carcinoma of pancreas, and podoplanin expression is affected by culture condition, DDW, 2013.05.
36. Sada M, Ohuchida K, Fujiwara K, Horioka K, Tanaka T, Zheng B, Cases AI, Akagawa S, Shindo K, Ohtsuka T, Takahata S, Oda Y, Mizumoto K, Tanaka M, Clinical significance of stromal CD90 and alpha-SMA expression in pancreatic cancer, Ammerican Pancreatic Association 44th Annual Meeting, 2013.10.
37. Fujiwara K, Ohuchida K, Shindo K, Akagawa S, Eguchi D, Kozono S, Cui L, Ohtsuka T, Takahata S, Aishima S, Mizumoto K, Tanaka M, A CD166 negative subpopulation of pancreatic cancer cells has strong invasive and migratory activity, 4th Biennial Congress of the Asian-Pacific Hepato-Pancreato-Billiary Association, 2013.03.
38. 鄭彪, 崔林, 大内田研宙, 進藤幸治, 藤原謙次, 赤川進, 堀岡宏平, 田中友晴, 佐田政史, 吉田真樹, 千々岩芳朗, 奥村隆志, 仲田興平, 大塚隆生, 小田義直, 水元一博, 田中雅夫, 膵癌におけるTM4SF1発現の意義, 第114回日本外科学会定期学術集会, 2014.04.
39. Biao Zheng, Lin Cui, 大内田研宙, 進藤幸治, 藤原謙次, 赤川 進, 堀岡宏平, 田中 友晴, 佐田政史, 吉田真樹, 千々岩芳郎, 奥村隆志, 仲田興平, 大塚隆生, 小田義直, 水元一博, 田中雅夫, 膵癌におけるTM4SF1発現の意義, 第114回日本外科学会定期学術集会, 2014.04.
40. 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 岩本千佳, 小田昌宏, 植村宗則, 森健策, 真鍋達也, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 橋爪誠, 画像解析に基づいた膵手術における術前シミュレーション、術中ナビゲーションの可能性, 第78回日本臨床外科学会総会, 2016.11.
41. 進藤幸治, 森山大樹, 宮坂義浩, 大内田研宙, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下胃全摘術における脾門部リンパ節郭清のコツ, 第29回日本内視鏡外科学会総会, 2016.12.
42. 進藤幸治, 永井英司, 久留裕, 森山大樹, 宮坂義浩, 大内田研宙, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 非治癒切除因子を持つ高度進行胃癌に対する当科での治療方針, 第78回日本臨床外科学会総会, 2016.11.
43. 進藤幸治, 右鎖骨下動脈走行異常と非反回下喉頭神経を伴う食道癌に対する鏡視下食道切除再建術におけるピットフォール, 第29回日本内視鏡外科学会総会, 2016.12.
44. 森山大樹, 永井英司, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 胃癌手術における左副肝動脈温存について~3D-CTシミュレーションを用いた検討, 第78回日本臨床外科学会総会, 2016.11.
45. 森山大樹, 永井英司, 大内田研宙, 久留裕, 進藤幸治, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 3D-CT画像による術前シミュレーションが有用であった腹腔鏡下胃・十二指腸手術の経験, 第26回九州内視鏡下外科手術研究会, 2016.09.
46. 三好圭, 相良亜希子, 山中美沙, 林昌孝, 中房智樹, 岩本直也, 米永晃子, 久野恭子, 伊達聡美, 久留裕, 永吉絹子, 野口浩司, 加来啓三, 森泰寿, 進藤幸治, 栗原啓, 貞苅良彦, 重症筋無力症に対する胸骨下アプローチ鏡視下拡大胸腺摘出術の手技と合併症の検討, 第6回福岡胸部外科疾患研究会, 2016.07.
47. 久留裕, 永井英司, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡治療を行った十二指腸NETの4例, 第29回日本内視鏡外科学会総会, 2016.12.
48. Shindo K, Yu J, Suenaga M, Fesharakizadeh S, Almario JAN, Borges M, Siddqui A, Cho C, Roberts N, Hruban R, Klein AP, Hashizume M, Nakamura M, and Goggins M, Next generation sequencing to detect deleterious germline mutations in patients with apparently sporadic pancreatic ductal adenocarcinoma, 47th Annual Meeting of the American Pancreatic Association, 2016.10.
49. 木村隆一郎, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 藤田逸人, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅夫, 当科における超高齢者に対する腹腔鏡下胃切除の検討, 第30回日本内視鏡外科学会総会, 2017.12.
50. 木村隆一郎, 森山大樹, 進藤幸治, 大内田研宙, 藤田逸人, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大塚隆生, 中村雅史, 当科における高齢進行胃癌に対する集学的治療の現状, 第79回日本臨床外科学会総会, 2017.11.
51. 木村隆一郎, 森山大樹, 進藤幸治, 大内田研宙, 藤田逸人, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 当科の高齢進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除の治療成績, 第27回九州内視鏡下外科手術研究会, 2017.09.
52. 米永晃子, 永井英司, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 術前3DCTにて明らかとなった脾腎シャントの二例, 第109回日本消化器病学会九州支部例会, 2017.05.
53. 米永晃子, 永井英司, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大内田研宙, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 当科における胃体上部腫瘍に対するLECSの臨床的特徴, 第15回日本消化器外科学会大会, 2017.10.
54. 中山宏道, 大内田研宙, 吉田真樹, 宮崎哲之, 安藤陽平, 岐部晋, 武居晋, 肥川和寛, 阿部俊也, 遠藤翔, 奥村隆志, 進藤幸治, 森泰寿, 仲田興平, 森山大樹, 宮坂義浩, 大塚隆生, 膵癌患者のリンパ節転移巣における間質増生の程度は、そのリンパ節転移巣のサイズと相関し予後にも関わる, 第15回日本消化器外科学会大会, 2017.10.
55. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 腹腔鏡下胃癌膵上縁郭清のための新たな個別立体外科解剖学の構築, 第30回日本内視鏡外科学会総会, 2017.12.
56. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 永井英司, 中村雅史, 当科における鏡視下食道癌手術, 第27回九州内視鏡下外科手術研究会, 2017.09.
57. 大内田研宙, 永井英司, 森山大樹, 進藤幸治, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 縦隔内腫瘍に対して腹臥位鏡視下手術を施行した5例, 第71回日本食道学会学術集会, 2017.06.
58. 大内田研宙, 永井英司, 森山大樹, 進藤幸治, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 郭清すべき組織の可動性向上を目指した3Dシミュレーションの導入, 第72回日本消化器外科学会総会, 2017.07.
59. 大内田研宙, 永井英司, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 新たな個別立体外科解剖学に基づく腹腔鏡下胃癌手術, 第15回日本消化器外科学会大会, 2017.10.
60. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 大坪慶志輝, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除術における患者右側からの6番郭清のための術者右手ポート位置の検討, 第79回日本臨床外科学会総会, 2017.11.
61. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 鏡視下胃癌手術における患者右側からの郭清の優位性と非劣性, 第30回日本内視鏡外科学会総会, 2017.12.
62. 進藤幸治, 永井英司, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 当科における非治癒切除因子を持つ高度進行胃癌に対して行ったコンバージョン手術の検討, 第72回日本消化器外科学会総会, 2017.07.
63. 進藤幸治, 永井英司, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 右鎖骨下動脈走行異常及び非反回下喉頭神経を伴う食道癌に対する鏡視下食道切除における左上縦隔郭清, 第71回手術手技研究会, 2017.05.
64. 進藤幸治, 永井英司, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 宮坂義弘, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 食道癌多発病変と遺残食道を含む頭頸部癌の発生, 第71回日本食道学会学術集会 第38回食道内視鏡外科研究会, 2017.06.
65. 進藤幸治, 永井英司, 久野恭子, 森山大樹, 大内田研宙, 真鍋達也, 大塚隆生, 橋爪誠, 中村雅史, 当科における十二指腸腫瘍に対するLECSの現状と展望, 第117回日本外科学会定期学術集会, 2017.04.
66. 進藤幸治, J.Castillo, 永井英司, 大内田研宙, 永吉絹子, 森山大樹, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 早期胃癌に対する内視鏡的治療後、追加切除として当科で行われた腹腔鏡下胃切除術の治療成績, 第15回日本消化器外科学会大会, 2017.10.
67. 森山大樹, 永井英司, 大内田研宙, 進藤幸治, 宮坂義浩, 永井俊太郎, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 術前3D-CTによる血管走行バリエーションの把握と、それに応じたリンパ節郭清について, 第71回手術手技研究会, 2017.05.
68. 森山大樹, 永井英司, 大内田研宙, 進藤幸治, 永吉絹子, 森泰寿, 仲田興平, 宮坂義浩, 永井俊太郎, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除術の再建形式による胆石発生の検討, 第15回日本消化器外科学会大会, 2017.10.
69. 森山大樹, 永井英司, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 術前3D-CTで血管変異を把握することは、腹腔鏡下胃癌手術におけるリンパ節郭清に有用である, 第72回日本消化器外科学会総会, 2017.07.
70. 山本真大, 進藤幸治, 永井英司, 米永晃子, 永吉絹子, 平野敦士, 森山大樹, 宮坂義浩, 永井俊太郎, 大内田研宙, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 平橋美奈子, 小田義直, 中村雅史, , 急速に進展した食道癌肉腫と食道神経内分泌癌の併存癌に対して手術と化学療法が著効した1例, 第109回日本消化器病学会九州支部例会, 2017.05.
71. 永井英司, 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下胃全摘術、D2リンパ節郭清における脾動脈周囲リンパ節郭清の術前準備と手術手技, 第117回日本外科学会定期学術集会, 2017.04.
72. 永井英司, 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 進行胃癌に対する腹腔鏡下手術標準化の取り組み ~適正なリンパ節郭清と愛護的操作~, 第72回日本消化器外科学会総会, 2017.07.
73. 永井英司, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 山元啓文, 井上重隆, 小倉康裕, 小島雅之, 本山健太郎, 中房祐司, 中村雅史, 胃癌高難度症例に対する術前評価と手術手技の工夫, 第30回日本内視鏡外科学会総会, 2017.12.
74. 永井英司, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 真鍋達也, 大塚隆生, 中村雅史, 高リスク症例に対する外科治療方針と手技の工夫~医疾患~, 第71回手術手技研究会, 2017.05.
75. 永井英司, 森山大樹, 進藤幸治, 大内田研宙, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 真鍋達也, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 食道癌からみた重複消化管癌の治療方針と重複癌を考慮した診療計画, 第71回日本食道学会学術集会, 2017.06.
76. Yan Z, Ohuchida K, Guan W, Feng H, Kibe S, Ando Y, Nakata K, Shindo K, Toma H, Tominaga Y, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Nakamura M, Inhibition of ERK1/2 Targeting Cancer-Associated Fibroblasts Suppresses Pancreatic Cancer-Stromal Interaction, The 48th Annual Meeting of The American Pancreatic Association, 2017.11.
77. Shindo K, Ohuchida K, Moriyama T, Nagai S, Ohtsuka T, Nagai E, Shimizu S, Nakamura M, Our strategy for achieving the best location of the ports in laparoscopic gastrectomy, 21st Asian Congress of Surgery, 2017.11.
78. 堀川通弘, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 当科における術前化学療法を行った進行胃癌症例の検討, 第111回日本消化器病学会九州支部例会・第105回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2018.06.
79. 片山直樹, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, Barret食道癌に対して施行した術前化学療法が著効し、CRとなった一例, 第80回日本臨床外科学会総会, 2018.11.
80. 米永晃子, 肥川和寛, 大内田研宙, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 宮坂義浩, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, 膵オルガノイドを用いた浸潤性膵管癌の新たな局所微小浸潤機序の解明, 第49回日本膵臓学会大会, 2018.06, 【背景・目的】管状構造を持つ浸潤性膵管癌の間質への浸潤様式は、未だ不明な点が多い。今回、我々は膵癌オルガノイドを用いて、in vitroで管状構造をもつ浸潤性膵管癌を再現し、リアルタイムイメージングで基底膜破壊から間質浸潤に至る局所微小浸潤の様子を観察し、その機序を検討した。【方法】ヒト膵癌切除組織より、膵癌オルガノイドと膵星細胞(Pancreatic stellate cells; PSC)を樹立し、コラーゲンゲル内で3次元培養を行い、オルガノイドの浸潤様式をタイムラプスで観察した。また定量的RT-PCR、RNA干渉による抑制実験、マウス同所移植モデルを用いオルガノイド浸潤に関連する因子を検討した。【結果】膵癌オルガノイドは極性をもつ管状構造を呈し、ラミニンα5、コラーゲンⅣで染色される基底膜構造を有していた。ゲル内で、膵癌オルガノイドを単培養、PSCとの間接共培養、直接共培養で浸潤様式を比較したところ、直接共培養群では他2群と比較して基底膜構造、管状構造を失い、ゲル内へ浸潤するオルガノイド数が有意に増加した(P<0.01)。さらに、基底膜破壊の前� $K$OPSCのオルガノイドへの直接的なコンタクトを認めた。基底膜関連因子は、ヒト膵癌細胞ではMMP2、MMP9、MT1MMPは低発現でTIMP2のみ高発現であり、PSCではMMP9の発現はほとんどなく、MMP2、MT1MMP、TIMP2は高発現であった。MMP2、MT1MMPをノックダウンしたPSCは、ゲル内への浸潤オルガノイド数を減少させ(P<0.01)、マウス同所移植でも、基底膜破壊、間質浸潤を抑制した。【結語】PSCに発現するMT1MMPはTIMP2を介してPSCの分泌するMMP2と結合し、MMP2を活性化させ、膵癌オルガノイドへの直接的なコンタクトにより基底膜を破壊し間質浸潤を促進している可能性がある。.
81. 武居晋, 大内田研宙, 中山宏道, 肥川和寛, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 宮坂義浩, 大塚隆生, 中村雅史, 膵癌微小肝転移における癌関連線維芽細胞の誘導と好中球細胞外トラップ(NETs), 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07, 【背景】好中球細胞外トラップ(NETs)は好中球が自らのDNAの網を細胞外に放出し、微生物を捕捉・殺傷する機構として2004年に報告され、近年は薬剤性の肺線維化や癌の進展に関与していることが報告されている。一方、癌関連線維芽細胞が膵癌の進展を促進することは広く知られており、肝転移巣においても癌関連線維芽細胞が早期に誘導される。NETsが肺の線維化を促進することから、膵癌肝転移巣での癌関連線維芽細胞の誘導においてもNETsが促進的に働き、肝転移形成に関与する可能性がある。【目的】膵癌の肝微小転移巣の癌関連線維芽細胞の誘導におけるNETsの役割を明らかにする。【方法】膵癌自然発生マウスであるKPCL(LSL-Kras G12D/+ ;LSL-Trp53 R172H/+; LSL-Luciferase ;Pdx-1 -Cre)マウス及び肝転移モデルマウスにNETs阻害剤であるDNase Iを投与し、肝転移におけるDNase Iの影響を検討した。また、C57BL/6マウスの骨髄から分離した好中球マウス由来の膵癌細胞と共培養し、相互作用を検討した。【結果】生後8週からDNase Iを投与したKPCLマウ��9$Ocontrol群と比較して有意に生存期間が延長し、肝転移も抑制された。しかし、生後13週から投与を開始した群では肝転移は抑制されたものの、生存期間は延長しなかった。また、GFPを導入した癌細胞の脾注肝転移モデルでは微小転移巣に好中球の集簇がみられ、DNase I投与群では肝転移形成が抑制された。脾注2日後の微小肝転移巣をGFP,α-SMAの免疫染色で観察すると、DNase I投与群ではGFP陽性の癌細胞の数は少なく、α-SMA/GFPの面積比、α-SMA陽性の病変の割合とも低かった。マウスの好中球とKPCマウス由来の癌細胞を間接共培養すると好中球のNETs形成が促進された。【結語】NETs阻害剤であるDNase Iの投与で自然発癌マウスおよび脾注肝転移モデルで肝転移形成は抑制されたことから、膵癌の肝転移形成においてNETsが促進的に作用することが示唆された。また、その過程でα-SMA陽性の癌関連線維芽細胞の誘導も抑制されたことから、NETsが癌関連線維芽細胞の誘導を促進することで肝転移形成を促進している可能性が示唆された。.
82. 武居晋, 大内田研宙, 中山宏道, 肥川和寛, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 宮坂義浩, 大塚隆生, 中村雅史, 膵癌肝転移での癌関連線維芽細胞局所誘導における好中球細胞外トラップ(NETs)の役割に関する検討 , 第16回日本消化器外科学会大会, 2018.11, 【背景】好中球細胞外トラップ(NETs)は好中球が自らのDNAの網を細胞外に放出し,微生物を捕捉・殺傷する機構として2004年に報告され,近年は肺線維化や癌の進展に関与していることが報告されている.一方,癌関連線維芽細胞(CAF)が膵癌の進展を促進することは広く知られており,肝転移巣においてもCAFが早期に誘導される.NETsが肺の線維化を促進することから,膵癌肝転移巣でのCAFの誘導においてもNETsが促進的に働き,肝転移形成に関与する可能性がある.【目的】膵癌の肝微小転移巣のCAFの誘導におけるNETsの役割を明らかにする.【方法】膵癌自然発生マウスであるKPCLマウスに細胞膜非透過性DNA染色剤を投与してNETsを染色することで病巣内のNETsの形成を評価した.膵癌細胞を脾注する肝転移モデルマウスにNETs阻害剤であるDNase Iを投与し,肝転移形成におけるDNase Iの影響を検討した.さらに,好中球と膵癌細胞および肝転移巣のCAFの由来とされる肝星細胞の共培養を行い,それらの相互作用を検討した.【成��S![KPCLマウスの病巣内でDNA染色剤による染色が確認され,病巣内でNETsが誘導されていることが示唆された.GFPを導入した癌細胞の脾注モデルでは微小転移巣にCAFの出現に先立って好中球の集簇がみられ,DNase I投与群では肝転移形成が抑制された.また,微小肝転移巣をGFP,α-SMAの免疫染色で観察すると,DNase I投与群ではGFP陽性の癌細胞数は少なく,α-SMA/GFPの面積比も有意に低かった.好中球と癌細胞を間接共培養すると好中球のNETs形成が促進され,NETsを誘導した好中球と肝星細胞との間接共培養では肝星細胞の遊走能が亢進した.【結論】NETs阻害剤であるDNase Iの投与により肝転移形成およびCAFの誘導が抑制され,NETsが肝星細胞の遊走能を亢進させたことからNETsがCAFの誘導を促進することで肝転移形成を促進している可能性が示唆された..
83. 武居晋, 大内田研宙, 相良亜希子, 米永晃子, 関維雨, 馮海旻, 安藤陽平, 岐部晋, 木庭遼, 中山宏道, 肥川和寛, 厳子龍, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 宮坂義浩, 永井俊太郎, 膵癌肝転移における好中球細胞外トラップ(NETs)の役割, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
84. 中山宏道, 大内田研宙, 相良亜希子, 米永晃子, 安藤陽平, 岐部晋, 武居晋, 肥川和寛, 厳子龍, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 宮坂義浩, 藤田逸人, 永井俊太郎, 岡部安博, 大塚隆生, 膵癌リンパ節転移におけるリンパ管内皮細胞の役割についての検討, 第49回日本膵臓学会大会, 2018.06, 【背景】膵癌においてリンパ節転移は高頻度に認められ、予後因子であることが知られている。これまでリンパ管は癌細胞が転移するための経路としての受動的な役割しか認識されていなかったが、近年リンパ節辺縁洞のリンパ管内皮細胞(LEC)からのケモカインによりリンパ節へ癌細胞の侵入が調整されることが報告されるなど、LECの能動的役割について注目されている。【目的】膵癌細胞とLECの相互作用を検討し、新たな転移機序を明らかにするとともにその機序に関わる因子を検討する。【方法】LECと膵癌細胞株の相互作用(遊走能、浸潤能)についての評価を行った。通常培養したLECに癌培養上清とコントロールを添加した後48時間培養して、RNAを抽出した後マイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイ解析結果をTCGA(The Cancer Genome Atlas)のデータと比較検討した。【結果】間接・直接共培養下において、LECとの相互作用により、膵癌細胞の遊走能・浸潤能は増強され(P<0.01)、さらに膵癌細胞との相互作用によりLECの遊走能・浸潤能も増強された� (P<0.01)。マイクロアレイ解析において、3種類の癌培養上清で共通して変化を示した133個の遺伝子を見出した。その中で、機能的にリンパ行性転移に関わる可能性がありTCGAで予後に有意差を認める分子を同定した。【結語】膵癌細胞とLECの相互作用が膵癌のリンパ行性転移に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。in vitroにおいて癌培養上清添加で変化したLECの遺伝子変化を見出した。今後更なる解析をすすめれば、微小リンパ節転移制御に寄与するものと考えられる。.
85. 中山宏道, 大内田研宙, 安藤陽平, 岐部晋, 武居晋, 肥川和寛, 厳子龍, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 宮坂義浩, 藤田逸人, 永井俊太郎, 岡部安博, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, 腫瘍由来VEGFCはリンパ管内皮のクリアランスを促進しリンパ節転移に関わる, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
86. 中山宏道, 大内田研宙, 安藤陽平, 岐部晋, 武居晋, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大塚隆生, 中村雅史, 膵癌転移の新知見:癌細胞塊のリンパ管内皮透過性亢進による転移形成促進機構の発見, 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07, 【背景】膵癌においてリンパ節転移は高頻度に認められ、予後因子であることが知られている。近年他癌腫で新たなリンパ節転移の機序としてSpheroidを形成した癌細胞集団がリンパ管内皮細胞を押しのけるように浸潤していく形態が報告されているが、膵癌においては同様の転移機序に関して明らかになっていない。【目的】膵癌細胞とリンパ管内皮細胞の相互作用を検討し、新たな転移機序を明らかにするとともにその機序に関わる因子を検討する。【方法】ヒト膵癌細胞株・膵癌自然発生マウス由来癌細胞株を用いて作成したSpheroidのリンパ管内皮細胞によるmonolayerへの浸潤形態を観察し、各細胞株を比較検討した。この浸潤形態に関わるSpheroid凝集能、リンパ管内皮への接着能を細胞株毎に検討した。さらに、癌培養上清とVEGFC添加や、VEGFCをノックダウンした細胞株を用いて、浸潤形態の変化を検討した。癌培養上清でのVEGFC蛋白をELISAで、細胞株におけるVEGFCのmRNAをRT-PCRで解析した。ヒト切除標本でのHE染色、VEGFC・D2-40などの免疫染色を� 9T$C$?!#!Z7k2L![g94b:YK&3t$dg94b
87. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 江藤正俊, 橋爪誠, 中村雅史, 超音波凝固切開装置を用いたロボット手術による膵上縁郭清の導入とその定型化, 第80回日本臨床外科学会総会, 2018.11, 我々は2013年にロボットを導入したが、その後定着しなかった。この1因は鏡視下で親しんだ超音波凝固切開装置を用いない手技の導入であった。現在も、超音波凝固切開装置はロボットの利点である関節機能がないため膵上縁郭清ではその使用は限定されている。国外では患者右側に2本のアームをセットし、超音波凝固切開装置による膵上縁郭清が行われているが、国内のポートセッティングの多くは患者左側に2本のアームがあり、通常、超音波凝固切開装置での膵上縁郭清が困難である。これまで鏡視下手術において我々は3Dシミュレーションから主要血管や膵臓の相対的な位置関係を把握し、ポート位置や膵上縁郭清のアプローチを適切に決定し、安全な郭清が行えることを報告してきた。また、この手法は膵の変形や回転を伴うものの3D導入以前300症例に比較して、導入後150症例での術後膵液瘻が有意に減少していた。再度ロボットを導入するにあたって、国内で多い患者左側に2本のアームを挿入するセッティングと慣れたデバイスである超音波凝固切開装置の使用を優先し、術前3D$
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88. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 江藤正俊, 橋爪誠, 中村雅史, 胃癌手術における術前個別立体解剖の理解とその術後合併症に与える影響, 第56回日本癌治療学会学術集会, 2018.10.
89. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 3D画像に基づく新たな個別立体解剖に応じた胃癌膵上縁郭清アプローチ法の選択, 第90回日本胃癌学会総会, 2018.03.
90. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 内視鏡外科手術を施行したバレット食道腺癌7症例の検討, 第72回日本食道学会学術集会, 2018.06.
91. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 江藤正俊, 橋爪誠, 中村雅史, 食道癌・胃癌手術の難易度を術前3Dシミュレーションで予測する, 第31回日本内視鏡外科学会総会, 2018.12.
92. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 内視鏡外科手術のための新たな個別立体解剖の構築, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
93. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 鏡視下手術のための3Dシミュレーション画像が生み出す新たな個別立体外科解剖学, 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07.
94. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大塚隆生, 清水周次, 橋爪誠, 中村雅史, 胃癌に対するロボット支援下手術における術前3Dシミュレーションの役割, 第16回日本消化器外科学会大会, 2018.11.
95. 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 胃切除後に内ヘルニアを発症した8例の検討, 第54回日本腹部救急医学会総会, 2018.03.
96. 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除術後のドレーンアミラーゼ値測定の臨床的意義, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
97. 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大内田研宙, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除後の膵液瘻予測因子の検討, 第55回九州外科学会・第55回九州小児科学会・第54回九州内分泌外科学会, 2018.05.
98. 相良亜希子, 仲田興平, 遠藤翔, 米永晃子, 安藤陽平, 岐部晋, 中山宏道, 武居晋, 進藤幸治, 森山大樹, 宮坂義浩, 大内田研宙, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, オートファジー抑制は、サリノマイシンによる膵癌細胞増殖抑制効果を増強する, 第49回日本膵臓学会大会, 2018.06, 【背景と目的】サリノマイシンは、膵癌を含む様々な癌種において細胞増殖抑制効果を示すが、このとき、細胞内ではオートファジーが誘導されていることが知られている。オートファジーには細胞傷害作用、細胞保護作用の相反する作用が報告されているが、癌種により報告が異なり、サリノマイシンによる膵癌細胞内のオートファジーがいずれの作用と関連しているかについては明らかでない。今回、膵癌細胞にサリノマイシンを投与した際に誘導されるオートファジー誘導の意義を検討した。【方法】膵癌細胞株のSUIT-2及びPanc1細胞を用いて、サリノマイシン投与による膵癌細胞株の増殖能の変化を検討した。次に、サリノマイシン投与時の膵癌細胞株のオートファジーの変化を検討した。さらに、siRNAを用いたATG5及びATG7遺伝子ノックダウンによるオートファジー抑制が膵癌細胞のサリノマイシン感受性に与える影響について検討した。【結果】膵癌細胞の増殖は、サリノマイシン投与によって濃度依存的に抑制された。また、このとき膵癌細胞株のLC3-IIタンパク上昇、細胞質中LC3の増加、cyto-
IDの蛍光強度の上昇を認め、サリノマイシンによって膵癌細胞株のオートファジーが亢進することが示唆された。さらにオートファジー抑制後は、サリノマイシン投与による膵癌細胞の増殖抑制効果は増強され膵癌細胞株のサリノマイシン感受性が亢進していることも同定した。【結論】本研究ではオートファジーがサリノマイシンに対して細胞保護的に作用していることを示したこれらの結果はサリノマイシンとオートファジー抑制剤、さらには抗がん剤を組み合わせた治療法が新しい膵癌治療法となり得ることを示唆している。.
99. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 食道扁平上皮癌手術患者の術後異時性頭頸部癌、遺残食道癌発生, 第72回日本食道学会学術集会, 2018.06, 食道癌はその90%以上が扁平上皮癌であり、喫煙や飲酒が確立したリスク要因とされ、その相乗効果は他臓器を含めた重複癌発生のリスク因子とされる。日本頭頸部癌学会の調査でも、喫煙と過度の飲酒が発生の強い誘因として、頭頸部癌と口腔・咽喉頭領域癌や食道癌は重複多発する傾向があることが知られている。このように、共通の癌誘発因子の長期的暴露により、いくつかの領域にまたがって広く発癌する現象は広域発癌(field cancerization)といわれ、癌治療の予後悪化因子として注目されている。頭頸部癌治療前には頭頸部領域のみならず、食道を中心とした上部消化管内視鏡検査による重複癌検索が強く推奨されている。頭頸部癌と、癌発生基盤となる細胞やリスク因子を同じくする食道癌でも同様に、同時性多発癌や異時性頭頸部癌の発生が危惧される。そこで、2000年から2016年までに当科で施行した食道扁平上皮癌に対する食道切除術256例において多発率および異時性頭頸部癌(遺残食道癌を含む)発生率を検討した。男性:女性224:32、平均年齢64歳(34-83歳)で、61$
BNc�(23.8%)が病理学的に多発食道癌であった。一方、同患者における術前を含めた異時性頭頸部領域癌および遺残食道癌の発生については、256例中21例(8.2%)に認め、食道癌術前に治療されていたものは6例のみで、17/21例(術前後に発症した2例を含む)では食道癌術後に発症していた。食道癌術後の発生に注目すると、遺残食道癌5例、中下咽頭癌7例、舌癌2例、喉頭癌1例、頸部癌1例で、1例は中咽頭癌と喉頭癌を同時発症していた。切除食道内の病理学的多発症例と単発症例における異時性発生率はそれぞれ8/61(13.1%)、13/195(6.7%)であり、多発症例と単発症例を比較して今回の検討では統計学的に有意な差(P=0.11)は認めなかったものの多発症例で高い傾向であった。また、新病変発生までの期間は、食道癌術後1年から17年と非常に幅が広いことが判明した。異時性頭頸部癌発生リスクは、多発症例でやや高い印象であるが、単発食道癌であっても高く、食道癌患者においては、耳鼻咽喉科と深く連携をとりつつ注意深い経過観察が長期に必要で� $"$k$H$$$($k!#?)F;4b$HF,ptIt4bB?H/$K$D$$$F!"J88%E*9M;!$r4^$a$FH/I=$9$k!#.
100. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除術における個別解剖に基づいたポート位置の検討, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04, 胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は、開腹手術と比較した非劣性の報告の増加を背景に、その普及と手技の定型化が進んでいる。当科では、同手術を開始当初より、術者がすべての手技を患者右側より行う方法で技術を確立しており、500例を超える症例の蓄積がある。さらに近年、3DCTによるシミュレーションが発達しており、郭清時に切離する動静脈の分岐やその位置、郭清すべき膵上縁の解剖学的位置関係などの腹腔内状況が、術前より想定し得るようになった。しかし、腹腔内における膵臓の位置には個人差があり、通常行うように臍部にカメラポートを挿入し、そこを中心として他ポートを挿入していく手順では、術者右手ポートが目標とする右胃大網動脈根部/静脈合流部や膵上縁へのアクセスルートから外れる場合がある。今回我々は、上部消化管手術症例41例について、腹腔内の解剖学的位置関係の差異を、3Dシミュレーションを用いて詳細に検討した。男性30:女性11、年齢中央値68歳(50-85)、BMI中央値22(16.9-34.8)で、原疾患は胃癌29例、食道癌6例、胃粘��l2
101. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 当科において定型化された完全右側からの腹腔鏡下胃切除術と3DCTを用いた最適なポート位置の検討, 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07.
102. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 6番郭清を患者右側から行う腹腔鏡下胃切除術の1085例の経験と工夫, 第90回日本胃癌学会総会, 2018.03.
103. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, , 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 先行する内視鏡的治療が腹腔鏡下幽門側胃切除術の治療成績に与える影響, 第31回日本内視鏡外科学会総会, 2018.12.
104. 進藤幸治, Castillo Jaymel, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 傾向スコアマッチングを用いた, 早期胃癌に対する内視鏡的治療がその後の腹腔鏡下胃切除術に与える影響の検討, 第16回日本消化器外科学会大会, 2018.11.
105. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 大坪慶志輝, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 進行胃癌に対する術式が術前・術後化学療法の導入・完遂に与える影響についての検討, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
106. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 食道癌の術後診断と再発形式との関連についての検討, 第72回日本食道学会学術集会, 2018.06, 食道癌手術後の5年全生存率は55.9%、根治手術後の再発は28-47%に認められ、根治切除を行ってもその再発率の高さが問題となっている。再発形式としてはリンパ節、局所再発、遠隔臓器への転移(肺、肝、骨、脳など)があり、それぞれの病態に応じた治療が求められる。そこで、当科で1987年1月から2016年12月の間に当科で食道癌根治手術(食道切除術)を行った335例を対象として、手術時点での臨床病理学的所見と術後再発形式(術後再発が判明した時点での再発部位)との関係を後ろ向きに検討した。術後再発は92例(27.5%)に認められ、手術から再発までの期間は10.8か月(中央値)であった。判明時点での再発形式は、局所再発または縦隔リンパ節再発41例(全手術例の12.2%)、頚部リンパ節再発23例(6.9%)、腹腔内リンパ節再発13例(3.9%)、肺転移23例(6.9%)、肝転移15例(4.5%)、骨転移8例(2.4%)、その他19例(5.7%)であった(重複あり)。病変の位置��K$h$k8!F$$G$O!"6;It?)F;4b286例中86例(30.1%)、腹部食道癌24例中6例(25.0%)に術後再発を認め、肺転移は胸部中部食道癌(Mt)における割合が最も高く(再発48例中14例; 29.2%)、肝転移は腹部食道(Ae)における割合が最も高い(再発6例中4例; 66.7%)などの結果が得られた。また、再発形式別の検討や手術時のリンパ節転移部位との関連なども検討を行った。これらの結果を踏まえて、術後の再発予防をいかに行うかが今後の検討課題であると考えられる。.
107. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 高齢者に対する進行胃癌手術における胃切除と胃全摘の比較検討, 第90回日本胃癌学会総会, 2018.03.
108. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 当科における高齢者胃癌患者の術後合併症の発生に関する検討, 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07, 高齢化に伴い、80歳以上の高齢患者にも胃癌手術を行う機会が増えている。しかし、高齢者は身体機能の衰えや併存疾患のため、術後合併症の発生には若年者以上に注意を払う必要がある。そこで、今回当科で手術を行った80歳以上の胃癌患者における術後合併症について検討を行った。 2008年1月から2014年12月の間に当科で胃癌手術(バイパス、部分切除を除く)を施行した574例のうち、80歳以上の高齢患者67例(80-90歳)について後ろ向きに検討した。観察期間中央値は47か月(5-60か月)、施行術式は胃全摘11例、噴門側胃切除13例、幽門側胃切除43例であり、そのうち66例(98.5%)に腹腔鏡手術を施行した。  80歳以上の高齢患者67例のうちClavien-Dindo分類Grade 2以上の術後合併症は15例(22.3%)にみられた。内訳は、縫合不全が1例、イレウス1例、肺炎・無気肺7例、尿路感染症1例、心不全1例などで、在院死は1例もなかった。術後合併症の有無と、術式・手術時間・出血量との間��K$OM-0U$JAj4X$rG'$a$J$+$C$?$,!"=Q8e9gJ;>I$rG'$a$?72(n=15)は、合併症を認めなかった群(n=52)に比べて有意に術後在院日数が長く(中央値13日、9日、p<0.001)、予後不良であった(5年生存率36%、72%、p=0.048)。 また、術前栄養状態についても検討を行い、小野寺らが報告した予後栄養指数PNI(血清アルブミン値x10+血中リンパ球数x0.005)およびBMIを用いて評価を行った。PNI中央値は45.9 (36.1-63.1)、BMI中央値は22.3(17.4-32.4)であり、術後合併症の有無と術前PNIあるいはBMIとの間にも有意差はみられなかった。 以上より、高齢者における胃癌術後合併症の有無は予後に影響を及ぼすため、安全な手術を遂行するための十分な評価が必要と考えられた。.
109. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 術前栄養状態からみた高齢者に対する胃癌手術の安全性についての検討, 第16回日本消化器外科学会大会, 2018.11.
110. 坂梨渓太, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 早期胃癌治癒切除後、長期経過後に再発を来した2例, 第112回日本消化器病学会九州支部例会, 2018.11,  早期胃癌の予後は進行胃癌に比較し良好で、早期胃癌の5年相対生存率は約98%と非常に高い。ただし、早期胃癌の場合5年以降の再発死亡が全再発死亡中の30%に達し、5年以上のフォローアップが大切であるという報告がある。今回我々は、早期胃癌根治術後5年以上経過した後に転移再発を来した症例を経験した。症例1:70歳代男性。胃体中部小弯の0-IIc病変に対し、腹腔鏡下幽門側胃切除、D1+リンパ節郭清、Roux-en Y再建を施行した。術後病理組織診断の結果、Gastric cancer, M, Less, pT1b(SM2)N0M0 pStage IAと診断した。6年後に腎機能悪化、その後水腎症を来たし、CTを施行したところ、傍大動脈のリンパ節転移および後腹膜再発を疑う病変を認めた。PET-CTで大動脈周囲リンパ節、肝転移と診断した。術後6年での胃癌転移再発と診断した。 症例2:60歳代女性。胃体上部大弯の0-IIc病変に対し、腹腔鏡下胃全摘術、D1+リンパ節郭清、Roux-enY再建を施行した。術後病理組織診断の結果、Gastric carcinoma, U
, Gre, pT1b(SM2)N0M0 pStageIAであった。5年半後にCTを施行したところ、肝、肺に複数の結節を認め、PET-CTで異常集積を伴い、胃癌転移と診断した。 以上の2症例に関し、若干の文献的考察を加え報告する。.
111. 岐部晋, 大内田研宙, 相良亜希子, 米永晃子, 馮海旻, 関維雨, 安藤陽平, 武居晋, 中山宏道, 厳子龍, 肥川和寛, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大塚隆生, 膵癌周囲微小環境における膵腺房細胞の可塑性が膵癌局所浸潤を誘導する, 第39回癌免疫外科研究会, 2018.05.
112. 岐部晋, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, 膵腺房細胞の可塑性が膵癌局所浸潤を誘導する, 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07, 【背景】膵癌自然発生マウスモデルであるKPC (KrasLSL-G12D/+;Trp53LSL-R172H/+;Cre)マウスは、腫瘍の病理組織学的特徴がヒト膵癌と類似しているため、その解析はヒト膵癌の病態理解を進める上で非常に有用である。KPCマウスでは、腫瘍が一旦形成されると膵実質への拡がりが急速に進み、膵実質全体が腫瘍に置換される組織像をしばしば認める。このことは、全膵臓上皮細胞での遺伝子改変によるものと考えられるが、同時に膵腺房細胞の可塑性が膵癌浸潤に与える影響も示唆される。【目的】膵腺房細胞の可塑性が膵癌局所浸潤に与える影響を検討する。【方法】ヒトおよびKPCマウスにおける膵癌膵実質浸潤部を病理組織学的に検討した。また、KPC由来膵癌細胞を用いてKC (KrasLSL-G12D/+;Cre)マウスに同所移植を行い、膵腺房細胞の可塑性と膵癌局所浸潤との関連を検討した。【結果】ヒトおよびKPCマウスの病理組織学的解析では、膵癌局所浸潤部においてAcinar-to-ductal metaplasia (ADM)-like lesionの形成を認めた(P<0.01)。また、KCマウス同所移植モデルではKras変異� $rM-$9$kg9
113. 岐部晋, 大内田研宙, 安藤陽平, 武居晋, 中山宏道, 阿部俊也, 遠藤翔, 肥川和寛, 奥村隆志, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 宮坂義浩, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, 膵癌周囲微小環境におけるADM-like lesionの局所浸潤に果たす役割, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
114. 永井英司, 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 山元啓文, 大塚隆生, 本山健太郎, 中房祐司, 寺坂禮治, 中村雅史, 高度進行がんに対する集学的治療における腹腔鏡下胃切除術の位置づけ~短期、長期成績を含めて~, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
115. 永井英司, 山元啓文, 大内田研宙, 井上重隆, 小島雅之, 本山健太郎, 中房祐司, 進藤幸治, 森山大樹, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除術におけるリンパ節郭清手技と再建時のピットフォール, 第73回日本消化器外科学会総会, 2018.07.
116. Zilong Yan, 大内田研宙, 関維雨, 馮海旻, 肥川和寛, 中山宏道, 武居晋, 安藤陽平, 岐部晋, 米永晃子, 相良亜希子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 宮坂義浩, 永井俊太郎, 大塚隆生, 膵癌におけるERK1/2阻害は癌間質相互作用を抑制する, 第118回日本外科学会定期学術集会, 2018.04.
117. Takesue S, Ohuchida K, Nakayama H, Koikawa K, Shindo K, Nakata K, Moriyama T, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Nakamura M, Role of neutrophil extracellular traps(NETs) in pancreatic cancer liver metastasis, Pancreas 2018, 2018.04.
118. Shindo K, Ohuchida K, Holger R. Roth, Oda H, Iwamoto C, Oda M, Nakamura M, Morib K, Hashizume M, Feasibility and efficacy of an analysis using FFPE blocks of resected pancreas with Micro CT, Pancreas 2018, 2018.04, Recently, the importance of 3D imaging constructed by Computed Tomography (CT) data is increasing in clinical practice especially for preoperative usage. On the other hand, Micro-CT (inspeXio SMX-90CT, Kyoto, Shimadzu Corporation) can provide exceptionally high-resolution imaging with pixels in the dozens of micrometers range. When we use micro-CT for imaging of formalin fixed paraffin embedded pancreatic specimens, it gives us a chance to resolve clinical questions and discrepancy which may emerge perioperatively, particularly between preoperative diagnosis and pathological results. Pancreatic ductal adenocarcinoma is one of the lethal diseases, so it is important to detect and resect in the earlier stage. Intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN) is known as one of the precursor lesions of the pancreas, developing from low grade to high grade dysplasia that may further progress to invasive cancer. International Consensus Guideline for manag
ement of IPMN has been published in 2012. According to this guideline, indications of pancreatectomy is the presence of main and mixed duct IPMN, or branch duct IPMN with “high-risk stigmata of malignancy present”. On the other hand, branch duct IPMN with “worrisome features” requires more thorough examination before deciding to do a surgical resection. Sometimes, it is not easy to identify such small features like mural nodules, or critical site of caliber change of pancreatic duct in resected specimen pathologically. Herein, we show the feasibility and efficacy of the usage of micro-CT in evaluating IPMN lesions to reveal the answer for these uncertainties..
119. Ohuchida K, Kibe S, Okumura T, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Nakamura M, Fat tissue and pancreatic parenchyma play different roles in pancreatic cancer invasion, Pancreas 2018 , 2018.04.
120. Koikawa K, Ohuchida K, Yonenaga A, Sagara A, Ando Y, Kibe S, Takesue S, Nakayama H, Iwamoto C, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Mizumoto K, Nakamura M, , Endo180 Expression and Histologic Categorization in Cancer Stroma is an Independent Prognostic Index in Pancreatic Cancer., The 49th Annual Meeting of the American Pancreatic Association, 2018.10.
121. Koikawa K, Ohuchida K, Ando Y, Kibe S, Nakayama H, Takesue S, Endo S, Abe T, Okumura T, Iwamoto C, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Nagai E, Mizumoto K, Basement membrane destruction by pancreatic stellate cells leads to local invasion in pancreatic ductal adenocarcinoma, Pancreas 2018, 2018.04.
122. Kibe S, Ohuchida K, Ando Y, Takesue S, Nakayama M, Abe, T, Endo S, Koikawa K, Okumura T, Iwamoto C, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Nagai S, Miyasaka Y, Shimamoto M, ADM are Classified Three Distinct Phenotypical Profiles Depending on its Different Microenvironment, The 49th Annual Meeting of the American Pancreatic Association, 2018.10, Background and Aim: The pancreas is a specific organ easily to induce inflammation, fibrosis and atrophy because most of the pancreatic parenchyma composed of acini that produce digestive enzymes. However, the role of acini in tumor-surrounding microenvironment affect to the development and progression of pancreatic cancer is not understood. We focused on the pancreatic acinar cell plasticity which we reported as acinar-to-ductal metaplasia (ADM) in the invasive front of pancreatic cancer. We investigated the relation between cancer-associated ADM and local invasion of pancreatic cancer and clarified the distinct phenotype of cancer-associated ADM in the comparison with the pancreatitis-associated ADM or sporadic ADM, which is not associated with cancer or pancreatitis.Methods: We analyzed pancreatic tissues from patients and KPC (KrasLSL-G12D/+;Trp53LSL-R172H/+;Cre) mice with pancreatic cancer. In vitro, we isolated pancreatic acinar cells from K
PC mice and performed ADM assay in three-dimensional culture model. In vivo, we analyzed the correlation between pancreatic tumor progression and acinar cell plasticity around tumor in orthotopic transplantation model. Furthermore, we performed gene expression analysis to clarify the feature of each type of microenvironment-dependent ADM.Results: Based on immunohistochemical analyses, ADM was significantly observed in the invasive front of pancreatic cancer (P < 0.01). In vitro, when pancreatic acinar cells expressed KrasG12D or stimulated with transforming growth factor-α (TGFα), the cells formed ADM-like structures (P < 0.01). In vivo, orthotopic KC(KrasLSL-G12D/+;Cre) mouse models represented cancer-associated ADM around tumor, induced desmoplasia in the invasive front and the accelerated tumor progression compared with the control mouse models (P < 0.01). Gene expression analysis revealed that cancer-associated ADM, chronic pancreatitis-associated
ADM, and sporadic ADM show distinct phenotypical gene expression profiles.Conclusions: The present data suggest the possibility that mechanisms of induction of ADM are different depending on its microenvironment, and acinar cell plasticity via cancer-associated ADM contributes to local invasion to pancreatic parenchyma of cancer cells..
123. Kibe S, Ohuchida K, Ando Y, Takesue S, Nakayama M, Abe T, Endo S, Koikawa K, Okumura T, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Nagai S, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Mizumoto T, Nakamura M, The role of cancer-associated acinar atrophy via ADM-like lesion in the invasive front of pancreatic cancer, Digestive Disease Week 2018, 2018.06, Background and Aim: Pancreatic cancer is characterized by desmoplasia and infiltration of inflammatory cells, and cancer-associated acinar atrophy (CAA) was observed in its invasive front. CAA area seems to consist of many small ducts like acinar-to-ductal metaplasia (ADM). These findings suggest the possibility that acinar cell plasticity contribute cancer cell invasion. Pancreatic acinar cells have a function as exocrine cells and form most of the pancreatic parenchyma. However, the underlying role of the acinar cell as components of pancreatic cancer microenvironment in the invasive front, have remained unclear. We investigated the phenomenon how CAA is induced in the invasive front of pancreatic cancer and promote its invasion. Methods: We analyzed pancreatic tissues from patients and KPC (KrasLSL-G12D/+;Trp53LSL-R172H/+;Cre) mice with pancreatic cancer. In vitro, we isolated pancreatic acinar cells from KPC mice and performed ADM assay in thr
ee-dimensional culture model. In vivo, we analyzed the correlation between pancreatic tumor progression and acinar cell plasticity around tumor in orthotopic transplantation model.Results: Based on Immunohistochemical analyses, CAA area was significantly associated with ADM-like lesion (P<0.01). In vitro, KrasG12D-expressing or administration of transforming growth factor-α (TGFα) pancreatic acinar cells formed duct-like structures (P<0.01). In vivo, orthotopic KC(KrasLSL-G12D/+;Cre) mouse models formed ADM-like lesion around tumor and induced desmoplasia in the invasive front and the progression of the tumor was accelerated (P<0.01). Conclusions: We identified a phenomenon inter and intra-lobular desmoplasia and acinar atrophy were formed in invasive front. ADM-like lesions were formed by pancreatic acinar cell plasticity in CAA area. Hence, our data provide insight into relation between pancreatic acinar cell plasticity and cancer invasion..
124. Iwamoto C, Ohuchida K, Okumura T, Koikawa K, Takesue S, Nakayama H, Endo S, Kibe S, Ando Y, Shindo K, Nakata K, Miyawaki K, Murata M, Akashi K, Nakamura M, Hashizume M, , BM-derived cells differentiated into multilineage hematopoietic cells regulate invasion and proliferation of pancreatic cancer, Pancreas 2018, 2018.04.
125. Ando Y, Ohuchida K, Yonenaga A, Sagara A, Kibe S, Takesue S, Nakayama M, Koikawa K, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohtsuka T, Mizumoto K, Nakamura M, NECROPTOSIS PROMOTES CANCER CELL MIGRATION AND INVASION IN PANCREATIC CANCER, Digestive Disease Week 2018, 2018.06, Background and aim: Necroptosis is one of the programed cell death, which depends on the formation of the necrosome, consisting of receptor-interacting serine/threonine protein kinase-1/3(RIPK1/3), and mixed lineage kinase domain-like(MLKL). RIPK3 activates MLKL by phosphorylation, and pMLKL translocate to the plasma membrane, where it causes plasma membrane permeabilization and cellular collapse with releasing the cellular contents. Recent studies suggested both defensive and aggressive role of necroptosis in cancer, but its role in pancreatic cancer is unclear. Here we aimed to elucidate the siginificance of necroptosis in pancreatic cancer.Materials and Methods: We performed immunohistochemical analysis and evalueted the expression of RIPK3 and MLKL in human pancreatic cancer. In the in vitro experiment, we induced necroptosis in pancreatic cancer cells, then investigated the changes in the ability of migration and invasion of cancer.Results: R
IPK3 and MLKL are highly expressed in human pancreatic cancer than in the surrounding normal tissue. We found that necroptosis was induced in pancreatic cancer cells (BxPC3 and ASPC1 cells) after TNF-α and SMAC (Second Mitochondrial-Derived Activator of Caspases) mimetic BV6, pan-caspase inhibitor zVAD-fmk treatment. In migration and invasion assay, we observed the conditioned medium of BxPC3 and AsPC1 which was induced necroptosis promoted migratory and invasive behavior in cancer cells compared with the control. However, it did not affect cell proliferation of BxPC3 and AsPC1.Conclusions: The principal components of necrosome, RIPK3 and MLKL, are highly expressed in human pancreatic cancer and the present findings suggest that necroptosis in pancreatic cancer promotes cancer cell migration and invasion..
126. 馮海旻, 森山大樹, 大内田研宙, 厳子龍, 武居晋, 岐部晋, 永井俊太郎, 進藤幸治, 仲田興平, 大塚隆生, 中村雅史, N-Acetyl-Cysteineによる活性化膵星細胞の不活化の検討, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04.
127. 武居晋, 大内田研宙, 中山宏道, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 宮坂義浩, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 好中球細胞外トラップ(NETs)が導く膵癌肝転移促進的微小環境に関する検討, 第74回日本消化器外科学会総会, 2019.07.
128. 武居晋, 大内田研宙, 松本奏吉, 新川智彦, 大坪慶輝, 相良亜希子, 米永晃子, 関維雨, 馮海旻, 安藤陽平, 岐部晋, 木庭遼, 中山宏道, 厳子龍, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 好中球細胞外トラップ(NET)が膵癌肝転移巣おける癌関連線維芽細胞の誘導に与える影響の検討, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, 【背景】好中球細胞外トラップ(NET)は好中球が微生物を傷害する際に放出するDNAやタンパク分解酵素、ヒストン等からなる網状の構造であり、癌の進展を促進することが報告されているが、その機序には不明な点が多い。一方、癌関連線維芽細胞(CAF)は膵癌の進展を促進することが知られている。今回我々は膵癌肝転移形成においてNETがCAFに与える影響を検討した。【目的】膵癌肝転移巣のCAFの誘導におけるNETの役割を明らかにする。【方法】膵癌自然発生KPCL(LSL-Kras G12D/+ ;LSL-Trp53 R172H/+;LSL-Luciferase; Pdx-1-Cre)マウス肝転移巣のNETをNETに伴って生じるシトルリン化ヒストン(Cit-H3)の免疫染色で評価した。KPCLマウスおよびGFPを導入した癌細胞を脾注する肝転移モデルマウスにNET阻害剤(DNase I)を投与し、その影響を検討した。また、肝転移巣のCAFの由来とされる肝星細胞を好中球、膵癌細胞と共培養し、その変化を観察した。【結果】Cit-H3の免疫染色でマウス肝転移巣内のNETを確認した。肝転移モデルでは�� E>0\Ac$KCAFより先に好中球が集簇し、4日目では癌細胞はCAFの存在領域にのみみられた。両マウスモデルでDNase Iは肝転移形成を抑制し、肝転移モデルの微小肝転移巣の免疫染色ではDNase I投与群でα-SMA/GFPの面積比が低かった。In vitroで癌細胞はNET形成を促進し、NETを誘導した好中球と肝星細胞との共培養では肝星細胞の遊走能が亢進しNET阻害剤投与でその効果は減弱した。【結論】NET阻害剤の投与により肝転移形成およびCAFの誘導が抑制され、NETが肝星細胞の遊走能を促進したことからNETがCAFの誘導を促進して肝転移形成を促進している可能性が示唆された。.
129. 藤田逸人, 永吉絹子, 進藤幸治, 貞苅良彦, 森山大樹, 永井俊太郎, 大内田研宙, 大塚隆生, 中村雅史, 悪性リンパ腫の消化器病変に対する外科治療を含めた治療戦略, 第113回日本消化器病学会九州支部例会・第107回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2019.05, 【はじめに】悪性リンパ腫は化学療法に対する感受性が高く、内科的治療が主体となる。しかし、消化管原発あるいは消化器病変を伴う悪性リンパ腫については、合併する種々の病態やその高い化学療法感受性故に緊急で外科的治療の介入を要することがある。化学療法の開始前に消化器病変の切除を行うことが望ましいが、時には切除困難な症例や消化器病変が判明しないままに化学療法が導入される例があるため、外科治療介入のタイミングについて個々の症例により熟慮を要する。今回我々は、消化器病変を伴う悪性リンパ腫に対して腸管切除術を施行した症例において、そのタイミングやアプローチによる予後への影響を検討した。【症例】2009年9月より2017年12月までに当院において悪性リンパ腫の消化器病変に対して手術を施行した24例を対象として臨床病理学的検討を行った。年齢の中央値は64.5歳(32-86歳)、男女比は3:1であった。開腹手術例は9例で、腹腔鏡補助下手術例は15例であった。【結果】13例がdiffuse large B-cell lymphoma (DLBCL)�� G!"_IK&@-%j%s%Q
130. 藤元静太郎, 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 土橋賢司, 大塚隆生, 馬場英司, 中村雅史, 胸部食道癌術後の治療抵抗性リンパ節再発に対して遺伝子パネル検査が有用であった一例, 第114回日本消化器病学会九州支部例会・第108回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2019.11.
131. 田村公二, 進藤幸治, Michael Goggins, 新規膵癌感受性遺伝子同定の試み:CPA1遺伝子変異は小胞体ストレスを介して膵発癌に関連する, 第74回日本消化器外科学会総会, 2019.07, 近年、家族性膵癌患者の網羅的ゲノム解析によりBRCA2, ATM, PALB2遺伝子などが膵癌感受性遺伝子として同定されてきたが、いまだ既知の遺伝子変異を認めない膵癌家系や特発性膵癌患者が多い。膵炎は膵発癌危険因子の1つで、これまでに慢性膵炎の疾患関連遺伝子もいくつか報告された。なかでもCPA1遺伝子変異が引き起こす膵炎に小胞体ストレス(ERS)の関与が示された(Nature Genetics 2013)。今回、膵炎関連遺伝子(PRSS1, CPA1, CTRC, SPINK1, CFTR)が膵発癌に寄与するかを検討するため、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を行った。1993年から2016年までにジョンズホプキンス大学病院(JHH)で診断された986人の膵癌患者およびコントロール群1045人(非膵癌患者、健常者)を対象とした。膵癌患者においていくつかの病原性CPA1, CTRCバリアントが同定されたため、validation setとして家族性膵腫瘍レジストリ(NFPTR)に登録された593人の家族性膵癌家系(FPC)およびコントロール群967人のCPA1, CTRC遺伝�� ;R2r@O$r9T$C$?!#$5$i$KIB86@-JQ0[8uJd$H$J$C$?JQ0[$N5!G=2r@O$N$?$a$K!"overlap extension PCR法を用いた遺伝子編集手法を用いHEK293T細胞株へ変異バリアントのトランスフェクションを行った。同細胞株を用いて蛋白分泌能、活性を解析し機能低下を認めたものを病原性変異の候補とし、さらにウエスタンブロット法によるERSマーカーの発現解析で変異バリアントがERSを誘導しうるかを検討した。JHH群の膵癌患者3/986人、FPC群4/593人にERSを誘導するCPA1変異を認めその頻度はコントロール群と比べて優位に高かった(7/1546 vs 1/2012, P=0.025, OR 9.36)。Exome Aggregation Consortium (ExAC)の大規模データベースをコントロール群として比較しても、その頻度は膵癌患者で有意に高かった(P<0.0001)。また膵癌患者においてERSを誘導しうる2つのCTRCバリアントを同定したが、統計学的有意差は認めなかった。他にもERSに関与しないが機能喪失タンパクを誘導するバリアントが同定され、これらの変異バリアントの解釈については更なる機能解析などが必要�� H;W$o$l$?!#CPA1遺伝子変異はERSを介して膵癌感受性に関与する可能性があり、膵癌ハイリスク群のスクリーニングのために有用な候補遺伝子となりうる。.
132. 田村公二, 進藤幸治, Michael G, 新規膵癌感受性遺伝子の同定:CPA1/CPB1遺伝子変異は膵発癌に関与する, 第50回日本膵臓学会大会, 2019.07, 家族性膵癌の網羅的ゲノム解析によりBRCA2, ATM, PALB2などが膵癌感受性遺伝子として同定されたが、未だ既知の遺伝子変異を認めない膵癌家系や特発性膵癌患者が多い。膵炎は膵発癌危険因子の1つで慢性膵炎の感受性遺伝子も複数同定されている。今回、膵炎感受性遺伝子(PRSS1, CPA1, SPINK1ほか)を含めた膵分泌酵素関連遺伝子(計24遺伝子)が膵発癌に寄与するか検討するため、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を行った。まず1993年から2016年までにジョンズホプキンス大学病院で診断された986人の膵癌患者およびコントロール群として1045人(非膵癌患者、健常者)を対象とした。さらにvalidation setとして家族性膵腫瘍レジストリ(NFPTR)に登録された593人の家族性膵癌家系および967人のコントロール群の遺伝子解析を行った。病原性変異の候補となったバリアントの機能解析のために、overlap extension PCR法を用いた遺伝子編集を行いHEK293T細胞株へトランスフェクションを行った。同細胞株の蛋白分泌能、活性を解析し機能低下�� rG'$a$?$b$N$rIB86@-JQ0[8uJd$H$7!"$5$i$K%&%(%9%?%s%V%m%C%HK!$K$h$k>.K&BN%9%H%l%9!JERS)マーカーの発現解析で変異バリアントがERSを誘導しうるかを検討した。全遺伝子のうちERSを誘導しうるCPB1遺伝子変異(9/1579 vs 0/2012, P<0.01, OR11.5)およびCPA1変異頻度(7/1546 vs 1/2012, P=0.025, OR 9.36)は膵癌患者で優位に高かった。約1%(16/1579, P<0.0001)にCPA1/CPB1変異を認め膵癌発症リスクに関与しており、膵癌ハイリスク群のスクリーニングのために有用な遺伝子である。ERSは膵炎のみならず膵発癌に関与する可能性がある.
133. 堤親範, 大内田研宙, 仲田興平, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, Needle鉗子を用いたD2リンパ節郭清幽門側胃切除, 第20回Needlescopic Surgery Meeting, 2019.02, <目的>当科ではこれまで進行胃癌を含めて1000例を超える腹腔鏡下胃切除術を施行している。郭清を伴う胃癌に対して、双孔式、単孔式胃切除術が報告されているが、その遂行には高度な技術が要求される。当科では従来の手術手順は踏襲しNeedle 鉗子を用いた腹腔鏡下胃切除術を行ってきた。今回、Needle鉗子に焦点をおいて行ったD2郭清を伴う胃切除術に関して報告する。<手技>細径鉗子は2.1mm BJ Needle鉗子もしくは3mm鉗子を使用し、組織の展開を行う際は組織損傷予防の為にガーゼを介して行っている。臍部に30mmの切開を置き、マルチチャンネルポートを挿入、同ポートに12mmトロッカーおよび5mmトロッカーを挿入する。D2郭清の場合、術者は左手用に右季肋部に5mmポートを、また、右手用に12mmポートを右側腹部に挿入する。助手は右手用に左季肋部に細径鉗子を挿入し、左手用にマルチチャンネルポートに挿入した5mmポートを利用する。上腹部正中に肝圧排鈎用に3mmの切開を置く。ガーゼを12㎜ポートからあらかじめ数枚挿入しておく。�� _@ZN%$N:]$K$O%^%k%A%A%c%s%M%k$N12㎜ポートからリニアーステープラーを挿入する。<結果>#11pリンパ節郭清の際には膵臓の十分な転がしおよび胃膵ヒダの腹側への牽引が重要となるが、症例を選択すれば、助手は上記ポート配置で充分に展開することが可能であり細径鉗子でも胃膵ヒダの把持に問題はなかった。また、通常のポート配置に比べて助手の左手が臍部から挿入されているため、カメラポートとの干渉で若干操作性が窮屈となったが、助手の両手の角度が大きくなり、膵上縁の視野展開にはより有効な側面もあった。<まとめ>これまでの手術手技を生かして、Needle鉗子を用いた腹腔鏡下胃切除術でも適切な郭清が可能であった。Needle鉗子は、内臓脂肪が多い症例では術野の展開に問題が生じる可能性もあるが、症例を選択すれば、適切に膜を把持することにより術野の展開が可能になると考える。.
134. 堤親範, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, , 食道癌再建臓器におけるICG蛍光法による血流評価に関する検討, 第113回日本消化器病学会九州支部例会・第107回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2019.05, 食道亜全摘後の再建胃管への血流不全は吻合部縫合不全の原因になりうる。その回避には胃管血流が重要であり、客観的な評価の一つとしてIndocyanine green(ICG)蛍光法が挙げられる。血流評価を目的としたICGの静脈内投与が2018年1月に保険適応となったが、ICG蛍光法による血流評価の有用性に関してはまだ一定の見解がない。2018年5月から2019年2月まで、我々は17症例において食道亜全摘後に作成した胃管の血流評価をICG蛍光法で行った。我々は径3.5cm弱の大彎側細径胃管を基本とし、彎曲がある自動縫合器を一発のみ用いて胃小弯側から直角に切り込み、可能な限り長い胃管を作成するようにしている。血流は右胃大網動脈と右胃動脈分枝3本程度を温存している。また、上縦隔の広さに応じて胸骨後経路あるいは後縦隔経路を選択している。従来、胃壁内の血流をより確実に確保するため亜全胃を用いることもあったが、最近ICG蛍光法を用いた血流の検討により、細径胃管でも十分な胃壁内血流が保たれていることが明らかになった。さらに、胃管先端周�� O$NBgLV$^$G7lN.$,0];}$G$-$F$$$?>INc$rB??tG'$a$?!#17例中3例において、胃管先端の明らかな血流低下を認め、その血流低下領域を指標に胃管先端の追加切除を行ったが、いずれの症例においても胃管吻合部の縫合不全を認めなかった。これまで後縦隔経路による再建を行った130例以上の症例で残食道胃管吻合部の縫合不全を経験していないが、今回、胸骨後経路で再建した13例中2例は挙上前のICG評価で胃管先端まで十分に血流があると判断していたにも関わらず、Grade 2の縫合不全を認めた。今回の検討から、一定の頻度で胃管先端の血流が低下している症例があり、胸骨後経路では挙上後に胃管の圧迫によって、胃管先端の血流が低下している可能性が示唆された。作成胃管のICG蛍光法による評価は適切な追加切除範囲の決定や血管吻合付加の判断に有用であり、食道亜全摘後のより安全な再建に寄与すると考えられた。.
135. 堤親範, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, , 胃神経内分泌細胞癌4例の集学的治療に関する検討, 第27回日本消化器関連学会週間(JDDW2019), 2019.11, 胃神経内分泌細胞癌は全胃悪性腫瘍の1%以下と稀な疾患で、早期よりリンパ節転移、肝転移を来すことが特徴である。その予後は極めて不良であり、1年未満の死亡率は約半数以上、平均生存期間は9.3~15ヶ月と報告されており、病態や治療法に関して十分に確立されていない。2015年5月から2019年2月まで、我々は胃神経内分泌細胞癌の4例を経験した。年齢は55歳から73歳であり、全て男性であった。3例で手術を施行し、1例は術前化学療法施行後にR0切除予定である。術前から肺転移が疑われ、結腸浸潤を伴った進行癌の1例は術前化学療法後(CDDP+CPT -11)に一旦R0切除が可能であった。その後、術後補助療法を施行したが、肝転移(S3、S4)が出現した。肝左葉切除後にさらに傍大動脈リンパ節再発を認め、その11ヶ月後に原病死となったが、生存期間は29ヶ月と平均より長期であった。手術を施行した2例目は進行癌であり、R0切除後(pT4aN3bM0 StageⅢC)に、術後補助療法(CDDP�� \CPT -11)を施行し、現在まで無再発で生存している(生存期間14ヶ月)。3例目は粘膜癌で、R0切除後の病理診断でリンパ節転移を認めず、現在慎重に経過観察中である。もう1例は現在術前化学療法施行中であり、高齢であるため、CBCDA+ETPを選択し、今後R0切除を予定している。膵・消化器神経内分泌腫瘍診療ガイドライン、NCCNガイドラインともに疾患概念から類似性のある肺小細胞癌のレジメンに準じた化学療法を行うことが推奨されているが、胃神経内分泌癌における有効な化学療法は確立しておらず、長期生存例の報告にも共通した治療法はない。神経内分泌細胞癌に対するKey drugであるCDDPを含むレジメンが望ましいが、進行度や年齢、全身状態、臓器障害を考慮した治療選択が重要である。今回の検討で外科的治療を含めた集学的治療が生存期間の延長に有用であると考えられたが、集学的治療として最適なプロトコールの確立のためには今後さらなる症例の集積が必要である。.
136. 堤親範, 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 藤原美奈子, 大塚隆生, 小田義直, 中村雅史, 26個の多発リンパ節転移を認めた未分化型粘膜内胃癌の1例, 第56回九州外科学会・第56回九州小児外科学会・第55回九州内分泌外科学会, 2019.05, 症例は63歳、女性。吐血を主訴に前医を受診し、ショックバイタルの状態で緊急上部消化管内視鏡検査を施行された。胃上部大弯に約35mm大の不整な陥凹性病変を認め、その中央部に露出血管を伴う潰瘍を指摘された。緊急止血術を施行され、潰瘍周囲の生検で印環細胞癌が混在する低分化型腺癌と診断された。粘膜内主体の病変と考えられたが、内視鏡的粘膜下層剥離法の非適応病変であり、外科紹介となった。腹部CT検査で遠隔転移、リンパ節転移を疑う所見を認めなかった。胃上部領域のcT1N0の腫瘍に対して、腹腔鏡下噴門側胃切除術を施行した。最終病理診断で深達度は粘膜内であったが、リンパ節転移が多発していた(26/58)。腫瘍径が大きく、潰瘍を伴う未分化粘膜内癌はリンパ節に転移する可能性があるが、このようにリンパ節転移が多発する症例は極めて少ない。今回、26個の多発リンパ節転移を認めた未分化型粘膜内胃癌の1例を経験したので報告する。.
137. 長尾晋次郎, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 幽門狭窄を認め術前診断に難渋した十二指腸球部癌の1例, 第113回日本消化器病学会九州支部例会・第107回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2019.05.
138. 中山宏道, 大内田研宙, 相良亜希子, 米永晃子, 安藤陽平, 岐部晋, 武居晋, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 宮坂義浩, 藤田逸人, 永井俊太郎, 岡部安博, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, S100Pが癌細胞塊のリンパ管内皮層へのクリアランスに関与しリンパ節転移に関わる, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, 【背景】膵癌においてリンパ節転移は高頻度に認められ予後因子と知られている。近年他癌腫で新たなリンパ節転移の機序としてSpheroidを形成した癌細胞集団がリンパ管内皮細胞を押しのけるように浸潤していく形態(CCID formation)が報告されたが、膵癌においては同様の転移機序に関して明らかになっていない。【目的】膵癌細胞とリンパ管内皮細胞(LEC)の相互作用を検討し、新たな転移機序を明らかにするとともにその機序に関わる因子を検討する。【方法】膵癌細胞株を用いて作成したSpheroidのCCID formationを観察し、各細胞株を比較検討した。通常培養したLECに癌培養上清を添加した後48時間培養して、RNAを抽出した後マイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイ解析結果で見出した因子のLECの遊走能やmonolayerへの浸潤能への影響を検討した。また、ヒト切除組織の免疫染色を行った。【結果】ヒト切除組織で癌細胞塊がリンパ管内皮層の内外に連続して存在し、リンパ行性転移経路に癌細胞塊が存在した。膵癌細胞株や膵癌自然発生マウス由来癌細胞株を使用して作成�� 7$?Spheroidは2D・3D両方において、CCID形成をすることが顕微鏡画像により明らかになった。また、癌培養上清添加でCCID形成能が上昇した。癌培養上清でのLECの変化をマイクロアレイで解析したところ、3種類の癌培養上清で共通して変化を示した133個の遺伝子を見出した。その中でS100Pに着目し、LECの遊走能やCCID formationに関わることを見出した。【結語】膵癌のリンパ行性転移においてSpheroidの特性に関連する新たな機序の関与が示唆され、その浸潤形態にS100Pが関わっている可能性が示された。今後これらの転移機序のさらなる解明が微小リンパ節転移制御に寄与するものと考えられる。 .
139. 中山宏道, 大内田研宙, 安藤陽平, 岐部晋, 武居晋, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大塚隆生, 中村雅史, 膵癌リンパ節転移におけるcollective cell invasion 制御因子の検討, 第74回日本消化器外科学会総会, 2019.07.
140. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 堤親範, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 江藤正俊, 橋爪誠, 中村雅史, 機能的に胃内流入を主経路とする逆蠕動・側々での胃空腸吻合によるダブルトラクト再建手技, 第32回日本内視鏡外科学会総会, 2019.12.
141. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 江藤正俊, 橋爪誠, 中村雅史, 3DシミュレーションとICG術中イメージングによる食道切除後再建法の個別選択, 第27回日本消化器関連学会週間(JDDW2019), 2019.11.
142. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 江藤正俊, 中村雅史, 3D解剖の理解とICG評価に基づく胃管再建の経路選択と手技の工夫, 第81回日本臨床外科学会総会, 2019.11.
143. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 江藤正俊, 橋爪誠, 中村雅史, 上部消化管手術における3次元モデルの実用化と今後の展望, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, これまで、我々は臓器変形モデルや3Dプリンターを用いた硬性/軟性/透過型モデル、スコープの位置情報を光学式センサーにより取得し、リアルタイムに仮想腹腔鏡画像を提供する術中ナビゲーションなど3次元モデルに基づいた手法を報告してきた。しかし、これらは個別の症例に日常診療として実用化しするには、コストや人員の確保などの面で問題があった。現在、我々は胃癌、食道癌の術前にルーチンとして1mmCTを複数相で撮像し3D画像を作成し、血管走行や関連臓器の形状、その相対的な位置関係などを把握している。当院ではこの作業を電子カルテに組み込まれたソフトで10分で行える。3D画像には2Dでは把握できない血管走行の向きや角度、長さ、周囲臓器との相対的な位置関係といった3Dでのみ特異的に把握できる立体解剖情報が含まれる。これまで、食道癌や胃癌の300症例以上の3D画像を取得し、それぞれの手術の難易度に関わる因子を複数同定してきた。たとえば、腹腔動脈の走行の向きや各分岐までの距離、膵実質との位置関係は個人差があり、手技の難易度�� $H?
144. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 江藤政俊, 中村雅史, 3D特有の解剖学的特徴に応じた胃管再建時の後縦隔経路と胸骨後経路の個別選択と工夫, 第74回日本消化器外科学会総会, 2019.07.
145. 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大内田研宙, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除術後膵液瘻予測因子の検討, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, 胃癌手術におけるリンパ節郭清において、膵周囲リンパ節の郭清は重要であるが、それに付随する合併症として膵液瘻が問題となる。その早期発見、経過予測にドレーン排液のアミラーゼ値(以下D-Amy値)の測定が有用である可能性が示唆されており、当科では胃切除症例において、D-Amyを測定している。今回、2010年9月~2017年4月に当院で腹腔鏡下胃切除術を施行したもののうち、術後1日目、3日目にD-Amy値を測定した294例を対象とし、膵液瘻と臨床データの相関について後方視的に検討した。ISGPFの膵液瘻の基準を超えるものは112例、(POD3以降のdAMY 396以上)実際になんらかの治療を要した膵液瘻が15例、うち、Clavien Dindo分類grade2の膵液瘻が11例、grade3aが2例であった(2例は絶食期間延長のみ)。肺炎や明らかな縫合不全など原因が明確な合併症を認めるものを除く101例について解析を行うと、D-Amy(POD3)、CRP(POD3)、WBC(POD3)について膵液瘻と相�� 4X$rG'$a(p値 <0.0001・<0.0001・0.0005 Wilcoxon検定)、性・郭清の程度・BMIは相関を認めなかった(p値 0.1243、0.9123、0.5667)。特に相関の強いD-Amy(POD3)、CRP(POD3)に対しロジスティック解析を行い、ROC曲線を描画し(AUC 0.962・0.913)D-Amy 2785 、CRP 16.69をカットオフ値とすると、それぞれ感度/特異度93%/93%、80%/87%となった。明らかな炎症のfocusがはっきりしておらず、術後3日目のD-AMY値、CRP値が2785、16.69を超える場合、膵液瘻を来している可能性が高いと考えられた。.
146. 相良亜希子, 仲田興平, 遠藤翔, 大坪慶志輝, 新川智彦, 松本奏吉, 米永晃子, 安藤陽平, 岐部晋, 中山宏道, 武居晋, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, 膵癌細胞のオートファジー抑制は、サリノマイシンによる増殖抑制効果を増強する, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, 【背景と目的】サリノマイシンは、膵癌を含む様々な癌種において細胞増殖抑制効果を示すが、このとき、細胞内ではオートファジーが誘導されていることが知られている。オートファジーには細胞傷害作用、細胞保護作用の相反する作用が報告されているが、癌種により報告が異なり、サリノマイシンによる膵癌細胞内のオートファジーがいずれの作用と関連しているかについては明らかでない。今回、膵癌細胞にサリノマイシンを投与した際に誘導されるオートファジー誘導の意義を検討した。【方法】膵癌細胞株のSUIT-2及びPanc1細胞を用いて、サリノマイシン投与による膵癌細胞株の増殖能の変化を検討した。次に、サリノマイシン投与時の膵癌細胞株のオートファジーの変化を検討した。さらに、siRNAを用いたATG5及びATG7遺伝子ノックダウンによるオートファジー抑制が膵癌細胞のサリノマイシン感受性に与える影響について検討した。【結果】膵癌細胞の増殖は、サリノマイシン投与によって濃度依存的に抑制された。また癌幹細胞マーカーであるCD133陽性細胞数の減少を認めた。また、サリノマイシン投与下では膵癌細胞株のLC3-IIタンパク上昇、細胞�
ソ中LC3の増加、cyto-IDの蛍光強度の上昇を認め、サリノマイシンによって膵癌細胞株のオートファジーが亢進することが示唆された。さらにオートファジー抑制後は、サリノマイシン投与による膵癌細胞の増殖抑制効果は増強され膵癌細胞株のサリノマイシン感受性が亢進していることも同定した。【結論】また、オートファジーがサリノマイシンに対して細胞保護的に作用していることを示した。今後サリノマイシンとオートファジー抑制剤、さらには抗がん剤を組み合わせた治療法が膵癌幹細胞を標的とした新しい膵癌治療法となり得ることを示唆している。.
147. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除におけるポート位置シミュレーションの重要性, 第27回日本消化器関連学会週間(JDDW2019), 2019.11, 【目的】腹腔鏡下胃切除術において、6番リンパ節の安全かつ適切な郭清は、患者の術後膵液瘻予防および予後改善のため非常に重要である。近年我々が行っている術前ポート位置シミュレーションの手技を供覧し、その効果を明らかにする。【方法】2017年6月から2018年12月まで71例の患者に対して、6番郭清を伴う腹腔鏡下胃切除術を行った。術前に1mm造影CTを撮像し、SYNAPSE VINCENTを用いて3D構築を行った後、臍部から膵上縁の位置および6番郭清のターゲットとなる右胃大網動静脈の位置を測定して術前に患者の体にマーキングを行う。マーキングを元に気腹下で実際の腹腔内を観察しつつ最終的にポート位置を決定している。臍から膵上縁および下縁の高さは患者個々により大きな違いがあり、(それぞれ範囲69.4mm-189.2mm(平均115.6mm),範囲29mm-162.1mm(平均74.7mm) )そのため、臍や肋弓などを基準にポートを挿入すると、郭清対象組織に対する軸が合わず余計な出血や時間のロスにつながることがあると予想される。われわれは、郭清対象は膵�� B!A0LL$NAH?%$G$"$k$?$a!"%]!
148. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 当科において施行されたバレット食道癌に対する鏡視下手術9例の検討, 第73回日本食道学会学術集会, 2019.06.
149. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 十二指腸腫瘍に対するLECS , 第113回日本消化器病学会九州支部例会・第107回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2019.05, 腺腫やNET, GISTに代表される十二指腸腫瘍に対しての治療は、切除が第一候補となる。現在ではESD治療が保険収載されているが、壁の厚い胃と異なり、十二指腸では遅発性穿孔率が10%弱と非常に高率である。ESDで根治切除ができない場合は、十二指腸部分切除や膵頭十二指腸切除など、侵襲が大きく合併症率の高い手術が必要となるため、治療適応については熟考が必要である。腹腔鏡内視鏡合同手術 (laparoscopic and endoscopic cooperative surgery; LECS)は、内視鏡医による切除手技と、外科医による腹腔鏡下局所切除や縫合を組み合わせた手術であり、その低侵襲性と安全性が評価され、胃病変に対して広く受け入れられている。しかし、十二指腸腫瘍に対するLECSは、その症例数の少なさもあり、未だ標準治療とはなっていない。 当科では、九州大学倫理審査委員会の承認を得た後、現在まで十二指腸病変11症例(男5:女6、年齢40-79歳)に対してLECSを行った。腺腫5例、上皮内癌1例、GIST1例、NET4例であり、乳頭を基準として口側7例、肛門�� Nc$G$"$C$?!#4pK\
150. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 鏡視下胃切除術における膵液瘻の原因となる手技についての後方視的検討, 第32回日本内視鏡外科学会総会, 2019.12.
151. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術における、周術期データによる予後予測, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, 胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は、その低侵襲性から近年広く普及している。我々の施設では1996年より導入し、その適用を早期癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除から胃全摘術、さらには進行癌に対するD2郭清にまで徐々に拡大してきた。2017年3月まで1054例(男性737例、女性317例)に対して手術を行い、噴門側胃切除64例、幽門側胃切除735例、胃全摘233例、残胃全摘22例であった。うち98例で脾臓摘出、胆嚢摘出などの他臓器切除を同時に行っていた。同症例について、Clavien-Dindo II以上の合併症と予後について後方視的に調査した。術後合併症においては、男性であること(P=0.023)、他臓器切除同時施行症例であること(P=0.011)が危険因子であった。術後合併症が起きた症例では、手術時間が長く、出血量が多く(ともにP=<.0001)、さらにPOD1からWBCとCRPが高かった(ともにP=<.0001)。術前BMIに着目すると、22以上の症例では手術時間が長く(P=<.0001)、出血が多く(P
=0.002)、POD1のWBC, CRPともに高く(P=<.0001)、さらに合併症が多い傾向にあった(P-0.07)。疾患特異的死亡との関連を見ると、BMI22で分けた場合は差がなかったが、18未満の症例で予後不良であり(P=0.036)、合併症を起こした症例で予後不良の傾向があった(P=0.066)。また、進行癌における疾患特異的死亡症例は、生存症例に比較して術前BMIがより低かった(P=0.017)。当施設での予後予測因子検討結果について、文献的考察とともに報告する。.
152. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除における3DCTによる左右双方からの郭清手技を可能とするポート位置のシミュレーション, 第74回日本消化器外科学会総会, 2019.07.
153. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 患者個別解剖に留意した腹腔鏡下胃切除におけるポート位置の術前シミュレーションの効果, 第81回日本臨床外科学会総会, 2019.11, 腹腔鏡下胃切除術は、開腹手術と比較した場合の優位性を背景に、その普及と手技の定型化が進んでいる。当科では現在、腹腔鏡下胃切除術を予定する患者さん全てに対して術前1mmスライスで造影CTを撮像し、VINCENT(FUJI)を用いて3D構築を行っている。通常、臍部にカメラポートを挿入し、そこを基準点として気腹下に他ポートを挿入していくが、術前3DCTの検討を行うと、臍部から膵上縁の高さ、6番郭清の目標となる右胃大網静脈合流部の相対的位置関係にはかなりの個人差があり、臍部を基準点としてポート位置を決定すると、膵上縁までの距離が遠く、郭清に難渋する症例があることがわかってきた。今回我々は、2015年3月以降からポートシミュレーションを開始するまでの127例の腹腔鏡下胃切除(6番郭清を伴う胃全摘、もしくは幽門側胃切除術)と2017年4月以降、ポートシミュレーションを術前に行って手術を施行した82例の周術期データを用いてシミュレーションの効果を検討した。両群において、手術時間に有意差はなかったが(P=0.30)、術中出血�� L$OM-0U$K8:>/$7$F$$$?!JP=0.03)。さらに、膵液瘻の指標となる術後腹水アミラーゼ値において、POD1では減少の傾向があり(P=0.053)、POD3においては有意に減少していた(P=0.003)。当科におけるポートシミュレーションの取り組みを実際の手術ビデオともに発表する。.
154. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 森泰寿, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下幽門側胃切除術における予防的胆嚢摘出術の必要性に関する検討, 第74回日本消化器外科学会総会, 2019.07, 【背景】胃切除後にしばしば胆石が発生することが知られており、胃切除術の際に予防的胆嚢摘出術を行うべきかどうか長らく議論されてきた。一方、近年は胆嚢摘出術だけでなく胃癌手術も腹腔鏡手術が普及してきており、以前議論されてきた開腹手術の時とは状況が異なる可能性がある。【目的】今回、胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術後胆石症の発生を検討し、予防的胆嚢摘出術の必要性を検討する。【対象】2000年4月から2017年3月の間に当科で胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した696例について検討した。そのうち31例(4.5%)で、胃切除術以前に胆嚢摘出術が行われていた。また、胃切除術の時点で胆石を有していた54 例(7.8%)に対しては、同時に胆嚢摘出術を施行した。これらに加えて開腹移行例12例、Billroth-II再建6例を除き、最終的にBillroth-I再建(B-I)284例、Roux-en-Y法(R-Y)310例について、術後胆石症発生の有無およびその治療を後ろ向きに検討した。観察期間中央値はB-I 61.7か月、R-Y 60.9か月であっ�� $?!#!Z7k2L![=Q8eC@@P>I!JC@G97k@P>I!"AmC@4I7k@P>I!K$NH/@8$r52例(全体の8.8%)に認めた。再建形式別では、B-1群12例(4.2%)、R-Y群40例(12.9%)でR-Y再建群の方が有意に多かった(p=0.0002)、術後胆石を認めるまでの期間(中央値)はB-I群38.1か月、R-Y群31.4か月であり、それぞれ継時的に増加していた。そのうち36例は無症状であり、治療を要したものは16例(全体の2.7%)で、そのうち15例はR-Y群であった。なお、総胆管結石症をB-I群1例(0.4%)、R-Y群11例(3.6%)に認め、総胆管結石の発生割合もR-Y群で高かった(p=0.0056)。【結語】胆石の発生はR-Y群の方がB-I群よりも有意に多く、R-Y群では総胆管結石の発生率も高かった。治療を要した術後胆石は全体の2.7%、さらに開腹胆嚢摘出を要したものは0.5%に留まるため、胆石を認めない予防的胆嚢摘出は不要と思われるが、Roux-en-Y再建後の胆石発生には注意が必要である。.
155. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 三好圭, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 胸部食道癌術後4年目に発症した胃管肺瘻の治療経験, 第73回日本食道学会学術集会, 2019.06, 症例は50歳代、男性。胸部食道癌に対して鏡視下食道切除・後縦隔経路胃管再建を施行した。術後4年経過後に喀血を来し、胃管肺瘻の診断で右肺上葉切除、広背筋弁による瘻孔閉鎖術を施行したが、瘻孔が開存し膿胸となったため、緊急開窓ドレナージ術を施行した。その後、炎症の波及により気管支断端瘻も併発し、胃管と右気管支それぞれの瘻孔が近接して併存する状態となった。その後もステント治療や肋間筋被覆、心膜パッチなどを試みたが瘻孔閉鎖に至らず、長期間の絶食・入院加療を要した。保存的治療では改善なく、かつ胃管瘻からの消化液流出を食い止めることが困難になったため、胃管の口側、肛門側を切離し、回結腸による消化管再建術を行い(胸骨前経路)、残存した胃管にはドレナージチューブを留置した。その結果、食事が可能になり、頻回の通院を要するもののフルタイム勤務できるまでに社会復帰を果たすことができた。今回、再建胃管末端部(盲端部)の虚血により肺瘻を形成したと考えられる。胸部食道癌手術における後縦隔経路再建は、他の再建経路に比べて距離が短く生理的であり、縫合不全率も低いが、一�� }$G:F7z0_4I$N6;9PFbL~Ce$,LdBj$H$5$l!"5)$G$O$"$k$,:#2s$N$h$&$JGYaq7A@.$d0_4I4bu67$K1~$8$?H=CG$r$9$Y$-$G$"$k$H9M$($i$l$k!#.
156. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除のデルタ吻合再建(Billroth-I法)における,リニアステイプラー挿入の安全性に関する検討(157例の治療成績), 第27回日本消化器関連学会週間(JDDW2019), 2019.11, 【目的】腹腔鏡下胃切除において、金谷らが考案したデルタ吻合は、完全鏡視下Billroth- I法再建の代表的な手技であり、広く普及している。一方、不用意なリニアステイプラー挿入による過度な緊張などによって、十二指腸損傷を来すリスクがある。そこで、これまで我々の施設で行ってきたデルタ吻合における、リニアステイプラー挿入の安全性を明らかにすることを目的として、術中・術後成績の検討を行った。【方法】当科においては、2009年7月にデルタ吻合を導入し、以降の腹腔鏡下幽門側胃切除(LDG)における完全鏡視下Billroth-I法再建時は全例にデルタ吻合を行っている。2019年2月末までに施行したデルタ吻合症例157例について、その治療成績を検討した。一般的なデルタ吻合では、リニアステイプラーのカートリッジ側を胃に挿入し、アンビルフォーク側(金属側)を十二指腸に挿入することが多いが、我々は十二指腸損傷のリスク軽減を目的として、逆に金属側を胃に挿入し、カートリッジ側を十二指腸に挿入して行った。【成績】上記挿入法で施行した157例において、術中・�� =Q8e$N==Fs;XD2B;=}$dK%9gITA4$O#1Nc$b$J$/!"J-9gIt69:u$dDL2a>c32$J$I$NCfD94|9gJ;>I$b#1Nc$bG'$a$J$+$C$?!#%j%K%"%9%F%$%W%i!uBV$G;D0_$r==Fs;XD2B&$KF0$+$9$3$H$,$G$-!"$=$N0lJ}$G==Fs;XD2$XA^F~$9$kB&!J%+!
157. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 当科における腹腔鏡下幽門側胃切除デルタ吻合の工夫, 第32回日本内視鏡外科学会総会, 2019.12, 当科では1996年に腹腔鏡補助下胃切除術を導入して以降、様々な術式を行ってきた。完全鏡視下胃切除を開始してからは主にRoux-en-Y再建を行ってきたが、2009年からは完全鏡視下幽門側胃切除Billroth-I再建法として、デルタ吻合を導入し、現在は本法が再建の第一選択となっている。また、近年、当施設では十二指腸切離の際にEndo GIA Tri-Staple 60リンフォース(以下、リンフォース)を用いている。当初は、Roux-en-Y再建における十二指腸断端部の縫合強度改善および止血目的でリンフォースを使用していたが、デルタ吻合時にもリンフォースによる十二指腸切離を行うことで、吻合の際に十二指腸をリニアステープラーにかぶせる操作が非常にスムーズになることが分かった。最近、吻合口形成にリンフォースを使用する学会報告は散見されるが、十二指腸切離にリンフォースを用いてデルタ吻合を行う方法は報告がなく、今回その手技を供覧する。また、カートリッジの挿入方向や角度の調節も合わせて工夫することで、吻合の際の過度な緊張による十二指腸損傷リスクを低減できるものと考えている。"
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158. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 高齢者胃癌に対する術式、郭清範囲、化学療法の有無からみた至適治療戦略に関する検討, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, 【背景】高齢患者は基礎疾患および加齢に伴う身体機能低下によって術後合併症が重篤化する危険性があり、胃の切除範囲や郭清範囲の縮小が望ましいという意見がある。また、周術期化学療法についても忍容性の問題等で施行されないことも多く、患者のQOL保持と癌の予後を考慮した治療戦略が求められる。【目的】80歳以上の高齢胃癌患者に対して、術式、郭清範囲、化学療法の有無からみた至適治療戦略に関する検討を行った。【対象】2007年4月から2017年3月の10年間に当科で腹腔鏡下胃癌手術(バイパス、部分切除を除く)を施行した腹腔鏡下胃癌手術(審査腹腔鏡、バイパスを除く)796例のうち、80歳以上の高齢患者94例(80-90歳)について、後ろ向きに検討した。観察期間中央値は29.2か月(5.9-71.3か月)、施行術式は胃全摘21例(22.3%)、噴門側胃切除14例(14.9%)、幽門側胃切除55例(58.5%)などであり、3例(3.2%)で開腹移行がなされた。最終病期はStage I 62例(66.0%)、Stage II 18
例(19.1%)、Stage III(8.5%)、Stage IV (6.3%)であった。【結果】進行癌43例のうちD2リンパ節郭清は26例(60.5%)に施行され、17例(39.5%)で郭清範囲の縮小がなされた。また、術後化学療法が施行されたのはわずか5例に留まった。縮小手術や化学療法の有無による予後への悪影響は明らかでなかった。なお、観察期間内の死亡例は35例(37.2%)に認めたが、原病死(16例)よりも他病死(19例)の方が多かった。また、術後合併症を認めた群は、合併症を認めなかった群に比べて術後在院日数が長く(中央値13日、9日、p<0.001)、予後不良であった(5年生存率36%、72%、p=0.048)。また、胃全摘患者の予後は幽門側胃切除や噴門側胃切除の患者よりも悪かった。【結語】高齢患者では郭清度や化学療法の有無については差を認めなかったが、胃全摘患者の予後は悪く、可能な限り胃全摘を避けた方が望ましいと考えられた。.
159. 新川智彦, 厳子龍, 大内田研宙, 大坪慶志輝, 松本奏吉, 米永晃子, 相良亜希子, 関維雨, 馮海旻, 安藤陽平, 岐部晋, 武居晋, 中山宏道, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 宮坂義浩, 膵癌におけるERK1/2阻害剤による癌間質相互作用の抑制効果の検討, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, [背景] 細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)は, 複数の癌腫において浸潤や転移に関連している. ERK阻害剤(ERKi)が膵癌細胞を標的とし膵腫瘍の増大を抑制することが報告されているが, 癌間質相互作用に対する効果は不明である.[目的]  膵癌における癌間質相互作用に対するERKiの治療効果を検討する.[方法] ヒト正常膵星細胞(PSC), ヒト癌関連線維芽細胞(CAF), ヒト膵管正常上皮細胞株(HPDE)およびヒト膵癌細胞(PC)におけるp-ERK1/2の蛋白レベルを検討した. ERKiがCAFに与える影響および関連遺伝子発現の変化を評価した. ERKi投与下でAutophagyのmarkerであるLC3の発現変化を評価した. ERKiとAutophagy抑制剤であるChloroquineの併用治療効果をin vitroおよびin vivoで検討した.[結果] CAFのp-ERK1/2発現レベルは正常PSCおよび癌細胞より高かった. CAFのERKiによる増殖抑制効果は癌細胞より�� b9b$+$C$?. CAFにおけるp-ERK1/2の阻害は癌間質相互作用に関わる因子であるMMP2, MMP3, IL6などの低下を認めたが, 線維化のmarkerであるαSMA, CollagenやSenescenceのmarkerであるp15, p16は上昇を認めた. また, AutophagyのmarkerであるLC3の発現上昇も認めた. ERKiとChloroquineを併用投与するとERKiによるαSMAやcollagenの増加が抑制された. KPCマウス由来膵癌細胞OrganoidとCAFの共移植モデルに対してERKiとChloroquine併用投与すると肝転移巣数の低下を認めた. [結論] CAFを標的とするERK1/2の阻害は線維化やSenescenceのmarkerの上昇とともに癌間質相互作用を抑制する可能性がある. さらにAutophagy抑制剤を併用すると, CAFのsenescenceをより強く誘導し, より強く増殖を抑制した..
160. 久保進祐, 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 堤親範, 長尾晋次郎, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 食道癌手術前処置のグリセリン浣腸により溶血性急性腎不全に陥った1例, 第81回日本臨床外科学会総会, 2019.11, グリセリン浣腸は安全性が高いと認識され、広く医療現場で使用されているが、まれに重篤な合併症を引き起こすことが報告されている。今回、グリセリン浣腸施行時に、肛門部のわずかな損傷から溶血性急性腎不全を引き起こした症例を経験したため報告する。症例は56歳男性。胸部下部食道癌手術の前処置としてグリセリン浣腸を行ったところ、強い痛みを伴う肛門の腫脹と少量の出血をきたした。その後症状が軽減したため、予定通り手術室へ搬入した。全身麻酔導入後、導尿を行うと少量の血尿を認め、膀胱鏡検査で両側尿管口よりごく少量の出血を認めた。また、肛門鏡検査で肛門に5mmの浅い裂創を認めた。血液生化学・凝固検査で異常なく、バイタルサインも異常なかったため、予定通り手術を施行したが(手術時間9時間24分、出血量145g)、術中尿量は0mlであった。術後も無尿が続き血清クレアチニン増悪を認めたため、溶血性急性腎不全と診断し、術翌日から持続的血液濾過透析(CHDF)を開始し、ハプトグロビン(4000U, 6日間)投与を行った。術後10日目までCHDFを行い、�� =$N8e$O=Q8e20日目までに計5回の血液透析を行った。その後腎機能は徐々に改善傾向となり、術後27日目に退院し、術後2か月で腎機能は正常化した。グリセリン浣腸は現在も多くの施設で日常的に行われている行為である。グリセリンは腸管外に注入されると血中へ移行し溶血をきたすが、その一方で、血中で速やかに代謝されるため溶血発作は長時間は持続しない。グリセリン浣腸で短時間に腎不全が引き起こされる可能性があることが念頭にあれば、侵襲度の高い手術を避け、急性期に補液やハプトグロビンの投与など迅速な対応をとることで腎障害の程度を軽減できるものと考えられた。.
161. 岐部晋, 大内田研宙, 新川智彦, 大坪慶志輝, 松本奏吉, 相良亜希子, 米永晃子, 馮海旻, 関維雨, 安藤陽平, 武居晋, 中山宏道, 厳子龍, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田 興平, 永井俊太郎, 膵癌局所浸潤部における癌関連腺房導管異型性は癌局所浸潤に寄与する, 第119回日本外科学会定期学術集会, 2019.04, 【背景】膵実質の大部分は膵外分泌機能を有する膵腺房細胞より構成されるため、膵臓は炎症、線維化、萎縮を来しやすい特異的な臓器である。しかし、膵癌周囲に存在する膵腺房細胞の膵癌局所浸潤の過程における脱落や萎縮といった形態的な変化が膵癌局所浸潤に与える影響の有無や意義は不明である。【目的】膵癌局所浸潤過程における膵腺房細胞の形態的な変化やその意義について検討する。【方法】ヒトおよびKPC (KrasLSL-G12D/+;Trp53LSL-R172H/+;Cre)マウスにおける膵癌局所潤部の病理組織像を腺房細胞の形態的な変化に着目して検討した。また、KPC由来膵癌細胞を用いてKC (KrasLSL-G12D/+;Cre)マウスに同所移植を行い、膵癌浸潤部における膵実質の形態的な変化と膵癌局所浸潤との関連を検討した。また、膵癌局所浸潤部で腺房萎縮と共にみられる腺房導管異型性(Acinar-to-ductal metaplasia: ADM)と正常膵における孤発性ADM、慢性膵炎でみられるADMの遺伝子発現解析を行い比較検討した。【結果】ヒトおよびKPCマウスの病理組織学的解析では、膵癌局所浸潤部において腺房萎縮と共に��� BADM-likeな病変を多数認めた(P<0.01)。また、KCマウス同所移植モデルではKras変異を有する膵実質母地では、有意に腫瘍体積の増大と腫瘍周囲にADM-likeな腺管構造を多数認めると同時に間質の誘導を認めた(P<0.01)。遺伝子発現解析では、その周囲微小環境に応じてADMの誘導機序や性質に差異を認めることが示唆された。【考察】膵癌膵実質浸潤部では腺房萎縮と共にADM-likeな小腺管構造を多数認めた。膵腺房細胞の萎縮やADMといった形態的変化によって癌間質や癌浸潤を誘導しやすい微小環境を構築している可能性が示唆された。.
162. 岩本千佳, 大内田研宙, 武居晋, 進藤幸治, 宮脇恒太, 赤司浩一, 橋爪誠, 江藤正俊, 中村雅史, 膵臓に誘導され膵癌微小環境を構成する骨髄由来細胞が膵癌浸潤を制御する, 第74回日本消化器外科学会総会, 2019.07, 【背景・目的】膵癌は病理学的特徴として過剰な間質増生desmoplasiaを伴うことが知られており、癌間質相互作用により治療抵抗性や薬剤送達率の低下を引き起こすと考えられている。また、癌微小環境は癌種により多様であり、胃癌や大腸癌では遺伝子変異に加え、間質細胞や骨髄由来細胞との相互作用により形成される癌微小環境が、発癌や癌微小転移巣の形成を促進すると報告されている。膵癌においては、間葉系幹細胞由来の癌間質が癌進展を促すとの報告や膵星細胞が貪食細胞のように働くとの報告があるが、骨髄由来細胞の膵癌進展への関与やそのメカニズムは未だ不明な点が多い。そこで、骨髄由来細胞が膵癌微小環境を構成し、膵癌進展に関与しているかを明らかにしようと考えた。【方法】膵癌自然発症モデルのKPCマウスにGFP陽性骨髄細胞を移植し、同種骨髄移植モデルを作製した。FCM解析にてレシピエントマウスの末梢血におけるGFP陽性細胞の生着を確認し、原発巣の免疫組織染色にて腺房細胞・間質細胞領域や、invasive frontにおけるGFP陽性細胞の分布を評価した。膵癌細胞と骨髄由来�� :YK&$r6&G]M\$7!"g94b:YK&$NM7Av!&?;=a!&A}?#G=$NI>2A$b9T$C$?!#g94b?JE8$K4XM?$9$k9|?qM3Mh:YK&$Nphenotypeを同定し、膵癌細胞との相互作用を解明する。【結果】同種骨髄移植KPCモデルマウスの末梢血、骨髄、膵臓、肝臓においてGFP陽性細胞の生着を認めた。レシピエント膵臓の病理組織より、骨髄由来リンパ球、マクロファージ、TAMの生着を認め、それらの局在には偏りがあることを示した。また、レシピエントマウスの膵臓に見られる間質細胞には骨髄細胞由来のものが存在することを明らかにした。膵癌細胞と共培養した骨髄由来マクロファージは膵癌細胞の浸潤を促進した。また、膵癌細胞の上清を添加した骨髄由来マクロファージでは、対照群と比較してPSC特異的なマーカーの発現が認められた。【考察】Multilineageな骨髄由来細胞が膵臓へ誘導され、膵癌の浸潤に関わっていることが示唆された。さらに、骨髄由来マクロファージが膵癌細胞との相互作用により、PSC様の細胞へ形質転換することで膵癌細胞の浸潤を促す可能性が示唆された。.
163. 岩本千佳, 大内田研宙, 安藤陽平, 新川智彦, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 宮脇恒太, 赤司浩一, 江藤正俊, 中村雅史, 膵癌微小環境を構築する骨髄由来細胞が膵癌浸潤を先導する, 第78回日本癌学会学術集会, 2019.09.
164. 安藤 陽平, 木村 隆一郎, 森山 大樹, 大内田 研宙, 進藤 幸治, 永井 俊太郎, 大塚 隆生, 中村 雅史, , 高齢者に対する腹腔鏡下胃切除の安全性と有効性についての検討, 第56回九州外科学会・第56回九州小児外科学会・第55回九州内分泌外科学会, 2019.05, 【背景】平均寿命の延長に伴って、75歳以上の高齢胃癌患者に対する低侵襲手術の機会が増加している。今回我々は高齢者に対する腹腔鏡下胃切除術の安全性、有効性について検討した。【方法】2007年3月から2017年6月までに当施設で腹腔鏡下胃切除術を施行した728例の胃癌患者を対象とした。全症例のうち166例(22.8%)が75歳以上であり、75歳未満562例と臨床病理学的因子を比較検討した。【結果】手術時間、出血量、在院日数、郭清度に有意差は見られなかった。75歳以上では有意に合併症が多く、特に術後肺炎が多かった。全症例における多変量解析では年齢、COPDの有、D2郭清が術後肺炎の危険因子として抽出された。75歳以上のみの解析では進行癌、D2郭清が独立危険因子であった。【結論】75歳以上の高齢者に対する、D2郭清を伴う腹腔鏡下胃切除術の適応については慎重に患者を選択する必要がある。.
165. Shindo K, Ohuchida K, Roth H.R, Oda H, Iwamoto C, Oda M, Ohtsuka T, Mori K, Hashizume M, Nakamura M, , Micro-CT in the Analysis of Formalin-Fixed Paraffin-Embedded Blocks of Resected Pancreatic Lesions , The 50th Annual Meeting of the American Pancreatic Association(APA), 2019.11, Abstract: Recently, the advancements in imaging technology are developing rapidly and the chance to use them in the clinical setting is expanding. Preoperative virtual model (3D) constructed using computed tomography (CT) data is very informative and is useful in clinical diagnosis and management Clinical questions and diagnostic dilemmas may emerge preoperatively and postoperatively. Examples of such include the following cases: (1) A case of stricture with resulting dilatation of the main pancreatic duct was seen in preoperative imaging, suggesting pancreatic ductal adenocarcinoma, further supported by cytological diagnosis (class IV). The lesion was resected, but final histopathology showed absence of malignancy, and instead revealed low-grade pancreatic intraepithelial neoplasia (LG PanIN). (2) A case of intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN) diagnosed as high-grade dysplasia underwent distal pancreatectomy. Several months later, act
ive dissemination occurred despite the absence of invasive lesions in histopathology. Sometimes, it is not easy to identify small significant features such as presence of mural nodules, invasive lesions not on the surface of the specimen, or critical site of caliber changes of the pancreatic duct in a resected specimen. Micro-CT (inspeXio SMX-90CT, Kyoto, Shimadzu Corporation) can provide exceptionally high-resolution imaging with pixel sizes in the micrometer range. The use of micro-CT in the study of formalin-fixed paraffin-embedded (FFPE) pancreatic specimens prevents diagnostic errors such as the aforementioned. Herein, we show our attempts to reveal the answers for these uncertainties using micro-CT in evaluating resected specimens. .
166. Shindo K, Ohuchida K, Moriyama T, Nagai S, Ohtsuka T, Nakamura M, 腹腔鏡下胃切除における適切なポート位置決定のための3D CTの有用性, 第91回日本胃癌学会総会, 2019.02.
167. Sagara A, Nakata K, Yamashita T, Matsumoto S, Ohotsubo Y, Shinkawa T, Shindo K, Moriyama T, Ohuchida K, Ohtsuka T, Mizumoto K, Nakamura M, A new investigation of drug repurposing using for duloxetine as targeting pancreatic cancer microenvironment, Digestive Disease Week 2019, 2019.05, 1. Background: Salinomycin has cytotoxic effects on various types of malignancy and induces autophagy. However, it has not been clarified whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role. We investigated whether salinomycin affects autophagy in pancreatic cancer cells and whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role in these cells.Methods: We investigated the effect of salinomycin using three pancreatic cancer cell lines. We investigated effect on proliferation and the CD133 positive fraction using flow cytometry. In addition, we monitored the change in autophagic activity after salinomycin treatment using fluorescent immunostaining, western blotting, and flow cytometry. Finally, knockdown of ATG5 or ATG7 by siRNA was used to investigate the impact of autophagy inhibition on sensitivity to salinomycin.Results: Salinomycin suppressed the proliferation of pancreatic cancer
cells in a concentration dependent manner, and reduced the CD133 positive fraction. Salinomycin enhanced autophagy activity in these cells in a concentration dependent manner. Autophagy inhibition made pancreatic cancer cells more sensitive to salinomycin.Conclusions: Our data provide the first evidence indicating that autophagy induced by salinomycin have a protective role in pancreatic cancer cells. A new therapeutic strategy of combining salinomycin, autophagy inhibitors, and anticancer drugs could hold promise for pancreatic cancer treatment. 2. Background: Salinomycin has cytotoxic effects on various types of malignancy and induces autophagy. However, it has not been clarified whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role. We investigated whether salinomycin affects autophagy in pancreatic cancer cells and whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role in these cells.Methods: We inves
tigated the effect of salinomycin using three pancreatic cancer cell lines. We investigated effect on proliferation and the CD133 positive fraction using flow cytometry. In addition, we monitored the change in autophagic activity after salinomycin treatment using fluorescent immunostaining, western blotting, and flow cytometry. Finally, knockdown of ATG5 or ATG7 by siRNA was used to investigate the impact of autophagy inhibition on sensitivity to salinomycin.Results: Salinomycin suppressed the proliferation of pancreatic cancer cells in a concentration dependent manner, and reduced the CD133 positive fraction. Salinomycin enhanced autophagy activity in these cells in a concentration dependent manner. Autophagy inhibition made pancreatic cancer cells more sensitive to salinomycin.Conclusions: Our data provide the first evidence indicating that autophagy induced by salinomycin have a protective role in pancreatic cancer cells. A new therapeutic strategy of combining salinomyci
n, autophagy inhibitors, and anticancer drugs could hold promise for pancreatic cancer treatment. .
168. Sagara A, Nakata K, Yamashita T, Guan W, Matsumoto S, Date S, Ohtsubo Y, Shinkawa T, Kimura R, Fujii A, Ando Y, Iwamoto C, Watanabe Y, Shindo K, Ikenaga N, Moriyama T, Ohuchida K, Repositioning of Duloxetine as a New Drug for Targeting Pancreatic Cancer Microenvironment, The 50th Annual Meeting of the American Pancreatic Association(APA), 2019.11, Background; Pancreatic cancer tissue is characterized by dense stroma, and interactions between cancer cells and various stromal cells promote malignancy. We previously reported that Pancreatic stellate cells (PSCs) change from a quiescent to activated state in the tumor environment and secrete extracellular matrix (ECM) molecules and cytokines to increase the aggressiveness of tumors. Therefore, inhibiting the activation of PSCs is a promising potential therapy for pancreatic cancer. Despite its clinical significance, few compounds to inhibit the activation of PSCs have been developed. The objective of this study is to find a drug that change PSCs into the inactive state and inhibit tumor growth. Methods; We made a new drug screening system and did a screening for approved drugs. From over 3000 compounds, we selected candidates and focused on duloxetine, a drug for depressive disorder and neuropathic pain. We investigated the effect of duloxetine
to PSCs isolated from pancreatic cancer tissues. We investigated the state of PSCs using immunofluorescence microscopy, immunoblots, and lipid droplet accumulation assay. We also analysed the invasiveness and proliferation of the PSCs with the duloxetine treatment.Results; Immunofluorescence showed the number of lipid droplets in PSCs was increased after duloxetine treatment, indicating that they turned into quiescent state from activated state. Western blotting showed the decreased level of SMA, which was a marker of activation of PSC. In addition, the expression level of fibronectin, secreted from activated PSC, was also decreased. And duloxetine also reduced the proliferation and invasiveness of PSCs.Conclusion; We presented the new aspects of duloxetine as targeting the PSCs drugs. Although, further study is needed, it indicates that targeting the PSCs might be the new strategy for pancreatic cancer treatment. .
169. Sagara A, Nakata K, Endo S, Matsumoto S, Ohtsubo Y, Shinkawa T, Shindo K, Moriyama T, Ohuchida K, Ohtsuka T, Mizumoto K, Nakamura M, AUTOPHAGY INHIBITION ENHANCES ANTIPROLIFERATIVE EFFECT OF SALINOMYCIN IN PANCREATIC CANCER CELLS, Digestive Disease Week 2019, 2019.05, 1. Background: Salinomycin has cytotoxic effects on various types of malignancy and induces autophagy. However, it has not been clarified whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role. We investigated whether salinomycin affects autophagy in pancreatic cancer cells and whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role in these cells.Methods: We investigated the effect of salinomycin using three pancreatic cancer cell lines. We investigated effect on proliferation and the CD133 positive fraction using flow cytometry. In addition, we monitored the change in autophagic activity after salinomycin treatment using fluorescent immunostaining, western blotting, and flow cytometry. Finally, knockdown of ATG5 or ATG7 by siRNA was used to investigate the impact of autophagy inhibition on sensitivity to salinomycin.Results: Salinomycin suppressed the proliferation of pancreatic cancer
cells in a concentration dependent manner, and reduced the CD133 positive fraction. Salinomycin enhanced autophagy activity in these cells in a concentration dependent manner. Autophagy inhibition made pancreatic cancer cells more sensitive to salinomycin.Conclusions: Our data provide the first evidence indicating that autophagy induced by salinomycin have a protective role in pancreatic cancer cells. A new therapeutic strategy of combining salinomycin, autophagy inhibitors, and anticancer drugs could hold promise for pancreatic cancer treatment. 2. Background: Salinomycin has cytotoxic effects on various types of malignancy and induces autophagy. However, it has not been clarified whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role. We investigated whether salinomycin affects autophagy in pancreatic cancer cells and whether autophagy induced by salinomycin treatment has a protective or cytotoxic role in these cells.Methods: We inves
tigated the effect of salinomycin using three pancreatic cancer cell lines. We investigated effect on proliferation and the CD133 positive fraction using flow cytometry. In addition, we monitored the change in autophagic activity after salinomycin treatment using fluorescent immunostaining, western blotting, and flow cytometry. Finally, knockdown of ATG5 or ATG7 by siRNA was used to investigate the impact of autophagy inhibition on sensitivity to salinomycin.Results: Salinomycin suppressed the proliferation of pancreatic cancer cells in a concentration dependent manner, and reduced the CD133 positive fraction. Salinomycin enhanced autophagy activity in these cells in a concentration dependent manner. Autophagy inhibition made pancreatic cancer cells more sensitive to salinomycin.Conclusions: Our data provide the first evidence indicating that autophagy induced by salinomycin have a protective role in pancreatic cancer cells. A new therapeutic strategy of combining salinomyci
n, autophagy inhibitors, and anticancer drugs could hold promise for pancreatic cancer treatment. .
170. Ohuchida K, Shindo K, Moriyama T, Nagai S, Ohtsuka T, Nagai E, Shimizu S, Masatoshi E, Hashizume M, Nakamura M , , , 個別立体解剖の理解によるロボット膵上縁郭清における超音波凝固切開装置の使用の工夫, 第91回日本胃癌学会総会, 2019.02, Previously, we introduced 3 approaches, such as medial, right, left sided approaches and reported the utility of 3D simulation for its selection depending on the personalized anatomy. In 453 laparoscopic cases, blood loss and pancreatic fistula were reduced after 3D simulation. In Japan, for robotic suprapancreatic LN dissection, articulated instrument are often used because the articulation is one of most important advantages in robotic surgery. On the other hand, surgeons with experience of laparoscopic surgery are familiar with the use of ultrasonic scalpel, which is a non-articulated device even in robotic surgery. Therefore, such surgeons are not familiar with the robotic procedures without the ultrasonic scalpel. Recently, we introduced the preoperative 3D simulation for robotic LN dissection using ultrasonic scalpel. Based on the position of pancreas and major vessels, we decided the port site for the ultrasonic scalpel and the camera arms
and then safely and appropriately performed robotic LN dissection using the ultrasonic scalpel. Here, we will report about the utility of preoperative 3D simulation for robotic gastrectomy using ultrasonic scalpel..
171. Moriyama T, Ohuchida K, Shindo K, Mori Y, Nagai S, Ohtsuka T, Nagai E, Shimizu S, Nakamura M, 腹腔鏡下幽門側胃切除再建形式による胆石症発生の検討, 第91回日本胃癌学会総会, 2019.02, [Background and Aim] It is widely known that cholelithiasis often occurs after gastrectomy, however, the consensus is not established about the differences of its incidence by reconstruction. In this study, it is examined the incidence of cholelithiasis after laparoscopic gastrectomy by the reconstruction.[Methods] 707 patients who underwent laparoscopic distal gastrectomy for gastric cancer since 2000 to 2017, were retrospectively examined, and were divided Roux-en-Y (R-Y) group (n=371) and Billroth-1 (B-1) group (n=319). The median follow-up was 60.7 months and 61.3 months in each. [Results] 49 cases (6.9%) of cholelithiasis were recognized, 12 cases (3.8%) in B-1 and 37 cases (10.0%) in R-Y (p=0.0016). The median postoperative intervals of cholelithiasis incidence were 27.0 months in B-1 and 31.4 months in R-Y (p=0.65). The incidence of choledocholithiasis has two cases (0.6%) in B-1, and 11 cases (3.0%) in R-Y (p=0.026). [Conclusion] The incid
ence of the cholelithiasis significantly had more in R-Y than in B-1, and was also at high incidence of the choledocholithiasis in R-Y. It is necessary to pay attention to the incidence of cholelithiasis after R-Y, and it is suggested that cholecystectomy be considered as early as possible when cholelithiasis is recognized..
172. Kubo S, Nagao S, Shindo K, Mori Y, Miyasaka Y, Nakata K, Otsuka T, Nakamura M, Laparoscopy-Assisted Middle Pancreatic Body-Preserving Subtotal Pancreatectomy for Multiple Pancreatic Neuroendocrine Tumors, The 50th Annual Meeting of the American Pancreatic Association(APA), 2019.11.
173. Iwamoto C, Ohuchida K, Ando Y, Shinkawa T, Ohtsubo Y, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Miyawaki K, Ohtsuka T, Akashi K, Eto M, Nakamura M, BM-Derived Cells Destruct Basement Membrane and Induce Local Invasion of Pancreatic Cancer, The 50th Annual Meeting of the American Pancreatic Association(APA), 2019.11, Background: The tumor microenvironment is diverse depending on the carcinoma. In gastric cancer, it has been reported that bone marrow (BM)-derived cells invade tumor tissues by local inflammatory reaction, form inflammatory microenvironment and produce cytokines and growth factors, leading to promoting carcinogenesis. In pancreatic cancer, mesenchymal stem cells-derived tumor stroma seems to promote tumor development. However, involvement of BM-derived cells on tumor progression and its mechanism remains unclear. We aimed to investigate its involvement in the remodeling of microenvironment and pancreatic cancer progression.Methods & Results: Mouse models of allogeneic BM transplantation using newborn KC/ KPC mice were established. KC recipients’ pancreas didn’t turn cancerous, but BM-derived GFP+ cells were engrafted around acinar cells with atrophy. In KPC recipients’ pancreas, BM-derived multilineage hematopoietic cells wer
e accumulated at invasive front, and especially the localization of macrophages including TAM or aSMA+ cells were similar to GFP+ cells. Then, human pancreatic cancer cells (PCCs) co-injected with peripheral blood (PB)-derived macrophages grew invasively in xenotransplantation models. PB-derived macrophages destructed basement membrane than pancreatic stellate cells (PSCs). We investigated the involvement of PB-derived macrophages in the invasive capability of PCCs, and found that the specific subpopulation of those cells led the invasion of PCCs similar to PSCs known as a leading cell in the invasion. Some PB-derived macrophages treated with PCCs supernatant expressed PSC marker.Conclusion: The present data suggest that BM-derived cells recruited to pancreas in the pancreatic carcinogenesis are involved in invasion of PCCs, and also that the specific subpopulation of BM-derived macrophages transformed into PSC-like cells and acted as leading cells in the invasion of pancrea
tic cancer..
174. Iwamoto C, Ohuchida K, Ando Y, Shinkawa T, Ohtsubo Y, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Miyawaki K, Akashi K, Eto M, Nakamura M, BM-derived multilineage hematopoietic cells that constitute tumor microenvironment lead invasion of pancreatic cancer, 第78回日本癌学会学術集会, 2019.09, In pancreatic cancer, mesenchymal stem cells-derived tumor stroma seems to promote tumor development. However, involvement of BM-derived cells on tumor progression and its mechanism remains unclear. We aimed to investigate its involvement in the remodeling of microenvironment and pancreatic cancer progression.To establish allogeneic models, BM-derived GFP+ cells were intravenously transplanted into newborn KC/ KPC mice after sublethal irradiation. KC recipients’ pancreas didn’t turn cancerous, but GFP+ cells were engrafted around atrophied acinar cells. In KPC recipients’ pancreas, BM-derived immune cells were accumulated at invasive front, and a few GFP+aSMA+ cells were detected. Invasive capacity of pancreatic cancer cells (PCCs) co-cultured with BM-derived macrophages significantly increased. BM-derived cells acted as leading cells. Some BM-derived macrophages treated with PCCs supernatant expressed pancreatic stellate cell
(PSC) marker and promoted several cytokines production.The present data suggest that BM-derived cells recruited to pancreas before carcinogenesis induced pancreatic cancer progression, and also that some BM-derived macrophages transformed PSC-like cells..
175. Guan W, Nakata K, Ohuchida K, Sagara A, Endo S, Ando Y, Yan Z, Matsumoto S, Shinkawa T, Ohtsubo Y, Iwamoto C, Moriyama T, Ikenaga N, Shindo K, Ohtsuka T, Mizumoto K, Nakamura M, A Novel Target That Required for Autophagy, Associated With Activation of Pancreatic Stellate Cells, Promotes Pancreatic Cancer Progression, The 50th Annual Meeting of the American Pancreatic Association(APA), 2019.11.
176. Ando K, Ohuchida K, Otsubo Y, Sagara A, Kibe S, Takesue S, Nakayama M, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Ohtsuka T, Mizumoto K, Nakamura M, Neeroptosis in Pancreatic Cancer Promotes Cancer Cell Migration and Invasion by Release of CXCL5, The 50th Annual Meeting of the American Pancreatic Association(APA), 2019.11.
177. 野口彰子, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, 当科における十二指腸LECSの検討, 第30回九州内視鏡・ロボット外科手術研究会, 2020.09.
178. 野口彰子, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, 術前診断が困難であった前立腺癌胃転移の1例, 第116回日本消化器病学会九州支部例会, 2020.12.
179. 野口彰子, 森山大樹, 大内田研宙, 松吉隆仁, 進藤幸治, 仲田興平, 永井俊太郎, 中村雅史, 十二指腸下行脚に発生した胃型腫瘍に対して腹腔鏡内視鏡合同手術を施行した一例, 第82回日本臨床外科学会総会 , 2020.10.
180. 堤親範, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 中村聡, 赤川進, 末原伸泰, 難波江俊永, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中野徹, 中村雅史, 多発リンパ節転移を伴う胃癌患者168例における傾向スコアマッチングを用いた早期癌と進行癌の再発形式の比較, 第28回日本消化器関連学会週間(JDDW 2020), 2020.11, 早期癌におけるリンパ節転移の頻度は8%と少ないが、多発リンパ節転移を伴う早期胃癌の症例についての報告はさらに少なく、その特性や治療について定まった見解はない。今回、多発リンパ節転移を伴う胃癌に対する早期癌と進行癌の再発形式・術後再発期間を比較検討した。3施設において、2006年4月~2019年1月の13年間に胃切除術を施行した胃癌5000例中、多発リンパ節転移を伴う治癒切除となった早期癌24例と進行癌144例を対象とした。1:2傾向スコアマッチングにより早期癌群20例と進行癌群40例を選定し、成績を比較検討した。未調整モデルでは、早期癌は進行癌と比較して骨再発が有意に多く(p<0.0001)、リンパ節再発の術後再発期間は早期癌で有意に短かった(p=0.0371)。1:2傾向スコアマッチング法で選択した60例における検討では、いずれの再発形式も術後再発期間に有意差を認めなかったが、骨再発の頻度は早期癌において有意に高く(p=0.0178)、播種再発の頻度は進行癌において有意に高かった(p=0.0265)。�� |E>0\$OaVDK$d9|@^$K$h$C$FQOLを著しく損ない、骨転移発症からの生存も不良である。化学療法によってQOLならびに予後の改善が認められた報告もあり、骨転移再発の早期発見、早期治療が重要である。以上から、治癒的切除を施行した多発リンパ節転移を伴う早期胃癌においては特に骨転移再発に注意して術後サーベイランスを行う必要があると考えられた。.
181. 堤親範, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 赤川進, 難波江俊永, 末原伸泰, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 7個以上の多発リンパ節転移を伴う早期胃癌の検討, 第92回日本胃癌学会総会, 2020.07, 【背景】早期胃癌の8.9%でリンパ節転移を認めるが、胃癌手術における系統的リンパ節郭清は、胃切除術式により郭清範囲が定義されており、術前のリンパ節転移の評価が重要である。しかし、肉眼的にはリンパ節腫大がなくても病理学的に転移を認める症例も存在し、術前評価が困難であることも多い。多発リンパ節転移を伴う早期胃癌の症例についての報告は少なく、その特性や術後補助療法を含めた治療について定まった見解はない。【目的】早期胃癌N3症例の特性、多発リンパ節転移のリスク因子、術後補助療法と予後について検討する。【対象】2000年9月から2018年10月の18年間に施行した胃癌手術のうち、病理学的リンパ節転移7個以上(pN3)を伴うT1症例23例について検討した。【結果】リンパ節転移が7個以上16個未満は19例(82.6%)、16個以上の症例は4例(17.4%)、未分化型は18例(78.3%)、分化型は4例(17.4%)であった。腫瘍径の大きさは平均41.3 mm(10-125 mm)であり、18例(78.3%) 20 mmを超えており、20例(87.0%)で陥凹を伴っていた。また、術後補助療法は19例(82.6%)で施行していた。術後5年経過した症例(12例)での検討では、5年以上の長期生存例は6例(50%)であり、その内無再発生存例は4例 で、その全てがリンパ節転移15個以下の症例 (N3a)であった。再発2例はいずれも術後補助療法を施行し5年以上長期生存を得ていた。【結論】早期胃癌N3症例では未分化型、腫瘍径20 mm以上、陥凹型が多く、多発リンパ節転移のリスク因子と考えられた。また、5年生存例の全てがN3aの症例であり、16個以上のリンパ節転移は予後不良因子であると考えられた。一方、術後補助療法は進行癌と同様に有効で長期生存に寄与する可能性があるが、その予後は進行癌のN3症例と同程度に不良である。.
182. 堤親範, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 三好圭, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 江藤正敏, 中村雅史, 胸骨後経路における縫合不全発生予防目的の縦隔シフトを伴う吻合部引き下げの有効性, 第74回日本食道学会学術集会, 2020.12, 従来の後縦隔経路胃管再建は縫合不全が156例中1例(0.65%)で良好な成績であった。しかし、後縦隔経路は肺瘻、気管支瘻のリスクがあり、遅発性の肺瘻を2例(1.3%)経験した。一方、胸骨後経路は挙上後に胃管の圧迫のため血流不全となることがICG評価で明らかであったため、これが縫合不全のリスクを高めると考えてきた。そこで胸骨後経路での胃管圧迫を軽減するために胃管の細径化をICG評価により壁内血流を確認しながら進めてきた。また、直近、55例の食道癌症例の3D画像を用いて術前後の上縦隔空間を検討し、上縦隔の気管前後の空間は症例により個別差が大きく、胸骨後経路では術後に気管の偏位を認め、それらに応じて胃管圧迫の程度には個別差があった。実際、ICGで胃管血流の確認後に虚血領域を追加切除することを導入し、圧迫解除のため胃管をより細径化するとともに吻合部の引き下げと縦隔シフトとして鎖骨骨頭の背側までの剥離と上縦隔の背側への持続的圧排により上縦隔全体を気管ごと右側背側に偏位させる手技を導入した。術後CTで気管と周囲の主要血管の背側�� "1&B&$X$NJP0L$*$h$SJ-9gIt$N0LCV$r8!F$$7$?$H$3$m!"=D3V%7%U%H$K$h$j$,JP0L$O82Cx$H$J$j!"5s>e0_4I$N%9%Z!6a30例の胸骨後経路症例における縫合不全に関して検討した。全症例おいて、Grade2以上の縫合不全は4例(13%)、2週間以上の絶食を必要とした難治性症例は4例(13%)であった。吻合部引き下げ導入後も、吻合部の位置は残存頸部食道の長さに依存するため、全例で十分な引き下げは実現できなかったが、胸骨上縁まで引き下げられた症例における縫合不全は14例中1例(7%)で縦隔シフトを導入する以前の症例であった。吻合部引き下げが十分な症例は不十分な症例と比較すると縫合不全率はP=0.012と有意に低値であった。また、縦隔シフト導入後十分な吻合部引き下げが行えた症例においては現在のところ縫合不全を認めていない。今回、細径胃管の導入による圧迫の解除、端々吻合とICG導入による胃管先端の虚血域の追加切除、残食道と胃管の直線化および圧迫解除を目的とした吻合部引き下げ、胃管挙上スペース作成のための縦隔シフトに重点を置いた胸骨後経路細径�� 0_4I:F7z$N
183. 堤親範, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 腹腔鏡下噴門側胃切除後のダブルトラクト再建における逆蠕動性胃空腸吻合症例の検討, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12, 胃関連疾患に対する腹腔鏡下手術の普及は急速に進んでおり、当科においては1996年に導入して以来、これまで1345例の腹腔鏡下胃切除術を施行している。その中で、食道胃接合部癌や胃上部早期癌など限られた症例に対して、89例の腹腔鏡下噴門側胃切除術を施行してきた。当初の再建方法は食道残胃吻合を選択していたが、近年はダブルトラクト法による再建を基本としている。ダブルトラクト法における食道空腸吻合は胃全摘術と同様にオーバーラップ変法で行い、胃空腸吻合とその共通孔閉鎖は体腔内でリニアーステープラーを用いている。当科では術後透視検査で流入の主経路や逆流の評価を行っており、ダブルトラクト法導入当初は、残胃が下垂したり、小腸への流入が主経路になることが多かった。2018年以降、食道胃空腸吻合部から残胃空腸吻合部間の距離を約10cmから約7cmとし、共通孔閉鎖の方向変更や胃の挙上など再建の工夫を報告してきた。しかし、症例によっては術後の透視検査で胃への流入が乏しいものもあったため、2019年以降は胃空腸吻合を行う残胃の吻合位置をより前庭部側に変更�� 7!"5Uj@F0@-$KB&!9J-9g$r9T$C$F$$$k!#$3$N5Uj@F0@-B&!9J-9g$H0_>.W?$N2#3VKl8GDj$K$h$j!"0_6uD2J-9gIt$NfjLgB&$,N)0L$GF,B&$KJP0L$9$k!#$3$l$K$h$C$F!"=Q8eF);k$G0_$X$NN.F~$,I>u$r$-$?$9>INc$,$"$C$?!#$=$N$?$a!"p-ringからの吻合部まで距離を適宜変更し、現在、可能であれば10cmの距離を確保している。逆蠕動性吻合を行った6症例を含む直近20例(PS2以下)を検討した。逆蠕動性吻合を施行した6例において、造影剤のほとんどが胃へ流入した。20症例中、胃への流入が主経路であり、ダンピング症候群かつ下痢がない症例は8例であった。小腸への流入が主経路、ダンピング症候群、下痢のいずれかを認める症例と比較したところ、体重減少が有意に少なかった(P=0.02)。以上から、ダブルトラクト再建においては胃へ流入およびダンピング症候群や下痢が出現しないことが術後のQOLを保つうえで重要であると考えられた。今�� s!"Ev2J$K$*$1$kJ"9P6@22A$K4X$7$FJs9p$9$k!#.
184. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 野口彰子, 仲田興平, 永井俊太郎, 清水周次, 中村雅史, 膵臓の位置に応じたロボット胃切除手術のポート位置決定、デバイス選択の工夫, 第30回九州内視鏡・ロボット外科手術研究会, 2020.09.
185. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 三好圭, 永井俊太郎, 仲田興平, 清水周次, 中村雅史, 鏡視下食道切除後胃管再建における単一施設,同一手技による三角吻合の後縦隔経路と胸骨後経路の治療成績の比較, 第28回日本消化器関連学会週間(JDDW 2020), 2020.11.
186. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 超音波凝固装置を用いたロボット胃切除のピットフォールとトラブルシューティング, 第92回日本胃癌学会総会, 2020.07.
187. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 江藤正俊, 中村雅史, 反回神経麻痺を防ぐための腸間膜化非先行コンセプトに基づく上縦隔郭清手技の工夫, 第74回日本食道学会学術集会, 2020.12.
188. 大坪慶志輝, 大内田研宙, 奥田翔, 新川智彦, 岩本千佳, 進藤幸治, 森山大樹, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, Targeted scRNAseqによる胃癌微小環境の機能的heterogeneityの解明, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12.
189. 大坪慶志輝, 大内田研宙, 奥田翔, 久野恭子, 持田郁己, 伊達聡美, 新川智彦, 松本奏吉, 相良亜希子, 岩本千佳, 進藤幸治, 森山大樹, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史, Single cell解析による胃癌微小環境内免疫細胞のheterogeneityの解明 , 第120回日本外科学会定期学術集会, 2020.08.
190. 進藤幸治, 大内田研宙, 畑佳孝, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, 食道にかかる胃噴門部平滑筋腫に対して内視鏡的腫瘍摘出術を併用したLECSの1例, 第30回九州内視鏡・ロボット外科手術研究会, 2020.09.
191. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 鳥巣剛弘, 森山智彦, 大塚隆生, 中村雅史, 当院における十二指腸腫瘍に対するLECSと内視鏡的切除の短期成績の比較, 第28回日本消化器関連学会週間(JDDW 2020), 2020.11.
192. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 腸瘻を軸とした腸捻転症を防ぐための腹腔鏡下腸瘻造設術の工夫, 第56回日本腹部救急医学会総会, 2020.10.
193. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 十二指腸腫瘍に対するLECSの適応とトラブルシュート, 第120回日本外科学会定期学術集会, 2020.08.
194. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の郭清手技に注意を要する主要静脈の走行パターンの検討, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12.
195. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除での幽門下領域郭清における術者の立ち位置による違い, 第92回日本胃癌学会総会, 2020.07.
196. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 中村雅史, 鏡視下食道切除術後7年目に発症した良性胃管通過障害に対するステント治療の経験, 第74回日本食道学会学術集会, 2020.12.
197. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 食道表在癌pT1N0症例の術後再発の特徴と治療経過に関する検討, 第28回日本消化器関連学会週間(JDDW 2020), 2020.11, 【目的】 食道癌は消化器癌の中でも術後再発率が高く、Stage I食道表在癌(T1bN0M0)でも5年生存率は76.8%に留まっている(Esophagus 2016)。今回、病理学的リンパ節転移を認めなかったpT1N0症例(Stage 0, I)の術後再発例について、その特徴と再発リスク因子を検討した。【方法】 当科で2000年1月から2015年12月の間に施行した食道癌根治手術(食道切除術)271例のうち、pStage 0またはI症例105例について、臨床病理学的因子および治療経過を後ろ向きに検討した(観察期間中央値:60.5か月)。再発群と非再発群を比較して、再発リスク因子を検討した。【成績】 pStage 0(T1aN0)47例のうち1例(2.1%)、pStage I(pT1bN0)58例のうち5例(8.6%)に術後再発を認めた。再発群における初回手術時の主病変位置は、Mt 5例、Lt 1例であり、手術時の病理学的深達度は、T1a-LPM 1例、T1b-SM1 1例、SM2 1例、SM3 3例であった。手術から再発までの期間は11.8-47.7�
$B$+7n!JCf1{CM31.5か月)であり、全再発例(中央値10.8か月)よりも再発までに長い期間を要した。再発部位は、胸腔(局所または縦隔リンパ節)3例、腹腔2例、肺転移4例、その他1例であり(重複あり)、頚部リンパ節転移や肝転移は認めなかった。再発判明後の生存期間は9.1-47.0か月(中央値11.3か月)であり、再発6例中2例において再発判明後3年以上の生存が得られた。なお、1例は治療が奏功したまま生存中である(41か月)。【結論】食道表在癌pT1aN0症例の2.1%、pT1bN0症例の8.6%に術後再発をきたした。リンパ節転移のない食道表在癌症例では、それ以外の食道癌と比べて再発までに長期間を要することを念頭に置いた慎重な経過観察と、再発後も長期生存の可能性を考えた治療戦略を検討する必要がある。.
198. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, リンパ節転移多数例からみた胃癌術後成績の検討, 第120回日本外科学会定期学術集会, 2020.08, 【背景】胃癌手術における系統的リンパ節郭清は、胃切除術式によりその郭清範囲が定義されているため、術前のリンパ節転移の有無を評価が重要である。しかし、肉眼的にはリンパ節腫大がなくても病理学的に転移があるものも多く、その評価は難しいことがある。また、リンパ節転移多数例(N3)の予後は不良であるが、N3症例における術後化学療法について決まった見解はない。【目的】胃癌N3症例の治療成績を検討し、そのリスク因子や適切な術後化学療法について検討する。【対象】2007年4月から2017年3月の10年間に当科で施行した胃癌手術のうち、病理学的リンパ節転移7個以上(pN3)の74例について検討した。観察期間中央値は25か月、施行術式は胃全摘42例(57%)、幽門側胃切除32例(43%)であった。深達度はT2が7例(9%)、T3が33例(45%)、T4aが27例(36%)、T4bが4例(5%)であったが、T1b(早期癌)にも3例(4%)認められた。【結果】N3症�� c$N$&$A!"=Q8e5年無再発生存例は10例(13.5%)に認められた(N3a:9例、N3b:1例)。その全てで術後化学療法を開始され、術後S-1+CDDP療法施行例や術後1年を超えて化学療法を施行した例で長期生存を認めた。しかし、副作用等のため短期間で中止となったものでも3例は予後良好であった。一方、再発例においては、化学療法を行った結果、術後8年以上の生存例がみられたものあった。【結論】胃癌リンパ節転移多数例は予後不良であるが、術後化学療法によって長期生存が可能になる場合があり、今後も症例の蓄積と治療法の検討が必要である。.
199. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永井俊太郎, 大塚隆生, 永井英司, 清水周次, 中村雅史, 80歳以上の進行胃癌患者に対する術式選択と術後化学療法についての検討, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12, 【背景】進行胃癌に対する術後化学療法の有効性はすでに明らかであるが、これまで行われてきた多くの臨床試験には80歳以上の患者が含まれておらず、厳密には、高齢患者におけるこの治療の有効性は明らかにされていない。また、高齢患者に対しては、術後合併症の重篤化や術後ADL低下への影響を懸念して、胃全摘を避け、郭清範囲を縮小することが望ましいという意見も多い。このような場合、縮小手術を行った上で術後化学療法を行うべきか、決まった方針はない。
【目的】80歳以上の進行胃癌患者に対する術式、リンパ節郭清、術後化学療法の有無による予後への影響を検討する。
【対象】2007年4月から2017年3月の10年間に当科で施行した胃癌手術のうち、80歳以上の進行胃癌43例(80-88歳)について、後ろ向きに検討した。施行術式は胃全摘11例(26%)、噴門側胃切除9例(21%)、幽門側胃切除20例(47%)であった。リンパ節郭清はD1またはD1+を13例(30%)、D2を26例(60%)に施行した。最終病期はStage I が13例(30%)、Stage IIが 16例(37%)、Stage III 8例(19%)、Stage IV 6例(14%)であった。
【結果】郭清度による術後合併症や術後在院日数の差はほとんどなかった(D1/D1+ 10日、D2 10.5日)が、術後合併症を有した群は、術後合併症がなかった群よりも予後不良であった。また、胃全摘群は胃温存群(噴門側胃切除および幽門側胃切除)よりも予後不良であった。また、胃温存群においてD2施行群はD1/D1+施行群に対して予後改善効果を示さなかった(生存期間中央値:D1/D1+群48か月、D2群25か月、p=0.21)。また、術後化学療法の適応となるStage IIおよびStage III 24例のうち12例に術後化学療法が施行されたが、そのうち半数は副作用や認知症などのため継続困難であった。結果的に術後化学療法による予後改善効果は示されなかった。また、観察期間内の死亡例は原病死よりも他病死の方が多かった。
【結語】高齢胃癌患者において、D2郭清や術後化学療法が予後改善に寄与したかどうかは不明であった。高齢患者に対しては、可能な限り胃全摘を避け、術後合併症を極力減らすことの方が重要と考えられた。.
200. 新川智彦, 大内田研宙, 持田郁己, 久野恭子, 奥田翔, 大坪慶志輝, 岩本千佳, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, , R-spondin依存膵癌オルガノイド形成に関わる膵星細胞由来微小環境因子の検索, 第120回日本外科学会定期学術集会, 2020.08, [背景] 膵癌は豊富な間質を特徴とした癌であり, その癌特異的間質から誘導される微小環境因子が癌の増殖/進展に寄与しているとされる. 近年, 膵癌オルガノイドを用いた研究により, Wnt/R-spondinといった微小環境因子に依存性をもつ膵癌subtypeが報告されているが, 実際の膵癌組織におけるR-spondinの供給源は不明である. [目的] R-spondin依存膵癌オルガノイド形成に関わる膵星細胞由来微小環境因子を検索する. [方法] ヒト膵癌切除検体より膵癌オルガノイド樹立を行い, Wnt/R-spondinに対する依存性を評価した. R-spondin依存膵癌オルガノイドと膵星細胞の直接/間接共培養モデルを作成し, R-spondin非存在下におけるオルガノイド形成能を評価した. 膵星細胞に膵癌オルガノイド上清を添加し, R-spondin1~4の発現変化を評価した. 免疫染色により膵癌組織におけるR-spondin3の局在を評価した. R-spondin依存膵癌オルガノイドにrecombinant R-spondin3を投与し, �$
B%*%k%,%N%$%I7A@.G=$*$h$SA}?#G=$rI>2A$7$?. [結果] 10症例のヒト膵癌オルガノイドを樹立した. いずれもWnt非依存であり, 2例はR-spondin依存であった. R-spondin依存膵癌細胞と膵星細胞をR-spondin非存在下で間接共培養した場合ではオルガノイド形成を認めなかったが, 直接共培養ではオルガノイド形成を認めた. 膵星細胞にオルガノイド上清を添加するとR-spondin3の発現が有意に増加した. 実際の組織標本においてR-spondin3はR-spondin依存膵癌細胞と膵星細胞の一部で検出された. R-spondin3はよく報告されている膵癌オルガノイドを培養する際に添加するR-spondin1よりもより低濃度でオルガノイド形成および増殖を促進した。(EC50= R-spondin1 vs R-spondin3 ; 198.1 vs 56.4 ng/μl)[結論] R-spondin依存膵癌オルガノイドはR-spondin非存在下でも膵星細胞と直接共培養することでその形成が促進された. また, 本検討結果より, 活性化膵星細胞がR-spondin3を分泌することでオルガノイド増殖に�� 4sM?$7$F$$$k2DG=@-$,
201. 新川智彦, 大内田研宙, 奥田翔, 大坪慶志輝, 岩本千佳, 進藤幸治, 仲田興平, 大塚隆生, 中村雅史, 微小環境因子依存性に基づいた膵癌subtype分類および薬物治療抵抗性についての検討, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12, [背景] 膵癌は豊富な間質を特徴とした癌であり, その癌特異的間質から誘導される微小環境因子が癌の増殖/進展に寄与しているとされる. 近年のオルガノイド培養技術の発展に伴い, 微小環境因子を添加することによって従来の血清培地のみでは樹立不可能であった膵癌細胞が樹立可能となった. これまでは従来の膵癌細胞株に代表される微小環境因子非依存性の膵癌subtypeに対する薬物投与試験は行われてきたが, 微小環境因子に依存性を示す膵癌subtypeとの薬剤反応性を比較検討した報告はない.[目的] 微小環境因子依存性に基づいた膵癌subtype分類を行い, 微小環境因子依存性と薬物治療反応性の相関を検討する.[方法] ヒト膵癌切除検体より膵癌オルガノイドの樹立を行い, 実際の組織標本と比較し形態学的評価を行った. 微小環境因子への依存性を評価するため, ウシ胎児血清(FBS)添加培地と微小環境因子添加培地間でオルガノイド形成能および細胞増殖能を比較した。 微小環境因子依存性膵癌オルキ)タ」・離ぅ匹泌浩浦挧Δ, 微小環境因子を含まない血清培地で直接/間接共培養を行い, オルガノイド形成能および増殖能を評価した. また, 微小環境因子依存/非依存膵癌オルガノイドにそれぞれGemcitabineを投与し, 薬剤反応性を比較した。[結果] 10症例のヒト膵癌オルガノイドを樹立した. いずれの膵癌オルガノイドも実際の組織標本における膵癌の形態学的特徴を保持していた。樹立したオルガノイドのうち5例はFBS群よりも微小環境因子群において有意にオルガノイド形成能および増殖能が高く, そのうち2例はR-spondinへの強い依存性を示した. 微小環境因子を含まない血清培地で, 微小環境因子依存性膵癌細胞と膵星細胞を間接共培養した場合ではオルガノイド形成を認めなかったが, 直接共培養ではオルガノイド形成を認めた. Gemcitabineを用いたcell viability assayでは, 微小環境因子依存性膵癌オルガノイドが非依存群よりもGemcitabineに対する抵抗性を示した. [結論] 微小環境因子依存性膵癌オルガノイドは微小環キ)タエ⑯・卮鸞減濂爾任砒浩浦挧Δ板樟楸η殕椶垢襪海箸任修侶狙・・タ覆気, 実際の膵癌組織中において膵星細胞が微小環境因子の主な供給源と考えられた. また, 膵癌細胞の微小環境因子への依存性が化学療法に対する反応性の指標となり得ることが示唆された..
202. 松吉隆仁, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 中村雅史, 胸腔鏡および内視鏡合同手術で安全に切除し得た食道平滑筋腫の2例, 第28回日本消化器関連学会週間(JDDW 2020), 2020.11, 序論)食道平滑筋腫に対する手術は核出術が基本であるが、従来の胸腔鏡下切除では切除部位の筋層に大きな欠損を来すことがあり、術後狭窄の一因となり得る。より低侵襲な手術として内視鏡的粘膜下腫瘍摘出術(POET:peri-oral endoscopic tumor resection)が開発されたが、腫瘍径や占拠部位によりその適応は限られる。今回、胸腔鏡および内視鏡合同手術で安全に切除し得た食道平滑筋腫の2例を経験した。
症例)1例目:胸部下部食道に最大径6cmの平滑筋腫を指摘された症例。手術は内視鏡的食道粘膜剥離を先行し、胸腔鏡下に縦郭胸膜と食道外膜筋層のみを切開して腫瘍を摘出した。筋層は胸腔鏡下に縫合閉鎖を行い、内視鏡のエントリーホールはクリップにて閉鎖した。手術時間は273分(内視鏡68分、胸腔鏡185分)、出血は25gであった。術後に狭窄や感染はなかった。
2例目:胸部中部食道右壁の最大径7cmの巨大な平滑筋腫の症例。腫瘍は気管、右気管支動脈および奇静脈を強く圧排していた。手術は、内視鏡下に開始し、粘膜下にトンネルを形成して腫瘍を可及的に剥離した。胸腔鏡手術に移行し、縦郭胸膜と食道外膜筋層を切開して粘膜下トンネルの空間と交通させて腫瘍を核出した。食道の全周性剥離による受動は不要であり、気管や大動脈に触れることなく腫瘍は核出できた。切開した筋層は縫合閉鎖を行い、内視鏡下にエントリーホールをクリップで閉鎖して手術を終了した。手術時間は392分(内視鏡137分、胸腔鏡186分)、出血は少量であった。術後に狭窄や感染はなかった。
考察)胸腔鏡および内視鏡合同手術で安全に腫瘍を切除し得た食道平滑筋腫の2例を経験した。腫瘍径が大きく、他臓器の接触や圧排が認められても、損傷なく腫瘍を切除できた。また、粘膜と筋層の損傷を最小限にすることで狭窄や感染などの術後の合併症を低減させることが期待される。.
203. 松吉隆仁, 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 川床慎一郎, 保利喜史, 山元英崇, 藤岡審, 鳥巣剛弘, 永井俊太郎, 大塚隆生, 中村雅史, 十二指腸下行脚に発生した胃型腫瘍に対して腹腔鏡内視鏡合同手術を施行した一例, 第115回日本消化器病学会九州支部例会・第109回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2020.06.
204. 小山虹輝, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 三好圭, 永井俊太郎, 大塚隆生, 清水周次, 中村雅史, 縦隔シフトと吻合部引き下げ,ICG評価により細径胃管の圧迫解除を目指した胸骨後経路再建の工夫, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12, 従来の後縦隔経路胃管再建は縫合不全が156例中1例(0.65%)で良好な成績であった。しかし、後縦隔経路は肺瘻、気管支瘻のリスクがあり、遅発性の肺瘻を2例(1.3%)経験した。一方、胸骨後経路は気管支や肺との接地面がほとんどなく瘻孔形成のリスクが低いが、挙上後に胃管の圧迫のため循環不全となるため縫合不全のリスクがあると考えてきた。そこで胸骨後経路での胃管圧迫を軽減するために胃管の細径化を進めた。この胃管の細径化はICG評価により壁内血流を確認しながらすすめた。当初は4cmほどであったが、最近では3cm幅でも特に胃管血流に問題ないことがわかってきた。また、ICG評価により、細径胃管の先端の血流が不良であるものを判別できるため、必要に応じて追加切除を行っている。基本的には(1)ほとんど血流がない領域と(2)血流が低下している領域と(3)正常な領域を認識している。これまでの36例において14例(39%)に(2)の領域を認め、内3例(8.3%)に(1)の領域を認めた。(1)の領域は必ず追加切除kオ梃C討い襦・任④襪世(2)の領域も追加切除しているが、胃管長が十分でない時は(2)の領域を吻合部に使用することもある。さらに、胃管の圧迫解除を目的に吻合部の引き下げと縦隔シフトを導入した。吻合部引き下げは、吻合部を胸骨上縁より尾側まで引き下げることを目標とするが、残存頸部食道が短い症例もあるため施行が難しい症例もある。縦隔シフトは、鎖骨骨頭の背側までの剥離と上縦隔の背側への持続的圧排により上縦隔全体を気管ごと右側背側に偏位させる手技であるが、これにより術後CTで気管と周囲の主要血管の背側、右側への偏位が顕著となり、挙上胃管のスペースを確保することが可能となった。現在まで吻合部引き下げと縦隔シフトを行えた症例では9例中1例のみにGrade1の縫合不全を認めるのみで、Grade2以上の縫合不全はない。今回、前述のICG評価、吻合部引き下げ、縦隔シフトに重点を置いた胸骨後経路細径胃管再建の手技に関して報告する。.
205. 小山虹輝, 大内田研宙, 森山大樹, 畑佳孝, 進藤幸治, 中村雅史, 食道平滑筋腫に対して内視鏡的に粘膜下トンネル作成後に胸腔鏡下手術を施行した一例, 第74回日本食道学会学術集会, 2020.12, 患者は42歳、女性。20XX年Y月より食後の心窩部痛を認めており、Y+5月の職場の健診で胸部X線写真で左肺野の異常を指摘され、前医でCT検査を行われた。CTでは下部食道背側に、食道を取り囲むように発育する長径60mmの粘膜下腫瘍様の病変を認めた。上部消化管内視鏡検査では食道胃接合部に管外性の圧排を疑う所見を認め、EUS(Endoscopic Ultrasound)では同部に下部食道を約2/3周性に取り囲むような形で均一な低エコー性腫瘤を認めた。EUS-FNA(Endoscopic Ultrasound-guided fine needle aspiration)の結果、平滑筋腫の診断となり、切除目的に当科に紹介となった。腫瘍のサイズ、形状を考慮し、Per-oral endoscopic myotomy(POEM)の手技を応用して胸腔鏡内視鏡合同手術を行うこととした。まず全身麻酔下・仰臥位で内視鏡操作を先行した。腫瘍の約3cm口側の粘膜に局注を行た上で、粘膜を切開してentryを作成した。肛門側に向かって、Triangle tip knifeを用いて粘膜下を剥離し、粘膜下層トンネルを作成した。腫瘍の肛門縁を超えるkオ棔「能淑・貿緩豌質悒肇鵐優襪鮃④欧晋紊法・攸慇擲・魎泙瓩真・山伊譴・蕕稜輓イ篭珊亢請犧遒嚢圓Δ海箸箸靴拭B琉未鮑姑省・薜未箸掘・7肋間にcamera port、第9肋間に12mm, 第5,8肋間に5mm portを挿入し、8mmHgの人工気胸下で右胸腔内4portsで胸腔鏡操作を開始した。胸腔内から下部食道に既知の平滑筋腫を確認し、食道周囲の剥離授動を行った後に、食道外膜・筋層を切離して腫瘍を露出させた。腫瘍に沿って剥離を進めると、内視鏡下に剥離した粘膜下層トンネルと連続した。腫瘍は食道を取り囲むような不整形であったが、内視鏡下に粘膜下層を剥離していたため、食道粘膜から授動されており容易に胸腔側へ引き出すことができた。最後に腫瘍の基部を切離して腫瘍切除を完了した。胸腔鏡下に筋層の欠損部を連続縫合で閉鎖し、内視鏡下に粘膜下層トンネルのentryをクリップで縫縮した。手術時間は297分、出血量は25g。50mmを超える不整形な食道粘膜下腫瘍においても、POEMの手技を応用することで胸腔鏡下腫瘍核出術が安全に施行することができた。食道粘膜下腫瘍に対するPOEM手技を併用キ)タ「靴振珊亢斉盪覿盛臚閏蟒僂諒鷙陲論こΔ任2例しか報告がない。内視鏡下で粘膜下剥離を先行することで腫瘍の可動性が高まり、従来なら食道切除が行われていた症例に対しても腫瘍核出術が可能となる。さらに、食道穿孔を防ぎ、筋層欠損部を最小限にすることで術後の食道狭窄を予防する点でも、有効で安全な手術法であると考えられる。.
206. 岩本千佳, 大内田研宙, 新川智彦, 大坪慶志輝, 奥田翔, 進藤幸治, 赤司浩一, 大塚隆生, 江藤正俊, 中村雅史, 膵癌微小環境下で骨髄造血幹細胞はCAF様の形態・機能を獲得し,膵癌の局所浸潤を誘導する, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12, 【背景・目的】膵癌は治療抵抗性や薬剤送達率の低下を引き起こす過剰な間質増生を特徴とし、それは活性化PSCによって引き起こされることが知られている。近年、腫瘍促進性に働くCAFの他に腫瘍抑制性に働くCAFが報告されており、腫瘍細胞だけでなくCAFにもheterogeneityが存在することが明らかとなってきている。また、間葉系幹細胞由来腫瘍間質が膵癌細胞の浸潤・転移を促すとの報告があるが、膵癌進展に対する骨髄由来細胞の関与およびその機序は未だ不明である。そこで癌微小環境のリモデリングと膵癌進展における骨髄由来細胞の関与を検討した。【方法】新生仔KC/KPCマウスを用いた同種骨髄移植マウスモデルを作製した後、FCM解析や免疫組織染色にてレシピエントマウスにおけるGFP陽性細胞の生着・分布を評価した。膵癌細胞と骨髄由来細胞を共培養し、膵癌細胞の遊走・浸潤・増殖能の評価も行った。膵癌細胞と骨髄由来細胞との相互作用を解明するため、膵癌培養上清添加実験により誘導される骨髄由来細胞の機能変化やサイトカイン産生も評価した。【結果】同種骨髄移・オ朏Cレシピエント膵臓では、萎縮した腺房細胞の周囲に骨髄由来GFP+細胞がみられ、KPCレシピエント膵臓では骨髄由来のmultilineageな造血細胞がinvasive frontに集簇していた。特にGFP+細胞の局在とマクロファージやTAMやaSMA+細胞の局在が類似していることが示された。KPC膵臓に見られるCAF様の形態を示すaSMA+細胞には骨髄由来GFP+細胞のものが存在した。膵癌細胞と共培養した骨髄由来マクロファージは膵癌細胞の浸潤を促進した。また、膵癌細胞の上清を添加した骨髄由来マクロファージでは、腫瘍促進性に働くサイトカインの上昇を認め、膵癌細胞の浸潤・遊走を促進した。さらに対照群と比較して膵癌細胞の上清を添加した骨髄由来マクロファージでは、CAF特異的なマーカーの発現を認めた。【考察】発癌前に膵臓に誘導されたmultilineageな骨髄由来細胞が、膵癌の浸潤に関与していることを明らかにした。CAFの中にはPSCやMSC由来以外に、骨髄の造血幹細胞由来のCAFが存在することを新たに見出し、さらに、膵癌細胞との相互作用により、CAF様の機能を獲キ)タト世靴森鋻駘獲茱泪・蹈侫 璽犬・拘盧挧Δ凌蚕瓩鮴萋海垢襪海箸・┷兇気譴拭.
207. 奥田翔, 大内田研宙, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史 , Single-cell RNA-sequenceを用いた食道扁平上皮癌微小環境の解明, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12, 本邦における食道癌のうち90%以上が扁平上皮癌である。その中でもStage II, IIIについては術前化学療法(NAC)後の切除が標準治療とされているが、その5年生存率は満足のいくものではない。加えて近年、治療手段として免疫チェックポイント阻害薬が登場しているがこの効果は症例によって差があり、腫瘍微小環境における癌免疫・免疫寛容に関わる機序のさらなる理解が必要と考えられる。
今回我々は、当科にて食道扁平上皮癌に対しNAC後に手術加療を行った症例について、手術摘出標本よりその腫瘍部、および正常部の組織を採取し、643遺伝子を標的遺伝子としたtarget panelを用いたsingle-cell RNA-sequenceを行った。その結果得られた細胞ごとのmRNA発現からそれぞれの組織の細胞構成を同定、分類し、分類された細胞集団ごとの機能に関して解析、比較した。
同定された細胞は腫瘍組織と正常組織合わせて10,100個であり、各組織で別個にクラスタリングを行い、リンパ球系としてマクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、そして樹状細胞と考えられる既知のクラスター、さらに上皮系細胞のクラスター、線維芽細胞のクラスターに分類した。マクロファージに関しては、腫瘍組織、正常組織の両組織において高い頻度で同定されたが、その細胞集団を再クラスタリングしたところ、異なった機能を有すると考えられる複数の細胞集団があることが明らかになった。また、これらの細胞集団の分布は、腫瘍組織と正常組織で異なっていた。また、本検討による分類は、既存のM1,M2マクロファージなどの分類とは一致するものではなかった。樹状細胞など他の既存の細胞集団に関しても今回行ったクラスタリングにより機能が異なる細胞集団への分類が可能であり、既存の分類とは異なるものが複数あった。
今回の検討で、実際のヒト癌微小環境中に存在する細胞集団は、既知の集団の中でさらに機能的な層別化が可能であり、機能的なheterogeneityが存在することが明らかになった。また、本症例は術前に抗癌剤治療を行った症例であり、微小環境中の癌免疫・免疫寛容状態が化学療法により修飾されている可能性があり、未治療症例の解析など今後もデータを蓄積していく必要があると思われる。.
208. 奥田翔, 大内田研宙, 伊達聡美, 久野恭子, 持田郁己, 大坪慶志輝, 新川智彦, 松本奏吉, 相良亜希子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 大塚隆生, 水元一博, 中村雅史 , Single-cell RNA-sequenceを用いた術前化学療法後食道扁平上皮癌の解析, 第120回日本外科学会定期学術集会, 2020.08, 本邦における食道癌のうち90%以上が扁平上皮癌である。その中でもStage II, IIIについては術前化学療法(NAC)後の切除が標準治療とされているが、5年生存率はそれぞれ56%, 29%と満足のいくものではない。治療抵抗性については腫瘍内不均一性(intratumor heterogeneity:ITH)が一因と考えられており、その詳細を理解、解明することはより適切な治療戦略を検討する上で極めて重要である。
今回我々は、当科にて食道扁平上皮癌に対しNAC後に手術加療を行った症例について、手術摘出標本よりその腫瘍部を採取し、single-cell RNA-sequenceを用いて腫瘍組織の細胞構成およびその同定された細胞集団ごとの機能に関して解析した。
同定された細胞は1,771個、1細胞当たりの平均遺伝子数は2,280個であり、t-SNEプロットを行ったところ腫瘍組織系とリンパ球系、死細胞系のクラスターに大別された。腫瘍組織のクラスターには広くS100A7やSOX2の発現が確認されたが、有意発現遺伝子を基に6サブクラスターに細分化された。リンパ球系クラスターは、有意発現遺伝子からは主にT cellとマクロファージからなると考えられた。
腫瘍組織のサブクラスター分類から示唆される単一腫瘍内の腫瘍細胞以外のITHの存在にも着目し、治療抵抗性に寄与している因子を同定して新規治療戦略を検討すべく、gene ontology解析、pathway解析など更なる解析を加え報告する。.
209. 阿部俊也, 田村公二, 進藤幸治, 病的な生殖細胞系遺伝子変異はサーベイランス中の膵癌高リスク患者における膵癌発生の危険因子である, 第75回日本消化器外科学会総会, 2020.12, 【緒言】これまでに、家族性膵癌や病的な生殖細胞変異を持つ患者が正常人と比べて膵癌発症のリスクが高いことはすでに報告されているが、この両者のうち、どちらが膵癌発症のリスクが高いかに関しては明らかではない。
【目的】前向きサーベイランスを受けている膵癌の高リスクの患者の中で、病的な生殖細胞系遺伝子変異を持つ患者と既知の生殖細胞系変異のない家族歴(家族性リスクのみ)の患者間による膵悪性新生物発生率などを比較すること。
【方法】ジョンズホプキンス大学病院の膵癌前向きスクリーニングプログラム(CAPS)において、サーベイランスを受けている464人の高リスクな患者のうち、119人が膵癌感受性遺伝子に病的な生殖細胞系遺伝子変異を認めた。 その他の345人が膵臓サーベイランスの家族歴基準を満たしていたが、これまでに生殖細胞系遺伝子変異を有することは知られていなかったため、これらの345人の中でこれまで認識されていなかった生殖細胞系遺伝子変異を持つかどうか検討するために次世代シークエンサーを用いて解析を行い、両群を再グループ化することにより、より正確に両群における膵悪性新生物発生のリスクを評価した。
【結果】家族性膵癌のリスクを有すると分類された345人のうち15人(4.3%)において、以前には認識されていなかった膵癌感受性生殖細胞遺伝子変異を有していた(9人:ATM、2人:BRCA2、1人:BRCA1、1人;PALB2、1人;TP53、1人:CPA1)。この結果をもって、より正確に両群を再グループ化し、膵悪性新生物発生率を解析したところ、生殖細胞系変異リスク群(n = 134)の方が家族性リスク群(n = 330 [膵癌、ハザード比、 2.85; 95%CI、1.0~8.18; P=0.05])よりも膵癌、high-grade dysplasia、または臨床的なWorrisome featuresの累積発生率が優位に高かった。
【結論】膵悪性新生物の累積発生率は、膵癌ハイリスク患者間において、膵癌家族歴のみの群と比較して、病的な生殖細胞系遺伝子変異を有する人の方が有意に高いことが分かった。家族歴に基づいて膵臓がんのサーベイランスに入る基準を満たす患者に対する癌遺伝子検査を行うことにより、膵悪性新生物発生のリスクが最も高い人をよりよく同定できる可能性がある。


<英文抄録>
PURPOSE
To compare the risk of neoplastic progression by germline mutation status versus family history without a known germline mutation (familial risk) among individuals with an increased risk for pancreatic cancer who are undergoing surveillance.
METHODS
Of 464 high-risk individuals in the Cancer of the Pancreas Screening program at Johns Hopkins Hospital who were undergoing pancreatic surveillance, 119 had a known deleterious germline mutation in a pancreatic cancer susceptibility gene; 345 met family history criteria for pancreatic surveillance but were not known to harbor a germline mutation. We used next-generation sequencing to identify previously unrecognized germline mutations among these 345 individuals. We compared the development of pancreatic cancer, high-grade dysplasia, or clinically worrisome features, adjusting for competing mortality, among all germline mutation carriers with the risk of progression in a cohort without a known germline mutation.
RESULTS
Fifteen (4.3%) of 345 individuals classified as having familial risk had a previously unrecognized pancreatic cancer susceptibility gene mutation (nine that involved ATM, two BRCA2, one BRCA1, one PALB2, one TP53, and one CPA1). The cumulative incidence of pancreatic cancer, high-grade dysplasia, or worrisome features on pancreatic imaging was significantly higher in the germline mutation risk group (n = 134) than in the familial risk group (n = 330 [for pancreatic cancer, hazard ratio, 2.85; 95% CI, 1.0 to 8.18; P = .05]).
CONCLUSION
The cumulative incidence of pancreatic cancer is significantly higher among individuals with an identifiable deleterious germline mutation in a pancreatic cancer susceptibility gene than it is among individuals with a strong family history but no identified mutation. Gene testing of individuals who meet criteria for pancreatic surveillance on the basis of their family history may better define those most at risk for neoplastic progression.
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210. Shinkawa T, Ohuchida K, Matsumoto S, Iwamoto C, Shindo K, Nakata K, Ohtsuka T, Nakamura M, Subtype classification of pancreatic ductal adenocarcinoma based on microenvironmental niche factors dependency and chemotherapy resistance, 14th World Congress of International Hepeto-Pancreato-Biliary Association(IHPBA), 2020.11, [Introduction] Abundant stroma of pancreatic ductal adenocarcinoma (PDAC) produces various microenvironmental <niche> factors. PDAC organoids have different dependencies on niche factors; while there are PDAC subtypes independent of niche factors as represented by conventional pancreatic cancer cell lines, there are also PDAC subtypes that strongly depend on niche factors. We performed the PDAC subtype classification based on niche dependency and their morphological phenotypes and investigated the correlation between niche dependency and drug treatment response.[Methods] PDAC organoids were validated the morphology compared with the primary tissue. The proliferation assay was performed in medium supplemented with fetal bovine serum (serum medium) or with niche factors (niche medium), respectively. Niche dependent organoids and pancreatic stellate cells (PSCs) were cocultured in serum medium to evaluate their organogenesis. Gemcitabine was ad
ministered to niche dependent/independent organoids, and the drug sensitivity was compared.[Results] All eight PDAC organoids retained the morphological features in the primary tumors and were classified into poorly, moderately, and well differentiated subtypes. While all the poorly differentiated subtypes showed significantly higher proliferation in serum medium, all the well differentiated subtypes showed significantly higher proliferation in niche medium. When directly cocultured with PSCs, niche dependent organoid strongly formed the organoid structure in serum medium. The viability assay using Gemcitabine showed niche dependent organoids had more resistance to Gemcitabine than the independent organoids.[Conclusion] The niche dependency was correlated with the tumor differentiation. Niche dependent PDAC organoids had more resistance to chemotherapy than the independent organoids. .
211. Iwamoto C, Ohuchida K, Shinkawa T, Otsubo Y, Shindo K, Moriyama T, Nakata K, Ohtsuka T, Nakamura M, Human macrophages-derived CAF-like cells lead the invasion of pancreatic cancer, 14th World Congress of International Hepeto-Pancreato-Biliary Association(IHPBA), 2020.11, Introduction: Pancreatic cancer is characterized by a desmoplastic reaction, which provokes treatment resistance. Recently, it has been reported that CAFs have heterogeneity, tumor-promoting or tumor-suppressive CAFs. The origin of CAFs on tumor progression and its mechanism remains unclear. In the pancreatic tumor, there are macrophages, but its origin is also unclear. Our previous data showed bone marrow-derived macrophages accumulated in the pancreatic tumor. Therefore, we aimed to investigate the involvement of peripheral blood (PB)-derived macrophages with CAF in pancreatic cancer microenvironment.Methods: Human pancreatic cancer cells (PCCs) were co-injected with PB-derived macrophages into immunodeficient mice to evaluate tumor development. Invaded or migrated PCCs were counted to investigate the involvement of PB-derived macrophages untreated or treated with PCCs-conditioned medium (CM) in the invasive and migratory capability of PCCs. We
examined changes in phenotype and function of PB-derived macrophages treated with PCCs-CM.Results: PCCs co-injected with PB-derived macrophages grew invasively in xenotransplantation models. Invasive and migratory capability of PCCs increased significantly when they were co-cultured with PB-derived macrophages untreated or treated by PCCs-CM. Some PB-derived macrophages treated by PCCs-CM expressed CAF marker. PB macrophages-derived CAF-like cells produced tumor-promoting cytokines, increased their own migratory activity, and led the invasion of PCCs.Conclusion: These data revealed that PB-derived macrophages were interacted with PCCs and transformed into CAF-like cells and induced the invasion of pancreatic cancer. Therefore, it was indicated that there is a subset of CAFs derived from macrophages although the origins of CAFs is thought to be pancreatic stellate cells or MSCs..
212. 費双, 岩本千佳, 大内田研宙, 新川智彦, 相良亜希子, 馮海旻, 張波, 河田純, 進藤幸治, 森山大樹, 池永直樹, 仲田興平, 小田義直, 中村雅史, Angiogenesis in cancer-associated acinar-to-ductal metaplasia lesion around the invasive front of pancreatic cancer., 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04.
213. 島田有貴, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , 術後5年以降に再発した進行胃癌3例の検討, 第29回日本消化器関連学会週間(JDDW 2021), 2021.11, (目的)術後5年フォローアップが推奨されるが、5年以降の再発もある。早期癌では術後5年以降再発の報告が散見されるが、進行癌ではない。本検討では術後5年以降の進行胃癌再発症例の臨床的特徴を明らかにする。
(対象)当科で2009年~2016年に根治切除した進行胃癌220例を対象に術後5年以降の再発症例の検討を行った。
(結果)3例に術後5年以降の再発を認めた。症例1は71歳男性。幽門側胃切除(por2 T3N2 StageIIIA)後、10年目に腹水が出現し細胞診Class Vで、PET陽性播種結節あり、播種再発を疑った。mFOLFOX6療法を1年継続後腹水は消失し、播種結節も指摘困難となったが、内ヘルニアとなり審査腹腔鏡を兼ね閉鎖術を行い、大網に複数の結節を認め摘出した。病理学的に10年前の胃癌原発巣に極めて類似した形態で、胃癌再発と診断された。現在、加療中である。症例2は78歳男ageIIIで術前治療はなく、術後1年S1を内服、再発後の治療は異なるが治療感受性は良好であった。
性。幽門側胃切除(tub1、T3N3 StageIIIB)後、6年目にCTで傍大動脈リンパ節再発を指摘され、1年のS1内服後本人希望で中止となり、再発後2年9か月で永眠された。症例3は53歳男性。胃全摘(por1、T3N3 StageIIIB)後、5年目にCTで脾門部に結節を認め、リンパ節再発とされた。現在、SOX療法中で転移巣は縮小傾向である。全例ともSt (結論) 3症例ともStageIIIで臨床病理学的因子や再発形式に特徴はないが、再発後の治療感受性は共通して良好であった。手術や化学療法の進歩により進行癌全体の短期再発の頻度は低下しているが、今後再発までの期間が5年を超える症例が増加する可能性がある。症例によっては胃癌サーベイランス期間の術後5年は妥当ではないかもしれない。.
214. 島田有貴, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 橋迫美貴子, 小田義直, 中村雅史, 転移性肝腫瘍との鑑別が病理学的に困難であった胆管過誤腫を伴った食道胃接合部癌の1例, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11, 胆管過誤腫は拡張した胆管の増生からなる小型病変であり、手術時や剖検時に偶然発見される稀な腫瘍である。術前画像では捉えられず、術中所見でも微小な肝転移との鑑別は不可能であるが、多くの消化器癌で肝転移の有無は手術適応に直結するためその鑑別は重要である。今回、迅速診断を含む病理診断でadenocarcinomaと診断されたため、化学療法を施行し、その後の審査腹腔鏡時に再度切除した組織で胆管過誤腫と診断され、治療方針に大きく影響した一例を経験したので報告する。
症例は69歳の女性で、食道胃接合部癌に対する手術時に、肝被膜下に5mm弱の白色結節を多数認めた。術中迅速診断で、核の濃染と核形不整を伴った異型細胞が不整形の腺腔を形成し、adenocarcinomaの診断で、手術適応外と判断した。術後の最終病理診断でも同様の結果であった。化学療法を先行し、原発巣が著明に縮小した時点で、残存非治癒因子検索の目的に審査腹腔鏡を施行した。肝被膜下の白色結節は多数残存しており、再度この結節を切除した。最終病理診断では細胞異型はみられず、小型の胆管がやや不規則に分岐、拡張しており、胆管過誤腫と診断され、後日改めて根治術を施行した。術中迅速標本は電気メスや超音波凝固切開装置による熱変性や凍結操作による細胞の変形のために永久標本と比して診断が難しい。今回、初回手術時に微小な結節を切除したが、その採取した組織片が小さく、初回の病理診断の障害になったと思われる。一方、2度目の審査腹腔鏡時に採取した組織片は初回と比して大きく、正確な病理診断につながったものと考えられる。悪性腫瘍に併存した肝腫瘍の診断に際し、当疾患の存在も念頭におき、たとえ微小な結節であっても診断kオ椁\淑・柄反ノ未鮑亮茲垢襪海箸・陵廚塙佑┐蕕譴襦0幣紂・芦陛・・茲喇騨・愿・融,魏辰・鷙陲垢襦
胆管過誤腫は拡張した胆管の増生からなる小型病変であり、手術時や剖検時に偶然発見される稀な腫瘍である。術前画像では捉えられず、術中所見でも微小な肝転移との鑑別は不可能であるが、多くの消化器癌で肝転移の有無は手術適応に直結するためその鑑別は重要である。今回、迅速診断を含む病理診断でadenocarcinomaと診断されたため、化学療法を施行し、その後の審査腹腔鏡時に再度切除した組織で胆管過誤腫と診断され、治療方針に大きく影響した一例を経験したので報告する。
症例は69歳の女性で、食道胃接合部癌に対する手術時に、肝被膜下に5mm弱の白色結節を多数認めた。術中迅速診断で、核の濃染と核形不整を伴った異型細胞が不整形の腺腔を形成し、adenocarcinomaの診断で、手術適応外と判断した。術後の最終病理診断でも同様の結果であった。化学療法を先行し、原発巣が著明に縮小した時点で、残存非治癒因子検索の目的に審査腹腔鏡を施行した。肝被膜下の白色結節は多数残存しており、再度この結節を切除した。最終病理診断では細胞異型はみられず、小型の胆管がやや不規則に分岐、拡張しており、胆管過誤腫と診断され、後日改めて根治術を施行した。術中迅速標本は電気メスや超音波凝固切開装置による熱変性や凍結操作による細胞の変形のために永久標本と比して診断が難しい。今回、初回手術時に微小な結節を切除したが、その採取した組織片が小さく、初回の病理診断の障害になったと思われる。一方、2度目の審査腹腔鏡時に採取した組織片は初回と比して大きく、正確な病理診断につながったものと考えられる。悪性腫瘍に併存した肝腫瘍の診断に際し、当疾患の存在も念頭におき、たとえ微小な結節であっても診断kオ椁\淑・柄反ノ未鮑亮茲垢襪海箸・陵廚塙佑┐蕕譴襦0幣紂・芦陛・・茲喇騨・愿・融,魏辰・鷙陲垢襦.
215. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 大内田研宙, 中村雅史 , 進行横行結腸癌に対する挟み撃ちアプローチによる腹腔鏡下結腸切除術, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11, 【はじめに】中結腸動脈を責任血管とする横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は,各施設でアプローチ方法が異なるのが現状である.中結腸動静脈(MCA/V)周囲のリンパ節をいかに安全・確実に郭清するかが重要であるが,周囲には重要臓器が隣接し,また血管走行の変異も多く難易度が高い.本邦のガイドラインでも,横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の有効性は十分に確立されていないことを患者に説明した上で行うよう明記されている.
腫瘍の局在により授動・郭清範囲が異なるが,横行結腸中央部に位置する腫瘍に対する手術では肝弯曲および脾弯曲授動が必要となる.このため各施設で各々アプローチ法が工夫されている.われわれの施設では,右側結腸切除での肝弯曲~右側結腸の授動は十二指腸前面・後腹膜剥離先行アプローチ,左側結腸切除における脾弯曲から左側結腸の授動は下腸間膜静脈(IMV)背側からの内側アプローチ,MCAV周囲のリンパ節郭清を行う場合は頭側・尾側アプローチを併せた挟み撃ちで行っている.今回,われわれが腹腔鏡下に行っている横行結腸癌に対するD3リンパ節郭清術の手術手技を供覧する.
【手術手技】いわゆる横行結腸切除術例を供覧する.腹腔鏡ポートを中心とした 5 ポートで行う.横行結腸間膜頭側からのアプローチで開始する.大網を切開し網嚢腔内に入り肝弯曲部に向けて授動をすすめる.膵下縁で後腹膜を切開し胃結腸静脈幹(GCT)を確認.副右結腸静脈があれば切離する.MCVも頭側から処理し肝弯曲部~右側横行結腸の授動を完了する.術者は患者右側から脾弯曲授動にうつる.膵下縁の切離を脾弯曲方向へすすめ,脾弯曲部~左側横行結腸を授動する.最後に尾側アプローチで横行結腸間膜を助手に衝立状に把持してもらい,Surgical trunk に沿って末梢から中枢側に向かい膵下縁を目指して郭清する.頭側アプローチの層と交通させ血管処理・郭清を終了する.術前の造影CTで血管走行は必ず確認しておく.
【まとめ】腫瘍の局在・進行度に応じて多方向からのアプローチを確実に行い,血管処理は挟み撃ちにすることで,進行横行結腸癌に対する腹腔鏡下D3郭清術は安全・確実に施行できると考えている.
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216. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , Persistent descending mesocolonを併存する左側結腸癌・直腸癌に対する腹腔鏡手術の安全性, 第34回日本内視鏡外科学会総会, 2021.12, 【はじめに】
Persistent descending mesocolon (PDM)は胎生期における固定異常の一種である.本来左側に存在するS状結腸が内側・右側に変位し,小腸間膜や盲腸周囲に広範囲に癒着していることが多いため,広範囲の癒着剥離が必要となることが多い.今回,当科におけるPDM併存症例における手術成績の解析し,腹腔鏡手術の安全性を検証した.
【方法】
2010年以降に左側結腸癌,直腸癌に対し腹腔鏡手術を施行した503例を後方視的に検討した.ロボット支援下手術,開腹手術既往,大腸全摘,他臓器合併切除症例は除外した.
【結果】
PDMを26例(5.2%)に認めた.PDM併存例は非併存例と比較し術中出血量が多く(p<0.01),手術時間(p=0.03)が長かった.術後在院日数やClavien-Dindo分類III以上の合併症発生率に差を認めなかった.
【まとめ】
PDM併存例に対する腹腔鏡手術は,癒着剥離操作や内側アプローチ剥離層の同定困難などのため出血量が多く手術時間が延長する傾向にあった.また結腸間膜短縮により辺縁動脈が下腸間膜動脈に近接する傾向にあり,術中解剖の理解に細心の注意を要する.しかし術後合併症の発生率は通常と変わらず在院日数の延長もないため,腹腔鏡で安全に施行可能であると考える.
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217. 中村祥一, 大内田研宙, 久野恭子, 持田郁巳, 奥田翔, 大坪慶志輝, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, シングルセル解析を用いた食道扁平上皮癌内の腫瘍浸潤Bリンパ球の評価, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04, 【背景】
癌の進展に関して、癌細胞とその周囲組織からなる腫瘍微小環境が重要な役割を果たしていることが明らかになっている。特に近年、腫瘍浸潤リンパ球(TIL; Tumor Infiltrating Lymphocyte)と呼ばれる腫瘍抗原特異的なリンパ球が腫瘍内免疫応答を調整することにより腫瘍の進展・縮小に関与していることが報告されている。また乳癌・結腸癌などの癌腫では腫瘍浸潤Bリンパ球(TIL-B)が予後改善に寄与しているという報告が散見されるが、腫瘍免疫におけるTIL-Bの役割は明らかではない。今回、食道扁平上皮癌内のTIL-Bを詳細に評価するため手術切除サンプルを用いてsingle-cell RNA sequence(scRNAseq)を行い、TIL-Bの単一細胞レベルでの発現解析を行った。
【対象と方法】
当科で外科的切除術を行った食道扁平上皮癌6症例の切除標本より、各症例について癌部・正常部の組織を採取し、計12検体を対象とした。さらに検体をそれぞれ単一細胞化し、10x genomics社のchromiumシステムを使用しscRNAseqを施行、正常部と癌部を比較することでTIL-Bを評価した。
【結果】
計12検体のシークエンスデータに対し、Seuratパッケージを用いてQuality Checkを施行したところ、全細胞数:47156、総遺伝子数:24917が検出された。UMAPで次元圧縮を行い有意発現遺伝子でクラスター化すると20のクラスターに分けられた。さらに各クラスターの発現遺伝子からBリンパ球を分離し再クラスター化を実行、5つのクラスターに分けられた。各クラスターの内訳は、クラスター0,1はCD20陽性Bリンパ球、クラスター2,3はBlimp-1陽性形質細胞、クラスター4は胚中心Bリンパ球であった。
Bリンパ球の、全細胞数に対する割合は正常部で6.6%(1794個検出)、癌部で12.5%(2498個検出)であった。癌部において、形質細胞の細胞数が有意に多かった。IGHG1などのIgG構成要素の遺伝子発現も癌部で多かった。腫瘍微小環境内では形質細胞や局所のBリンパ球により産生されたIgGなどの抗体が豊富に存在しているが、これらに腫瘍免疫において機能的な役割があるかは依然として明らかでなく、今後のさらなる検討が必要である。
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218. 中村祥一, 大内田研宙, 久野恭子, 持田郁己, 奥田翔, 大坪慶志輝, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史 , シングルセル解析による食道扁平上皮癌内腫瘍浸潤リンパ球の評価, 第57回九州外科学会・第57回九州小児外科学会・第56回九州内分泌外科学会, 2021.02.
219. 中村祥一, 大内田研宙, 奥田翔, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, シングルセル解析による食道扁平上皮癌内の腫瘍浸潤NK細胞の評価, 第76回日本消化器外科学会総会, 2021.07.
220. 中村祥一, 大内田研宙, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, シングルセル解析による食道癌内の腫瘍浸潤マクロファージの食作用の評価, 第29回日本消化器関連学会週間(JDDW 2021), 2021.11, 【目的】近年、腫瘍浸潤リンパ球と様々な免疫細胞との相互作用が腫瘍の進展・縮小に大きく寄与していることが報告されている。マクロファージは重要な免疫細胞の一種であり食作用・Tリンパ球への抗原提示能などの多彩な機能を持つが詳細は未だ不明である。本検討の目的は、食道癌切除検体のシングルセル解析を行い腫瘍浸潤マクロファージの腫瘍微小環境における機能的変動を解明することである。
【方法】当科で外科的切除を行った食道扁平上皮癌6症例の切除標本より、各症例について癌部・正常部の組織を採取し計12検体を対象にシングルセル解析を行った。シングルセル解析はDrop-seqを基盤としたChromiumコントローラーを使用した。遺伝子発現を癌部・正常部で比較し腫瘍浸潤マクロファージの癌化に伴う変動遺伝子を評価した。
【成績】計12検体から得られたシークエンスデータをmergeしQuality Checkを施行すると全細胞数:47156、総遺伝子数:24917が検出された。さらにUMAPで次元圧縮を行いクラスター化すると20のクラスターに分けられた。各クラスターの発現遺伝子から骨髄球系細胞を分離し再クラスター化、11のクラスターに分類できた。細胞数は正常部4378個、癌部4013個が検出された。さらに既知の骨髄球系細胞マーカーで評価すると、マクロファージ、形質細胞様樹状細胞、樹状細胞に分けられた。マクロファージの食作用関連受容体を評価すると最も強力な活性作用をもつFcγR1Aを発現する細胞数は腫瘍部で減少し単一細胞レベルの発現量も有意に低値であり、抑制性受容体のFcγR2Bを発現する細胞数は腫瘍部で増加していた。よって、マクロファージの食作用活性は癌化に伴って低下し腫瘍促進に寄与している可能性が示唆された。
【結論】マクロファージの食作用を単一細胞レベルで詳細に解析できた。今後、腫瘍浸潤リンパ球との細胞間相互作用にも注目し腫瘍微小環境についてより詳細な解析を行う。
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221. 大内田研宙, 進藤幸治, 中村雅史, 逆蠕動性ダブルトラクト再建の有用性と胸腔内吻合への応用, 第29回日本消化器関連学会週間(JDDW 2021), 2021.11.
222. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 清水周次, 中村雅史, LPG後の胃内流入が主経路となる逆蠕動性胃空腸吻合によるダブルトラクト再建手技の工夫, 第93回日本胃癌学会総会, 2021.03.
223. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 清水周次, 江藤正俊, 中村雅史 , 上部消化管におけるロボット支援下手術のmicrosurgeryの選択と集中, 第13回日本ロボット外科学会学術集会, 2021.01.
224. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 大薗慶吾, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 左上縦隔郭清における適切な剥離層によるリンパ組織分離と2hands dissectionの有用性, 第34回日本内視鏡外科学会総会, 2021.12.
225. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 江藤正俊, 中村雅史, ロボット特有の手技を発揮するためのTwo hands dissectionによる左反回神経周囲郭清, 第75回日本食道学会学術集会, 2021.09.
226. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 三好圭, 仲田興平, 永井俊太郎, 清水周次, 中村雅史, 声帯麻痺低減のための左上縦隔郭清手技と挙上後圧迫解除をめざした胸骨後経路胃管再建, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04.
227. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 佐田政史, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, , 膵周囲郭清におけるモノポーラシザースを用いたlift up methodと2 hand dissection, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11.
228. 大坪慶志輝, 大内田研宙, 中村祥一, 久野恭子, 奥田翔, 新川智彦, 進藤幸治, 森山大樹, 久保真, 中村雅史, scRNA seqを用いた腫瘍進行に伴う微小環境リモデリングによるT cell subsetの経時的解析, 第76回日本消化器外科学会総会, 2021.07.
229. 大坪慶志輝, 大内田研宙, 奥田翔, 中村祥一, 久野恭子, 進藤幸治, 森山大樹, 永井俊太郎, 久保真, 中村雅史, scRNAseqを用いた胃癌微小環境中のAPCのheterogeneityの検討
, 第57回九州外科学会・第57回九州小児外科学会・第56回九州内分泌外科学会, 2021.02.
230. 大坪慶志輝, 大内田研宙, 奥田翔, 中村祥一, 久野恭子, 持田郁己, 新川智彦, 松本奏吉, 相良亜希子, 岩本千佳, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 水元一博, 中村雅史, 胃癌TME中CD4+ T cellのheterogeneityの解析とその機能的役割の検討, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04.
231. 盛楠, 進藤幸治, 大内田研宙, 馮海旻, 新川智彦, 森山大樹, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, TAK1陽性CAFと膵臓癌の進行との関係に関する研究, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04.
232. 水内祐介, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 永井俊太郎, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 当科におけるロボット支援下直腸手術の実際, 第34回日本内視鏡外科学会総会, 2021.12, (はじめに)
2018年4月よりロボット支援下直腸手術が保険適応となり、各施設で導入が進んでいる。当科でも2018年10月から現在までに55例を経験した。当科におけるロボット手術の現状を考察する。
(対象)
2018年10月~2021年4月に経験したロボット支援下直腸癌手術55例の検討を行った。
(結果)
55例のうち13例まではda Vinci Si、以降はda Vinci Xiを用いた。男性33例、女性22例。年齢の中央値63歳。腫瘍局在は11例が直腸Rs、12例が直腸Ra、30例が直腸Rb、2例が肛門管であった。術式は高位前方切除術12例、低位前方切除術14例、超低位前方切除術16例、腹会陰式直腸切断術9例、内括約筋切除術4例。側方郭清を7例で施行。手術時間中央値は401 (308-900)分、出血量中央値は42.5mlであった。腹腔鏡手術や開腹手術への移行なし。術後在院日数は20日、Clavien-Dindo分類3以上の術後合併症を4例に認めた。
(考察)
導入当初はda Vinci Siであり体外でのセッティングやアーム干渉解消などに要した時間が多く、手術時間は長い傾向があった。da Vinci Xi導入後は干渉も減り、骨盤内では安定した術野が確保でき、安全に手術可能であった。今後、症例数の積み重ねとともに手術時間の短縮可能と考えられる。長期予後等については今後の検討課題である。
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233. 水内祐介, 永吉絹子, 佐田政史, 田村公二, 永井俊太郎, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 潰瘍性大腸炎に対するtaTMEテクニックを併用した大腸全摘術, 第46回日本大腸肛門病学会九州地方会, 2021.10, 薬物療法の発達により潰瘍性大腸炎(UC)において手術が必要な症例は以前と比較して減少している。しかし、外科治療はUC治療の柱であることは変わりなく、標準術式は大腸全摘である。大腸全摘は剥離範囲が非常に広く、腸間膜の処理、再建など手術が長時間になる。低侵襲性からUCに対する大腸全摘も腹腔鏡手術で行う施設が増えているが、さらなる長時間手術が問題になっている。taTMEテクニックは直腸癌手術で確立しつつある方法であり、経肛門もしくは会陰的に逆行性に直腸固有筋膜レベルでの剥離を行う。腹腔操作と同時に行うことによって手術時間の短縮が可能になるだけでなく、2方向から確認を行いながら剥離が可能であり、正確で安全な手術が可能になる。当科で施行したUCに対するtaTME併用大腸全摘は4症例で男性2例、女性2例で年齢は59.5歳であった。施行術式は全例大腸全摘であり、2例がIACA、1例がIAA、1例が全摘、回腸人工肛門造設であった。手術時間は397.5分であり、出血量は82.5gであった。201
5年からTaTME導入前までのUC大腸全摘症例の手術時間の中央値は546分、出血量は155gであり、有意に手術時間は短く出血量は少なかった(p?0.05)。本セッションでは2020年から当科で施行しているtaTME併用大腸全摘術の手術術式を供覧いただく。.
234. 水内祐介, 永吉絹子, 佐田政史, 田村公二, 永井俊太郎, 森山大樹, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 久保真, 中村雅史, ロボット支援下直腸手術導入から2年の現状と今後の展望, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11, (はじめに)
2018年4月のロボット支援下直腸手術の保険収載より、各施設で急速に導入が進んでいる。当科でも2018年10月にda
Vinci Siで導入して以降、現在までに57例を経験した。当科におけるロボット手術の現状を考察する。
(対象)
2018年10月~2021年6月に経験したロボット支援下直腸癌手術57例の検討を行った。
(結果)
57例のうち13例まではda Vinci Si、以降はda Vinci Xiを用いた。男性33例、女性22例。年齢の中央値63歳。腫瘍局在は
11例が直腸Rs、12例が直腸Ra、30例が直腸Rb、2例が肛門管であった。術式は高位前方切除術12例、低位前方切除術14例
、超低位前方切除術16例、腹会陰式直腸切断術9例、内括約筋切除術4例。側方郭清を7例で施行。手術時間中央値は401
(308-900)分、出血量中央値は42.5mlであった。腹腔鏡手術や開腹手術への移行なし。術後在院日数は20日、ClavienDindo分類3以上の術後合併症を4例に認めた。
(考察)
導入当初はda Vinci Siであり体外でのセッティングやアーム干渉解消などに要した時間が多く、長時間手術が多かった。da
Vinci Xi導入後はアーム干渉も減り、骨盤内の術野が安定し、安全な手術が可能であった。今後、症例数の積み重ねととも
に手術時間の短縮可能と考えられる。今後は直腸手術症例数に合わせた施設ごとにあったロボット術者の育成が必要と思わ
れる.
235. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 仲田興平, 水内祐介, 永井俊太郎, 中村雅史, 当院における腹腔鏡下噴門側胃切除におけるダブルトラクト再建法と短期成績, 第76回日本消化器外科学会総会, 2021.07.
236. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 大薗慶吾, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 噴門側胃切除ダブルトラクト再建の工夫と胃全摘術患者との栄養評価の比較, 第34回日本内視鏡外科学会総会, 2021.12.
237. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 胃上部を主体とする胃癌に対する至適術式についての検討, 第29回日本消化器関連学会週間(JDDW 2021), 2021.11.
238. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 荻野治栄, 鳥巣剛弘, 森山智彦, 中村雅史, 十二指腸腫瘍に対する腹腔鏡内視鏡合同手術の安全性と有効性, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04.
239. 進藤幸治 , 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 中村雅史 , 当科における食道癌術後脳転移症例の検討, 第75回日本食道学会学術集会, 2021.09.
240. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 仲田興平, 永井俊太郎, 清水周次, 中村雅史, 腹腔洗浄細胞診陽性(CY1)胃癌における胃切除術の意義について, 第76回日本消化器外科学会総会, 2021.07, 【背景】腹腔洗浄細胞診陽性(CY1)は胃癌における非治癒因子の一つでありStage IVとなるが,CY1の他に非治癒因子がない場合には定型手術がなされることが少なくない. しかし,胃切除自体は治癒切除に該当しないため,その意義や, 切除のタイミング,術前・術後化学療法のレジメンや治療期間など,まだ明らかになっていない点が多い. 【目的】他に非治癒因子のないCY1症例における胃切除術の意義を検討した. 【対象と方法】2000年1月から2017年12月の間に当科で施行した胃癌手術CY1, H0, P0であった30例について検討した. 【結果】30例のうち28例で胃切除を行い(幽門側胃切除13例,胃全摘14例,膵頭十二指腸切除1例),そのうち腹腔鏡手術 を15例に施行した. 胃切除施行例28例の全生存期間中央値は31.3か月(幽門側胃切除35.8か月,胃全摘27.2か月, p=0.090),5年生存率は30.9%であった. また,再発病変が幕オ梵「蕕・砲覆辰討癲げ蹴慘屠,侶兮海砲茲5年以上の生存が得られた症例もみられた. 【考察】他に非治癒因子のないCY1における生存率は,全国胃癌登録で集計されたStage IV胃癌の5年生存率15.1%や CY1症例の5年生存率13.1%よりも上回っており,CY1症例における胃切除の意義はあると考えられた. 一方,今回の無 再発生存例はいずれも術前化学療法を行っていないため,その意義は不明であった. また,術後化学療法レジメンについての一定の傾向は得られなかった. 【結語】他に非治癒因子のないCY1症例において胃切除術を行う意義はあると考えられた. .
241. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 大薗慶吾, 水内祐介, 仲田興平, 門田英輝, 安松隆治, 中村雅史 , 頚部・胸部上部食道癌に対する他科との合同手術, 第31回九州内視鏡・ロボット外科手術研究会, 2021.09.
242. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 大薗慶吾, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , 食道胃接合部癌に対する術前化学療法後の腹腔鏡手術11例の治療成績, 第34回日本内視鏡外科学会総会, 2021.12, 食道胃接合部の進行癌に対する治療方針は、術式やリンパ節郭清の目安は示されてきているものの、術前化学療法(NAC)に対する明確な治療方針は定まっていない。そこで、当科で術前化学療法(NAC)後に腹腔鏡・胸腔鏡手術を行った11例について検討した。組織型は腺癌10例(バレット腺癌1例を含む)、神経内分泌細胞癌(NEC)1例であった。NACを施行した理由は、bulky Nまたは多発リンパ節転移(cN3)7例、腫瘍径8cm以上(huge T)4例であった。治療レジメンは主にS1/CDDP療法を選択し(2-4コース)、NECに対してはVP16/CDDP療法を行った。治療効果はいずれもPRまたはSDであり、NAC施行中に病状が進行して切除不能となった症例はなかった。 手術は胃全摘7例、噴門側胃切除3例、食道亜全摘1例を行った。食道亜全摘を除く10例において、腹腔鏡下経裂孔アプローチで下縦隔リンパ節郭清を行い、再建は8例で腹腔鏡下、2例は胸腔鏡下(右胸腔内吻合)で行った。Grade 3�$
B0J>e$N=Q8e9gJ;>I$O2例に認められた。再発は11例中6例に認められ、いずれも術後2年以内の再発であった。一方、残り5例は術後3年以上無再発で経過しており、そのうち2例は5年以上の長期生存が得られている。以上より、食道胃接合部癌に対するNACはある程度有効であり、安全に腹腔鏡手術を行うことも可能であると考えられた。.
243. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 進行胃癌に対する術前化学療法症例および化学療法後Conversion手術症例の治療成績, 第29回日本消化器関連学会週間(JDDW 2021), 2021.11, 【目的】近年,進行胃癌に対する術前化学療法についての研究がなされ,高度リンパ節転移を伴う切除可能進行胃癌に対する術前化学療法(以下、NAC)の有用性が示されるなど,術前化学療法が新たな治療戦略となってきている.また,治癒切除不能な進行胃癌に対する化学療法が奏功し,治癒切除可能となる例(Conversion手術例)の報告が散見されるようになった.そこで,当科で施行したNAC後胃切除例および化学療法後Conversion手術例の治療成績を示し,その有用性について考察した.
【方法】2010年以降に当科で手術を施行した切除可能進行胃癌に対するNAC施行例24例と治癒切除不能進行胃癌に対してConversion手術に至った6例について検討した.NACは原則的に巨大3型または4型腫瘍(径8cm以上)あるいはbulkyリンパ節転移症例を対象とし,そのほとんどでS-1+CDDP療法を施行した.また,Conversion手術症例6例については,全例で治療前に審査腹腔鏡を行い,腹腔洗浄細胞診陽性や腹膜播種病変などの非治癒因子を有することを確認した.
【成績】NAC施行例では胃全摘16例,幽門側胃切除6例,噴門側胃切除2例を行った.また,NAC施行中に病状が進行して切除不能となった例は認めなかった.NAC施行例の3年生存率57%,5年生存率は30%であった.一方,Conversion手術例6例においては,腹腔洗浄細胞診を含め,非治癒切除因子の陰転化を認めた.また,これらの症例では,術前化学療法を施行せずに根治切除を施行した症例群と比較して,術中・術後合併症や術後化学療法の施行率に差を認めなかった.
【結論】進行胃癌に対する術前化学療法は,術中・術後合併症リスクを上昇させることなく,予後改善効果が見込める.また,今後はNAC適応症例やNACに最適なレジメンや,治療期間について検討が必要である.Conversion手術についても同様に,最適なレジメンと根治手術可能と判断する方法や治療期間について,さらに検討が必要である.
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244. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, バレット食道癌手術例に対する治療方針, 第75回日本食道学会学術集会, 2021.09, 【背景・目的】日本人は欧米人に比べてバレット食道癌の罹患率が少ないため、我が国におけるバレット食道癌の至適術式や進行癌に対する周術期化学療法など、まだ明らかになっていない点が少なくない。そこで、当科で経験したバレット食道癌症例に対する最適な治療方針について検討した。
【対象】2011年から2020年までの10年間に当科で手術を施行したバレット食道癌12例について検討した。年齢は45-78歳(平均62.5歳)、9例中8例が男性であった。術前病期はStage?10例、Stage?1例、Stage?1例であった。ESD後追加切除例が5例あり、そのうち、非根治的治癒切除因子(SM浸潤など)による追加切除が3例、経過観察中の局所再発が2例であった。
【結果】手術は、12例中10例で腹腔鏡下噴門側胃切除(LPG)+下部食道切除術、2例で胸腔鏡下食道亜全摘(VATS-E)を施行した。再建は当初食道胃吻合で行ってきたが、その後ダブルトラクト法を3例に施行した。術後病期は、Stage 0:2例、Stage?:4例、Stage?:2例、Stage?:1例であった。Stage 0のうち1例は、診断時には胸部中部食道に至る進行癌で106recRリンパ節転移陽性であったものの、術前化学療法(S1+CDDP療法)後に食道亜全摘術を施行し、主病変・リンパ節ともに病理学的完全奏功(CR, Grade 3)が得られたものであった。
【結論】原則的には腹腔側アプローチでの切除術を行い、口側への進展や縦隔リンパ節転移によって、食道亜全摘を考慮すべきであると考えた。また、進行癌では胃癌に準じた化学療法を行うことで縮小効果が期待できる。
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245. 新川智彦, 大内田研宙, 中村祥一, 持田郁己, 久野恭子, 奥田翔, 大坪慶志輝, 岩本千佳, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 中村雅史, 膵癌における微小環境因子が腫瘍分化度に与える影響およびその分化度に応じた薬物治療反応性についての検討, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04, [背景] 膵癌は豊富な間質を特徴とした癌であり, その癌間質から誘導される微小環境因子が癌の増殖/進展に寄与しているとされるが, 癌間質を減少させるとより悪性度の高い低分化型膵癌が増えたとの報告もある. 一方で, 分化度が高いほど周囲間質量が多いとの報告もあり, 膵癌の分化度と周囲間質との関係が示唆されているが, 依然として不明な点は多い.[目的] 膵癌における微小環境因子が腫瘍分化度に与える影響を明らかにし、腫瘍分化度に応じた薬物治療反応性の変動を検討する. [方法] ヒト膵癌組織から膵癌オルガノイドの樹立を行い, 形態学的評価を基にwell, mod, porに分類した.微小環境因子添加によるオルガノイド形成能および細胞増殖能の変動を検討した. 血清培地に微小環境因子を添加して培養した膵癌オルガノイドからmRNAを抽出し, マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った. 分化度と相関して発現変動する遺伝子群を抽出し, そのパスウェイ解析の結果を基に分化度ごとの幕オ樓ネ・N堵娠・④鮓‘い靴, [結果] 樹立した8例のヒト膵癌オルガノイドは, いずれも実際の膵癌組織の形態学的特徴を保持しており, 分化度ごとに分類した (well : 3例, mod : 3例, por : 2例). Proliferation fold change [微小環境因子群/コントロール群]では, well>mod>porであり, 分化度が高いほど微小環境因子への依存性が高い傾向にあった. また, 網羅的遺伝子発現解析では, 分化度が高いほどmevalonate経路を中心としたcholesterol synthesis関連遺伝子の発現が増加していた. 各膵癌オルガノイドにHMG-CoA還元酵素阻害剤であるsimvastatinを投与すると, 高分化膵癌オルガノイドにおいて低分化より有意に増殖能が抑制された. [結論] 膵癌の腫瘍分化度が高いほど周囲微小環境因子に対する依存性が高くなる傾向にあった. また, 高分化型膵癌ではメバロン酸代謝を中心とした脂肪酸代謝関連遺伝子の発現が増加しており, スタチン系薬剤による増殖能抑制効果を認めた. .
246. 新川智彦, 大内田研宙, 中村祥一, 久野恭子, 奥田翔, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 中村雅史, 癌関連線維芽細胞が膵癌分化度に与える影響についての検討, 第57回九州外科学会・第57回九州小児外科学会・第56回九州内分泌外科学会, 2021.02, 【背景】膵癌は豊富な間質を特徴とし、癌間質相互作用が膵癌の進展に寄与するとされるが、癌間質を抑制すると悪性度の高い低分化型膵癌が増えるといった報告もあり、依然として不明な点は多い。【目的】膵癌分化度と癌関連線維芽細胞(CAF)との相関を明らかにし、微小環境因子が膵癌分化度に与える影響について検討する。 【方法】免疫組織学的染色により、膵癌分化度とCAF量の相関を検索した。ヒト膵癌オルガノイドをwell, mod, porに分類し、微小環境因子添加による細胞増殖能の変動を検討した。 【結果】CAFの割合は高分化型で有意に高かった。ヒト膵癌オルガノイドのProliferation fold change [微小環境因子群/コントロール群]はwell>mod>porであった。【結論】 膵癌の腫瘍分化度が高いほど周囲のCAFが多く、その微小環境因子を介して癌の増殖に寄与していると考えられた。.
247. 新川智彦, 大内田研宙, 持田郁己, 小山虹輝, 林昌孝, 松本奏吉, 岩本千佳, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 分化型膵癌は癌関連線維芽細胞由来の微小環境因子に依存して分化度を保持している, 第52回日本膵臓学会大会, 2021.09, [背景] 膵癌は豊富な間質を特徴とし、その癌間質から誘導される微小環境因子が癌の増殖や転移に寄与するとされる。しかし一方で、癌間質を減少させると低分化型膵癌が増え予後が悪化したとの報告も認め、膵癌間質は癌の進展に寄与するばかりではなく、膵癌のphenotypeにも影響していると考えられる。分化度に応じた膵癌phenotypeの差違は予後や治療反応性を左右する重要な要素と考えられ、それらを規定し得る癌間質の影響を明らかにすることは新たな治療標的を定める上で重要であるが、依然として不明な点は多い。
[目的] 膵癌分化度に影響する膵癌間質細胞を同定し、そのメカニズムについて検討する。
[方法] 各分化型の膵癌オルガノイドを樹立し、ゲノムおよび網羅的遺伝子発現解析による分化度ごとの分子生物学的特徴および治療反応性の差違を比較した。各膵癌オルガノイドの微小環境因子への依存性と分化度との相関を評価し、膵癌組織中の癌関連線維芽細胞(CAF)量と膵癌分化度との相関を検索した。分化型膵癌オルガノイドをCAFと共培養し、形態および増殖能を単培養群と比較した。分化型において依存性が高い微小環境因子を同定し、同因子を発現抑制したCAFと高分化型膵癌オルガノイドを共培養してオルガノイド形成能を評価した。.
248. 新川智彦, 大内田研宙, 持田郁己, 奥田翔, 大坪慶志輝, 岩本千佳, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 膵癌における癌関連線維芽細胞由来の微小環境因子が腫瘍分化度に与える影響についての検討, 第76回日本消化器外科学会総会, 2021.07, [背景] 膵癌は豊富な間質を特徴とし、その癌間質から誘導される微小環境因子が癌の増殖/転移に寄与するとされる。しかし一方で、癌間質を減少させると悪性度の高い低分化型膵癌が増えたとの報告もあり、膵癌分化度と周囲間質との関係が示唆されるが依然として不明な点は多い。
[目的] 膵癌分化度と癌関連線維芽細胞(CAF)量との相関関係を明らかにし、CAF由来微小環境因子が膵癌分化度に与える影響について検討する。
[方法] 免疫組織学的染色により、膵癌分化度とCAF量の相関を検索した。ヒト膵癌組織から膵癌オルガノイドを樹立し、形態学的評価からwell, mod, porに分類した。各分化度における微小環境因子添加によるオルガノイド形成能および細胞増殖能の変動を検討した。微小環境因子を添加しない血清培地を用いて、中分化型膵癌オルガノイドを単培養した群とCAFと共培養した群を比較し、管腔構造を形成するオルガノイド形成能を比較した。
[結果] CAFの割合は高分化型で有意に高かった。樹立した8例のヒト膵癌オルガノイドは、いずれもprimary tumorの形態学的特徴を保持しており、分化度ごとに分類した (well : 3例, mod : 3例, por : 2例)。Proliferation fold change [微小環境因子群/コントロール群]では、well>mod>porであり、分化度が高いほど微小環境因子への依存性が高い傾向にあった。中分化型膵癌オルガノイドを、微小環境因子を含まない血清培地で単培養すると管腔構造を形成しない低分化型様のsolidな膵癌オルガノイドを形成したが、CAFと共培養することで管腔構造もつ分化型膵癌オルガノイドを多く形成した。[結論] ヒト膵癌組織において膵癌分化度が高いほど周囲CAFが多い傾向があった。また、膵癌分化度が高いほど周囲微小環境因子に対する依存性が高く、周囲CAFが膵癌分化度を保持している可能性が示唆された。.
249. 松本昂, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 中村雅史, PSA陰性のため術前に診断できなかった前立腺癌胃転移の一例, 第57回九州外科学会・第57回九州小児外科学会・第56回九州内分泌外科学会, 2021.02.
250. 山本真大, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永井俊太郎, 仲田興平, 中村雅史 , 膵癌併存食道癌に対しNACRT後2期分割根治術を施行した症例, 第57回九州外科学会・第57回九州小児外科学会・第56回九州内分泌外科学会, 2021.02, 60代男性、前医で胸部食道癌(cStageII)の診断でFP療法2コースを施行後、膵頭部腫瘍を指摘。当院転院後EUS-FNAで膵癌と診断し、病勢制御目的にCRT(FP+65Gy)を食道癌と膵癌双方に施行した。食道病変は縮小したが癌遺残があり根治手術を予定した。侵襲度と再建のリスクを考慮し、食道切除/経皮食道瘻造設を先行し、3週後、胃全摘/膵頭十二指腸切除/胸壁前有茎空腸再建/左内胸動脈を用いた第一空腸動脈との血行再建を行った。食道切除と膵頭十二指腸切除はともに高侵襲であり、同時手術のリスクは高い。一方、2期的に行う場合、2期目に回した癌の進展が危惧される。今回、腫瘍進展を制御するためNACRTを行い、再建を行わない食道切除術を先行して合併症を回避し、続いて膵癌根治術と血行再建を伴う有茎空腸再建を行った。膵癌併存食道癌に対するCRT先行2期分割根治切除は有望な治療法の一つと考えられた。.
251. 三渕晴香, 佐田政史, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 腹膜透析導入後に繰り返す S 状結腸軸捻転に対して腹腔鏡補助下 S 状結腸切除術を行った 1 例, 第46回日本大腸肛門病学会九州地方会, 2021.10.
252. 佐田政史, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 下行結腸癌切除例の治療成績, 第34回日本内視鏡外科学会総会, 2021.12.
253. 溝口聖貴, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , TaTME手技を併用した潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下大腸全摘術の経験, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11, 【はじめに】初期臨床研修2年目の大学病院外科研修期間において,様々な疾患に対する手
術症例を経験することができた.今回,潰瘍性大腸炎(UC)に対して経肛門的操作(TaTME手
技)を併用した腹腔鏡下大腸全摘術を行った症例を経験した.
【症例】症例は24歳男性,約7年前に下痢症状を契機として全大腸型UCの診断で加療を開始
された.その後,間欠的に肝機能障害も出現し,5年前には原発性硬化性胆管炎と診断され
た.UCは慢性持続型で内科的治療抵抗性であったが,3年前にJAK阻害剤を開始され,そ
れ以降は寛解状態であった.しかし,今年施行された下部消化管内視鏡検査で,上行・下
行結腸に顆粒状・絨毛状粘膜病変が出現し,生検でhigh-grade dysplasiaの診断で今回手術の
方針となった.
入院後に,TaTME手技併用の腹腔鏡補助下大腸全摘術を施行した.手術時間は6時間56
分,出血量は119g.術前より肛門狭窄を認めており経肛門操作にやや難渋したが,回腸(Jパ
ウチ)肛門吻合(IAA),一時的回腸人工肛門造設し手術を終了した.
 術後は一時的にイレウス症状を認めたがすみやかに改善した.食事も徐々に開始でき,
ストーマ手技取得も問題なかった.経過良好で術後20日目に自宅退院となった.退院時,
肛門括約筋機能障害が残存しており,今後外来で肛門機能訓練を行いつつ人工肛門閉鎖術
を計画する予定である.下部消化管グループの一員として,本患者さんの日々の診療を指
導医とともに行い,手術だけでなく術前の内科的治療や術後管理を学ぶことができた.
【まとめ】研修医1年目に勤務した市中病院での経験とは異なり,大学病院特有の疾患や
最新の手術手技を経験できた.そのなかでも,今回TaTME手技併用の腹腔鏡下大腸全摘術
を施行された自分とも同年代の患者さんについて,入院・手術から退院まで担当し日々診
療を行ったことは,非常に貴重な経験となった.また手術に関しては,これまで腹腔鏡ア
プローチのみで行われていた大腸全摘術に比べて,TaTME手技を併用することで手術時間
の短縮にもつながり,経腹操作と経肛門操作という2チームでのチーム医療(手術)を実
感することもでき,非常に有用な手技と思われた..
254. 久野恭子, 大内田研宙, 中村祥一, 持田郁巳, 奥田翔, 大坪慶志輝, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, Single cell RNA sequenceを用いた食道扁平上皮癌におけるcancer associated fibroblastのheterogeneityの解明, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04, 近年、癌の浸潤や転移などの生物像は、腫瘍微小環境により違いがあることが明らかにされている。このことから、癌細胞だけでなく、免疫細胞やfibroblastなど微小環境を含めた検討の重要性が増している。また、腫瘍の不均一性 (heterogeneity) が腫瘍の生物像を決定しており、治療抵抗性などに関わっていると考えられる。腫瘍内のheterogeneityを解析する手法として、Single cell RNA sequenceが現在注目されている。しかし食道癌に関するSingle cell RNA sequenceを用いた報告はまだ少ない。
今回我々は、当科にて食道扁平上皮癌に対し手術を行った7人の患者から、腫瘍組織を7検体、正常組織を5検体採取し、10X chromium systemを用いてsingle cell RNA sequenceを施行した。59695個の細胞の遺伝子発現データが得られた。Seurat上で解析を行い、UMAPを作成したところ、20個のクラスターが得られた。既知のマーカー遺伝子を用いてcell typeを同定し、fibroblastのみを抽出して再クラスタリングを行った。正常組織と腫瘍組織を比較すると異なる特徴を有するfibroblastのクラスターが認められた。また、7人の患者のうち、5人はNeoadjuvant chemotherapy (NAC) を施行しており、さらに腫瘍組織のfibroblastのみを抽出して解析しNAC施行群とNAC非施行群に分けて比較したところ、腫瘍組織のfibroblastのクラスターではNACによる変化が認められた。一方、正常組織のfibroblastではNACによる変化は認められなかった。今回の検討で示された結果に基づき腫瘍組織のfibroblastのheterogeneityとNACが与える影響にキ)タ「弔い胴融,魏辰┐栃鷙陲垢襦
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255. 久野恭子, 水内祐介, 大内田研宙, 中村祥一, 奥田翔, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, scRNA-seqを用いたFAPにおける発がん過程の観察, 第57回九州外科学会・第57回九州小児外科学会・第56回九州内分泌外科学会, 2021.02.
256. 久野恭子, 水内祐介, 大内田研宙, 中村祥一, 奥田翔, 大坪慶志輝, 佐田政史, 永吉絹子, 寅田信博, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 永井俊太郎, 中村雅史, Single cell RNA sequenceを用いた家族性大腸腺腫症におけるmacrophageのheterogeneityの解明, 第29回日本消化器関連学会週間(JDDW 2021), 2021.11, 【目的】近年,腫瘍の不均一性 (heterogeneity) が腫瘍の生物像を決定しており,発癌過程などに関わると考えられる.腫瘍内のheterogeneityを解析する手法として,Single cell RNA sequence(scRNA-seq)が有用である.また,Macrophageには腫瘍抑制的なM1サブセット,腫瘍促進的なM2サブセットといった多様性があり,腫瘍発育・進展に大きく関わるという報告がある.家族性大腸腺腫症(FAP)患者にはAPC遺伝子の生殖細胞系列遺伝子変異の影響で大腸癌が高頻度に生じ,様々な段階の前癌病変も存在する.本検討ではscRNA-seqにより同一FAP患者内における大腸癌発生の様々な段階におけるmacrophageのheterogeneityを観察することを目的とした.
【方法】当科にてFAPに対し手術を行った1人の患者から,正常部,腺腫非密生部,腺腫密生部,癌部,リンパ節の5検体を採取し,10X chromium systemを用いてscRNA-seqを施行した.
【成績】44540個の細胞の遺伝子発現データが得られた.Seurat上で解析を行い,UMAPを作成したところ,22個のクラスターが得られた.既知のマーカー遺伝子を用いてcell typeを同定し,macrophageのみを抽出して再クラスタリングを行ったところ,8個のクラスターが得られた.遺伝子発現から,M1,M2サブセットに相当するクラスターを同定した.また,M1,M2マーカー遺伝子発現は,検体採取部位別に発現が異なって認められた.
【結論】FAPの発癌過程におけるmacrophageのheterogeneityの変動が示唆された.
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257. 岩本千佳, 大内田研宙, 新川智彦, 相良亜希子, 奥田翔, 小山虹輝, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, 造血幹細胞由来CAF subsetが腫瘍内heterogeneityを高度化する, 第52回日本膵臓学会大会, 2021.09, 【背景・目的】膵癌は治療抵抗性や薬剤送達率の低下を引き起こす過剰な間質増生を特徴とし、活性化PSCを含むCAFによって引き起こされることが知られている。近年、腫瘍促進性に働くCAFの他に腫瘍抑制性に働くCAFが報告されており、腫瘍細胞だけでなくCAFにもheterogeneityが存在することが明らかとなってきている。また、癌細胞の悪性度に深く関わっている癌微小環境は癌腫により多様であり、大腸癌では骨髄細胞が腫瘍内で炎症性微小環境を形成し、癌進展を促すことが示唆されている。膵癌においても癌進展やニッチ形成に骨髄細胞が関与していると考えられるが、その機序は未だ不明である。そこで化学療法の奏効率や予後に影響を及ぼすと考えられる癌微小環境改変に関わる、腫瘍免疫を含めたCAF subsetを同定しその機序を検討した。【方法】新生仔KC/KPCマウスを用いた同種骨髄移植モデルを作製し、レシピエントにおける骨髄細胞の生着・分布・phenotypeを評価した。多重蛍光免疫染色により骨髄由来細胞とCAF subsetの関連を評価した。膵癌細胞の遊走・浸潤・オ档ソ・G修砲・韻觜鋻駘獲荳挧Δ隆慷燭鯢床舛靴拭・攘覯漫曠譽轡團┘鵐泌溝,任蝋鋻駘獲茲梁新賄・並し貂挧Δinvasive frontに集簇していた。また、骨髄マクロファージ由来のCAFが存在することを明らかにし、そのCAFはmyCAFやapCAFであった。膵癌細胞で刺激した骨髄由来マクロファージはCAF特異的なマーカーの発現を認め、膵癌細胞の局所浸潤を促進した。【考察】PSCやMSC由来以外に、造血幹細胞由来のCAF subsetが存在することを新たに見出し、さらに、CAF様の機能を獲得した骨髄由来マクロファージが膵癌細胞の局所浸潤を先導することが示唆された。多様な起源細胞がCAFのheterogeneityを複雑にしていることが示唆された。.
258. 岩本千佳, 大内田研宙, 新川智彦, 小山虹輝, 奥田翔, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 江藤正俊, 中村雅史, Humanizedマウスを用いた膵癌PDXモデルの作製とその癌免疫微小環境の解析, 第76回日本消化器外科学会総会, 2021.07, 【背景・目的】消化器癌においても免疫チェックポイント阻害薬による癌免疫療法が導入されているが、その適応はまだ狭く、効果も癌腫や個別の腫瘍により限定的である。特に膵癌は、腫瘍内への樹状細胞やリンパ球浸潤が少ないcold tumorとして知られているが、近年従来の免疫チェックポイント機構とは異なる経路が特定されるなど、多様な免疫細胞と癌細胞が絡み合った癌免疫微小環境の複雑さが注目されている。免疫細胞も含めた膵癌の病態解明や有用な癌免疫療法の開発には、ヒト病態をより忠実に再現したモデルが必要であると考え、ヒト造血・免疫系を持つhumanized PDXモデルを作製しようと考えた。【方法】ヒト臍帯血より単離したlineage-hCD34+hCD38-の造血幹細胞(HSC)を新生仔NSGマウスに経静脈的に移植した。移植後4週後にレシピエントマウスにおけるヒト造血細胞の生着をFCMにて確認した。HSC移植後6-12週後に、当科にて外科的切除を行った膵癌の切除組織を移植した。膵癌bulk組織を皮下、single cellを同所に移植した。作製したhumanized PD
Xモデルの各組織におけるヒト免疫細胞の評価をFCMおよび免疫組織染色にて行った。【結果】HSC移植後4週後にはレシピエント末梢血中にhCD45+細胞の生着を認めた。作製したhumanizedマウスに患者由来膵癌組織を移植後7-14週後に末梢血、骨髄、脾臓、肝臓の各組織をFCM解析したところ、骨髄と末梢血中にはhCD45+、hCD3+、CD19+、hCD33+細胞を認め、脾臓と肝臓中にはhCD45+、hCD19+細胞を認めた。また、humanized PDXモデルの膵癌組織のHE染色を行ったところ、ヒト切除膵と同様の病理像を示した。免疫組織染色により、膵癌組織中のhCD3+T細胞、hCD19+B細胞、hCD68+マクロファージの存在を認め、各免疫細胞の割合は患者膵組織と同等の割合を認める傾向にあった。【考察】ヒト造血・免疫系を再構築したhumanized マウスに患者由来の切除膵を移植し、膵癌humanized PDXモデルを確立した。この新規疾患モデルは、ヒト膵癌微小環境をより再現できたと言える。このモデルを用いて、免疫応答も含めた膵癌の病態解明や癌免疫療法における治療効果の評価kオ椁C皹・儔椎修箸覆襪海箸・┷兇気譴拭.
259. 奥田翔, 大内田研宙, 中村祥一, 久野恭子, 持田郁己, 大坪慶志輝, 新川智彦, 松本奏吉, 相良亜希子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 水元一博, 中村雅史 , NAC後手術加療を施行した食道扁平上皮癌の再発リスクの検討, 第57回九州外科学会・第57回九州小児外科学会・第56回九州内分泌外科学会, 2021.02, 本邦における食道癌のうち90%以上が扁平上皮癌である。その中でもStage II, IIIについては術前化学療法(NAC)後の切除が標準治療とされているが、5年生存率は依然として満足のいくものではない。
今回我々は、2010年4月から2017年7月の間に食道扁平上皮癌に対してNAC後に当科で手術加療を行った57例について、3年再発率を検討した。各種臨床情報、病理診断を検討したところ、lyあり(p=0.0341, HR 2.635)とRあり(p=0.0005, HR 54.43)のみが有意に再発に寄与していた。更に、リンパ節転移を有する症例の中でもlyを有する症例が有意に3年再発率が高いことが示された。
以上より、NAC施行症例における食道扁平上皮癌の再発にとっては、リンパ節転移の有無に関わらずlyが重要な因子であると考えられ、このことに更なる文献的考察を加え報告する。.
260. 奥田翔, 大内田研宙, 中村祥一, 久野恭子, 持田郁己, 大坪慶志輝, 新川智彦, 松本奏吉, 相良亜希子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 永井俊太郎, 水元一博, 中村雅史, Single-cell RNA-sequenceを用いた術前化学療法後食道扁平上皮癌の免疫環境についての解析, 第121回日本外科学会定期学術集会, 2021.04, 本邦における食道癌のうち90%以上が扁平上皮癌である。その中でもStage II, IIIについては術前化学療法(NAC)後の切除が標準治療とされているが、5年生存率は依然として満足のいくものではない。近年、食道扁平上皮癌に対しても免疫チェックポイント阻害薬が適応となったがsecond lineとしての適応であり、化学療法が腫瘍微小環境における免疫状態にもたらす影響を解明することは、有効な化学療法の使用方法や免疫チェックポイント阻害薬のさらなる治療効果を得る上で極めて重要と考えられる。
今回我々は、当科にて食道扁平上皮癌に対し手術加療を行った症例について、手術摘出標本よりその腫瘍部を採取し、single-cell RNA-sequenceを用いて腫瘍組織の細胞構成およびその同定された細胞集団ごとの機能に関して解析し、cytotoxic T cellに着目してNACの有無で比較検討を行った。
NAC症例9症例の癌部43,125細胞、正常部38,012細胞、非NAC症例2症例の癌部19,933細胞、正常部12,103細胞について解析を行ったところ、癌部では、非NAC症例と比較しNAC症例で未熟なCD8+ T cellが有意に多く、さらにexhaustedに陥っているものは有意に少なかった。正常部ではNAC、非NAC症例間でこの差は認めなかった。
今回の検討で、NACは食道扁平上皮癌の腫瘍微小環境に免疫学的変化をもたらしている可能性が示唆された。この変化は正常部にはもたらされていなかった。このことにCD4+ T cellや抗原提示細胞の変化など更なる解析を加え、報告する。.
261. 奥田翔, 大内田研宙, 大坪慶志輝, 寅田信博, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 永井俊太郎, 中村雅史, scRNA-seqを用いた食道扁平上皮癌におけるCD8+T細胞をとりまく免疫微小環境の解明, 第76回日本消化器外科学会総会, 2021.07, 本邦における食道癌のうち90%以上が食道扁平上皮癌(ESCC)である。Stage II, IIIに対しては術前化学療法(NAC)後の外科的切除が標準治療とされているが、その5年生存率はそれぞれ56%, 29%と満足のいくものではない。一方近年、免疫チェックポイント阻害薬がESCCに対し有効であることが明らかにされた。加えて、NAC後のESCCにおいて腫瘍浸潤CD8+ T細胞(CD8T)が増加することが報告された(Anticancer Res. 2019 Aug.)。このように、ESCC治療における免疫の関与やNACによるCD8Tを中心とする免疫学的な腫瘍微小環境(TME)の変化が示唆されているが、現在のところ免疫学的TMEの包括的な理解は十分ではない。
今回我々は、ESCCに対し手術を行った症例の摘出標本より腫瘍部を採取しsingle-cell RNA-sequence(scRNA-seq)を用いてTME中の細胞構成、その中で同定されたCD8T集団、およびCD8Tに関連する他の細胞集団について、それぞれの機能に着目して解析し、NACの臨床的治療効果別に分類して、比較検討を行った。
腫瘍部10症例の統合解析を?ったところ、quality check後の細胞数は40,484、総遺伝?数は33,077で、33のクラスターに分割された。既知のcell typeに特徴的な遺伝子の発現パターンからそれぞれのクラスターが対応する既知のcell typeを同定し、それぞれのcell typeを抽出、再解析した。CD8T(n=3909)は9つに再クラスタリングされ、未熟性、殺細胞性、疲弊化の程度の異なる細胞集団を複数認めた。未熟性の高い集団の細胞(n=535)では、高いNACの治療効果が得られた群で未熟性マーカー群の発現が有意に上昇(p<0.0001)しており、殺細胞性クラスターの細胞(n=742)においては、NAC高治療効果群で有意な殺細胞性マーカー群の高発現(p=0.0026)と、疲弊化マーカー群の低発現(p=0.0003)を認めた。
今回の検討結果から、NACがESCCのTME中のCD8T集団の機能的なheterogeneityに変化をもたらしている可能性が示唆された。今回指摘したそれぞれの変化に影響をもたらしうる他の細胞腫の機能や相互作用などについて更なる解析を加え、報告する。.
262. 奥田翔, 大内田研宙, 大坪慶志輝, 中村祥一, 久野恭子, 持田郁己, 新川智彦, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史, Single-cell RNA-sequenceを用いた食道扁平上皮癌の免疫環境についての解析, 第29回日本消化器関連学会週間(JDDW 2021), 2021.11, 目的】本邦における食道癌の85%以上が食道扁平上皮癌(ESCC)で,その中でもStage II, IIIについては術前化学療法(NAC)後の切除が標準治療とされている.近年,固形癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICB)の効果が次々と実証され,ESCCについても二次治療としてICBが適応となったが,その奏効率は20%程度に留まる.そこで今回,NACがESCCの腫瘍微小環境(TME)における免疫状態にもたらす影響を解明し,ICBと併せた有効な化学療法を見出すこと,およびICBの更なる治療効果を引き出すことを目的に解析を行った.
【方法】当科でESCCに対し手術加療を行った症例の摘出標本より腫瘍部と正常部を採取し,single-cell RNA-sequenceを行った.cell typeの構成を同定し,そのcell typeごとの機能を発現遺伝子レベルで解析して,NACの有無で比較検討を行った.
【成績】NAC症例8症例,非NAC症例2症例について統合解析を行ったところ,合計121,961細胞が得られた.癌部では,非NAC症例と比較しNAC症例で未熟なCD8+ T cell(CD8T)が有意に多く(p=0.01),exhaustedに陥っているものは有意に少なかった(p<0.01).正常部ではNAC,非NAC症例群間でこの差は認めなかった.更に癌部ではNAC群で,有意にregulatory T cell(Treg)のCTLA4発現スコアが低値で(p=0.01),macrophage(Mφ)の抗原提示スコアが高値であった(p<0.01).
【結論】ESCCではNACの有無でCD8T,Treg,およびMφに機能的な差を認め,NACの施行がESCCのTMEに免疫学的変化をもたらしていることが示唆された.
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263. 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 合併症リスクから考慮するクローン病に対する安全な手術アプローチの適応・周術期管理, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11.
264. 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史 , 当科における脾弯曲部授動定型手技と脾弯曲部癌に対するリンパ節郭清, 第34回日本内視鏡外科学会総会, 2021.12.
265. 永吉絹子, 樗木晶子, 加藤聖子, 永井俊太郎, 進藤幸治, 久保真, 中村雅史, 赤司浩一, 石橋達朗 , キャリア継続の架け橋に~九州大学病院きらめきプロジェクトの業績と今後の展望~, 第117回日本消化器病学会九州支部例会・第111回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2021.06.
266. 永吉絹子, 森瞳美, 進藤幸治, 久保真, 中村雅史 , ロールモデルの次のステップへ~効果的な女性外科医師の育成とキャリア継続支援への取組と課題~, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11.
267. 一宮脩, 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 当院における腹腔鏡下(ロボット支援下)噴門側胃切除における逆蠕動ダブルトラクト再建法と短期成績, 第83回日本臨床外科学会総会, 2021.11.
268. 阿部俊也, 田村公二, 進藤幸治, Michael Goggins, 米国Johns Hopkins大学でのCAPSを用いた膵癌早期発見における取り組み, 第52回日本膵臓学会大会, 2021.09, 【背景】家族性膵癌や病的な生殖細胞変異を持つ患者が正常人と比べて膵癌発症のリスクが高いことはすでに報告されているが、どちらが膵癌発症のリスクが高いかに関しては明らかではない。【目的】膵癌の高リスクの患者の中で、病的な生殖細胞系遺伝子変異を持つ患者と既知の生殖細胞系変異のない家族歴(家族性リスクのみ)の患者での膵悪性新生物発生率を比較すること。【方法】米国Johns HopkinsのCAPSにおいて、464人の膵癌高リスク患者のうち、119人が膵癌感受性遺伝子に病的な生殖細胞系遺伝子変異を認めた。その他345人が膵癌家族歴のみであり、これまで生殖細胞系遺伝子変異を指摘されておらず、これらの中で生殖細胞系遺伝子変異を持つかどうか検討するためにNGSを用いて解析を行い、両群を再グループ化することにより、より正確に両群における膵悪性新生物発生のリスクを評価した。【結果】家族性膵癌のリスクを有すると分類された345人のうち15人(4.3%)において、新たに膵癌感受性生殖細胞遺伝子変異を有しており、より正確に両群を再グループ化し、・オ檮O㍉・契己・・故┐魏鮴呂靴燭箸海蹇∪舷・挧Ψ亙儖曠螢好・押n = 134)の方が家族性リスク群(n = 330 [膵癌、ハザード比、 2.85; 95%CI、1.0~8.18; P=0.05])よりも膵癌、high-grade dysplasia、または臨床的なWorrisome featuresの累積発生率が有意に高かった。【結論】膵悪性新生物の累積発生率は、膵癌ハイリスク患者において、膵癌家族歴のみの群と比較して、病的な生殖細胞系遺伝子変異を有する人の方が有意に高いことが分かった。膵癌家族歴のある高リスク群に対して遺伝子検査を行うことにより、膵悪性新生物発生のリスクがより高い人を同定できる可能性がある。.
269. Taiki Moriyama, Kenoki Ohuchida, Koji Shindo, Shuntaro Nagai, Takao Ohtsuka, Eishi Nagai, Shuji Shimizu, Masafumi Nakamura , Feasibility of chemotherapy for advanced gastric cancer with laparoscopic gastrectomy, 第33回日本内視鏡外科学会総会, 2021.03.
270. Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Taiki Moriyama, Shuntaro Nagai, Takao Ohtsuka, Eishi Nagai, Shuji Shimizu, Masafumi Nakamura, A Single-institution Experience of 23 cases of Laparoscopic remnant total gastrectomy, 第33回日本内視鏡外科学会総会, 2021.03.
271. Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Taiki Moriyama, Shuntaro Nagai, Kohei Nakata, Eishi Nagai, Masafumi Nakamura, An analysis of the procedure leading elevated drained amylase in laparoscopic distal gastrectomy

, 第93回日本胃癌学会総会, 2021.03.
272. Kenoki Ohuchida, Taiki Moriyama, Koji Shindo, Masafumi Nakamura, Surgical procedures for the lesions of esophagogastric junction , KSELS 25th Anniversary KSELS-JSES Joint Symposium, 2021.04.
273. Kenoki Ohuchida, Koji Shindo, Taiki Moriyama, Chikanori Tsutsumi, Shuntaro Nagai, Takao Ohtsuka, Shuji Shimizu, Masatoshi Eto, Masafumi Nakamura , New method for DT reconstruction using anti-peristaltic gastrojejunostomy with physiological passage, 第33回日本内視鏡外科学会総会, 2021.03.
274. Eishi Nagai, Takaharu Yasui, Masayuki Kojima, Kentaro Motoyama, Koji Shindo, Taiki Moriyama, Kenoki Ouchida, Yuji Nakafusa1, Masafumi Nakamura, , Minimal Invasive Surgery for Advanced Gastric Cancer, IASGO2021 (The 32nd World Congress of International Association of Surgeons, Gastroenterologists and Oncologists), 2021.11.
275. 木村隆一郎, 井手野昇, 阿部俊也, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 久保真, 中村雅史, 日本人膵癌症例におけるFoundationOne CDxがんゲノムプロファイリング, 第39回日本胆膵病態・生理研究会, 2022.06.
276. 費双, 大内田研宙, 新川智彦, 相良亜希子, 張波, 河田純, 進藤幸治, 森山大樹, 池永直樹, 仲田興平, 小田義直, 中村雅史 , 膵癌浸潤部周辺における癌関連腺房導管異型性の血管新生, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, 背景: 膵癌は予後不良な腫瘍であり、5年生存率が11%未満で致命的な癌の1つである。Acinar-to-ductal metaplasia (ADM)は、膵癌の前癌病変の一時的な状態であり、さらに低悪性度の前癌病変になり、膵癌に進展すると言われている。一方で、血管新生は腫瘍進展における重要なイベントであることが知られている。ただし、CA-ADMにおける血管新生機序に関わっているかは不明である。
目的: 膵癌進展過程におけるCA-ADMや同部の血管新生の意義について、その癌微小環境に着目し検討する。
方法: ヒト膵癌切除組織128例を用いて、CD31、Amylase、CK19、CD68、CD163の免疫組織染色を行なった。KPCマウス膵癌切除36例をCD34、AmylaseとCK19の免疫組織染色を行なった。ヒト膵癌切除組織5例の多重免疫組織染色を行い、CD68、CD163とMMP9の発現と分布を検討し、CA-ADMにおける微小血管密度とtumor-associated macrophage(TAM)の関連を評価した。単球細胞株THP-1をM0とM1、M2型の三種のマクロファージに分化誘導し、in vitroでそれぞれのマクロファージの上清添加条件でのtube formation assayを行った。
結果: ヒトCA-ADMの微小血管密度は膵癌に比べ顕著に高かった。また、CA-ADMについて微小血管密度が高いほど予後不良であった。CA-ADMのCD68、CD163とiNOSの発現量は膵癌に比べ顕著に高かった。TAMのM0型はMMP9を分泌することが明らかになった。M0型上清は、最も血管新生を促進した。一方、KPCマウスCA-ADMの微小血管密度はPDACに比べて高かった。ただし、微小血管密度と生存率が関係なかった。
考察: ヒトCA-ADMの微小血管密度は豊富である。TAMはCA-ADMの血管新生に関与している可能性がある。
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277. 費双, 大内田研宙, 新川智彦, 相良亜希子, 張波, 河田純, 進藤幸治, 森山大樹, 池永直樹, 仲田興平, 小田義直, 中村雅史, , , , , , 癌局所浸潤部周辺の癌関連腺房導管異型性における血管新生, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, 【背景】膵癌(PDAC)は予後不良な腫瘍であり、5年生存率が8%未満で致命的な癌の1つである。Acinar-to-ductal metaplasia (ADM)は、膵癌の前癌病変の一時的な状態であり、さらに低悪性度の前癌病変になり、膵癌に進展すると言われている。我々は以前に、cancer-associated ADM(CA-ADM)が線維形成性変化と局所膵実質への癌細胞の浸潤を促進することを明らかにした、さらに、IL12Aが正常な腺房細胞と比較してCA-ADMでより高く発現することも報告している(Kibe et al、Cancer Letter、2019)。一方で、IL12Aは、膵癌の血管新生につながる単球系統細胞を動員することが報告されており、血管新生は腫瘍進展における重要なイベントであることが知られている。ただし、IL12AがCA-ADMにおける血管新生機序に関わっているかは不明である。
【目的】PDAC進展過程におけるCA-ADMや同部の血管新生の意義について、その癌微小環境に着目し検討する。
【方法】ヒト膵癌切除組織131例を用いて、CD31、Amylase、CK19、CD68、CD163、IL12Aの免疫組織染色を行なった。KPC (KrasLSL-G12D/+;Trp53LSL-R172H/+;Cre)マウス膵癌切除36例をCD34、AmylaseとCK19の免疫組織染色を行なった。さらに、ヒト膵癌切除組織5例の多重免疫組織染色を行い、CD68、CD163とMMP9の発現と分布を検討し、CA-ADMにおける微小血管密度とtumor-associated macrophage(TAM)の関連を評価した。また、単球細胞株THP-1をマクロファージ細胞に分化誘導し、Western BlotとRT-PCRでMMP9の発現量を測定した。
【結果】ヒトCA-ADMの微小血管密度はPDACに比べ顕著に高かった。また、CA-ADMについて微小血管密度が高いほど予後不良であった。さらに、CD68とCD163、IL12Aを染色し、M2型を含むTAMとIL12Aの発現を検討した結果、CA-ADMのCD68、CD163とIL12AはPDACに比べ顕著に高かった。多重染色によって、TAMのM2型はMMP9を分泌することが明らかになった。一方、KPCマウスCA-ADMの微小血管密度はPDACに比べて高かった。ただし、微小血管密度と生存率が関係なかった。
【考察】ヒトCA-ADMの微小血管密度は豊富である。TAMはCA-ADMの血管新生に関与している可能性がある。一方、マウスではヒトの結果とは一致しておらず、その原因を明らかにするためには検討が必要である
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278. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 腹腔鏡下結腸切除術における体腔内吻合の導入と今後の課題, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07, 【はじめに】近年,腹腔鏡下結腸切除術における体腔内吻合(IA)の有用性が報告されるようになり,導入する施設も増えている.当院でも2020年9月にIAを導入し,慎重な症例選択のもと行っている.今回,当院における体腔内吻合手術手技を供覧し,その短期成績を報告する.
【対象と方法】2020年9月にIAを導入し,計18例にIAを施行した.患者背景,腫瘍局在と術式,在院日数,合併症率などを後方視的に検討した.対象群は2016年4月以降の体腔外吻合(EA)例(n=143)とし(除外:DST例,非吻合例,他臓器合併切除例),その短期成績を比較した.IA例では,基本的に機械的と化学的前処置(カナマイシン,メトロニダゾール)を施行.結腸小腸吻合は機能的端々吻合法(FEE)で,結腸結腸はFEEまたはOverlap法で行っている.基本的にPfannenstiel切開創から標本を摘出する.
【結果】IA群18例のうちFEEを12例(右側結腸切除[RC]8例,横行結腸[TC]2例,左側結腸[LC]2例),Overlap法5例(TC3例,LC2例),Delta法を1例(TC)に施行した.IAとEA群で年齢,性別に差はなかった.BMIはIA/EA群24.1/22.2とIA群でやや高く(p=0.06),ASA-PSはIA群でPS1患者が多かった(p<0.01).腫瘍径やpStageに差はなかったが,T因子はIA群でTis/1/2症例が多い傾向にあった(p=0.08).手術時間はIA群で有意に長かった(289.5vs263分,p=0.02)が,出血量,術後在院日数,合併症率には有意差を認めなかった.IA群の2例にSSIを認めたが(11.1%,,縫合不全と蜂窩織炎),EA群(9.8%)と有意差は認めなかった(p=0.69).体腔内吻合時間(追加補強の縫合時間含む)の中央値は43.5(26-60)分であった.間膜処理時間は35.5(14-71)分で,間膜処理からの合計時間がEA群に比べキ)タ「深蟒兒・屬留篦垢陵廾・塙佑┐.一方,RCにおける器械吻合例のみに絞って解析すると(IA群8例,EA群96例),手術時間にも有意差を認めなかった.
【まとめ】IAは導入から間もなく手技がやや煩雑で手術時間が延長するが,その他の短期成績は許容しうる.特に結腸結腸吻合手技の定型化や術者の経験の積み重ねにより,時間短縮は可能と考える.2例にSSIを認めており,さらなる汚染対策が必要である.現時点で,腹腔内脂肪の少ない痩せ型患者におけるIAの利点については議論の余地がある.今後は播種再発のリスクやPfannenstiel切開の恩恵の評価など長期成績・予後を含めた検討が必要である.
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279. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 当科の腹腔鏡下結腸切除術における体腔内吻合の導入とSSIの発症リスク, 第35回日本外科感染症学会総会学術集会, 2022.11.
280. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 当科における同時性・異時性多発大腸癌に対するCMEを意識した手術戦略と成績, 第77回日本大腸肛門病学会学術集会, 2022.10, 【はじめに】
多発大腸癌に対しては,各々の腫瘍部位に応じてCMEを意識したリンパ節郭清を行う必要がある.右・左側結腸に離れて存在する場合や異時性大腸癌の場合は,温存結腸の血行を考慮して郭清しなければならない.今回当科における多発大腸癌に対するCMEを意識した手術戦略を提示し,手術成績を後方視的に検討する.
【対象と方法】
2012年から2021年に手術を施行した大腸癌症例の中で,同時性・異時性多発癌を対象とした.根治的内視鏡切除を施行した腫瘍は除外した.患者背景,腫瘍局在と術式,術後合併症などを後方視的に検討した.異時癌では初回手術記録を入手し,可能な限り造影CTで血管解剖を把握した.2018年以降はICG蛍光法による腸管血流評価を導入している.
【結果】
58例に異時性・同時性大腸癌に対して手術を施行した.3例のみ開腹手術が行われ,その他は全例腹腔鏡手術で開腹移行例はなかった.同時性多発症例は45例で,13例は吻合部が2か所,30例は1か所,2例は永久人工肛門造設術であった.吻合部が2か所の群はそれ以外と比べて手術時間が長くなる傾向にあった(446.4 vs 355.2分, p=0.11).異時癌13例のうち2例は開腹術後の開腹術,4例は開腹術後の腹腔鏡手術,7例は初回・再手術ともに腹腔鏡手術を施行された.Clavien-Dindo分類III以上の合併症を同時性6例(IIIbイレウス1;IIIa[骨盤死腔炎2;縫合不全2;イレウス1])・異時性2例(IIIb胆嚢穿孔;IIIaイレウス)に認めた.縫合不全症例は共に直腸癌で,ICG血流評価未施行症例であった.4例に再発を認め,肺転移2例,肝転移1例,1例は異時癌症例の播種再発であったが,初回の進行癌の再発と考えられた.不十分な郭清によると思われる局所再発症例はなかった.
【まとめ】
再発例や縫合不全率からみて,当院における多発癌に対する術式選択は妥当と考えられた.縫合不全2例のうち1例は右結腸切除+ISRの症例で血流障害が疑われた.ICG血流評価導入後は縫合不全の発生はなく,異時癌や2か所吻合が必要な手術では必須と考える.腹腔鏡下手術は開腹術後の異時癌に対しても可能と考えるが,1例に術後胆嚢穿孔症例を認めており,適応は慎重に行うべきである..
281. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 超高齢大腸癌患者に対する腹腔鏡下大腸切除術の検討, 第84回日本臨床外科学会総会, 2022.11, 超高齢者大腸癌に対する腹腔鏡下手術の安全性は明らかでない.今回,80歳以上の高齢者に対する腹腔鏡手術の成績を後方視的に検証した.
2011年から2021年までに手術を行った80歳以上の166例のうち,開腹手術12例を除いた154例を対象とした.Prognostic Nutritional Index, Modified Glasgow Prognostic Score, Controlling Nutritional Statusなどの栄養指標を含めた臨床病理学的因子と合併症率について検討した.
 年齢中央値は84歳(80-95)で男性68例,女性86例.ASA-PSはI:6例,II:119例,III:19例.BMIは21.8(14.8-34),PNIは46.5(24-61.8).腫瘍局在は,右側結腸が79例,左側結腸40例,直腸35例であった. pStage0が3例,I:47例,II:62例,III:33例,IV:9例.手術時間は291.5分(130-725),出血量は35mL(0-2100)であった.開腹移行は他臓器浸潤と腹腔内癒着の2例のみであった.Clavien-Dindo分類(CD)2の合併症を27例(17.5%),CD3以上を16例(10.4%)に認めた.CD4aを1例認めたが手術関連死はなかった.単変量解析で,CD2以上の合併症は手術時間(p<0.01)/出血量(p=0.02)と有意に関連し,栄養指標とは有意な関連はなかった.多変量解析でも手術時間が有意な因子であった(p=0.04).
後方視的検討であり術式選択含めて多くのバイアスは否めないが,高齢者に対する腹腔鏡手術の短期成績は許容できる.しかし手術時間延長や出血量増加は明らかに合併症と関連しており,特に超高齢者では短時間で出血のない手術を心掛けるべきである.
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282. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 術式別にみた当科の横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の成績と選択術式の妥当性, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, 【はじめに】横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は,郭清手技を含めて難易度が高いとされている.郭清範囲やアプローチ方法も腫瘍局在や施設間で異なり,特に横行結腸中央部癌に対して,結腸半側切除(HC)か結腸部分切除(PC)かの選択について明確な基準がない.今回当科で施行した腹腔鏡下手術について,腫瘍局在や術式選択による術後成績への影響を検証した.
【方法】2010年1月から2020年12月まで,当科で腹腔鏡下手術を施行した84例(Stage?-?,他臓器合併/同時切除症例除く)を対象とした.患者背景,腫瘍局在と術式,術後合併症率等を後方視的に検討した.局在は右側(R)/中央(M)/左側(L)群に,術式はHC群(右:RHC/左:LHC),PC群に分類した.
【結果】腫瘍局在はR群40例(48%)/M群17例(20%)/L群27例(32%)で,術式はR群でRHC29例/PC11例,M群でRHC4例/PC12例,L群でRHC1例/PC21例/LHC5例が行われた.HC群とPC群で年齢,性別,BMIに差はなかった.リンパ節転移はR群で13例(33%)に認め2例は回結腸(ICR)と中結腸動脈(MCA)領域に,残り11例はMCA領域のみに,M群では8例(47%)で全てMCA領域に,L群は9例(33%)で7例はMCA領域のみ,2例は左結腸動脈領域のみの転移であった.手術成績をHC(40例)とPC(44例)群で比較すると,手術時間(318vs298分),出血量(69vs54ml)に差はなかった.術後在院日数(12.3vs16.4日,p=0.11)はPC群でやや長い傾向にあった.Clavien-Dindo分類Grade3以上の合併症率には差を認めなかったが,Grade2以上はPC群(18例)で有意に多く(p&lt
;0.01),そのうち7例がイレウスであった.R群で5例,M群1例,L群4例に再発を認め,L群の1例のみSMA腹側の局所リンパ節再発であったが,高齢のためPC+D2郭清に止めた症例(pT3N2a)であった.
【まとめ】局在別の術式・リンパ節郭清範囲は許容できると考えられた.PC群はやや合併症が多く在院日数が長くなる傾向にあり,高齢者などハイリスク患者への適応は慎重に行う必要がある.今後は長期成績・予後についての検討必要である.
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283. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, Persistent descending mesocolon併存左側結腸・直腸切除症例の特徴と術中の対策, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12, Persistent descending mesocolon (PDM)は胎生期における固定異常の一種である.S状結腸が内側・右側に変位し,小腸間膜や盲腸周囲に広範囲に癒着していることが多く,広範な癒着剥離が必要となることが多い.今回,当科におけるPDM併存症例を検討し,その特徴と手術成績を解析し,腹腔鏡手術の安全性と対策を検証した.
2010年以降に腹腔鏡下左側結腸・直腸切除術を施行した481例を後方視的に検討した.ロボット支援下手術,側方リンパ節郭清例, 開腹手術既往,他臓器合併切除症例などは除外した.PDMを27例に認めた.PDM併存例は非併存例と比較して出血量が多く(p<0.01),手術時間(p=0.01)が延長した.術後在院日数やClavien-Dindo分類III以上の合併症率に差はなかった.結腸間膜短縮により辺縁動脈が下腸間膜動脈に近接する傾向にあり,術中解剖の理解に細心の注意を要した.最近では,可能な血管処理は体腔外で行うようにしている.また直腸後腔の剥離層は通常通り同定が容易で,ここから頭側に剥離層をつなげることも有用である.
PDM併存例に対する腹腔鏡手術は,癒着剥離操作や内側アプローチ剥離層の同定困難などのため出血量が多く手術時間が延長した.しかし術後合併症の発生率は通常と変わらず在院日数の延長もないため,腹腔鏡手術は施行可能と考える.
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284. 堤親範, 大内田研宙, 中村祥一, 奥田翔, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , scRNA-seqを用いた胃癌浸潤CD8陽性T細胞のheterogeneityの解明, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07, 【背景】胃癌は世界で減少傾向であるものの本邦における罹患率・死亡数は依然として高い。近年、免疫チェックポイント阻害剤であるNivolumabは切除不能進行・再発胃癌の3次治療として推奨されており、胃癌における腫瘍免疫微小環境 (TIME) についての報告は増加している。しかし、免疫チェックポイント阻害薬の奏効率は限定的であり、胃癌TIMEに存在する免疫細胞については不明な点が未だに多い。
【対象】当科で胃切除術を施行した13例から採取した腫瘍部12例と正常部10例を対象とした。
【結論】全22症例の統合解析を行った結果、quality check後のCD8陽性T細胞数は11615であり、6の集団に分類された。細胞障害性機能が高い3つの細胞集団を遺伝子発現の特徴からterminal exhausted CD8陽性T細胞、progenitor exhausted CD8陽性T細胞、acute activated CD8陽性T細胞と判断した。これらの3つの細胞集団はすべて、正常部と比較して胃癌で有意に殺細胞性の上昇 (p<0.001)と疲弊化 (p<0.001)の上昇を認めた。また、これらの細胞集団は正常部と比較してG2M期に存在する細胞の割合が増加していた。さらに、疑似時間軸でterminal exhausted CD8陽性T細胞とprogenitor exhausted CD8陽性T細胞はacute activated CD8陽性T細胞とは異なる分化の軌跡をたどる可能性が示唆された。
【結論】胃癌ではterminal exhausted CD8陽性T細胞とprogenitor exhausted CD8陽性T細胞が抗腫瘍免疫において重要な役割を果たしており、CD8陽性T細胞の中でもこの2つの細胞集団を標的とした免疫療法が有用である可能性が示唆された。.
285. 堤親範, 大内田研宙, 中村祥一, 奥田翔, 久野恭子, 大坪慶志輝, 寅田信博, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , scRNA-seqを用いたpor2胃癌cancer-associated fibroblastが形成する免疫抑制環境の解明, 第31回日本癌病態治療研究会, 2022.06, 【背景】胃癌において、非充実型低分化型腺癌 (por2)は他のサブタイプより予後不良であり、一般的に豊富な繊維化組織を伴うことが多い。近年、膵癌や大腸癌でcancer-associated fibroblast (CAF)のheterogeneityがシングルセルRNAシーケシング (scRNA-seq)によって解明されているが、por2胃癌微小環境におけるCAFをscRNA-seqを用いて解明した報告はない。
【対象・方法】当科で胃切除術を施行した胃癌患者13例から採取した腫瘍部12例と正常部10例を対象とし、scRNA-seqを用いてpor2胃癌CAFが形成する免疫抑制環境について評価した。
【結論】全22症例の統合解析を行った結果、quality check後のCAF細胞数は2383であり、遺伝子発現の特徴からinflammatory CAF (iCAF)とmyoblastic CAF (myCAF)の2群に分類した。iCAFはmyCAFと比較して、免疫抑制機能関連遺伝子の発現が高値であり、Gene Set Enrichment Analysisではケモカイン産生や血管新生の遺伝子セット発現が有意に高値であった。por2胃癌のiCAFは、non-por2胃癌iCAFと比較して腫瘍促進やEMTに関連する遺伝子発現が有意に高値であった。一方、por2胃癌におけるTregの免疫抑制関連遺伝子の発現はnon-por2胃癌Tregと比較して有意に低かった。また、por2胃癌では細胞障害性T細胞の細胞障害性機能関連遺伝子の発現がnon-por2胃癌と比較して有意に低く、細胞障害性T細胞の割合もpor2胃癌で低かった (28.6 % vs. 35.6 %)。
【結論】por2胃癌の免疫抑制環境の形成にiCAFが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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286. 堤親範, 大内田研宙, 中村祥一, 奥田翔, 久野恭子, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , Single cell RNA sequenceを用いたpor2胃癌におけるcancer associated fibroblastのheterogeneityの解明, 第94回日本胃癌学会総会, 2022.03, 【Background】
Gastric poorly differentiated adenocarcinoma has a poorer prognosis than other types of gastric cancer (GC), and non-solid type poorly differentiated adenocarcinoma (por2) generally has abundant tumor stroma. Among these various components in the tumor stroma, cancer-associated fibroblasts (CAFs) have been suggested to play a key role in tumor development. However, the role of CAFs in the tumor immune microenvironment (TIME) has rarely been reported in GC. Furthermore, to the best of our knowledge, no study has evaluated the heterogeneity of CAFs in GC. To reveal the heterogeneity of CAFs and TIME in GC, we focused on CAFs in por2 GC using single-cell RNA sequence (scRNA-seq).
【Method】
We performed scRNA-seq analysis on 125898 cells from 12 tumors (including eight por2 GC) and ten non-tumor samples from patients who underwent gastrectomy.
【Result】
Fibroblast cluster (n=2383) was extracted and reclassified into five clusters with different functions. In the ACTA2-negative CAF cluster, por2 GCs were significantly more capable of cancer promotion (p=0.017) and epithelial-mesenchymal transition (p<0.001) compared with non-por2 GCs. Additionally, in cytotoxic CD8 T cells, por2 GCs were significantly less cytotoxic than non-por2 GCs (p <0.001). Furthermore, the ratio of regulatory T cell counts/ cytotoxic CD8 T cell counts was significantly higher in por2 GCs. (p =0.011).
【Conclusion】
In the present study, we revealed CAFs heterogeneity in GC. Furthermore, we suggest that por2 CAFs may play an essential role in the formation of tumor-promoting TIME.
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287. 堤親範, 大内田研宙, 中村祥一, 奥田翔, 久野恭子, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, scRNA-seqを用いた胃癌cancer-associated fibroblastのheterogeneityの解明, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, 【背景】近年、免疫チェックポイント阻害剤であるNivolumabは切除不能進行・再発胃癌に対して標準治療になったが、その奏効率は限定的であり、胃癌免疫微小環境 (TME)の解明は早急に解決すべき課題である。
【対象】当科で胃切除術を施行した胃癌患者13例から採取した腫瘍部12例と正常部10例を対象とし、シングルセルRNAシーケシング (scRNA-seq)を用いて、cancer-associated fibroblast (CAF)のheterogeneityを評価した。
【結論】全22症例の統合解析を行った結果、quality check後のCAF細胞数は2383であり、4の集団に分類された (Fig.1)。4つの細胞集団を遺伝子発現の特徴からinflammatory CAF (iCAF)とmyoblastic CAF (myCAF)の2群に分類した。antigen-presenting CAFはクラスターを形成せず、iCAFとmyCAFクラスターの中に存在していた。機能関連遺伝子の発現を評価したところ、iCAFであるF0クラスターで免疫抑制機能関連遺伝子の発現が最も高値であった。Gene Set Enrichment AnalysisではiCAFはmyCAFと比較して、ケモカイン産生 (FDRq<0.01)や血管新生 (FDRq=0.02)の遺伝子セット発現が有意に高値であった (Fig.2)。
【結論】胃癌CAFにおけるheterogeneityを明らかにし、iCAFは胃癌TMEにおいて免疫抑制環境の形成に関与している可能性が示唆された。

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288. 堤親範, 大内田研宙, 中村祥一, 奥田翔, 久野恭子, 大坪慶志輝, 寅田信博, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , , scRNA-seqを用いたEBV関連胃癌におけるCD8陽性T細胞に着目した腫瘍微小環境の解明, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, 【背景・目的】Epstein?Barr virus(EBV)関連胃癌は胃癌全体の10%を占め、通常型胃癌よりも比較的予後は良好である。また、通常型胃癌と比較して、腫瘍浸潤リンパ球が多く、その中でもCD8陽性細胞の割合が高いことが報告されている。しかし、EBV関連胃癌の腫瘍微小環境(TME)に存在する免疫細胞については不明な点が未だに多い。近年、1細胞ごとの網羅的遺伝子発現解析を行うシングルセルRNAシーケシング(scRNA-seq)によるTME 内の解明が進んできており、今回我々はEBV関連胃癌におけるTME内のCD8陽性T細胞に着目し、その機能や細胞構成についてscRNA-seqを用いた検討を行った。
【対象】当科で胃切除術を施行したEBV関連胃癌2例と通常型胃癌4例から採取した腫瘍部6例と正常部3例を対象とした。
【結論】全9症例の統合解析を行った結果、quality check後の細胞数は58234であり、10の集団に分類された。さらに、CD8陽性T細胞の集団(n=6375)を抽出し、再解析すると、7の集団に再分類された。細胞集団の機能(未熟性、殺細胞性、疲弊化)をEBV関連胃癌と通常型胃癌で比較検討すると、EBV関連胃癌におけるエフェクターCD8陽性T細胞で有意な殺細胞性(p<0.001)と疲弊化(p<0.001)の上昇を認めた。また、EBV関連胃癌における疲弊化CD8陽性細胞で有意な未熟性の上昇(p=0.022)と疲弊化の低下(p=0.003)を認めた。
【結論】EBV関連胃癌におけるCD8陽性T細胞で、殺細胞性が上昇する集団や疲弊化の低下と未熟性の上昇を認める集団が存在し、これが予後に関わる一つの要因である可能性が示唆された。
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289. 張波, 大内田研宙, 新川智彦, 持田郁己, 阿部俊也, 井手野昇, 進藤幸治, 池永 直樹, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史, 低グルコース腫瘍微小環境が抗腫瘍免疫に与える影響の検討, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, 日本における膵癌の約95%が腺がんである。その5年生存率は男性8.9%、女性8.1%、従来療法の治療効果は十分ではない。近年、免疫チェックポイントインヒビターは様々な癌種に対して治療効果を示しているが、膵癌に対しては効果的ではない。膵癌は免疫学的に「コールド」腫瘍微小環境(TME)を示し、CD8+ T細胞の低浸潤とGranzyme-BやIFN-γなどの低発現、骨髄由来細胞の高浸潤を特徴とする。
栄養競争は「コールド」TMEの原因の一つとして考えられている。グルコース代謝は免疫細胞において重要で、その生存と機能を制御している。KRAS変異(膵癌は95%以上)によって癌細胞は解糖系を亢進させ、TME中のグルコースを消耗する。同時に、微小環境中のPD-L1とPD-1の結合で癌細胞の解糖系を亢進し、結果として、TME中の乳酸濃度が上昇し、免疫抑制性のTMEの原因になる可能性が示唆されている。樹状細胞(DC)は抗原提示細胞として、T細胞の活性化に重要な役割を果たしているが、その成熟には急速な解糖系の亢進が必要でさらにその機能維持にもその解糖状態を保つ必要がある。T細胞はその活性化と抗腫瘍作用において糖代謝に依存している。
膵癌におけるコールド微小環境の形成に、微小環境中のグルコース代謝の異常がどのように影響するかは明らかになっていない。
【目的】腫瘍微小環境におけるグルコース代謝が抗腫瘍免疫に与える影響を検討する。
【方法】KPC(KrasLSL-G12D/+;Trp53LSL-R172H/+;Cre)マウス由来の癌細胞から各グルコース消耗率(高グルコース代謝、Control、低グルコース代謝)の細胞株を樹立し、B6マウス(C57BL/6)に同所と皮下に移植しすることで低グルコースTMEモデル、Control TMEモデル、高グルコースTMEモデルを樹立して、Flow cytometryとIHCにて免疫微小環境の変動を検討した。また、オルガノイドを用いた癌細胞とDCの 3D共培養実験でCD80、CD86、MHC I、MHC IIの発現及び細胞数を検討した。
【結果】低グルコースTMEの移植モデルはControlより低CD4+T細胞、低CD8+T細胞、低DCの浸潤が減少していた。3D共培養実験では低グルコースTMEのモデルはControlよりDCの細胞数が減少し、低グルコースTMEの中ではDCの生存が抑制されることが示唆された。また、CD86、MHC I、MHC II発現が低下していた。
【考察と結論】今後、さらなる検討が必要であるが、膵癌微小環境中のグルコース代謝を選択的に制御することで抗腫瘍免疫を増強できる可能性があると考えられる。.
290. 中村祥一, 大内田研宙, 堤親範, 久野恭子, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, シングルセル解析を用いた食道癌内Bリンパ球サブタイプのheterogeneityの解明, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, 【目的】
癌の進展・縮小に関して腫瘍浸潤リンパ球が重要な役割を担っており、近年では液性免疫の主体であるBリンパ球が固形癌の予後改善に寄与しているという報告が散見される。Bリンパ球は抗原刺激に伴って様々な分化サブタイプを示すことが知られているが、腫瘍局所での分化サブタイプのheterogeneityや機能は未だ不明である。本研究では食道癌切除検体を用いたシングルセル解析を行い腫瘍局所でのBリンパ球サブタイプの詳細な解析を目的とした。
【方法】当科で外科的切除を行った食道正常粘膜部、食道扁平上皮癌部の計17検体を対象に解析を行った。シングルセル解析はDrop-seq systemを使用した。
【成績】計17検体から得られたシークエンスデータをmergeしQuality Checkを施行すると全細胞数:88,954個、総遺伝子数:29,936が同定された。さらにUMAPで次元圧縮を行い、Bリンパ球のみを分離し発現遺伝子でクラスター化すると5つのBリンパ球分化サブタイプ(ナイーブ、活性化、胚中心、メモリー、形質細胞)に分類できた。そのうち形質細胞が最も多く同定され、全Bリンパ球中の53.2%を占めていた。Bリンパ球は様々なタイプの抗体を産生することが知られているが、それぞれの抗体産生Bリンパ球 (IgA, IgD, IgE, IgG, IgM)が腫瘍局所でも明確に分離できた。また、Bリンパ球は抗原提示細胞としての側面も持つが、形質細胞へと分化するとともにMHC class IIの発現が完全に消失しており、分化に伴って抗原提示能を失っていることが分かった。
【結論】Bリンパ球サブタイプの解析を行った。今後、その他の免疫細胞との細胞間相互作用にも注目し、Bリンパ球を中心とした抗腫瘍免疫機能を解明する。
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291. 中村祥一, 大内田研宙, 堤親範, 久野恭子, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, シグナルセル解析を用いた食道癌内浸潤Bリンパ球のheterogeneityの解明, 第60回日本癌治療学会学術集会, 2022.10, Purpose: Tumor infiltrating lymphocytes play an important role in the tumor progression. Recently, several reports showed that B lymphocytes, the main components of humoral immunity, contribute to improve prognosis in tumors. B lymphocytes are known to differentiate into various subtypes with antigen stimulation. However, the heterogeneity of tumor infiltrating B lymphocyte subtypes is not clear. Here we examined the heterogeneity of functions and subtypes of TIL-Bs in esophageal squamous cell carcinoma using single-cell transcriptome analysis.
Experimental Design: We examined 17 specimens including 7 normal tissues and 10 tumor tissues which were resected surgically at our department using single-cell transcriptome with Drop-seq system.
Results: We identified 88,954 cells and 29,936 genes with analysis of the sequence data. Furthermore, B lymphocytes were extracted and there were 5,338 cells of B lymphocytes, including 1,982 cells of normal tissues and 3,376 cells of tumor tissues. We classified 5 subtypes of B lymphocytes according to the canonical marker genes. Of these subtypes, antibody-secreting cells (ASCs) were most frequently and accounted for 53.2% of all B lymphocytes. Evaluating the functional genes, the functions of antigen-presentation and co-stimulation were completely lost during differentiating into ASCs. Focusing on germinal-center B cells (GCB, n=114), which are known to play a central role in germinal center reactions, we evaluated the gene set consisted with co-stimulation factors and the expression of the gene set in GCBs of tumor were elevated significantly (p=0.028). It suggested that GCBs in tumor may induce the germinal center reaction actively at the tumor site.
Conclusion: We analyzed the heterogeneity of TIL-Bs. We will focus on cell-interactions with other immune cells in anti-tumor immunity.
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292. 中村祥一, 大内田研宙, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, シングルセル解析を用いた食道癌内B細胞における機能解析, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07, 【背景】腫瘍局所の微小環境には、T細胞、B細胞、樹状細胞など多種多様な免疫細胞が存在し腫瘍の進展・縮小に大きく関与している。また近年、切除不能食道癌に対し抗PD-1抗体が保険適応になるなど、消化器癌における免疫微小環境の理解は急務である。B細胞は液性免疫における中心的役割を担っているが、腫瘍局所で実際にどのような機能を発揮しているのかは未だ不明である。今回、食道扁平上皮癌の切除検体を用いてシングルセル解析を行い、腫瘍内B細胞の詳細な機能解析を行った。
【対象】食道正常粘膜部・食道扁平上皮癌部の計17検体を対象にシングル解析を行った。シングルセル解析はDrop-seq技術を基盤とした10x genomics社のChromiumコントローラーを用いた。
【結果】計17検体から得られたシークエンスデータを一旦すべてmergeした上で、Rソフト上のSeuratパッケージを用いてQuality Checkを施行すると、全細胞数:88,954個、総遺伝子数:29,936が検出された。それらの検出細胞に対してUMAPを用いて次元圧縮を行いクラスター化を実行したところ、25のクラスターに分けられた。各クラスターの発現遺伝子からB細胞を分離し再クラスター化を実行すると、新たに5つのクラスターに分けられた。B細胞全体で5,338個検出され、正常部:1,982個、腫瘍部:3,376個が同定された。それぞれのクラスターに対し、代表的な機能遺伝子発現の解析を行った。B細胞の活性化を示すNF-κB経路関連遺伝子は活性化B細胞クラスターで強く発現していた。一方、細胞増殖シグナルであるMYC経路関連遺伝子は活性化B細胞・メモリーB細胞クラスターで発現していた。また、PD-1, PD-L1/2の発現にもクラスター間で不均一性がみられた。以上の結果より、B細胞クラスター間で活性や細胞増殖シグナルの不均一性kオ梟タ減澆垢襪海箸・・・辰拭
【結語】B細胞の各サブタイプにおける細胞活性の評価を行うことができた。今後は術前化学療法の有無や正常部・腫瘍部での比較を行い、より詳細な免疫微小環境の解析を行っていく。
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293. 中村祥一, 大内田研宙, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, scRNA-seqを用いた術前化学療法に伴う食道癌内B細胞の不均一性の変動の解析, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, 【背景】
癌の進展において、癌細胞とその周囲組織から構成される腫瘍微小環境が重要な役割を果たしているが、特に近年、免疫チェックポイント阻害薬の出現によって腫瘍内の多様な免疫細胞で構成される免疫微小環境の不均一性が注目されている。一方、cisplatinやgemcitabineなどの化学療法により免疫微小環境が大きく変動することが明らかになっている。今回、食道癌の手術切除サンプルを使用したscRNA-seqにより腫瘍浸潤B細胞の遺伝子発現解析を行うことで、術前化学療法(NAC)によるB細胞の不均一性の変動解析を行った。
【対象】
当科で外科的切除を行った食道扁平上皮癌において、NAC施行例 (4例)、NAC未施行例(5例)、正常食道粘膜部(7例)の計16検体を対象とした。検体は単一細胞化したのちにchromiumを使用しscRNA-seqを行い腫瘍浸潤B細胞の発現遺伝子の変化を評価した。
【結果】
計16検体のシークエンスデータに対しSeuratパッケージを使用しQuality Checkを施行すると全細胞数:89269、総遺伝子数:29331が検出された。UMAPで次元圧縮を行い有意発現遺伝子でクラスター化すると19のクラスターに分けられた。さらに各クラスターの発現遺伝子からB細胞を分離し、再クラスター化を行うと9のクラスターに分類でき、NAC施行群のB細胞総数は1981個、NAC未施行群は2200個であった。B細胞の各サブタイプの代表遺伝子の発現で評価すると、Naive B細胞、メモリーB細胞などのクラスターが同定できた。Naive B細胞に注目して、代表的な活性化受容体であるIgDを評価したところ、NAC施行群で著明に発現が低下していることがわかった。
【結語】Naive B細胞がNAC施行に伴って機能低下している可能性が示唆された。今後T細胞や樹状細胞などの多様な免疫細胞との関係を考慮しながら解析をすすめていく予定である。
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294. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 池永直樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 食道切除後胃管再建頸部吻合における後縦隔経路と胸骨後経路の縫合不全の比較とその機序の解明, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07.
295. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 大薗慶吾, 佐田政史, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 江藤正俊, 中村雅史, , ロボット手術特有の手技:2hands dissectionとシザース片刃によるlift up method, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04.
296. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 佐田政史, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 食道胃接合部癌に対する術式選択と再建法の工夫, 第84回日本臨床外科学会総会, 2022.11.
297. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 佐田政史, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 江藤正俊, 中村雅史, ロボット支援下胃切除術における安全確実なデルタ吻合の工夫, 第94回日本胃癌学会総会, 2022.03.
298. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 仲田興平, 江藤正俊, 中村雅史 , 理想的な食道癌手術を実現するための理論と技術の確立を目指して:ロボットの立場から, 第76回日本食道学会学術集会, 2022.09.
299. 大内田研宙, 森山大樹, 進藤幸治, 大薗慶吾, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, , ロボット特有の手技を重視した食道癌手術における縦隔郭清, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12.
300. 水内祐介, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 島田有貴, 仲田興平, 大内田研宙, 小田義直, 中村雅史, 外科手術を施行した浸潤性微小乳頭癌成分を伴う大腸癌
, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, 大腸癌はその多くが管状腺癌であり、分化度によって高分化、中分化、低分化に分類されている。浸潤性微小乳頭癌(IMPC)は比較的新しい概念であり、乳癌においては通常型乳癌と比較して悪性度が高く,予後不良と報告されている。大腸においてもリンパ節転移リスクの上昇、幹細胞マーカーの発現上昇や予後不良の報告がある。今回当科において2012年から2016年に切除した原発性大腸癌症例のうち、微小乳頭癌成分をもつ13症例を対象に臨床病理学的因子を解析した。性別は男性6例、女性7例、平均年齢は58.7 (30-69)歳、家族性大腸腺腫症に発生したS状結腸癌の症例を1例に認め、それ以外は通常型の大腸癌であった。腫瘍の局在は盲腸1例、横行結腸3例、下行結腸1例、S状結腸4例、直腸RS2例、直腸2例であり左側結腸・直腸に多い傾向があった。診断時遠隔転移を4例に認め(肝4例、腹膜播種1例)、手術のアプローチは12例(92.3%)に腹腔鏡手術を施行した。リンパ節郭清はD2 4例、D3 13例であった。キ)タッ鶻崚尚椶鯣爾Γ肝磴任錬確磴倭甦釮亡療尚楞・腓砲茲蠎鞜膸爐箸覆辰拭・盈磴聾業・秬攴鋐紊鵬蹴慘屠 ・寮攴鋠楾圓靴凸戯独・魄飮・靴討い襦・巴濃・鶻崚尚椶鯒Г瓩覆ぃ肯磴任倭肝禺L・攴釮・椎修任△辰拭pT分類はT1b 2例、T2 2例、T3 3例、T4a 1例、T4b 1例(膀胱)であった。リンパ節転移は9例中8例に認め、特にT1b 2症例においては3個、4個と比較的高度のリンパ節転移を認め、リンパ節転移をきたしやすい組織型であることが示唆された。8例(88.9%)にL-OHPを含む術後補助化学療法を施行し、3例に再発を認め、5年無再発生存率は66.7%であった。以上よりIMPCを伴う大腸癌ではリンパ節転移が高頻度であり遠隔転移を伴う症例が多かった。今後は遺伝子プロファイルの特徴などについても検討する予定である。.
301. 水内祐介, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 潰瘍性大腸炎に対する経肛門的内視鏡アプローチ併用大腸全摘術, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12, 潰瘍性大腸炎(UC)の標準術式は大腸全摘である。大腸全摘は剥離範囲が非常に広く、腸間膜の処理、再建など長時間手術が必要になる。低侵襲性からUCに対する大腸全摘にも腹腔鏡手術が導入されつつあるが、さらなる長時間手術が必要となる。経肛門的内視鏡手術は直腸癌手術で確立しつつある方法で、経肛門もしくは会陰的に逆行性に直腸固有筋膜レベルでの剥離を行う。腹腔操作と同時に行うことによって手術時間の短縮が可能になるだけでなく、双方向からの確認の上での剥離が可能となり、安全な手術の一助となる。当科では2020年よりUCに対する大腸全摘術に経肛門内視鏡手術併用を開始した。当科で施行したUCに対する経肛門的内視鏡手術併用大腸全摘術は4症例で男性2例、女性2例で年齢は59.5歳であった。施行術式は全例大腸全摘であり、2例がStapled IAA、1例がHand-sewn IAA、1例が全摘、回腸人工肛門造設であった。手術時間は397.5分であり、出血量は82.5gであった。術後Clavien-Dindo Grade 2の腸閉塞と会陰部
SSIをそれぞれ1例に認めた。2015年からTaTME導入前までのUC大腸全摘症例の手術時間の中央値は546分、出血量は155gであり、経肛門内視鏡手術併用の方が有意に手術時間は短く出血量は少なかった(p?0.05)。本セッションでは当科で施行しているtaTME併用大腸全摘術の手術術式を供覧いただく。

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302. 水内祐介, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 高齢者ステージIII大腸癌に対する術後補助化学療法, 第60回日本癌治療学会学術集会, 2022.10, There is little evidence of adjuvant chemotherapy for elderly patients since they often exclude from the clinical study of chemotherapy. We examined the clinicopathological factors for elderly patients with Stage III colorectal cancer over 70 years old. Ninety-seven patients were enrolled in this study between 2007 and 2016. The study included 45 male and 53 female with a median age of 77.1 years (range=70-92 years). Tumor was located in right side colon (n=45), left side colon (n=34) and rectum (n=18). Fraility was found in 14 patients (ASA 3). Morbidity (Clavien -Dindo ?2) were observed in 20 patients. Pathologically, high histological grade (mucinous or poorly differentiated adenocarcinoma) was observed in 10 patients. In addition, T4 and N2 were observed in 14 and 16 patients, respectively. Adjuvant chemotherapy was performed in 62 patients including 15 L-OHP-contained regimens. In the patients with PS 3 or more, there is no indication
for adjuvant chemotherapy regardless patients’ age in our department. In the patients with PS 2, we determined the indication for chemotherapy based on cancer stage and general condition. In 35 patients without adjuvant chemotherapy, the cause of omitting chemotherapy was poor PS (n=18), patients preference (n=14). Subgroup survival analysis showed that omitting adjuvant chemotherapy was significant risk factor for cancer recurrence in T4 and N2 group (p=0.0293) though there was no statistical difference whether omitting adjuvant chemotherapy or not in non T4 and N2 group. Although this study is retrospective setting and there are many biases, adjuvant chemotherapy should be performed for the good PS elderly patients with locally advanced or many lymph nodes metastasis..
303. 水内祐介, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, ロボット支援下直腸手術における SSI リスク因子の検討, 第35回日本外科感染症学会総会学術集会, 2022.11.
304. 水内祐介, 三渕晴香, 渡邉勧, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 他臓器との瘻孔を伴う結腸憩室炎に対する鏡視下手術, 第77回日本大腸肛門病学会学術集会, 2022.10, 憩室炎は時に増悪により膀胱をはじめとする他臓器への瘻孔を合併することがあり、
狭窄待機的とともに外科手術の適応となる。腹腔内の炎症や癒着などを伴う複雑性憩
室炎に対する鏡視下手術の安全性及び妥当性はいまだ明らかでない。本研究の目的は
他臓器との瘻孔を伴う憩室炎に対する腹腔鏡手術安全性及び妥当性を検証することと
術中の工夫について供覧することである。当科にて2012年から2019年に鏡視下手術を
施行した他臓器に瘻孔を伴う憩室炎17症例を対象とした。男性9例女性8例、年齢61.6
(44-78)歳、症状は便性帯下2例、腹痛6例、糞尿/気尿8例、排尿時痛4例、発熱5例(重
複含む)、罹患範囲はS状結腸10例、下行~S状結腸6例、全結腸1例、瘻孔形成臓器は膀
胱12例、膀胱及び小腸1例、小腸2例、膣断端2例であった。膀胱瘻のみでの検討では
術前検査の検査精度はそれぞれ瘻孔診断能CT 8/13 (61.5%)、消化管造影3/10 (30.0%
)、MRI 6/6 (100%)とMRIが瘻孔診断能に優れていた。瘻孔の開口部が尿管に近接して
いる症例には全身麻酔導入後に尿管ステントを挿入した(10/13例)。16症例中結腸膀
胱瘻の2症例において腹腔内の著明な炎症癒着により開腹に移行した。人工肛門は回
腸3例、Hartmann2例造設したが全例で閉鎖可能であった。結腸膀胱瘻に対する瘻孔
部処置は多くがトリミング後に2層に縫合閉鎖を行っていたが、リークテストでも瘻
孔からの色素流出を認めない2例では1層の補強縫合にとどめた。結腸膣瘻の手術症例
は2症例みとめたがどちらも婦人科で子宮全摘出後であり、膣断端との瘻孔であった
。術後合併症としては2症例腹腔内膿瘍を認めたが、縫合不全は認めず、両者ともに
保存的に軽快した。当科における瘻孔を有する結腸憩室炎に対する鏡視下手術は短期
成績からは安全で妥当なものと思われた。鏡視下手術における術中の工夫としては腹
腔鏡の下からのぞき込むように見ることができる視野を利用して瘻孔部の周囲、特に
背側や奥の剥離を先行して出来るだけ授動を行った後に瘻孔部を切開することで瘻孔
を形成した臓器の損傷を最小限にできると思われる。当科における術中の工夫につい
て手術ビデオを供覧しながら概説する。.
305. 水内祐介, 久野恭子, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 家族性大腸腺腫症に対する経肛門アプローチを併用した大腸全摘術, 第76回手術手技研究会, 2022.05, 家族性大腸腺腫症(FAP)はAPC遺伝子の生殖細胞系列遺伝子変異の影響で大腸癌が高頻度に生じる疾患で、標準術式は大腸全摘である。大腸全摘は剥離範囲が非常に広く、腸間膜の処理、再建など長時間手術が必要になる。低侵襲性からFAPに対する大腸全摘を腹腔鏡手術で行う施設が増えているが、さらなる長時間手術が問題になっている。経肛門的内視鏡手術は直腸癌手術で確立しつつある方法であり、経肛門もしくは会陰的に逆行性に直腸固有筋膜レベルでの剥離を行う手技である。腹腔操作と同時に行うことによって手術時間の短縮が可能になるだけでなく、2方向から確認を行いながらの剥離が可能であり、正確で安全な手術が可能になる。当科で施行したFAPに対する経肛門的内視鏡手術併用大腸全摘術は3症例で男性1例、女性2例で年齢は23.8 (18-29)歳であった。施行術式は全例大腸全摘であり、3例ともにHand-sewn IAAで、全例に回腸人工肛門を造設した。手術時間は590 (423-641)分であり、出血量は100 (0-200)gであった。Outlet obstructionが結オ梛ョ・隼廚錣譴Clavien-Dindo Grade 2の腸閉塞を1例に認めた。手術時間についてはやや長時間となっているが500分を超えた2例はともに腹部手術歴があり腹腔内癒着の剥離に時間を要したが安全に手術可能であった。本セッションでは2020年から当科で施行している経肛門アプローチ併用大腸全摘術の手術術式を供覧いただく。.
306. 水内祐介, 永吉絹子, 佐田政史, 田村公二, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 当科における経肛門アプローチ併用直腸手術の現況, 第1回福岡低侵襲外科研究会, 2022.06.
307. 水内祐介, 永井俊太郎, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 直腸癌術後局所再発に対する重粒子線治療―当院におけるスペーサー手術の検討―, 第84回日本臨床外科学会総会, 2022.11, 直腸癌において局所再発は比較的頻度の高い再発形式である。第一選択は遺残の無い外科的切除だが、局所再発部位により外科的切除はしばしば困難である。また切除可能であっても他臓器合併切除を要する手術は非常に効率の周術期合併症があり、患者に大きな機能障害が残るだけでなく、周術期死亡についても問題となる。本年4月から大腸癌の骨盤内再発に対する重粒子線治療が保険適応となり、その治療成績と比較的低い有害事象に期待が持たれている。しかし重粒子線照射の際はその高い線量分布から隣接臓器との間に距離が必要となり、スペーサー留置が必要になることが多い。今回当科で施行した直腸癌局所再発に対するスペーサー手術について検討した。2013年10月から2022年4月に直腸癌局所再発に対する重粒子線治療の適応でスペーサー手術を施行した10例を対象に検討を行った。正中切開で開腹し腫瘍周囲を剥離、人工スペーサーにより腫瘍表面を被覆・固定した。大網による被覆や骨盤底形成が可能な症例では人工スペーサーは留置しなかった。(結果)男性 6 例、女性 4 例。キ)タネ振冉・陲 63.7 歳(43-72 歳)。 術式はゴアテックスシート留置5例、吸収性組織スペーサー留置1例、大網充填2例、骨盤底形成2例であった。平均手術時間は 249.8分、平均出血量は 278.5g であった。術後在院日数は平均 11.8 日。短期合併症としては、 腸閉塞が1例、水腎症が1例認められた。全症例において重粒子線照射が可能であった。(考察)保険適応に伴い、重粒子線治療症例は増加してくると考えられる。直腸癌局所再発に対する重粒子線治療のためのスペーサー手術は安全で有効であると考えられた。.
308. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 食道がんに対する食道高位切離後の胃管再建の工夫, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07.
309. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 水内祐介, 永吉絹子, 井手野昇, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 軸捻転を予防するための腹腔鏡下腸瘻造設術の工夫とその効果, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04.
310. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 当科における十二指腸LECSの方針と今後の課題, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12, 癌や腺腫、粘膜下腫瘍などの十二指腸腫瘍は、切除が第一候補となるが、膵頭十二指腸切除は過侵襲となる場合がある。 しかし、EMR, ESDなどの内視鏡的治療は、十二指腸は壁が薄いため遅発性穿孔率が10%弱と非常に高率である。近年、腹腔鏡内視鏡合同手術 (LECS)の低侵襲性と安全性が評価され、十二指腸腫瘍に対する治療として保険収載された。
 当科では、現在まで十二指腸病変17症例(男9:女8、年齢40-79歳)に対してLECSを行った。腺腫8例、上皮内癌3例、NET6例であり、乳頭を基準として口側10例、肛門側7例であった。開腹移行は2例であり、乳頭近傍腫瘍であったため、安全のため開腹移行した症例である。術後合併症としては3例(18%)に発生したが、2例は内視鏡的切除で穿孔がなかったため腹腔鏡での壁補強などの処置を併置せずに終了した症例である。十二指腸縫合補強を行ってLECSを完遂した症例では、全例で合併症はなく術後経過は良好で、術後13日(中央値)で退院していた。17例中10例でESD中穿孔があり、特に乳頭近傍腫瘍であった場合は、十二指腸閉鎖時の乳頭の縫込みに特に注意が必要である。当科におけるデータを供覧するとともに、当科での方針と今後の課題について文献的考察を含めて発表する。
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311. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 残胃癌手術症例におけるリンパ節転移についての検討, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10.
312. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 気管分岐部リンパ節郭清の意義についての後方視的検討, 第76回日本食道学会学術集会, 2022.09.
313. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, Roux-en Y再建後の食道空腸吻合部胸腔内滑脱回避のための犠牲腸管作成による挙上空腸の緊張制御, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12, 近年、胃全摘Roux-en Y再建後に食道空腸吻合部が胸腔内に滑脱し、通過障害を誘発するとする報告が散見される。我々は基本方針として、食道空腸吻合は、リニアステープラーを用いたoverlap法でInverted-T型に吻合している。その際、吻合部が腹腔内に引き出せるように食道を十分に剥離しているが、この食道剥離は長期的に見て、胸腔内陰圧による吻合部の胸腔内への滑脱を助長すると考えている。また同様に、挙上空腸間膜の緊張が緩すぎることも滑脱の一因となり得る。これを回避するために、マージナルや空腸動脈を処理せずに犠牲腸管を作成することで挙上空腸に適切な腹腔側への緊張がかかるように配慮している。近年では、犠牲腸管は吻合後に作成しており、これは実際の緊張を見て最適な場所を自在に選ぶことができ、緊張制御に非常に有効である。一方、吻合に際し、食道切離が高位になった場合は積極的に腹臥位による胸腔内再建を選択しているが、その際は空腸動脈を数本切離して長い挙上空腸を作成し、吻合後に仰臥位にて腹側から十分に引き下げて挙上空腸を横隔膜脚に固定している。本工夫をおこなっキ)タ「唇濮甘ΩRY再建210症例中、吻合部の滑脱に関してはこれまで経験していない。同吻合時の工夫に関するビデオと詳細データを供覧して報告する。.
314. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 中村雅史, 胃癌に対するロボット支援下手術の工夫, 第21回福岡内視鏡外科研究会, 2022.02.
315. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 大薗慶吾, 佐田政史, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 術前化学療法を施行した進行胃癌術後再発例に関する臨床病理学的特徴, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, 【背景】進行胃癌の再発率を改善するため、従来の術後化学療法に加えて、術前化学療法(NAC)について議論されている。本邦においてはbulky Nに対するNACの有用性が報告されたが、まだ確立された治療戦略とは言えない。
【目的】当科における切除可能進行胃癌に対するNAC施行例を後ろ向きに検討し、特に再発例の臨床病理学的特徴について考察した。
【対象】2010年以降、進行胃癌・食道胃接合部癌に対してNACを1コース以上施行後に根治手術を行った24例について検討した。ただし、Conversion手術例は含まず、手術時にCY1などの非治癒因子を認めた症例(Stage IV)は除外した。
【結果】24例中11例(46%)に再発を認めた。治療前の病態により以下の3群に分けて、その特徴を検討した。(1) bulky Nまたは多発リンパ節転移(cN2-3)では14例中6例(43%)に再発を認めた(リンパ節再発2例、肝転移2例、後腹膜再発2例)。再発は全て2年以内に認められ、うち4例は術後6か月以内の再発であった。(2) 腫瘍径8cm以上の巨大3型進行癌では7例中2例(29%)に再発を認め、1例は術後3か月(肝転移)、もう1例は術後1年半(後腹膜)での再発であった。(3) 4型進行癌では4例中3例(75%)に再発を認め(腹膜転移2例、局所再発1例)、1例は他病死であった(術後2か月)。再発は術後1年-3年半までに認められた。ただし、これ以外にConversion手術後(CY1→CY0)に術後6年無再発生存例がある。なお、食道胃接合部癌では10例中5例に再発を認めた(術前bulky N 4例、巨大腫瘍1例)$
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【考察】bulky N・多発リンパ節転移群では予後良好な症例がある一方で、再発までの期間が短く、術後早期の化学療法が必要と考えられた。4型進行癌はNACが無効であることが多く、現時点では早期の手術を考慮すべきであると考えられた。
【結論】進行胃癌に対しては、治療前の病態によって術後再発率や再発までの期間が異なることに留意した治療戦略が求められる。 
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316. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, ロボット支援下胃切除術におけるビルロートI法再建(デルタ吻合)の工夫, 第76回手術手技研究会, 2022.05, ロボット支援下胃切除術は、郭清手技の自由度の高さやスムーズさに比べると、消化管再建手技はやや難しく感じる。その理由としては、ポート配置が腹腔鏡手術とは異なる点と、術者と助手の協働作業が必要になる点にあると考えられる。当科ではロボット支援下胃切除術におけるデルタ吻合を、腹腔鏡手術での手技と同じ手技で行えるように工夫している。
具体的には、術者が患者右側2本のアームを両手で操作できるように紐付けを変更し、助手が患者左側のアシストポートから自動縫合器を挿入し、胃壁を術者3rd arm(患者左側)で把持する。まず胃の小孔に助手が自動縫合機を挿入し、3rd armとともに十二指腸側にゆっくり移動した後は、そのまま静止する。そして、術者が2本のアームを用いて、自動縫合器に十二指腸をかぶせるように(靴下を履かせるように)しながら小孔に挿入する。
この手技は腹腔鏡手術と同じ感覚で行うことができ、かつロボット鉗子の自由度の高さや緻密さを生かせる点で有用だと考えられる。
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317. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 食道癌再発後長期生存例の臨床病理学的特徴についての検討, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07, <背景と目的>
我が国の食道癌根治手術後再発は28-47%と高率に認められる。また、再発診断時からの生存期間中央値は5-10か月であり、再発後の転帰は不良である。しかし、中には再発後の治療により長期間病勢を制御できたものや、完全奏功して長期生存できた例もみられる。そこで、食道癌再発後に長期生存できた症例の臨床病理学的特徴について検討した。
<対象と方法>
2000年から2016年までに当科で施行した食道癌根治手術288例のうち、術後再発を認めた81例(28.1%)について検討した。術後再発までの期間(中央値)は11.1か月、再発からの生存期間中央値は12.1か月であった。
<結果>
再発例81例のうち、再発後5年以上の長期生存例は3例(3.7%)であった。
再発後の生存期間が長い群(2年以上:L群)は、生存期間が短い群(6か月以内:S群)よりも、手術から再発までの期間が長かった(L群15.2か月、S群9.8か月、p=0.022)。また、手術時の進行度や再発形式による差はみられなかった。なお、5年以上長期生存例3例の再発後の治療内訳は、2例に化学放射線治療を施行、1例に化学療法を施行した。また、1例はニボルマブが有効であった。
<結論>
食道癌術後再発までの期間が長いほど、再発後の生存期間も長くなる傾向がある。
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318. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 頸部食道癌手術における適切な術式および補助治療についての検討, 第76回日本食道学会学術集会, 2022.09, [背景] 頸部食道癌は食道癌全体の約4-5%と比較的発生頻度が少ない疾患である。また、進行癌で発見されることが多いうえ、隣接臓器に浸潤しやすく、手術においては喉頭合併切除を伴う場合が多い。また、頸胸境界部領域に癌が及ぶ場合、頸部食道切除のみで良いか、胸部食道まで切除すべきか(食道全摘・亜全摘)、同様にリンパ節郭清も含めた切除範囲についても議論がなされている。さらに、喉頭合併切除が避けられない場合においても術前治療(化学療法(NAC)や化学放射線療法(CRT))を行うべきか、など検討すべき課題も多い。
[目的] 当科における頸部食道癌手術症例を後ろ向きに検討し、適切な治療方針を考察する。
[方法] 2014年から2021年までに頸部食道癌手術を行った14例について、臨床病理学的因子、治療方針、転帰などについて検討した。
[成績] 頸部食道癌手術14例の内訳は、男性10例、女性4例、年齢中央値68歳(56-71歳)であった。全て進行癌であり、cStage II: 5例、cStage III: 4例、cStage IVa: 5例であった。手術は根治手術12例、根治的CRT後の救済手術1例、CRT後の瘢痕狭窄解除目的での手術1例であった。根治手術12例の術式は、喉頭温存手術4例(33%:頸部食道切除2例、食道亜全摘2例)、喉頭合併切除8例(67%:頸部食道切除4例、食道全摘4例)であった。また、術前治療は12例中10例に行われた(NAC:7例、CRT:3例)。そのうち、喉頭温存手術例では4例全てに術前治療を施行し(NAC:2例、CRT:2例)、術前CRTを施行した2例はいずれも完全寛解(CR、Grade 3、pStage 0)であった。また、再発は12例中5例にみられたが、このうち頸部リンパ節のみに再発した1例は、その後の治療に奏効して長期生存が得られた。なお、食道切除範囲・郭清範囲の違いによる再発率の差は・オ桷C瓩蕕譴覆・辰拭俸・・・酸攴釗6例中3例再発、食道全摘:4例中2例再発)。
[結論] 頸部食道進行癌に対しては病変の広がりに応じた術式・切除範囲を選択すればよいが、特に喉頭温存をめざす場合には、術前化学放射線療法が有効である可能性がある。
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319. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 頸部食道癌の治療方針についての検討, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, [背景] 頸部食道癌は隣接臓器浸潤やリンパ節浸潤の頻度が高く、進行した状態で発見されることが多い。また、頸部食道癌手術は喉頭合併切除を伴う場合が多いため、根治性だけでなく術後QOLを考慮した治療方針の決定が必要になる。そのため、根治手術か化学放射線療法(CRT)か、また、術前治療は化学療法(NAC)か化学放射線療法(NACRT)か、など検討すべき課題も多い。
[目的] 当科における頸部食道癌症例を後ろ向きに検討し、適切な治療方針を考察する。
[方法] 2014年から2021年までに当科で頸部食道癌と診断された20例について、臨床病理学的因子、治療方針、転帰などについて検討した。
[成績] 頸部食道癌20例のうち、男性13例、女性7例、年齢中央値67歳(48-84歳)であった。表在癌は1例(cStage I)のみで、残りは全て進行癌であった(cStage?:5例、cStage?:8例、cStage ?a:6例)。根治手術を11例(55%)、根治的CRTを8例(40%)に施行し、手術11例のうち8例(73%)で喉頭合併切除を施行し、そのうち2例で長期生存を得た。一方、進行癌に対する放射線治療は10例(根治的CRT:7例、術前CRT:3例)に行い、6例(60%)でCRが得られたが、そのうち根治的CRTを施行した1例で再発(肺転移)を認めた。なお、無再発生存例9例の全例において、初回治療のNACやCRT(根治的CRTも含む)で腫瘍の著明な縮小が得られた(CRまたはPR)。
[結論] 頸部進行食道癌の治療は手術と放射線治療が軸となるが、長期予後を得るためには、初回治療としての術前化学療法あるいは放射線療法が著効することが必要と考えられる。
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320. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 腹腔鏡下噴門側胃切除術後の胆石発生についての検討, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12, 【背景・目的】胃切除術後には胆石の発生リスクが上がることがよく知られている。しかし、その対象手術の多くは胃全摘術や幽門側胃切除術であり、噴門側胃切除術について論じられた報告は少ない。今回、腹腔鏡下噴門側胃切除(LPG)術後における胆石発生リスクについて、後ろ向きに検討した。
【対象】2000年から2017年に当科で施行した胃癌に対するLPG 58例について検討した。
【結果】LPG施行例 58例のうち5例(8.6%)に術後胆石を認めた。また、同時期に手術を施行した他術式の術後胆石発生率は、胃全摘術10.7%、幽門側胃切除術6.7%であった。LPG術後胆石症5例全てが無症候性であり、いずれも無治療経過観察中である。なお、総胆管結石は1例も認めなかった。
【考察・結論】胃切除術後の胆石発生の原因としては、迷走神経切離による胆嚢収縮機能低下、食物通過経路変更によるコレシストキニン分泌低下の可能性などが考えられている。噴門側胃切除術においては、近年の鏡視下手術でも十二指腸に食物が通過する再建形式が多く、胆石発生頻度と内視鏡的胆道アプローチの容易さ、さらには初回胃切除術時に胆嚢付近に手術操作が及ばない点を踏まえると、特に噴門側胃切除術における予防的胆嚢摘出術は不要と考えられた。
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321. 新川智彦, 大内田研宙, 持田郁己, 井手野昇, 水内祐介, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史, 異なる薬物治療反応性を示す微小環境因子依存性に基づいた新たな膵癌サブタイプ分類, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, [背景] 膵癌は、膵癌は豊富な間質を特徴とし、その癌間質から誘導される微小環境因子が癌の増殖や転移に寄与するとされる一方で、癌間質を減少させると低分化型膵癌が増え予後が悪化したとの報告も認める。予後や治療反応性を左右するphenotypeを規定し得る膵癌間質の癌細胞への影響を明らかにすることは、膵癌における新たな治療戦略を構築する上で重要であると考えられるが、依然として不明な点は多い。
[目的] 微小環境因子依存性に基づいた膵癌サブタイプ分類を行い、発現プロファイルに応じた薬剤反応性の差違を明らかにする。
[方法] ヒト膵癌組織より膵癌オルガノイドを樹立し、網羅的遺伝子発現解析を行った。各膵癌オルガノイドの微小環境因子への依存性を評価し、微小環境因子依存性に基づいて<high>、<low>の2群に分けた。微小環境因子依存性と相関する遺伝子発現を評価し、各群において有効と考えられる薬剤を選出した。これら薬剤を用いたviability assayを行い、微小環境因子依存性と薬物反応性の相関を評価した。
[結果] 8例の膵癌オルガノイドを樹立した。これらオルガノイドは網羅的発現データを基に二つのクラスターに分類され、各クラスターは微小環境因子依存性に基づいた<high>、<low>の2群にそれぞれ対応していた。微小環境因子依存性と相関して変動する遺伝子をGene Ontology解析によって検索し、<high>群ではメバロン酸代謝関連遺伝子の発現が増加しており、一方で<low>群では細胞周期関連遺伝子の発現が増加していた。SimvastatinとGemcitabineを用いてviability assayを行ったところ、<high>群ではSimvastatinに対する感受性が有意に高く、<low>群ではGemcitabineに対する感受性が有意に高かった。
[結語] 膵癌オルガノイドは、微小環境因子依存性によってそれぞれ異なる発現プロファイルと薬剤反応性を示した。これらの結果は、今後の個別化治療や新たな標的治療を開発する上で重要な知見となり得ると考えられた。
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322. 新川智彦, 大内田研宙, 持田郁己, 阿部俊也, 井手野昇, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史, 膵癌微小環境における癌関連線維芽細胞の新たな役割と膵がん細胞の可塑性に関する検討, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07.
323. 三渕晴香, 水内祐介, 渡邊歓, 島田有貴, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 永井俊太郎, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 小田義直, 中村雅史, 腹腔内巨大デスモイド腫瘍に対して薬物治療後に腫瘍切除が可能であった一例, 第77回日本大腸肛門病学会学術集会, 2022.10.
324. 三渕晴香, 進藤幸治, 佐伯潔, 森山大樹, 大内田研宙, 永吉絹子, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 鏡視下食道切除術後7年目に発症した胃管通過障害に対してステント留置と腹腔鏡手術を併用した1例, 第76回手術手技研究会, 2022.05, 症例は78歳女性。胸部中部進行食道癌に対して鏡視下食道亜全摘、後縦隔胃管再建を施行した。術後経過は順調で退院後は外来で定期的な画像検査を行っていた。術後7年経過した際に、嘔吐と食事摂取不良、体重減少が出現し、精査を行った。内視鏡検査で胃内に悪性腫瘍をふくむ局所病変は認めなかったが、残渣が多量に貯留していた。造影CTでは胸腔内の胃管は多量の内容物で拡張しており横隔膜脚付近で管腔の狭小化を認め通過障害と考えられた。通過障害部位には硬い狭窄は認めず、食道裂孔レベルでの周囲組織からの圧迫に加え、加齢や胃壁の過度な膨張に伴う胃管の蠕動能の低下が原因と考えられた。絶食管理と経鼻胃管による減圧、蠕動促進薬の投与による保存的加療を行ったが、胃管の拡張は改善したものの通過障害の改善には至らなかった。そこで、通過障害部位に内視鏡的にカバードステントを留置することとし、ステント逸脱予防のためクリップで粘膜面より固定した。留置後しばらくは胃管拡張せず食事も再開できていたが、留置後1週間弱でクリップが外れステントは胸腔内へ逸脱した。ステントの固定がキ)タヌ・廚塙佑─▲好謄鵐販叡崕僂吠四僂靴栃・亢晴室蟒僂妊好謄鵐噺把蠅垢詈・砲箸靴拭・泙此・盪覿静・剖杭・・未縫・弌璽疋好謄鵐箸鯲叡屬靴人眛釗・盪覿世妊好謄鵐汎盥个魍稜Г靴疹・屬如∧・亢請犧遒砲曇勀賁未・薜瀛描漢悗鬚・韻織好謄鵐噺把蠅2針行い、同時に予防的に腸瘻造設を行った。術後、通過障害は認めず、栄養障害は改善し2週間程度で退院となった。現在術後2年経過しているが、ステントの逸脱は認めず有害事象なく経過している。近年では高齢化に伴い、術後通過障害の一因として加齢に伴う蠕動力低下が予想される。今回、ステント留置術に加え、より確実なステント固定として、腹腔鏡下にステントを全層固定したことが非常に有用であったと考えられた。若干の文献的考察をふまえて報告する。.
325. 三浦峻, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 大薗慶吾, 和田将史, 畑佳孝, 水流大尭, 中村雅史, 食道粘膜下良性腫瘍に対して POET 手技を応用した内視鏡併用胸腔鏡下食道腫瘤
核出術を実施した 1 例
, 第58回九州外科学会・第58回九州小児外科学会・第57回九州内分泌外科学会, 2022.02.
326. 佐伯潔, 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 三渕晴香, 水内裕介, 仲田興平, 中村雅史, 術前の生検検体で胃NET,G3であったが、外科切除検体で胃NECと診断された1症例, 第119回日本消化器病学会九州支部例会・第113回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2022.06, 症例は55歳、女性。胃前庭部後壁の粘膜下腫瘍に対する術前の生検で胃NET,G3の診断であり、ロボット支援下幽門側胃切除及びD2リンパ節郭清術を施行したが、術後の病理診断では胃NEC、pT3(SS)pN3aM0;pStage3Bであった。WHO2010で消化管の神経内分泌腫瘍は、組織像によらずに増殖能(Ki-67指数)により、低値の場合は高分化腫瘍NET,G1(<3%)、G2(3-20%)と称され、高値(>20%)の場合は低分化癌NEC,G3に大別された。その後、形態学的に神経内分泌パターンを呈する高分化腫瘍NETでもKi-67が高値(>20%)の症例も多く報告され、低分化でKi-67指数が>20%のNECとは、予後、治療、バイオマーカーも異なることが判明し、WHO2019では、組織学的に神経内分泌パターンを示す腫瘍を高分化と称し、Ki-67指数が<3%、3-20%、>20%の判定により各々NET,G1、G2、G3と分類し、形態学的に低分化な神経内分泌腫瘍でKi-67指数が20%を超える腫瘍を・オ梵オ估睚・NECと分類することになった。本症例では術前の生検検体でKi-67指数が70%で比較的高分化な腫瘍部分が目立ち胃NET,G3と診断したが、外科切除検体では小細胞癌やLCNECと判断可能な組織像を認め、Rb及びp53の発現が消失していることから胃NECの最終病理診断に至った。胃NECは根治的切除が可能な局所領域病変であっても、手術単独での治療成績は極めて不良であり、手術単独療法は推奨されず、薬物療法や放射線療法を含めた集学的治療の一環として行うことが推奨されている。胃NECの抗腫瘍薬の選択には肺小細胞癌の治療に準じプラチナ系薬剤を含む併用療法が推奨されており、CDDP+ETPやCDDP+CPT-11を用いることが多い。今回、術前の生検検体で胃NET,G3であったが、外科切除検体の病理診断で胃NECと診断され、術後補助化学療法としてCDDP+ETPの投与を行った1例を経験した。NET,G3およびNECに対する診断と治療方針に関して、若干の文献的考察を含めて報告する。.
327. 佐伯潔, 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 三渕晴香, 永吉絹子, 水内裕介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, , , , , , , , 高位食道切離症例における胃管再建の工夫, 第76回手術手技研究会, 2022.05, 症例は71歳、男性。9年前に喉頭癌に対して化学放射線療法を施行されたが、その2年後に再発を来したために、喉頭全摘・永久気管孔造設術を施行された。今回、吻合部を含む頚部~胸部食道に認められる多発食道癌に対して、当科紹介となり手術の方針とした。本症例は喉頭全摘術後であり、咽頭付近まで食道切除が必要であったが、可及的に長い胃管を作成することで咽頭胃管吻合が可能となり遊離空腸は不要であった。 胃管の作成時、右側の大網処理に際し、大網組織の血管系を損傷しないように慎重に処理して横行結腸をtake downし、胃及び十二指腸の受動を十分に行った。胃管の血行再建には短胃静脈を使用するため、腹部操作時には可能な限り長く損傷なく残すことに留意し、ヘモロックとハーモニックを使用して長い短胃静脈を3本温存した。胃管の作成は右胃動脈の分枝を確認し、2本残す部位で小弯の切離ラインを決定した。近年のICGによる血流評価の独自のデータの蓄積から、細径胃管としても血流に問題ないことが明らかになっており、本症例では幅3cmの細径となるようにlin
ear staplerを用いて胃管を延長した。また、最初のstaplerは小弯から垂直に切り込むようにcurved cutterを使用し、これも胃管延長に有用であった。ICGを静脈投与し、胃管の先端まで血流がしっかりと存在していることを確認した。後縦隔経路で胃管を頚部まで挙上し、咽頭までの距離は十分であったため、咽頭胃管吻合を手縫いで行った。永久気管孔造設後の症例であったため後縦隔経路でも椎体と気管による胃管の圧排所見はなかったが、念の為、形成外科によるsuper chargeを頚横動脈-短胃動脈、super drainageを内頚静脈-短胃静脈で行った。当科における胃管再建の工夫について考察し、報告する。.
328. 佐田政史, 水内祐介, 渡邊勧, 田村公二, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 下行結腸癌に対するIMA温存手術の治療成績, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04.
329. 佐田政史, 水内祐介, 田村公二, 永吉絹子, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 高齢者Stage IV大腸癌原発巣切除例の治療成績, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07.
330. 今村柾樹, 永吉絹子, 渡邊歓, 佐田政史, 田村公二, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, 右側結腸癌対する十二指腸前面先行多方向アプローチを用いた腹腔鏡補助下右半切結腸徐の経験, 第76回手術手技研究会, 2022.05.
331. 今村柾樹, 永吉絹子, 渡邊歓, 佐田政史, 田村公二, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, 右側結腸癌に対する十二指腸前面先行多方向アプローチを用いた腹腔鏡補助下右半切結腸除の経験, 第119回日本消化器病学会九州支部例会・第113回日本消化器内視鏡学会九州支部例会, 2022.06.
332. 溝口聖貴, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 新型コロナウイルス感染・療養後患者の手術時期の判断に苦慮した進行直腸癌の手術経験, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, 【はじめに】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延している現在、悪性疾患の手術を延期せざるを得ない場合があり、癌患者の診療に少なからず影響を及ぼしている。今回、われわれはCOVID-19療養後に術前検査のSARS-CoV-2 PCRが陽性となり、CTで多発するすりガラス影を認めた進行直腸癌の一例を経験した。【症例】
46歳の女性。便潜血陽性の精査で下部消化管内視鏡検査を施行され、直腸S状部に2型進行癌を認め、手術目的に当科紹介となった。COVID-19罹患後に、保健所の指示で初診日7日前まで隔離されていた。初診時にはCOVID-19関連症状は認めなかった。腫瘍による閉塞症状を認め早期の手術を計画したが、初診日に施行した術前スクリーニングPCRの陽性が判明した。また、CTで左肺上葉に多発するすりガラス影を認めた。予定していた術前精査・手術を一旦延期し、当院の感染対策チーム(ICT)や呼吸器内科に相談した結果、PCRは弱陽性であり発症時期を考えても感染性はないと判断された。2週間後のCTでは左肺上葉のすりガラス影は消失しており、COVID-19関連の陰影と考えられた。初診日から25日後(感染から約6週間)に腹腔鏡下直腸高位前方切除術を施行し、術後合併症なく退院した。関わった医療関係者にCOVID-19の発症を認めなかった。
【まとめ】
COVID-19罹患後の予定手術時期については、手術の緊急性、感染性に加えて術後合併症リスクの観点から判断される。日本麻酔科学会は、待機可能な手術は感染診断から7週間以降に予定することを推奨している。本症例は腫瘍による閉塞症状を認めており、できるだけ早期の手術が必要であった。進行癌患者では手術まで7週間の猶予がない場合もあり、院内ICTや麻酔科医との連携・相談は重要である。さらには胸部陰影を認めた場合は短期間でのCT再検も考慮すべきである
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333. 溝口聖貴, 永吉絹子, 佐田政史, 田村公二, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, , 下腸間膜動脈の起始異常を有するS状結腸癌に対する腹腔鏡手術, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12, 我々は、上腸間膜動脈(SMA)からIMAが起始する分岐異常を有したS状結腸癌に対して腹腔鏡で根治手術を行った症例を経験した。症例は59歳男性。下痢と腹部膨満を主訴に前医を受診しS状結腸癌の診断となった。腹部造影CT検査よりIMAがSMAから分岐することが判明した。切除可能な孤発性の肝転移を有しており、S状結腸癌cT4a(SE)N2M1 cStage?aと診断した。原発巣・転移巣ともに完全切除可能と判断し、まずは原発巣に対して腹腔鏡補助下S状結腸切除術、3群リンパ節郭清を施行した。術中所見ではSMAから分岐したIMAが空腸起始部の背側を通り左側結腸の腸間膜へ流入していた。術前検査では中枢リンパ節に転移は認めなかったため、空腸起始部の腸間膜流入部でIMAを切離し郭清の上限とした。術後は大きな合併症なく経過し自宅退院となった。術後2ヶ月目に肝転移切除術を施行し、術後補助化学療法を行った。現在再発なく術後10ヶ月経過している。IMAの分岐異常は報告が少なく、その大腸癌の至適リンパ節郭清範囲に対して定まキ)タ「辰晋・鬚呂覆ぁIMA分岐異常があった場合には、癌の壁深達度やリンパ節転移の有無に加え左側結腸や直腸の栄養血管を把握し郭清範囲を決定する必要がある。.
334. 久野恭子, 水内祐介, 大内田研宙, 寅田信博, 永吉絹子, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, scRNA-seqを用いたUC由来癌におけるfibroblastのheterogeneityの解明, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07, 潰瘍性大腸炎(UC)患者には慢性炎症の影響により、発病後7-8年で大腸がんが高頻度に生じる。遺伝的要因や腸内細菌叢の異常、自己免疫異常など様々な因子の関連が報告されているが、その病態はまだ明らかになっていない。腫瘍微小環境のうち、cancer associated fibroblasts(CAFs)は過去にmyofibroblast(myCAF)、inflammatory CAF(iCAF)、antigen-presenting CAF(apCAF)など、機能の異なる亜集団が存在しており、がんの浸潤や転移などの生物像に影響を及ぼすと報告されている。近年、大腸癌を含む様々ながん種でsingle cell RNA sequence (scRNA-seq)によるがん組織のheterogeneity解明が盛んに行われるようになったが、Colitis associated cancer(CAC)における腫瘍微小環境のheterogeneityはまだ解明されていない。scRNA-seqにより、同一UC患者内における大腸がん発生の様々な段階を単一細胞ごとに観察できると考えられる。今回我々は、当科にてUC由来大腸癌に対し大腸全摘術を行った1人の患者の正常部、炎症部、高度異形成部、癌部kオ・箇所より検体採取し、scRNA-seqを施行した。14936個の細胞の遺伝子発現データが得られ、クラスタリングにより19個の細胞集団が同定された。既知のマーカー遺伝子を用いてcell typeを同定した。腫瘍微小環境のうち特にfibroblastに着目し、fibroblast408細胞を抽出した。過去に報告のあるmyCAF、iCAF、apCAF関連遺伝子をスコア化し、検体採取部位別に比較した。また、それらをpublic dataを用いて通常型大腸癌と比較した。myCAFスコアは正常部・炎症部・高度異形成部には差がなかったが、癌部で上昇していた。iCAFスコアは癌部だけでなく高度異形成部でも低下していた。apCAFスコアは高度異形成部や癌部で低下しており、炎症部でも低下傾向が認められた。正常部と癌部の比較では、UC患者の各CAFスコアは通常型大腸癌と同じ傾向を示した。今回の検討で示された結果に基づき、UC由来癌の各発がん段階におけるfibroblastの変化について考察を加えて報告する。.
335. 久野恭子, 水内祐介, 大内田研宙, 堤親範, 中村祥一, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 佐田政史, 田村公二, 永吉絹子, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, Single cell RNA sequenceを用いた家族性大腸腺腫症各発がん段階のCD4+ Tcellの比較, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, 【目的】家族性大腸腺腫症(FAP)患者にはAPC遺伝子の生殖細胞系列遺伝子変異の影響で大腸がんが高頻度に生じ,様々な段階の前がん病変も存在する.また, 近年,腫瘍内の不均一性 (heterogeneity)を解析する手法として,Single cell RNA sequence(scRNA-seq)が有用と考えられている.FAPに関連したscRNA-seqの報告は上皮細胞に着目したものが1件のみであり, 免疫細胞に関する報告はない. 本検討ではscRNA-seqによりFAP患者の大腸がん発生の様々な段階におけるCD4+ Tcellを比較することを目的とした.
【方法】当科にてFAPに対し手術を行った4人の患者から,正常部,腺腫部, 癌部の組織を採取し,10X chromium systemを用いてscRNA-seqを施行した.
【成績】56225個の細胞の遺伝子発現データが得られた.Seurat上で解析を行い,UMAPを作成した。既知のマーカー遺伝子発現から、9個の細胞種のクラスターを同定した.CD4+ Tcellのみを抽出して再クラスタリングを行ったところ,7個のクラスターが得られた. 検体採取部位別にCD4+ Tcellの各サブセットの割合を比較したところ, 癌部ではTh1の割合が低いこと, Tregの割合が発がんに伴い上昇すること, Th17の割合が腺腫部で低いこと, Na$(D+Aveの割合が発がんに伴い低下すること, Tfhの割合が発がんに伴い上昇することが明らかになった。また、CD4+ Tcellのexhausted scoreをつけて部位別に比較したところ、exhausted scoreは癌部でのみ上昇していた。
【結論】FAPの各発がん段階における、CD4+ Tcellの違いが明らかになった。
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336. 椛朱梨, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 生体腎移植術後に発症した上行結腸癌に対する十二指腸前面先行アプローチによる腹腔鏡下右結腸切除術の1例, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12, 【緒言】一般的に、移植腎は右腸骨窩に移植されることが多く、腹腔鏡による右側結腸切除の場合には、術野の展開への影響や移植腎損傷の可能性が考えられる。今回、我々は十二指腸前面先行の後腹膜アプローチにて腹腔鏡下右結腸切除術を施行したため、手術手技を含めて報告する。【症例】75歳男性、3年前にABO血液型適合生体腎移植術を施行、術後定期スクリーニングの下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に2型腫瘍を認めた。精査にて上行結腸癌、cT2N0M0, cStage?の診断で手術の方針とした。腹腔鏡にて十二指腸全面からの後腹膜アプローチにて右結腸切除を施行、移植腎の影響を受けることなく、また移植腎の損傷もなく、通常通りの右結腸切除を施行できた。術後経過問題なく、腎機能の異常も認めなかった。【結語】腎移植後の腹腔鏡下右側結腸切除は、十二指腸全面からの後腹膜アプローチを行うことで腹腔鏡下でも安全に通常通りに施行することができる.
337. 奥田翔, 大内田研宙, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史, scRNA-seqを用いた食道扁平上皮癌浸潤T細胞に対する術前化学療法の影響の解明, 第76回日本食道学会学術集会, 2022.09, 本邦における食道癌のうち85%以上が食道扁平上皮癌(ESCC)である。Stage II, IIIに対しては術前化学療法(NAC)後の外科的切除が標準治療とされているが、その5年生存率はそれぞれ56%, 29%と満足のいくものではない。近年、免疫チェックポイント阻害薬の開発、適応が目覚ましく、その普及に伴い免疫学的側面から腫瘍微小環境を解明する試みも全世界的に加速しており、その手段として単一細胞レベルのmRNAを網羅的に解析するsingle cell RNA-sequence(scRNA-seq)の技術が盛んに用いられるようになってきている。本研究では、腫瘍微小環境の一端を担う腫瘍浸潤T細胞(TIL)をscRNA-seqを用いて解析し、NACの有無で比較検討することで、NACがTILにもたらす影響を解明することを目的とした。
当科においてESCCに対し手術、生検を行った症例より正常食道粘膜および癌部を採取しscRNA-seqを行い、同定されたT細胞集団を細分化して、それぞれの機能に着目して解析を行った。
正常部12症例、癌部18症例の統合解析を?ってCD45+細胞を抽出したところ、quality check後の細胞数は83,151で、11のクラスターに分割された。既知の特徴的な遺伝子の発現パターンからそれぞれのクラスターが対応するcell typeを同定し、その中からT細胞を抽出した。CD4+ T細胞(CD4T, n=6,453)は6つにクラスタリングされ、差次的発現遺伝子から既知のsubtypeへ分類することが可能であった。正常部に比べ癌部でregulatory T cellの割合が多く、いずれのクラスターにおいても疲弊化に関する遺伝子発現は癌部において有意に高値であった。癌部においてgene setを用いてNACの有無で比較したところ、NAC施行群では非施行群と比較しtype1 helper CD4Tのmemory化が促進され、exhaust CD4Tの疲弊化が妨げられていることが示唆された。
また、CD8+ T細胞(n=8,005)も6つにクラスタリングされ、こちらも差次的発現遺伝子から既知のsubtypeを同定した。いずれのクラスターにおいても疲弊化遺伝子は癌部で有意に高発現しており、gene setを用いた癌部の評価では、NAC非施行群と比較し施行群でapoptosisが回避され、memory化が促進され、疲弊化が妨げられていることが示唆された。
以上から、NACがESCCのTILの機能的なheterogeneityに変化をもたらしている可能性が示唆された。.
338. 奥田翔, 大内田研宙, 寅田信博, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史 , scRNA-seqを用いた食道扁平上皮癌浸潤マクロファージに対する術前化学療法の影響の解明, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07, 本邦における食道癌のうち85%以上が食道扁平上皮癌(ESCC)である。Stage II, IIIに対しては術前化学療法(NAC)後の外科的切除が標準治療とされているが、その5年生存率はそれぞれ56%, 29%と満足のいくものではない。一方近年、免疫チェックポイント阻害薬(ICB)の開発、適応が目覚ましく、ESCCに対してもICBの有効性が示されているが、その奏効率は20%ほどにとどまる。ICBの普及に伴い免疫学的側面から腫瘍微小環境を解明する試みも全世界的に加速しており、その手段として単一細胞レベルのmRNAを網羅的に解析するsingle cell RNA-sequence(scRNA-seq)の技術が盛んに用いられるようになってきている。本研究では、腫瘍微小環境における免疫環境の一端を担っている腫瘍浸潤マクロファージ(TAM)をscRNA-seqを用いて解析し、NACの有無で比較検討することで、NACがTAMにもたらす影響を解明することを目的とした。
当科においてESCCに対し手術を行った症例の摘出標本より正常食道粘膜および腫瘍部を採取しscRNA-seqを用いて細胞構成を同定し、その中で同定されたマクロファージ(Mp)集団を細分化して、それぞれの機能に着目して解析を行った。
正常部12症例、腫瘍部18症例の統合解析を?いCD45陽性細胞を抽出したところ、quality check後の細胞数は83,151で、11のクラスターに分割された。既知のcell typeに特徴的な遺伝子の発現パターンからそれぞれのクラスターが対応する既知のcell typeを同定し、その中からMpを抽出した。Mp (n=3,582)は4つに再クラスタリングされたが、既知のM1、M2マーカーでそのクラスターを特徴づけることは困難であり、差次的発現遺伝子からそれぞれが食作用、遊走、そしてサイトカイン分泌に特化したクラスターと、成熟したクラスターであることが示された。正常粘膜と腫瘍部を比較すると、腫瘍部では食作用の高い集団が著明に少なく、成熟した集団が極めて多い割合を占めていた。腫瘍部における成熟したTAMをNACの有無で比較したところ、活性化の程度には差がなかったが、走化性は有意に高く(p<0.001)、抑制性遺伝子の発現はNAC施行群で有意に低かった(p<0.001)。
以上から、NACがESCCのTAMの機能的なheterogeneityに変化をもたらしている可能性が示唆された。.
339. 奥田翔, 大内田研宙, 堤親範, 中村祥一, 久野恭子, 持田郁己, 大坪慶志輝, 新川智彦, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史, Single-cell RNA-sequenceを用いた食道扁平上皮癌微小環境中の樹状細胞の解析, 第122回日本外科学会定期学術集会, 2022.04, 本邦における食道癌のうち85%以上が食道扁平上皮癌(ESCC)である.その中でもStage II, IIIについては術前化学療法(NAC)後の切除が標準治療である.近年,固形癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICB)の効果が次々と実証され,ESCCについても二次治療としてICBが適応となったが,その奏効率は20%程度に留まる.腫瘍が発生し制御できなくなってしまうことや腫瘍が治療抵抗性を持ってしまうことには多くの原因が存在しうるが,腫瘍微小環境(TME)における免疫状態の変化もその一因として極めて重要と考えられる.そこで今回,術前化学療法(NAC)が,ESCCのTMEの中でも樹状細胞(DC)にもたらす変化を解明することを目的として解析を行った.
当科にてESCCに対し手術加療を行った症例の摘出標本よりその腫瘍部を採取し,single-cell RNA-sequenceを用いて腫瘍組織の細胞構成,およびその同定された細胞集団ごとの機能に関して解析し,NACの有無で比較検討を行った.DCは,NAC施行9症例より718細胞,非NAC施行9症例で394細胞得られ,5つのクラスターに大別された.それぞれのクラスターの機能を解析したところ,NAC施行群では,cDC1クラスターは活性化シグネチャが有意に高いこと(p<0.01),cDC2クラスター,moDCクラスターは有意に機能不全シグネチャが低いこと(p<0.01)がそれぞれ示された.
以上より、NACがESCCのTMEにおけるDCに機能的な変化をもたらしている可能性が示唆された。.
340. 奥田翔, 大内田研宙, 堤親範, 中村祥一, 久野恭子, 持田郁己, 大坪慶志輝, 新川智彦, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 中村雅史, , 食道扁平上皮癌TMEのTregに対し術前化学療法が及ぼす影響についての解析, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, 【目的】本邦における食道癌の85%以上が食道扁平上皮癌(ESCC)で,その中でもStage II, IIIについては術前化学療法(NAC)後の切除が標準治療とされている.近年,固形癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICB)の効果が次々と実証され,ESCCについても二次治療としてICBが適応となったが,その奏効率は20%程度に留まる.そこで今回,NACがESCCの腫瘍微小環境(TME)における免疫状態にもたらす影響を解明し,ICBと併せた有効な化学療法を見出すこと,およびICBの更なる治療効果を引き出すことを目的に解析を行った.
【方法】当科でESCCに対し術前精査目的の胃カメラを行った症例の生検検体,および手術加療を行った摘出標本より腫瘍部を採取し,single-cell RNA-sequenceを行い,その中でも今回はCD4+ regulatory T cell(Treg)に着目し評価した.
【成績】NAC症例9症例,非NAC症例9症例について統合解析を行ったところ,非NAC症例と比較しNAC症例でTregの殺細胞性,抑制能はそれぞれ有意に低かった(p<0.001).さらに他の免疫細胞との相互作用を評価したところ,NAC症例におけるtype1 helper CD4+ T cellやEffector CD8+ T cellのIFNγの有意な発現上昇(p<0.05, p<0.01)がTregの機能低下に寄与している可能性が示唆された.
【結論】ESCCでは,非NAC症例と比較しNAC症例においてTMEのTregの殺細胞性と抑制能がそれぞれ有意に低下しており,NACの施行がESCCのTMEに対し免疫学的な抗腫瘍効果を促進している可能性が示唆された..
341. 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 治療の変遷からクローン病に対する腹腔鏡手術の適応と安全性を考慮する

, 第35回日本内視鏡外科学会総会, 2022.12.
342. 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 右側結腸授動における十二指腸前面先行多方向アプローチの定型手技と安全性の検証, 第77回日本消化器外科学会総会, 2022.07.
343. 永井英司, 林田さゆり, 倉元通宇, 廣高健斗, 井上重隆, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中房祐司, 中村雅史, 腹腔鏡下残胃全摘術の手術成績, 第94回日本胃癌学会総会, 2022.03.
344. 安井隆晴, 林田さゆり, 廣高健斗, 倉元通宇, 井上重隆, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中房祐司, 中村雅史, 腹腔鏡下胃全摘術後のliner staplerを用いた再建法と若手教育, 第94回日本胃癌学会総会, 2022.03.
345. Taiki Moriyama, Kenoki Ohuchida, Koji Shindo, Toshiya Abe, Koji Tamura, Noboru Ideno, Yusuke Mizuuchi, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, , The risk of incidence of common bile duct stones after laparoscopic gastric cancer surgery, 第94回日本胃癌学会総会, 2022.03, 【背景・目的】胃癌術後に胆石発生リスクが上昇することはよく知られている。特に総胆管結石症の場合、胃切除時の再建形式によっては内視鏡的な胆道へのアプローチおよび内視鏡治療に難渋することがある。今回、腹腔鏡下胃癌手術後に認めた胆石症、特に総胆管結石症の発生リスクについて後ろ向きに検討を行った。
【対象】2000年から2017年に当科で施行した腹腔鏡下胃癌手術における術後胆石の発生の有無について検討した。術式は腹腔鏡下に施行した胃全摘・幽門側胃切除・噴門側胃切除術を対象とし、審査腹腔鏡、局所切除、バイパス手術は除外した。
【結果】上記期間に施行した腹腔鏡下胃癌手術1,000例のうち、術後胆石症を78例(7.8%)に認めた。術式別では、胃全摘243例中26例(10.7%)、幽門側胃切除699例中47例(6.7%)、噴門側胃切除58例中5例(8.6%)であった。なお、総胆管結石症は胆石症78例中19例(24.4%)に認めたが、そのうち18例(94.7%)はRoux-en-Y再建例であり(胃全摘7例、幽門側胃切除11例)、ほかには幽門側胃切除・Billroth-I再建例で1例認めた。
【考察】胃癌術後の総胆管結石症の発症リスクは、胃切除範囲よりも再建形式(Roux-en-Y再建)による影響が大きい可能性がある。その一因として、食物の十二指腸通過の有無との関連が示唆される。
【結論】胆石の発生に着目すると、胃切除時の再建形式は可能な限り食物が十二指腸を通過する形が望ましいと考えられる。また、Roux-en-Y再建例で術後に胆嚢結石を認めた場合、総胆管結石の発生リスクと治療の困難さを考慮して、早めの胆嚢摘出術を検討してもよいと考えられる。
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346. Sheng Nan, Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Tomohiko Shinkawa, Taiki Moriyama, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura , The functions of TAK1+CAF in pancreatic cancer microenvironment, 第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022), 2022.10, [Background] Pancreatic ductal adenocarcinoma(PDAC) is one of the most highly malignant tumors which has complex microenvironment. Cancer-associated fibroblasts(CAF) interact directly and indirectly with various immune cells, stromal cells and cancer cells in the tumor microenvironment, which has heterogeneous populations such as myofibroblastic CAF(myCAF), and inflammatory CAF(iCAF). Transformed growth factor-beta 1 activated kinase-1(TAK1) constitutes the cellular hub for several cytokine-mediated signaling, which regulates inflammatory responses such as NF-κB. While, the role of TAK1 in CAFs is not clear. [Purpose]To explore TAK1 functions in CAFs in PDAC microenvironment.[Materials and Methods] CAFs were primary cultured from fresh resected pancreatic cancer specimens. Three-dimensional co-culture models of PDAC tumors and CAFs were made to explore whether iCAFs or myCAFs functions influenced by TAK1. Then we checked the functions of TAK1 positive CAFs using immunofluoresence assay, western blotting (WB) and so on. Next, C57BL/6 mice were subcutaneous injected with organoid mixed with CAFs from KPC mice. [Results]Interference with TAK1 in CAF inhibited tumor cell metastasis and induced myCAF markers increased but iCAF markers decreased, indicating TAK1 inhibitor transform partial iCAF to myCAF. Also TAK1 inhibitors decreased tumor growth and increased immune cell infiltration in the stroma in Vivo.[Conclusions]TAK1 has a possibility to be a therapeutic target focusing on the iCAF which is a conductor of immune system in PDAC.
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347. Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Taiki Moriyama, Yusuke Mizuuchi, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura , New strategy for appropriate port site locations in laparoscopic gastrectomy using a 3DCT simulation, 第94回日本胃癌学会総会, 2022.03.
348. Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Taiki Moriyama, Yoshitaka Hata, Yusuke Mizuuchi, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, A hybrid approach with a technique of endoscopic tumorectomy for esophageal or junctional leiomyoma, Asian-Pacific Congress of Robotic Laparoscopic Surgery (ACRLS), 2022.12, [Background]
In recent years, per oral endoscopic tumorectomy (POET) has been devised as an operation for benign submucosal tumors of the esophagus. However, large tumor more than 50mm in size is out of the indication. Laparoscopy endoscopy cooperative surgery (LECS) has also been established and well-accepted as an operation for tumors in stomach or duodenum. Herein, we report the case series of thoracoscopy endoscopy cooperative surgery (TECS) and junctional LECS (J-LECS) with POET technique for tumors located in the esophagus or esophago-gastric
junction.
[Cases]
1. A case of leiomyoma with a maximum diameter of 60mm in the lower thoracic esophagus which caused epigastralgia.
2. A case of leiomyoma with a maximum diameter of 70mm on the right wall of the middle thoracic esophagus.
The tumor strongly compressed the trachea, right bronchial artery and azygos vein with a complaint of difficulty of swallowing.
3. A case of 40 mm-sized leiomyoma that was located at the gastric side of esophago-gastric junction compressing the esophagus with a complaint of difficulty of swallowing.
[Surgical procedure]
Surgery was started endoscopically. An entry hole was made about 3cm above the tumor, and a submucosal
tunnel was created to remove the tumor as much as possible. The tumor was dissected almost all around endoscopically. Then, thoracoscopically or laparoscopically, the tumor was resected through a small hole made on adventitial muscularis of esophagus or serosal muscularis of stomach. The defect due to excision was closed with suturing by surgeon, and entry hole was closed with clips by endoscopist. Especially in third case, the defect was very small, and the esophageal mucosa was definitely intact promising the preserved junctional function.
[Postoperative course]
There were no stenosis or leakage in all cases.
[Conclusion]
TECS or J-LECS with POET technique is a very useful minimal invasive procedure.
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349. Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Taiki Moriyama, Yoshitaka Hata, Masafumi Sada, Noboru Ideno, Kinuko Nagayoshi, Yusuke Mizuuchi, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, A hybrid approach of LECS with POET technique for esophago-gastric junctional submucosal tumor, 第94回日本胃癌学会総会, 2022.03.
350. Kodai Shingaki, Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Taiki Moriyama, Yusuke Mizuuchi, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, Two cases of successful laparoscopic suture fixation of stent for soft-stenotic lesions to avoid migration , IASGO-CME 2022, 2022.10, The placement of endoscopic gastrointestinal stent is used to treat the patients who has obstruction mainly due to malignant tumor. It has the advantage of less invasiveness comparing to bypass surgery. However, it is known that some troubles such as perforation, restenosis by ingrowth, and stent migration may occur. For soft-stenotic lesions that can be passed through the endoscope, stent is not applicable because of the possibility of stent migration. However, stent insertion is still worthwhile for the patient who are not candidates for bypass surgery. We have two cases who underwent successful laparoscopic suture fixation of stent for soft-stenotic lesions to avoid the stent migration.

Case 1 was a 74-year-old man who underwent gastro-jejunal bypass using Billroth-II method for renal pelvic cancer invading to the duodenum with obstruction. In spite of chemotherapy, the cancer progressed and he started vomiting six months later. Careful examination revealed that he had a soft-stenotic lesion of the efferent loop near the anastomotic site of the bypass. Conservative treatment such as decompression of stomach and medication of peristaltic stimulant did not work, then we considered the stent insertion
for this soft-stenotic lesion. Under the general anesthesia, a stent was placed into the soft-stenotic site endoscopically, and we performed three full-thickness sutures holding the stent with 3-0 Prolyne laparoscopically. We added the percutaneous endoscopic gastrostomy for decompression just in case. The postoperative course was uneventful and he was started chemotherapy again.

Case 2 was a 78-year-old woman who underwent video-assisted thoracoscopic esophagectomy for esophageal cancer with gastric tube reconstruction of posterior mediastinal route. She started vomiting six years after surgery. CT and endoscopy revealed soft-stenotic lesion at the antrum of reconstructed gastric tube, compressed by the body of vertebra. After unsuccessful conservative treatment, we tried stent insertion twice which were in failure due to migration. We eventually performed a laparoscopic stent fixation that was placed a day before surgery. Two full-thickness sutures holding the stent with 3-0 Prolyne were performed on the gastric wall which was in the abdominal cavity. Her oral intake recovered well, but two years after the stent insertion, restenosis occurred at the same site due to stent collapse. We performed stent insertion into the previous stent endoscopically with OTSC fixation. Her oral intake and body weight are improving again..
351. Chikanori Tsutsumi, Kenoki Ohuchida, Shoichi Nakamura, Sho Okuda, Kyoko Hisano, Yoshiki Otsubo, Koji Shindo, Taiki Moriyama, Yusuke Mizuuchi, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, LOCAL NEUTROPHILS CAN DIFFERENTIATE INTO PMN-MDSC IN GASTRIC CANCER, DDW2022, 2022.05, 【Introduction】
Myeloid-derived suppressor cells (MDSCs) suppress the immune response of cytotoxic T cells by inducing T cells to exhaust or fail to function. According to a previous report, there are two differentiation pathways from common myeloid progenitor to neutrophils and polymorphonuclear-MDSC (PMN-MDSC). However, a better understanding of PMN-MDSC differentiation remains to be established.
【Method】
We performed single-cell RNA sequencing analysis on 125898 cells from 12 tumors and 10 non-tumor samples from patients who underwent gastrectomy. We excluded the other cell types using canonical gene expression and doublet finder and isolated neutrophils and PMN-MDSC.
【Result】
We identified two neutrophil and three PMN-MDSC clusters, visualized with the UMAP algorithm. The analyses of neutrophil clusters revealed that P0, P1, and P4 expressed high immunosuppressive gene expression levels. These genes related to immunosuppressive function have been reported to be expressed in MDSC. Based on these findings, we defined P0, P1, and P4 clusters as PMN-MDSC. The percentage of PMN-MDSC was higher in the GC samples compared to the non-malignant samples (58.6 % vs. 46.9 %). We next used the Monocle analysis toolkit to perform cell trajectory analysis to investigate the potential transition between neutrophils and PMN-MDSC. The pseudotime trajectory axis indicated that neutrophils could transdifferentiate into PMN-MDSC. Furthermore, the cell cycle of PMN-MDSC had a lower percentage of G2M phase than that of neutrophils.
【Conclusion】
The present results suggest that local neutrophils can give rise to PMN-MDSC in gastric cancer.
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352. Chikanori Tsutsumi, Kenoki Ohuchida, Shoichi Nakamura, Sho Okuda, Kyoko Hisano, Yoshiki Otsubo, Koji Shindo, Taiki Moriyama, Yusuke Mizuuchi, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, Functions of CD8-positive T cells in gastric non-solid type poorly differentiated adenocarcinoma, INTERNATIONAL GASTRIC CANCER CONGRESS 2022, 2022.03, 【Introduction】
Gastric non-solid type poorly differentiated adenocarcinoma (por2) has a poorer prognosis than other types of gastric cancer (GC). No studies have evaluated the function of CD8-positive T cells in por2 GCs using single-cell RNA sequence (scRNA-seq).
【Method】
We performed scRNA-seq analysis on 125898 cells from 12 tumors (including eight por2 GC) and ten non-tumor samples from patients who underwent gastrectomy.
【Result】
CD8-positive T cell cluster (n=11615) was extracted and reclassified into six clusters with different functions, classified based on RNA of T-cell-related genes. This process allowed the definition of five major populations: terminally exhausted, progenitor exhausted, acutely activated, γδT like and memory CD8-positive T cells. Por2 GCs were significantly less cytotoxic and exhausted than non-por2 GCs (p <0.001). Additionally, the proportion of cytotoxic T cells (28.6 % vs. 35.6 %) and naive T cells (23.6 % vs. 28.8 %) was lower in por2 GCs than in other GCs. The trajectory inferred using monocle3 indicated that exhausted T cells may follow a different pathway of differentiation from memory T cells and acutely activated T cells.
【Conclusion】
In the present study, we revealed CD8-positive T cells heterogeneity in GCs. Furthermore, we suggest that por2 GCs may be associated with a poor prognosis due to the less cytotoxic function of CD8-positive T cells.
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353. Chikanori Tsutsumi, Kenoki Ohuchida, Shoichi Nakamura, Sho Okuda, Kyoko Hisano, Yoshiki Otsubo, Koji Shindo, Taiki Moriyama, Yusuke Mizuuchi, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, Elucidation of cancer-associated fibroblasts heterogeneity in gastric tumor mic, 第67回国際外科学会日本部会総会, 2022.06, 【Introduction】
The tumor microenvironment (TME) comprises a heterogeneous population of cancer-associated fibroblasts (CAF) with different functions: myofibroblastic CAF (myCAF), inflammatory CAF (iCAF), and antigen-presenting CAF (apCAF) in pancreatic and breast cancers. However, no study has investigated whether these CAF exist in gastric cancer (GC).
【Method】
We performed single-cell RNA sequencing analysis on 125898 cells from 12 tumors and 10 non-tumor samples from patients who underwent gastrectomy.
【Result】
We isolated the fibroblast cluster (n=2383) and identified four fibroblast clusters. The CAF marker genes in each cluster were cross-referenced with known markers of cell clusters to identify the different clusters such as my CAF, iCAF, and apCAF. We determined F0 and F2 clusters as iCAF, while F1 and F3 clusters as myCAF. The apCAF did not form a cluster but existed within the iCAF and myCAF clusters. To investigate the immune function of iCAF (F0 and F2) in GC, we used gene set enrichment analysis and found that four gene sets related to immunity, angiogenesis, and cytokine production are more enriched in iCAF cluster than in myCAF cluster. Furthermore, expression levels of immunosuppressive genes were highest in the F0 CAF cluster among all CAF clusters.
【Conclusion】
In the present study, we demonstrated that GC TME was composed of a heterogeneous population of CAF with different functions, as well as pancreatic and breast cancers.
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354. 片山直樹, 大内田研宙, 堤親範, 大坪慶志輝, 奥田翔, 久野恭子, 中村祥一, 寅田 信博, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , scRNA-seqを用いた胃癌におけるT細胞のサブタイプ分類およびCPSとの関連について, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04, 【背景】胃癌治療において抗PD-1抗体といった免疫チェックポイント阻害薬の導入は,これまでの治療に画期的な変化をもたらした.作用機序としてPD-1はCD28とCD226の両方を阻害し,TIGITはCD226を介して腫瘍免疫を阻害する.また,抗PD-1抗体による治療において,免疫染色で評価されるCPSは薬剤投与の指標として期待されている.
【目的】胃癌症例において,T細胞のサブタイプ分類を行い,CPSと相関のある腫瘍免疫関連分子を明らかにする.
【方法】当科で胃切除手術を施行した11症例の胃癌患者から腫瘍部11サンプルを採取し,single cell RNA-sequence解析を行った.その後,T細胞を遺伝子発現の特徴から再分類し,それぞれの遺伝子発現について解析を行った.また,各症例の切除組織を対象に抗PD-L1抗体を用いて免疫染色を行い,CPS分類を行った.CPSは低中高値の3分類に分け,T細胞サブタイプを特徴づける遺伝子発現との関連性を評価した.
【結果】胃癌全11症例の統合解析を行い,CD8陽性T細胞を抽出した.対象細胞数は,10610細胞で,8つのサブクラスターに分類できた.サブグループ別にDEGを評価したところ,CD8陽性T細胞の中でCD226が発現が高いサブグループは,レジデントメモリーT細胞に特徴的であるCD103の発現が高かった.また,CPS高低値でのCD8陽性T細胞におけるPDCD1発現の差は認めなかったが,CPSが50以上の症例はCD8A,CD28,CD226,CD103の遺伝子発現が他の症例と比較して高かった.
【結語】腫瘍免疫におけるCD8陽性T細胞のサブタイプについて特徴的な遺伝子によって分類した.PD-L1が免疫染色上高い発現を認める場合,CD8陽性T細胞にCD28,CD226,CD103発現が高いサブグループを認めていることから,過去の報告から細胞障害性の高いTeffやTem,Trmが関わるHot Tumorであり,抗腫瘍免疫活性が高い可能性がある.
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355. 片山直樹, 大内田研宙, 堤親範, 奥田翔, 久野恭子, 中村祥一, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 中村雅史 , , scRNA-seqを用いた胃癌におけるCPSとCD8陽性T細胞との関連と意義, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07, 【背景】胃癌治療において免疫チェックポイント阻害薬の導入はこれまでの治療に画期的な変化をもたらした.抗PD-1抗体による治療において,免疫染色で評価されるCPSは薬剤投与の指標として期待されている.しかし,腫瘍免疫におけるCPSの意義は未だ明らかではない.
【目的】胃癌症例において,CPS 高低値に分類しシングルセル解析を用いてCD8陽性T細胞の機能を詳細に解析し,微小腫瘍免疫環境におけるCPSの意義を明らかにする.
【方法】当外科で胃切除手術を施行した11症例の胃癌患者から腫瘍部11サンプルを採取し,各症例の切除組織を対象に抗PD-L1抗体及び抗CD8抗体を用いて免疫染色を行い,CPS分類及びCD8陽性細胞数の計測を行った.また,single cell RNA-sequence解析を行い,CD8陽性T細胞をサブセットとして抽出し,CPSによって低中高値の3分類に分け, CD8陽性T細胞の遺伝子発現から推測される機能との関連性を評価した.
【結果】胃癌全11症例の免疫染色においてCPSとCD8陽性T細胞数は正の相関を認めた.各々の症例に対してシングルセル解析データの統合解析を行い,CD8陽性T細胞を抽出した.対象細胞数は,10610細胞で,5つのサブクラスターに分類できた。CPS高値群では、CD8陽性T細胞の総数は他の群と比較して多く,NaiveT細胞の割合は低く,疲弊化マーカーを発現したCD8陽性T細胞の割合が高かった.また,CPS高値の群では,CD8陽性T細胞において,低酸素関連遺伝子が有意に発現していた.
【結語】腫瘍免疫におけるCD8陽性T細胞の機能は、腫瘍や免疫細胞のPD-L1発現相関していることがわかった。また、CPS高値の腫瘍ではCD8陽性T細胞は疲弊化しており,低酸素環境に置かれていることが示唆された..
356. 畑井三四郎, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, 直腸脱を伴う進行直腸癌に対してAltemeier法に準じた経肛門的切除術を施行した1例, 第59回九州外科学会/第59回九州小児外科学会/第58回九州内分泌外科学会, 2023.03, (はじめに)直腸脱の治療法は多岐にわたるが、まれに直腸腫瘍を合併し治療法に迷うことがある。今回、進行直腸癌を先進部とした直腸脱に対し、Altemeier法に準じた経肛門的手術を施行した1例を経験した。(症例)86歳女性、下血および肛門部腫瘤を主訴に当院を紹介受診した。完全直腸脱および脱出腸管に手拳大の腫瘤を認め、生検で腺癌の診断となった。高齢でPSは3-4、認知症も認めたため侵襲の少ない経会陰的なアプローチを選択し、Altemeier法に準じた切除術およびThiersh法を施行した。切除腸管は14cm、腫瘍径は80×50mmで、病理組織診断はmucin成分を伴う腺癌でpT3(SS)であった。術後経過は良好で合併症や直腸脱の再燃なく経過した。(まとめ)直腸癌を合併した直腸脱に対する経会陰的手術の報告は、本邦において数例のみである。Altermire法に準じた経肛門手術は低侵襲に腫瘍切除を行うことができるため、耐術能に懸念がある高齢者には有用と考える。.
357. 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 堀岡宏平, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 縫合不全を0に!! 低位前方切除術における当科の周術期管理, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12, 【背景・目的】
直腸癌手術後の縫合不全(AL)は頻度の高い合併症の一つである。当科におけるALを0にするための取り組みについて検討し、その有用性を明らかにすることを目的とした。
【当科の周術期管理】
前日より絶食にし、成分栄養剤を内服する。2020年4月より機械的腸管処置に化学的腸管処置を追加し、ICG 蛍光造影法により術中腸管血流評価を行っている。経肛門ドレーン留置や経肛門的に吻合部補強を行い、術前治療症例や吻合部が低い症例は一時的回腸人工肛門造設術を行う。近年はロボット支援下手術で全例行っている。
【対象・方法】
対象は、2016年1月から2023年3月にDST/SST吻合を施行した直腸癌115例。化学的腸管処置、ICG蛍光造影法を開始した2020年4月以降の52例(N群)と、以前の63例(O群) で比較検討した。
【結果】
年齢、性別、BMI、ASA-PS、腫瘍占拠部位、術前CAR、PNI、手術時間、出血量、腫瘍最大径、最終Stage、術後在院日数において両群間で差を認めなかった。ロボット支援下手術はN群45例、O群9例であった(p<0.0001)。ALはN群2例、O群9例で、Clavien-dindo分類Grade3a以上はN群では認めず、O群14%(9/63)より有意に低かった(p=0.0039)。
【結語】
現在当科で施行している直腸癌手術の縫合不全への対策は有用であると思われた。.
358. 藤原謙次, 永吉絹子, 進藤幸治, 長池幸樹, 男性外科医の育児両立において生じる現実的課題とその解決, 第85回日本臨床外科学会総会, 2023.11, 働き方改革が日本全体で叫ばれ共働き世帯が急激に増加する中、男性の家事育児への積極的参加は当然のこととなっていくと考えられる。その中、医師、特に外科医は大きく社会の流れから遅れをとってきた。旧来の働き方では若い世代を惹きつけられないことは明白となっており、それは若手の減少と高齢化の急激な進行として外科全体に大きくのしかかっている。これは個人の意識だけでなく外科の業務における構造から発生していると考えている。今回、外科医の育児両立の点から自身の経験及びインタビュー調査の結果を踏まえ発表する。検証の中で大きな問題となったのは①主治医としての責任の強さ②手術時間の予測の難しさ③時間外の呼び出しの3点である。術者を意味することが多い主治医という立場は、不在時の代医による交代を難しくさせる。始まってみない限り読めない手術時間は、保育サービス利用において問題となりやすい。インタビュー上で最大の課題であった時間外の呼び出しに対し、大規模病院ではチーム制での対応が行われているが、中規模以下の病院では配偶者への依存以外に明確な解決策は見出せなかった。配偶者の仕事の制限を強いらざるを得ない家庭が多く、配偶者及び家族への罪悪感を抱く外科医が多くみられた。この課題の解決には本人及び家族の努力のみでは不可能であり、様々な面からの協力を要し、変化には時間を要すると考えられる。.
359. 田中星羽, 水内祐介, 田村公二, 佐田政史, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 消化管出血を契機に手術を施行し診断された小腸動静脈奇形(AVM)の1例, 第85回日本臨床外科学会総会, 2023.11.
360. 田村公二, 藤本崇聡, 永吉絹子, 水内祐介, 堀岡宏平, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 高難度鏡視下手術におけるナビゲーションテクノロジー:蛍光尿管カテーテルの有用性, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
361. 田村公二, 藤本崇聡, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 大内田研宙, 中村雅史, 超高齢・サルコペニア大腸癌患者に対する腹腔鏡下大腸切除術の安全性と術後感染症リスク, 第36回日本外科感染症学会総会学術集会, 2023.12.
362. 田村公二, 藤本崇聡, 永吉絹子, 水内祐介, 久野恭子, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 鏡視下大腸切除術におけるICG蛍光Navigation Surgery:マーキング用蛍光クリップと蛍光尿管カテーテルの使用経験と有用性, 第78回日本大腸肛門病学会学術集会, 2023.11.
363. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, ハイリスク超高齢大腸癌患者に対する腹腔鏡下大腸切除術の適応と安全性, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07.
364. 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 高難度大腸切除症例における蛍光尿管カテーテル(NIRC)の使用経験, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11.
365. 堤親範, 大内田研宙, 片山直樹, 大坪慶志輝, 寅田信博, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , , por2胃癌・食道胃接合部癌における癌関連線維芽細胞とCD8陽性T細胞の相互作用の解明, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07, 【背景】胃癌・食道胃接合部癌において、非充実型低分化型腺癌 (por2)は予後不良であり、一般的に豊富な繊維化組織を伴うことが多い。近年、膵癌や乳癌でcancer-associated fibroblast (CAF)のheterogeneityがシングルセルRNAシーケシング (scRNA-seq)によって解明されているが、por2胃癌・食道胃接合部癌微小環境におけるCAFとCD8陽性T細胞の相互作用をscRNA-seqを用いて解明した報告はない。
【対象】当科で根治切除術を施行した全21例から採取した胃癌19例 (por2: 9例)と食道胃接合部癌2例 (por2: 1例)を対象とした。
【結論】全21症例の統合解析を行った結果、quality check後の癌関連線維芽細胞 (CAF)の細胞数は3338であり、遺伝子発現が異なる5つの集団に分類された。Por2以外の胃癌・食道胃接合部癌と比較してpor2胃癌・食道胃接合部癌で多いCAFの細胞集団はACTA2・TAGLN・MMP11の発現が高値であること、Gene Ontology解析で「actin filament-based process」「Smooth Muscle Contraction」のアップレギュレートを認めたことから、Myofibroblastic CAFと判断した。また、CD8陽性T細胞はPor2以外の胃癌・食道胃接合部癌と比較してpor2胃癌・食道胃接合部癌で有意に少なく(P = 0.03)、細胞障害機能関連遺伝子の発現も有意に低値であった (P < 0.001)。
【結論】 por2胃癌・食道胃接合部癌のCAFにはheterogeneityがあり、Myofibroblastic CAFが腫瘍内へのCD8陽性T細胞浸潤を抑制している可能性が示唆された。
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366. 堤親範, 大内田研宙, 片山直樹, 大坪慶志輝, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , scRNA-seqを用いたHER2陽性胃癌におけるCD8陽性T細胞の細胞障害性分子の解明

, 第95回日本胃癌学会総会, 2023.02, 【背景】HER2陽性胃癌は胃癌全体の約20%を占め、HER2過剰発現は予後不良因子とされている。近年、HER2陽性胃癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されているが、HER2陽性胃癌の腫瘍微小環境に存在する免疫細胞について不明な点は未だに多い。
【目的】抗原特異的な細胞障害性機能をもつ疲弊化CD8陽性T細胞に着目し、HER2陽性胃癌の細胞障害性分子の発現を明らかにする。
【方法】当科で胃切除術を施行した13例の胃癌患者から腫瘍部12サンプルと正常粘膜10サンプルを採取し、single-cell RNA sequencing (scRNA-seq)を行った。その後、免疫染色によりHER2陽性胃癌を同定し、疲弊化T細胞における細胞障害性分子の発現を比較検討した。
【結果】
胃癌症例12例中、HER2陽性胃癌は2例であった。全22症例の統合解析を行った結果、quality check後のCD8陽性T細胞数は11615であり、6つのクラスターに分類された。遺伝子発現の特徴からProgenitor exhausted CD8陽性T細胞とTerminal exhausted CD8陽性T細胞のクラスターを同定し、細胞障害性分子の発現を評価したところ、HER2陽性胃癌とHER2陰性胃癌の細胞障害性シグネーチャースコア(GZMB・PRF1・IFNG・TNFより算出)に有意差を認めなかった。さらに、それぞれの細胞障害性分子の発現を比較したところ、IFNGはHER2陽性胃癌でHER2陽性胃癌よりも発現が有意に低く、GZMBとPRF1はHER2陽性胃癌でHER2陰性胃癌よりも発現が有意に高かった。
【結論】 HER2陽性胃癌では抗原特異的CD8陽性T細胞におけるGZMBとPRF1が細胞障害性機能に重要である可能性が示唆された。
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367. 堤親範, 大内田研宙, 片山直樹, 大坪慶志輝, 奥田翔, 久野恭子, 寅田信博, 進藤幸治, 森山大樹, 阿部俊也, 井手野昇, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史 , scRNA-seqを用いたHER2陽性胃癌におけるCD8陽性T細胞の疲弊化分子の解明

, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04, 【背景】HER2陽性胃癌は胃癌全体の約20%を占め、HER2過剰発現は予後不良因子とされている。近年、HER2陽性胃癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されており、HER2陽性胃癌における免疫細胞の疲弊化分子はHER2陰性胃癌よりも発現が低いことが示された。しかし、HER2陽性胃癌の腫瘍微小環境に存在する免疫細胞の疲弊化分子の局在については不明な点は未だに多い。
【目的】抗原特異的な細胞障害性機能をもつProgenitor exhausted CD8陽性T細胞 (PE-CD8+T細胞)に着目し、HER2陽性胃癌の治療標的となる疲弊化分子を明らかにする。
【方法】当科で胃切除術を施行した13例の胃癌患者から腫瘍部12サンプルと正常粘膜10サンプルを採取し、single-cell RNA sequencing (scRNA-seq)を行った。その後、免疫染色によりHER2陽性胃癌を同定し、PE-CD8+T細胞における疲弊化分子の発現を比較検討した。
【結果】
胃癌症例12例中、HER2陽性胃癌は2例であった。全22症例の統合解析を行った結果、quality check後のCD8陽性T細胞数は11615であり、6つのクラスターに分類された (Fig. 1)。遺伝子発現の特徴からPE-CD8+T細胞のクラスターを同定し、疲弊化分子の発現を評価したところ、HER2陽性胃癌とHER2陰性胃癌の疲弊化シグネーチャースコア(CTLA4・LAG3・TIGIT・HAVCR2より算出)に有意差を認めなかった (Fig. 2)。さらに、それぞれの疲弊化分子の発現を比較したところ、LAG3はHER2陽性胃癌でHER2陽性胃癌よりも発現が低く、TIGITはHER2陽性胃癌でHER2陰性胃癌よりも発現が高かった (Fig. 3)。
【結論】 HER2陽性胃癌では抗原特異的CD8陽性T細胞におけるTIGITが治療標的となる可能性が示唆された。
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368. 堤親範, 大内田研宙, 片山直樹, 奥田翔, 久野恭子, 大坪慶志輝, 寅田信博, 進藤幸治, 森山大樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , , , 胃癌免疫抑制性微小環境における腫瘍浸潤多形核系骨髄由来抑制細胞の重要性, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11, 【背景】近年、腫瘍免疫抑制性微小環境における多形核系骨髄由来抑制細胞 (PMN-MDSC)が着目されており、担癌患者の末梢血、リンパ組織、転移組織におけるPMN-MDSCの報告が増加している。しかし、胃癌浸潤PMN-MDSCの役割や機能については未だ不明な点が多い。
【目的】胃癌浸潤PMN-MDSCの機能や臨床的予後との相関を明らかにする。
【対象・方法】
(1) 当科で胃切除術を施行した症例から採取した胃癌組織12例と隣接正常組織10例のsingle-cell RNA sequencing (scRNA-seq)を行い、PMN-MDSCにおける免疫抑制機能関連遺伝子を比較検討した。
(2) 胃癌組織12例と隣接正常組織10例のPMN-MDSCを多重免疫染色で評価した。
(3) 既に報告されている胃癌27例のscRNA-seqで細胞障害性CD8陽性T細胞とPMN-MDSCを含めた複数の免疫抑制細胞との相関を検討した。
(4) 細胞間相互作用解析でPMN-MDSCと複数の免疫細胞との相互作用を評価した。
(5) 胃切除術を施行した胃癌患者52例における胃癌浸潤PMN-MDSCの細胞数と臨床的予後の相関を評価した。
【結果】
(1) PMN-MDSCにおける免疫抑制機能関連遺伝子の発現は正常隣接組織と比較して胃癌組織で有意に高値であった (P <0.0001)。
(2) 胃癌組織では隣接正常組織よりもPMN-MDSCが有意に多かった (P = 0.0169)。
(3) 細胞障害性CD8陽性T細胞数が少ない症例で最も多い免疫抑制細胞はPMN-MDSCであった。
(4) PMN-MDSCにおけるIL1Bと細胞障害性CD8陽性T細胞におけるIFNGは細胞間で相互作用がある可能性が示唆された。
(5) 胃癌浸潤PMN-MDSCが多い群26例と少ない群26例に分類した。PMN-MDSCが多い群はPMN-MDSCが少ない群と比較して無再発期間と術後生存期間が有意に短かった (P = 0.0003, P = 0.0132)。
【結論】胃癌浸潤PMN-MDSCは免疫抑制性微小環境の形成に重要である可能性が示された。
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369. 仲田興平, 中村聡, 阿部俊也, 井手野昇, 池永直樹, 水内祐介, 永吉絹子, 進藤幸治, 大内田研宙, 中村雅史, 膵癌に対するロボット支援下膵頭十二指腸切除術
左側アプローチおよびHanging maneuver-
, 第77回手術手技研究会, 2023.05, 本邦ではロボット支援下膵頭十二指腸切除術(RPD)、尾側膵切除術(RDP)が2020年に保険収載され、全国的にも症例数徐々に増加傾向である。当科では2018年に倫理委員会承認のもとRPDを開始、2021年1月までに102例のロボット支援下膵切除術を行ってきた(RPD;60例、RDP;42例)。適応に関しても当初は良性~低悪性腫瘍に対して行なってきたが、徐々に適応を拡大し、現在ではRDP,RPD共に浸潤性膵癌に対してもおこなっている。今回膵癌に対するRPDの手技をビデオで供覧し、手術成績を報告する。膵癌に対するRPDでは随伴性膵炎および上腸間膜動脈や門脈周囲への癌の進展により手技的に難易度が高いと考えられている。我々は安全に行うために徐々に手技を変遷させてきた。SMA左側はSMA右側に比べて炎症の程度は低いと考えている、そのため、膵癌に対してはSMA左側からのアプローチを先行して行なっている。左側からのアプローチでは始めに横行結腸間膜を頭側に翻転、空腸を扇状に展開、空腸起始部でTreitz靭帯を完全に遂オ椌フイ靴討・・△修慮紂・・牡嵋譴鮴擲1st JA、2nd JAさらには1st JVを確認する。その後これらの血管をSMA左側で切離したのちに小腸間膜を切開する。その後、膵上縁、肝十二指腸間膜の処理をおこなったのちに、右側からのアプローチによりSMA右側の処理を行う、この時膵頭背側にテープをかけ、hanging maneuverの要領で膵頭部の血流をコントロールしながらSMA右側を切離する。なお、膵実質はScissorsを用い、少しずつ膵実質を離断し、膵管はクリップを行い膵液の漏出を防止している。再建は胃膵吻合で行なっている。RPDに関しては適応の拡大に伴い手術手技を変化させ安全に遂行できていると考える。今後もさらに改変を加え、安全にRPDを遂行できるよう定型化を進めていく
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370. 仲田興平, 中村聡, 阿部俊也, 井手野昇, 池永直樹, 水内祐介, 永吉絹子, 進藤幸治, 大内田研宙, 中村雅史, ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の導入後と今後の展望
―左側アプローチ法と定型化―
, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07, <目的>
2020年に保険収載されたロボット支援下膵頭十二指腸切除術(RPD)は多くの施設が未だ、導入期であると思われる。2020年に開催されたコンセンサスミーティング(PAM meeting)では右側からのアプローチが基本的手技として知っておくべきであるというコンセンサスが得られた一方、様々な症例に対応するためにもアプローチ方法に関してはvariationを持っておくべきであるとの意見もあった。右側からのアプローチでは空腸も右側から引き抜く事は可能であるが、Treitz靭帯がその妨げとなることが多く、当科では左側からのアプローチも行なっている。今回、当科におけるRPDの視野展開、手術手技をビデオで供覧し、また、RPDの安全性と有用性を検証する。
<方法>
当科では2018年に臨床試験下にRPDを開始、当科では以前より開腹手術同様、左側からのアプローチも併用している。手術開始後体位は頭高位10度、必要に応じて右側に5度傾ける。空腸を足側、右側に展開しTreitz靭帯、切離、このとき十二指腸水平脚に付着するTreitz靭帯は背側から切離を行うことで完全に切離を行うことが可能となる。必要に応じて左側から膵頭部背側の剥離も行う。本操作によりRPDでも右側から空腸を抵抗無く容易に引き抜くことが可能となる。その後右側からのアプローチを行い、膵頭部をSMA、SMVから切離し標本を摘出する。
<結果>
2022年11月までに行った54例のRPDを解析対象とした。手術時間は1-10、11-20、21-30、31-40例目の手術時間および出血量中央値はそれぞれ、776分(689-846分)、746分(665-881分)、784分(542-998分)、679分(581-830分)であり、出血量中央値は354g(80-1550g)、294g(124-1950g)、290g(17-1330g)、175g(50-612g)であった。一方-41例目以降の手術時間中央値、出血量中央値は581分(437-855分)であり、201g(0-1050g)であった。また、膵液瘻発生率に関しては10例(21.3%;全例soft pancreas)であり、周術期死亡は認めていない。
<結語>
当科では症例の拡大に伴い手技の変遷を行い、現在までにRPDを安全に導入できていると考える。
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371. 仲田興平, 中村聡, 阿部俊也, 井手野昇, 池永直樹, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, R0切除を目指した浸潤性膵癌に対するロボット支援下膵切除術の工夫および長期成績の検討
, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04, <目的>
ロボット支援下膵切除術(RP)は保険収載後いまだ2年が経過しておらず、多くの施設が導入初期の段階であり浸潤性膵管癌(inv-PDAC)に対しては少ない未だ症例は少ないと思われる。当科では2018年7月よりロボット支援下膵頭十二指腸切除術(RPD)を臨床試験下に開始し、2020年8月からロボット支援下尾側膵切除(RDP)を導入、inv-PDACに対しては2021年からRDP,RPD共に開始している。今回当科での膵癌に対するロボット支援下手術の手術手技の提示および長期成績に関して報告を行う
<方法>
2018年7月から2022年6月の間に当科で行ったロボット支援下手術78例(RPD47例
、RDP 31例)を対象とした。inv-PDACに対するロボット支援下手術の適応は術前画像で門脈へ直接接していない症例や他臓器浸潤を認めないものを基本としている
RPD.RDP共にR0切除を重要視した手術を行なっている
<結果>
51例中膵癌症例はRPD 19例(inv-PDAC ;12例)、RDP 9例(同;9例)であった。術前診断がinv-PDACである症例に対してはRPD導入後2年8ヶ月後(20例目)に、RDPは導入後5ヶ月後(6例目)に開始された。
手術時間および、出血量をinv-PDAC 群とその他の症例群で比較したところRPDでは(756min; 667min-863min)vs (735min;492min-998min)、(175g;37-476g)vs (300g;17g-1950g)であり、RDPでは(410min; 213min-577min)vs (398min;232min-683min)、(85g;0-440g)vs (258g;0g-1070g)であり手術時間、出血量ともに両群間で有意差は認めなかった。全例R0切除術を達成しており、長期成績に関しては観察期間範囲(3-51ヶ月)において全例無再発生存中である。
<結語>
今後の長期観察が必要であるが、inv-PDACに対するロボット支援下手術は安全に導入されていると考えられる。

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372. 仲田興平, 阿部俊也, 渡邉雄介, 井手野昇, 池永直樹, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 大内田研宙, 中村雅史, 膵癌に対する低侵襲膵頭十二指腸切除術-precision anatomyを意識したmesenteric approach-, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12, <背景>
当科では現在までに95例のMIPD<LPD(28例)、RPD(67例)>を行っている、MIPDに必要な解剖を紹介、当院で行っている膵癌に対する術式に関して紹介する。
<方法>
門脈に接する膵癌に対してはmesenteric approachを行うことがある。本操作では中結腸動脈をメルクマールとしてSMAを同定する。SMA周囲を根部に向かって剥離を行い、その後treitz靭帯を切離する。Treitz靭帯は半数以上が十二指腸背側にも付着しており前方のみならず、背側からも確実に切離する。可能であればSMA,SMVの間でIPDAもしくは1st JAを切離するがこの時注意すべきは1st JVである、1stJVは殆どがSMA背側を走行しているため、出血に注意する。膵を離断後は、Hanging maneuverを利用してSMV右側から腹側を展開して剥離を行う。
<結果>
95例のMIPD中、膵癌に対するRPD は現在までに27例 施行した(stage 0 10例、IA 6例、IIA 5例、IIB 6例)。手術時間中央値および出血量中央値はそれぞれ733分(437分-863分)、235g (0-1050g)であった。長期成績に関しては、観察期間中央値21ヶ月(1-59ヶ月)であり、1例に再発を認めたが、そのほかの症例に関しては無再発生存中である。

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373. 中村聡, 仲田興平, 阿部俊也, 井手野昇, 池永直樹, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, 高齢者におけるIPMN治療方針の検討, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04, 【背景・目的】高齢化社会において偶発的に膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が診断される機会が多くなっている。IPMNは国際診療ガイドラインに沿って手術適応を検討されるが、膵切除術は高侵襲であるため、高齢者に対しては特に慎重な判断が求められる。今回、高齢者におけるIPMN切除例の特徴と膵切除術の安全性について評価した。
【方法】2017年1月から2021年12月までに当科でIPMNに対して膵切除術を施行した75例を対象とし、高齢者群と若年者群で患者背景および周術期短期成績を後方視的に比較検討した。今回の検討では75歳以上を高齢者と定義し、併存膵癌症例は除外した。
【結果】高齢者群は22例、若年者群は53例であった。年齢の中央値は79(75 - 90)歳と68(52 - 74)歳であった。High-risk stigmataを認めた症例はそれぞれ17例(77%)と39例(74%)、術前膵液細胞診で悪性の確定診断を得た症例は8例(36%)と20例(38%)で有意差は認めなかった(P=0.69、P=0.91)。最終病理診断はlow-grade dysplasia: 7例(32%)と16例(30%)、high-grade dysplasia: 8例(36%)と16例(30%)、IPMN with an associated invasive carcinoma: 7例(32%)と21例(40%)であった(P=0.80)。術式は若年者群(26%)よりも高齢者群(45%)で尾側膵切除(DP)が有意に多く(P=0.03)、高齢者群に対して膵全摘は施行されなかった。周術期については、膵頭十二指腸切除術(PD)とDPともに2群間でCD分類IIIa以上の合併症頻度に有意差は認めず(P=0.27、P=0.22)、術後在院日数も同等であった(
P=0.23、P=0.37)。
【結語】高齢者IPMNに対して安全に膵切除術が施行できることが示唆される一方で、高齢者には低侵襲な術式が選択される傾向があった。
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374. 中村祥一, 大内田研宙, 片山直樹, 堤親範, 久野恭子, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 中村雅史, 三次リンパ組織様構造の有無に着目したCD8陽性Tリンパ球の機能に関するscRNA-seq解析, 第44回癌免疫外科研究会, 2023.06, 【背景】近年、腫瘍免疫微小環境内に3次リンパ組織様構造 (TLS)と呼ばれる免疫細胞の凝集体が存在することが明らかになっている。TLSは腫瘍局所に後天性に形成され、二次リンパ組織と似た構造を有しており、Tリンパ球、Bリンパ球、樹状細胞、濾胞性樹状細胞、マクロファージなどの免疫細胞や、細網線維芽細胞などの間質細胞から構成される。またTLSの内部には胚中心が形成され活発な免疫応答が行われていると考えられている。さらに腫瘍内のTLSの存在はICBの奏効率を予測し、胃癌や肝細胞癌など多くの消化器癌の良好な予後と相関していることが報告されている。しかし消化器癌において、TLSが抗腫瘍免疫へ実際にどのような影響をもたらしているかは未だ不明である。
【目的】TLSの存在の有無に着目してCD8陽性Tリンパ球の機能を詳細に評価する。
【方法】食道扁平上皮癌におけるTLSの有無について、H&E染色や抗CD20抗体を用いたIHCで評価した。またCD8陽性Tリンパ球のTLSにおける局在についてIFで評価した。さらに、食道正常粘膜部4例、TLSを認める腫瘍部 (TLS+群)5例、TLSを認めない腫瘍部(TLS-群)5例の計14例を用いてscRNA-seq解析をおこなった。
【結果】食道扁平上皮癌においてTLSは腫瘍辺縁部に多く認められた。またCD8陽性Tリンパ球はTLSの外縁に沿って多く存在していた。scRNA-seq解析では9,124個のCD8陽性Tリンパ球が同定され4つのサブタイプへと分類できた。さらに細胞障害性機能を示す遺伝子に着目したところ、TLS+群でGZMK、PRF1の発現が有意に上昇しており(どちらもp<0.0001)、TLS存在下では細胞障害性機能が亢進していることが示唆された。
【結語】食道扁平上皮癌においてTLSを有する症例では抗腫瘍免疫が亢進している可能性が示唆された。今後は樹状細胞やCD4陽性Tリンパ球などの細かな細胞種に着目し機能評価を行う予定としている。
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375. 中村祥一, 大内田研宙, 堤親範, 久野恭子, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, シングルセル解析を用いた食道癌における制御性B細胞の検討, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04, 【背景】腫瘍の縮小・進展において多種多様な免疫細胞から構成される腫瘍免疫微小環境の不均一性が大きく関与していることが知られている。B細胞は液性免疫の中心的な役割を担っているが、近年、「制御性B細胞 (regulatory B cell: Breg)」と呼ばれる免疫抑制的な機能を持つ特殊な細胞集団が存在することが報告されており、抗腫瘍免疫においても重要な働きをもつと考えられている。今回シングルセル解析を用いて食道癌における制御性B細胞に関する解析を行った。
【対象】食道正常粘膜部・扁平上皮癌部の計17検体を対象にシングルセル解析を実行した。シングルセル解析はDrop-seq技術を用いた。
【結果】計17検体から得られたシークエンスデータに対しUMAPを用いた次元圧縮を行った後にクラスター分類を実行しB細胞集団を同定した。B細胞は5,338個検出され、詳細な12のB細胞クラスターへ分類された。各クラスターの発現変動遺伝子解析を行ったがBregクラスターは明確には同定されなかった。BregはIL-10, IL-35などを産生し免疫抑制性の働きを持つことが知られているが、それらを基にgene signatureを作成し各B細胞クラスター間で評価すると各クラスターで発現を認め、特にナイーブB細胞クラスターでの発現が他のクラスターと比較し有意に高値であった。Bregと食道癌の予後との関連を評価するため、食道癌のTCGAデータセットを用いて生存分析を行うと、signature低発現群で有意に無再発生存率が延長していた (p = 0.039)。以上により、Bregは明確な分化サブタイプではなく非常に不均一な細胞集団を表現していることが示唆され、食道癌においてBreg signatureは予後不良因子であり抗腫瘍免疫においては負の働きをしている可能性が考えられた。(
B
【結語】シングルセル解析を用いて微細なBreg関連遺伝子の発現をとらえることができた。今後は術前化学療法の関連に着目しつつ詳細な解析を行う。
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376. 中村祥一, 大内田研宙, 堤親範, 久野恭子, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, single cell RNA sequenceを用いた食道癌浸潤Bリンパ球における化学療法後の機能変動の詳細な解明, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11, 【目的】近年、食道癌において免疫チェックポイント阻害薬(ICB)と化学療法の併用療法の有効性が示され化学療法に伴う腫瘍免疫微小環境の変化が注目されている。また腫瘍局所に存在する腫瘍浸潤Bリンパ球(TIL-B)は複数の癌腫の予後良好因子であることが報告されているが、腫瘍局所での機能的な役割に関しては不明である。今回TIL-Bの化学療法に伴う機能変動を評価するため食道癌検体を用いたシングルセル解析を行った。
【方法】食道扁平上皮癌10検体(化学療法施行群5検体、未施行群5検体)、正常粘膜部7検体の計17検体を用いてシングルセル解析を行った。また、食道扁平上皮癌166検体を対象に抗体産生細胞マーカーの抗IGKC抗体を用いた免疫組織化学染色(IHC)を行い、その臨床的意義を検討した。
【成績】17検体を対象にシングルセル解析を行い、81,246細胞を同定し24のクラスターに分類した。次にTIL-Bクラスターのみを抜き出し、12の詳細な分化サブタイプを同定した。さらに化学療法施行の有無に着目した検討ではTIL-B全体におけるCD40シグナル関連遺伝子の発現が化学療法施行群で増強していた(P<0.0001)。ナイーブBリンパ球は化学療法施行群でBリンパ球活性化関連遺伝子の発現が増強し細胞数が減少していた(P=0.0064)。一方で抗体産生細胞は化学療法施行群において遊走能が低下しており(P<0.0001)、腫瘍局所の細胞数が増加し(P=0.0134)、さらに抗体産生能も増強していた。IHCにてIGKC陽性細胞の出現頻度はRFS・OSの延長と有意に相関しており、多変量解析においても独立した予後良好因子であることが示された(RFS: HR: 0.23, P<0.0001; OS: HR: 0.20, P=0.0002)。
【結論】本検討により化学療法に伴うTIL-Bの機能的不均一性の変動が明らかになり、消化器癌の腫瘍免疫微小環境のより詳細な理解につながるものと期待される。
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377. 中村祥一, 大内田研宙, 奥田翔, 大坪慶志輝, 寅田信博, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 森山大樹, 中村雅史, 食道扁平上皮癌における3次リンパ組織様構造の臨床病理学的意義, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07, 【背景】食道扁平上皮癌 (ESCC)は予後不良な消化器癌の一種であるが、免疫チェックポイント阻害薬 (ICB)の有効性が報告され腫瘍免疫微小環境の理解が急務となっている。近年、TIME内の3次リンパ組織様構造 (TLS)と呼ばれる構造物が注目されている。TLSは腫瘍局所などに後天性に形成される二次リンパ組織と類似した構造物でありTリンパ球、Bリンパ球、樹状細胞、マクロファージなどの免疫細胞や、細網線維芽細胞などの間質細胞から構成される。またTLSの内部には胚中心が形成され活発な免疫応答が行われていると考えられている。腫瘍内のTLSの存在はICBの奏効率を予測し、乳癌・肝細胞癌など多くの固形癌の良好な予後と相関していることが報告されているがESCCにおける報告は少なくその臨床的意義は不明な点が多い。
【目的】ESCCにおけるTLSの臨床病理学的意義を明らかにする。
【対象】2008年4月~2020年11月の期間に当科で切除術を行った食道扁平上皮癌180例を対象にTLSと臨床病理学的因子や予後との関連を評価した。TLSはH&E染色と抗CD20抗体を用いた免疫組織化学染色で評価した。統計解析はLog-rank test、生存時間分析はKaplan-Meier法を用いた。
【結果】年齢中央値は63歳(41-83歳)、男性は153例 (85%)、女性は27例 (15%)であった。TLS+群は144例 (80%)、TLS-群は36例 (20%)であった。臨床病理学的因子に関して、TLSの存在とT1/2 (p = 0.0196)、所属リンパ節への転移がないこと(p = 0.0294)、pStageI/II (p = 0.0029)は有意に相関していた。一方で年齢や性別には有意な相関は認められなかった (p = 0.795、p = 0.877)。またTLS+群はTLS-群と比較して、recurrence free survival/overall survivalの延長に有意に相関していた(p < 0.0001, p = 0.0016)。
【結語】ESCCにおけるTLSの存在は良好な予後予測因子と考えられた。TLSは抗腫瘍免疫を増強している可能性が示唆され今後ICBをはじめとした個別化治療を発展させるための重要な知見となりうると考えられる。
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378. 池永直樹, 仲田興平, 中村聡, 阿部俊也, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 村上正俊, 藤森尚, 中村雅史, 術後早期再発のリスクから見たBR/UR-LA膵癌の切除タイミング, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04.
379. 池永直樹, 仲田興平, 阿部俊也, 渡邉雄介, 井手野昇, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 大内田研宙, 中村雅史, 膵体尾部切除術において手術支援ロボットのメリットが最大限生かされるシチュエーションとは?, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
380. 池永直樹, 仲田興平, 阿部俊也, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 村上正俊, 植田圭二郎, 藤森尚, 大内田研宙, 中村雅史, 集学的治療の時代において、切除すべきではない局所進行膵癌とは?, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11.
381. 池永直樹, 仲田興平, 阿部俊也, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, 膵機能と予後を両立させた膵体尾部切除術の至適膵切離ラインとは?, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07.
382. 大内田研宙, 進藤幸治, 堀岡宏平, 大薗慶吾, 永吉絹子, 水内祐介, 井手野昇, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 低侵襲食道癌手術における左反回神経麻痺の原因検討とその回避の工夫, 第85回日本臨床外科学会総会, 2023.11.
383. 大内田研宙, 進藤幸治, 堀岡宏平, 大園慶吾, 永吉絹子, 水内祐介, 井手野昇, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, , , 食道癌手術上縦隔郭清における左反回神経麻痺の原因となる手技の検討, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
384. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 池永直樹, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , 噴門側胃切除後の逆蠕動性ダブルトラクト再建と食胃吻合の個別選択と工夫, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07.
385. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 田村公二, 佐田政史, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 江藤正俊, 中村雅史, 食道胃接合部癌に対する再建法の選択と逆蠕動性ダブルトラクト再建の術後成績, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04.
386. 大内田研宙, 進藤幸治, 森山大樹, 佐田政史, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 江藤正俊, 中村雅史, 膜の解剖に基づく剥離可能層における空間作成とtension firstコンセプトによる術野展開, 第95回日本胃癌学会総会, 2023.02.
387. 水内祐介, 永吉絹子, 田村公二, 藤本崇聡, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 直腸癌術前化学放射線療法の功罪 ―会陰部壊死性筋膜炎の経験―, 第36回日本外科感染症学会総会学術集会, 2023.12, 大腸手術におけるSSIはその他の消化管手術に比較してリスクが高く、SSIの発生が癌の予後に影響するという報告もあり、SSIの予防は大腸外科医にとって非常に重要な命題である。特に直腸手術では縫合不全などの臓器/体腔SSIも含めてリスクが高い。ロボット支援下手術は多関節機能・手振れ防止機能のロボットアームと安定した視野を生む3Dカメラにより、特に骨盤のような狭い空間での操作性・安定性が可能でより精緻な手術が可能になる。ロボット支援下手術における当科でのSSI予防のためのケアバンドルについて概説する。周術期支援センターにて術前禁煙指導、栄養指導や運動指導、糖尿病患者には血糖コントロール、歯科と連携した口腔ケアを行う。低侵襲手術を励行し、腸管前処置及び術前化学的腸管処置、などを術前に施行する。手術室では直前に最低限の除毛を行い、予防的抗菌薬を執刀前に投与し、皮膚消毒を施行する。術中は手袋交換(3時間ごと、閉創前)、ウォーマーを使用して十分な保温を行い、ダブルリング創縁保護、モノフィラメント抗菌縫合糸を使用する。キ)タタ旅估睚Ⅴ膸楾垰・砲歪牡紐・鋠・屬浪椎修文造蠱擦・靴謄・璽爾箋朧悊覆匹魘郢箸靴督夏睛栃・任留・・鮑把禪造砲垢襦2椎修文造螢疋譟璽鵑倭淨・擦此∧珍倭阿砲牢鏗8魎垢掘∧珍六・砲倭論・・擇喊身號ス腓鮖楾圓垢襦・儻紊魯疋譟璽鵑篩鷲瑤亙頂織疋譽奪轡鵐阿鮖楾圈▲疋譟璽鵑浪椎修文造蠢甦釮鉾患遒垢襦SSIのサーベイランスを行って当科におけるSSI発生状況を監視する、などのSSI対策をバンドルとして施行している。当科にて2018年10月から2023年8月に施行したロボット支援下大腸手術症例135例におけるSSIリスク因子の検討を行い、SSI予防に有効な対策を明らかにする。.
388. 水内祐介, 永吉絹子, 田村公二, 藤本崇聡, 進藤幸治, 森山大樹, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, ロボット支援下直腸手術におけるSSI対策, 第36回日本外科感染症学会総会学術集会, 2023.12, 大腸手術におけるSSIはその他の消化管手術に比較してリスクが高く、SSIの発生が癌の予後に影響するという報告もあり、SSIの予防は大腸外科医にとって非常に重要な命題である。特に直腸手術では縫合不全などの臓器/体腔SSIも含めてリスクが高い。ロボット支援下手術は多関節機能・手振れ防止機能のロボットアームと安定した視野を生む3Dカメラにより、特に骨盤のような狭い空間での操作性・安定性が可能でより精緻な手術が可能になる。ロボット支援下手術における当科でのSSI予防のためのケアバンドルについて概説する。周術期支援センターにて術前禁煙指導、栄養指導や運動指導、糖尿病患者には血糖コントロール、歯科と連携した口腔ケアを行う。低侵襲手術を励行し、腸管前処置及び術前化学的腸管処置、などを術前に施行する。手術室では直前に最低限の除毛を行い、予防的抗菌薬を執刀前に投与し、皮膚消毒を施行する。術中は手袋交換(3時間ごと、閉創前)、ウォーマーを使用して十分な保温を行い、ダブルリング創縁保護、モノフィラメント抗菌縫合糸を使用する。キ)タタ旅估睚Ⅴ膸楾垰・砲歪牡紐・鋠・屬浪椎修文造蠱擦・靴謄・璽爾箋朧悊覆匹魘郢箸靴督夏睛栃・任留・・鮑把禪造砲垢襦2椎修文造螢疋譟璽鵑倭淨・擦此∧珍倭阿砲牢鏗8魎垢掘∧珍六・砲倭論・・擇喊身號ス腓鮖楾圓垢襦・儻紊魯疋譟璽鵑篩鷲瑤亙頂織疋譽奪轡鵐阿鮖楾圈▲疋譟璽鵑浪椎修文造蠢甦釮鉾患遒垢襦SSIのサーベイランスを行って当科におけるSSI発生状況を監視する、などのSSI対策をバンドルとして施行している。当科にて2018年10月から2023年8月に施行したロボット支援下大腸手術症例135例におけるSSIリスク因子の検討を行い、SSI予防に有効な対策を明らかにする。.
389. 水内祐介, 永吉絹子, 田村公二, 藤本崇聡, 久野恭子, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 肉眼的にR0切除が可能であったStage IV大腸癌における予後規定因子の検討, 第99回大腸癌研究会学術集会, 2023.07, 大腸癌治療ガイドラインではStage IV大腸癌は遠隔転移巣ならびに原発巣がともに切除可能な場合、原発巣の根治切除を行うとともに遠隔転移巣の切除を考慮することを強く推奨すると記載されている。しかし、遠隔転移臓器の切除前後の化学療法施行の是非などに一定の見解はなく、再発巣切除のタイミングの判断や再発や予後の予測は難しい。今回、Stage IV大腸癌に対して原発巣切除術を施行した症例において、癌特異的な予後に関与する因子について検討した。2010年8月より2020年12月までに原発性大腸癌に対して手術を施行した1622例のうち、原発巣切除を施行したStage IV大腸癌は178例であった。そのうちConversionを含めたR0切除症例は85例であり、これらを用いて検討を行った。年齢の中央値は63.5歳(18-86歳)、男女比は31:54、原発巣局在部位は右側25左側37直腸23例であり、大腸癌全体と比較して年齢はほぼ同等、女性が多いという結果であった。イレウスでの発症を7例に認め、原発巣切除前治療を
17例に、腹腔鏡/ロボット手術を63例に、CDグレード2以上の合併症を35例に認めた。転移巣を先行して切除した症例はなく、原発巣と遠隔転移巣の同時切除を39例に施行した。術後病理診断では低分化/粘液癌成分を20例に認め、pT4を21例、pN≧2を21例、脈管侵襲陽性を59例に認めた。初発時の遠隔転移臓器は肝47例、肺11例、播種20例、リンパ節14例、卵巣2例で同一臓器の多発症例は肝で22例、肺2例、2臓器以上にわたって転移巣が多発するものは10例であった。R0切除症例における癌特異的生存について単変量解析を行ったところ、術後合併症(p=0.033)、同時切除(p=0.005)、pT4(p=0.002)、低分化癌(p=0.009)、脈管侵襲(p=0.041)、腹膜播種(p=0.013)が予後不良因子であり、多変量解析では同時切除(p=0.048, RR 1.05-5.37)のみが独立した予後不良因子であった。同時切除による積極的切除よりも異時切除による全身化学療法を優先させることも重要である可能性がある。.
390. 水内祐介, 永吉絹子, 田村公二, 藤本崇聡, 久野恭子, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 肉眼的R0切除Stage IV大腸癌における薬物療法の役割, 第85回日本臨床外科学会総会, 2023.11, 大腸癌治療ガイドラインではStage IV大腸癌は遠隔転移/原発巣が切除可能な場合、原発巣の根治切除とともに遠隔転移の切除が強く推奨されている。しかし、Conversion surgeryについては、遠隔転移臓器の切除前後の化学療法施行の是非などに一定の見解はなく、再発巣切除のタイミングの判断や再発や予後の予測は難しい。
今回、Stage IV大腸癌に対してR0切除術を施行した85症例において、遠隔転移切除前後の化学療法施行の予後への影響を検討した。遠隔転移の同時切除が39症例、異時切除が46症例であった。初発時の遠隔転移臓器は肝47例、肺11例、播種20例、リンパ節14例、卵巣2例で同一臓器の多発症例は肝で22例、肺2例、2臓器以上にわたって転移巣が多発するものは10例であった。異時切除症例では肝34例、肺11例、播種4例、リンパ節1例であり、薬物治療施行のタイミングは原発巣切除前17例、転移巣切除前27例、R0達成後60例であった。異時性に転移巣を切除する症例では(1)転移巣切除前薬物療法を行わない16症例(肝7、肺8、播種1)、(2)原発巣切除を先行し、Conversionが出来るタイミングまで行う分子標的薬を併用した14症例(肝12、播種2)、(3)原発巣切除を先行し、切除可能な遠隔転移を切除する前に施行した16症例(肝15、肺3、播種1キ)タ氈」螢鵐兩1)、がある。(2)については今回解析した症例以外にConversionを目指していたが転移巣制御できず手術不能となった症例も10例認めた。2臓器以上にわたって転移巣が多発するものは(3)に多く、R0切除が達成できた2臓器以上の遠隔転移症例の遠隔転移は切除可能で微小転移制御のために遠隔転移切除前に化学療法を施行している症例が多かった。予後について解析を行ったところ、(1)と(3)では薬物療法を行わない方がCSS不良の傾向があり(P=0.109)、(2)と(3)ではConversion症例の方がわずかにCSS不良であったものの有意差は認めなかった(P=0.302)。Conversion症例でもR0切除が達成できれば切除可能症例と予後に明らかな差は認めず、Conversion surgeryについては積極的に検討すべきである。
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391. 水内祐介, 永吉絹子, 田村公二, 藤本崇聡, 久野恭子, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 結腸膀胱瘻を伴う憩室炎に対する鏡視下手術, 第48回日本大腸肛門病学会九州地方会, 2023.07, 憩室炎は良性疾患であり低侵襲手術が望ましいが腹腔内の炎症や癒着などを伴う複雑性憩室炎に対する鏡視下手術の安全性及び妥当性はいまだ明らかでない。膀胱との瘻孔を伴う憩室炎に対する腹腔鏡手術の短期成績を検討し、安全性及び妥当性を検証する。2012年~2022年に手術施行した膀胱瘻を伴う憩室炎15症例を対象とした。男性7例女性8例、年齢60.5(35-74)歳、罹患範囲はS状結腸8例、下行~S状結腸6例、全結腸1例であった。術前検査の瘻孔診断能はそれぞれCT 8/15 (53.3%)、消化管造影3/11 (27.3%)、MRI 7/7 (100%)とMRIが瘻孔診断能に優れていた。全身状態から人工肛門造設のみ行った1例を除いた全例において腹腔鏡で手術を開始したが2症例において腹腔内の著明な炎症癒着により開腹に移行した。人工肛門は回腸3例、Hartmann2例造設したが全例で閉鎖可能であった。鏡視下手術における術中の工夫としては腹腔鏡の下からのぞき込むように見ることができる視野を利用して瘻孔部の周囲、特に背側や奥の剥雷オ档C鮴莵圓靴峠侏茲襪世閏・阿鮃圓辰晋紊磨餽ι瑤鮴擲・垢襪海箸煤餽Δ魴狙・靴紳ヾ錣梁蚕・鮑脳・造砲任④襪隼廚錣譴襦.
392. 水内祐介, 永吉絹子, 田村公二, 藤本崇聡, 久野恭子, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 経肛門内視鏡アプローチ併用腹腔鏡下大腸全摘術 -潰瘍性大腸炎と家族性大腸腺腫症の比較-, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12, 大腸全摘は潰瘍性大腸炎(UC)及び家族性大腸腺腫症(FAP)の標準術式である。手術行程が多く、手術時間も長時間となり低侵襲性から腹腔鏡手術が導入されつつある。経肛門的内視鏡手術は経肛門/会陰的に逆行性に直腸固有筋膜レベルでの剥離を行うアプローチ方法で、腹腔操作と同時に行うことにより手術時間短縮だけでなく、双方向からの確認が可能となり、安全な手術の一助となる。FAPでは炎症もなく授動操作は比較的容易だが、UCでは随伴する炎症により剥離に難渋することもある。なお当科ではUCとFAPで手術手順は変えていない。2020年より大腸全摘術に経肛門内視鏡手術併用を開始した。
現在までに当科では経肛門的内視鏡手術併用大腸全摘術をUC7症例及びFAP3症例に施行した。年齢はFAP23.7歳、UC55.9歳と明らかな差があった(P=0.012)。性別はFAP男性1、女性2、UC男性5、女性2とUCで男性が多い傾向にあった。FAPは全例IAAを施行、UCでは3例がIACA、1例がIAA、2例が全摘、回腸人工肛門造設であった。手術術式の違いは罹患範囲や患者年齢が関与していると考えられる。手術時間は中央値でFAP423分、UC410分であり、出血量はそれぞれ168g、170gであった(p=0.643、p=0.766)。1例UCで出血による開腹移行を経験した。術後Clavien-Dindo Grade 2の腸閉塞と会陰部SSI、腹腔内膿瘍をそれぞれ1例に認め、全てUC症例であった。UCとFAPでは切除範囲、再建の有無などに違いがあり、一概には言えないが、炎症の影響により、UCの方が術後合併症が多く、手術難易度は高い。
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393. 水内祐介, 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 久野恭子, 山田裕, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 小田義直, 中村雅史, 神経内分泌腫瘍成分を伴う潰瘍性大腸炎症例の検討, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11, 【緒言】潰瘍性大腸炎(UC)は大腸粘膜にびらんや潰瘍ができる原因不明の大腸炎症性疾患である。発症は20代に多く、発症後10年以上の持続する炎症によりDysplasiaから腺癌の発生を見ることがあるが稀に神経内分泌腫瘍の発生を認める。
【方法】当科において2001年から2016年に手術を施行した潰瘍性大腸炎患者136例のうち神経内分泌腫瘍成分を伴う6例についてその臨床病理学的因子を検討した。
【結果】性別は男性2名、女性4名、平均年齢は47.1歳であった。罹患期間は全例10年を超えており、全例全大腸炎型であった。緊急手術をステロイド抵抗性の穿孔性腹膜炎、中毒性巨大結腸症のそれぞれ1例ずつに施行した。術前の薬物療法としてはステロイドは3例に使用されており、3例に免疫抑制剤使用歴があった。手術適応としては2例が緊急手術、2例が難治性もしくはステロイド依存性、残り2例は併存するUC関連大腸癌によるものであった。手術は全例大腸全摘で緊急手術の一例の開腹手術以外は腹腔鏡手術であった。術後病理組織診断では全例に活動性炎症を伴う活動期UCであり、2例はNET G1、2例は微小な内分泌細胞胞巣、1例は神経内分泌癌、1例は神経内分泌分化を伴う腺癌であった。全例背景粘膜にDysplasiaを認め、神経内分泌分化を伴う腫瘍の発生に潰瘍性大腸炎が関与している可能性が示唆された。
【結語】潰瘍性大腸炎において神経内分泌分化を伴う腫瘍の発生がまれにあり、それらを念頭においた診療が必要である。
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394. 水内祐介, 永吉絹子, 佐田政史, 田村公二, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 久保真, 中村雅史, 当院におけるスペーサー留置術―重粒子線治療を目指して―, 第61回日本癌治療学会学術集会, 2023.10, Due to its high effectiveness, heavy ion radiotherapy in particular has been applied to advanced medical
treatment since 2003, covered by insurance for some cancers since 2016, and has expanded further since 2022,
becoming one of the pillars of cancer treatment. Due to its high dose distribution during heavy ion radiotherapy,
a distance is required between adjacent organs, and a spacer may be required. We investigated the spacer surgery
performed in our department. From 2013 to 2023, we investigated 40 patients who underwent spacer placement
for the indication of heavy ion radiotherapy. Fourteen males and 26 females. Their average age is 58.3 (22-85).
Two cases were resectable based on intraoperative findings. Thirteen patients of recurrence of rectal and uterine
cancer, 17 patients of sarcoma, and eight patients of sarcoma recurrence underwent spacer placement. The
procedure was Gore-Tex sheet placement in 23 patients, absorbable pacer placement in 9 patients, omental filling
in 3 patients, and pelvic floor reconstruction in 3 patients, and spacer placement was possible in all patients. As a
short-term complication, one patient had an intractable pelvic abscess with a Gore-Tex sheet, and one patient had
a duodenal perforation due to the Gore-Tex sheet. No such postoperative complications were observed with
resorbable spacers. We experienced a case in which an absorbable spacer was placed at the same time as
ileocecal resection because of obvious and inseparable adhesion between tumor and ileocecum. Although no
infection was observed in this case, there are reports of cases in which an absorbable spacer has become infected,
so placement of a spacer should be avoided in contaminated surgery. Number of the patients of spacer placement
will increase further with insurance coverage for x-ray radiation therapy using absorbable spacers. It is very
important to determine whether the spacer can be placed safely and the tumor can be resected..
395. 水内祐介, 永吉絹子, 佐田政史, 田村公二, 進藤幸治, 池永直樹, 森山大樹, 仲田 興平, 大内田研宙, 中村雅史, , 婦人科臓器への瘻孔を伴う大腸憩室炎に対する手術療法 , 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07, 食生活の変化などによって本邦では大腸憩室疾患が増加している.憩室の原因として腸管や膀胱は比較的多く経験する
が,憩室炎が原因の子宮や膣などの婦人科臓器への瘻孔は比較的少なく,その臨床病理学的特徴及び腹腔鏡手術に対す
る安全性については明らかでない.今回我々は2007年から2021年に手術を施行した瘻孔を伴う憩室炎症例22例のうち婦
人科臓器への瘻孔を認める5例について検討した.同時期の瘻孔を伴う憩室炎では13例の膀胱瘻,4例の小腸瘻を認め
た.5例全例でS状結腸の憩室が瘻孔の原因となっており,瘻孔の形成先は4例が膣,1例が子宮であった.膣への瘻孔を
認めた4例は全例で子宮全摘後の膣断端に瘻孔部を認め,子宮全摘後のS状結腸憩室は同部への瘻孔のリスクが高いこと
が示唆された.画像による診断では結腸膣瘻の正診率はCT2/5 (40.0%), 注腸 1/4 (25.0%)であった.以前の我々の検討で
は結腸膀胱瘻の瘻孔同定にはMRIが最も鋭敏な検査であることが示されているが今回の結腸膣瘻症例に対してはMRIは
1例も施行されていなかった.術式はS状結腸切除1例,前方切除2例,Hartmann手術1例,ストーマ造設1例でそのうち2
例に対して腹腔鏡手術を施行した.手術時間は365分,出血量は55mlであった.CD2以上の術後合併症は脳梗塞1例,腹
腔内膿瘍1例であった.全例に術中内診を施行して瘻孔部を確認した.消化管再建はDST2例,手縫い1例で施行した.
膣の欠損部は全例単純閉鎖を行った.切除標本は組織学的には全例活動性炎症を認め,1例に膿瘍を認めた.2例
(50.0%)で組織学的に結腸膣瘻が証明された.今回の結果で憩室炎による結腸膣瘻などの婦人科臓器への瘻孔に対する
腹腔鏡手術は腹腔鏡手術に習熟したチームでは安全に施行できることが示唆された..
396. 水内 祐介, 永吉 絹子, 久野 恭子, 田村 公二, 佐田 政史, 進藤 幸治, 森山 大樹, 仲田 興平, 大内田 研宙, 中村 雅史, 当院における若年性大腸癌診療の現状, 第98回大腸癌研究会学術集会, 2023.01.
397. 進藤幸治, 大内田研宙, 堀岡宏平, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 当科における局所進行胃癌に対する低侵襲手術の工夫と成績, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
398. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中中村雅史, ロボット支援食道亜全摘術における中下縦隔リンパ節郭清の手技, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07.
399. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 食道扁平上皮癌手術患者の異時性頭頸部癌、遺残食道癌発生, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04.
400. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 残胃全摘術におけるリンパ郭清効果の検討, 第95回日本胃癌学会総会, 2023.02.
401. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, ロボット手術の利点を最大限に活用したデルタ吻合, 第77回手術手技研究会, 2023.05.
402. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, バレット食道癌に対する最適術式の検討, 第77回 日本食道学会学術集会, 2023.06.
403. 進藤幸治, 大内田研宙, 森山大樹, 永吉絹子, 水内祐介, 荻野治栄, 長末智寛, 鳥巣剛弘, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 十二指腸腫瘍に対する内視鏡的切除(EMR/ESD)と比較したDLECSの有効性, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11.
404. 森山大樹, 大内田研宙, 進藤幸治, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 中村雅史, 腹腔内で食道切離を行わずに鏡視下食道癌手術を行う意義, 第77回手術手技研究会, 2023.05.
405. 岩本千佳, 大内田研宙, 堤親範, 進藤幸治, 阿部俊也, 渡邉雄介, 井手野昇, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, CTCsにおけるMHCクラスI変異はPDACの早期発見の指標であると同時に抗腫瘍免疫応答の標的となりうる, 第50回日本膵切研究会, 2023.08, 【目的】膵癌はKRASやTP53など多くの変異が蓄積していることが知られているが、リキッドバイオプシーを用いた早期発見は未だ困難である。発癌から癌進展に至るまでの遺伝子変異をリキッドバイオプシーを含め解析し、各段階での重要な遺伝子変異を見つけようと考えた。また、これらの重要な変異が腫瘍微小環境に与える影響についても検討する。
【方法】KPCマウスの末梢血を毎週採取しゲノムDNAを抽出した。Sacrifice時には末梢血と血性腹水からCTCsを分離しゲノムDNAを抽出した。膵原発および肝転移のFFPEからも同様にゲノムDNAを抽出した。各ゲノムDNAを用い、NovaSeqでエクソームシークエンスを行った。
【結果】解析に用いたKPCマウスを、原発なし、原発あり/転移なし、原発あり/転移ありの3群に分けた。経時的な末梢血中のCTCsと膵原発のFFPEとで遺伝子変異を比較したところ、2つの変異が検出され、そのうち1つはMHCクラスIに関連していた。一方、原発なし群ではMHC I変異は認められなかった。原発あり群の膵原発組織では原発なし群と比較してCD8+T cellsクラスターが領域リンパ節に見られた。発癌初期から現れたMHC Iを含む2つの変異は末梢血と血性腹水において優位であったが、肝転移では検出されなかった。
【結論】MHC I変異は発癌初期から血中を循環しており、早期発見の指標となる可能性がある。免疫応答によりMHC I変異を持つ癌細胞が肝転移において除去される可能性が示唆された。.
406. 椛朱梨, 森山大樹, 大内田研宙, 新垣滉大, 溝口聖貴, 大薗慶吾, 進藤幸治, 田村公二, 佐田政史, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 術後2年で単独脳転移を呈したHER2陽性胃癌の一例, 第59回九州外科学会/第59回九州小児外科学会/第58回九州内分泌外科学会, 2023.03, 75歳男性. X-2年に進行胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術[D2/下縦隔郭清, Roux-en Y再建]を施行した[Type3, pT4a, N3a, M0, pStage?B]. HER2(3+)であり, 術後補助化学療法としてHerceptin+Capecitabine+Cisplatin療法(有害事象のため2コース目以降cisplatin中止)8コースとCapecitabine16コース施行した. X年のCapecitabine16コース目後より左下肢の脱力感が生じ, 転倒したため近医へ搬送された. CTで転移性脳腫瘍を指摘され加療目的に当院へ転院. その他の遠隔転移の所見はなく, 当院脳神経外科により開頭腫瘍摘出術を施行した. 術後病理結果ではHER2 equivocal[2+]と原発巣と比較して発現は低かったが, 原発巣の病理像に類似しており胃癌の転移性腫瘍と判断した. 今後は頭蓋内奏効率など考慮しニボルマブ単独投与で再発治療を行う方針となり, 現在無再発経過中である. 今回我々はHER2陽性胃癌術後に単独脳転移を呈した1例を経験しキ)タ「燭燭疂鷙陲垢.
407. 王佳雄, 田村公二, 藤本崇聡, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 右腎摘出術後の上行結腸癌に対する十二指腸前面先行アプローチによる腹腔鏡下右結腸切除術の1例, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
408. 永吉絹子, 藤本崇聡, 田村公二, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 広範囲進展を伴う肛門管癌に対する他臓器合併切除を含む低侵襲手術戦略, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
409. 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , 潰瘍性大腸炎に対する患者背景の変化と外科治療の変遷, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11.
410. 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 解剖学的ランドマークを認識した定型手技によりロボット支援下直腸癌手術は安全に施行可能となる, 第77回手術手技研究会, 2023.05.
411. 永吉絹子, 田村公二, 佐田政史, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, , , クローン病治療における生物学的製剤治療が及ぼす外科治療への影響, 第123回日本外科学会定期学術集会, 2023.04.
412. 永吉絹子, 水内裕介, 井手野昇, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史 , Beyond a Role model ~理想と現実のギャップを埋めるキャリア継続支援への取組~
, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
413. 宇都宮貴史, 進藤幸治, 大内田研宙, 堀岡宏平, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 食道平滑筋腫3例のTECSに関する検討, 第33回九州内視鏡・ロボット外科手術研究会, 2023.09, 食道平滑筋腫は良性腫瘍のため経過観察されることが多いが、サイズが大きくなるとつかえ感などの症状が出現し、手術適応となる。標準術式は腫瘍核出術であり、低侵襲である鏡視下手術が考慮される。さらなる低侵襲手術として経口内視鏡的腫瘍核出術(POET)が開発されたが、腫瘍径による制限がある。我々は食道平滑筋腫に対するPOET併用による胸腔鏡下手術(TECS)を3例経験した。年齢は32歳から48歳であり、男性1名、女性2名であった。1例目は胸部下部食道に亜全周性の60mm大。2例目は胸部中部食道に70mm大。3例目は門歯27cmから34cmまでの胸部食道に最大径40mmの平滑筋腫を3個認めた。いずれの症例も、全身麻酔下仰臥位にてまず経口内視鏡を用いて腫瘍に至る粘膜下トンネルを作成し、腫瘍周囲の剥離を完了させた。続いて腹臥位にて腫瘍周囲の食道を剥離受動し、外膜筋層を切離して腫瘍を核出した。筋層の欠損部を縫合閉鎖し、内視鏡にてentry holeをクリップ縫合し手術を終了した。手術時間は273分から392分で、出・オ樊フ未1gから25gであった。いずれの症例も術中・術後合併症なく経過良好であった。また狭窄や機能障害もなく外来経過観察中である。本手術は、内視鏡的に腫瘍周囲剥離を先行することで、サイズが大きく不整形な食道粘膜下腫瘍や多発例に対しても、安全かつ確実な手技であると考え、発表する。.
414. 宇都宮貴史, 進藤幸治, 大内田研宙, 堀岡宏平, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 多発性食道平滑筋腫に対して経口内視鏡併用による胸腔鏡下食道腫瘍核出術を施行した 1 例, 第36回日本内視鏡外科学会総会, 2023.12.
415. 井手野昇, 仲田興平, 中村聡, 阿部俊也, 池永直樹, 水内祐介, 進藤幸治, 森山大樹, 大内田研宙, 中村雅史, 先天性胆道拡張症に対するロボット胆管切除術:胆管壁の層構造に着目した膵内胆管剥離, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07, 背景:膵・胆管合流異常を伴う先天性胆道拡張症に対する手術は,発癌母地である拡張胆管を切除して膵液逆流を防止し,症状と発癌を予防することが目的である.遺残した膵内胆管は膵石や癌が発生することがあるものの,膵管損傷などの重大な合併症を生じることがあるため,術前に合流形態を診断し剥離範囲を決めておく必要がある.また,局所解剖がわかりにくい場合にはLillyら (Surg Gynecol Obstet. 1978; 146: 254-6)が推奨した拡張胆管壁内での剥離が安全であり,ロボット胆管切除術でも有用か検証した.
患者と方法:2006年4月から2022年11月までに当科で先天性胆道拡張症に対して鏡視下胆管切除を行った39例を対象とした.膵内胆管では胆管壁内で剥離を行うことを基本とし,ERCP/MRCP画像を元に,膵・胆管合流異常を分類し(Type A 狭窄型,Type B 非狭窄型,Type C 共通管拡張型,Type D 複雑型,膵・胆管合流異常研究会診断基準検討委員会による分類),膵内胆管の完全切除が可能と考えられるType A 狭窄型における遺残胆管の有無を術中所見・術後フォローアップCT, MRIで確認し,術式(腹腔鏡 vs ロボット)ごとの結果を検証した.
結果:鏡視下胆管切除術の術式は腹腔鏡28例,切除腹腔鏡/再建ロボットが4例,完全ロボットが7例であった.Type A 狭窄型は腹腔鏡で胆管切除を行った32例中,16例 (50%),完全ロボット胆管切除では5例中7例 (70%)であった.Type A狭窄型の内,膵内に遺残胆管を認めなかったのは腹腔鏡切除で6例 (6/16, 38 %),ロボット切除で1例 (1/5, 20 %)であった(P=0.62).主膵管損傷はなく,術後膵液瘻は腹腔鏡切除の1例 (1/16, 6.3%)で認められた.
結論:Type A 狭窄型の膵・胆管合流異常における膵内胆管の遺残は腹腔鏡,ロボット切除で有意差を認めなかったものの,ロボットの多関節機能は胆管壁内での剥離を容易にし,安全な膵内胆管切除に有用であると考えている.腹腔鏡・ロボットでのそれぞれの手技をビデオで供覧する.
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416. Yoshio Oh, Koji Tamura, Takaaki Fujimoto, Kinuko Nagayoshi, Yusuke Mizuuchi, Koji Shindo, Kohei Nakata, Kenoki Ohuchida, Masafumi Nakamura , Effectiveness of Fluorescent Ureteral Catheter for Metachronous Residual Sigmoid Colon Cancer after Laparoscopic Sigmoidectomy, 第61回日本癌治療学会学術集会, 2023.10, Introduction:
Ureteral injury in colorectal surgery is sometimes diagnosed postoperatively and could be fatal,
which may cause a decreased quality of life. Although anatomical recognition during surgery is
important, it is difficult to identify the accurate anatomy on intraabdominal severe adhesions.
Fluorescent ureteral catheter (NIRC) could make the ureteral recognition easy during laparoscopic
surgery with its fluorescent dye like indocyanine green (ICG). We herein report a case with
laparoscopic surgery for metachronous residual sigmoid colon cancer in which NIRC was useful to
identify the ureter.
Case report:
A 74-year-old man underwent laparoscopic sigmoidectomy with D2 lymph node dissection by
medial approach for sigmoid colon cancer (pStage I) 3 years ago. The colonoscopy for postoperative
surveillance revealed advanced cancer in the residual sigmoid colon. We planned to perform a
laparoscopic high-anterior resection including previous anastomotic site. There was concern about
left ureteral injury because of the previous left-side colon mobilization, thus we inserted a NIRC to
left ureter just before the operation. Intraoperative findings showed adhesion between the left-side
mesocolon and retroperitoneum as expected, while visualization of the ureter by NIRC lead us to
recognize the ureter and dissection layer as appropriate, and NIRC made possible to mobilized the
colorectum from splenic flexure to peritoneal reflection by medial approach again. The operation
time was 211 minutes and blood loss was minimal. There was no adverse event associated with
ureteral catheter insertion. The patient was discharged on the 15th hospital day without any
complication.
Summary:
Recently, ICG-based navigation techniques have been shown to be effective in endoscopic surgery.
Although there are some issues to solve such as postoperative hematuria, prolonged operation time,
and higher cost, NIRC was considered useful for intraoperative identification of the ureter during
endoscopic surgery..
417. Takashi Utsunomiya, Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Kohei Horioka, Kinuko Nagayoshi, Yusuke Mizuuchi, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, A case of gastric NEC combined with MALT lymphoma who obtained radical resection and CR by chemotherapy, 第61回日本癌治療学会学術集会, 2023.10, Background: Gastrointestinal neuroendocrine carcinoma (NEC) is a rare tumor originated from neuroendocrine cells. Multidisciplinary treatment centered on chemotherapy is performed, but NEC is highly malignant and the prognosis is extremely poor. Treatment strategies of gastric MALT lymphoma differ depending on the positivity of Helicobacter pylori. If eradication is unsuccessful, the treatment shifts to chemotherapy and radiation, but if the patient is asymptomatic, keeping observation is also considered. Herein, we report a case of gastric NEC combined with MALT lymphoma who underwent preoperative chemotherapy and was successfully resected.
Clinical course: A 69-year-old woman who had a chief complaint of epigastralgia visited our hospital. Endoscopy showed an ulcerative lesion in the lesser curvature of the lower gastric body, and a biopsy revealed NEC. On the other hand, she had an edematous mucosa from the upper to the lower gastric body, and biopsy revealed MALT lymphoma. As for tumor markers, NSE and ProGRP levels were elevated, and CT showed enlarged perigastric lymph nodes, suggesting lymph node metastasis. Eradication therapy was unsuccessful. The primary tumor and metastatic lymph nodes were shrunk by 3 courses of chemotherapy of etoposide and cisplatin (EP therapy). Then, we performed laparoscopic distal gastrectomy with D2 lymph nodes dissection as radical resection for the gastric NEC. On pathological examination, there was no tumor cells in either the primary tumor or lymph nodes, and was diagnosed with complete remission (CR). Moreover, no MALT component was observed in the specimen. Two courses of EP ther
apy were added as adjuvant chemotherapy, and no recurrence has been observed.
Conclusion: In this case, chemotherapy for NEC was highly effective, and a radical resection and CR were obtained. It is necessary to accumulate more cases to provide the evidence of adequate treatment for NEC..
418. P.S.Zhong, Kohei Nakata, Date Satomi, H.Z.Luo, Koki Oyama, Masataka Hayashi, Nobuhiro Higashijima, Akihiro Kubo, C.Y.Wu, H.Shan, Chika Iwamoto, Naoki Ikenaga, Kenoki Ohuchida, Koji Shindo, Masafumi Nakamura, , , Blockade of Histamine receptor H1 elevates the effect of immunotherapy in pancreatic cancer cells, Annual meeting of American Pancreatic Association 2023, 2023.11.
419. Nan Sheng, Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Tomohiko Shinkawa, Bo Zhang, Taiki Moriyama, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, Effect of TAK1 Interference in CAFs in the Tumor Microenvironment, 第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023), 2023.11, [Background] Pancreatic ductal adenocarcinoma (PDAC) is a highly aggressive tumor with a complex microenvironment. Within this microenvironment, cancer-associated fibroblasts (CAFs) directly and indirectly interact with various immune cells, stromal cells, and cancer cells. CAFs can be classified into different subtypes, including myofibroblastic CAFs (myCAFs) and inflammatory CAFs (iCAFs). Transformed growth factor-beta 1 activated kinase-1 (TAK1) serves as a critical cellular hub for several cytokine-mediated signaling pathways that regulate inflammatory responses, such as NF-κB. However, the precise role of TAK1 in CAFs remains unclear. [Purpose]To explore TAK1 functions in CAFs in the PDAC microenvironment.[Materials and Methods] CAFs were primarily cultured from fresh resected pancreatic cancer specimens. Three-dimensional directly/indirectly co-culture models of PDAC tumors and CAFs were made to explore how tumor growth and mi
gration are influenced by TAK1+ CAFs. Then we checked the functions of the TAK1 in CAFs by cytokine array and western blotting (WB) using TAK1 inhibitor and siRNA of TAK1. Next, C57BL/6 mice were subcutaneously injected with organoids mixed with CAFs from KPC mice. [Results]Interference with TAK1 in CAFs inhibited tumor cell EMT and outgrowth in vitro. As well, TAK1 inhibitors decreased tumor growth and increased immune cell infiltration in the stroma in vivo.[Conclusions]TAK1 has a possibility to be a therapeutic target focusing on the CAFs which is a new direction for combined immunotherapy in PDAC..
420. Fumika Goto, Koji Shindo, Kenoki Ohuchida, Kohei Horioka, Tomohiro Nagasue, Satoshi Miyazono, Takaaki Fujimoto, Koji Tamura, Kinuko Nagayoshi, Yusuke Mizuuchi, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, A case of duodenal perforation and postoperative papillary obstruction due to hematoma that was saved by emergency surgery and endoscopy., IASGO-CME 2023, 2023.11, A 57-years-old female underwent operation for ovarian cancer seven years ago, and chemotherapy and radiation therapy were performed for the liver metastasis and recurrence around the round ligament. She was undergoing additional chemotherapy for the increasing dissemination in the splenic hilum, but she had epigastralgia and melena just before the chemotherapy. An upper gastrointestinal endoscopy showed duodenal ulcer scar without bleeding, then chemotherapy was started. However, she had abdominal pain three days after chemotherapy and enhanced CT scan revealed copious ascites with free air around the duodenum.
We performed operation for this patient on emergency. A hole of duodenal located in the bulbus, and it was a half circumferential, but the edge of duodenal wall had enough thickness to close, then simple closure using Gambee method with pedicled fat covering was performed. Naso-gastric tube was placed in the duodenum for decompression, and air leak test was negative. Moreover, we added Billroth-II type gastrojejunostomy in the case of duodenal stenosis after suturing. She was in good course, but a large amount of melena was occurred on POD6. Laboratory data showed elevated hepatobiliary pancreatic enzymes (AMY: 870 U/L AST: 90 U/L ALT: 49 U /L LDH: 253 U /L γ-GTP: 1656 U /L, Total Bilirubin 7.7U/L ), and decreased Hb (7.8 g /dl). CT revealed huge hematoma in the second portion of duodenum with dilated bile duct. An emergency endoscopy showed huge hematoma but the sutured site was intact, and there was no active bleeding at this point. Hematoma was removed endoscopically, and i
t took approximately 5 hours. Thereafter, hepatobiliary pancreatic enzymes improved. Oral intake was started on POD13, but the next day, she had melena again with a decrease in Hb. An endoscopy was performed again. There was an exposed vessel within a duodenal ulcer near the third portion of duodenum, and hemostasis was achieved by ablation. The endoscope could not pass through the sutured bulbus due to stenosis, but the bypass route was very supportive for this procedure. After that, the patient's course was generally stable, and she was discharged on POD25.
[Discussion]
This is a rare case of papillary obstruction due to hematoma in duodenum. The performed operation was on emergency to save the life, but we added the bypass of gastrojejunostomy just in case. Eventually, this bypass route was very effective for endoscopic hematoma removal with hemostasis and oral intake after surgery.
[Conclusion]
We report a case of duodenal perforation and postoperative papillary obstruction due to hematoma that was saved by emergency surgery and endoscopy.
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421. Chika Iwamoto, Kenoki Ohuchida, Chikanori Tsutsumi, Koji Shindo, Koki Oyama, Masataka Hayashi, Akihiro Kubo, Nobuhiro Higashijima, Toshiya Abe, Yusuke Watanabe, Noboru Ideno, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, Masafumi Nakamura, MHC class I mutation in CTCs is an indicator of early detection of PDAC and at the same time a possible target of anti-cancer immune reaction., 54th American Pancreatic Association 2023 Annual Meeting, 2023.11, Background: Pancreatic cancer is known to accumulate many mutations, such as KRAS and TP53, in carcinogenesis, but early detection using liquid biopsy is still difficult. We aimed to analyze genetic alternations that accumulate from the precursor lesion to tumorigenesis and cancer progression, including liquid biopsy, and to find key genetic mutations at each stage. We also attempted to investigate effect of those key mutations on tumor microenvironment.
Methods: Peripheral blood (PB) was collected once a week from KPC mice older than 7-weeks of age until sacrifice and genomic DNA was extracted after hemolysis. For sorting of circulating tumor cells (CTCs) in PB and hemorrhagic ascites of sacrificed KPC mice, anti-mouse CD45 MicroBeads was used. Genomic DNA was extracted from CTCs, and FFPE samples of primary pancreas and liver metastases. We performed exome sequencing with NovaSeq.
Results: KPC mice were divided into three groups (no primary, primary/no metastasis, and primary/metastasis), and histological images were observed at each stage of cancer progression. When genetic mutations were compared between chronological CTCs of PB and FFPE samples of primary pancreas, we found two mutations, one of which was related to MHC class I. On the other hand, no MHC I mutation were found in the no primary group. When the effect of MHC I mutation on immune cells was evaluated, primary pancreatic tissue showed CD8+ T cell cluster in the regional lymph node compared with no primary group. Two mutations, including MHC I mutation, that appeared at early tumorigenesis were dominant in PB and hemorrhagic ascites, while were not detected in liver metastasis.
Conclusions: The present data suggest that MHC I mutation which circulate in blood from early carcinogenesis can be an indicator of early detection and that the immune response may eliminate cancer cells with MHC I mutation in liver metastases..
422. Akari Kaba, Koji Shindo, Kenoki Ouchida, Taiki Moriyama, Masafumi Sada, Kinuko Nagayoshi, Yusuke Mizuchi, Naoki Ikenaga, Kohei Nakata, and Masafumi Nakamura , , Case Series of Intestinal Volvulus after Jejunostomy in Patients with Esophageal Cancer, 第78回日本消化器外科学会総会, 2023.07.
423. 堀岡宏平, 大内田研宙, 進藤幸治, 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 当科における高リスク胃GISTに対する治療成績の検討, 第124回日本外科学会定期学術集会, 2024.04.
424. 堀岡宏平, 大内田研宙, 進藤幸治, 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 当科におけるHigh risk 胃GISTに対する治療成績, 第96回日本胃癌学会総会, 2024.02.
425. 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, ロボット支援下低位前方切除術における手術難易度予測因子の検討~骨盤内解剖に注目して~, 第124回日本外科学会定期学術集会, 2024.04.
426. 田村公二, 藤本崇聡, 清水透, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, ロボット支援直腸切除手術における皮下気腫発生リスクと臨床的問題点, 第124回日本外科学会定期学術集会, 2024.04.
427. 堤親範, 大内田研宙, 孫起和, 林田さゆり, 片山直樹, 久野恭子, 寅田信博, 堀岡宏平, 進藤幸治, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史 , , , , , , scRNA-seqを用いたNivolumab不応胃癌微小環境の解明, 第96回日本胃癌学会総会, 2024.02, 【背景・目的】近年、免疫療法は胃癌治療に革新をもたらしたが、Nivolumabの奏効率は約40%であり、半数以上で奏功しない症例が存在する。Nivolumab不応症例における腫瘍微小環境については未だ不明な点が多く、本研究では、Nivolumab不応症例の腫瘍微小環境内に存在するCD8陽性T細胞と骨髄由来抑制細胞(MDSC)の機能関連遺伝子の発現を明らかにすることを目的とした。
【方法】当科で胃切除術を施行した胃癌患者から正常粘膜部3サンプル、未治療腫瘍部3サンプル、化学療法後腫瘍部(PR) 2サンプル、化学療法+Nivolumab治療後(PD)腫瘍部2サンプルを採取し、single-cell RNA sequencingを行い、各群で機能関連遺伝子の発現を比較検討した。
【結果】CD8陽性T細胞は遺伝子発現の特徴から7つのクラスターに分類された。腫瘍抗原特異的細胞障害性機能が高いと報告されている、Progenitor exhausted CD8陽性T細胞のクラスターでは化学療法+Nivolumab治療後(PD)腫瘍部の細胞障害性機能関連遺伝子発現が他の群と比較して有意に高値であった。さらにProgenitor exhausted CD8陽性T細胞のクラスターの割合は未治療腫瘍部・化学療法後腫瘍部よりも多く、正常粘膜部とほぼ同じであった。次に免疫抑制細胞であるMDSCに着目して検討したところ、単球系MDSCで化学療法+Nivolumab治療後(PD)腫瘍部の免疫抑制性機能関連遺伝子発現が他の群と比較して有意に高値であった。一方、多形核系MDSCでは化学療法+Nivolumab治療後(PD)腫瘍部の免疫抑制性機能関連遺伝子発現は未治療腫瘍部・化学療法後腫瘍部と比較して有意な差は認めなかった。
【結論】単球系MDSCにおける免疫抑制機能の上昇がNivolumab不応の一因である可能性が示唆された。.
428. 堤 親範, 大内田 研宙, 孫 起和, 林田 さゆり, 片山 直樹, 寅田 信博, 堀岡 宏平, 進藤 幸治, 水内 祐介, 仲田 興平, 中村 雅史 , , , , , , , シングルセル解析による免疫細胞プロファイリングに基づいた胃癌個別化治療のための標的分子探索, 第124回日本外科学会定期学術集会, 2024.04, 【背景】シングルセル解析は腫瘍微小環境 (TME)に存在する全ての細胞種を1細胞毎に網羅的遺伝子発現解析を行うことが可能であり、同時にそれらの細胞間相互作用を評価できる画期的な手法である。近年、この手法により複雑なTMEの解明が急速に進んでおり、シングルセル解析を用いた新規治療標的分子の同定が期待されている。
【方法】当科で胃切除術を施行した12例の胃癌患者から採取した胃癌組織のシングルセル解析を行い、各種免疫細胞に注目し個々の症例のTMEを評価した。また、術後再発症例のTMEに着目し、細胞間相互作用の解析から新規治療標的分子候補を探索した。
【結果】細胞障害性CD8陽性T細胞・免疫抑制細胞の割合に基づきTMEを評価したところ、TME内の各種免疫細胞の存在率は症例毎に不均一であった。術後再発症例は2例で、術後再発した1例 (G42T)は骨髄由来抑制細胞(MDSC)が多く、もう1例 (G41T)は樹状細胞が少ない症例であった。一方、他施設における27症例の胃癌シングルセル解析データを用いた検討では細胞障害性CD8陽性T細胞が少ない症例で免疫抑制細胞が多い傾向を認めた。免疫抑制細胞間で免疫抑制機能関連遺伝子の発現を評価したところ、単球系MDSCで最もその発現が高かったことから、単球系MDSCと他の免疫細胞との細胞間相互作用に着目して治療標的分子を探索した。その結果、単球系MDSCにおけるIER3と制御性マクロファージのTNFの細胞間相互作用が予測され、IER3陽性単球系MDSCがM2-likeマクロファージの誘導に関わる可能性が示唆された。さらに胃癌におけるIER3は独立した予後不良因子であり、IER3発現が高い症例は低い症例と比較して有意に予後不良であった (P = 0
.0003, P = 0.0290)。単球系MDSC・IER3陽性単球系MDSCは正常部よりも胃癌部で有意に多かった (P = 0.0177, P = 0.0006)。
【結論】シングルセル解析による免疫細胞プロファイリングは胃癌新規治療標的分子候補の探索に有用である可能性が示された。
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429. 池永直樹, 仲田興平, 阿部俊也, 渡邉雄介, 井手野昇, 永吉絹子, 水内祐介, 野口浩司, 加来啓三, 岡部安博, 進藤幸治, 大内田研宙, 中村雅史, ロボット手術の特性からみた低侵襲膵切除の出血コントロール
-inflow-outflow controlによるトラブルシューティング-
, 第124回日本外科学会 , 2024.04.
430. 大内田研宙, 進藤幸治, 堀岡宏平, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 井手野昇, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 鏡視下噴門側胃切除後の逆蠕動性ダブルトラクト再建の工夫と術後成績, 第96回日本胃癌学会総会, 2024.02.
431. 孫起和, 大内田研宙, 堤親範, 片山直樹, 久野恭子, 林田さゆり, 寅田信博, 堀岡宏平, 進藤幸治, 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 食道癌の免疫微小環境サブタイプのシングルセル解析からみた機能的不均一性の解明, 第124回日本外科学会定期学術集会, 2024.04, 【背景】
食道癌を含む固形癌では腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が良好な予後や免疫療法の効果と相関していることが多く報告されている。さらに、腫瘍微小環境(TME)におけるTILの局在と密度によっていくつかの分類法が存在し、より正確な予後因子、治療効果予測マーカーとなっている。しかし、これらのTMEによる分類の分子生物学的な意義は十分には理解されておらず、その臨床的な意義につながるメカニズムに関しては不明である。
【目的】
食道癌のTMEサブタイプにおける腫瘍免疫を中心とした機能的な不均一性を解明する
【対象と方法】
2019年5月~2023年5月までにsingle-cell RNA sequencing を行った切除食道扁平上皮癌27例に対して免疫組織化学染色を行った。腫瘍部におけるCD8陽性細胞の局在と密度を定量的に評価し、”hot”, “excluded”, “cold”の3つに分類した。それぞれ3例ずつ、計9例を対象としてsingle-cell RNA解析を行った。
【結果】
全9例の統合解析を行い、Quality Checkおよびdoublet cellの除去後、39790細胞が得られた(hot:13840 cells, excluded:11168 cells, cold:14782cells)。8つのクラスター(T cell, Myeloid cell, B cell, Plasma cell, Fibroblast, Endothelial cell, Epithelial cell, MAST cell)に分類され、”excluded”ではFibroblastの割合が多く、T cellの割合が少なかった。続いてCD8陽性T細胞を抽出し、4155細胞が得られた。全細胞に占めるCD8陽性T細胞の割合は”hot”, “cold”, “excluded”の順に多かった。TME分類ごとに遺伝子発現解析を行った。”hot”ではIFNGが最も高発現であり、細胞障害性を示す”cytotoxic score”は最も低く、疲弊化を示す”exhaustion score”は最も高かった。
【結語】
hot tumorのCD8陽性T 細胞はIFNGが高発現であることに伴い、疲弊化が進んでおり、細胞障害性が低下していることが示唆される。
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432. 水内祐介, 田辺嘉高, 永吉絹子, 田村公二, 藤本崇聡, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 久保真, 中村雅史, 家族性大腸癌と予後の関係についての検討―単施設後ろ向き観察研究―, 第124回日本外科学会定期学術集会, 2024.04.
433. 進藤幸治, 大内田研宙, 堀岡宏平, 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 井手野昇, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 当科において根治術前に化学療法を行った進行胃癌症例の成績, 第124回 日本外科学会, 2024.04.
434. 進藤幸治, 大内田研宙, 堀岡宏平, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 井手野昇, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 腹腔鏡下胃切除における患者個別に対応したポート配置の工夫, 第96回日本胃癌学会総会, 2024.02.
435. 松田洋直, 藤本崇聡, 田村公二, 堀岡宏平, 永吉絹子, 水内祐介, 進藤幸治, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 早期診断と手術加療により消化管穿孔を回避し、化学療法を導入した単形性上皮向性T細胞リンパ腫の1例, 第60回九州外科学会, 2024.03.
436. 後藤文佳, 堀岡宏平, 大内田研宙, 進藤幸治, 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 仲田興平, 中村雅史, 胸部食道癌に対するFOLFOX療法導入後に高アンモニア血症による意識障害をきたした一例, 第60回日本腹部救急医学会総会, 2024.03.
437. 後藤文佳, 進藤幸治, 大内田研宙, 堀岡宏平, 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 食道癌術術中に造設した腸瘻により腸重積をきたし、再手術を行った一例, 第60回九州外科学会, 2024.03.
438. 王佳雄, 進藤幸治, 大内田研宙, 堀岡宏平, 藤本崇聡, 田村公二, 永吉絹子, 水内祐介, 池永直樹, 仲田興平, 中村雅史, 当院の十二指腸腹腔鏡内視鏡合同手術(D-LECS)2症例における十二指腸の縫合方向の検討, 第60回九州外科学会, 2024.03.
439. 永吉絹子, 藤本崇聡, 田村公二, 水内祐介, 堀岡宏平, 進藤幸治, 池永直樹, 仲田興平, 大内田研宙, 中村雅史, 潰瘍性大腸炎に対する経肛門的直腸授動操作併用腹腔鏡下大腸全摘術の有用性, 第124回日本外科学会定期学術集会, 2024.04.

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