九州大学 研究者情報
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澤 新一郎(さわ しんいちろう) データ更新日:2023.11.22



主な研究テーマ
1. 腸内細菌と上皮細胞、間葉系細胞などの非血球系細胞との相互作用、さらには獲得免疫系との連関における腸管ILC3機能の全容解明
2. 粘膜を含めた免疫系の形成と発達機構の解明
3. 呼吸器におけるウイルス感染からの生体防御機構の解明
キーワード:粘膜免疫、自然リンパ球 (ILC)、リンパ組織、間葉系細胞、オミクス解析
2019.01~2025.12.
従事しているプロジェクト研究
ムーンショット型研究 「ウイルス-人体相互作用ネットワークの理解と制御」
2020.12~2025.11, 代表者:澤 新一郎, 九州大学, 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
ウイルスが感染した場合における個体内での応答様式を免疫系、特に免疫支持細胞に焦点をあてて解明する。当該年度では、ウイルス非感染および感染マウスにおける血管内皮、リンパ管内皮、線維芽細胞などの免疫支持細胞を採取し、シングルセルRNAシークエンシング解析(scRNA-seq)よる遺伝子発現パタンの抽出を試みる。これらのデータは他研究班が取得した免疫細胞やマイクロバイオームデータと統合し、数理系研究者のパタン分類整理に活用される。また、ウイルス感染に対する生体応答の鍵を握る分子の遺伝子改変マウス作成を開始する。.
活性型自然リンパ球による腸管免疫寛容に関する研究
2019.10~2023.03, 代表者:澤 新一郎, 国立大学法人九州大学, 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(日本)
本邦ではアレルギー疾患が急増しています。減感作療法は長期間のアレルギーの寛解維持が期待できる有望な治療法ですが、分子および細胞レベルの理解は進んでいません。本研究では統合エピゲノムの手法を用いて早期ライフステージにおける腸管自然リンパ球や制御性T細胞の機能的特徴を規定する分子基盤および小腸免疫寛容の誘導機構を証明し、減感作療法の科学的基盤に迫ります。.
新生児腸内細菌叢形成メカニズムの解明
2016.10~2020.03, 代表者:澤 新一郎, 九州大学, 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(日本)
新生児期は腸内細菌叢形成と宿主免疫系の開始点を理解するうえで極めて重要な時期と考えられるが、哺乳類の腸内細菌叢形成メカニズムはこれまでほとんど明らかになっていない。また、新生児期の腸内細菌叢異常が思春期以降に発症する炎症性腸疾患等の免疫異常の発症要因になる可能性についても不明な点が多い。
 近年、申請者らを含む複数の研究グループによってヒトおよびマウス粘膜組織内に抗原受容体を持たないリンパ球群が同定され、自然リンパ球と命名された。自然リンパ球のうち、核内受容体RORgtを発現する自然リンパ球は3型自然リンパ球(ILC3)とよばれ、腸管上皮細胞の生存や抗菌ペプチド産生に重要なインターロイキン22(Interleukin=IL-22)を強力に産生する。興味深いことに、マウス新生仔腸管においては、獲得免疫系の細胞に先立ち、ILC3が腸管粘膜固有層に出現する。生直後の新生児腸管においてILC3は主要なリンパ球であり、IL-22を恒常的に産生している。
 本研究では、ILC3こそが腸管上皮機能の維持や細菌叢の選択に重要な役割を果たす細胞群であるとの仮説を立て、ILC3のみを生体内から除去可能な新規マウスモデルや、ILC3機能維持に重要と考えられるIL-23産生性樹状細胞を欠失可能なマウスを用い、ILC3やI IL-23産生樹状細胞がマウス新生仔腸内細菌叢の形成に果たす役割を明らかにし、腸内細菌叢の錯乱が免疫異常の原因となり得るか、マウスモデルを用いて検証する。
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研究業績
主要原著論文
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
主要学会発表等
1. 澤新一郎、住谷瑛理子, リンパ節ストローマ細胞における細胞系譜関係の解析, Kyoto T cell Conference (KTCC) 2019, 2019.06, 【背景・目的】
ストローマ細胞は成熟リンパ節の機能的分画化と構造維持に重要な間葉系細胞であるが、その起源や分化過程は詳細に検討されていない。昨年の本学会において、リンパ節原基中のRANKL陽性細胞がリンパ節初期発生に必須の間葉系細胞(Lymphoid Tissue organizer=LTo細胞)としてLTbRシグナルを伝達することを報告した。今回我々は、RANKL発現細胞とリンパ節ストローマ細胞の細胞系譜関係の解明を目的とした。
【方法・結果】
まず、Brainbawシステムを用い、リンパ節ストローマ細胞が複数のRANKL発現細胞に由来することを明らかにした。次に、Tnfsf11tTA/+ マウスを新規作成し、ドキシサイクリンを用いたRANKL 陽性細胞の時期特異的な標識・追跡系を樹立した。鼠径部リンパ節では、T細胞領域を構成するFRCが胎齢16日目以降のRANKL陽性細胞に由来すること、リンパ節辺縁部に存在するMRCは出生後にRANKLを発現した間葉系細胞に由来することを明らかにした。一方、胎齢15日目でリンパ節原基に生着したRANKL陽性間葉系を標識しても殆どのリンパ節ストローマ細胞は標識されなかった。
【結論・考察】
リンパ節ストローマ細胞の多くは胎仔期に存在するRANKL発現細胞に由来するが、幹細胞のように単一のLTo細胞が自己複製と成熟過程を経て全リンパ節ストローマ細胞へと分化する可能性は極めて低い。リンパ節分画をstep-by-stepに構築し、リンパ球を効率的に集簇させるためには、複数の間葉系細胞においてRANKL発現が連鎖的に誘導されるモデルがより適切と考えられる。
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特許出願・取得
特許出願件数  3件
特許登録件数  0件
学会活動
所属学会名
Kyoto T cell Conference
日本骨代謝学会
日本医師会
日本小児科学会
一般社団法人日本炎症・再生医学会
日本免疫学会
学協会役員等への就任
2021.04~2025.03, 日本免疫学会, 評議員.
2023.04~2026.03, 日本免疫学会, 評議員.
2022.06~2023.03, 日本免疫学会, 評議員.
2013.08~2030.07, Kyoto T cell conference (KTCC), 運営委員.
2019.10~2030.09, 阿蘇シンポジウム, 世話人.
2021.01~2022.12, 日本免疫学会, 広報委員.
2019.01~2024.12, 日本免疫学会, 評議員.
学会大会・会議・シンポジウム等における役割
2022.07.22~2022.07.23, 第42回阿蘇シンポジウム, 当番世話人.
2019.12.11~2020.12.13, 第48回日本免疫学会学術集会, シンポジウム座長.
2018.11.29~2018.12.01, Innate Lymphoid Cell 2018 (ILC2018), オーガナイザー.
2016.12.05~2016.12.07, 第45回日本免疫学会学術集会, ワークショップ 座長.
2018.12.12~2018.12.14, 第46回日本免疫学会学術集会, ワークショップ オーガナイザー、座長.
学会誌・雑誌・著書の編集への参加状況
2022.01~2023.12, Frontiers in Immunology, 国際, 査読委員.
学術論文等の審査
年度 外国語雑誌査読論文数 日本語雑誌査読論文数 国際会議録査読論文数 国内会議録査読論文数 合計
2022年度      
2017年度     15  18 
2019年度      
2018年度   35    38 
その他の研究活動
海外渡航状況, 海外での教育研究歴
Fransis-Crick Institute, Birmingham University, UnitedKingdom, 2019.06~2019.06.
German Cancer Research Center (DKFZ), Germany, 2012.10~2012.10.
École polytechnique fédérale de Lausanne, Switzerland, 2011.06~2011.06.
Institute Pasteur, France, 2006.09~2011.03.
Trudeau institute, National Institute of Health, UnitedStatesofAmerica, 1999.08~1999.08.
外国人研究者等の受入れ状況
2022.05~2023.05, 1ヶ月以上, Central South University, China, 外国政府・外国研究機関・国際機関.
受賞
井上研究奨励賞, 井上科学振興財団, 2007.02.
日本医師会医学研究奨励賞, 日本医師会, 2017.11.
日本免疫学会研究奨励賞, 日本免疫学会, 2011.11.
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2023年度~2026年度, 基盤研究(B), 代表, ILC3による腸管免疫記憶の形成および維持機構の解明.
2021年度~2022年度, 挑戦的研究(萌芽), 代表, 3型自然リンパ球を用いた粘膜バリア増強療法への挑戦.
2020年度~2022年度, 基盤研究(C), 分担, シングルセルレベルでの眼内増殖組織の活動性バイオマーカー検索.
2019年度~2022年度, 基盤研究(B), 代表, ILC3による液性免疫制御機構の解明.
2018年度~2019年度, 挑戦的研究(萌芽), 代表, 一細胞から紐解く新生児の腸管免疫システム.
2017年度~2019年度, 基盤研究(B), 分担, 新生児消化器疾患発症機序の分子生物学的解明に向けた解析ワークフローの確立.
2015年度~2017年度, 挑戦的萌芽研究, 代表, 自然リンパ球前駆細胞の同定.
2013年度~2014年度, 挑戦的研究(萌芽), 代表, RORγt陽性自然リンパ球を特異的に欠損するマウスの作成.
2013年度~2014年度, 新学術領域研究, 代表, 2次リンパ組織形成におけるマスター制御因子の同定.
2012年度~2013年度, 新学術領域研究, 代表, 自然リンパ球に作用し、腸管恒常性維持に関与する内因性リガンドの同定.
日本学術振興会への採択状況(科学研究費補助金以外)
2016年度~2018年度, 卓越研究員事業, 代表, ILC3研究の展開.
競争的資金(受託研究を含む)の採択状況
2022年度~2026年度, AMED SCARDA ワクチン・新規モダリティ研究開発事業, 分担, カイコ昆虫モダリティによる低価格な国産組換えワクチンに関する研究開発
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2020年度~2025年度, 科学技術振興費(主要5分野) (文部科学省), 分担, 2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
ウイルス-人体相互作用ネットワークの理解と制御
ウイルス感染に対する免疫支持細胞の解析.
2019年度~2019年度, 持田記念研究助成金, 代表, 腸管における ILC3 生理機能の網羅的解析.
2019年度~2019年度, ブリストル・マイヤーズスクイブ 研究助成, 代表, 急性GVHDを予防する骨髄球系細胞の同定および制御機構の解明.
2019年度~2022年度, 革新的先端研究開発支援事業 (AMED-PRIME), 代表, 活性型自然リンパ球による腸管免疫寛容に関する研究.
2019年度~2019年度, 公益財団法人 武田科学振興財団 2019 年度 生命科学研究助成, 代表, 免疫組織形成および機能維持に重要な間葉系細胞の同定.
2019年度~2019年度, 公益財団法人 ニッポンハム食の未来財団 個人研究助成, 代表, 3型自然リンパ球を利用した新規食物アレルギー予防法の開発.
2017年度~2019年度, 内藤記念科学奨励金・若手ステップアップ研究助成, 代表, 間葉系細胞からみた腸管免疫系制御メカニズムの解明.
2016年度~2019年度, AMED-PRIME「微生物叢と宿主の相互作用・共生の理解と、それに基づく疾患発症のメカニズム解明」, 代表, 新生児腸内細菌叢形成メカニズムの解明.
共同研究、受託研究(競争的資金を除く)の受入状況
2021.04~2022.03, 代表, 自然リンパ球に関する研究.
2022.12~2024.12, 代表, 3型自然リンパ球に関する研究.
2022.04~2023.03, 代表, 自然免疫系リンパ球に関する研究.
2018.03~2019.03, 代表, Group 3 innate lymphoid cells(ILC3s)の生体内動態解析,ワクチン誘導効果とアレルギー制御効果の基礎検討.

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