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鈴木 貴弘(すずき たかひろ) データ更新日:2021.09.13

准教授 /  農学研究院 資源生物科学部門 動物・海洋生物科学講座


主な研究テーマ
骨格筋の幹細胞(衛星細胞)を対象とした筋細胞生物学に関する研究活動を中心に取り組んでいます。衛星細胞は、骨格筋細胞(筋線維)の基底膜と細胞膜の間隙に局在する体性幹細胞であり、成熟個体における筋肥大や再生といった重要なイベントに寄与します。衛星細胞を対象とした研究アプローチは、各イベントのために起こる衛星細胞の動態変化(活性化、増殖、分化、融合、休止化など)のメカニズムに着目したものが多いですが、私は、衛星細胞が骨格筋の筋線維型(遅筋型や速筋型に大別される)の制御に関わるのではないかという新奇機能を仮説として提唱し、そのメカニズム解明を目指しています。
筋線維型は、筋線維の形態や収縮・代謝特性などを決定する重要なファクターです。また、家畜骨格筋における筋線維型の割合は最終産物である食肉の品質にも影響すると考えられています。多くの研究グループでは、骨格筋中に存在する運動神経による「神経刺激制御仮説」というアイデアに注目していますので、私の仮説が証明されれば学術的に大きなインパクトをもった知見を共有することができると期待されます。
これまでに、ラットやマウスといった実験動物を用いて、遅筋型筋線維が優勢なヒラメ筋から単離した衛星細胞では多機能性細胞制御因子semaphorin 3A(Sema3A)を、また速筋型筋線維が豊富な長趾伸筋を由来とする衛星細胞は同じく多機能なnetrin-1を、ぞれぞれ多量に合成および分泌することを突き止めました。なお、Sema3Aは遅筋型の新生筋線維(筋管)を、netrin-1は速筋型筋管のそれぞれの形成を促す作用を有することも明らかとなり、国際誌The International Journal of Biochemistry and Cell Biology, STEM CELLS, およびInternational Journal of Molecular Sciencesなどで公表しました。現在は、その詳細なメカニズム解明(各因子の発現誘導機構[筋組織中の他細胞による影響、細胞外環境からの影響などに着目]、衛星細胞による各因子の受容機構、および細胞内シグナル伝達機構など)や新たな制御因子の探索などを進めています。
上述の成果より、衛星細胞は“筋線維型”という比較基準のもとで、異なる生理機能を示す「heterogenous; 不均一性」を有した細胞集団であることが推測されます。そこで、最近ではよりワイドな視点をから捉えるために“骨格筋の部位(骨格筋種)”や “同動物種の異系統”といった比較基準の元で、衛星細胞の生理機能に差異が生じるのか否か、また衛星細胞が独自の特性を獲得するに至った要因を追求する研究活動にも取り組んでいます。
キーワード:骨格筋、筋幹細胞(衛星細胞)、筋線維型、多機能性細胞制御因子、不均一性
2020.10.
研究業績
主要原著論文
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
主要学会発表等
学会活動
所属学会名
日本畜産学会
日本食肉科学会
日本筋学会
日本分子生物学会
学協会役員等への就任
2021.04, 日本食肉科学会, 幹事.
2018.04, 日本畜産学会, 若手企画委員会 委員.
学会大会・会議・シンポジウム等における役割
2021.10.23~2021.10.24, 第14回 日本暖地畜産学会大会 (福岡大会), 実行委員会 庶務担当.
2021.03.27~2021.03.31, 日本畜産学会 第128回大会, 大会実行委員会 委員(実行委員長補佐).
学術論文等の審査
年度 外国語雑誌査読論文数 日本語雑誌査読論文数 国際会議録査読論文数 国内会議録査読論文数 合計
2021年度    
2020年度      
受賞
平成25年度 生物資源環境科学府賞, 九州大学大学院 生物資源科学府, 2014.03.
2017年度日本畜産学奨励賞, 日本畜産学会, 2017.03.
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2021年度~2024年度, 基盤研究(B), 分担, 加齢性筋萎縮・再生不全の先駆的理解と栄養機能学的制御.
2019年度~2021年度, 基盤研究(B), 分担, 骨格筋肥大・萎縮の根幹である筋原線維構造の形成・維持・分解メカニズムの解明.
2019年度~2020年度, 若手研究, 代表, 筋幹細胞が自律的に筋線維型を初期決定する分子メカニズムの解明.
2016年度~2018年度, 基盤研究(A), 連携, 骨格筋発達の統合的理解を目指す異種細胞間コミュニケーション機構の全容解明.
2016年度~2018年度, 若手研究(B), 代表, 多様な筋幹細胞による新奇筋線維型制御機構の解明.
2014年度~2015年度, 特別研究員奨励費, 代表, 筋幹細胞の分泌因子による筋線維型自律制御機構の解明.
2012年度~2013年度, 特別研究員奨励費, 代表, 神経軸索成長ガイダンス因子による筋肥大・再生制御機構.
日本学術振興会への採択状況(科学研究費補助金以外)
2014年度~2015年度, 特別研究員, 代表, 筋幹細胞の分泌因子による筋線維型自律制御機構の解明.
2012年度~2013年度, 特別研究員, 代表, 神経軸索成長ガイダンス因子による筋肥大・再生制御機構.
共同研究、受託研究(競争的資金を除く)の受入状況
2018.04~2021.03, 分担, 難治性疾患実用化研究事業「デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する革新的ペプチド医薬の実用化」.
寄附金の受入状況
2021年度, 公益財団法人 森永奉仕会, 令和2年度研究奨励金/小児期の筋成長・肥大プロセスでの筋幹細胞による自律的な筋線維型制御機構の解明.
2021年度, 公益財団法人サッポロ生物科学振興財団, 筋線維型に応じて変化する筋幹細胞の特性獲得メカニズムの検証.
2019年度, 公益財団法人 伊藤記念財団, 成熟後の効率的な筋肥大の誘導に寄与する筋幹細胞の探索(II).
2018年度, 公益財団法人 伊藤記念財団, 成熟後の効率的な筋肥大の誘導に寄与する筋幹細胞の探索.
学内資金・基金等への採択状況
2021年度~2021年度, 令和3年度 大学院農学研究院若手教員 支援事業 [チャレンジ研究支援(I型)], 代表, 新生筋線維の筋線維型初期決定機構の要を担う筋幹細胞の同定.
2021年度~2021年度, 令和3年度研究活動基礎支援制度「外国語校閲経費支援」, 代表, ヒラメ筋よりも長趾伸筋由来の衛星細胞(筋芽細胞)で多量に合成されるnetrin-1は速筋型筋管の形成を誘導する.

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