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リソソームは真核細胞において普遍的に存在する酸性の内部環境を有する細胞内小器官であり、ユビキチン・プロテアソーム系とともにエンドサイトーシスおよびオートファジーによる細胞内外の物質分解に主要な役割を果たしている。このような細胞内の主要なタンパク質分解システム系としてのリソソームの機能は、その内部に含まれる多くの加水分解酵素に加え、近年、ユビキチン様タンパク質による共有結合システムを必要とするオートファジーを介した非選択的な大規模なタンパク質分解システムの研究により更なる進展を遂げつつある。生体の恒常性はタンパク質の合成と分解の絶妙なバランスの基に維持されているため、このバランスの崩壊は細胞及び生体に重篤な障害をもたらすことになる。実際に、このようなリソソーム系のタンパク質分解システムの破綻が原因で多くの神経及び筋疾患を引き起こすことが報告されている。また、タンパク質分解システムに加え、リソソームは病原性細菌の除去、自然免疫・獲得免疫による抗原提示、細胞死および損傷した細胞膜の修復等様々な生命現象にも重要な役割を担っていることが明らかにされつつある。このようなリソソームの機能発現は様々なオルガネラ(エンドソーム、ファゴソーム、細胞膜など)との密接なコミュニケーションのもとに成り立っている。それ故、このようなリソソームの機能発現には、その内部に含まれる加水分解酵素に加え、リソソームを形成・維持する膜タンパク質が重要な役割を果たしていると考えられる。このような背景を踏まえ、リソソーム膜タンパク質の機能解明を通して、リソソームの生理機能の解明を目指している。