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野々村 淑子(ののむら としこ) データ更新日:2019.06.13

教授 /  人間環境学研究院 教育学部門 教育社会計画学


大学院(学府)担当

人間環境学府 教育システム専攻 教育社会計画学講座

学部担当

教育学部 教育 教育学

その他の教育研究施設名

役職名

該当なし


電子メール
電話番号
092-642-3117
FAX番号
092-642-3117
就職実績-民間機関等
就職実績有, 凸版印刷株式会社(1988年4月〜1991年10月)
取得学位
博士(教育学)
専門分野
教育文化史
活動概要
研究テーマは、以下の通りである。

1.(欧米における)子どもの養育責任主体としての家族の成立過程に関する研究
2.(欧米における)「産み育てる身体」像の構築と子育てに関する歴史研究
3.16-17世紀イングランドの児童救済事業および施設をめぐる産育・養育実態の研究である。

現在のところ、おおきくは1および2のテーマを見据えながら、目下3のテーマの研究に取組んでいる。それは、以下のような問題関心と研究史への考察をふまえたものである。
「子ども」を「育てる」こと、あるいは「子ども」から「大人」になるということは、どのようなものだったのか。また、どのようなものと考えられてきたのか。「子ども」をめぐる「問題」がますます深刻に語られる今日にあって、このような問いは重要かつ不可欠なことであるといえよう。なぜなら、私たちがそれに慣らされ、当然のように思っているような「子ども」についての考え方は、歴史の流れのなかでつくられてきたものだからである。
なかでも、家族や親子関係は、あまりにも身近であるために、相対化することが困難であるといわれている。「子ども」の「問題」についての、「親」の、特に「母親」の役割についての無前提な「言説」のなんと多いことか。この「暗黙の前提」の是非を問う前に、それが構築されてきた歴史過程を明らかにすること。これが私の関心である。

英米史において、家族(産みの親)が子どもの養育責任主体としての役割が自然なものとして成立してきたことは既に指摘されてきている。近代家族史研究は、社会構造、産業構造の変容のなかで主として中間層における子ども中心家族の成立を論じてきた。ジェンダー史研究の進展は、そこでの母役割の自然化、神聖化を身体観の変容において解明することの重要性、必要性を要求してきている。2の「産み育てる身体」像の構築と子育てに関する歴史研究は、近代初期西欧において、近代市民社会の成立と密接に関わって生じた身体観の転換、人間観の医学化、科学化、すなわち真理化(医学的見地から語られる知)が、男女の(とりわけて女性の)身体を規定し、真理として、近代社会の要素とされていく転換期が近代初期にあるのではないか、という問いである。母役割の「歴史化」の作業の基礎研究として、科研でのプロジェクトを軸に研究を行ってきたが、探究続行中である。

また、子どもの養育主体としての家族の成立過程(1の課題)は、中間層を中心とした子ども中心家族の価値観の創造とその伝播、浸透という面だけではなく、その価値観を前提とした貧困層への救済活動、福祉制度の確立とともに、その(救済、援助をうける)条件として形成されてきたことも徐々に明らかとなっている。現在取組んでいるプロジェクト(科研)は、16世紀ロンドンに設立されたイングランド最古の孤児院であるクライスト・ホスピタルをめぐる子どもの養育実態である。そこでは、孤児・棄児だけではなく、父母による実子、あるいは拾い親による拾い子の孤児院施設への委託や院外救済金受給の実態、あるいは徒弟や養子としてのそうした子の養育、寄付金を支出、といった関係性がみえてくる。しかしながら同時に、エリザベス救貧法前史として、浮浪者、物乞いの一斉収監による怠惰を罰し勤勉を強化していく新しい貧民観、貧民救済観に支えられた活動であり、施設であったことは明らかである。今後は、このクライスト・ホスピタルの活動のなかで、子どもの養育において家族というものの役割(期待)がもっていた機能とその変化、性差(母と父)による差異の現れ様、等を中心にさらに解明していく。

教育活動は、以上のテーマのみならず、学校史にとどまらない教育の歴史を知ることの意義を伝えることを目標としている。特に、西洋近代という特異でありながらも、近代日本にも普遍かつ不変的なイメージを付与してきた価値観を相対視させることである。テーマは、教育の歴史における近代学校の特異性、近代的な年齢段階観(子ども観、大人観)、および近代の人間形成像と場の特異性などを踏まえつつ、上記の私自身の研究課題や成果を論じることを心がけている。

社会活動は、特に、身体をめぐる性差の歴史、近代女性の生き方と子育てをめぐるジレンマ等について、公開講座、研修会などの講師活動をしている。

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