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瀧上 隆智(たきうえ たかのり) データ更新日:2017.05.29

教授 /  基幹教育院 自然科学実験系部門 教育実践部・自然科学部門


大学院(学府)担当

理学府 化学専攻 物理化学

学部担当

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電話番号
092-802-6023
取得学位
博士(理学)
専門分野
界面物理化学
活動概要
主な研究テーマは気/液、液/液界面(ソフト界面)における可溶性吸着膜の状態、分子混和性、不均一構造形成(ドメイン形成)である。ソフト界面はエマルションや生体膜などの複雑で柔らかい分子組織体の基本的な構造をなすもので、その性質や構造と機能の相関を正しく理解するためには、ソフト界面の構造や性質の解明が不可欠である。このような認識の下、ソフト界面膜を研究対象に、界面張力測定と結果の熱力学的な解析やシンクロトロン放射光を用いた反射・回折法、全反射XAFS法を駆使して研究を展開している。これまでの研究業績は以下の通りである。

(1)水—長鎖アルコール系の界面形成
・水—長鎖アルコール系の界面形成がエネルギー駆動であり、それが水とアルコールの水酸基間の相互作用に起因することを明らかにした。
・水/ウンデカノールあるいはドデカノールの界面膜が、温度の低下および圧力の増大に伴い膨張膜から凝縮膜への一次の相転移を示すことを見出し、熱力学的に証明した。

(2)油/水界面における炭化フッ素アルコール吸着膜の相転移
・ヘキサン/水界面においてフルオロデカノールの吸着膜が気体膜—膨張膜—凝縮膜間の2段階相転移を、フルオロドデカノール吸着膜は気体膜—凝縮膜間の相転移を示すことを見出した。
・炭化水素系アルコールの結果との比較より、疎水基の性質の違いが界面吸着挙動に与える影響について、エントロピー、体積、エネルギーの観点から明らかにした。

(3)長鎖アルコール混合吸着膜における相転移と混和性
・フルオロデカノール(炭化フッ素系)とイコサノール(炭化水素系)の混合吸着膜では、膨張膜状態ではこれらアルコールがあらゆる割合で混合するが、凝縮膜状態ではお互いに全く混和しないことを明らかにした。
・高濃度領域においては、お互いに全く混ざらない凝縮膜状態間の相転移を見出し、熱力学的に証明した。
・吸着の体積に関する理想混合の基準となる熱力学関係式を展開し、吸着膜中でのフルオロデカノールとイコサノールの非理想混合を定量的に議論した。

また、界面膜の微視的手法による構造研究に関しては、
(4)油/水界面吸着膜のシンクロトロンX線を用いた構造解析
・ヘキサン/水界面におけるフルオロアルコール吸着膜の相転移をX線反射率測定より見積もられる界面被服率の不連続的変化から直接証明した。
・膨張膜が均一な分子混合の状態ではなく、ドメイン存在による不均一な状態であることを見出した。
・フルオロアルコールとハイドロアルコールは膨張膜において,それぞれ単独成分からなる凝縮膜ドメインが分子密度の低い気体膜状態と共存しているという混和性に関する描像を提唱するに至った。

(5)ソフト界面における自発的多重膜形成
・疎水鎖量末端にヒドロキシ基を有するフルオロカーボンジオールが溶液濃度、温度、圧力に依存して水平配向の凝縮単分子膜形成を経て自発的に分子積層膜(多重膜)を形成することを見出した。
・またこの多重膜の厚みが、多重膜を挟んで作用する表面間力によって規定されることも見出した。
・さらに、末端水素化フルオロカーボンとフルオロアルカノールとの混合系では、単独系では見られない多重膜形成が2つの物質の混合により誘起されることを発見するに至った。

(6)配向の異なる分子の吸着膜における不均一構造形成
・界面に垂直配向するフルオロアルカノールと水平配向するフルオロカーボンジオールとの混合系では、膜組成に依存して、垂直配向ドメインと水平配向ドメインとが共存した凝縮単分子膜が出現することを見出した。
・また、フルオロアルカノールに富む組成では、本来水平配向するフルオロカーボンジオールも垂直配向する傾向がある。
・さらに凝縮単分子膜の構造に依存して、水平配向成分に富む分子積層構造や垂直配向成分に富む多重膜が出現する。
などを明らかにしてきている。

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