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井嶋 博之(いじま ひろゆき) データ更新日:2017.05.26

教授 /  工学研究院 化学工学部門 分子・生物システム工学


大学院(学府)担当

学部担当



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電話番号
092-802-2748
FAX番号
092-802-2748
取得学位
博士(工学)
専門分野
生物化学工学,医用工学、バイオリアクター、生体材料、肝組織工学
活動概要
 生体臓器の細胞機能を生体外で再現できる,高機能性動物細胞培養技術創出による,有用生理活性物質の大量生産プロセス開発,細胞機能評価システム構築,さらには実用的な医用工学デバイス開発を目標としている。主な研究テーマは以下のとおりである。

1.機能性動物細胞培養担体の開発
 壁付着性動物細胞の付着,増殖および組織体形成は培養担体の表面特性に大きく影響を受ける。また,材料の滅菌性,透光性および機械的強度は実用化可能性を大きく左右する。本研究では,機能性生体分子を固定化した培養基材開発に焦点をあて、細胞組織体形成とその高機能発現に要求される担体の表面特性について検討している。また,生体適合性が優れたバイオセラミックス,特に,骨置換材となり得るヒドロキシアパタイトに注目し,壁付着性動物細胞培養担体としての可能性について検討している。

2.細胞機能評価装置の開発
 生体由来の機能性動物細胞は生体外での培養系においてその特異機能を速やかに喪失もしくは低下する場合が多く,各種実用化プロセスの構築の大きな障壁となっている。特に肝細胞は生体内の代謝の中心臓器であり,有効な生体外培養系構築が切望されている。本研究では,この原因を培養中の細胞周囲環境にあると考え,培養担体と培養培地を開発した。培養基材表面を高密度の細胞接着性ペプチド(RGD)で被覆することにより細胞の過伸展を抑制した機能性の単層オルガノイド(二次元細胞組織体)の形成と肝特異的分化機能の高発現を示した。さらに,最適化培地の開発により3週間の培養期間中,生体肝臓と同等以上の肝機能を安定に維持できる培養系構築に成功した。現在,本培養系を用いた薬物代謝評価装置などの細胞機能評価装置開発を展開している。

3.ハイブリッド型血液浄化システムの開発
 生体内の恒常性維持は生命活動を行う上で欠くことができず,肝細胞による代謝解毒と腎細胞による排泄・再吸収システムを人工的に構築することは極めて重要である。本研究では,先の肝細胞とRGDとの組み合わせに加えて,腎尿細管細胞を用いた検討も進めている。その結果,細胞接着性ペプチド(RGD)を高密度で固定化した基材を用いることで近位尿細管細胞でも過伸展を抑制した安定な単層オルガノイド形成とそれに伴う薬物能動輸送活性の向上を見出した。そこで,ホローファイバー型の肝細胞モジュールと腎細胞モジュールを作製し,独自に開発したラット用血液体外循環回路に組み込むことで解熱鎮痛剤として知られるアセトアミノフェンによる薬物誘導肝不全ラットに適用し,薬物除去とそれに伴う治療効果を得ることが出来た。

4.再生医工学に基づく完全置換型人工肝臓の開発
 重篤な臓器疾患や機能不全,さらには欠損した組織の再生技術として再生医工学が期待されている。本研究では,生体吸収性のポリマーと血管新生を向上させるサイトカイン類,さらには肝細胞を用いて肝組織の再生技術開発に関する基礎的研究を行った。bFGF徐放性PLAスカッフォルドを開発し,初代ラット肝細胞を固定化して部分肝切除ラット腹腔内に移植した。これによりスカッフォルド内への血管新生は2倍に増加し,その結果,生存している移植肝細胞数は20倍に増加した。さらに,これら肝細胞はグリコーゲン蓄積能を発現し,肝細胞としての機能性を保持していることを実証した。一方、肝細胞と肝非実質細胞もしくは血管内皮細胞との共培養系を構築することで生体外における肝特異的機能の安定発現に成功している。これらの知見をもとに、高次細胞組織体構築による完全置換型人工肝臓開発のための基礎的研究を進めている。

5.ES細胞由来機能性細胞の高密度大量生産プロセスの開発
 再生医療や人工臓器の研究・開発において血管内皮細胞は極めて重要な細胞である。しかしながら,機能性の初代細胞はドナーの問題から入手可能量が極めて限られている。近年,胚性幹細胞(ES細胞)がその分化全能性から各種機能性臓器細胞の供給源として注目されている。そこで本研究では,ES細胞のための機能性培養基材開発を試み、それによるES細胞の未分化維持ならびに特定の細胞への分化誘導に関する基礎的研究を行っている。

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