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大戸 茂弘(おおど しげひろ) データ更新日:2024.04.22

特命教授 /  薬学研究院 臨床薬学部門 臨床薬学講座 薬剤学分野


大学院(学府)担当

薬学府 臨床薬学専攻 臨床薬学講座薬剤学分野

学部担当

その他の教育研究施設名

役職名

薬学研究院長


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薬剤学分野では、臨床薬学講座の一分野として「薬を創って、うまく育てて、正しく使うための研究(創薬と育薬・医薬品適正使用)」というテーマを挙げ、以下の三つの項目を中心に研究を行っています。   1. 生体リズムを基盤にした薬物送達方法の開発  21世紀を迎え、社会の少子化および高齢化が進む中で、集団の医療から個の医療へとその重点が移りつつあります。こうした状況の中で、投薬時刻により薬効が大きく異なることがわかってきました。つまり、「時間治療学」の視点に立ったテーラーメイド医療の必要性が提唱されています。時間生物学の研究成果として、哺乳動物の体内時計中枢が視床下部視交叉上核(SCN)に存在し、その機能が時計遺伝子により制御されていることが明らかにされつつあります(図)。一方で、その臨床応用への試みはまだ始まったばかりです。当研究室では、体内時計の分子機構を基盤にした時間薬物送達方法の構築および 体内時計に作用する薬の探索と創薬を通して、時間生物学の実践的臨床応用への道を切り開くことを目的とし、以下の研究を実施しています。 (1)薬効や薬物動態の日周リズムの制御機構を時計遺伝子の日周リズムの側面から解析し、それらを生体リズムマーカーとした時間薬物送達方法の開発 (2)新規副作用(時計遺伝子の変容)を探索し、それを克服するための時間薬物送達方法の開発 (3)生体リズム(生体内環境)を操作することによる新規時間薬物送達方法の開発と体内時計に作用する薬の探索  これらの研究をとおして、遺伝子レベル、細胞レベル、そして個体行動レベルを網羅した時間治療学研究プロジェクトを構築することにより、生体リズムマーカーのモニタリング、薬物誘発リズム障害の防止および生体リズムの操作を基盤にした新規時間薬物送達方法の構築が効率よく行われることが期待されます。また生命体がうまく機能していくうえで最重要と考えられている「生体のホメオスタシス機構の維持」に大きく貢献できるものと考えます。これらの研究成果はNHKテレビ(ニュース10)などでとりあげられるなど社会的にも評価されつつあります。 2. 創薬から医薬品適正使用に至るシステムの構築  生体リズムに関する研究を基盤に創薬から医薬品適正使用に至るシステムを構築することを目的とし、以下の研究を実施しています。 (1)創薬研究:製薬企業との共同研究で時間治療のための薬の開発 (2)非臨床研究:体内時計の分子機構を基盤として細胞培養系および動物実験系での非臨床薬効評価システムの構築とその系を用いた新薬の探索研究 (3)臨床試験:臨床試験受託機関と協力して時計遺伝子を指標とした生体リズム診断法の開発 (4)治療:大学病院との協力で生体リズム障害の診断法および治療法の開発  これらの研究をとおして時間生物学的所見を創薬および医薬品適正使用に応用するシステムの構築を目指しています。 3. 薬効評価学的研究  科学的側面および倫理的側面より基礎および臨床薬効評価における定量的評価、定性的評価、薬効評価基準などの妥当性に関する研究を行っています。また製剤試験、生物学的同等性試験および官能試験などの評価系に関する研究を行っています。これまでにいくつかの薬剤の開発、製品化に貢献しました。  以上の研究を通して、従来より行われている1日2回あるいは3回均等分割する投薬設計を、生体リズムを考慮して治療効果が望まれる時間帯に高用量、不必要な時間帯には投与量を減量するといった試みだけでも医薬品適正使用の向上につながることが期待されます。薬物療法の最終ゴールが治療の個別化であるとすれば、個々の生体リズムにマッチした至適投薬設計および薬物送達システムを構築することが必要不可欠といえるでしょう。 .
電話番号
092-642-6610
FAX番号
092-642-6614
就職実績-他大学
就職実績有, 1990年8月ー1993年3月
愛媛大学医学部助手
取得学位
医学博士
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
薬剤学、時間薬理学
外国での教育研究期間(通算)
01ヶ年00ヶ月
活動概要
 薬剤学分野では、臨床薬学講座の一分野として「薬を創って、うまく育てて、正しく使うための研究(創薬と育薬・医薬品適正使用)」というテーマを挙げ、以下の三つの項目を中心に研究を行っています。
 
1. 生体リズムを基盤にした薬物送達方法の開発
 21世紀を迎え、社会の少子化および高齢化が進む中で、集団の医療から個の医療へとその重点が移りつつあります。こうした状況の中で、投薬時刻により薬効が大きく異なることがわかってきました。つまり、「時間治療学」の視点に立ったテーラーメイド医療の必要性が提唱されています。時間生物学の研究成果として、哺乳動物の体内時計中枢が視床下部視交叉上核(SCN)に存在し、その機能が時計遺伝子により制御されていることが明らかにされつつあります(図)。一方で、その臨床応用への試みはまだ始まったばかりです。当研究室では、体内時計の分子機構を基盤にした時間薬物送達方法の構築および 体内時計に作用する薬の探索と創薬を通して、時間生物学の実践的臨床応用への道を切り開くことを目的とし、以下の研究を実施しています。
(1)薬効や薬物動態の日周リズムの制御機構を時計遺伝子の日周リズムの側面から解析し、それらを生体リズムマーカーとした時間薬物送達方法の開発
(2)新規副作用(時計遺伝子の変容)を探索し、それを克服するための時間薬物送達方法の開発
(3)生体リズム(生体内環境)を操作することによる新規時間薬物送達方法の開発と体内時計に作用する薬の探索
 これらの研究をとおして、遺伝子レベル、細胞レベル、そして個体行動レベルを網羅した時間治療学研究プロジェクトを構築することにより、生体リズムマーカーのモニタリング、薬物誘発リズム障害の防止および生体リズムの操作を基盤にした新規時間薬物送達方法の構築が効率よく行われることが期待されます。また生命体がうまく機能していくうえで最重要と考えられている「生体のホメオスタシス機構の維持」に大きく貢献できるものと考えます。これらの研究成果はNHKテレビ(ニュース10)などでとりあげられるなど社会的にも評価されつつあります。

2. 創薬から医薬品適正使用に至るシステムの構築
 生体リズムに関する研究を基盤に創薬から医薬品適正使用に至るシステムを構築することを目的とし、以下の研究を実施しています。
(1)創薬研究:製薬企業との共同研究で時間治療のための薬の開発
(2)非臨床研究:体内時計の分子機構を基盤として細胞培養系および動物実験系での非臨床薬効評価システムの構築とその系を用いた新薬の探索研究
(3)臨床試験:臨床試験受託機関と協力して時計遺伝子を指標とした生体リズム診断法の開発
(4)治療:大学病院との協力で生体リズム障害の診断法および治療法の開発
 これらの研究をとおして時間生物学的所見を創薬および医薬品適正使用に応用するシステムの構築を目指しています。

3. 薬効評価学的研究
 科学的側面および倫理的側面より基礎および臨床薬効評価における定量的評価、定性的評価、薬効評価基準などの妥当性に関する研究を行っています。また製剤試験、生物学的同等性試験および官能試験などの評価系に関する研究を行っています。これまでにいくつかの薬剤の開発、製品化に貢献しました。

 以上の研究を通して、従来より行われている1日2回あるいは3回均等分割する投薬設計を、生体リズムを考慮して治療効果が望まれる時間帯に高用量、不必要な時間帯には投与量を減量するといった試みだけでも医薬品適正使用の向上につながることが期待されます。薬物療法の最終ゴールが治療の個別化であるとすれば、個々の生体リズムにマッチした至適投薬設計および薬物送達システムを構築することが必要不可欠といえるでしょう。

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