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今井 宏昌(いまい ひろまさ) データ更新日:2023.11.22

准教授 /  人文科学研究院 歴史学部門 西洋史学講座


大学院(学府)担当

学部担当



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西洋史学研究室HPの教員紹介欄 .
電話番号
092-802-5025
取得学位
博士(学術)
学位取得区分(国外)
なし
専門分野
西洋史, ドイツ現代史
外国での教育研究期間(通算)
02ヶ年05ヶ月
活動概要
研究概要
Ⅰ.第一次世界大戦後ドイツ義勇軍に関する経験史的研究
1)ドイツ義勇軍経験の再評価
 第一次世界大戦直後のドイツで結成され、ヴァイマル共和国初期(1918-1923)に活動を展開した志願兵部隊「義勇軍(Freikorps)」の経験が、その後の当事者や社会にいかなる影響を及ぼしたのかを分析している。従来の研究において、義勇軍が往々にして「ナチズムの前衛」(ロバート・G・L・ウェイト)と評価されてきたことに鑑み、本研究では義勇軍経験をより幅広い政治的文脈のなかで捉え直すことを試みている。具体的には、ナチのアルベルト・レオ・シュラーゲター(1894-1923)、共和派のユリウス・レーバー(1891-1945)、コミュニストのヨーゼフ・ベッポ・レーマー(1892-1944)といったように、同じ義勇軍出身者でありながらも、別々の政治的道程を歩むにいたった複数の人物のバイオグラフィを比較検討し、そこにおいて義勇軍経験がもつ意味を考察している。

2)方法としての経験史
 義勇軍経験の分析に際して必要となる「経験史(Erfahrungsgeschichte)」の方法論的確立を目指している。経験史においては「体験(Erlebnis)」概念と「経験(Erfahrung)」概念が明確に区別され、前者が現実から主体が受け取る知覚的印象、後者が前者の解釈ないし意味づけとして定義される。そして解釈に際する将来への「期待の地平(Erwartungshorizont)」を、歴史主体にとっての行為の指針として位置づけることで、「経験」を体験→解釈→期待→行為→体験…という絶えざる円環運動として捉えようとする。しかしながら、こうした理論を実際の歴史叙述にどう落とし込むかは定まっておらず、この点の解決を課題としている。

3)義勇軍経験とナチズム、コミュニズム
 ヴァイマル共和国の相対的安定期(1924-1928)から末期(1929-1933)にかけて、ナチ党内では義勇軍出身者が党首アドルフ・ヒトラーに相次いで叛旗を翻した。1926/27年にはベルリン突撃隊(SA)メンバーのハインツ・オスカー・ハウエンシュタイン(1899-1962)が、1930年には東部突撃隊指導者のヴァルター・シュテンネスがそれぞれ叛乱を起こし、「真の国民社会主義」を掲げる独自の組織を結成した。また1930/31年には、ナチ・シンパを標榜する国軍(Reichswehr)将校のリヒャルト・シェリンガー(1904-1986)と、ナチの青年ジャーナリストであるボード・ウーゼ(1904-1963)がコミュニストへの「転向」を果たした。本研究では、義勇軍経験とそれを基盤とする「暴力を辞さないアクティヴィズム(gewaltbereiter Aktivismus)」が、これらナチ党内における一連の叛逆とどのように関係しており、またコミュニズムとどのような関係を取り結んでいたのかを検討している。
 
Ⅱ.第一次世界大戦期久留米におけるドイツ兵俘虜収容所
 第一次世界大戦中、福岡県久留米市に設立されたドイツ兵俘虜収容所の世界を、「下からのグローバル・ヒストリー」の視角から再考している。日独青島戦争に勝利した日本は、列島各地にドイツ兵俘虜収容所を設立した。この俘虜収容所については、「日独友好」の美談と位置づける動きが依然として強い。そこでは徳島県の板東俘虜収容所が「模範」として称揚される一方、当時最大の規模を誇った久留米俘虜収容所については、その「劣悪な環境」が板東との対比で強調される傾向にある。本研究では、この久留米俘虜収容所において、ヨーロッパの帝国主義や民族問題・階級問題がどのように反映されたかという問題関心のもと、俘虜となったドイツ兵の日記や書簡、回顧録を新たに調査・収集・分析し、①彼らが青島戦争に参加し久留米に収容される経緯と、②「劣悪な環境」への対応、③収容所における民族問題・階級問題の噴出、そして④地域社会との交流について改めて検討することを目指している。


教育概要
Ⅰ.大学院教育
 人文科学府において、ドイツ・ヨーロッパ現代史に関する講義、ドイツ語の史料読解に中心を置いた演習、ならびに修士論文・博士論文指導をおこなっているほか、学府共通の現代文化論科目を担当している。

Ⅱ.学部教育
 文学部では、専門分野科目である講義と演習を通じて、ドイツ・ヨーロッパ現代史に関する専門的知識と、ドイツ語の史料・文献を読解するための基礎能力をみにつけさせ、卒業論文作成に向けた自分なりの問題関心の獲得を促している。また人文学科基礎科目においては、歴史学の存在意義やこれからの役割を史学史的に問い、確認する講義をおこなっている。


社会活動概要
 ドイツ史を中心とする現代史や、エゴ・ドキュメント論などについて、これまで複数の講演会やシンポジウムを企画、組織、運営してきた。

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