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濱田 浩幸(はまだ ひろゆき) データ更新日:2019.07.19

助教 /  農学研究院 生命機能科学部門 システム生物工学講座


特筆しておきたい臨床活動
■□ 医用に関係する研究 □■

システム医用工学

1.末期腎不全療法に関する研究

A.慢性腹膜透析療法
 薬物動力学、化学工学、計算機科学などを用いて、患者ごとに最適な処方を提案するコンピュータソフトウェア(PD NAVI)を開発した。
 PD NAVIは、腹膜および腎機能の尿毒素除去速度(クリアランス)、カロリーおよび除脂肪体重などの栄養指標を定量的に評価する。さらに、PD NAVIは、腹膜の物質透過性の経時変化を評価し、その推移の予想を基に、被嚢性腹膜硬化症の予防を検討する。
 腹膜透析至適処方研究会(世話人:石崎允先生・中本雅彦先生・川西秀樹先生・山下明泰先生)を設立し、全国50施設から約150症例の慢性腹膜透析患者の臨床データをご提供頂き、邦人における腹膜透析療法の至適透析量および栄養状態などを議論し、PD NAVIの妥当性および有用性を検証した。

B.慢性血液透析(濾過)療法
 血液透析器(ダイアライザー)内の中空糸膜を介する尿毒素の透析量と濾過量を解析し、透析および濾過に優れたダイアライザーを開発した。
 従来の拡散を主とした血液透析療法では、中大分子の尿毒素の除去量が不足し、透水性の高い中空糸膜を用いた血液透析濾過の実用が不可欠となってきた。化学工学および計算機科学などを用いて、コンピュータシミュレーションによりダイアライザー内の尿毒素の透析量および濾過量を解析し、濾過に伴う血液濃縮を是正する補液(希釈)量などを検討した。

C.慢性腹膜透析および血液透析の併用療法
 薬物動力学、化学工学、計算機科学などを用いて、慢性腹膜透析療法と血液透析療法を併用する患者の最適な処方を提案するコンピュータソフトウェア(PHD NAVI)を開発した。
 慢性腹膜透析療法は、加療期間の経過とともに腹膜の物質透過性が亢進し、腎機能の廃絶とともに尿毒素の除去量の不足を呈する。慢性腹膜透析療法と血液透析療法を併用する療法は、尿毒素の除去量不足を補うため1〜2週間に1度の頻度で間歇的に血液透析を実施し、体液性状の恒常性を維持する。PHD NAVIは、コンピュータシミュレーションにより体内の尿毒素の除去空間(新しい治療指標)を推定し、併用療法施行中の患者において最適な治療スケジュールを提案する。全国16施設から24症例の臨床データをご提供頂き、体内の尿毒素の除去空間の解析、血中尿毒素濃度などの推移のコンピュータシミュレーションを実施し、PHD NAVIの有用性を検証した。

2.心臓刺激伝導系の興奮波伝播モデルの構築とコンピュータシミュレーション

 異なる興奮周期を持つ複数の特殊心筋細胞と複数の固有心筋細胞を二次元平面領域に配置し、それぞれの心筋細胞に支配方程式(FitzHugh-Nagumo 方程式)と境界条件を与え、二次元興奮波伝播モデルを構築した。このモデルを用いてコンピュータシミュレーションを行い、以下のことが明らかになった。1)心筋細胞の配置に関わらず、ある興奮周期を有する特殊心筋細胞が系全体の興奮周期をその周期に引き込むペースメーカーとなる、2)ペースメーカーの興奮周期は特殊心筋細胞の不応期に支配されるしきい値で決定される、3)ペースメーカーの壊死は系に摂動を与えるが、過渡状態を経て新しいペースメーカーが出現する。この研究は、興奮派の引き込み現象を定性的に再現し、本シミュレータは、ペースメイキングシステムの調律機能を最適化する簡易シミュレーション法などへ応用できる可能性が示唆された。

3.経皮吸収薬物送達システムの皮膚内薬物透過モデルのコンピュータシミュレーション

 皮膚は脂溶性の角質と種々の酵素を含む水溶性の真皮から構成され、物質透過の阻害因子が多く、薬物を経皮吸収する場合、投与量の設定が難しい。皮膚内薬物動態を解明するため、薬物、角質、真皮、血液の各槽を配置し、薬物濃度と酵素濃度に関する非線形連立拡散方程式と境界条件を与え、経皮吸収薬物透過モデルを構築した。このモデルを用いてコンピュータシミュレーションを行い、以下の解析が可能になった。1)角質および真皮の薬物拡散速度、2)真皮の酵素濃度分布、3)薬物の血液到達所要時間。この研究は、薬物の特徴と皮膚の機能を考慮した皮膚内薬物動態の解析を可能にし、本シミュレータは、薬物投与計画を設計する数値シミュレーション法に適用できる可能性が示唆された。



■□ 自己の活動 □■

1996年〜2002年 株式会社ジェイ・エム・エス
末期腎不全療法に関する研究に従事 (中央研究所 テーマリーダ)

2000年 博士(情報工学)
「数理モデルを用いた腹膜透析法の至適処方に関する研究」

2002年〜
九州大学大学院農学研究院

2003年~
九州大学大学院システム生命科学府 (兼任)


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