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田中 俊也(たなか としや) データ更新日:2017.11.20

教授 /  言語文化研究院 言語環境学部門 言語情報講座


大学院(学府)担当

平成20年度後期、大学院共通科目 英語スピーキング(月曜2限、人環学府)

役職名

言語文化研究院教授


ホームページ
http://www.flc.kyushu-u.ac.jp/~toshiyat/english.html
教育、研究、略歴の紹介 .
取得学位
Ph.D. (Doctor of Philosophy)
専門分野
英語学、英語史、歴史社会言語学、比較言語学
活動概要
 英語の歴史学(現代英語の共時的研究を出発点にして、文献のある時代をさかのぼる通時的研究)から、英語の考古学(文献のない時代の英語の先祖語の共時的・通時的研究)へと、研究を展開しています。専門は英語学(English linguistics), 歴史社会言語学 (historical sociolinguistics), 比較言語学 (comparative linguistics) で、対象言語は英語およびその周辺言語です。名古屋大学文学研究科で修士号を取得するまで、英語学研究室にて、生成文法(generative grammar)、英語史(history of the English language)などを研究していました。その後、英語史(古英語の文献が残っているのが紀元7世紀の終わり頃からです)を超えて更に以前の時代へと進んで考察ができるようにするため、ゲルマン語比較言語学(comparative Germanic linguistics)、そして印欧語比較言語学(comparative Indo-European linguistics)を習得し、社会の中でいかにして言語が発達・変化するかを考察する、歴史社会言語学研究 (historical sociolinguistics studies) の実践に努めてきました。同時に、言語類型論(linguistic typology)にも関心を持ち続けてきました。
 その動機は、従来の「英語史」の枠組みだけでは解明できない言語現象が、英語およびその周辺言語に少なからず見られるからです。例えば、love, loved, loved と活用する規則変化(弱変化)動詞は、-dという接辞から成る歯音過去(dental preterit(e))を形成し、この特徴はすべてのゲルマン語に共通して見られます。この歯音接辞の由来について、印欧語比較言語学を理解せずに論じることは不可能です。また、drive, drove, driven と母音交替(vowel gradation or ablaut)を用いる不規則変化(強変化)動詞が何に由来するかについても、同様です。英語史の枠内に留まって古英語まで遡っても、あるいはゲルマン語比較言語学の成果に依ってゲルマン祖語まで遡っても、大別して7つの母音交替のパターンがあるということが分かるだけで、なぜそのような7つのパターンが存在するのかという問題は、解明されないまま残ります。(厳密に言えば、ゲルマン祖語での強変化第VII類動詞は、I-VI類とは異なり、母音交替に依らず、畳音によって過去単数、過去複数形を形成します。)さらに、can などの法助動詞(過去現在動詞)は、なぜ I can に対して **(s)he cans とはならず、3人称単数現在形の活用語尾 -s がない (s)he can となるのか、英語史のハンドブックには「過去形に由来する現在形だから」という説明がある程度で、なぜこれら少数の(助)動詞は過去形に由来する形を現在形として用いるようになったのか、満足な説明は得られません。このような事情で、英語学および英語史がカバーする範囲にのみ留まることなく、更に広い視野を得られるように、新たな知の枠組みを獲得して活用すべく、継続的に努力しています。
(例として上に挙げた3つの問題は、現在の最先端の印欧語比較言語学研究でも、学者間で十分に一致した説明が得られていない、困難な問題のままとなっています。他方、英語史やゲルマン語比較言語学の知識があれば、それなりに納得のいく説明が得られる事例も、もちろんあります。例えば、 foot という名詞が **foots ではなく、 feet という不規則な複数形(ウムラウト複数)を示すのは、どのような原因によるものかは、古英語の文献出現以前の時代に生じたI-ウムラウト(I-mutation or umlaut)という音韻変化を学べば、それなりの理解が得られます。)
 最近では、喉音理論(laryngeal theory)に基づいた音法則(sound laws)を基盤とする印欧語比較言語学の諸理論を適用して、形態音韻論的研究を行っています。特に、古英語ならびに古ゲルマン語の動詞システムの成立過程を、印欧欧語比較言語学の諸理論を適用して、形態音韻論的研究を行っています。特に、古英語ならびに古ゲルマン語の動詞システムの成立過程を、印欧語比較言語学の新しい理論的枠組みから考察することを行っています。そのうち、連合王国マンチェスター大学に提出した博士(PhD)学位論文では、古英語の過去現在動詞(preterit(e)-present verbs)の起源と発達について新たな説明モデルを提案し、その改定版を2011年に著書として公刊しました。この著書は、権威ある3つの歴史言語学関係国際誌において書評が(2点が英語、1点がドイツ語により)出ているのみならず、国際的に影響力の強い著作や論文(英語やドイツ語で著されたもの)で言及されています。この水準に留まることなく、今後とも、古英語および古ゲルマン語の動詞体系がいかにして生成したかを解明すべく、鋭意研究を継続したいと思います。目下は特に、強変化動詞の生成過程とヴェルナーの法則(Verner’s law)との関係について、新たな論考を構想中です。また、名詞類体系の特徴からも当該の関係に新たな光を当てるべく、考察しています。
 教育面では、伊都地区を初め九大各キャンパスにて、基幹教育(旧全学教育)「英語科目」を担当しています。「学術目的の英語」(EAP = English for Academic Purposes)に関わる授業を行っています。教材作成として、『A Passge to English: 大学生のための基礎的英語学習情報』(九州大学出版会 初版2000年~第5版第5刷2012年)、『九大英単:大学生のための英語表現ハンドブック』(研究社 2014年)の編集・執筆に携わってきました。また、現在「学術英語CALL」でのオンライン教材の一部として使われている、「英語の知識(文法問題など)」の開発・編集に平成20年(2008年)4月から平成24(2012年)年3月まで携わりました。
 広い意味での社会活動として、英語学、英文法の知見を広く伝えるための辞書作りをあげてもよいとするならば、これまでに若干その種の仕事をしました。『現代英文法辞典』(三省堂 1992年)、『現代英語正誤辞典』(研究社 1996年)、『英語学用語辞典』(三省堂 1999年)、『ワードパル和英辞典』(小学館、2001年)など、分担執筆したものが発行されました。また、平成15年度から平成18年度まで、日本国際協力センターで発展途上国からの研修生を対象とした英語によるオリエンテーション講義(日本の歴史と文化)を行いました(平成15年4月から7月まで、平成16年5月、平成18年3月、平成19年3月)。

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