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菅井 裕一(すがい ゆういち) データ更新日:2019.03.14

准教授 /  工学研究院 地球資源システム工学部門 資源システム講座


大学院(学府)担当

工学府 地球資源システム工学専攻 資源システム工学講座

学部担当



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092-802-3328
就職実績-他大学
就職実績有, 東北大学(2001〜2003)
秋田大学(2003〜2005)
取得学位
博士(工学)
専門分野
資源開発工学
活動概要
 地下に棲息する微生物を利用した環境に優しい地下資源開発手法の確立を目的として以下の4つの研究を主に進めている。

1)微生物を用いた石油の増進回収法(Microbial Enhanced Oil Recovery、 MEOR)の研究
 油層内に残留する油をさらに回収する技術(Enhanced Oil Recovery、 EOR)の一つである微生物を用いた採油増進法(Microbial EOR、 MEOR)は、比較的低コストで実施でき、環境負荷が小さく、高い採油増進効果が見込めることから注目されている。従来のMEORにおいては、油層内に圧入する微生物の栄養源として製糖工程の副産物である安価な廃糖蜜が用いられてきたが、近年ではそれがバイオエタノールやバイオガスの原料として用いられ、価格が高騰している。また、必ずしも油田の近くに製糖工場があるとは限らず、MEORに適した安価で安定供給可能な栄養源の確保が困難であり、このことがMEORの普及を妨げている原因の一つとなっている。本研究では、廃糖蜜などの栄養源の圧入を必要としないMEORの確立を目的として、残留油の一部を栄養源として利用できる嫌気性原油資化性細菌や、無機物を栄養源として利用できる独立栄養細菌を用いたMEORを検討している。
 遺伝子工学的手法を用いた国内外の油層内微生物調査結果によれば、これらの微生物は温度、圧力ならびに塩濃度などが異なる油層においても普遍的に棲息していることが明らかになっており、これらの微生物を用いたMEORの可能性が示されている。採取した油層水の中から、嫌気条件下で原油の重質成分を分解して軽質化し、その粘度を約6割程度にまで低下させるPetrotoga属の微生物の単離に成功した。同微生物による原油の分解メカニズムについて解明を進めるとともに、同微生物を用いた室内石油増進回収実験と、数値シミュレーション研究により、その採油増進効果の評価を進めている。

2)二酸化炭素の地中固定と地下微生物を利用した二酸化炭素からの地下メタン変換プロセス
 CO2の貯留サイトとして期待されている枯渇油ガス田には、CO2をCH4に変換する微生物(水素資化性メタン生成古細菌)が棲息しており,この微生物を活性化させることによって地下に圧入したCO2を再びCH4に変換してCH4鉱床を再生することが可能となる。本研究で対象としているメタン生成古細菌は、CO2とH2からCH4を生成するため、同微生物にH2を供給する方法がCO2のCH4への変換を促進させるのに重要である。既往の油層内微生物調査によれば、枯渇油ガス田には原油を分解して水素を生成する原油資化性水素生成菌も棲息しており、同菌の水素生成を活性化することによってCO2のCH4変換を促進することができる。本研究ではとくに原油資化性水素生成菌に着目して,その水素生成の活性化条件等について検討している。
 国内外の油田で採取した油層水に原油を添加して培養するとH2やCH4が生成し,さらにこれらの培養液からThermotoga属の微生物など,複数種の有望な水素生成菌が分離された。これらの微生物や油層水を用い,実際のCO2地中貯留が適用された油層条件を考慮して,高CO2分圧条件下や多孔質媒体内での培養実験を行ない,それぞれにおいてH2やCH4の生成が認められ,微生物によるCH4鉱床の再生可能性が示されている。さらにCO2のCH4変換反応を促進するための条件因子について検討している。

3)油層内における硫酸塩還元菌による硫化水素の生成に関する研究
 石油を回収するために水を油層内に圧入する方法(水攻法)が実施されているが、水の圧入によって油層内の温度が低下したり、圧入水(海水)中に含まれる硫酸塩によって、油層内において硫酸塩還元菌(Sulfate-Reducing Bacteria, SRB)が活性化し、硫化水素を生成する可能性が考えられている。SRBが油層内において生成する硫化水素の量によっては、生産設備において生産障害対策を必要としたり、産出油・ガスの脱硫設備の強化などを必要とするため、水圧入に伴うSRBによる硫化水素の生成がどの程度であるかなどについて、事前の調査が重要である。
 本研究においては、実際の油層中に棲息しているSRBを調査し、その硫化水素生成可能性およびメカニズムを明らかにしている。また、油層水や圧入水を用いた培養実験結果から、SRBの増殖挙動ならびに硫化水素の生成挙動を数式化して、これらを導入した数値シミュレータを構築して、水圧入による硫化水素の発生可能性の検討とその抑制方法について、数値実験を通じて検討している。

4)水溶性天然ガスかん水の地下還元に影響を及ぼす地下微生物に関する研究
 水溶性天然ガスおよびヨウ素の生産を目的としたかん水の生産による地盤沈下を抑制するために、これらの地下資源を回収した後のかん水は再び還元井から地層中へ還元されているが、還元井の周辺に閉塞物質が生じ、その還元性が低下するため、適時逆洗処理が施されて還元性が維持されている。かん水をより効率良く還元するために閉塞物質の生成を抑制する方法が検討されている。閉塞物質の中にはバイオフィルムのような微生物が関与して生じたと思われる物質の存在が認められており、一部の閉塞物質の生成に微生物が関与している可能性が考えられる。遺伝子工学的手法を用いたかん水中の棲息微生物の調査によれば,とりわけ還元井の逆洗によって生産されたかん水や,同坑井の坑底試料から,硫酸還元菌や硫黄酸化細菌が優勢的に検出されている。すなわち,これらの微生物が還元井周辺において相利共生している可能性が示唆された。生産かん水からヨウ素を抽出するプロセスにおいて添加されている硫酸や酸化剤に起因する硫酸塩や溶存酸素が還元かん水中には含まれており,これらが上述した微生物の増殖を活性化してバイオフィルムなどを生成させた可能性が示唆された。この仮定に基づいて,硫酸塩や溶存酸素の条件を変化させたカラム実験を行ない,還元井の微生物による閉塞に及ぼすこれらの物質の影響を考察している。

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