九州大学 研究者情報
発表一覧
荻島 正(おぎしま ただし) データ更新日:2021.04.18

准教授 /  理学研究院 化学部門 有機生物化学


学会発表等
1. 荻島 正, 膵β細胞におけるステロイドの多様な機能「ステロイド代謝の基本概念からの深化と再構成 」シンポジウム, 第93回日本生化学会大会 , 2020.09, ステロイドホルモンは中枢系などの支配を受けて特定の臓器で合成され、全身的(システミック)な輸送を経て標的細胞で作用するというのが内分泌学の定説である。しかし、この定説から逸脱する事実が近年の研究により発見されている。ニューロステロイドに代表される非全身的(ノンシステミック)ステロイドは、脳、骨格筋、唾液腺さらには膵β細胞で局所的に産生され、パラクライン・オートクライン的に働き、記憶や行動、さらに細胞ストレス対応など全身型とは異なる機能も示している。合成酵素の触媒能においても位置選択的な反応制御について構造生物学的な解析が行われ、臨床領域では質量分析装置や次世代シーケンサーなどによる詳細な解析によりステロイド産生異常症における機構解明が進んでいる。さらに下位脊索動物を用いた分子進化的研究により、脊椎動物固有のステロイドホルモン発生の謎の解明も行われようとしている。本シンポジウムでは、最新の研究をもとに従来の概念にとらわれない新たなステロイド研究の議論を深め、さらなる発展を目指す。というシンポジウムの主旨で、膵β細胞においては、インスリン合成から発生する小胞体ストレスにブレーキとアクセルを異なるステロイドが担うことを明らかにした。.
2. @荻島 正、#榎 剛史, 膵β細胞が合成するステロイドの機能, 第92回日本生化学会大会, 2019.09, 膵臓β細胞には、ステロイド合成を触媒するほぼ全てのシトクロムP450とステロイドを変換する酵素が存在し、さまざな種類のステロイドホルモンが作られている。これらはオートクラインまたはパラクライン的に自身の細胞または他の膵島細胞に作用しているが、その機能、すなわち、内分泌ステロイドとは別に膵臓β細胞がステロイド合成をする意義はまだよくわかってしない。これを明らかにするために、ラットβ細胞由来の樹立細胞株であるINS-1を用いて 膵ステロイドの機能解析をしている。膵β細胞は分泌タンパク質であるインスリンを大量合成するために常に小胞体ストレスおよび酸化ストレスに曝されている。Tapsigargin (Tg)で小胞体ストレスを実験的に惹起させるとINS-1の細胞死が引き起こされるが、この細胞死を糖質コルチコイドであるコルチゾールが抑制し、小胞体ストレスマーカーであるCHOPの発現も抑えることがわかっている。齧歯類副腎皮質には17α水酸化酵素が存在しないために、ラット血中糖質コルチコイドはコルチステロンである。そこで、コルチステロンの細胞死およびCHOP発現を調べたところ、効果はあったが、それはコルチゾールよりも弱かった。培地中のコルチゾール検出には、細胞への薬物代謝のP450を阻害する薬剤添加が必要で、阻害剤存在下ではコルチゾールのINS-1細胞での合成も微量ながら確認でき、その量はTG処理により増大した。膵β細胞はコレステロール側鎖切断反応以下、3β水酸化酸化、21-水酸化、17α-水酸化および11β-水酸化酵素により、血中には存在しないコルチゾールを敢えて合成し小胞体ストレスに抵抗し、役割が終えたコルチゾールを、薬物代謝P450で不活化または別の機能を持つ誘導体に速やかに変化させていると考えられる。一方、アンドロゲンはTGによるINS-1のCHOP発現を高めた。そこで、アンドロゲン受容体阻害剤存在化で、TGをINS-1細胞に添加したところ、その小胞体ストレス効果が緩和されるとともにコルチゾール合成も増加した。膵β細胞が合成するステロイドには抗ストレス作用だけではなく、ストレスを高める効果や他のステロイド合成を調節するものが存在し、複雑な作用を及ぼしていると考えられる。.
3. 荻島 正, 膵β細胞における非内分泌型ステロイドの合成とその役割, 第91回日本生化学学会, 2018.09, 特定の臓器のみで作られたステロイドホルモンが血流で全身に運ばれ、 特定の細胞の核内受容体と結合し、特定のタンパク質の発現を促進する ことは内分泌学の基本概念である。内分泌器官としての特質を決定して いるのは、合成に特化しているシトクロムP450分子種が臓器特異的に存 在し、ステロイドの種類を限定するからである。ところが、従来の内分 泌器官ではない細胞にもステロイド合成性シトクロムP450が見つかり、 非内分泌型ステロイド合成をおこなっていることが見つかった。膵臓β 細胞もそのひとつで、ほぼ全てのステロイド合成性シトクロムP450と脱 水素酵素および還元酵素が存在している。膵臓β細胞は膵臓の1%程度で、 これが合成するステロイドは血中で速やかに希釈され、即時に門脈から 肝臓に入り分解を受けるため、膵ステロイドはオートクラインまたはパ ラクライン的に自身の細胞か精々他の膵島(ランゲルハンス島)細胞に 作用していると考えられる。膵臓β細胞でのステロイド合成の意義を明 らかにするために、ラットβ細胞由来の樹立細胞株であるINS-1を用いて 膵ステロイドの機能解析をした。ステロイド添加や合成阻害は細胞形態 や生育等には顕著な影響を与えないが、Tapsigargin (Tg)により誘発さ せた小胞体ストレスが引き起こすINS-1の細胞死が、ステロイド17α水酸 化/リアーゼを阻害するAbiraterone (Ab)により増強された。Tg誘発性の 小胞体ストレスによる細胞死は転写因子であるCHOPにより仲介される が、Tgが誘導するCHOPの発現もAb添加により増強された。Abによる細胞 死の増強およびCHOP誘導増強はともにステロイド17α水酸化/リアーゼ (CYP17A)で阻害されうるコルチゾールの添加で緩和されることから、 CYP17Aで合成触媒されるステロイドが小胞体ストレス緩和に寄与するこ とが示唆された。INS-1細胞のステロイド合成はアロマターゼ阻害剤であ るLetrozole (LTZ)添加でコルチゾールが検出できた。アロマターゼはコ ルチゾール合成には関与しないので、LTZの効果はミクロソームの薬物代 謝性シトクロムP450による水酸化の阻害であると考えられた。そこで、 別の作用で薬物代謝を阻害するQuinidine をさらに培地に加えたとこ ろ、CYP17Aによって合成触媒されるテストステロンが検出された。INS-1 細胞をTG処理すると細胞死が誘発されるが、生き残った細胞はステロイ ドを合成し続けるするため、少なくとも膵ステロイドは小胞体ストレス 緩和かそこからの回復に必要なものと考えられる。内分泌型ステロイド 同様に、膵ステロイドも合成と分解(不活化)を受けるが、それは同一 細胞によってなされることが示唆された。.
4. 荻島 正、榎 剛史、樋口 貴大, 膵β細胞における非内分泌型ステロイドの産生と機能, 第90回日本生化学会大会, 2017.12.
5. 荻島 正, 樋口 貴大, 堤 かおり, 小胞体ストレスに対応する膵臓ノンシステミックステロイド, 第89回日本生化学会大会, 2016.09, 膵臓β細胞に、糖質コルチコイドとアンドロゲン合成に関与するシトクロムP45017α,lyase(CYP17)が存在することを免疫組織化学的解析から、さらにステロイド合成に関与するほとんどすべてのシトクロムP450とステロイド酸化還元酵素の発現を定量的PCRで我々は明らかにしている。特定の合成酵素のみが存在する古典的または既知の内分泌細胞とは異なり、β細胞では多数の合成酵素が存在するため、多種多様なステロイドが合成されうる。しかも、これらは血流を経て全身に作用するのではなく、合成細胞もしくはその周辺細胞のみに効く、従来の概念を超えたノンシステミックステロイドであると考えられる。ラットβ細胞由来の樹立株であるINS-1細胞に対し、CYP17の特異的阻害剤であるAbiraterone (Ab)は単独では効果を示さないが、小胞体ストレスを引き起こすThapsigargin (TG)と同時に添加すると、TGによる細胞死を増強し、CYP17が合成を触媒するステロイドを添加すると、その増強効果が緩和されることから、膵臓β細胞で合成されるステロイドは、インスリン分泌において不可避な小胞体ストレスに対処する役割を果たしていることが予想されている。そこで、膵臓ノンシステミックステロイドと小胞体ストレスとの関係を細胞死誘導に関わる転写因子であるCHOP発現を指標に解析した。【結果】低濃度のTGは細胞死と同時にCHOP発現を誘導した。このときAbを加えると細胞死が増強されると同時にCHOP発現も増大した。CHOP発現を指標に、ステロイドの効果を解析した結果、ともにAbで合成阻害されうるステロイドであるコルチゾールとエストロゲンにCHOP発現抑制と細胞死阻止効果が強かった。定常状態(TG無添加)におけるCHOP発現もこれらステロイドで抑制された。性質の異なる細胞群の集合体であるINS-1細胞に高濃度TG処理を繰り返し、生き残った細胞からTG耐性のINS-1細胞亜株を得た。選択前のINS-1細胞がTG濃度依存的にCHOP発現を増加させるのに対し、このTG耐性細胞は、TG添加でもCHOPが増えず、TG濃度依存的CHOP発現も示さなかった。このTG耐性細胞はステロイド合成能が極めて高く、培地ml当たりナノモル単位のプロゲステロンのほかに、多量のアンドロステンジオンおよび11-デオキシコルチゾールとUV-検出限界を超える量のコルチコステロンを合成した。【考察】膵臓β細胞は、小胞体ストレスや酸化ストレスなど生死に関わる緊急時に、またはストレスによる損傷からの回復時に、内分泌系から独立した即効かつ効率効なノンシステミックステロイドの合成をおこない、ストレスを緩和している可能性が示唆された。.
6. 荻島 正, 樋口明弘, 堤 かおり, ストレス応答に関与する膵臓ノンシステミックステロイド, BMB2015(第38回日本分子生物学会年会、第 88回日本生化学会大会合同大会), 2015.12, 膵臓β細胞がステロイド合成シトクロムP450と関連する酸化還元酵素を発現し、ステロイドを合成することを我々は見い出している。β細胞ステロイドは、多数の合成酵素が存在するために、種々のステロイドが合成される可能性があること、全身に作用するのではなく、極微量が合成細胞もしくはその周辺細胞のみに効くノンシステミックステロイドであると考えられ、機能も従来(内分泌)型とは異なると予想される。膵臓ノンシステミックステロイドの機能を明らかにするために、ラットβ細胞由来の樹立株であるINS-1細胞を用いて、その効果を解析した。【結果】INS-1細胞は通常の培養条件ではほとんどステロイドを合成・分泌しない。しかし、小胞体ストレスを誘発することで2型糖尿病モデル作成に使われるThapsigargin (TG)を培地に添加すると、培地中にProgesterone (PROG)およびAndrostenedione (ANDO)の分泌が見られた。TGは数十ナノモル程度では急速な細胞死を引き起こさないものの、アンドロゲンおよびコルチゾール合成に必須な17α-水酸化/リアーゼを強力に阻害剤するAbiraterone (Ab)を培地に加えたところ、細胞は急速に死滅した。このとき、部分的ではあるがTestosteroneと17α-水酸化PROGとの混合物が細胞死を抑えた。PROGやアンドロゲンの単独添加では、少なくとも細胞の生育や維持には有意な効果が観察されなかった。高濃度(マイクロモル)のTGでは、細胞は24時間以内にほとんど死滅するが、一部が生き残る。そこで、生き残った細胞を繰り返し高濃度TG処理することにより、INS-1細胞集団のなかから、TG耐性細胞を選択した。TG耐性細胞はもとの細胞に比べ、ステロイド合成・分泌が有意に多いことが判明した。【考察】膵臓β細胞は、小胞体ストレスや酸化ストレスなど生死に関わる緊急時に、またはストレスによる損傷からの回復時に、内分泌系から独立した効果的なノンシステミックステロイドの合成をおこない、ストレスを緩和する、または回復を促進している可能性が示唆された。.
7. 荻島 正, 中村 祐貴, 堤かおり, 細胞ストレスに応答する膵島ノンシステミックステロイド, 第87回日本生化学会, 2014.10, 膵臓β細胞がステロイド合成に関与するシトクロムP450をはじめとする酵素群を発現し、種々のステロイドを合成することを我々は見い出している。β細胞のステロイドは、古典的内分泌細胞で作られる従来型のステロイド同様に、コレステロールから種々の水酸化および酸化還元を経て合成がなされ、その結果できたステロイドは極微量であるため、全身に作用するのではなく、合成細胞もしくはその周辺細胞のみに効く生理活性物質であると考えられる。そのようなステロイドを内分泌型と区別するために、ノンシステミックステロイドと呼んでいる。しかし、何故、グルコースセンサーを有し、本来インスリンを分泌することに特化しているβ細胞が血中のステロイドを使わずに、敢えて自前でそれらを合成するのかは、現時点ではほとんどわかっていない。そこで、ラットβ細胞由来の樹立株であるINS-1細胞を用いて、膵臓ステロイドの機能を調べた。培養液中に含まれるウシ胎児血清(FBS)中のステロイドの効果を排除するために、実験にはデキストラン被覆活性炭処理したFBSを用いた。【結果】INS-1細胞の生育・増殖は活性炭処理の有無に左右されず、細胞は培地中にProgesterone (PROG)およびAndrostenedioneを分泌した。なお、INS-1細胞には5α-還元酵素が多量に発現しているため、酵素活性阻害剤であるFinasterideを添加してHLPC/UVでステロイドを分離・検出している。ステロイドの添加では、少なくとも細胞の生育や維持には有意な効果が観察されなかった。糖尿病発生モデルに使われるβ細胞に小胞体ストレスを与えるThapsigargin (TG)は、数十ナノモル程度では急速な細胞死を引き起こさないものの、アンドロゲンおよびコルチゾール合成に必須の17α-水酸化/リアーゼの阻害剤であるAbiraterone (Ab)を培地に加えたところ、細胞がほとんど死滅した。このとき、Testosterone/17α-OH-PROGが部分的ではあるが細胞死を抑えた。TG添加はINS-1細胞のステロイド合成に関わるP450および水酸化ステロイド還元酵素のmRNAを劇的に変動させ、さらにAbもmRNAの変動に関与することが判明した。【考察】1型糖尿病モデルに使われるStreptozotocinでも同様の変化が見られることから、膵臓β細胞でのノンシステミックステロイド合成は、通常の細胞の生育や維持には必須ではないが、小胞体ストレスや酸化ストレスなどに抗するため、または生死に関わる緊急時に必要なため、ストレスに応じて合成酵素の発現を調節し、効果的なステロイドの合成をおこなっている可能性が示唆された。.
8. 荻島 正, 中村 祐貴, 原田 直樹, 樋口 明弘, 向井 邦晃, 三谷 芙美子, 末松 誠, 膵臓β細胞の機能維持に関わるノンシステミックステロイド, 日本生化学会, 2013.09, 従来からアンドロゲンによる糖尿病抑制効果に関する研究・報告例があるが、全てが血中由来のステロイドの作用を前提としているため、ステロイドに関連した治療や予防はもちろん、本格的基礎研究も皆無に近い。一方、膵臓β細胞がステロイド合成に関与するシトクロムP450をはじめとする酵素群を発現し、種々のステロイドを合成することを我々は見いだし、量的および合成場所的観点から、それらが自己または周辺内分泌細胞に局所的に作用するノンシステミックステロイドであると考えている。しかし、現時点では生理機能や合成制御に関してはほとんどわかっていない。そこで、β細胞由来の樹立株であるINS-1細胞を用いて、膵臓ステロイドの機能を調べた。INS-1細胞はポリスチレンプレートに定着し増殖するが、ゼラチンコートプレート上で培養すると、増殖停止、浮遊、集合化し、ランゲルハンス氏島(ラ氏島)と酷似した球状の細胞塊となる(疑似ラ氏島)。疑似ラ氏島はINS-1細胞が喪失したインスリンのグルコース応答を回復すると同時に、ステロイド産生も増加させた。INS-1細胞はストレプトゾトシン(STZ)抵抗性を示すが、疑似ラ氏島では感受性になり、細胞塊が小片化し一部崩壊する。このとき、アンドロゲンを大量に合成した。INS-1細胞は活性炭処理血清培地中では増殖できない。培地にジヒドロテストステロンまたはプレグレノロンを添加すると増殖し、コルチゾールでは増殖しないことから、INS-1細胞の増殖にはアンドロゲンが必須であり、エストロゲンは不要であることが判明した。β細胞は生体内では酸化ストレス以外にも小胞体ストレスに晒されており、単離ラットラ氏島にタプシガルギン(TG)を添加し、小胞体ストレスを惹起すると、ラ氏島の形態が崩れ、崩壊へと向かうが、アンドロゲンはこの作用を緩和した。このように、β細胞自身が作るステロイドは、自身の細胞の維持や障害防止に機能していることが見いだされ、膵臓が作り出すノンシステミックステロイドの姿が漸く見えてきた。.
9. 荻島 正, 上村修平, 樋口明弘, 向井邦晃, 三谷芙美子, 末松 誠, 膵臓局所ホルモンの合成と機能, 日本生化学会大会, 2012.12, 膵臓では、ステロイド合成に必要なシトクロムP450とP450還元酵素に加え、ステロイド酸化還元酵素がβ細胞に存在するが、これらは他のランゲルハンス島(ラ氏島)細胞には存在しない。β細胞で合成・分泌されたステロイドは、古典型、すなわち全身型とは異なり、自己または周辺内分泌細胞に局所的に作用すると考えられる。しかし、現時点では生理機能や合成制御に関してはほとんどわかっていない。ラット膵臓から単離したラ氏島は、初代培養下で内在性コレステロールから全く機能の異なるステロイドであるアンドロゲンと糖質コルチコイドを合成し培地に分泌する。同一細胞がアンドロゲンと糖質コルチコイドを同時に合成することは古典的ステロイド合成細胞では見られない特徴である。ラットβ細胞由来の樹立細胞(インスリノーマ)であるINS-1細胞はインスリン合成能は残しているがグルコース応答能をなくしている。この細胞は、ポリスチレンプレートには定着するが、ゼラチンコートプレート上では浮遊、集合化し、形態的にはラ氏島と酷似した球状の細胞塊となる(疑似ラ氏島)。定着性INS-1ではほとんどみられなかったステロイド合成が、疑似ラ氏島化させた細胞では有意にみられ、しかもその合成はcAMPにより増大した。β細胞のステロイド合成も、古典的ステロイド産生細胞同様にcAMP制御を受けているとみなされる。ラットの単離ラ氏島は培養後、速やかにステロイド合成を止める。これは、ステロイド合成に関与するシトクロムP450mRNA発現量の減少と一致する。また、マウスのラ氏島はラットと異なり単離後、急速に死滅する。アンドロゲンと糖質コルチコイドは少なくとも単離マウスラ氏島の生存率向上に寄与することが判明した。さらに、小胞体ストレスにより2型糖尿病を引き起こすタプシガルギンの単離ラットラ氏島への効果を、ステロイドが緩和することを見いだした。すでに明らかにしているように、2型糖尿病モデルラットであるZDF (Zucker Diabetic Fatty)のラ氏島では、ステロイド合成酵素量が対象に比べ減少している。ZDFラットにおける2型糖尿病発症の原因は、インスリン耐性を補償するために、過度のインスリン合成によるβ-細胞のストレス疲労によるとされている。本研究結果は、膵臓局所ステロイドが、β-細胞の品質維持に関わっていることを強く示唆するものである。.
10. 荻島 正、樋口明弘、山崎 岳、三谷芙美子、向井邦晃、末松 誠, β-細胞が作る膵臓局所ステロイド, 日本生化学会大会, 2011.11, β-細胞におけるステロイド合成酵素の発現とステロイド合成の変化およびステロイドの機能.
11. 荻島 正 上村 修平 弓削 達郎 久下 理 樋口明弘 伊藤香織 向井邦晃 三谷芙美子 末松 誠, 2型糖尿病モデルラットのランゲルハンス島におけるステロイド合成酵素の発現, 日本生化学会, 2010.12.
12. 荻島 正 上村 修平 向井邦晃 三谷芙美子 末松 誠, 2型糖尿病モデルラット副腎球状層におけるCYP17aの発現, 日本生化学会, 2010.12.
13. 吉野和寿、三谷芙美子、向井邦晃、末松 誠、宗綱栄二、山崎 岳、荻島 正, 膵臓β細胞におけるステロイド合成, 日本ステロイド学会, 2009.11, [URL].
14. 吉野和寿、三谷芙美子、向井邦晃、末松誠、宗綱栄二、山崎 岳、荻島 正, 膵臓β-細胞のシトクロムP450と局所ステロイド, 日本生化学会, 2009.10, [URL].
15. Kazuhisa Yoshino, Fumiko Mitani, Kuniaki Mukai, Makoto Suematsu, Eiji Munetsuna, Takeshi Yamazaki, and Tadashi Ogishima, Local steroidogenesis in pancreatic beta-cells, 16th International Conference on Cytochrome P450, 2009.06, [URL].
16. 西本 紘嗣郎、中川 健、大家 基嗣、三上 修治、荻島 正、末松 誠、向井 邦晃、, アルドステロン産生細胞の同定による副腎皮質病理診断法の改良, 2009.04.
17. Kazuhisa Yoshimo, Eiji Munetsune, Takeshi Yamazaki, Fumiko Mitani, Kuniaki Mukai, Makoto Suematsu, Tadashi Ogishima, 膵臓β-細胞が産生する局所ステロイドの合成と機能, 日本生化学会・日本分子生物学会(BMB2008), 2008.12.
18. 荻島 正、吉野 和寿、三谷 芙美子、末松 誠、山崎 岳、宗綱 英二、小南 思朗, 膵臓β-細胞におけるアンドロゲン合成, 第30回日本分子生物学会・第80回日本生化学会合同大会, 2007.12.
19. Tadashi Ogishima, Fumiko Mitani, and Makoto Suematsu, Steroidogenic Cytochrome P-450’s in Pancreatic Beta-cells and their Local Steroidogenesis., The 15th International Conference on Cytochromes P450 - Biochemistry, Biophysics and Functional Genomics, 2007.06, [URL].
20. Tadashi Ogishima, Fumiko Mitani, and Makoto Suematsu, Functions of Outer Mitochondrial Membrane Cytochrome b (OMb) in Biosynthesis of Bioactive Lipids, 第79回日本生化学会大会, 2006.06.
21. Tadashi Ogishima, Fumiko Mitani, and Makoto Suematsu, EXPRESSION OF STEROIDOGENIC CYTOCHROME P-450’S AND THEIR STEROIDOGENESIS IN OTHER TISSUES THAN CLASSICAL ENDOCRINE GLANDS, Microsomes and Drug Oxidations 2006, 2006.09.
22. Ogishima T., Mitani F., & Suematsu M., Novel Physiological Roles of Outer Mitochondrial
Membrane Cytochrome b in Brain and Peripheral Glands., Microsomes and Drug Oxidations 2004, 2004.07.
23. Ogishima, T., Mitani, F., Suematsu, M., & Kawato, K., ミトコンドリア外膜シトクロム(OMb)は不飽和化反応電子伝達および ステロイド 合成活性化における真の因子か?, 第78回日本生化学会大会, 2005.10.

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