1. |
T.K.Roy, D.Chakraborty, A.Ashir, G.Mansfield, 白鳥 則郎, インターネットトラフィックデータの特性, 情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS), Vol.2000, No.102, pp.75-80, 2000.11, インターネットのトラフィックデータには、長期的なタイムスケールで見た場合に、非常に大きな変化性とバースト性があることが知られており、トラフィックの多少の周期が明確ではない。しかし、トラフィックデータには自己相似性があり、これを用いることによってトラフィックデータの特性抽出を行うことができる。自己相似性は、観測のタイムスケールによって変化する、ある統計学的量により表現される。そこで我々は、本研究室で得られたトラフィックデータをもとに、この自己相似性の尺度である以下の値の計算を行った。i)分散:観測の時間周期による分散の減少を見ることにより、自己相似度を示すパラメータ(β)が得られる。ii)自己相関係数:自己相関係数はタイムスケールの変化に伴い非常にゆるやかに減衰し、それ自身が自己相似性を示す、自己相似性の尺度の一つである。iii)ハーストパラメータH:ハーストパラメータは、トラフィックデータに対しrescaled rangeを行うことにより得られる自己相似性の尺度の一つである。また、トラフィックデータがその部分周期においても相似性を示す場合には、そのデータはフラクタル性をも示す。しかし、インターネットのトラフィックデータに関する自己相似性に関しては様々な研究があるが、フラクタル性についてはほとんど研究されていない。そこで本稿では、フラクタル性についても議論し、自己相似性との関連について述べる。The Internet traffic data have been found to possess extreme variability and bursty structures in a wide range of time-scales, so that there is no definite period of busy or silent periods. However, there is a self-similar feature which makes it possible to characterize the data. Self-similarity is expressed in terms of the different statistics varying with the time scale of observation. We give a brief description of those we have calculated to determine the self-similarity of the Internet traffic data obtained in our laboratory. These are i) Variance, the decrease of which with the time scale of observation gives a parameter (β) to specify the degree of self-similarity, ii) Autocorrelation, with a very slow decay rate and itself showing self-similar features and iii) Hurst parameter H, another independent measure from the rescaled range of the data. The similarity of the data in a sub-period and its finer intervals leads to the possibility of the data to posses fractal characteristics also. Although extensive works have been done on the self-similar features of Internet traffic data, there has not been much on this aspect, which can exist in both the time and space scales. Here we attempt to provide a description of the fractal characteristics associated with such a self-similarity.. |
2. |
Ashir Ahmed, Fumihiko Yokota, Mariko Nishikitani, Kimiyo Kikuchi, Rafiqul Islam, Hasib Rashid, Impact Report on the 3rd International Conference on Healthcare, SDGs and Social Business, 2020.06. |
3. |
Ashir Ahmed, 社会ニーズに基づく技術開発と日本への期待, 電子情報通信学会誌, 2011.01, 新たな技術を用いて製品を開発する際,開発者は市場 の要求を考慮するが,それは社会全体から見るとごく一 部からの要求にすぎない.貧困層を含む社会全体の要求 を開発者が完全に把握することは難しく,製品開発のプ ロセスにおいて社会的な問題の解決の優先順位は低い. 九州大学(九大)では様々な分野において社会ニーズに 基づいた技術及び製品の新しい開発プロセスの研究に取 り組んでいる.開発途上国を対象とした社会情報基盤の 研究開発もその一例である.本稿では,これまでの先端 技術の研究や製品開発プロセスの現状を取り上げ,社会 ニーズに基づいた開発プロセスとの差異を説明する.そ して社会ニーズに基づいた開発とは何かを検討し,九大 が開発した幾つかのプロトタイプを紹介する.更に,新 たな技術開発の流れにおける日本への期待についても述 べる. 九大が取り組む開発途上国を対象とした社会情報基盤 の研究開発は,バングラデシュを実証実験のフィールド としている.この研究のためにバングラデシュのグラミ ン・コミュニケーションズと 2007 年に協定を締結した. 2008 年 1 月,安浦寛人教授(九大理事・副学長)がバ ングラデシュを訪れ,情報通信技術(ICT)の現状を調 査した.彼はそのときの感想を次のように述べている. 「村には水道,ガス,電気などのインフラがないのに, 人々は携帯電話を利用していることに驚いた.電気のな い村では太陽エネルギーを導入している.太陽エネルギーによって携帯電話やコンピュータを動かし,海外の 情報さえも入手している.」この言葉は,途上国におけ る技術利用についての事実を端的に表現している (1). 途上国において,インフラ整備の流れは,これまで先 進国が経験したそれとは大きく異なる.途上国の人々は 先進技術の力を理解し,それを求めている.インフラや 制度が整うのをただ待つことはなく,積極的に導入し利 用を開始する.先進国では,既存の複雑なインフラに新 しい技術を適応させ,利用の法整備を行うために時間と 費用を要する.一方,インフラや法律が未整備な途上国 では,最新の技術を時間をかけずに受け入れる余地が大 いにある.そこには既存のシステムとの適合性の確認な どの問題はない.そのため途上国は,大学の研究者や企 業による先端技術を用いた製品やサービスの開発と,そ れらを実際の社会において実証実験する機会を提供でき る. 数々の技術が途上国でも製品として応用されている が,人々の生活の改善に結び付いていないことも多い. 現在,世界では約 30 億人が,1 日 2.5 ドル以下で生活 している.16 億人は電気のない暮らしをしている.ま た約 11 億人が十分な水へのアクセスができない状態に ある(2).途上国の人々が直面する問題の多くは技術に よって解決できる.では人々が不便な暮らしを強いられ ている背景にはどのような原因が隠れているのだろう か.それは技術なのか,政策か,それともマーケティン グなのか.現状を少しでも改善する余地があるかどうか を知るために,私たちは技術と製品開発プロセスに焦点 を当てる.そして,私たちが取り組んでいる社会ニーズ に基づいた製品開発の枠組みを紹介しながら,現在の開 発プロセスの弱点について検討する.. |