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Mitsunao Tomioka, Masako Hosoi, Tomona Okuzawa, Kozo Anno, Rie Iwaki, Hiroshi Kawata, Chiharu Kubo, Nobuyuki Sudo, The effectiveness of Pictorial Representation of Illness and Self Measure (PRISM) for the assessment of the suffering and quality of interpersonal relationships of patients with chronic pain., BioPsychoSocial medicine, 10.1186/s13030-021-00223-0, 15, 1, 22-22, 2021.11, BACKGROUND: Pictorial Representation of Illness and Self Measure (PRISM) is a tool that can be used to visualize and evaluate the burden of suffering caused by an illness. The aim of this study was to identify which aspects of the burden of chronic pain patients are associated with Self/illness separation (SIS), an indicator of the magnitude of suffering. We also examined the effectiveness of PRISM for evaluating changes in the relationships between patients and their medical care and significant others due to our inpatient treatment. METHODS: Seventy-two patients with chronic pain who were outpatients or admitted to the Department of Psychosomatic Medicine completed PRISM, depression and anxiety scales, and three types of pain-related self-assessment questionnaires (Brief Pain Inventory, Short-form McGill Pain Questionnaire, and Pain Catastrophizing Scale). Outpatients were queried at the time of outpatient visits and inpatients at the time of admission. In addition to PRISM disks related to illness, we asked each patient to place disks related to things important to them and their medical care. Of the inpatients, 31 did PRISM at the time of discharge. Among the reported important factors, which significant other was placed at the time of admission and discharge was evaluated. The distances of self/medical care separation (SMcS) and self/significant others separation (SSoS) were measured. RESULTS: Of the 21 scales measured, 10 showed a significant correlation with SIS. Factor analysis of these 10 scales extracted three factors, Life interferences, Negative affects, and Pain intensity. The SMcS and SSoS distances were shorter at discharge than at admission. CONCLUSIONS: PRISM for patients with chronic pain is an integrated evaluation method that reflects three aspects of pain. By adding medical care and significant others to the usual method of placing only illness on the sheet it became possible to assess changes in the quality of interpersonal relationships.. |
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リラクセーション法 ストレス関連疾患あるいは心身症では、心理社会的要因により否定的な情動や身体的緊張が持続するため、持続、増悪するメカニズムが存在する。リラクセーション法はストレス刺激による心理・生理的反応を緩和・緩衝する技法である。広義には心身医学領域で用いられている心理療法全般が含まれることになるが、ここでは身体的緊張を改善する目的で用いられている技法に焦点を絞る。心身医学領域で用いられている主な技法には、漸進的筋弛緩法、自律訓練法、バイオフィードバック法、呼吸法などがある。これらの技法がストレス関連疾患の治療に用いられる場合には、リラックス状態を得ることに加え、心身の状態への気づきを高めること、セルフコントロール力を身につけること、再発を防止することまでを視野に入れて指導が行われる(松岡、2006)。講習会では、代表的な技法の概略を示し、治療の中でどのように用いられているのかを解説した。(著者抄録). |
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線維筋痛症の心身相関と全人的理解 線維筋痛症の心身相関と全人的アプローチのための病態メカニズムの理解 線維筋痛症は病態が未解明な部分が多いが、独特な心理特性、免疫学的異常、脳機能異常、自律神経機能異常など多面的な病態が近年の研究で報告されている。本稿では、九州大学病院心療内科での治療経験をもとに、ペーシングの異常、受動的な自己像が構築される背景と過剰適応・過活動、安静時脳活動の異常について、線維筋痛症における心身相関と全人的アプローチの理解促進のために、病態メカニズムの仮説について概説した。線維筋痛症では、default mode networkと呼ばれる無意識的な脳活動が島皮質と第2次感覚野と強く連結しているといわれており、これが中枢性の痛みとして、過活動に伴う筋骨格系の痛みや自律神経機能異常といった末梢性の痛みと合併し、複雑な心身医学的病態を構成していると考えられる。ペーシングを調整し、意識と前意識や無意識の疎通性を増すための線維筋痛症患者に対する全人的アプローチが多くの心身医療の臨床現場で発展することが望まれる。(著者抄録). |
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慢性疼痛患者の心身医学的治療における自律訓練法の効果 慢性疼痛患者の心身医学的治療における自律訓練法の効果について検討した。心療内科に入院した慢性疼痛患者にリラクセーション目的でATを導入したところ、心身の緊張緩和の改善に加え、心理的葛藤の言語化が促進された2症例(症例1:50歳代後半女、症例2:50歳代前半女)の経過を報告し、治療の奏功過程と機序について考察した。2症例とも、ATによって痛み以外の身体感覚やリラックス感への気づきが得られ、身体・心理的な感覚を客観的に観察することで『痛みへのとらわれ』から『痛みとの共存』へと、痛みの認知が変化した。また、AT導入以前には語られなかった内面的苦悩の気づきが促進されるなかで強い抑圧感情が解放され、言語化されたことで、痛みの「感情成分」が分化し、痛み感情に対する対処が可能になったと考えられた。. |
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【幼児期生育環境と身体化-そのメカニズム】 慢性疼痛と養育環境 難治化の背景 近年,末梢の痛覚情報は,視床や体性感覚野のみでなく,前部帯状回・島皮質・扁桃体・視床下部・前頭前野などの認知・情動・自律神経系に情報を送り,ヒトの痛み体験が認知・情動・自律神経系と密接な関係があるという知見が神経科学的研究から理解されるようになってきた。更に,社会的疎外感,死別,不公平な待遇,嫉妬,罪悪感などで活性化される脳の領域が,痛みの情動成分に関与する脳部位と共通することもわかってきている。これらのことから,実際に侵害刺激が加わらない状態でもヒトが感じる「心の痛み」体験が,social painという概念で提唱されている。これらの知見は心療内科領域で,慢性疼痛症例の病態と治療を考える意味で有用な情報となっている。実際,九州大学病院心療内科における難治化した慢性疼痛の症例の病態分析を行うと,養育環境が病態の準備因子および持続・増悪因子(ときに発症因子)として関与していることが明らかになってきている。特に,生育歴において,養育環境での心理的ケアの欠如・同胞葛藤および家族内交流不全,そのなかで自然な感情を表出した交流ができにくい失感情症の形成,種々の虐待歴などが難治化の背景として重要であり,その実態を報告した。更に,これらの知見から慢性疼痛の難治化の予防のために重要な次世代の養育への提言に言及した。(著者抄録). |
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手紙添削による陰性感情の外在化で改善した疼痛性障害の症例 心理的葛藤の言語的発散が困難な患者へのアプローチ 心理的葛藤の言語的表出が困難であるために難治化する疼痛性障害の一群が存在する。手紙添削という手法が抑圧された陰性感情を外在化し、言語的発散に導き、有用であった臨床経験を報告する。患者は31歳女性。膠原病内科で背部痛、関節痛を主訴にSLEと診断されたが、炎症反応は一貫して低値であり、心療内科に紹介され受診した。心理社会的背景では、周囲との調和を優先し葛藤を発散できない性格、過剰適応の家庭生活、夫の無理解などが判明した。抑圧された感情の言語的発散を促したが困難で、身体症状が持続した。しかし、夫からの手紙の添削という外在化を自ら行ったことでカタルシスが得られ、症状改善の契機となった。医療者・患者の双方に心理社会的背景が理解されても難治化している疼痛性障害の症例において、未分化な陰性感情を言語的に発散する手紙添削という外在化の手法が有用であることが示唆された。(著者抄録). |
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強い医療不信を示した難治性疼痛性障害患者に、老年期の孤独感を対象とした家族療法が奏功した症例 強い医療不信を訴え続ける老年期の難治性慢性疼痛に、家族療法が有用であった症例を経験した。症例は70歳代後半の男性で、膀胱癌術後のストーマ周囲の慢性疼痛のため、多数のドクターショッピングの後に、病態把握目的で心療内科入院となった。積極的傾聴で患者治療者間の信頼関係の確立を試みたが、当初は家庭内での問題を強く否定し、過去や現在の強い医療不信の訴えが長く続いた。しかし、妻の死去後息子、娘、婿との交流不全のため、患者の家庭での孤独感が、攻撃的な疼痛行動の持続増悪因子になっていることが明らかとなった。孤独感の改善を治療目標とした家族療法を繰り返し、身体的な痛み以外の苦悩の言語化を促進した。その中で、家族とともに生きるという意識の変化が促され、疼痛行動が軽減、退院となった。老年期の慢性疼痛の背景として、家族との交流不全からくる孤独感が患者の苦痛を深めているという観点が、難治例を打開する際に有用であると考えられた。(著者抄録). |
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Mitsunao Tomioka, Midori Shimura, Mikio Hidaka, Chiharu Kubo, The reliability and validity of a Japanese version of symptom checklist 90 revised, BioPsychoSocial Medicine, 10.1186/1751-0759-2-19, 2, 19, 2008.10, Objective: To examine the validity and reliability of a Japanese version of the Symptom Checklist 90 Revised (SCL-90-R (J)). Methods: The English SCL-90-R was translated to Japanese and the Japanese version confirmed by back-translation. To determine the factor validity and internal consistency of the nine primary subscales, 460 people from the community completed SCL-90-R(J). Test-retest reliability was examined for 104 outpatients and 124 healthy undergraduate students. The convergent-discriminant validity was determined for 80 inpatients who replied to both SCL-90-R(J) and the Minnesota Multiphasic Personality Inventory (MMPI). Results: The correlation coefficients between the nine primary subscales and items were .26 to .78. Cronbach's alpha coefficients were from .76 (Phobic Anxiety) to .86 (Interpersonal Sensitivity). Pearson's correlation coefficients between test-retest scores were from .81 (Psychoticism) to .90 (Somatization) for the outpatients and were from .64 (Phobic Anxiety) to .78 (Paranoid Ideation) for the students. Each of the nine primary subscales correlated well with their corresponding constructs in the MMPI. Conclusion: We confirmed the validity and reliability of SCL-90-R(J) for the measurement of individual distress. The nine primary subscales were consistent with the items of the original English version. © 2008 Tomioka et al licensee BioMed Central Ltd.. |
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摂食障害入院患者における「構成的集団心理療法」の効果に関する研究 摂食障害入院患者の治療に、認知行動療法(CBT)に加えて「構成的集団心理療法」を用い、感情表出と対人交流の改善が得られるかどうかを試みた。構成的集団心理療法では、安全かつ効果的な集団療法をめざし、感情表出と対人交流の難易度を徐々に高めていくプログラム構成とし、その効果をTEG、MMPI、EDI、POMSを用いて検討した。その結果、CBTのみの群と構成的集団心理療法併用群とを比較した結果、構成的集団心理療法には、TEG上での自由な感情表出に大きな効果は認められず、EDIによる摂食障害の症状にも効果は認められなかったが、MMPI上では対人交流における衝動性・攻撃性の緩和に効果がみられ、POMSの結果から気分の安定が得られたことが示唆された。. |
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強い依存欲求を治療的に有効利用した疼痛性障害患者に対するチームアプローチ 看護師による認知行動療法的観点から 疼痛性障害患者では疼痛を訴える行動(疼痛行動)が主要な問題となることがあり、その背景に多くは母親との葛藤からくる強い依存欲求が潜在している。病院では依存欲求の対象が看護師に向けられ、疼痛時のみ受容、共感すると疼痛行動を悪化させ、難治化の因子となる。看護教育では、症状時の受容、共感を重視することから、疼痛性障害患者の治療においては医療での二次的増悪が起こることが考えられる。今回、われわれは母親から存在を否定されてきた難治の疼痛性障害に対して、医師、看護師、臨床心理士の連携で、患者の依存欲求に対して適応的な行動を統一的に強化するように対処したことで、著明な行動面の改善を示した1例を経験した。疼痛性障害の看護においては、疼痛行動には中立的に対応し、擁護的な反応で疼痛行動を強化しない治療環境の設定が基礎となる。さらに、患者の心理社会的背景に根ざす看護師への強い依存欲求を有効利用し、定期的な対応で患者との良好な交流を促進して適応行動を強化する認知行動療法的アプローチが有用である。(著者抄録). |
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M. Tomioka, C. Kubo, Group autogenic training in psychosomatic medicine: A pretreatment interview reduces the dropout rate, International congress series, 2006.01. |
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速やかな自律状態への導入 心療内科での臨床経験から 自律訓練(AT)過程の中で患者が身体症状を訴えた場合の効果的対応法を検討するため,患者の身体反応への不安感や訓練方法の誤りを軌道修正する方法を検討した.心療内科では,元々の身体疾患もあり訓練中に不快な身体症状が生起する可能性が高くなるため,安心してATに取り組むことが困難になる.本稿で提示した対応法は,そうした困難に直面した患者が,安心してATに取り組むために著者らが日常臨床で用いている方法である.不快な身体反応がありつつも,それが「受け入れ可能」なものであれば,訓練を継続することでリラックス反応が生じ,そこで生じたリラックス反応は,不快な身体反応の拮抗反応となりうる.つまり,訓練を継続することで,ATという治療法自体が患者に内在する問題を正常化することもあり得る.なお,「受け入れ可能」かどうかは,医学的検査をはじめとした,症例個々の病態に応じた検討が必要である. |
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自律訓練法による軽催眠状態を利用した拮抗制止法が過敏性腸症候群の治療に効果的であった1例 自律訓練法(AT)による軽催眠状態を利用した拮抗制止法が過敏性大腸症候群(IBS)の治療に有効であった症例(17歳男子高校生)を報告した.患者の主訴は授業中に胃のあたりがいたくなるということであった.治療では薬物療法(抗不安薬,整腸剤,消化管運動機能改善薬)とATで不安・緊張の低下とIBS症状の改善を図った.一時改善後の症状再燃には,ATのリラックス反応を利用した拮抗制止法により,不安緊張の軽減と,登校時や学校生活での緊張低減を図った.その結果,患者は不安なく学校生活が送れるまでに症状の改善をみた. |
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内観療法により向精神薬を減量,中止することができた遷延性うつ病の1症例 PRISMを用いた検討 向精神薬の効果が乏しい鬱病患者に内観療法を行い,その効果をPRISM(Pictorial Representation of Illness and Self Measure)によって評価した症例を報告した.患者は39歳男.内観療法により,それまでにない視点から自己洞察させることができ,隠れていた願いや本音を引き出すことができた.又,PRISMを行うことで,内観療法によって導き出された心理変化を患者自身で整理することができた. |
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心身症の治療 PRISM. |
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自律訓練法におけるEMG振幅の意味 音声フィードバック後の患者報告からの検討. |
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労働者用ストレス評価尺度の妥当性と測定法に関する検討. |