九州大学 研究者情報
研究者情報 (研究者の方へ)入力に際してお困りですか?
基本情報 研究活動 教育活動 社会活動 病院臨床活動
大神 達寛(おおがみ たつひろ) データ更新日:2020.06.27



主な研究テーマ
早期子宮体癌に対するロボット支援下手術についての検討
キーワード:ロボット支援下手術,最小浸潤手術,子宮体癌
2020.01.
ベバシズマブを併用した卵巣癌化学療法中に発症する消化管穿孔についての検討
キーワード:ベバシズマブ、消化管穿孔
2019.01.
婦人科がんの治療中にみられる深部静脈血栓症
キーワード:婦人科がん、深部静脈血栓症、肺塞栓症
2017.04.
婦人科がん患者に対するシスプラチンを含む化学療法中の硫酸マグネシウムの腎保護効果
キーワード:腎保護、マグネシウム、シスプラチン
2016.04.
子宮頸癌の術後補助療法としての放射線療法と全身化学療法の比較検討
キーワード:子宮頸癌、放射線治療、全身化学療法、術後補助療法
2015.04.
研究業績
主要原著論文
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
1. 大神 達寛, 加藤 聖子, 婦人科癌治療薬, 医薬ジャーナル, 2019.01, 2018年1月にPARP(poly(ADP-ribose) polymerase)阻害薬であるオラパリブ(リムパーザ®)が「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」に対して承認された。この薬剤はDNA修復機構である相同組み換え(homologous recombination;HR)に関わる遺伝子(BRCA1やBRCA2など)に変異がある場合に有効とされるが、プラチナ製剤感受性であることがばいおまーかーのだいたいサロゲートマーカーとして使用される。重篤な有害事象の少ない内服薬であることに加えて、年単位の長期間の病勢コントロールが可能なこともあり、その維持療法としての有効性に大きな期待が寄せられている。また単剤維持療法のみならず、救援療法や他の分子標的治療薬・細胞障害性薬剤との併用でもその有効性が報告されており、今後の適応拡大が望まれる。.
2. 大神 達寛, 加藤 聖子, 子宮内膜癌の分子標的治療に向けた基礎研究の実際, 産婦人科の実際, 2015.05,  進行・再発子宮内膜癌に対する治療は化学療法がその中心となるが、既存の薬剤に抵抗性を示すものも多く、治療成績の向上にはその発癌・進展機構に基づいた分子標的治療薬の開発が必要である。現在、PTENのシグナル伝達を阻害するmTOR阻害剤の他、EGFR阻害剤・FGFR阻害剤・VEGF阻害剤などが臨床試験でその効果を検証中である。また最近、子宮内膜癌においてもがん幹細胞の存在が確認されている。がんを根治するためにはがん幹細胞を排除する必要があり、その生存・維持に関わるシグナルを標的とした治療薬の開発が必要である。がん幹細胞に強いDNA障害を起こすHDAC阻害剤、EMT阻害剤であるsalinomycin、がん幹細胞が発現するSPARCに結合するnab-paclitaxelなどがその候補として基礎的研究の段階である。.
3. Tatsuhiro Ogami, Kiyoko Kato, Pathogenesis of endometrial cancer, Current Approaches to Endometrial Cancer, Future science group , 2014.11, Endometrial cancer is the most common form of cancer of the female genital reproductive tract, with 150,000 new cases diagnosed each year worldwide. More than 90% of endometrial cancers are sporadic and the remaining hereditary. Sporadic cases are categorized clinicopathologically as estrogen-dependent endometrioid endometrial carcinomas (type I) and non-endometrioid endometrial carcinomas (type II). With molecular genetic developments, the pathogenesis of sporadic and hereditary endometrial carcinomas has gradually been elucidated, and the pathogenic mechanisms are reviewed in this chapter with respect to types I and II. In addition, new evidence regarding cancer stem cells in endometrial carcinomas, the existence of which was recently reported, is introduced here..
4. 大神 達寛, 小林 裕明, Ⅰ期がんの治療法<CIN/子宮頸がん<婦人科診療ハンドブック, 中外医学社, 2014.07,  近年の初交年齢の低下や性行動の活発化から子宮頸癌患者の若年化が進む一方、晩婚・晩産化により妊孕性温存治療の必要性が高まっている。子宮頸癌の罹患者は年間約9000人だが、そのうち進行期Ⅰ期症例は56.7%(ⅠA1期:14.1%、ⅠA2期:1.8%、ⅠB1期:29.5%、ⅠB2期:8.2%)を占める1)。一方、妊孕性温存治療の対象となるⅠA1~ⅠB1期症例の35.2%が39歳以下であるため、将来の妊娠を希望する患者は相当数にのぼると考えられる。またⅠ期症例に対しては妊孕性温存治療以外でも種々の縮小手術が適用できるため、症例毎に個別に治療方針を検討することが肝要である。よって本稿では、Ⅰ期頸癌の治療に関して、標準治療に加えて妊孕性温存手術や縮小手術にも焦点をあてて解説する。なお、「腺癌」に関しては別章で詳しく述べられるので、Ⅰ期扁平上皮癌を中心に記述し、「頸部摘出術」「術後療法」も別章で解説されているので詳細は省いている。.
5. 大神 達寛, 加藤 聖子, 子宮体がんの発がん機構, 産婦人科の実際, 2013.11, 日本人女性における子宮体癌の罹患率は、この30年で約10倍に激増している。原因の背景には晩婚化や少子化、生活習慣の欧米化などによる危険因子への暴露があり、今後もこの増加傾向は続くと考えられる。子宮体癌には臨床病理学的にⅠ型とⅡ型に分けられるが、増加しているのは主にエストロゲン依存性を示すⅠ型である。最近ではⅠ型の発癌機構について多くのことが理解され、Ⅱ型や遺伝性子宮体癌についてもその背景にあるいくつかの分子遺伝学的変化が知られるようになった。本稿ではこれらの分子遺伝学的変化と推測される発癌機構を解説するとともに、子宮体癌でもその存在が推測されているがん幹細胞について最近の知見を紹介する。.
主要学会発表等
1. 大神 達寛,小玉 敬亮,山口 真一郎,八木 裕史,安永 昌史,小野山 一郎,兼城 英輔,奥川 馨,矢幡 秀昭,加藤 聖子, Bevacizumabを併用した卵巣癌化学療法中に発症する消化管穿孔についての検討, 第61回日本婦人科腫瘍学会, 2019.07, 2013年11月に抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるbevacizumab(以下BEV)が卵巣癌に対して保険適用となって以降、BEVは初回治療あるいは再発治療に関わらず卵巣癌化学療法において併用され、無病生存期間の延長に貢献している。しかしながら高血圧やタンパク尿など一般的な細胞障害性薬剤とは異なる有害事象が発現することが知られており、特に消化管穿孔は頻度は低いものの致死的となることが多く注意が必要である。したがってBEV併用の可否については、消化管穿孔のリスク因子の有無を十分に確認してから決定することが勧められる。当科においては、これまでに進行・再発卵巣癌の85例に対する110レジメン(1st-line 38レジメン、2nd-line 55レジメン、3rd-line以降 17レジメン)でBEVを併用し、4例(4.7%)に消化管穿孔を発症した。そのうち2例は1st-lineの治療中、その他の2例は2nd-lineの治療中であり、2例が死亡に至った。これらの症例の臨床的背景や特徴を抽出し、文献的考察を加えつつ消化管穿孔のリスク因子について再検討する。.
2. 大神 達寛, 子宮体がんの診断・治療のup-to-date, 第51回九州大学病院がんセミナー, 2017.07, 子宮体がんの疫学・リスク因子・臨床病理学的特徴・臨床進行期について簡単に紹介した後,手術後の再発リスクに応じた治療法について最近の話題を交えて解説した.再発低リスク群では予後が良好であるため,腹腔鏡下手術やロボット支援手術、リンパ節郭清の省略など低侵襲化の流れにある.再発中リスク群ではリスク分類の見直しや細分化が検討されているが,特にゲノム情報を用いた新たな手法によるリスク分類の導入と治療の個別化が試験段階に入っている.再発高リスク群は予後が不良のため新たな治療戦略の開発が推し進められているが、分子標的治療薬や免疫療法がある一定の効果を示しており今後の実地診療への導入が期待される..
3. 大神 達寛, 婦人科がんの治療中にみられる静脈血栓症 ~当科における診療の現状と臨床的疑問~, 婦人科がんと静脈血栓症Seminar, 2017.06, がんと静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolism)との関係はTrousseauが1865年に最初に記載してから150年以上が経つ.VTEは深部静脈血栓症(DVT: deep vein thrombosis)と肺塞栓症(PE: pulmonary embolism)から成り,活動性のがん患者における死亡原因として2番目に多い.婦人科がん患者にVTEが多い原因として,がんの疾病そのものに加えて,高齢,腫瘍による骨盤内血管の圧排,長時間の手術,血栓誘発性の化学療法などが挙げられる.婦人科がん患者においてDVTは11~18%に,PEは1~2.6%に認められる.今回,九州大学病院産科婦人科におけるVTEの診断・治療の現状を調査し,以下の事実が確認された.①婦人科がん症例の9.4%にVTE発症が認められ,外陰癌(25%)および卵巣癌/卵管癌/腹膜癌(20%)における発症率が高かった.②卵巣がん症例のVTEは,組織型毎の発症機序に特徴があることが示唆された.③VTEの発症時期は治療前(39%)や手術後(10%)よりも,化学療法・放射線療法中(51%)が最も多かった.④症状により診断に至った症例は23%に過ぎず,大部分(74%)は定期的なD-dimerの測定やCTの撮像により診断されていた.⑤下腿のみのDVTは全体の49%で,下腿にDVTを認めた症例の18%にPEまたは膝窩静脈より中枢側の大きなDVTを認めた.⑥ヘパリンの持続静脈内投与は58%の症例に行われたが,その他の症例はワーファリンまたはNOACより抗凝固療法が開始されていた.⑦抗凝固療法の主流はワーファリンからNOACに変遷していた.今後はこれらの事実に基づき,新たなVTEの管理指針を策定していく予定である..
4. Tatsuhiro Ogami, Hiroshi Yagi, Yasunaga Masafumi, Ichiro Onoyama, Yoshiaki Kawano, Kaneki Eisuke, Okugawa Kaoru, Hideaki Yahata, Kenzo Sonoda, Kiyoko Kato, Renal protective effect of magnesium sulfate in gynecologic cancer patients during cisplatin-containing chemotherapy, 第68回日本産科婦人科学会, 2016.04, [Objective]Nephrotoxicity is diagnosed in 28-42% of patients applied cisplatin. Mg2+ is involved in active transport of cisplatin in proximal tubule cells, therefore, we retrospectively examined whether Mg2+ supplementation prevent nephrotoxicity during cisplatin-containing chemotherapy. All patients provided written informed consent before treatment.
[Methods]Forty four patients of gynecologic cancer treated in our hospital from Oct 2014 to Sep 2015(study group)were analyzed. They were supplied magnesium sulfate containing 8mEq of Mg2+ just before cisplatin administration. Serum creatinine level(Cr:mg/dL)and glomerular filtration rate(GFR:mL/min)were examined before and after treatment. These laboratory data were compared with those of 74 patients treated previously without Mg2+ supplementation(control group).
[Results]Statistically significant Cr elevation(+0.11±0.17 vs -0.03±0.10)and GFR decrease(-13.0±22.2 vs+2.2±17.6)were found in control group compared with study group(p<0.001). Discontinuation of chemotherapy occurred in 8 cases in control group due to renal dysfunction. However, all patients in study group could receive scheduled treatment.
[Conclusion]Magnesium sulfate supplementation might be effective for renal protection during cisplatin-containing chemotherapy..
5. 大神 達寛, 八木 裕史, 河野 善明, 兼城 英輔, 一戸 晶元, 奥川 馨, 淺野間 和夫, 矢幡 秀昭, 園田 顕三, 加藤 聖子, 子宮頸癌の術後補助療法としての放射線療法と全身化学療法の比較検討, 第67回日本産科婦人科学会, 2015.04, 子宮頸癌の手術不能例や再発例に対して行われる全身化学療法の奏効率は70%前後と高い。子宮頸癌の術後補助療法として放射線治療が標準的に行われているが、全身化学療法の術後補助療法としての有効性を後方視的に比較検討した。両者の再発率に有意差はなかったが、放射線療法は照射野内の局所再発率が低い傾向が認められた。.
6. 大神 達寛, 楠木 総司, 八木 裕史, 米田 智子, 権丈 洋徳, 河野 善明, 兼城 英輔, 一戸 晶元, 奥川 馨, 淺野間 和夫, 矢幡 秀昭, 園田 顕三, 竹田 省, 婦人科がん幹細胞の機能に基づくバイオマーカー同定の試み, 第56回日本婦人科腫瘍学会, 2014.07,  近年、癌組織の中にも自己複製能と多分化能を持つ癌幹細胞が存在すると考えられている。これまで、CD133、CD44、ALDH1などががん幹細胞のマーカーとして報告されているが、それぞれの機能は不明である。SP(Side-population)細胞はABCG2などのABC(ATP-binding cassette)トランスポーターによりDNA結合色素であるHoechst33342を細胞外に汲み出す能力のある分画の細胞で、脳・肝・膵・腎・心臓・骨格筋など殆どの組織に存在し、臓器幹細胞として機能していることが報告されている。また様々な固形がんにもSP細胞は存在し、がん幹細胞を多く含む分画の細胞集団と考えられている。    
 我々は子宮体癌細胞株(Hec1)からSP細胞を分離し、がん幹細胞としての性質を有するかを検討した。Hec1のSP細胞は未分化で、長期間の増殖能と自己複製能を有し、上皮系細胞のみならず遊走能を示す間葉系細胞へ分化することから、がん幹細胞としての性質を有すると考えられた。がん幹細胞形質に関与する遺伝子を検討するため、SP細胞とnon-SP細胞との間でmicroarray解析を行うと、SP細胞においてEMT(epithelial-mesenchymal transition)に関わる遺伝子群が高発現しており、がん幹細胞の機能に重要と考えられた。その中にはfibronectinやSPARC (secreted protein acidic and rich incystein)などの間質の成分である細胞外基質をコードする遺伝子が含まれていた。Hec1のSP細胞にEMT阻害剤salinomycinを作用させると、fibronectionの発現を抑制し、その増殖・遊走・浸潤・造腫瘍性を阻害した。また、SPARCは、低分化類内膜腺癌の間質に強く発現しており、その発現は細胞の運動能に関与していた。
 このように、子宮体癌SP細胞はがん幹細胞の性質を示すことが示唆されるが、その細胞分画は1%以下であり、詳細な解析が困難であった。そこで我々は胚細胞に特異的に発現しているYBX2に着目した。YBX2はY-box-binding proteinの一つで、核内では転写因子として、細胞質ではRNA結合蛋白として機能する核酸結合タンパク質である。正常組織では生殖細胞やトロホブラストの未分化な細胞のみに発現するが、腫瘍組織では精巣のseminomaや卵巣のdysgerminomaなどの胚細胞腫瘍のみならず、卵巣・胃・大腸・肝・乳腺・膵・腎・前立腺・肺・骨格筋・心筋などの上皮系および間葉系両者の悪性腫瘍にも広く発現している。したがってYBX2はcancer/testis antigen(CT) antigenの一つであり、がん幹細胞との関与が示唆されている。内因性YBX2の発現の少ない子宮体癌細胞株Ishikawa(IK)にYBX2を過剰発現させると、幹細胞マーカーとして知られるABCG2やALDH1遺伝子の発現が亢進し、mockと比較してSP細胞の比率が10倍以上に増加した。逆に、si-RNAでYBX2の発現を抑制すると、ALDH1の発現減少とSP細胞の比率の低下を認めた。これらの事実から、YBX2が子宮体癌におけるがん幹細胞の形質維持に重要な働きを果たしていると考えられた。
 以上のこれまでの機能解析より、SP細胞の色素排泄能に関与するABCG2、間質形成や運動能に関与するfibronectinやSPARC、がん幹細胞の維持に関与するYBX2などががん幹細胞由来のバイオマーカーとして考えられた。現在、がん幹細胞特異的に発現するマーカーの同定を試みている。.
7. 大神 達寛, 楠木 総司, 竹田 省, 加藤 聖子, 婦人科がん幹細胞の機能に基づくバイオマーカー同定の試み, 第2回婦人科がんバイオマーカー研究会, 2014.07,  近年、癌組織の中にも自己複製能と多分化能を持つ癌幹細胞が存在すると考えられている。これまで、CD133、CD44、ALDH1などががん幹細胞のマーカーとして報告されているが、それぞれの機能は不明である。SP(Side-population)細胞はABCG2などのABC(ATP-binding cassette)トランスポーターによりDNA結合色素であるHoechst33342を細胞外に汲み出す能力のある分画の細胞で、脳・肝・膵・腎・心臓・骨格筋など殆どの組織に存在し、臓器幹細胞として機能していることが報告されている。また様々な固形がんにもSP細胞は存在し、がん幹細胞を多く含む分画の細胞集団と考えられている。    
 我々は子宮体癌細胞株(Hec1)からSP細胞を分離し、がん幹細胞としての性質を有するかを検討した。Hec1のSP細胞は未分化で、長期間の増殖能と自己複製能を有し、上皮系細胞のみならず遊走能を示す間葉系細胞へ分化することから、がん幹細胞としての性質を有すると考えられた。がん幹細胞形質に関与する遺伝子を検討するため、SP細胞とnon-SP細胞との間でmicroarray解析を行うと、SP細胞においてEMT(epithelial-mesenchymal transition)に関わる遺伝子群が高発現しており、がん幹細胞の機能に重要と考えられた。その中にはfibronectinやSPARC (secreted protein acidic and rich incystein)などの間質の成分である細胞外基質をコードする遺伝子が含まれていた。Hec1のSP細胞にEMT阻害剤salinomycinを作用させると、fibronectionの発現を抑制し、その増殖・遊走・浸潤・造腫瘍性を阻害した。また、SPARCは、低分化類内膜腺癌の間質に強く発現しており、その発現は細胞の運動能に関与していた。
 このように、子宮体癌SP細胞はがん幹細胞の性質を示すことが示唆されるが、その細胞分画は1%以下であり、詳細な解析が困難であった。そこで我々は胚細胞に特異的に発現しているYBX2に着目した。YBX2はY-box-binding proteinの一つで、核内では転写因子として、細胞質ではRNA結合蛋白として機能する核酸結合タンパク質である。正常組織では生殖細胞やトロホブラストの未分化な細胞のみに発現するが、腫瘍組織では精巣のseminomaや卵巣のdysgerminomaなどの胚細胞腫瘍のみならず、卵巣・胃・大腸・肝・乳腺・膵・腎・前立腺・肺・骨格筋・心筋などの上皮系および間葉系両者の悪性腫瘍にも広く発現している。したがってYBX2はcancer/testis antigen(CT) antigenの一つであり、がん幹細胞との関与が示唆されている。内因性YBX2の発現の少ない子宮体癌細胞株Ishikawa(IK)にYBX2を過剰発現させると、幹細胞マーカーとして知られるABCG2やALDH1遺伝子の発現が亢進し、mockと比較してSP細胞の比率が10倍以上に増加した。逆に、si-RNAでYBX2の発現を抑制すると、ALDH1の発現減少とSP細胞の比率の低下を認めた。これらの事実から、YBX2が子宮体癌におけるがん幹細胞の形質維持に重要な働きを果たしていると考えられた。
 以上のこれまでの機能解析より、SP細胞の色素排泄能に関与するABCG2、間質形成や運動能に関与するfibronectinやSPARC、がん幹細胞の維持に関与するYBX2などががん幹細胞由来のバイオマーカーとして考えられた。現在、がん幹細胞特異的に発現するマーカーの同定を試みている。.

九大関連コンテンツ

pure2017年10月2日から、「九州大学研究者情報」を補完するデータベースとして、Elsevier社の「Pure」による研究業績の公開を開始しました。
 
 
九州大学知的財産本部「九州大学Seeds集」