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松枝 佳奈(まつえだ かな) データ更新日:2024.04.10



主な研究テーマ
日本近現代文学の諸作品に表れたロシア・ソ連認識およびその表象を、比較文学・比較文化史的観点から実証的に分析するものである。従来研究と異なる本研究の独自性として、小説や詩のみならず、新聞や雑誌、書籍に掲載された文学者たちのロシア・ソ連関係の評論や随筆を重要な分析対象とする点が挙げられる。文学者たちがロシア・ソ連の事象や問題を小説や詩などで著し、評論や随筆の形式で論じることで、ロシア・ソ連および日露・日ソ関係、日本国内の諸問題をも認識し、批評したと考えられる。特に彼らの政治・文化面でのロシア・ソ連に対する憧憬や、日露・日ソ関係の展望への期待、同時代の日本の政治や社会の状況に対する批判的な態度が解明されると予想される。日露および日ソの二国間の政治・社会・文化関係を背景に、文学界とジャーナリズム界、出版界を横断してロシアとソ連を表象し、論じた文学者たちの活動を包括的に考察する。
キーワード:日本近現代文学、比較文学、日露文化交流、文学と社会、文学とマスメディア
2021.04~2024.03.
研究業績
主要著書
1. 松枝佳奈, 近代文学者のロシア—二葉亭四迷・内田魯庵・大庭柯公—, ミネルヴァ書房, 2021.05, [URL], 明治・大正期の文学者・知識人である二葉亭四迷、内田魯庵、大庭柯公の三者は、真のロシア理解と日露関係の発展を目指した「ロシア研究者」でもあった。ロシアの社会と文化を総体的に理解し、日露の人民の自由や幸福、知的な成熟を希求した二葉亭四迷。同時代に二葉亭と同じく終生ロシア問題に関心を寄せていた文学者・内田魯庵。革命後のロシアで消息を絶った新聞記者・大庭柯公。彼らの軌跡を緻密に辿り、その思想的系譜を明らかにした。
緻密な資料調査によって三名の文学者のロシアへの眼差しを手繰り、単なる文学者にとどまらず、文学の場からより建設的な日露関係をめざした二葉亭四迷、内田魯庵、大庭柯公の再評価を試み、明治・大正期の日本の社会と文化、ロシア問題、日露関係を言論を通じた新たな視座で捉え直した。.
主要原著論文
主要総説, 論評, 解説, 書評, 報告書等
主要学会発表等
その他の優れた研究業績
2012.09, [寸評]国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展.
2013.08, [寸評]プーシキン美術館展 フランス絵画300年.
2013.04, 「この一冊」ロシア知るには―大庭柯公『露国及露人研究』、中公文庫.
2014.12, [寸評]「ドミートリー・プリゴフ展--ルネッサンスからコンセプチュアリズムまで、そしてそれを越えて-- Dmitri Prigov: from Renaissance to Conceptualism and Beyond.
2017.03, [寸評]ロマノフ王朝展(上).
2017.03, [寸評]ロマノフ王朝展(下).
2018.03, [書評]大島仁著『21世紀の比較文学』(花書院、2017年).
学会活動
所属学会名
International Comparative Literature Association(ICLA)
Assosiation for Asian Studies (AAS)
European Association for Japanese Studies (EAJS)
東大比較文學會
日本比較文学会
日本ロシア文学会
日本近代文学会
学協会役員等への就任
2021.07~2022.06, 日本ロシア文学会, 運営委員.
受賞
第1回東京大学而立賞, 東京大学, 2020.08.
研究資金
科学研究費補助金の採択状況(文部科学省、日本学術振興会)
2023年度~2027年度, 基盤研究(B), 分担, 明治後期雑誌における言説・表象・表現のメディア横断的再検討:貫日露戦的視点から.
2023年度~2027年度, 基盤研究(A), 分担, 戦間期、越境する活動家に対するサーベイランスの実態とその限界.
2021年度~2024年度, 若手研究, 比較文学比較文化研究の理論再構築と一般知への還元に関する総合的アプローチ.
2021年度~2024年度, 若手研究, 代表, 日本近現代文学におけるロシア・ソ連認識の実証的研究ー新聞・雑誌・書籍との関係から.
日本学術振興会への採択状況(科学研究費補助金以外)
2017年度~2019年度, 特別研究員, 代表, 世紀転換期の英仏米におけるロシア研究―対露認識をめぐる比較文学比較文化史的考察.

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pure2017年10月2日から、「九州大学研究者情報」を補完するデータベースとして、Elsevier社の「Pure」による研究業績の公開を開始しました。